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人的資本開示の義務化はいつから?主な内容や開示項目、抑えておくべきポイントも詳しく解説!

作成者: 『shouin+ブログ』マーケティング担当|Feb 22, 2024 6:53:07 AM

国内外問わず、多くの企業が着々と進めている「人的資本開示」。日本でも義務化がはじまり、情報開示への意識がより一層高まってきています。

本記事では、主な開示内容や抑えておくべきポイントなど、人的資本開示について詳しく解説しています。開示までの流れについても記載しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

人的資本とは

人的資本とは、人材および人材が持つスキルや才能、資格などを、企業の「資本」と捉えること。人材を「資源」「コスト」と捉えていた従来とは異なる考え方です。

以前は、いかに人件費を抑えられるか、人材が持つ知識・スキルをいかに活用できるかが重視されていました。

しかし今は、持続的な経営、いわゆるサステナビリティ経営が重視される時代。企業の存続と発展のためには、将来を見据えて人材に投資することが重要、という考えが主流になってきています。そのような経営を「人的資本経営」と呼びます。

人的資本に関する制度や取り組みは、欧州、米国を中心に数年前から始まっており、いま日本でも急ピッチで進められています。

■参考記事はこちら

人的資本経営とは?注目される背景や国内外動向、情報開示の内容などについてわかりやすく解説

 

人的資本の開示とは

人的資本の開示とは、企業が人的資本に関する情報を開示すること。社内と社外に、自社の人的資本を公開することを指します。

人材をどのように育成している/していくのか、人材にどれほど投資している/する予定なのかといった情報は、企業価値の指標となります。投資家やステークホルダーに自社をアピールしたり、「この企業には将来性がある」と認めてもらったりするのが狙いです。

  • 企業イメージの向上
  • 投資家からの注目度/信頼度向上
  • 会社の透明化による従業員のエンゲージメント向上

などのメリットがあり、さまざまな企業が人的資本開示に向けて動き出しています。

 

人的資本開示の義務化はいつから?

人的資本開示の義務化は、日本でも既に始まっています。「有価証券報告書」を発行している大手企業約4,000社が対象で、2023年3月31日以降の有価証券報告書から適用です。

対象企業は、従業員数や平均年齢などの従業員に関する基本情報に加え、人材育成方針や社内環境整備の方針、それらの方針に関する指標などを有価証券報告書に記載するよう義務付けられています。

具体的には、2023年1月31日に公開された金融庁の資料に記載されています。

人材の多様性の確保を含む人材育成の方針や社内環境整備の方針及び当該方針に関する指標の内容等について、必須記載事項として、サステナビリティ情報の「記載欄」の「戦略」と「指標及び目標」において記載を求めることとします。

引用:「企業内容等の開示に関する内閣府令』等の開始案に対するパブリックコメントの結果等について金融庁

また、自社や自社の連結子会社が「女性管理職比率」「男性の育児休業取得率」「男女間賃金格差」を公表する場合は、それぞれの指標を有価証券報告書にも記載するよう求められています。

なお、有価証券報告書に記載すべきとされる内容と認識しておきながら「あえて」記載しなかった場合、または根拠なく認識せず記載しなかった場合は、虚偽記載などの責任を負う可能性があるため注意が必要です。

■参考

「企業内容等の開示に関する留意事項について(企業内容等開示ガイドライン)」新旧対照表

 

人的資本の開示が求められる背景

人的資本の開示が求められる理由としては、有形資産よりも無形資産の方が価値を生むようになったことが挙げられます。

いま投資家が関心を寄せるのは、ソフトウェアなどの「情報化資産」、研究開発やデザインなどの「革新的資産」、人材などの「経済的競争力」といった無形資産です。なかでも人材は、企業の持続的な成長を担う重要な資産と考えられています。

つまり人的資本に関する情報は、その会社の資産価値を表す要素であり、投資家にとっての重要な判断材料となるのです。よって、人的資本の開示が重要視されています。

下記の記事では、開示が求められる理由についてより詳しく解説しています。また、開示するメリットや国内外の動向などもご紹介していますので、ぜひご覧ください。

 

■参考記事はこちら

人的資本経営とは?注目される背景や国内外動向、情報開示の内容等についてわかりやすく解説!

 

人的資本開示の内容:7分野19項目

人的資本を開示する際、ガイドラインとして推奨されているのが、非財務情報可視化研究会発行の「人的資本可視化指針」です。当資料では、投資家が関心を持つ「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4要素を軸に記載するのが望ましいとされています。

それを踏まえたうえで項目例として挙げられているのが、以下の7分野19項目です。詳しく見ていきましょう。

1.人材育成

人材育成分野には「リーダーシップ」「育成」「スキル/経験」の3項目があります。具体的な内容例は以下のとおりです。

  • 優秀な人材を維持するためのシステム
  • 従業員のスキルアップへの取り組み
  • スキルアッププログラムの種類や対象者
  • 教育や研修にかかる費用/時間
  • 研修の参加率/受講率

人材育成は、従業員への投資に直結する取り組みです。管理職社員、一般社員の育成に注力している企業は、社会から「将来性がある」と認められやすいと言えるでしょう。

また、時代に合わせたスキルアップ、スキル習得の取り組みなども、企業への期待が高まりやすいです。よって、これらの情報を開示すると効果的と考えられます。

 

2.エンゲージメント

エンゲージメントも、投資家やステークホルダーが注目する要素のひとつ。エンゲージメントが高い社員は定着しやすく、且つエンゲージメントが高い社員が多いほど利益を生むからです。

そのため、エンゲージメントの比率や、向上させるための取り組み、労働環境に関する情報の開示が求められます。

また、それらの情報開示は企業イメージの向上にもつながるため、将来の優秀な人材を確保するためにも開示すべきでしょう。

■参考記事はこちら

社員エンゲージメントとは?意味やメリット、エンゲージメントを高める方法を詳しく解説!

 

3.流動性

流動性分野には、「採用」「維持」「サクセッション」の3項目が含まれます。サクセッションとは、後継者育成のことです。

具体的な例として、以下のような内容が挙げられます。

  • 人材確保および定着への適切な取り組み
  • 採用/離職にかかるコスト
  • 年齢層や性別ごとの離職率
  • 後継者の有効率/準備率
  • 採用にかかる費用や時間 など

なかでも後継者育成の取り組みは、投資家が特に重要視するポイント。次世代を担う人材を育てている会社は、今後も存続・成長が期待できると評価されやすいからです。

また、人材育成の基盤となる採用の取り組み方・コストについても見られます。具体的な数値をもとに記載すると良いでしょう。

 

4.ダイバーシティ

ダイバーシティ分野における項目は「ダイバーシティ」「非差別」「育児休業」の3つです。例として、以下のような内容を記載します。

  • 性別/部署/人種ごとの従業員比率
  • 育児休業や産業の取得率
  • 多様な人材を受け入れられる環境
  • フルタイム従業員の基本給
  • 女性管理職比率
  • 男性の育児休業取得率
  • 男女間賃金格差 など

ダイバーシティへの取り組みに関する開示は、公平な社会づくりに貢献している企業として、世間に良い印象を与えます。また、「自社は格差を生まない公平な経営をしている」という証明にもなります。

企業価値の向上とリスク管理、双方の観点から、ダイバーシティに関する内容は積極的に記載すべき項目と言えます。

■参考記事はこちら

ダイバーシティとは?意味やメリット、人事施策を事例を交えて解説

 

5.健康・安全

健康・安全分野では「精神的健康」「身体的健康」「安全」の3項目が挙げられます。具体的な内容の例は以下のとおりです。

  • 従業員が肉体的/精神的に健康に働ける環境づくり
  • その環境づくりにおける今後の目標や進捗
  • 従業員の肉体的/精神的健康状況
  • 労働災害の発見件数/割合/死亡数
  • 安全衛生マネジメント など

健康・安全に配慮しない企業は、コンプライアンスに反するとして世間からマイナスイメージを持たれます。例に挙げた内容を公表することは、そのようなリスクの回避につながります。

また、公表する際は「世間に評価される」という意識から、自ずと改善に力が入るもの。改善を促す狙いもあって、開示が推奨されています。

 

6.労働慣行

労働慣行とは、その企業の中で”当然”とされている事実上の制度やルールのこと。労働慣行分野には「労働慣行」「児童労働/強制労働」「賃金公平性」「福利厚生」「組合との関係」などといった項目があります。

具体的な内容の例は以下のとおりです。

  • 労働に対する適切な賃金
  • 不正行為の有無
  • 福利厚生の内容
  • コンプライアンス違反の発生状況
  • 平均時給
  • 最低賃金を得ている従業員の割合 など

これらは、社会的な信用にかかわる内容です。開示することで、「自社には不正がない」「適切な雇用を行っている」という証明になります。また「健康・安全分野」と同様、改善を促す効果を狙って開示が推奨されています。

 

7.コンプライアンス/倫理

コンプライアンスに関する内容には、例として以下のような項目が含まれます。

  • 業務停止件数
  • ハラスメントなどの苦情の発生件数
  • 差別事例の件数と措置
  • コンプライアンス研修の参加率
  • 支払った罰金金額 など

こちらも、社会的な信用にかかわる情報です。健全な経営をしていることの証明となるため、開示すべきと考えられるでしょう。

 

人的資本を開示するまでの大まかな流れ

人的資本開示のやり方に決まりはありません。そこで参考になるのが「人的資本可視化指針」です。どのような準備が必要になるのか把握するため、当資料をもとに流れを確認しておきましょう。

人的資本可視化指針」(非財務情報可視化研究会)をもとに弊社で図を作成

 

①基盤・体制確率編

まずは基盤作りから始めます。戦略や目標の考案、社員への説明、各部署との連携強化などが準備として必要です。具体的には、以下のようなことを行います。

人的資本経営および人的資本開示は、会社が一丸となって取り組むこと。ゆえに、経営陣と従業員、部門同士の協力体制を整える必要があります。

また、のちに進捗や結果を確認できるようにするため、指標の設定も必要です。何を指標とするのか、基準を明確にしておきます。

 

②可視化戦略構築編

人的資本開示に向けて企業がまとまったら、ベースとなる人材戦略を固めていきます。具体的には、以下のようなことを行います。

人材版伊藤レポート」とは、2020年に公表された、人的資本経営の在り方についての議論をまとめたもの。「人材版伊藤レポート2.0」は、そこに記載されている内容をさらに深掘りしたものです。

「人材版伊藤レポート2.0」には、人的資本経営を実行するためのアイディアが記載されています。同資料と「人的資本可視化」を参考にしつつ、人材戦略の考案、可視化に向けての準備を行います。

また、人材戦略の分析も、のちに投資家と議論するために必要です。どのような道筋で、どのような結果が得られると想定しているのか説明できるよう、理解しておくことが重要です。

 

③投資家との対話を踏まえた磨き上げ

準備が整ったあとは、いきなり開示するのではなく、さらなるブラッシュアップを行います。投資家と対話し、不足している情報や不明確な内容がないか確認します。

「人的資本可視化指針」に記載されているチェックリストが参考になります。「ガバナンスと経営」「ビジネスモデルと戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4点を軸とする質問項目を参考にし、自社の戦略や開示内容を見直しましょう。

人的資本可視化指針」(非財務情報可視化研究会)より一部抜粋し、弊社で図を作成

 

④有価証券報告書への対応

有価証券報告書の提出義務がある企業は、提出の手続きに入ります。

人材育成方針、社内環境整備方針に加え、それらをモニターするための指標および目標/進捗などを記載します。必須項目の記入漏れがないよう注意が必要です。

 

⑤任意開示の戦略的活用

有価証券報告書に記載した内容の補完として、任意の開示を行います。その際は、内容が報告書と矛盾しないよう注意する必要があります。

任意で行われる人的資本開示は、「統合報告書」「長期ビジョン」「中期経営計画」「サステナビリティレポート」といった形で公開されるのが一般的です。

 

人的資本の開示に向けて企業が行うべきこと

人的資本開示の大まかな流れについて解説しましたが、その前の段階として、以下のような準備が必要です。詳しく見ていきましょう。

自社・投資家・働き手の調査と分析

人的資本の開示は、投資家やステークホルダーに注目されたり、関心を持ってもらったりすることができなければ意味がありません。そのため、彼らの関心がどこにあるのか、どのような情報を求めているのか把握しておく必要があります。

また、外部にきちんとアピールするには、自社のことを詳しく知ることも大切です。自社の強みや弱み、改善すべき点を、改めて徹底的に調査・分析しましょう。

 

人事組織領域におけるデータシステムの構築

人的資本を開示する際は、定量的な指標が必要になるシーンが多々あります。数値で表すことにより、目標と進捗・結果を比較しやすくなるからです。

そこで必要となるのが、人事のデータ化およびデータシステムの構築です。

人的資本は、そもそも人事領域にテクノロジーが流入したことで発展したもの。人事をデータで測定・分析できるようになったからこそ、第三者への開示が可能になったのです。

反対に、人事にデータシステムがなければ成り立たないとも言えます。よって、研修参加率、従業員のスキルなど、あらゆる人事の情報をデータ化するシステムの構築が必要です。

 

経営戦略と人材戦略の連動・考案

人的資本開示では、人材戦略の見直しや考案を行います。その際は、経営戦略との連動を意識することが大切です。「人材版伊藤レポート」でも以下のように言及されています。

経営陣においては、企業理念や存在意義(パーパス)、経営戦略を明確化した上で、経営戦略と連動した人材戦略を策定・実行すべきである。

引用:「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会 報告書 ~人材版伊藤レポート~」経済産業省

人的資本経営の最終的な目的は、企業のミッション達成です。しかし、経営戦略と人材戦略が矛盾していると、いくら人材に投資してもミッションを達成できません。無駄に投資することになるため、2つを連動させる必要があるのです。

経営戦略と人材戦略を練る際は、3~5年のスパンで考えるのがポイント。『経営戦略としての人的資本開示』という書籍に以下のような記載があります。

ESG投資家は人的資本について、「単年度で結果を求めないし、求めるべきものではない」「3年から5年をかけて育み、育てるという視点で組織をより強くし人材の能力を開発していくことが、企業価値の持続的な向上につながっていく」ということが共通認識となっている。

引用:「一般社団法人HRテクノロジーコンソーシアム(2022)

『経営戦略としての人的資本開示』日本能率マネジメントセンター」

人材はすぐには育たないものです。意義のある人材投資を行うため、中長期的な視点で戦略を考えることが大切です。

 

人的資本を開示する際のポイント

人的資本開示にて意識すべきポイントがいくつかあります。開示に向けて準備する際は、ぜひ参考にしてみてください。

ポイント①可能な限り定量化する

開示する情報を第三者にわかりやすく伝えるため、そして今後の経営に活用するためには、内容を可能な限り数値化することが大切です。人事領域における目標はもちろん、目標達成のためのアクションに期待される効果なども数値化することで、正しく伝達・分析できるようになります。

そのためにも、やはりテクノロジーの活用が欠かせません。正しいデータの取得が可能になるのはもちろん、人事業務の負担軽減にもなります。重要な判断や議論に、よりフォーカスできることから、人事のデジタル化は必須と言えるでしょう。

 

ポイント②情報にストーリー性を持たせる

投資家やステークホルダーが注目するのは、その企業が「今後どこを目指し、どのような行動をとっていくのか」です。企業の”未来のストーリー”を求めています。

よって人的資本を開示する際は、ただ情報を羅列するのではなく、ストーリー性を持たせることが大切です。

いまの状況から何をどのように変えていくのか、今後の道筋が明確にわかるよう記載します。特に、経営戦略と人材戦略の関連性について説明することで、企業が描くビジョンが閲覧者に伝わりやすくなります。

 

ポイント③開示内容を4つの基準で整理・分類する

人的資本開示では公開する内容を何度も検討しますが、その際は4つの基準がポイントになります。「人的資本可視化指針」にて望ましいとされている基準は、以下の4点です。

  1. 価値向上
  2. リスクマネジメント
  3. 独自性
  4. 比較可能性

上記の基準をもとに整理・分類することで、開示内容の方向性が定まります。

例えば、人材育成に関する内容は、投資家からポジティブな評価を得るための「価値向上」が主な目的です。一方、労働慣行に関する内容は、ネガティブな評価を回避する「リスク管理」の役割があります。

自社の意思と取り組みを正確に伝えるため、何のための情報なのかを明確にすることが大切です。

また「独自性」と「比較可能性」は、双方のバランスを調整することが重要です。例えば、自社独自の教育カリキュラムに関する内容は「独自性」に、管理職の女性比率などの情報は「比較可能性」に属します。両方の要素をバランスよく記載することで、投資家からより高い評価を得やすくなります。

 

ポイント④社員に「ナラティブ」に説明する

人的資本経営および開示には、社員との連携が不可欠。社員の納得感を高めるには、「ナラティブ」に説明するのがポイントです。

「ナラティブに説明する」とは、聞き手が納得する・共感するように語ること。企業のトップが、従業員の立場に立ち、自らの経験を交えて真摯に説明することで、共感を得やすくなります。

一方的にならないよう相手を意識すること、業務的ではなく自身の言葉で伝えることが大切です。

 

ポイント⑤開示は目的ではなく「手段」と捉える

焦りから「開示」をゴールとしてしまいがちですが、この取り組みは、あくまで手段です。情報公開後フィードバックを受け、人材・経営戦略に活用してこそ意味があります。

また、開示に向けて取り組むこと自体、企業の成長につながります。公表するにあたって課題を見つめ直し、アクションを起こすことが、経営の質の向上に貢献するからです。

人的資本開示を行う際は、このような本来の目的を常に意識することが大切。”やっつけ”の開示ではなく、戦略的に行うよう意識しましょう。

 

人的資本開示の事例

ここで、3社の事例をご紹介します。注目すべきポイントも併せて解説しますので、開示資料を作成する際の参考にしてみてください。

事例①株式会社ニトリ

引用:「統合報告書2023 13-19_ハイライト②(人的資本」株式会社ニトリ

家具やインテリア用品などの企画・販売を行っている株式会社ニトリ。当社は、2022年度の人的資本に関する情報を「統合報告書2023」にて開示しています。

当ページは、「ロマン(志)」という独自のワードが頻出するのが特徴。オリジナルの言語を敢えて使用することで、企業ビジョンにインパクトを与えています。

また「対談」という形で、社員と取締役のリアルな声を掲載しているのも注目ポイントです。独自性・ストーリー性のある人的資本開示として参考になるでしょう。

■参考:統合報告書2023 13-19_ハイライト②(人的資本)」株式会社ニトリ

 

事例②日本マクドナルド株式会社

引用:「サステナビリティレポート2022」日本マクドナルド株式会社

日本マクドナルド株式会社の人的資本は、サステナビリティレポートにて開示されています。

「サステナビリティレポート2022」は、グラフと数値が多く使われているのが特徴。クルー(従業員)人数や外国人雇用人数、24歳以下の従業員数、障碍者雇用比率などといった数値を用いて目標と現状を明示することで、ダイバーシティへの取り組みをわかりやすく伝えています。

また、ハンバーガー大学と呼ばれる独自の教育機関も紹介するなど、独自性と比較可能性、両方の観点で人的資本を表現しています。

■参考資料:「サステナビリティレポート2022」日本マクドナルド株式会社

 

事例③三越伊勢丹ホールディングス

引用:「三越伊勢丹ホールディングス サステナビリティレポート2023 従業員満足度の向上」三菱伊勢丹ホールディングス

 

全国に百貨店を展開する三越伊勢丹ホールディングスも、サステナビリティレポートという形式で人的資本開示を行っています。

当社の「サステナビリティレポート2023」は、図形を用いてわかりやすく説明しているのが特徴。「誰と誰が、何をすれば、どのような結果が得られるのか」を図式化することで、ビジョンにストーリー性があることを表現しています。

また、実績や雇用指標などの定量的なデータと、定性的な情報を織り交ぜながら、取り組みについて具体的に説明しているのも注目すべきポイントです。

 

■参考:「三越伊勢丹ホールディングス サステナビリティレポート2023 従業員満足度の向上」三菱伊勢丹ホールディングス

 

まとめ

人的資本開示は、何度も開示内容について議論し、戦略を練り直すことで徐々にブラッシュアップされていくもの。はじめから完璧を目指す必要はありません。

可能な範囲で開示し、フィードバックを受け、戦略の改善と実践を繰り返すことが大切です。自社の状況把握や市場の分析、人的資本開示を行うための環境整備など、まずはできることから少しずつ始めてみましょう。