一日でも早く戦力として活躍してもらうために欠かせないのが新人研修。近年は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、集合型の研修だけでなく、オンラインで実施する企業が増え、新人研修が多様化しています。
そのぶん新人研修をどのように進めたらいいか、どういった内容にするのがベストなのか悩んでしまうかもしれません。当記事では人事部、教育部、店舗運営部の担当者向けに、効果的な研修内容と手法、研修をうまく行うポイント、やってはいけない注意点を解説しました。
新人研修の内容について、再検討する前に現状をチェックしてみましょう。鈴木克明氏の著書「研修設計マニュアル: 人材育成のためのインストラクショナルデザイン」を参考に簡易版のチェックシートを作りました。
いくつ自信を持って「OK」と言える項目がありましたか?
どういう意図での質問か理解できなかった項目があっても心配はいりません。読み進めていくうちに理解できるでしょう。
入社後に最初に受講するのが新人研修です。一般に入社後3年程度までの者を新入社員と定義し、新卒採用の社員、中途採用の社員の両方を含みます。
企業により新人研修の目的は異なりますが、多くの企業で目的とされているのが次の4つです。
研修は、経営戦略を実現するために必要な能力と、現在の社員が持っている能力の「ギャップ」を埋めるために行われます。よって新卒採用の社員の場合は、社会人としてのスキルの習得に重きがおかれ、中途採用の社員の場合はスムーズに業務に参加できるようにという意味合いが強くなります。
研修を受講することにより、認識や能力、態度、行動などが変わり、仕事で成果につながれば、その研修は成功と言えます。そういう意味で、「多くの知識が得られた」「参考になる情報が多かった」で終わる場合は、研修の目的を達成していないと言っても過言ではありません。
新人研修は、一般的に入社後1カ月〜3カ月程度の期間で実施され、以下のような流れで実施されている企業が多いです。
新人研修のベストな期間については、以下の記事をあわせてお読みください。
■参考記事はこちら
新人研修の適切な期間はどれくらい?短期間で成果をあげるポイントや研修サービス選定方法を解説
次に新人研修で使われることが多い手法について見ていきましょう。Off-JT研修の中で代表的なものが「座学」「グループワークやディスカッション」「ロールプレイング」「ケーススタディ」「レクリエーション」「eラーニング」です。これらとOJT研修について解説します。
学校のような講義形式の研修手法が「座学」です。学校を卒業したばかりの新卒入社の社員にとっては最も馴染みやすい研修手法でしょう。集合型の研修とオンラインでの研修の両方があります。
多くの情報を短時間に教えられるのがメリットです。一方で、知識やノウハウをインプットすることに主眼が置かれているため、得られたことを実践でどう活かすかは参加者任せになってしまうのが、座学での研修のデメリットと言えます。
グループワークやディスカッションは採用面接でも導入されています。座学や後述するeラーニングなどで概念や知識を習得した後に、学びを深める目的で行われることが多いです。グループディスカッションは与えられたテーマについて話し合うのに対して、グループワークは話し合いをもとに方向性を決め作業を行い、発表まで行います。
グループワークやディスカッションは、他の人と考えを共有できたり、チームで協力して課題解決を行う経験が積めたりするのがメリットです。デメリットは、内容によってはオンラインでは議論が深まりにくいケースがあり、その場合は同じ場所に集まらないといけない点です。また講師が全員を巻き込むような施策をとれるかで、学びの充実度が変わります。
ロールプレイングとは、役割を決めて練習を行う手法です。営業や接客のスキルを身に付けるのに向いています。各個人の課題が明確になり、限られた時間で効率的に主体的に学べるのがメリットです。
ただし、毎回同じスタッフでロールプレイングを行わないといけない場合は、緊張感を保ちにくくなるため、工夫が必要でしょう。他店舗のスタッフとオンラインでロールプレイングを行ったり、ビデオ撮影をしたり、人事担当者でもどう工夫できるか考えておきたいところです。
業務に関連した事例をもとに、どう対応するか考えるのがケーススタディです。例えば、「配属されて3日目、電話が鳴っているが出られそうなのは自分しかいない。どうする?」といった内容や過去のトラブル事例などは、新人社員の関心をひきそうですね。
過去の事例を通して学べるため、リスク回避につなげられるようになるだけでなく、参加者の関心をひきやすく、コミュニケーションしやすい雰囲気作りなどにも役立ちます。
親睦を深めるのも新人研修の目的のひとつです。このため緊張を和らげ、コミュニケーションの活性化を狙いレクリエーションを実施する企業もあります。ゲームやチームビルディングなどがよく行われますが、それ自体が目的ではありません。
事前にレクリエーションの目的や意図を説明し、最後に振り返りを行い、学んだことを発表してもらうなど、あくまでも研修の一貫として行うことが大事でしょう。
eラーニング(e-Learning)とは、「デジタルデバイスやインターネットを利用した学習形態」のことをいいます。例えば、スマートフォンのアプリを使った学習や、動画を視聴した学習などがあります。コロナ禍により集合型の研修を実施しにくくなり、eラーニングへの注目が集まりました。
研修の質を保ちやすく、学習状況を一括で管理できるのが良さです。また一度導入すれば集合型研修よりも運用コストがかかりにくいのはメリットでしょう。参加者にとっては、時間と場所を選ばずに学習ができ、繰り返し教材を確認できる良さがあります。
一方で、集中力が保ちにくく受け身になりやすい、参加者同士のコミュニケーションが生まれにくいなどのデメリットもあります。
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eラーニングとは?メリット・デメリットから企業研修での効果的な活用方法までわかりやすく解説!
現場での実務を通して新入社員のスキルアップを行うのがOJT研修です。小売業やアパレル業だと主に各店舗で行う研修がこちらのOJTに該当します。
新入社員の習熟度に合わせた指導ができ、実践に生かしやすいのが最大のメリットです。いつでも必要な場面で指導ができ、研修のためにシフトの調整などをする必要もありません。
一方で教える側の上司の負担が大きいのがデメリットです。そもそも指導できる人材が不足していたり、指導のための時間を割けなかったりといった難しさがあります。
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OJTとは?OJT実施時の注意点や必要な準備についてわかりやすく解説!
新人研修の目的や手法が分かったところで、新人研修の計画の立て方を見ていきましょう。研修の成功は、準備が8割。既に新人研修の仕組みがあり、実施している企業の場合は、自社の場合はどうか考えながらお読みください。
解説するにあたり、中村文子氏、ボブ・パイク氏の著書「研修デザインハンドブック」と前述した書籍「研修設計マニュアル: 人材育成のためのインストラクショナルデザイン」を参考にしました。どちらも良書なので、研修を開催する立場の方は、ご一読されることをおすすめします。
新規で研修計画を立てる場合も、前年度の研修を見直す場合も、必ずやりたいのが、研修の参加者である新入社員のスキルや適性の把握です。「イマドキの新入社員は何を考えているかわからない」という声を時折聞きますが、それは当たり前。1990年代後半から2012年頃までに生まれたZ世代は、インターネットやSNSが身近な環境で育った人たちです。
デジタルに強く、多様性を柔軟に受け入れられる良さを持っている一方で、失敗をしたくないという意識が強く、他人からの評価に敏感だと言われています。こうした世代的な特徴を知っておくと、どういった教育内容や教え方、声掛けが有効なのか参考になるでしょう。
ただしこちらは世代というくくりでの大まかな傾向であり、自社に入社した社員とは異なる可能性があります。面接の担当者に確認したり、新入社員へ入社前にアンケートで聞いたり、リアルな声を確認するのも大事です。
現場でどのような社員が求められているのか、新入社員研修で身に付けるべきスキルは何かを知るために、経営陣や現場社員へのヒアリングを実施します。現状の課題感もぜひご確認ください。
ヒアリングをしたうえで研修内容を作成すると、現場の協力が得やすくなるといった効果も期待できます。よい研修は、人事担当者だけでは行えません。現場でのフォローアップが必ず必要になってきますので、準備段階から連携をとるのがいいでしょう。
目指す形と現状のギャップを埋めるために行うのが研修です。新入社員の現状と現場の声をもとに、研修の目的とゴールを決めます。
「会社が求める成果を出すために課題になるのは何か」「必要な能力は何か」を書き出してみるといいでしょう。その中から、新入社員に身に付けてもらうべきことを絞っていきます。
研修の目的とゴールをいったん決めたら、「会社にとっての新人研修のメリットは何か」も言語化しておきます。RIO(投資対効果。研修の金銭的価値から研修費用の合計値を引き、研修費用の合計値で割ったもの)の視点から研修メリットを明確にしておくと、研修予算を確保しやすくなるでしょう。
次に、目的、ゴールを達成するために研修内容の詳細と研修手法を検討します。またこの段階で、研修後のフォローアップについても決めておくことが大事です。フォローアップは現場の社員の協力が必要になることも少なくないため、早めに決めておくとスムーズに進み、課題が出てきた際も対処しやすいでしょう。
例えばビジネスマナーの習得が一つの目的の場合。名刺交換の方法を講師がレクチャーした後に、役割を決めたロールプレイングや、実際の場面を想定し、企業を訪問して商談が始まるまでの一連の流れを組み合わせてやってみると良いなど、アイデアを出し合いましょう。
基本的な知識の習得は、事前にeラーニングでインプットしてもらい、研修当日はその知識をもとに自分たちで考える時間を作ったり、ディスカッションをしたりする時間にあてるのもひとつの方法です。
特に新人研修の場合は、社会人として基礎的なことを学ぶ場でもあり、一部の研修内容は外部に依頼するケースも多いです。外部研修と内部研修のメリット、デメリットは後述しますので、上手に使い分けるといいでしょう。
最後に予算なども考慮して、研修の期間および具体的なスケジュールを決めます。研修の5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を具体的かつ実行可能なレベルまで決めておきましょう。
この段階で研修を最終的にどう評価するかまで決めておけると、次年度に向けてよい流れを作れます。
ここからは、新人研修の具体的な内容例を見ていきましょう。よくある一般的な新人研修の例とユニークな内容の両方を紹介します。
新人研修の内容で代表的なものとしては、「自社理解」「ヒューマンスキル(対人関係能力)」「社会人としてのマインドセット」「基本的なビジネスマナー」「業界・職種に応じた専門知識・スキルの習得」があります。
自社理解
企業理念やビジョン、事業内容、商品やサービスの概要、会社の歩みなど、企業としてどのような価値観を持ち、何を目指しているのかを共有します。自社の理解を深めることが目的です。
研修を行うことで、新入社員の意欲が高まり、自身の役割を認識できるようになります。その結果、新入社員自身が組織の一員として働くうえでの想いを持てるようになり、ビジョンの醸成にも繋がります。
その他、人事・労務に関する申請方法、困ったことがあったときの相談先など、働くうえで必要になる情報の共有も必要です。
ヒューマンスキル(対人関係能力)
働くうえで土台となるスキルが「ヒューマンスキル(対人関係能力)」です。他者と円滑なコミュニケーションを可能とする能力のことで、良好な人間関係を構築するのに役立ちます。
具体的には、「ネゴシエーション」「傾聴」「リーダーシップ」「プレゼンテーション」「コーチング」「コミュニケーション」「ファシリテーション」の7つの要素から構成されています。
<社会人としてのマインドセット>
学生から社会人への意識変革を促すことで、社会人としてのマインドセットを行います。学生と社会人は何が違うのか、仕事への向き合い方、メンタルヘルス、モラル遵守など、内容は多岐に渡ります。
そして欠かせないのが「コンプライアンス理解」。個人情報保護、SNSの取り扱い、著作権などの権利関係、ハラスメントなどといった内容です。
基本的なビジネスマナー
名刺交換の仕方や電話対応、来客対応、敬語、ビジネス文書の作成方法など、基本的なビジネスマナーを学びます。顧客との信頼関係を高めるために必要不可欠なスキルですね。
業界・職種に応じた専門知識・スキルの習得
業界や職種に応じ、必要とされるスキルや知識を習得するのも研修の役割です。例えば、販売や営業系の職種であれば、ヒューマンスキルとして習うコミュニケーションやプレゼンテーションなどについてより深く学んだり、テレアポについて学んだりします。
新人研修はインプット中心になりやすいため、途中で集中力が途切れたり、飽きがきたりしがちです。そこで役立つのがユニークな内容の研修。研修に変化を与えられ、参加者の集中力が途切れにくくなります。また研修内容によってはチームワークを学べたり、新たな気づきがあったりプラスの効果が期待できます。
例えば、自衛隊の体験入隊を新人研修に取り入れている企業があります。東亜非破壊検査株式会社では、「ルール・規律の遵守の育成」「基本教練を通じて、節度がある行動や挨拶、返事をしっかりできるようになる」「組織の一員として連帯性や団体行動の必要や重要性を養う」「自ら積極的に動くことと併せて責任感を身に付ける」といったことを目的に参加しています(参考:東亜非破壊検査株式会社の新着情報)。
他には、株式会社ZERO TO ONEが実施しているのは「漫才研修」。プロから直接漫才について、笑いの作り方について指導を受け、ペアで一日で漫才をつくり、役員陣へネタを披露するのだそうです。「無理だ」と自分で限界をつくらずに、成功体験を通じて殻を破るきっかけにしてもらうのが研修の意図です。
研修は、誰が講師を勤めるかで「社内研修」と「社外研修」の2つに分類できます。
自社で新人研修を行う「社内研修」は、社風や経営理念、ビジョンに沿い、自社にあったコンテンツを企画しやすいのがメリットです。また、社員へのフィードバックがしやすかったり、開催時期を自由に設定できるのも良さでしょう。一方で、講師をする人材への負担が大きくなるのがデメリットです。講師以外にも人事部での研修の用意が大変だったり、研修内容がマンネリ化しがちといった面もあります。
その道のプロフェッショナルに講師を依頼する「社外研修」は、社内にないスキルや思考方法を学べたり、準備の負担が減らせたりするのがメリットです。また他社の社員と一緒に学べる研修の場合は、交流する機会が得られるのも良い経験になります。ただし、時として人事部の意図とは違う形になってしまうことがあります。そして期間や時間、場所を自由に設定できないのもデメリットと言えるでしょう。
社内研修 |
社外研修 |
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メリット |
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デメリット |
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社内研修と社外研修は、どちらも一長一短がありますので、内容や状況に合わせてうまく組み合わせるのが良いでしょう。
どちらにするか悩むようなケースの場合は、自社で教材を作成しeラーニング形式にするというのも、ひとつの選択肢です。自社の社風に合う内容の教材を作成できますし、一度準備すれば、次回以降の準備の負担はかなり軽減できます。
eラーニングについては、以下の記事をあわせてお読みください。
■参考記事はこちら
eラーニングとは?メリット・デメリットから企業研修での効果的な活用方法までわかりやすく解説!
次に新人研修をうまく行うためのポイントを3つご紹介します。
詳しく見ていきましょう。
学生のときは、教えられたことに真面目に取り組めば、テストで良い成績をとれ評価されました。でも社会人は違いますね。分からないことがあれば自分で学んだり、先輩に質問したりして主体的に知識やスキルを身に付けていく必要があります。
この点を新人研修の中で参加者に伝えるのはもちろんのこと、「今、習ったことを実際にやってみたい」「別のケースについても自分で考えてみよう」「明日の研修では積極的に手を挙げられるように、予習しておこう」など、自発的に行動したくなるような内容にすることも大切です。
新入社員が最も関心があるのは、少し先の自分の働く姿ですので、1年上の先輩の事例を交えながら紹介するのもいいでしょう。
例えば、名刺交換の目的とやり方を教えるだけだと、早く実際にやってみたいとはなりにくいですが、「同期で一番の成績をあげている先輩は、名刺交換の際の自己紹介を重視していて、そこから互いの共通点を素早く見つけて、打ち解けるきっかけにしていると言ってていましたよ」と伝えるとどうでしょうか?自分はどんな自己紹介にするか真剣に考えますし、自分も早く名刺交換をして、実際に試してみたくなりますよね。
参加者の印象に残りやすいのがオープニングとクロージングです。オープニングは、参加者が研修に集中できるようにスイッチを入れ、学ぶ意欲を高める役割があります。そしてクロージングは、研修での学びを実践に移すための時間です。
新人研修を成功させたいと考えるなら、このオープニングとクロージングの組み立てに細心の注意を払いましょう。
オープニングは叱咤激励のようなネガティブな方向で始まると、研修が苦痛で嫌なことというマイナスなものになり、やらされ感が高まります。ポジティブな方向から始まる形がいいでしょう。「研修デザインハンドブック」ではオープニングデザインのポイントとして以下の6つが紹介されています。より具体的に知りたい方は、ぜひ本書をお読みください。
クロージングは、「もっと勉強しなくてはいけない」とばかりに難しい問題に取り組んでもらうなどは逆効果です。本書で紹介されている以下の3つのポイントに沿って考えることをおすすめします。
新人研修は、入社時だけでなくフォローアップを行える体制を作ることが大切です。最初の研修時に「3カ月後に、目標達成状況やその過程をプレゼンテーションしてもらう」と伝えると、どうでしょうか。参加者の皆さんは、成果を出せるように3カ月間努力しますね。
また実際の業務を経験することで、不安や困りごとが出てきたり、自分の課題が何か明確になってきたりするので、それを共有し課題解決の場にもなります。仲間意識が生まれ、課題が解決すると新入社員のモチベーションアップ、離職防止にもつながります。
フォローアップの手法は、参加者が再度集合して行う成果発表会や、発展的な内容を学ぶ機会を設ける、キャリアプランの作成など、いくつかあります。
そして参加者が所属する現場で学びを活かせるように、上司を巻き込める仕組み作りも大切です。
最後に新人研修を行う上で、やってはいけない注意点を3つご紹介します。
詳しく見ていきましょう。
研修の目的や意義、最終目標などの全体像を伝えずに、とりあえずやり方だけ教えるのはNGです。特に現場での対応となるOJT研修は、指導する側が忙しいことも多く作業手順だけ教えて終わりとなりやすい傾向があります。
仕事の全体像を教えないと、新入社員は仕事のゴールが見えず、自分で工夫したり、考えたりすることをしなくなります。つまり指示待ち人間になってしまうのです。教える側からすると「質問してくれ」という気持にもなるかもしれませんが、忙しそうにしている上司に、新入社員が質問するのは勇気がいるもの。やはり最初の段階でしっかりと時間をとり、全体像を伝えたうえで、一つずつ作業手順を覚えてもらうことが重要です。
早く成長してもらいたいと願えば願うほど、指導する側はどうしてもできていない部分に目がいきがちで、失敗やミスばかり指摘してしまいます。一方で、新入社員にとっては、できない部分ばかり指摘されると自信を無くし、成長の妨げになってしまいます。
失敗やミスなどを指摘する際は、改善に向けたフォローも一緒に行いましょう。できるだけ新入社員自身に考えてもらい、努力する姿や良い行動などは積極的に褒めながら寄り添います。
もちろん研修の中で良い点や成長を感じた部分なども、積極的に本人へ伝えるようにするといいでしょう。
通常業務に加えて、新入社員の指導となると忙しくて、新入社員への対応は後回しになってしまうこともあるかもしれませんが、これはできる限り避けましょう。対応が遅れるときは、通常の業務と同様に、遅れる旨を伝えたいですね。
「この忙しそうな様子を見ていたら新入社員でも察してくれるだろう」と思うかもしれませんが、新入社員から見ると約束や締切にルーズでも問題ないという認識になってしまう可能性があります。そして、「明日までにフィードバックを送ると言われたのに、届かない」といったことが続くと、新入社員のモチベーションが下がります。
弊社では、新人研修・OJTの際の習得度合いを確認するためのチェックシートや、人材育成計画のテンプレートを配布しています。お悩みにあわせて、ぜひ活用してください。
新人研修の代表的な内容は、「自社理解」「ヒューマンスキル(対人関係能力)」「社会人としてのマインドセット」「基本的なビジネスマナー」「業界・職種に応じた専門知識・スキルの習得」があります。そして、それを教える手法について当記事では7つ紹介しました。
新人研修の全てを自社で行おうとすると、準備の負担、講師の負担が大きくなるため、外部研修やeラーニングなども利用しつつ、研修を組み立てていくのがいいでしょう。