毎年研修をやっているけれど、現場に変化がない。研修の企画を任されたが、何をどう教えれば良いかわからない。
「研修を実施するだけで意味がある」というほど、人材育成は甘くありません。その効果を引き出すには、目的を明確にし、適切な方法で実施することが重要です。本記事では、従業員の成長を促す研修方法や選び方、効果を高めるポイントなどをわかりやすく解説しています。まずは基本の「研修を行う目的」から確認していきましょう。
目次
研修の主な目的は「スキル向上」です。従業員に専門知識や技術を習得させることで、組織全体のスキルが底上げされます。
また、研修は企業理念を知ってもらうための場でもあります。「何のために働くのか」「何を大切にする会社なのか」を理解してもらうことで、従業員の主体性が高まります。そして、会社が成長の機会を与え、サポートすることは、従業員エンゲージメントの向上にもつながります。
組織の競争力向上、生産性向上、定着率向上。研修は、組織の存続と発展という重要な役割を担っているのです。研修の経費の一部などを政府が助成する「人材開発支援助成金」という制度があるように、国も人材育成に注力することを推奨しています。
どんな研修方法を選べばいいかわからない、という担当者も多いでしょう。主な研修の種類は、講義形式・グループワーク・ロールプレイング・eラーニングの4つです。それぞれの特徴を把握し、目的に合わせて選びましょう。
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形式 |
特徴 |
向いている場面 |
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講義形式 |
体系的な知識をインプット |
制度・商品知識の習得 |
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グループワーク |
多角的な視点・主体性を育成 |
問題解決力・協働スキル |
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ロールプレイング |
実践的なシミュレーション |
接客・商談・クレーム対応 |
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eラーニング |
場所・時間を選ばず受講 |
全社一律の教育・復習 |
「まず基礎から体系的に学ばせたい」という場合に最適なのが講義形式です。講師から直接インプットを受けるため、知識の土台が短時間で形成されます。
新人研修や制度改定の周知、専門知識の習得に向いています。受講者が受け身になりやすい点が課題のため、適度に質疑応答の時間を設けることが定着率を高めるコツです。
「自分の頭で考え、他者と協力する力を育てたい」場面に効果的です。複数人でテーマに取り組む中で、多角的な視点や主体性が自然と養われます。
コミュニケーション力やファシリテーションスキルの育成にも適しており、部署横断型の研修で互いの業務理解を深める機会としても活用されています。
実際の業務を想定したシミュレーションを通じて、知識を行動に落とし込む力を育てます。クレーム対応や商談、接客シーンなど、正解のない場面への対応力が鍛えられます。
頭ではわかっていても体が動かない——そのギャップを埋めるのがロールプレイングの強みです。フィードバックをセットで行うことで、行動変容が促されます。
場所や時間を選ばず受講できるeラーニングは、多拠点・多人数への教育に特に効果的です。LMS(学習管理システム)を活用すれば、受講状況や進捗をデータで一元管理でき、研修の効果測定もしやすくなります。
繰り返し視聴できる点や、動画での視覚的な理解促進も強みです。OJTや集合研修と組み合わせることで、学習効果がさらに高まります。
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■ eラーニングコンテンツを階層で分けて管理 |
研修の「やり方」には大きく3つのパターンがあります。目的と対象者に合わせて使い分けましょう。
現場での実践を通じて即戦力を育てる手法です。実際の業務をこなしながら学ぶため、現場で使えるスキルが身につきやすいのが最大の強みです。
ただし、指導役の力量に品質が左右されやすい面があります。教える内容をマニュアル化しておくことで、教育のムラや属人化を防ぎ、OJTの質を安定させることができます。
対面で全員が同じ内容を学ぶ集合型研修は、帰属意識の向上と他部署との交流を促す効果があります。リアルタイムの質疑応答によって、疑問をその場で解消できる点も強みです。
新入社員研修や管理職研修など、「全員に同じ基準で伝えたい」内容に特に向いています。オンライン開催と組み合わせることで、遠方の拠点への対応も柔軟になります。
社員の自発的な学習を促すために、資格取得費用の補助や資格手当の制度を設ける企業が増えています。「会社が成長を応援してくれる」という環境は、キャリア自律の意識を育てます。
エンゲージメント向上にも直結するため、採用・定着の両面で効果があります。どのような学習を支援するかを明示することで、制度の活用が広がります。
効果的な研修を実施するには、計画と準備が必要です。どのように進めれば良いか、流れを確認しておきましょう。
ゴールが曖昧なままでは、十分な研修効果が得られません。受講者の学習意欲を高め、能力を最大限伸ばすには、「何のための研修か」を明確にする必要があります。
まずは「誰に」「どのような状態になって欲しいか」「なぜ学ぶ必要があるのか」を考えましょう。設定したゴールは受講者にも説明し、当事者意識を持たせるようにしましょう。
次に、研修受講者の「現状調査」を行います。
たとえば、育成対象者がベテランで知識・技術が豊富なら、専門性の高い研修でも問題ありません。ですが、対象者が未経験者の場合は、基礎からの教育が必要です。覚えることが多いので、期間も長めに設ける必要があります。
このように、対象者のレベルによって研修方法が変わるので、確認しておきましょう。
次に、どのように教育するかを決めます。目的と対象者のレベル、内容に合わせて適切な研修方法を選びましょう。
OJT:実践を通じて、現場で使えるスキルを習得する。
OFF-JT:業務から離れ、基礎知識や全体像を体系的に学ぶ。
eラーニング:動画やテキストを使って、自分のペースで学習する。
ロールプレイング:シミュレーションを通じて、対応力や実践力を鍛える。
いよいよカリキュラム・コンテンツ作成に移ります。研修の内容・流れ、学習手法を具体的に決めましょう。
また、使用する教材の用意も必要です。たとえば、shouin+を用いてeラーニングコンテンツを作成する場合、以下のような流れになります。
骨組み、台本の作成
動画・画像撮影、音声録音、スライド・図の作成
動画・画像・音声などの編集
関係者によるチェックと改善
shouin+にコンテンツをアップロード
公開
コンテンツは「受講者にとってわかりやすいこと」が重要です。公開する前に、必ず第三者にチェックしてもらいましょう。新人研修用の教材を作るなら、入社2年目の社員に確認してもらうのがおすすめです。
研修に効果があったのか、改善すべき点はないかを分析するため、実施後は効果測定を行います。
研修効果の測定は、カークパトリックの4段階評価が参考になります。
反応:満足度、印象
学習:知識・スキルの習得度
行動:業務での行動の変化
結果:売上げや顧客満足度など、組織に与えた影響
以上4つの観点から、多角的に分析し、課題と対策を考えます。
受講者が研修で学んだことを実務に活かすためには、周囲のサポートが必要です。上司との振り返り面談、eラーニングを活用した反復学習などアウトプットの機会を設置し、知識の定着を促しましょう。
また、実際の業務でどのように活かすか、具体的なアクションプランを立てるのも行動の変容を促す方法として有効です。研修後のフォローアップを設計し、「やりっぱなし」を防ぎましょう。
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■ OJTを動画マニュアルで標準化 ■ 理解度テストで研修効果をその場で確認 ■ 分析機能で個人・部署ごとの習熟状況を把握
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人材研修の方法について、よくある質問をまとめました。
まずゴール(受講後にどんな状態になってほしいか)を決め、次に対象者のレベルを把握します。そのうえで、インプット(講義・eラーニング)→アウトプット(グループワーク・ロールプレイング)→定着(OJTフォロー)というサイクルを設計するのが基本です。
「受けてよかった」で終わらず、受講後の行動が変わる研修が理想です。目的が明確で、対象者に合ったレベルで設計されており、研修後のフォロー体制が整っていることが、「良い研修」の条件といえます。
研修の効果を最大化するには、目的に合った形式の選択・対象者のレベル把握・効果測定・現場フォローの4つが欠かせません。研修をただ実施するだけでなく、学んだことが現場で活かされる仕組みをセットで整えることが、組織全体の成長につながります。