人的資本経営を重要視する動きが世界的にみられています。日本においても、リスキリングに代表される「人への投資」という概念が広まっており、人材の持つスキルが「企業の独自価値」として投資家からも注目される要素になっています。
本記事では、人的資本経営とは何を指すのか、人的資本経営が注目されている背景やメリット、また推進手段となる「3P・5F」や情報開示について解説していきます。
人的資本経営とはどういうものなのか、なぜ今、経営の舵を切るべきなのか見ていきましょう。
人的資本経営とは、人材を「投資する価値のある資本」とし、その価値を最大限に引き出し、活用することを目指す経営のことです。書籍『企業価値創造を実現する人的資本経営』では、以下のように定義されています。
人材を「資源」ではなく「資本」ととらえ、人的資本に最適な投資をすることで最適なリターンを生み出す経営のことを、人的資本経営と呼んでいる。
引用元:吉田寿・岩本隆(2022)『企業価値創造を実現する人的資本経営』
株式会社日経BP 日本経済新聞出版
機械等の有形資産とは異なり、人材への適切な教育や環境整備を通じてを利益を最大化することが特徴です。ただし、それは「従業員が同じ会社で働き続けること」「成長し続けること」「企業の利益を生み出し続けること」が前提です。どれかが欠ければ、その理論は崩れてコストが無駄になります。
この経営を成立させるには、従業員の定着と成長が不可欠であり、データ分析に基づいた中長期的な人材戦略を立てることが極めて重要となります。
背景には「評価軸の変化」と「環境の変化」があります。企業の競争力を高めるには、現代の競争力はモノではなく、人材が持つ知識や経験といった「無形資産」に依拠しており、投資家も人材戦略を企業の将来性として評価するようになりました。
また、労働人口の減少や価値観の多様化により「人が会社を選ぶ」時代へと移行しています。人手不足を防ぎ、組織を存続させるためにも、従業員のキャリアや働き方を尊重し、その能力を最大限に引き出す経営への転換が不可欠となっています。
一般社団法人HRテクノロジーコンソーシアム著
「経営戦略としての人的資本開示」を参考に弊社で作成
従来の人材マネジメントは、人材を「資源(コスト)」と捉え、業績に応じて抑制すべき経費として扱ってきました。また、年功状列や経験則に基づく、主観的な人材配置の意思決定が主流でした。
一方で人的資本経営では、人材を「資本(投資対象)」と定義し、教育や報酬がどのように将来の値創造につながっていくのかが重要とされます。
組織と人材個人が互いに選び合う自律的な関係を築くとともに、データとHRテクノロジーを活用し、客観的な数値に基づいて人材配置を行う点が大きな違いです。
人的資本経営がいま注目されているのはなぜなのでしょうか。ここでは人的資本経営が注目される3つの背景について取り上げます。
投資家の評価軸は財務情報だけでなく、ESG(環境・社会・ガバナンス)に代表される無形資産、とりわけ人的資本の重視し変わってきています。
2006年に国連が責任投資原則を取りまとめてから、企業価値は単なる経済利益だけでなく、社会に与えるインパクトを含めて判断されるようになりました。
人的資本はESGの「社会」と「ガバナンス」の中核をなす要素であり、人材への投資状況を適切に開示することは、持続可能な成長を目指す企業として投資家から高い評価を得るためのポイントとなっています。
これまで金融やマーケティングの領域で発達してきたクラウドテクノロジーは、人事の領域にも流れ込み、多くの企業に利用されるようになりました。クラウドテクノロジーを人事領域で活用することによって、労働集約的な業務の多くをクラウドサービス側が処理するため、人事部門のスタッフは戦略的な人事、企業価値向上に結び付くような業務に集中することができます。
またクラウドサービスに集約したデータ、数値に基づいた客観的な判断が、人事・組織領域での意思決定に活用されるようになっています。
たとえば次世代のリーダー候補を客観的なデータに基づいて選抜したり、採用・配置・異動などに生かすことで個々の従業員の能力を最大限に引き出すなど、人的資本経営が企業を成長させる方法として注目を集めるようになっています。
日本は将来的に少子高齢化によって労働人口減少が予測されおり、すでにシニア世代や外国人労働者などの人材が登用されていますが、育児や介護で働くことに制限がある人など様々な人材の登用が重視されています。
2020年に始まった世界規模の新型コロナウイルス感染拡大によって、時短勤務やリモートワークなど働き方そのものも多様化しており、従来の画一的な人材管理では限界を迎えつつあります。
このような労働市場の変化を受けて、週5日フルタイム勤務のみの画一的な条件だけではなく、働き手一人ひとりの事情や状況に合わせた勤務形態が選択できること、人材を活用してパフォーマンスを最大限に引き出すといった人的資本経営が、持続的な企業経営には必要だと考えられています。
人的資本開示や教育体制の整備、人事評価システムの見直しなどは何のために実施し、何を目指すのでしょうか。目的を確認しておきましょう。
人的資本経営の目的は「持続的な企業価値の向上」です。誰もが知る有名企業でさえ、いつ倒産の危機に立たされるかわからない不安定な現代。より長く企業を存続させるためには、環境の変化に揺らがない強固な組織力と競争力が必要です。
そのためには、独自価値の創造と継続的な成長が欠かせません。顧客、投資家、取引先、従業員から「選ばれ続ける企業」でいなければ、あっという間に衰退してしまいます。
そこで必要となるのが「成長し続ける人材」です。知識・スキル・経験の積み重ねが資産となり、組織の発展を促します。
中長期的な視点で人材戦略を練り、投資し、人材が持つ能力を最大限に引き出す……それらすべては、企業価値を高めるためです。制度を変えること、施策を打つことがゴールではありません。企業改革を行う際は、本来の目的を見失わないよう意識することが重要です。
人的資本経営の本質は「従業員にとって居心地の良い環境づくり」ではありません。単純に従業員満足度を上げるだけでは、グローバルに戦える競争力は身につかないのです。
実際、1980年代の日本では「人を大切にする」という概念が広まっていました。しかし、1990年代に入りバブルが崩壊。その後「失われた30年」へと突入したことから、”寄り添うだけ”での経営には欠点があると言えます。
1980年代は、日本経済や日本企業にとっては、前半の素晴らしくみえた時代を経てバブル経済に突入し、1990年代に入ってすぐバブルは文字通り泡沫と消えた。(中略)「人材」の優位性に価値を置く日本的経済も、その競争力を失墜していくプロセスだった。いまにして思えば、日本企業の優しさとは、実は偽りだったのかと思われてくる。
引用元:吉田寿・岩本隆(2022)『企業価値創造を実現する人的資本経営』
株式会社日経BP 日本経済新聞出版
企業が生き残り続けていくには、一方的な”優しさ”では不十分です。人と企業が共に成長し続ける姿勢、そして「戦略」が不可欠なのだと考えられます。
人的資本経営では、人材が持つ知識、スキル、経験は企業価値を生む”源泉”であると考えます。現状維持のための費用ではなく、組織の未来のための「財産」なのです。
土地や建物と同様、資産とするからには戦略とマネジメントが欠かせません。企業価値向上という目的のため、どのように確保し、どのように活用するか考えて投資します。
例えば、製品の生産量増加、品質向上には、高機能の機械装置が必要です。集客力のある飲食店の経営を目指すのなら、交通量の多い場所の土地を購入する方法が戦略として挙がるでしょう。
人材も同じです。組織が5年後、10年後も発展し続けるには、優秀な人材を採用・教育するための環境が必要です。経験、知識、スキルを得た従業員が各々能力を発揮できるよう、最適な組織体制を敷くことも必要です。
また、育てた従業員が離職しないよう、人事評価システムも整える必要があります。従業員エンゲージメントが高まり、主体性のある人材が集まれば、競争力・組織力に長けた強い組織が構築されます。
このように「人」を軸にして意思決定を行うのが人的資本経営です。利益を増やすためなら、人件費のカットも致し方ない…といった従来のやり方とは、優先順位が違うのです。
企業が人的資本経営を実施するとどのようなメリットがあるのでしょうか。4つのメリットについてそれぞれ見ていきます。
企業が人的資本経営を実施するメリットのひとつに、人材への積極的な投資によって従業員のスキルアップが促されて、業務の生産性向上が期待できることが挙げられます。
従業員一人ひとりがこれまで以上の成果を出していくことができれば戦力度がアップし、企業全体の成長が実現できます。
人材育成に力を入れている企業の従業員は、自分の成長に期待し、投資してくれていることを認識しやすいといえます。
いま人生100年であることを前提に、自分のキャリア形成について真剣に考える働き手が増えているといいます。このような成長意欲が高い働き手に対して、スキルアップのしくみや、努力して成果を出した場合の評価制度の構築など、個人の成長を後押しするような投資に取り組んでいることを開示できれば、この企業で働きたいという気持ちが高まっていくでしょう。
従業員のモチベーションが高まり、また企業に対して価値貢献をしたいと思うようになったり、組織への帰属意識が高まって定着率がアップすることも期待できます。
人的資本経営を実施する企業は、すなわち人材育成に力を入れているといえます。このため人的資本経営に取り組むことは企業イメージの向上につながり、働き手を惹きつけるために極めて有効な打ち手となります。
採用応募者からみると、自分のスキルを活かして価値創造できるか貢献できるか、キャリアアップのための投資を積極的に行ってくれるか、成長できる機会やポジションを与えてもらえるかなどを重視して、働きたいと思う企業を選びます。
「この企業で働きたい」と思われることで、優秀な人材を採用しやすくなり、ひいては企業競争力の強化の実現につながります。
人的資本経営がもたらすメリットとして、投資家の注目を集めることが挙げられます。ESGの考えが広がる中で、投資家にとって人的資本経営は企業価値を見極めるための重要な指標となっています。人的資本経営に取り組む企業は、社会的価値が高いとみなされることから、投資すべき企業と認められ、注目されやすくなります。
投資される額が増えることで、企業はさらに発展・成長する戦略を打つことができます。新製品やサービスの開発や将来につながる新規事業を打ち出すことも可能となります。こ
れらによって人材への投資をさらに進めて、従業員のスキルアップやモチベーション向上、企業ブランディングの強化につなげていくことができます。
引用:内閣官房「人的資本可視化方針」
人的資本経営については、日本以外の諸国ではどのような動きがあったのかをみていきます。
2018年12月に定められた国際標準化機構(ISO)の「ISO30414」によって、これに基づいた企業の情報開示が始まりました。ISO30414とは、人材マネジメントの領域に関わる58の測定基準を示した人的資本情報開示のガイドラインとされています。
欧州連合EUでは、2014年10月に「特定大規模事業・グループの非財務情報開示に関する欧州議会・理事会指令」により大手企業に対して大手企業に対し人的資本を含む非財務情報の開示が義務化されました。
また、2021年3月に発表した「報酬の透明性」では男女間の賃金格差解消に向けた「同一労働同一賃金」の原則など、法整備を通じたサステナブルな社会の実現を加速させています。
イギリスでの人的資本開示は他国にさきがけて、2010年に成立した平等法に始まっていて、EU諸国のなかでも人的資本開示には積極的であると言われています。
男女間賃金格差報告書制度では、男女間の賃金格差に関するレポートを報告する義務を250人以上の従業員のいる雇用主に課しています。違反した場合、政府の専門サイト内での公表や裁判所への出頭命令、罰金を課せられるといった措置が講じられています。
アイルランドにおける人的開示は、2021年に内閣が承認した「男女間賃金格差の情報開示法」で給与の透明性、男女間の報酬格差について報告する義務が課されていて、これはイギリスの制度と類似しています。一方でアイルランドは英国同制度よりも厳しい説明義務が課されていて、アイルランドでの男女間欧州格差是正を推進し、社会に浸透させていこうとする動きがみられています。
米国では2020年8月の米国証券取引所のルール改定により、投資家にとって重要な人的資本情報の開示が義務付けられ、企業には自社の重要性に応じた任意開示が求められるようになりました。
また、2018年12月のISO 30414の発表を受け、連邦議会でも「人への投資開示法案」が提出されるなど、離職率やダイバーシティ、報酬といった具体的な指標の開示義務化に向けた動きが加速しています。
ここでは日本の人的資本経営における動きとして、「人材版伊藤レポート2.0」について、人的資本可視化指針、人的情報開示の義務化について解説します。
「人材版伊藤レポート2.0」とは、経済産業省が設置した「人的資本経営の実現に向けた検討会」で人的資本経営に向けた課題と解決策を取りまとめた報告書で、2022年5月に発表されました。
レポートでは、企業が人的資本経営を進めるために取り組むべき点について、実践におけるポイントや有効な工夫点など8つの項目で提示しています。日本企業においても「人的資本」の重要性が高まっていることを認識した上で、人的資本経営の実施に利用できるアイディアが盛り込まれています。
2022年8月30日に、内閣官房が発表した「人的資本可視化指針」では人材を「資本」と捉え、その価値を最大限に引き出すことで企業の競争力と持続可能性を高めるためのガイドラインです。
現在、投資家は企業の持続的成長を見極める指標として、人的資本への投資状況を注視しています。そのため、経営者には単なる数値報告ではなく、「ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標」の4枠組みに基づいた、論理的で明瞭な説明が求められています。
この指針において、人的資本の可視化について企業や経営者に期待されていることの概略が以下のように示されています。
経営層・中核人材に関する方針、人材育成方針、人的資本に関する社内環境整備方針などについて、自社が直面する重要なリスクと機会、長期的な業績や競争力と関連付けながら、目指すべき姿(目標)やモニタリングすべき指標を検討し、取締役・経営層レベルで密な議論を行った上で、自ら明瞭かつロジカルに説明すること。
引用:内閣官房「人的資本可視化指針」
2022年8月31日には金融庁から「2022事務年度金融行政方針」が公表され、2023年3月期からは、有価証券報告書においてサステナビリティ(持続可能性)情報の記載欄が設けられ、人材育成の方針や目標など人的資本情報開示を義務付ける方針が示されました。
「人的資本可視化指針」の中で示された開示項目は「人材育成」「エンゲージメント」「流動性」「ダイバーシティ」「健康・安全」「労働慣行」「コンプライアンス」の7分野、19項目あります。
引用:内閣官房「人的資本可視化指針」(2022年8月)
人材版伊藤レポートでは、人的資本経営を実践するフレームワークとして「3P・5Fモデル」を提唱しています。上記の「人材版伊藤レポートの概要」にて、8つの項目を記載しましたが、この8つの項目は3つのPと5つのFを合わせたものです。
3Pと5Fとはなにを指しているのか、概要を解説していきます。
企業価値の向上につながる人材戦略となりうるかを検討する際に、どのような視点でみていくとよいか、チェックすると良いかを表しているのが「3つの視点(Perspectives)」、略して3Pです。
1つ目は、経営戦略と人材戦略の連動ができているかどうかという視点です。企業を取り巻く環境がスピードをもって変わっていく中で、経営戦略と人材戦略、双方が連動しながら策定・実行することが重要です。
2つ目は、「As is=現在の姿」と「To be=理想の姿」のギャップをできるだけ数値化して、定量的に把握するという視点です。戦略が連動しているかをチェックし、そこで特定した課題毎にKPIを明らかにします。
3つ目は、ギャップを埋めるようにとった戦略がうまくいったのかどうか、企業文化への定着度をできるだけ数値で測り、将来を見据えた人材戦略を再検討するという視点です。
企業価値の向上につながる人材戦略のために、どんな企業でも共通して組み込むべき要素を示したものが「5つの要素(Factors)」、略して5Fです。
「動的人材ポートフォリオ」とは、。社内のどこに、どのようなスキルや経験を持った人材が、どれだけいるのかを表す動的な人材ポートフォリオを作成しているかということをチェックします。適材適所に人材が配置されることで企業の価値を高めることができます。
「知・経験のダイバーシティ&インクルージョン」は、従業員が持つ、経験や感性、価値観、専門性といった知と経験の多様性を認め、企業の中にうまく取り込んで、イノベーションが起きているかを問う要素です。
「リスキリング・学びなおし」とは、ニーズやトレンドの変化に対応できる企業として成長するのに欠かせないスキルアップを支援しているかをチェックする要素です。
「従業員エンゲージメント」は、従業員がやりがいや働きがいを感じ、主体的に業務に取り組むことができる環境を創りあげるという要素です。
「時間や場所にとらわれない働き方」は、時間や場所にとらわれず、安全で安心して働くことができる環境を平時から整えるという要素を表しています。
人的資本経営を実践する企業事例を紹介します。
ソニーでは、各社のCHRO(人事部門の責任者)がグループ会社執行役専務、人事総務担当と頻繁に擦り合わせをしながら人事施策を推進しています。ソニーでは事業間の特性の違いが大きいため、事業特性や課題に応じて、迅速に人事運営を行えるように人事責任を各社CHROに委任した体制に変えています。
多様な個(個人・事業)の成長がグループ全体の成長であると認識し、個を求む・伸ばす・活かすの3つの軸で人事戦略を体系化しています。
花王では、目標管理制度・評価制度を改正しました。
もともとは、100%達成を目指すことを前提として設定したKPIに基づいた目標管理・評価制度としていましたが、2021年よりOKR(Objectives&KeyResults)を導入しました。成果の重視から挑戦の重視へと目を向けています。
このOKRを「ありたい姿や理想に近づくための高く挑戦的な目標」として定義し、従業員が自ら掲げる大きな目標への挑戦を通じて、一人ひとりが成長し、結果的に会社の成長や社会に貢献することを目指しています。
OKRでは、まず従業員一人ひとりが目指す中長期的な理想の姿を設定します。次にその理想の姿を実現するための道筋を 未来からさかのぼって描いていきます。置かれた状況を踏まえて現在地から積み上げて未来を描くというものとは異なり、現状にとらわれない発想が生まれることが期待されます。
また、従業員の掲げたOKRをグループ全体で共有して、同じ夢を持つ従業員同士が部署を超えて連携できる環境を築いています。従業員同士で対話を重ね、ブラッシュアップをさせていき、自分の目標がどのように組織全体につながっていくのかなどを確認しながら、活動していくことを奨励しています。
KDDIでは、事業部門経験者を人事トップに登用したり、人材データの分析を活用して生産性の高い働き方を実現することで、事業と経営の連携を高めることに貢献しています。
本社の営業部門で約20年の業務経験を持つ人材を人事部門トップに登用。現場を知っている人事部門が経営層・事業部門と定期的にミーティングを実施することで、経営戦略を踏まえた人事施策の実施や、経営層・事業部門への人事戦略の浸透が可能となっています。
HRデータの活用・実践に向け、ピープルアナリティクス部門を設置。働き方に関する各種データ(勤務データ等)を一つのダッシュボードにまとめ、全社員に提示。データを活用した生産性の高い働き方の実現に取り組んでいます。
今後の事業戦略の観点から目指す姿と現状の間の人財ギャップを把握し、不足分を採用・育成・配置によって埋めることとしています。例えば成長領域の拡大のために、2023年度までにグループ全体でDX人財を4,000名規模に拡大し、中核を担うDXコア人財をKDDI DXUniversityで500名育成することを目標としている、などです。
全社員に対して、研修メニューの全体像を見える化した上で、全部門共通のポータブルスキルや専門スキルを、各社員が望むタイミングで学習できる環境を構築しています。
社会の急激な変化によって、いま経営そのものを見直すべき時が訪れています。さまざまな経営理論、ビジネスモデルが次々と誕生し、何が正解なのかわからなくなることもあるでしょう。
しかし、これからの未来がどうなろうと「人」は変わりません。働き方や価値観は変われど、人材が企業にとって欠かせない存在であるという事実は揺るぎません。
むしろ、人が成長し続ければ、どのような環境にも対応できるようになります。企業を危機から救ってくれるのは、いつでも従業員のひらめきと能力なのです。
経営改革の実現は容易ではないですが、組織の今と未来を見つめ直す機会ととらえ、ぜひ取り組んでみましょう。まずは、会社のトップと従業員が「人的資本経営」について理解を深めるところから始めてみてはいかがでしょうか。