「マニュアルを作りたいけれど、どんな目次にすればいいか分からない……」
「見やすく、分かりやすい目次の作り方が知りたい」
このようなお悩みを抱えていませんか?
業務マニュアルの目次は、読む人が迷わず必要な情報にたどり着くための“地図”のような存在です。にもかかわらず、目次の作り方に関するノウハウは意外と共有されていません。
そこで本記事では、目次の作り方について悩む皆さまに向けて、構成の考え方から見やすく仕上げるコツ、便利なテンプレートまでくわしくご紹介いたします。Excel・Word・PowerPointなどツール別の作り方や、プロが実践する目次設計のポイントも解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
まずは、マニュアルにおける目次の必要性とその効果について解説していきます。
マニュアルにおける目次は、情報の「ナビゲーション機能」として重要な役割を果たします。
どれほど作成者の頭の中で内容が整理されていても、読み手にとっては構成や情報の位置関係が不明瞭なままです。特に業務マニュアルの現場では、「どこに何が書かれているのか分からない」「知りたい情報にすぐアクセスできない」といった課題が頻繁に起こります。
そこで目次を設けることで、「まずはこれを確認し、次にこの手順へ進む」といった情報の流れを明示できます。読み手が迷わず目的の情報にたどり着けるよう導く、いわば地図のような役割を担うのです。
さらに、目次があることでマニュアルの改訂や情報の追加も容易になります。全体の構成が一目で把握できるため、どこに何を追加・修正すべきか判断しやすくなるからです。
このように、目次は「情報の探索性を高める」「業務全体の流れを可視化する」「改訂作業を効率化する」といった実務的なメリットを持っています。
目次を作成する最大のメリットは、「検索性の向上」です。
内容が体系的に整理された目次があることで、利用者は必要な情報にすぐアクセスできるようになります。特にExcelやWordで作成したマニュアルであれば、目次にリンクを設定することで、クリック一つで該当ページへジャンプ可能です。紙マニュアルと比べても、圧倒的に利便性が高まります。
さらに、目次は「人材育成の効率化」にも貢献します。たとえばOJTなどで新入社員に業務を教える際、目次を活用すれば、必要な情報だけをピックアップして説明することが可能になります。これにより、教える側・学ぶ側の双方にとって、時間的・精神的な負担を軽減する効果が期待できます。
このように目次は、単なる目録にとどまらず、「情報検索のしやすさ」と「教育・研修の効率化」を支える、重要な仕組みのひとつといえるでしょう。
マニュアルの目次は、単に章や項目を並べればよいというものではありません。重要なのは、情報の整理と並び順、そして読み手にとっての使いやすさです。そこでここからは、誰でも簡単に実践できる目次作成の5ステップをご紹介します。
まずは、マニュアルに掲載したい情報を洗い出すことから始めていきましょう。情報を洗い出すことで、後のステップで整理・分類しやすくなり、抜け漏れのない目次作成につながります。
具体的には、現場で必要とされる作業手順、使用ルール、トラブル対応など、思いつく限りのトピックをリストアップします。漏れがないように、実際の業務フローを確認しながら進めるとよいでしょう。関係者にヒアリングをするのもおすすめです。
このように、一度すべての情報を棚卸しすることで、目次のベースとなる「情報の土台」が完成します。最初の洗い出しはラフで構いませんので、漏れがないよう広い視野で行いましょう。
次に、洗い出した情報をカテゴリーごとに整理・分類します。たとえば、「作業手順」「準備物」「注意点」「チェックリスト」「FAQ」など、近い内容でグループ化していきましょう。そうすることで、読み手がどの項目を探せばよいかを直感的に判断しやすくなります。
また分類をするうえで大切なのは、「読み手がどの場面でその情報を必要とするか」を考えることです。たとえば、新入社員向けのマニュアルなら「業務開始前」「業務中」「業務終了後」と時系列で分類したり、「接客マニュアル」「在庫管理マニュアル」など業務の種類ごとに分けたりするのも良いですね。カテゴリー分けが明確になると、目次全体の構成が見えやすくなります。
カテゴリー分けができたら、次はその並び順を考えます。読み手が実際にマニュアルを使う場面を想像しながら、どのような順番で並べると使いやすくなるかを考えてみましょう。
そして基本的には、業務の時系列や優先度の高い順番に並べるのが無難です。たとえば、下記「並び替えの例」のような順番にすると、自然な流れで情報を探しやすくなります。
ステップ③で並び替えた情報に対して、分かりやすく具体的な見出しをつけていきます。抽象的な表現ではなく、内容がすぐにイメージできるタイトルが理想です。たとえば、「申請書類の準備」や「システムへのログイン方法」など、実際のアクションが分かる形にすると親切でしょう。
また、大見出しと小見出しを使って階層構造を作ると、全体像が把握しやすくなり、検索性も高まります。見出しの付け方ひとつで、マニュアルの使いやすさが大きく変わりますので、丁寧に検討してください。
すべての項目に見出しがついたら、最後に全体を見直します。項目の漏れや重複、表記揺れがないかを確認し、必要に応じて追加・修正を加えます。章ごとの粒度(内容の深さや長さ)が揃っているか、表現が統一されているかどうかも、ここで丁寧に確認しておきましょう。必要に応じて他のスタッフに客観的な意見をもらうのも効果的です。
また、目次内容の見直しが完了したら、最後にフォントや文字サイズ、インデントの揃えなど、デザイン面も整えることで見た目の印象もぐっと良くなりますよ。
ここからは、目次を見やすく仕上げるための7つのコツをご紹介します。
目次では、マニュアルの階層構造がひと目で分かるように、「大見出し(章)」と「小見出し(節)」をうまく使い分けましょう。この使い分けができていないと、情報が平面的に並ぶだけで、全体像が見えにくく使いにくいマニュアルになってしまいます。たとえば、以下のように階層構造をつけると、読者の理解がスムーズになります。
第1章:来店対応の基本 1-1 お客様への挨拶 1-2 要件のヒアリング 1-3 商品案内のポイント |
このように「章→節」という構造が明確になっていると、読み手は今どこを読んでいるのか、全体の中での位置関係も把握しやすくなります。
目次の項目は、業務の流れや時系列に沿って並べるのが基本です。人は頭から順番に読み進める傾向があるため、業務が行われる「順番」に沿って項目を並べることで、読者がより自然に内容を理解しやすくなります。たとえば業務マニュアルであれば、以下のように並べてみましょう。
第1章:業務の流れ 1-1 朝の準備作業 1-2 日中の業務内容 1-3 退勤前の確認事項 |
このように、「読む順番=行動の順番」にすることで、実際の業務フローと目次の順序が一致し、理解が進みやすくなります。加えて読者の心理的負担も減らせるでしょう。
見出しを作るときは、内容がひと目で分かるように具体的かつ簡潔に表現しましょう。抽象的な表現では利用者が内容をイメージしにくくなり、検索性の低下につながります。読者に心理的ストレスを与えないためにも、以下のようなポイントを押さえて、イメージのしやすい見出し作成を心がけていきましょう。
マニュアルの目次には、「よくある質問(FAQ)」や「トラブル対応」の項目も必ず入れましょう。なぜなら、利用者は困ったときや疑問が生じたときにマニュアルを確認することが多いからです。これらの項目を入れておくだけで、「手順を間違えてしまった!どうしよう……」などと不安になっている読者の気持ちに、そっと寄り添えるマニュアルになりますよ。
特に、これらの項目はマニュアルの後半にまとめて設けるとよいでしょう。必要なときにすぐ参照できる“お守り”のような章として重宝されます。ほかにも、以下のような項目も大変役立ちますので、必要に応じて追加してみるとよいでしょう。
目次は「どんな人が、どんなときに、どこで使うか」を想像して作ることが大切です。たとえば、PCでじっくり読む人と、スマートフォンでパッと確認したい人では、目次の構成や表現が変わってくるでしょう。PCはスマートフォンに比べて画面が大きいため、多少情報が多くてもOKですが、スマートフォンは画面が小さいため、情報量を絞りながら短く直感的に理解できる見出しが理想です。
(例)
ほかにも、新人向けなら基礎的な項目を充実させたり、ベテラン向けなら応用的な内容を追加したりと、読み手のレベルや業務内容に合わせて目次を調整するのもよいでしょう。読み手の使用シーンを想定しながら見出しを作ることで、「読者にとって本当に使いやすい」マニュアルに近づきます。
見出しや項目名で使う言葉は、できるだけ「社内で統一されている用語」を使いましょう。チームごとに異なる表現や略語が混在していると、読む人によって解釈が変わってしまい、混乱の原因になってしまうこともあります。たとえば「会議報告書」を「ミーティングレポート」と書いた場合、チームによっては意味が通じない可能性もあるでしょう。
ほかにも、「顧客」「クライアント」「お客様」といった表現も人によってバラつきやすい言葉です。これらのような用語表現を統一することで、マニュアルの検索性や理解度も向上するでしょう。とくにデータで管理するマニュアルの場合は、命名規則や表記ルールをあらかじめ決めておくと、検索性の高いマニュアルが作れます。
目次の作成に悩んだときは、「テンプレート」や「他社の事例」を参考にするのも一つの方法です。自分で一から考えるよりも、既存の構成をベースにアレンジすることで、完成度の高い目次が作りやすくなります。以下のような方法を参考に探してみるとよいでしょう。
必ずしも「ゼロから作る」ことにこだわる必要はありません。大切なのは、自社の業務に合った目次構成に仕上げることです。時間や手間をかけず、効果的な目次を作るためにも、外部リソースは積極的に活用していきましょう。
ここからは、実際によくある「NG構成」の例を3つ挙げ、それぞれの課題点と、どのように改善すればよいのかを具体的に紹介します。
まずご紹介するのは、「情報の順序や流れが整理されていない」例です。必要な情報があちこちに点在していたり、業務の前後関係がバラバラだったりすると、何がどこに書いてあるのか分からない目次になってしまいます。そんなときは、読み手を混乱させないためにも、以下の例のように情報の並べ方に意味を持たせるとよいでしょう。
NG例 |
改善後 |
・応対マニュアル ・クレーム対応 ・電話の取り方 ・朝の業務 ・報告書の作り方 |
第1章:日常業務の基本 1-1:朝の業務 1-2:電話の取り方 1-3:報告書の作成手順 第2章:クレーム対応マニュアル |
次にご紹介するのは、「抽象的で内容がイメージできない」例です。あいまいな単語だけで構成された目次は、見出しだけではどんな内容かが伝わりにくく、目次としての機能を十分に果たすことができません。そのため、このような時は、以下の例のように5W1Hを意識しながら具体性を持たせるとよいでしょう。
NG例 |
改善後 |
・申請手続き ・対応方法 ・注意点 |
・出張申請の方法と提出手順 ・顧客からのクレームに対応する方法 ・月末業務で注意すべき3つのポイント |
最後にご紹介するのは、「必要な情報が抜け落ちている」例です。作成者の視点だけだと、つい「当たり前だと思っていた情報」が抜けてしまうことがあります。とくに新人や他部署の人が使うマニュアルでは、「これは常識だろう」と思うことでも、補足が必要な場合があります。
そのため、一度目次ができたら、新人になったつもりで目次に沿って実務を行ってみてください。そうすると、抜けていた情報や、不要だと思っていたけど「やっぱり必要だ」と感じる情報が出てくることと思いますので、そこで少しずつブラッシュアップしていきましょう。
NG例 |
改善後 |
・開店準備 ・接客の流れ ・レジ業務 ・閉店作業 |
・開店準備 ・接客の流れ ・レジ業務 ・休憩・交代ルール ・閉店作業 ・備品管理 ・売上管理 |
マニュアル作成に使われる代表的なツールには「Excel」「Word」「PowerPoint」の3つがありますが、これらのツールにはそれぞれ特徴があり、目次を作るときの手順も少しずつ異なります。そこでここでは、各ツールを使った目次作成の基本的な方法と、効率的に目次を作成する簡単なコツをご紹介します。
Excel(エクセル)は、表形式での情報整理および複数シートを活用した情報管理が得意なツールです。たとえば、各作業の進行状況を列ごとに「未着手・対応中・完了」と並べて管理したり、業務ごとのマニュアルをシート別に作成して管理するなど、複雑になりがちな情報を分かりやすく管理しやすいのが特徴です。
Excelで目次を作るには、まず1枚目のシートに「目次」用のページを作り、各見出しをセルに記載していきます。そして次に、各見出しに該当するシート(または外部ツール)へのハイパーリンクを設定していきましょう。(該当のセルを選択して『Ctrl+K』キーを押すと、ハイパーリンクが設定できます。)そのほか、以下「作成時のポイント」も意識することで、“ひと目で理解しやすい”目次を作ることができます。
Word(ワード)は、文章作成や段落構造の整理を得意としたツールで、文章中心のマニュアルと相性がよいのが特徴です。とくに自動で目次を作成できる機能が便利で、たとえば「見出し1」「見出し2」などとスタイルを設定することで、目次を自動的に生成してくれます。
Wordで目次を作るには、まず本文中の各セクションに適切な「見出しスタイル(見出し1〜3など)」を設定しておきましょう。続いて、「参考資料」タブの「目次」機能から、ワンクリックで自動的に目次を挿入できます。編集後に章タイトルを変更した場合も、「目次の更新」ボタンを使えば反映できるため、完成後の管理もスムーズです。また、自動生成した見出しをクリックすれば該当ページへすぐにジャンプできるため、デジタル配布にも適した目次が作成できます。
PowerPoint(パワーポイント)は、視覚的に情報を伝えることが得意なツールです。とくに、1ページ=1トピックの構成で説明できる点が、業務マニュアルや研修資料として使いやすく便利です。また、スライドごとに業務内容を分けたうえで、目次から各スライドにジャンプできる構成にすると、説明資料としての完成度が高まるでしょう。
PowerPointで目次を作るには、まず冒頭のスライドに「目次」スライドを設け、各見出しをテキストボックスで並べて入力します。その後、それぞれの見出しに対応するスライド番号へのハイパーリンクを設定しましょう。こうすることで、スライドショー中でも簡単にスライド間の移動ができるようになります。(該当のテキストを選択して『Ctrl+K』キーを押すと、ハイパーリンクが設定できます。)
なお、PowerPointでマニュアルを一から作りたい方は、下記記事を参考にご覧ください。PowerPointで重要となる「デザイン」についてくわしく解説しております。
■参考記事はこちら
【パワポで作成】わかりやすいマニュアルの作り方(無料テンプレート付き)
「マニュアルをパワポで作りたいけど、最初のデザインに悩む……」「構成をどう決めたらいいか分からない」そんな方におすすめなのが、無料で使えるテンプレートの活用です。今回は、初心者でもすぐに使えるパワーポイント用のマニュアルテンプレートを弊社でご用意いたしました。目次作成はもちろん、会社概要や企業理念などの基本項目から、よくある業務マニュアルのテンプレートまで、幅広い内容を網羅しております。下記リンクから無料でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
マニュアルは、単に情報を詰め込んだ資料ではありません。実際に「使われる」こと、「迷わず目的の情報にたどり着ける」ことが重要です。そして、その入り口となるのが、まさに“目次”です。
今回の記事では、目次の役割と重要性から始まり、目次作成のステップやポイント、具体的な作成例、さらにはExcel、Word、PowerPointといったツールごとの作成方法までくわしく解説してきましたが、目次作成でもっとも大切なのは、読み手の立場に立って考えることです。「どんな順番で業務が進むか」「どこでつまずきやすいか」「何を知っておけば安心か」といった想像力が、実用性の高いマニュアル作りにつながります。
最初から完璧なものを作る必要はありません。今回ご紹介した内容をうまく取り入れながら、まずは身近な業務マニュアルの目次を整えてみることから始めてみましょう。弊社で作成した無料マニュアルテンプレートも、ぜひご活用ください。