消費者の購買力が低下している昨今、リピーター率の維持・向上に苦労をしている企業も少なくないですが、従業員のスキルアップも、お客様に選ばれる企業を目指すために不可欠なことです。
ところが、
「でも、どうすれば従業員のスキルを高めることができるんだろう?」 「スキルアップ研修は定期的に行っているけれど、あまり身についているように感じない」
と、人事部門や管理部門では、頭を悩ませることも少なくないでしょう。
そのような時に役立つのが、ロールプレイング研修です。
ロールプレイング研修は、実務の中で起こり得る場面を想定して行う実践的な研修です。従業員の問題解決能力の向上に寄与することはもちろんのこと、日常業務の中でもサービスの品質を向上させるためにも役立ちます。
この記事では、ロールプレイング研修のメリットや研修の進め方、ロールプレイングのシナリオ例などをご紹介いたします。
ロールプレイングとは、「役割(role)」と「演じる(playing)」を組み合わせた言葉です。「ロールプレイングゲーム」という言葉で聞き慣れている方も多いかもしれませんね。
ゲームではプレイヤーが主人公の役割を担って物語を進めていきますが、ビジネス研修で行うロールプレイングでは、参加者は「顧客」「従業員」「営業」「カスタマーサポート」など実務に関わる役割を分担し、業務内の特定の場面を想定してそれぞれの役を演じます。
ロールプレイング研修ではロールプレイの様子を動画撮影して、後から振り返り評価をする場合もあります。
ロールプレイング研修は実践形式で業務を覚えさせたり、スキルを磨いたりするために行われる研修です。座学形式の研修では、講師と受講者は一方通行の関係になってしまいますが、ロールプレイング研修は双方向性のある研修であるという点も注目すべきでしょう。
座学形式の研修の場合、頭で覚えた「つもり」になりやすいですが、ロールプレイング研修では実際の業務環境を模したシナリオをそれぞれが実践しますので、頭でも身体でも覚えることができます。
たとえば新入社員研修をする際、入社時研修として座学を行う企業は多いかと思いますが、頭で覚えるだけでは現場でスムーズに業務を遂行できるようになるまで時間がかかってしまいます。
座学に加えてOJT教育を行う企業もありますが、OJTの中で大きなミスをしてしまうと本人も自信がなくなってしまううえ、場合によっては会社に損害を与えてしまうことも。
そこで役に立つのが、ロールプレイング研修です。
ロールプレイング研修であればミスが損害につながる心配はありませんし、本人も業務を覚えやすくなります。つまり新入社員へのロールプレイング研修は、戦力化への時間短縮にもつながるのです。
ロールプレイング研修にはいくつものメリットがあります。一部の例を挙げるだけでも、下記のようなメリットがあります。くわしく見ていきましょう。
実践力を身につけられることが、ロールプレイング研修の一つ目のメリットです。
前述した内容では、ロールプレイング研修が新入社員の即戦力化につながるということに触れましたが、これは新入社員に限ったものではありません。
ロールプレイング研修は実際の職場環境を模倣し、特定のシナリオや状況において参加者が異なる役割を演じることによって、コミュニケーションスキル・問題解決能力・チームワークなどの職務能力を開発・向上させるための研修です。
そのため、
といったさまざまな職種・業種で活用することが可能です。
参加者は実際の状況をシミュレーションすることで、より実践的な学習体験を得ることができるうえ、異なる視点から物事を考えることを学び、柔軟性と適応性を高めることができるのです。
関連して、こちらの記事の中でもクレーム対応研修の一種としてロールプレイング研修を紹介していますので、ぜひ参考にご覧ください。
■参考記事はこちら
クレーム対応研修とは?オンラインでも学ぶ方法や種類別対応方法をわかりやすく解説!
組織全体の成果向上に寄与するきっかけとなる成功体験を得られることが、ロールプレイング研修の二つ目のメリットです。
ロールプレイング研修では、たとえば「お客様からクレームを受けた」や「難しい商談を成約させなければならない」といったような実際の職場で遭遇する可能性のあるさまざまなシチュエーションを体験します。
そしてこれらのシナリオで上手くロールプレイができると、参加者は自己効力感、つまり自分自身の能力に対する信頼感や成功体験を得られるでしょう。
また、ロールプレイでの成功体験を重ねることで、自分のスキルに自信がつきます。成功体験はモチベーションを高めることにもつながり、たとえ実際の業務内で困難な状況に陥っても前向きに取り組む姿勢を生み出すでしょう。
そして業務内での実際の成功体験が、モチベーションをさらに高めるという好循環につながるのです。
ロールプレイング研修における成功体験は、従業員が新しいスキルを獲得し、自信を持って職場で応用するための最初の一歩のようなものだと考えてください。このような成功体験は、個人の成長だけでなく、組織全体の成果向上にも寄与します。
個人の課題を明確にし、克服方法を学ぶことができるのが、ロールプレイング研修の三つ目のメリットです。
ロールプレイング研修では、与えられたシナリオや役割を演じる中で、普段の業務では見落としがちな自分自身の行動パターンや問題点を発見することができます。
ロールプレイをする中で自分自身で課題に気づく場合もあれば、他者のロールプレイから学ぶ点や、ロールプレイ後のフィードバックから課題を指摘される場合もあるでしょう。
ロールプレイング研修のフィードバックでは良かった点と悪かった点、つまり自身の強みと弱みを客観的に理解することができるため、今後の成長に活かせるポイントが明確になるのです。また、ロールプレイを重ねることで、発見した課題を克服することもできるでしょう。
ロールプレイング研修にはさまざまな種類があり、それぞれが特定のスキルやシナリオに焦点を当てています。ここからは、代表的なロールプレイング研修の種類をくわしく紹介していきます。
ケース型ロールプレイングとは、具体的な事例(ケーススタディ)に基づき、参加者が実際の業務シナリオや問題解決の状況を模倣するロールプレイングの手法です。一般的に「ロールプレイング研修」と言うと、このケース型ロールプレイングをイメージされる方が多いでしょう。
ケース型ロールプレイングでは、参加者はそれぞれ異なる役割(たとえば、経営者、顧客、従業員など)を割り当てられ、その役割に基づいてロールプレイをします。ロールプレイング後は、参加者は他の参加者や研修担当者からフィードバックを受け、自分の良かった点や課題点を反省します。
ケース型ロールプレイング研修は実際のビジネス環境を模倣するため、参加者は実務に即した問題解決の経験を得られます。この経験は、職場で実際の課題に直面した際、適切な対応として発揮されることでしょう。
問題解決型ロールプレイング研修は、問題や課題の解決に焦点を当て、参加者の問題解決能力を向上させるためのロールプレイング研修です。問題解決型ロールプレイングで取り上げる問題は、架空の問題だけでなく、過去に実際に起こった事例を取り上げる場合もあります。
これはケース型ロールプレイングと似ているように感じられるかもしれませんが、特に問題や課題の解決をゴールとしているところに違いがあります。
つまり、ケース型ロールプレイング研修を問題・課題解決に特化させたものが問題解決型ロールプレイング研修と言うこともできるでしょう。
したがって問題解決型ロールプレイングの手順や得られるスキルも、ケース型ロールプレイングと重複する部分が多くあります。問題解決型ロールプレイング研修を行うことで、参加者は実務で複雑な問題に直面しても、適切な対応を取ることができるようになるでしょう。
グループロールプレイング研修は、参加者がいくつかのグループに分かれ、共通の目標や課題に取り組む集団的なロールプレイング研修です。
参加者は小グループに分かれ、チームとして協力しながら特定のシナリオや課題に取り組みます。グループロールプレイングでは、同じシナリオを同グループ内で役割を変えながら繰り返すことが特徴です。
また、ケース型ロールプレイングのように他の参加者やファシリテーターからフィードバックを受けることもできますが、それだけではなくグループ内で役割を変えながら同じシナリオを繰り返すことで、他者のロールプレイから自分に足りないところを学んだり、他者のロールプレイの良い点・足りない点を学んだりすることも。
グループロールプレイングは参加者同士がチーム内で協力し、共通の課題に対処する中でチームワークやリーダーシップを磨くことができるのです。そのため、特に従業員同士のチームワークが重要視される職種で役に立つ研修といえるでしょう。
モデリング型ロールプレイング研修は、まず手本となる代表者がロールプレイを行い、参加者は手本の行動やスキルを模倣(モデリング)することを中心にした研修です。この研修の目的は、特定の技術や行動様式を実際に見せることで、参加者に学習してもらい身につけてもらうことです。
座学形式の研修の中で参加者に実際に体験してもらう場合や、個別のロールプレイングを始める前に試しに行ってみるという場面などで活用されることもあります。
モデリング型ロールプレイングの例としては、以下のような場面が想定できます。ぜひご活用ください。
経験豊かなリーダーによるマネジメント例を示し、管理職のマネジメントスキルを平準化させる
緊急時対応ロールプレイング研修とは、実際に起こり得る緊急事態を模擬したロールプレイング研修です。避難訓練が代表的ですが、自然災害、事故、医療緊急事態、火災、テロ攻撃などが扱われることもあります。
緊急時対応ロールプレイング研修は、特に医療、消防、警察、救急サービスなどの分野で重要な研修です。しかし他の業種においても、緊急事態への対応能力を養うために利用されることがあります。
たとえば銀行や郵便局であれば、強盗に対する訓練を行うといったケース、酒類を提供する飲食店では、飲み過ぎてしまったお客様への介助方法を身につけるというケースが考えられるでしょう。
緊急時対応ロールプレイングで想定される場面は、万が一実際に起こった場合に一刻を争う事態であるとか、小さなミスすら許されないような状況であることが多いでしょう。滅多に起こりにくい場面であるとはいえ、実際に事態に直面した際に適切に動けるよう訓練を行うことはとても大切です。
ここからは、ロールプレイング研修を実際に行う際の進め方について解説をしていきます。
既に簡単にロールプレイング研修の流れに触れていますが、ここからの内容をご覧いただくことで、自社でもロールプレイング研修を取り入れやすくなります。
まず、研修の目的やテーマに基づいてシナリオを決めましょう。シナリオは実際の職場で起こり得る状況をもとにして作成します。そうすることで、参加者は実際の業務に即して学ぶことができます
たとえば営業スキルの向上を目的とする場合、訪問営業でお客様の会社やご自宅を訪問し、商品やサービスを説明するシーンをシナリオに取り入れるなどです。
ただし目的や身につけてほしいスキルばかりを重視してシナリオを作成してしまうことは危険です。参加者が積極的に参加をしたくなるような、業務の実態になるべく即したシナリオや、参加者が業務内で課題に感じていたことを解決できるようなシナリオを心がけましょう。
そうすることで、参加者はロールプレイングの内容を自分ごととして捉え、学習効果を高めることができます。
ロールプレイング研修のシナリオは演劇の脚本のように一言一句定めるのではなく、参加者の反応や研修の進行に応じて柔軟に調整できるように余白を持たせて設計するのが望ましいでしょう。
具体的なシナリオ例については後述しますので、そちらもご参考くださいませ。
シナリオが決まったら、次は役割(配役)を決めます。シナリオに合わせて、どのような役割が必要か考えましょう。たとえば営業トレーニングのシナリオであれば、「営業担当者」「顧客」「チームリーダー」などの役割が考えられます。
誰にどの役割をロールプレイしてもらうかは、参加者のスキル、経験、興味などを考慮して割り当てると良いでしょう。参加者に新たな経験をしてもらうために、普段とは異なる役割を与えることも効果的です。
また、配役が決まったら、それぞれの参加者に各役割の具体的な内容と期待される行動を明確に説明しましょう。その際、参加者がどのようにロールプレイをすれば良いのかきちんと理解できているか気にかけることも大切なポイントです。
できればロールプレイのシナリオと役割分担は事前に告知し、参加者が自分の役割をどのように演じれば良いのか考えさせたり心の準備をさせたりする時間を与えると、より研修の効果が得られるでしょう。
さらに、役割を決める際に気をつけたいことは、参加者に新たなスキルを身につけてほしいがために、難易度の高すぎる役割を割り当ててしまわないようにすることです。挑戦は適度な負荷に留め、過度なストレスを与えないようにしましょう。
いよいよロールプレイング研修当日です。まずは研修を開始する前に、目的と全体の流れを再確認しましょう。そうすることによって、参加者は研修で目指すべき目標と自分の役割に集中できます。
参加者に疑問点や不安なことが無いか、シナリオ上で不明なことが無いかなどを確認したら、いよいよロールプレイングを開始します。事前に配布したシナリオや役割に応じて、ロールプレイを行っていきましょう。
ファシリテーターは時間配分やロールプレイの脱線に気を配り、進行に応じて追加の情報を提示したり、状況を変更したりすることで研修をより有益なものにすることができます。
参加者によるロールプレイが全て終わったら、評価(フィードバック)を行います。それぞれの研修の進め方にもよりますが、評価の仕方には次のような方法があります。
ロールプレイの評価には、良く出来た点と不足していた点の両方を参加者に伝えることが大切です。一方のみだと成長が得られなかったり、モチベーションが下がってしまうこともあります。
フィードバックでは抽象的な伝え方は避け、具体的かつ建設的な指摘となるよう心がけましょう。抽象的な評価は参加者が今後の行動変容を起こしにくく、具体的にどのような改善をすれば良いのかわかりにくくなってしまいます。
また、参加者に不足していた点が多くあったとしても、決して否定的な言い方でのフィードバックにならないように気をつけることも大切です。グループディスカッションの方式で参加者同士で評価を行う場合でも、否定的なフィードバックばかりにならないようにファシリテーターが適宜方向性を修正することが必要です。
ディスカッションでは各自が自由に発言できるような雰囲気を心がけ、研修の効果が最大限になるように工夫して進行しましょう。
ここからは、ロールプレイングのシナリオ例と作り方のポイントについて具体的に紹介していきます。
ロールプレイング研修のシナリオは、その業種固有の課題や日常業務を反映したものである必要がありますが、シナリオ作成時に意識すべき基礎的なポイントは共通しています。
上記のようなポイントを押さえてシナリオを作成するようにしましょう。
参加者に実践的なスキルと知識を習得してもらうことを目的とし、それぞれの業種の特性を踏まえた上で実態に即したシナリオを作成できると、より学習効果が高まります。
まずはスーパーマーケットを例に取り、小売業でのロールプレイング研修のシナリオ例をご紹介します。
シナリオ:顧客が店内に入る。販売員は笑顔で挨拶し、ショッピングカートを提供する。
目標:良い第一印象を与え、顧客が快適に買い物を始められるようにする。
ポイント:目の合う挨拶、親しみやすい態度、必要に応じた初期のサポートを提供する。
シナリオ:顧客が特定の商品について質問する。販売員は商品の特徴や利点を説明する。
目標:顧客に適した商品の情報を提供し、購入を促す。
ポイント:顧客のニーズを聞き出し、適切な商品を提案する。商品の詳細説明を行う。
シナリオ:顧客が商品に関する苦情を表明する。販売員は問題を解決しようとする。
目標:顧客の問題を理解し、満足のいく解決策を提案する。
ポイント:積極的なヒアリング、同情的な態度、迅速な問題解決を行う。
シナリオ:顧客が商品を選んでレジに向かう。販売員は会計を行い、感謝の意を示す。
目標:顧客に快適な会計経験を提供し、良い印象を残す。
ポイント:効率的な会計処理、丁寧な対応、見送り時には親しみやすい態度を取る。
シナリオ:販売員は顧客に次回のセールやイベントの情報を提供する。
目標:顧客に再来店の理由を与え、長期的な顧客関係を築く。
ポイント:興味を引くイベント情報の提供、次回の訪問を楽しみにさせる。
なお、小売業での研修方法については、下記の記事でもくわしく解説しておりますので、ぜひ参考にご覧ください。
■参考記事はこちら
小売業の人材育成で効果的な研修内容とは?具体的な研修作成方法やマネジメントについてもわかりやすく解説!
続いてファミリーレストランを例に取り、飲食業でのロールプレイング研修のシナリオ例をご紹介します。
シナリオ:家族連れの顧客が来店する。ウェイター/ウェイトレスは笑顔で迎え、適切な席に案内する。
目標:良い第一印象を与え、顧客のニーズに合った席を提供する。
ポイント:親しみやすい挨拶、家族の構成を考慮した席選び、効率的な案内を行う。
シナリオ:顧客にメニューを説明し、注文を受ける。
目標:メニューの特徴やおすすめ料理を紹介し、顧客の選択をサポートする。
ポイント:分かりやすいメニュー説明、推奨料理の提案、丁寧な注文受付を行う。
シナリオ:顧客がアレルギー情報や特別な食事要望を伝える。
目標:顧客の要望を理解し、適切に対応する。
ポイント:細やかなヒアリング、料理のカスタマイズ提案、安全対策の確認を行う。
シナリオ:注文された料理をタイムリーに提供する。
目標:スムーズな料理提供と顧客の満足度を確保する。
ポイント:正確なオーダーの確認、親切な料理提供、顧客の反応への注意を行う。
シナリオ:顧客が会計を済ませ、退店する際の対応をする。食事が口に合ったか、満足を得られたか声をかける。
目標:スムーズな会計処理と好印象を残す見送りをする。
ポイント:効率的な会計処理、感謝の表明、次回の来店を促す。
続いてビジネスホテルを例に取り、サービス業でのロールプレイング研修のシナリオ例をご紹介します。
シナリオ:顧客がホテルに到着し、フロントでチェックインを行う。身分証明書の確認、宿泊料金の説明、部屋の割り当てを行う。
目標:顧客にスムーズかつ丁寧なチェックイン体験を提供する。
ポイント:身分証の確認の丁寧さ、料金プランの明確な説明、部屋の設備やサービスの案内を行う。
シナリオ:顧客が追加のアメニティや特別なリクエスト(静かな部屋、アレルギー対応の枕など)を求める。
目標:顧客の特別な要求に迅速かつ効果的に対応する。
ポイント:顧客の要求を細かく聞き取り、可能な限り対応する姿勢を示す。
シナリオ:顧客から部屋の清掃状態、設備の不具合などの苦情がある。
目標:苦情に対して適切かつプロフェッショナルに対応し、顧客の不満を解消する。
ポイント:苦情の内容をしっかりと理解し、迅速に解決策を提供する。必要に応じてマネージャーや他のスタッフと連携を取る。
シナリオ:顧客がチェックアウトする際、料金の精算を行い、不満がなかったか、満足の行く宿泊体験となったかを確認する。
目標:チェックアウトをスムーズに行い、顧客に好印象を残す。
ポイント:会計処理の迅速さ、自然なフィードバックの要求、次回も宿泊したいと思わせ、特典の案内を行う。
ここまでで、ロールプレイング研修を行うまでの準備事項がご理解いただけたかと思います。
最後に、ロールプレイング研修を行う上での注意点やポイントをくわしくご紹介いたします。
ロールプレイング研修は必ずしもオフラインで行わなければならないというものではありません。特に良いファシリテーターが社内にいない場合などでは、オンライン上で外部講師に評価を受けられる遠隔ロールプレイング機能(動画レビュー)の活用も役立つでしょう。
ロールプレイング研修を行う上で、研修の目的を明確にすることはとても重要です。研修の目的が曖昧なままだと適切なシナリオを作成することもできず、受講者のスキルアップも望めません。
たとえば顧客対応の改善、チームワークの強化、特定の製品知識の向上などといった目的を明確にすることで、目的に合わせたシナリオが作成でき、目的がどれほど達成できたか評価することも可能になります。
つまり目的を明確にすることが、ロールプレイング研修の学習効果を高めることにつながるのです。
ロールプレイング研修で効果的なフィードバックを提供することは、参加者の学びと成長に不可欠です。
効果的なフィードバックは、参加者のその後の自己成長にもつながります。肯定的かつ具体的なフィードバックは、参加者のモチベーションを高めるため、継続的な学習意欲が高まるのです。
効果的なフィードバックをするためには、具体的かつ建設的な内容となるように心がけましょう。たとえば「質問に対する回答が明確でなかったので、次回は具体例を用いて答えてみてください」などという具体的な改善点を指摘するなどです。
ロールプレイングの様子を撮影することは、後から振り返り分析するために重要な手段です。
ロールプレイングの評価はファシリテーターや他の参加者からも得られますが、自分自身で映像を見て、自己分析することも重要です。後から動画を見ることで、ロールプレイの最中は気づかなかった自身の癖や不足点に客観的に気づくこともできます。
『shouin+』ではロールプレイング研修を録画して評価する、遠隔ロールプレイング機能(動画レビュー)を提供しています。
これにより、従来では集合研修や実際の店舗に足を運んで直接見るしか確認の方法がなかった従業員のスキルチェックが、オンラインでできるようになりました。
オンラインでの研修も活用しながら、従業員のスキルアップを図っていくと良いでしょう。
従業員のスキルアップに欠かせないロールプレイング研修。この記事では、効果的なロールプレイング研修を実施するための計画の立て方や実施方法などについて、幅広く解説いたしました。
ロールプレイング研修を効果的に行うためには、適切な目標設定や事前準備が必要不可欠です。また、参加者に心理的ストレスを与えないよう、肯定的な研修環境を作り上げることも大切です。
本記事内では具体的な研修シナリオの例として、小売業、飲食業、サービス業の3業種のロールプレイング研修のシナリオをご紹介しましたが、他業種の方で本記事をご覧になっている方も多くいらっしゃることでしょう。
shouin+で提供している遠隔ロールプレイング機能(動画レビュー)では上記以外の業種のロールプレイング研修にも対応しておりますので、お気軽にご相談くださいませ。
なお、ロールプレイング研修に限らず社員研修全般については下記の記事でもくわしく解説しておりますので、貴社の人材育成にお役立てください。
■参考記事はこちら
社員研修とは?目的、教えるべき内容、eラーニングを交えた効果的な研修方法についてわかりやすく解説!