多くの企業や組織で業務マニュアルが活用されていますが、このところ動画によるマニュアル作成が注目を集めています。動画マニュアルは紙やPDFなど従来のマニュアルと比べてどのような特徴があるのでしょうか。そしてなぜ多くの企業が導入しているのでしょう。
本記事では、動画マニュアル導入に関する7つのメリットと3つのデメリットを紹介し、導入にあたり注意すべき点を解説します。
動画マニュアルとは?
動画マニュアルとは、業務内容や製品の使い方を動画で伝えるマニュアルのことです。視覚と聴覚の両方に訴えることができるため、これまで主流であった紙のマニュアルと比べて分かりやすく、閲覧者の理解を促すことが期待できます。不特定多数を対象として作られるため汎用性が高く、何度も見返すことが可能です。
動画マニュアルの種類
動画マニュアルには、作業手順を動画で伝える「業務マニュアル」や営業フローをまとめた「営業マニュアル」のほか、研修時に流す動画、製品やサービスの使い方を伝えるためのマニュアルなど、目的に応じた多彩な種類があります。
ホームページや公式Youtubeチャンネルで自社サービスの使い方を動画で解説する企業が増えていますが、そのようなチュートリアルも動画マニュアルの1つです。
動画マニュアルのメリット
では動画マニュアルのメリットはどこにあるのでしょうか。ここでは主に新しいスタッフの育成に動画マニュアルを使うことを想定して、紙のマニュアルと比較した場合のメリットを紹介します。
動画マニュアルの優れているところやどのようなコストを削減できるのかなどを把握することで、自社に導入すべきかどうかも見えてきます。
1.伝わりやすく、理解が深まる
マニュアルを作るとき、紙やPDFではテキストと静止画しか用いることができません。しかし動画マニュアルなら、テキストや静止画に加えて音声と動画を組み合わせることが可能です。文章だけでは伝えづらい動作も、映像化することで直感的に伝えることができます。
動画マニュアルは複数の認知特性をカバーする
人にはそれぞれ認知特性というものがあり、何かを記憶するとき、視覚、聴覚、言語のいずれかを手がかりにします。認知特性は以下の3つに大別できます。
「見た情報」を覚えることが得意:視覚優位者
「読んだ情報」を覚えるのが得意:言語優位者
「聞いた情報」の処理に長けている:聴覚優位者
(出典:医師のつくった「頭のよさ」テスト~認知特性から見た6つのパターン~|本田真美著/光文社)
このように、人によって得意な記憶方法は異なるというわけです。
また、動画マニュアルを用いることでそれぞれの認知特性をカバーできるため、人による学習進度のばらつきをなくし、効率的に理解を深められます。分かりやすくて伝えやすいというのが、動画マニュアルの大きなメリットです。
2.スキルや作業クオリティの均質化につながる
学習やスキルアップは正しい方法を用いて、繰り返し反復することで効果が高まります。時間をかけて学習しても、方向が間違っていては効果的とはいえません。
動画マニュアルでは映像内で正解が確認できるため、イメージの差異や勘違いによる誤認が生じづらく、閲覧したスタッフ全員のスキルを高いレベルで均質化できます。また、一度動画マニュアルを作成してしまえば長期的に活用可能なので、指導者のレベルに左右されることもありません。
このような汎用性の高さも動画マニュアルの魅力のひとつです。
3.場所や時間を選ばずに学習できる
動画マニュアルは、閲覧できる環境があればいつでもどこでも視聴できます。大規模な集団研修だけでなく、自宅や通勤時間を利用しての閲覧も可能な点が動画マニュアルの特徴です。PC、スマートフォン、タブレットそれぞれから視聴できるので、そのときどきに合った最適な学習デバイスを選べます。
SNSやYoutube、各種動画ストリーミングサービスの普及により動画の視聴は広く浸透しているため、多くのユーザーにとって馴染み深くとっつきやすいこともメリットです。
4.コスト削減効果が見込める
新しいスタッフを育成するとなれば、指導者の人件費や研修費用などが必要です。紙のマニュアルを使う場合は、さらにマニュアル資料の保管、管理、印刷費用、輸送費用などの経費がかかります。
動画マニュアルであれば動画作成の費用こそかかりますが、一度作ってしまえばランニングコストの大幅な軽減が見込めます。動画ファイルはデータなので物理的な保管場所は不要ですし、共有も容易ですから輸送費などもかかりません。
育成に関わるコストパフォーマンスを重視するときにも、動画マニュアルは有用だといえます。
5.紛失・流出リスクがない
紙のマニュアルには紛失した場合の再発行リスクがつきまといます。個々で書き込んでいた場合などは大切な気づきやノウハウも失われかねません。
また、業務マニュアルに機密事項が記載されている場合はとくに、資料の流出は避けるべき事態です。
動画マニュアルであれば、セキュリティ面をしっかり管理することでこのようなリスクは回避できます。厳重なセキュリティを擁する動画マニュアル作成サービスを利用すれば、紛失に伴う危険性を少なくすることができるのです。
6.進捗管理が効率化できる
動画マニュアルには、視聴状況を把握しやすいメリットもあります。たとえば動画マニュアル作成サービスを提供するshouinでは、チェックリスト機能がついているので、誰がどれだけ学習しているのか、進捗を随時確認することが可能です。
これまで見えづらかった学習状況を可視化することで育成計画を経営に反映することができます。
7.言語の壁が障害にならない
働き方が多様化する中で、今後外国人スタッフの採用を検討している企業も多いのではないでしょうか。動画マニュアルの視覚的なアプローチは言語の壁を越えていきます。紙のマニュアルをすべて多言語化するには翻訳費用がかかりますが、動画マニュアルは言語の壁に関する課題を解決できる手段でもあるのです。
動画マニュアルのデメリット
ここまで動画マニュアルのメリットについて述べてきましたが、動画マニュアルにはデメリットもあります。ここでは3つのデメリットを紹介します。導入を検討する際にはデメリットにも注意してください。
1.閲覧するための機器と環境が必要
動画マニュアルを視聴するには、スマートフォンやPCなどのデバイスが必要です。
オンラインでの利用を検討している場合、当然ながら閲覧にはインターネット環境が必須となります。試聴用の機器やネット環境を企業側で新たに用意するのか、それとも既存の機器を利用するのかなど、事前に明確な取り決めを設けるべきです。
また、視聴までのハードルをできる限り下げることや、あらゆる端末から一覧できる環境を構築することが求められます。
2.利用者によっては苦手意識がある
日頃から動画の視聴に慣れ親しんでいない人にとっては、動画マニュアルは敷居が高い、受け入れがたいものと感じることがあるかもしれません。
このような場合は、時間をかけて動画のよさを理解してもらえるようはたらきかけるか、紙のマニュアルと併せて動画マニュアルを活用するなど、マニュアル提供者と利用者の双方にプラスとなる方法を考えなければなりません。
3.細い仕様や規則などの伝達には向かない
細かい手順書や仕様書、規律、規則を伝えるときなど、動画マニュアルには向かないケースもあります。詳細に作ろうとすればするほど動画作成にかかる手間や経費も増えてしまうので、情報粒度をどこまで細かくして伝えるのか、バランス感覚も大切です。
また、大まかな手順を一目で確認したい場合や、複数の項目をリストアップして伝えたいときなども、紙のマニュアルの方が分かりやすいので、紙と動画で補完しあうようなマニュアル作りが理想だといえるでしょう。
まとめ
動画マニュアルは近年特に注目が集まっている人材育成手法です。
動画マニュアルには直感的で分かりやすく、3種類の認知特性をカバーできるメリットがあります。またスキルの共有と均質化を図ることができ、時間や場所を選ばずに学習が可能です。そのほかにもコスト削減、紛失リスクの低減、進捗管理の効率化などの特徴があります。
デメリットは視聴のために機器や環境を整える必要があることや、苦手意識を持つ人もいること、細い仕様の説明には適さない場合があることなどです。メリットとデメリットを踏まえて、動画マニュアルの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
shouinは、新人の即戦力化と人材の定着、人材育成コスト削減を図るための動画マニュアル作成プラットフォームです。導入方法や使い方、事例を紹介した無料の説明資料をご用意しています。詳しくは以下のページよりご覧ください。
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