新入社員と企業が初めておこなう共同作業が新人研修です。入社後の一定期間を研修にあてている企業も多いのではないでしょうか。しかし研修自体が目的化してしまって効果が上がらない例もあり、しばしば経営課題として持ち上がることがあります。
そこで本記事では、どうすれば新人研修を成功させることができるのか、目的と計画の立て方、具体的な研修プログラムについて事例を交えながら解説します。
新人研修を成功させるためには、計画する前に目的を明確にすることが大切です。では新人研修は何のためにおこなうのでしょうか。
新人研修の目的の1つは、社会人としての最低限のルールを覚え、ビジネスマナーを習得することです。学生時代とは異なり、社会には社会のルールやマナーが存在します。話し方や身だしなみ、立ち振る舞いなどのマナーを習得し、少しでも早く一人前の戦力になれるような下地を作ることが新人研修の目的です。
ビジネスマナーの習得でポイントとなるのは、業界や配属先、業務内容で求められるマナーがそれぞれ異なるという点です。基本的なマナーを覚えることは大前提ですが、自社にとって最適なビジネスマナーを浸透させることも重要な研修目的といえます。
企業が持っている長期的なビジョンやイズムを伝えることも新人研修の目的です。企業が目指しているもの、スローガン、所属社員が共通して持っている考え方を伝え、そのための行動指針を明確に示すことで、新人にも組織の一員だという自覚が芽生えます。
また、事業内容の詳細を伝えることも重要です。新入社員は入社にいたるまでの企業研究やOB訪問、インターンなどを通して企業のことをある程度知っているはずですが、外側から見るのと社員として実際に業務にあたるのとでは違いがあります。
製品やサービスを通して社会にどのような影響を与えているのか、強みと弱みはどこにあるのか、課題解決のために会社は新入社員に何を期待しているのかなど、理解が深まれば新人の即戦力化につながります。
新入社員はさまざまなモチベーションを持って研修に参加します。それぞれに長所と短所があり、こうなりたいと願っている社員像も異なるはずです。そして企業側にも社員に対して求める人物像があります。両者間のイメージをすり合わせ、できる限りマッチングさせることも新人教育の目的です。
互いのベクトルが同じ方向を向くことで、育成効果の向上が期待できます。双方の理想とするイメージを近づけるためには、新人研修の段階から1on1ミーティングを導入するなど、ひとりひとりと対話する意識が重要です。
新人研修でやるべき内容やカリキュラムについては以下の記事でも紹介しています。
■参考記事はこちら
新入社員研修では何をするべき?内容やカリキュラムの作り方をわかりやすく解説(事例付)
目的を明確にしたら、次は計画段階に入ります。新人研修は課題の立案、ゴール設定、期間の設定、研修内容の決定という流れで計画するとよいでしょう。
まずは組織の抱える課題点を洗い出すことから始めます。新人研修に活かすための課題を見つけなくてはならないからです。ここでは課題の見つけ方を2つ紹介します。
もっともオーソドックスといえる課題の見つけ方で、社員から課題点を聞き出す手法です。このとき管理職から若手社員、パートにいたるまで、できるだけ広範囲、多様な肩書きのメンバーから意見を集めると、課題を明確に把握しやすくなります。
企業の課題として明らかなものは、数値として現れているものです。たとえば売上目標の未達成、原価率の高騰、納期に間に合わなかった案件の数。計画が破綻しているところには原因があり、課題が隠れています。
課題が見つかったらリストアップして、それを新入社員研修に活かせるレベルにまで分解していきます。当然のことながら新人にいきなり高度な課題解決は望めませんので、「将来的に自社の抱える課題を解決してくれる社員」を想定し、その社員が持つべきスキルやノウハウを逆算すると、研修計画を立てやすくなります。
続いて研修の目標を設定します。目標はできるだけ明瞭な文言と数値で表せるものがベストです。たとえば以下のようなゴール設定が考えられます。
【研修の全体目標】
研修を受けた社員全員が自社の作成するビジネスマナーテストで90点以上をとる
【育成目標】
・自社の製造工程をマスターし、各セクションの年間売上目標を答えられること
・研修終了後すぐに同行営業がスタートできる状態になっている(製品名と同行訪問マニュアルをすべて覚えている)
【業務学習目標】
・社内の経理システムのうち「業務レベル2」までを問題なく扱える
・電話応対とメール、チャットの基本的な使い方をマスターする
・会社の持っているビジョンに基づいた行動選択がとれる(行動選択RPGのテストに全員が合格する)
ゴール設定ができたら、研修期間を決めていきます。研修期間は、3で決めたゴールを達成するためにはどれくらいの時間が必要かを基準に逆算して設定します。ゴールによって1〜3日程度の研修で足りるのか、1か月単位の集合研修が必要なのかなどを明らかにすると、必要な日数を把握しやすいでしょう。
最後に研修プログラムを確定させます。決めるべき主なポイントをまとめました。
ゴールから逆算して「なにをやるべきか」を項目ごとに分解し、研修メニューを決めていきます。
何にどれくらい時間を割いて教えるのか、研修時間を振り分けます。
研修項目ごとに担当者を設定します。社内の人物を登用するか、外部講師を招くかなど、内容と状況に応じた判断が求められます。
研修会場はどんな場所がよいのかを検討します。大規模な集合研修であれば会議室を借りる必要がありますので、予約することも考慮して決断はなるべく早期におこないましょう。
研修メニューごとに学習形態を決めなくてはなりません。座学形式、ディスカッション形式、グループワーク形式など、研修形式にもさまざまな選択肢があります。効果を最大化する方法を選ぶようにしましょう。
ここからは基本的なビジネススキルを会得するための研修を5つ紹介します。
社会人としての基礎的な要素を育む研修です。新入社員は言葉遣いや挨拶の仕方、名刺交換の方法、上司への報告のタイミング、取引先への訪問マナー、来客対応など多くのことを覚えなければなりません。社員ごとにばらつきなく適切な振る舞いを身につけるためには、全員が効果的に学べるような工夫が必要となります。
コミュニケーションはどのような業務であっても必須のスキルです。仕事をしているとさまざまな連絡事項が生じます。新入社員はまず電話応対、メールの送信・返信マナー、チャットや社内ツールでのやりとりなど、状況に応じたコミュニケーションを覚えなければなりません。
また、報連相についてのルールやミーティング参加時の姿勢など、企業ごとに求められるものが異なるケースもあります。自社で求められるコミュニケーションについて認識の統一を図ることも研修の一貫です。
グループに分かれて課題をこなすグループワーク研修は、チームで連携することの大切さを学ぶ機会になります。1つの目的に向かって協力することは、組織で働くことそのものです。グループワークを通して協調性を育み、同期との絆を深めるきっかけにもなります。
業界によってはロジカルシンキングが求められるシーンも多いのではないでしょうか。早いうちから論理的な思考を身につけることで、課題解決能力やその後の成長速度も変わってきます。演繹法や帰納法、PDCAサイクル、フレームワーク思考など基本的なロジカルシンキングについての研修は効率的な育成を加速させます。
IT業界に限らず、テクノロジーを円滑に活用することは業務効率化に必須といえます。社内システムや外部から導入しているサービスの使い方を覚え、すぐにでも実践できるスキルを身につけることが大切です。
高度な専門知識が必要な分野は時間をかけたチュートリアル計画を立案しておこないます。テクノロジーの活用はITリテラシーの高い若年層にこそ求められるものですので、注力することも戦略のひとつです。
これまで研修計画の立て方や具体例について述べてきましたが、効率的な研修をおこなうために動画を用いる方法もあります。動画研修を活用すると時間や場所、対象人数に縛られることなく、誰が見ても直感的で分かりやすい内容を提供できるのです。また研修費用の削減や育成担当者の人的リソースの軽減にもなります。
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新人研修の計画を立てるときは、まず目的を明確にすることが重要です。新人研修における目的は、ビジネスマナーの習得や企業ビジョンの共有、企業と社員の間におけるイメージのマッチングなど多岐にわたります。
目的が明確になったら、次に課題を見つけて研修に活かすよう分解します。それをもとに明確なゴールを設定して研修期間、メニュー、担当者など必要な項目を策定していきましょう。
今回は主な研修の具体例として、ビジネスマナー研修、コミュニケーション研修、グループワーク研修、ロジカルシンキング研修、IT研修を紹介しました。これらの研修を効率的におこなうために、 shouinを用いた動画研修をおすすめしています。新しい新人研修方法を検討している方は利用してみてはいかがでしょうか。