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「業務負担が限界…」と感じる現場に共通する原因と、今日から変えられる解決策6選

作成者: 『shouin+ブログ』マーケティング担当|Aug 19, 2025 12:00:00 AM

その「業務負担」、実は仕組みの問題かもしれません

ミスが減らない。残業が減らない。そのような問題を抱えている企業は少なくありません。「いまは人手不足だから仕方がない」と諦めてしまったり、「要領が悪い自分のせいだ」「自分の教え方が悪いのではないか」と悩んだりすることもあるでしょう。

しかし、実は「業務の仕組み」に原因があるかもしれません。互いに協力し合い、効率よく業務を遂行するシステムが整っていないからこそ、業務負担に偏りが出るのです。

いま問われているのは”がんばり”ではなく”業務設計”です。本記事にて、業務負担が大きくなる原因をつきとめ、偏りのない効率的な業務設計の実現を目指しましょう。

 

なぜ業務負担はこうも大きくなるのか?

労働人口の減少、人件費削減などの影響を受け、従業員1人あたりの業務負担は大きくなる一方。一人二役、三役は当たり前となり、「従業員だけでは手が回らないから」と管理職がマネジメントとリーダー、プレイヤーの3つの役割を担う……なんて例も珍しくありません。

業務や働き方は複雑化、多様化し続け、従業員には柔軟かつ主体的に行動することが求められています。加えて、社会の変化に適応するための戦略の立案・実行、そして継続的な学習・育成も必要です。つまり、現代は少ない人数で多くのミッションを達成しなければならない状況にあるのです。

また、「ウェルビーイング」や「メンタルヘルス」といったワードが至る所で飛び交うように、近年は従業員の健康が重視される世の中へと変わりつつあります。しかし実際のところ、組織に根付いた文化を拭いきれていないというのが事実です。がんばる人が評価され、楽をしているように見える人は白い目で見られる……そのような概念がいまだに残っています。

企業を取り巻く環境の変化と「仕組み」「価値観」のズレが、業務負担となって影響しているのです。改善するには、まず「構造的要因」と「心理的要因」の2つをよく理解することが大切だと言えます。

 

業務負担の構造的要因

それでは、業務負担が大きくなる要因を詳しく見ていきましょう。まずは、組織の仕組みに関する「構造的要因」について解説していきます。

構造的要因1:業務の属人化

業務の属人化とは、特定の従業員以外、誰もその業務を遂行できない状態のことです。属人化が起きると、チームで協力して業務を進めることができなくなります。担当者がどれほど多忙でも、その場を離れなくてはならないときでも、代わりに行う人がいないため、1人で多くの仕事を抱えることとなります。

代わりを育てようにも、担当者は既に多くのタスクを抱えており、教える時間を確保できません。その結果、業務負担に偏りが生じるのです。

 

構造的要因2:非効率的な業務フロー

近年の経済環境の変化に適応するには、ビジョン形成や従業員育成といった組織の「未来」に向けた取り組みが必要です。しかし、日々の業務はそれだけではありません。組織の運営に欠かせない数々の作業があります。

そのフローにムダがあると、業務負担は多大なものとなります。紙やExcelを使ったデータの分散管理や、複雑なコミュニケーションシステムなど、業務フローが非効率的だと「本来の貢献価値に使うべき時間が処理業務に食われる」といった状況に陥ります。

かといって、組織を存続させるための取り組みをおざなりにするわけにもいきません。処理業務に追われるなか、無理やり新しい取り組みを始めようとするため、結果的に大きな業務負担を抱えることとなるのです。

 

構造的要因3:不明確な役割と責任の所在

効率よく業務を遂行するため、業務は振り分けられるものです。しかし、細かい作業までは担当が決まっていないことが多いでしょう。

「誰の責任でもないから」と放置するわけにもいかないので、気づいた人が行うことになります。結果、業務が”気が利く人”に集中してしまうのです。

そのような状況が続けば、不公平だと感じるのも当然です。指導で「気づきにくい人」を「気づける人」に変えるのは困難なため”仕組み”を変える必要があると言えるでしょう。

 

業務負担の心理的要因

業務負担が大きくなるもうひとつの要因「心理的要因」とは、具体的にどういったものなのでしょうか。代表的な3つの例を見ていきましょう。

心理的要因1:「自分がやった方が早い」という思い込み

ベテラン従業員や器用な従業員は、ほかの従業員に仕事を任せることを躊躇いがちです。「自分がやった方が早い」「周りをサポートする余裕なんてない」などといった考えから、任せるより自分でやることを選んでしまうのです。

その結果、1人が多くの業務を抱えることになります。分担する方が早いはずが、思い込みが原因で効率が下がり、業務負担も偏るという好ましくない状況に陥るでしょう。

 

心理的要因2:「迷惑をかけたくない」気遣い文化

「仕事を頼もうとしたら嫌な顔をされた」「人に頼らず自分でやりなさいと注意された」などのような経験は、皆で助け合おうとする文化を壊します。頼まれたら断れないが、自分から人に頼るのは苦手という人は少なくありません。

そのような経験がないとしても、職場の空気感に流されてしまうこともあります。困っても自分でなんとかする、限界まで自分でやる、というような文化が根付いている限り、業務負担の偏りが改善されることはないでしょう。

 

心理的要因3:忙しい人が評価される”がんばり文化”

労働時間の削減、有給休暇取得率の向上と、心身の健康維持を優先するのが現代における理想の働き方です。

しかし、実際は”がんばり文化”がまだまだ残っているという職場も多いのではないでしょうか。表彰されることはないにしろ、「あの人はいつもがんばっているから」と周囲から好印象を持たれることが多々あります。自分が忙しいことをモチベーションにしている人もいるでしょう。

反対に、余裕のある働き方はマイナスイメージを持たれることさえあります。上司から「君は暇そうだから」と仕事を増やされるのではないかと不安を抱く人もいます。

このような”がんばり文化”が原因で、無駄な仕事を多く抱えている可能性があります。忙しいか忙しくないかではなく、生産性が高いかどうかで物事を考えるよう、職場の価値観を変えていく必要があるでしょう。

 

放置するとどうなる?業務負担が引き起こす悪循環の例

少しの負担は仕方がない……と見過ごしていると、思わぬトラブルや損失を招く恐れがあります。負のループに陥ると改善するのが困難になるため、早めの対処が重要です。

具体的にどのようなことが起こり得るのか、業務負担が引き起こす悪循環の例を見てみましょう。

 

悪循環例1:「負担の偏り→疲弊→退職・ミス→再び負担集中」

業務負担の偏りは、仕事を多く抱える従業員を疲弊させます。心身ともに疲れて集中力が低下し、ミスが増える可能性が高いです。ミスの対処に追われ、さらに負担が増加するでしょう。

さらには体調を崩し、休職・退職する恐れもあります。健康に問題が無くとも、負担の偏りに「不公平だ」と感じて離職する人もいるでしょう。

休職・退職の穴をすぐに埋められるほど、いまは労働人口が多くありません。残された従業員が肩代わりするしかなく、結果、業務負担がさらに大きくなります。

 

悪循環例2:「現場のモチベーションと品質が同時に崩れる」

業務負担の偏りは、従業員の仕事に対するモチベーションの低下に繋がります。同じ環境にいながら仕事量に差があれば、不公平を感じるのは当然です。そのような待遇を放置する組織に嫌悪感を抱く人もいるでしょう。

また、「忙しすぎてプライベートの時間を十分に楽しめない」と不満をもつ可能性もあります。ワークライフバランスの乱れは、やる気を低下させる原因のひとつです。

モチベーションが下がると、業務の質も下がるもの。最低限の仕事しかしない従業員、忙しいから仕方がないと手を抜く従業員が増えてもおかしくはありません。

そして、業務の質の低下は、サービスクオリティの低下を招きます。最終的には顧客満足度の低下、業績悪化、従業員への待遇悪化、さらなるモチベーションの低下……と、次々に負の連鎖が続くことでしょう。

 

実は”放置されがち”な業務負担とは?

業務負担の軽減に取り組んだものの、あまり効果を実感できなかったという経験はないでしょうか。

それは「見落とし」「思い込み」によるものかもしれません。負担が大きいことに気づかない業務、改善するのは無理だと思い込みがちな業務は放置されやすいです。

取り組みが無駄になることのないよう、どのような業務負担が”放置されがち”なのかをチェックしておきましょう。

業務負担1:人材育成の企画・サポート業務

組織の成長に欠かせない「人材育成」。最近ではデジタルツールを活用するなど、人材育成の効率化も積極的に進められています。ところが、それらを実現するための「準備」や「サポート」にかかる負担は見落としがちです。

効果的かつ効率的な教育の実現には、研修の企画や教育体制の見直し、研修後のアフターフォローの振り返りなど、入念な準備とサポートが欠かせません。人事部や教育担当者の能力を高めるための学習も必要です。

多くのタスクがあるにもかかわらず、付帯業務の負担は頭から抜けがちです。人材育成の負担を減らすには、その点の見直しも必要でしょう。

 

業務負担2:感情労働・メンタルケア

感情は目に見えないものなので、負担がかかっていても放置されがちです。本人でさえ気づかないこともあります。

サービス業、小売業、飲食業での接客など、人と接する業務は精神的な負担がかかりやすいため注意が必要です。介護や医療現場でもよく問題として挙げられています。

また、従業員のメンタルケアを行う管理職も、心の負担を抱えやすいです。我慢するのが当たり前にならないよう、感情への負担にも目を向けましょう。

 

業務負担3:組織・個人のつなぎ役

複数の部署、複数の従業員で協力して何かに取り組む際は「つなぎ役」が欠かせません。会社規模で行われるプロジェクトの調整役や、現場と経営陣を繋ぐ管理職など、情報の橋渡し役には大きな負担がかかります。

情報を正しく受け取り、正しく伝えるのは簡単ではありません。ときには、異なる意見の板挟みになることもあります。時間もルールもなく、突発的に発生する業務で、かつ大変さが周囲に伝わりにくいため、負担を見落としやすいと考えられます。

 

今日からできる!業務負担を軽減する6つの打ち手

業務負担を改善する方法は多岐に渡ります。何から手をつければ良いか戸惑うこともあるでしょう。

そこで6つの打ち手をご紹介します。すぐに取り組める方法もあるので、ぜひ参考にしてみてください。

方法1:業務の棚卸しと”偏り”の見える化

業務負担は、なぜ気づかぬうちに大きくなるのか。それは、目に見えるものではないからです。

そのため、まずは「見える化」することが先決だと考えられます。業務の棚卸しを行い、負担の偏りを可視化することで課題が見えてきます。

業務負担を可視化する際の指標とは、例えば以下のような項目です。

  • 業務にかかる時間
  • 1人あたりの作業の数
  • 業務の担当者
  • 業務を実施するタイミング
  • 業務の重要度 など

これらを書き出し、負担がかかっている部分とその原因を明らかにしましょう。

 

方法2:業務フローの標準化・マニュアル化

属人化は業務負担が偏る原因となることから、対策を打つべきと考えられます。その方法として挙げられるのが、業務フローの「標準化」「マニュアル化」です。

マニュアルを作成し、業務の取り組み方や注意点などの情報を共有することで、誰でも同じように取り組めるようになります。研修を実施し、ノウハウを伝授すればクオリティの標準化も叶うでしょう。

また、マニュアルを作成して可視化する過程で、業務フローのムダが浮き彫りになります。偏りの解消だけでなく、効率化による負担軽減も期待できるでしょう。

業務マニュアルの作成には、下記の記事が参考になります。ぜひご覧ください。

◾️参考記事はこちら

業務マニュアルにフローチャートを活用する意味とは?わかりやすい業務フローの作り方について解説!

 

方法3:ナレッジの一元管理

属人化は解消すべきとはいえ、すべての業務を毎日ローテーションで行うわけにもいきません。担当者を決めて、集中して取り組む方が効率的です。

担当者は必要。でも、担当者の不在時に代わりに業務を遂行できる人材が欲しい。そのジレンマを解消してくれるのが「ナレッジの共有」です。社内でよくある質問やノウハウを、LMS、社内wikiなどを使って共有することです。

業務に必要な情報を一元管理することで、臨時で担当になった従業員もスムーズに業務に取り組めるようになります。わからないことがあっても担当者に連絡することなく、自己解決できます。双方の負担が減るうえ、業務全体の効率も上がるでしょう。

 

方法4:育成のテンプレート化・仕組み化

人材育成における課題としてよくあがる「指導する時間がない」「教える余裕がない」という問題。その負担の軽減には、育成のテンプレート化・仕組み化が有効です。

教育内容や流れ、評価観点などを記したマニュアルを作成することで、スムーズに教育を進めることができます。指導に悩む時間が減り、教育担当者の負担が軽減されるでしょう。

また、後任者の育成に役立つ「業務引継書」の作成もおすすめです。引継書を見れば、業務に必要な情報を確認できるという状態にしておくことで、引継ぎ後のやり取りを減らせます。

なお、引継書をテンプレート化しておくと、書き方に迷わずに済みます。伝え漏れの防止にもなるので、ぜひ下記の記事にて紹介されているテンプレートを活用してみてください。

◾️参考記事はこちら

業務引継書とは?手順やポイント、引き継ぎマニュアルの作り方までわかりやすく解説!(テンプレート付)

 

方法5:定型業務の自動化・SaaS化

負担軽減対策として、業務の自動化は欠かせません。デジタルツールを活用することで、手作業による負担を減らすことができます。ヒューマンエラーが起こることもなくなり、ミスの対処にかかっていた時間と労力を削減できるでしょう。

SaaSを活用すれば、コミュニケーションが円滑化され、複数人で協力して業務を遂行することが可能に。誰もがいつでもどこでもアクセスでき、移動や連絡、スケジュール調整などの手間を省けます。データ管理、情報共有の負担が減るのは大きなメリットです。

 

方法6:進捗・成果の”数値化”による客観視

無駄な労力を消費してしまうのは、状況を的確に把握できていないからだと考えられます。プロジェクトが成功しているのか、何が原因で上手くいっていないのかがわからないため、”がんばり”で乗り切ろうとしてしまうのです。

客観的な視点を持つには、明確な数値が必要です。業務の生産性や人材育成の進捗を数値化することで、冷静な判断を下すことができます。「仕事量に見合う成果が得られていない」とわかれば、無駄な労力を消費せずに済みます。

また、成果が明確になることで、従業員のモチベーションも上がります。精神的な負担の軽減、それによる業務効率化と良い循環が生まれるでしょう。

 

shouin+で「偏り・非効率・曖昧さ」を解消した事例紹介

業務負担の軽減に成功した企業は、具体的にどのような取り組みを行ったのでしょうか。shouin+を活用した成功事例を3つご紹介します。

事例1:教育担当者不足を解決し、OJT時間を50%削減!

飲食事業、食を中心に生まれるホスピタリティの提案・提供事業を営む「株式会社きちりホールディングス」。2,000人超えの従業員を抱える当社は、業務クオリティのばらつき、従業員教育のばらつきに悩んでいました。

そこでshouin+を導入し、動画マニュアルを活用したところ、教育内容の統一化に成功。教え方のムラやコミュニケーションエラーがなくなり、正しい知識を正確に伝えられるようになりました。

従業員が各自動画で学ぶようになったことで、教育担当者が説明する負担も激減し、OJT時間はなんと50%も削減されたとのこと。従業員からも「何度も見直せる安心感がある」と好評で、双方にとって良い効果がもたらされたそうです。

◾️shouin+導入事例

株式会社きちりホールディングス | 教育担当者不足を解決し、OJT時間を50%削減!

 

事例2:5社統合で従業員数が約2万人に。LMSを活用して、オペレーションの平準化と学習状況を可視化

ホームセンター「DCM」を全国に展開する「DCM株式会社」。当社は以前、紙マニュアルとOJT、集合研修の形式で人材育成を行っていました。しかし、会社統合で従業員数が2万人を超えたこと、店舗数が全国へと広がったこと、コロナ禍で集合研修の実施が難しくなったことをきっかけに、従来のやり方を見直す運びとなりました。

新人研修や、全従業員向けの社内研修などにshouin+を導入し、動画を使った研修形式へとシフト。育成フローもテンプレート化し、教育担当者の負担軽減およびオペレーションの平準化を実現しました。

また、チェックテストや日報、研修後のアンケートなども実施。育成の進捗や成果を可視化できるshouin+のメリットを活かし、効率的かつ効果的な人材育成を実現しています。

◾️shouin+導入事例

DCM株式会社 | 5社統合で従業員数が約2万人に。LMSを活用して、オペレーションの平準化と学習状況を可視化

 

事例3:マニュアル電子化で印刷コストと研修時間を大幅削減し、現場の業務効率化を実現!

全国に映画館を構える「株式会社松竹マルチプレックスシアターズ」。当社は以前、入社時のオリエンテーションを約4時間かけて行っていました。しかし、対面で月に数回、長時間のオリエンテーションを行うのは研修担当者の負担が大きいと考え、マニュアルの電子化に踏み切りました。

shouin+を活用し、動画でマニュアルを確認してもらうスタイルに変えたところ、研修時間は従来の半分に。コンテンツのブラッシュアップや機能の活用により、研修時間はさらに半分になりました。いまでは最初にshouin+について説明するだけで、ほとんど時間をかけずにオリエンテーションを行えるようになり、教育担当者の負担軽減に繋がっているそうです。

◾️shouin+導入事例

株式会社松竹マルチプレックスシアターズマニュアル電子化で印刷コストと研修時間を大幅削減し、現場の業務効率化を実現!

 

まとめ

人手不足の解消に取り組むうえで、業務負担の軽減は重要な課題のひとつです。離職を防ぐため、そして従業員の健康を守るためには、無理のない働きやすい環境を作ることが必要不可欠だからです。

従業員の時間と体力に余裕が生まれれば、よりクリエイティブで強い組織へと成長できます。本記事にて紹介した方法を参考に、できることから始めてみましょう。