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働き方改革の具体例は?成功する取り組みを解説

作成者: 『shouin+ブログ』マーケティング担当|Aug 3, 2026, 9:00:00 AM

「育児休業の制度はあるのに、なぜか誰も使わない」「フレックスタイムを導入したものの、形だけになっている」。そんな制度運用の難しさを感じている人事・総務担当者の方は多いのではないでしょうか。働き方改革は、制度を用意するだけでは成果につながりません。

記事では、育児休業・短時間勤務・フレックスタイム・テレワークという4つの代表的な施策について、実際に成果を上げている企業の取り組みを交えながら、何から手をつければよいのかを具体的に解説していきます。

 

働き方改革で企業が変わることは?

働き方改革の3本柱は、①長時間労働の是正、②非正規雇用の格差改善、③多様な働き方の実現です。

働き方改革が求められる背景

「求人を出しても応募が来ない」「せっかく採用した人材がすぐに辞めてしまう」「知らないうちに競合他社に人材を奪われている」。採用や定着の現場で、こうした悩みを抱える人事担当者は少なくありません。

背景にあるのは、少子高齢化による労働力人口の減少です。生産年齢人口は1995年をピークに減少が続いており、今後さらに減っていく見通しです。2020年の約7,500万人から、2040年には約6,200万人まで減少することが見込まれています。

また、共働き世帯の増加により仕事をしながら家事や育児、介護を担う人が増え、時間や場所に縛られない働き方が求められるようになっています。従来型の画一的な労働環境のままでは、優秀な人材の採用も定着も難しくなっているのです。

■参考:労働白書 令和7年度 厚生労働省

 

働き方改革で得られるメリット

企業が働き方改革に取り組むことで、どのような変化が生まれるのでしょうか。

企業側のメリット

  1. 生産性向上による業績改善

  2. 人材の定着率向上と採用力の強化

  3. 企業イメージ・ブランド力の向上

従業員側のメリット

  1. ワークライフバランスの実現

  2. 仕事への満足度・モチベーション向上

  3. 心身の健康維持と長期的なキャリア継続

どちらか一方が得をするのではなく、企業と従業員が互いにメリットを享受できる点が、働き方改革の本質的な価値です。

 

育児休業の導入事例

「育児休業の制度はあるが、実際に取れない」という声は少なくありません。制度の形骸化を防ぐためには、法定水準を超えた制度設計と、取得を促す職場文化の醸成が不可欠です。

1.青森ダイハツモータースの取り組み

高い水準で子育てサポートに取り組む企業が受けられるプラチナくるみん認定企業である青森ダイハツモータースは、育児休業制度が十分に活用されていないという課題から、子が1歳になるまで男女従業員が年2日の有給休暇を取得できる短期間育児休業制度を導入しました。これまでに男性従業員33人がこの制度を利用しており、取得率は100%です。短期間育児休業制度の導入により、育児休業からの復職率は100%を維持しています。

■参考:「株式会社青森ダイハツモータース」働き方改革特設サイト|厚生労働省

 

2.コスモプラス株式会社の取り組み

埼玉県と千葉県で計16店舗の調剤薬局を展開するコスモプラス株式会社は、社員の7割が女性です。同社は、育児短時間勤務制度について法律上は子が3歳に達するまでのところを、小学校入学までに拡大しています。育児休業の取得率は毎年100%を維持し、2015年には厚生労働大臣からくるみん認定も受けました。カバー体制の充実により、年次有給休暇の年間取得率はほぼ100%を維持し、月の時間外労働時間の平均は2.3時間に抑えられています。

■参考:「コスモプラス株式会社」働き方改革特設サイト|厚生労働省

 

3.プロアシストの取り組み

大阪のソフトウェア開発会社プロアシストは、生駒京子社長のもと、産休・育休の取得を戦略的に促進し、会社を大家族に見立てたユニークな経営で一体感をつくり出しています。

育休取得後の時短勤務などの子育て支援規則は制度が柔軟であるのも特徴です。例えば、以下の精度などがあります。 

  • 子供の保育園への迎えに合わせて、早めの出勤、早めの退社と働く時間帯をずらすこともできる。

  • 時短勤務制度は子供が小学校に上がってからも、子どもや家庭の状態を見ながら、特例的に延長することもできる

このような経営トップ主導での文化醸成が奏功し、同社の育休復職率は100%を達成しています。 

■参考:「株式会社プロアシスト」働き方改革特設サイト|厚生労働省

 

4.ユーメディアの取り組み

宮城県仙台市の印刷製造業を営む株式会社ユーメディアは、育児休業を子が2歳になる月末まで取得可能にし、短時間勤務などの子育て勤務は小学校就学まで利用できるよう法定を上回る制度を整備しました。

その結果、女性の育児休業取得率は100%となり、対象となった社員全員が短時間勤務で職場に復帰しました。結婚や出産で辞める女性が減り、女性の平均勤続年数は4年から9.4年に伸びています。

■参考:「株式会社ユーメディア」働き方改革特設サイト|厚生労働省

 

5.株式会社メルカリの取り組み

フリマアプリを運営する株式会社メルカリは、2016年2月の創業3周年に合わせ、副業推奨やフレックス制度に続く形で、出産・育児など人生の転機を迎える社員への支援を拡充する新人事制度「merci box」を導入しました。

産休・育休期間中の給与を会社が100%保障する仕組みで、女性は産前10週と産後約6か月、男性は産後8週間分の給与が対象です。山田進太郎社長は、大企業に比べて不安定と思われがちなスタートアップでも、安心して長く働いてもらいたいという思いから制度を導入したと話しています。

■参考:「メルカリ、新人事制度「merci box(メルシーボックス)」導入のお知らせ -産休・育休あわせて約8ヶ月分の給与を100%保障-」株式会社メルカリ

 

短時間勤務制度の運用

「短時間勤務の社員がいると業務が回らない」という不安を持つ管理職は多いものです。しかし適切な設計と運用体制があれば、組織全体のパフォーマンスを保ちながら多様な働き方を実現できます。 

1.アシザワ・ファインテックの取り組み

微粉砕・分散機の専門メーカーのアシザワ・ファインテック株式会社は、残業時間削減と年次有給休暇の取得には特に力を入れています。

子育て中や家族に要介護者のいる社員に対し、最短で週21時間勤務を認める「生活サポート短時間勤務」制度を設けています。週3日勤務や、始業・終業時間の繰り下げ、繰り上げなど柔軟に対応しています。

また、年次有給休暇は2016年度から1時間単位で取得できるようにし、育児休業からの復職者が時間刻みで使えるよう改正しています。 

■参考:「株式会社アシザワ・ファインテック」働き方改革特設サイト|厚生労働省

 

2.株式会社弘法の取り組み

企業へのOA事務機器の導入・保守を行う株式会社弘法は、法定で3歳までとされる制度を拡充し、小学4年生までの子どもを持つ従業員向けに育児短時間勤務制度を導入しています。半日・1時間単位で年次有給休暇を取得できる制度も設け、子どもの体調不良など家庭内のイレギュラーに対応できる体制を整えました。こうした取り組みが評価され、広島県働き方改革実践企業の認定も受けています。

この他にも、在宅ワークや家族の介護を担う従業員を対象とした、介護短時間勤務制度などを充実させて、家庭の事情に合わせた働き方をサポートしています。

■参考:「株式会社弘法」働き方改革特設サイト|厚生労働省

 

3.カワトT.P.C.の取り組み

プレハブ配管システムのトップメーカーの株式会社カワトT.P.C.は、本人の希望により正社員からパートタイマー、パートタイマーから正社員へと変更できる雇用形態変更制度を導入し、働く意欲のある従業員がやむなく離職することがなくなりました。

法定では子が1歳までの育児休業期間を3歳まで取得可能にし、育休後は短時間勤務も可能で、2021年からは1時間単位の年次有給休暇制度も導入しています。1時間単位の中抜けもできるようになり、子育て中の女性従業員だけでなく、男性従業員にとっても時間を有効に使える制度が実施されています。

業務標準化を伴う運用により、出産・育児を理由とした離職の抑制につながっています。 

■参考:「株式会社 カワトT.P.C.」働き方改革特設サイト|厚生労働省

 

4.株式会社ランクアップの取り組み

化粧品開発を手がける株式会社ランクアップは、産休取得者第一号だった岩崎社長自身の経験から、子育て中の社員が無理なく働ける制度を整えてきました。産休後の職場への復帰率が100%で、多くの社員が出産・育児をしながらキャリアも積んでいます。

子どもが小学3年生になるまで1日6時間の時短勤務を認めるほか、発熱など急なトラブルにも対応できるよう1時間単位で使える時間休を設けています。時短勤務者も含め全社員が同じ評価基準で業務を担うことで、フルタイム社員との負担の偏りも軽減されています。

また、「産休チャット」とよばれるシステムを通して、産休中にも人事部から社内の人事異動などの重要な情報が共有され、孤立感を防ぐ対策が取られています。 

■参考:「株式会社ランクアップ」働き方改革特設サイト|厚生労働省

 

フレックスタイム制度の活用

「コアタイムがないと管理できない」という不安から導入をためらう企業も多いです。しかしフレックスタイム制は、適切に設計すれば生産性向上と従業員満足度の両立を実現できます。

1.株式会社ソフトバンクの取り組み

通信大手のソフトバンクは、2017年4月にコアタイムを設けないスーパーフレックスタイム制を全社導入しました。社員が業務状況に応じて始業・終業時刻を日単位で調整できるようにすることで、組織や個人が最も効率的な時間帯に業務を行い、生産性と成果を最大化することを狙いとしています。

実際に、共働きで子どもの送り迎えに合わせたオフピーク通勤をする社員や、休日にセミナー参加の時間を確保するために制度を活用する社員もおり、柔軟な働き方が定着しています。

こうした取り組みが評価され、同社は「日経Smart Work大賞2026」の大賞を受賞しました。 

■参考:SoftBank流 働き方改革」新卒採用|ソフトバンク

 

2.株式会社ときわの取り組み

ブライダル事業を展開する株式会社ときわは、勤務体系の多様化を受けて2010年からコアタイムなしの完全フレックスタイム制を導入しました。従来の勤務時間は、顧客の都合によっては残業が発生する可能性が高かったが、勤務時間を固定せず来客の時間帯に合わせる運用とし、授業参観など学校行事などで中抜けもできる柔軟な体制を整えました。効果は数字にも表れ、月平均残業時間は2014年から2019年にかけて約20%減少し20.8時間となりました。

■参考:株式会社ときわ」働き方改革特設サイト|厚生労働省

 

テレワークの実施

「テレワークは一部の職種だけ」と思っていると、活用の幅が狭くなります。ICTの活用とセキュリティ対策を前提に設計することで、さまざまな業種でテレワーク導入の恩恵を得られます。

1.ブラザー工業の取り組み

精密機器メーカーのブラザー工業は、グローバル憲章に基づき、自律的な働き方の中で多様な人財が能力を発揮できる環境づくりを経営方針として掲げています。

2015年度に育児・介護中の社員向けに在宅勤務制度を導入し、コロナ禍を機に対象を拡大したことで在宅勤務の定着率が高まりました。あわせて国際基準規格の業務プロセス図表記法であるBPMNを活用した業務標準化やチャットツールでの報告効率化を進め、AIを活用した社内教育も強化しています。2021年度には業務報告の自動化だけで全社合計年間約12,000時間の労働時間削減を実現しています。

■参考:働きやすい職場環境」ブラザー工業株式会社

 

2.株式会社i-plugの取り組み

人材サービスを手がける株式会社i-plugは、中野CEOのもと2020年9月から、コアタイムを設けない「スーパーフレックス制度」と、勤務場所を自分で選べる「フリーロケーション制度」からなる「あいはた」制度を導入しました。育休中に週1日だけ出勤することも可能で、育休から復帰した社員の時短勤務は年齢を問わず利用できます。このような柔軟な勤務体系が奏功し、女性社員の産休育休取得率、職場復帰率はいずれも100%となっています。

■参考:株式会社i-plug」働き方改革特設サイト|厚生労働省

 

長時間労働の削減

残業を禁止するだけでは、問題の根本解決になりません。業務プロセス自体を見直し、「なくせる仕事」「標準化できる仕事」「自動化できる仕事」を整理することが先決です。

業務プロセス見直しの例

  • 会議の削減・短縮(アジェンダの事前共有、参加者の絞り込み)

  • 業務の標準化とマニュアル整備による属人化解消

  • 年次有給休暇の計画的取得の促進

  • 定時退社日・ノー残業デーの設定と定着

 

働きやすい会社作り

成功する働き方改革には、プロジェクトチームの任命と経営層のコミットメントが不可欠です。制度を作るだけでなく、管理職への啓蒙・評価制度の整備・定期的な見直しをセットで行うことで、改革が組織文化として定着します。

「制度はあるが使われない」状況を防ぐためには、利用者の声を継続的に収集し、改善し続ける姿勢が重要です。

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まとめ

働き方改革は、育児休業・短時間勤務・フレックスタイム・テレワークなど多様な施策を組み合わせて推進するものです。成功の鍵は、制度設計だけでなく、管理職の理解と現場への継続的な浸透にあります。まずは自社の課題を一つ特定し、小さな施策から着手することが第一歩です。