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【2021年12月更新】フローチャートとは?書き方のポイント5つや作成手順などについて、わかりやすく解説!(無料テンプレート付き)

平準化 ノウハウ ナレッジ
2019.12.04
松木 謙介

企業の利益を上げるためには、効率よく業務を行い、生産性を上げることが重要です。しかし、仕事内容をひとつひとつ思い返し、原因や改善点を突き止めるのは至難の業です。他部署や他企業の人が関わる業務など、業務の内容が複雑であればあるほど、根本の原因を探るのは難しくなるでしょう。

とはいえ、"なんとなく”で解決策を導き出し、実行するわけにも行きません。改善するどころかかえってロスになることもあります。

そのようなときに役立つのが、「フローチャート」です。業務の内容や流れを可視化するツールのことで、さまざまな分野の業界、企業で取り入れられています。

あまり聞き馴染みがない、どのようなものなのかよくわからないという方のために、今回はフローチャートとは?という基本から書き方について解説します。わかりやすいフローチャートを作成するための5つのポイントや作成手順、見やすくするコツなどもテンプレート付きでご紹介しますので、ぜひ業務の効率化にお役立てください。

 

 

フローチャートとは?

フローチャートとは、作業の手順や業務のプロセスを図に表したもの。長方形やひし形などのような「記号」と呼ばれる図形を、線や矢印で繋ぎ、業務などの手順を表現するために用いられるものです。

辞書では以下のように記載されています。

 

“作業や処理の手順を図式化したもの。コンピュータープログラムの設計では、所定の記号を用いて表す。作業工程経路図。流れ図。フローシート。”

(引用元:「デジタル大辞泉」小学館

フローチャートは、1920年代に生産管理技術者であるフランク・ギルブレス氏と、その妻のリアン・ギルブレス氏によって開発されたもの。そして「The American Society of Mechanical Enginees(ASME)」と呼ばれるアメリカの機械学会での発表をきっかけに、活用されるようになりました。

もともと製造業で使われていたフローチャートですが、コンピュータープログラムのシステム開発などIT業界でも使われるようになり、現在では分野問わず、さまざまなシーンで活用されています。

個人の業務を対象とする小規模なものから、企業全体で取り組む業務を対象とする大掛かりなものまで、規模の大きさも多岐に渡ります。会社経営やマネジメント業務に携わる人はもちろん、個人でも、自身が取り組む業務の効率化を図る場合などに便利なので、知識を身につけておいて損ないでしょう。

 

フローチャートが求められる背景・有効な理由

企業を存続させるため、成長させるためには利益の向上が必須。そして利益を上げるには、業務の効率を良くし、生産性を上げる必要があります。

しかし、作業の問題点を見つけて改善するのは、簡単ではありません。

業務を着実に改善するためには、根本の問題を解決することが重要です。的確な解決策を講じなければ、対策を行っても状況を変えられず、業務改善からは遠のいてしまいます。また、いくつかの問題が複雑に絡み合っていて、解決策を一つ講じるだけでは改善できない、といったことも起こり得るでしょう。

 

そこで活躍するのがフローチャート。フローチャートで業務プロセスを紐解き、可視化することで、誰がいつ、どのような流れで業務が行われているのかが明確になります。すると、潜在的な問題点は何か、改善すべきところはないかを分析しやすくなり、的確な改善処置を導き出すことへと繋がるのです。

多くの組織では、作業の手順を記したマニュアルが導入されています。マニュアルからも、業務の流れやプロセスを把握したり、アクシデントが発生した時の対処法を確認したりすることができますが、問題点の分析にはあまり有効ではありません。

 

一方フローチャートは、作業の流れに加えて、役割分担や責任権限までもが明確になります。そのため、根本となる問題を探す、未然にミスを防ぐ対策を練るなど、さまざまな角度から業務を分析することが可能になります。

 

そのほか、フローチャートには以下のようなメリットがあります。

  • チームで業務を統一できる
  • ムリ、ムラ、ムダを省いた教育ができる
  • 要望、依頼の根拠を示すことができる

さまざまな経歴、スキルを持つ人材が関わる組織では、どうしても人によって業務の取り組み方や成果にズレが生じてしまうもの。そこでフローチャートを使い、業務内容や流れをチームで共有することで、従業員同士の能力差や認知の差を埋めることができます。結果的に、組織全体の生産性アップ・効率アップへと繋がるでしょう。

 

またフローチャートは基本的に、組織外部の人も理解できるように作るものです。フローチャートを使うことで、業務の流れや課題点、問題点をわかりやすく相手に伝えることができます。組織の外部に何か依頼するとき、交渉するときの手助けにもなるでしょう。

このように、業務の分析や改善、事故発生防止、状況・情報の共有と、フローチャートは汎用性の高いツールです。作成する手間や時間はかかるものの、得られるメリットは大きいのです。

 

 

接客業がフローチャートを用意する必要性とは?

フローチャートはIT分野など、さまざまな業種で活用されているツールですが、流通小売業や接客業においても例外ではありません。

(引用元:「厚生労働省(2020)令和2年雇用動向調査結果の概要」)

 

厚生労働省による「令和2年雇用動向調査結果の概要」にある通り、接客業、流通小売業は人材の入れ替わりが激しい業界と言えます。日常的に膨大な業務をこなしつつ、新人教育も同時進行しなくてはならない場面が多々あります。多忙すぎて教育に手が回らず、教育ミスが起きてしまうことも珍しくありません

そのようなときに活躍するのが、フローチャートです。誰がどの業務を担当しているのか、仕事がどのように進められているのかを、文書を用いて明確に伝えることができます。目で見て情報を読み取れるため、口頭で業務をひとつひとつ説明するよりもわかりやすく、かつスピーディー。伝え漏れや、教育担当者による教え方のズレ、ムラもなくすことができます。

また流通小売業などの接客を伴う職種は、シーンによって適切な応対が変わるもの。「このような状況になったときは、このように対応する」という共通のルールがなければ、新人は緊急時に対応しきれません。しかし、フローチャートでは、シチュエーションそれぞれの対処法を細かく記しておくことができます。対処法の全てを口頭で教えずとも、新人スタッフはフローチャートを見ることで、予想外の事態が起きても対応できるようになるのです。お客様へのおもてなしを行う際にも、フローチャートを軸に、接遇スキルを高めていくことで、より芯の通った丁寧な接遇を実践することができます。接遇については、以下の記事で詳しく解説しています。

 

■参考記事はこちら

接遇とは?接客との違いや5原則などを業種別事例からわかりやすく紹介!

 

人材の入れ替わり、日々の業務の変動が激しい接客業は、業務の”仕組み化”が必要。フローチャートは、そんな”仕組み化”を進める第一歩とも言えるツールです。

 

 

フローチャートの種類

現在ビジネスシーンでは、さまざまな種類のフローチャートが使われています。どのフローチャートを使えば良いのかは、使用目的や状況によって適切な種類が変わるため、それぞれの特徴を見ておくと良いでしょう。

コンピュータープログラムの開発などに使われているフローチャートなどもありますが、ここではIT関連以外の企業、流通小売業の企業などでも活用しやすいものを、いくつかご紹介します。

 

 

種類1.ワークフローチャート

「ワークフローチャート」は、業務の手順や流れを図式化したもののことです。

日々の業務には、無意識に行なっている作業、処理がいくつも存在します。例えば、「オフィスの掃除」という業務はマニュアルやルーティーン表にあっても、「どのオフィス室から掃除を開始し、どの順番で行う」といった細かな業務は書かれていない場合が多いです。

そういった曖昧な業務の流れを可視化するのに役立つのが、ワークフローチャート。業務が悪い原因は何なのか、根本となる問題点が見つけやすくなり、解決策の発見に活用できます。また、ミス発生の防止対策としても有効です。

 

ワークフローチャートは、従業員を教育する場面でも活躍します。業務の順序や役割を、ワークフローチャートを見ることで確認できるため、伝え漏れや認識違いなどによる間違った教育を防ぐことができます。

例えば、レジ会計業務を可視化したい場合。お客さまがレジに到着する時点で業務開始となり、その後レジ打ち、レジスターの操作、代金の受け取り、商品の梱包、お渡しと続く業務を、図形と矢印を使って図式化します。新人スタッフはフローチャートで業務を確認できるほか、どのように仕事が進められるのかという、全体の流れも掴むことができます。

ただしワークフローチャート作成時は、業務を”見える化”することに意識を向けてしまいがち。目的を見失ってしまうと、せっかく作成のために割いた時間や労力が無駄になってしまいます。そのため、「何のために業務を可視化するのか」を常に意識しながら作成することが大切です。

 

 

種類2.意思決定フローチャート

「意思決定フローチャート」はその名の通り、意思決定のために用いられるフローチャート。規模も使われるシーンもさまざまですが、主に組織の利益に関わる重要な決断を下す際、下した決断の失敗要因・成功要因を分析する際などに活用されます。

どのような選択肢が考えられるか、それぞれの選択肢に沿って行動することでどのようなことが起こりうるのかを検討し、判断を下すことが意思決定フローチャートの目的。一連の思考の流れを可視化することで、主観に頼らず、論理的かつ客観的に判断できるのがメリットです。

例えば、業務でのトラブルが発生した際、組織としては最も効果的な対処法を見つけなくてはなりません。チームのメンバーで案を出し合い、決断するのが一般的ですが、各々の主観に頼って話し合った決断では成功率が安定しないでしょう。

そこで意思決定フローチャートを利用することで、「A案で対処するとこのような結果になる」「B案で対処するとこのような結果になる」という想定を視覚化し、整理することができます。結果、論理的に判断を下すことができ、より成功率の高い対処法を見つけることができるのです。

ただし、意思決定フローチャートは事実を記すものではなく、想定を図式化するもの。想定の結果はあくまで想定であり、フローチャート通りの手段をとっても、結果が異なる場合もあります。

そのため意思決定フローチャートが活躍するのは、判断の結果どのようなことが起こりうるのかが、着実にわかる場合にのみ限られます。事前に推測する結果が不明確だと、フローチャートを使って決断したとは言え間違っている可能性があるので、使う方には注意が必要です。

 

種類3.スイムレーン図

スイムレーン図は、誰がいつ、どの作業を、どのような流れで行うかを図式化したもののことです。長方形が並んだ図が、競泳プールのレーンに見えることからこのように呼ばれています。

スイムレーン図は、複数の人、組織が絡む業務の流れを可視化するのに適しています。他部署と共同で行われる業務、取引先が関わる業務などを記す場合に活用できます。

例えばアパレル企業では、商品開発から販売までの業務は、本部と店舗、工場と少なくとも3つの部門を介して行われます。本部で商品開発が行われ、工場で生産、その後店舗に発送され販売へと至る流れです。その一連の流れをスイムレーン図で視覚化することで、どの業務をどの部門が請け負うのか、役割と責任を把握することができます。

スイムレーン図はさまざまな分野・シーンで活用されている便利なフローチャートですが、図が複雑化してしまいやすいのが難点。関わる人、部門が多ければ多いほど複雑になりやすいため、見やすさに注意して作成することが大切です。

 

 

種類4.文書フローチャート

「文書フローチャート」は、2003年に出版されたAlan B.Sterneckert氏の著書「Critical Incident Management」にてあげられている、4つのフローチャートのうちのひとつで、複数の事業部門にまたがり文書を送る流れを図式化したものです。

部署から部署へ、企業から企業へと渡る文書を、どのような流れで送るか可視化することで、送り漏れや送信ミスの防止に繋がります。

例えば、企業が商品を仕入れる際、発注書や請求書などの文書のやりとりが欠かせません。文書フローチャートにて、「どの時点で、どの文書を、どこからどこへ送受信するのか」を明確にすることで、スムーズな文書のやり取りを可能にします。未送信などのミスや、その後の業務の遅延などのようなトラブルを防ぐことにもなるでしょう。

ただし文書フローチャートは、文書が送られる全体の流れを記すことはできるものの、どのような処理を行って文書を受け渡すのか、手段がわかりにくいのがデメリット。そのため、この後に紹介する「BPMN」というフローチャートやワークフローチャートなど、他の手法と組み合わせて、詳細を補うのが良いでしょう。

(参考文献:「平野一平、指導員:青山幹雄『南山大学 数理情報学部 情報通信学科 2007年度卒業論文要旨集

 

種類5.BPMN

BPMNは、「ビジネスプロセスモデルと表記法(Business Process Model and Notation)」の頭文字を取っていて、ビジネスプロセスの最初から最後までを、共通の言語を使って図式化するフローチャートのことです。

さまざまな業種における企業統合標準を開発している非営利団体「OMG(Object Management Group)」によって標準化されているため、企業独自の記号やルールを使うのではなく、定められた共通の言語で記載するため、組織外部にいる人にもわかりやすく業務を可視化できるのがメリットです。

ただその反面、一般的に使われることの多い「JIS」の記号とはやや違うため、作成する側は事前にルールや記号の知識を身に付けておく必要があります。また、フローチャートを見る側の人も知識がない場合があるため、フローチャートを共有する前に教育したり、定義を記載したりすることもマストです。

またBPMNは、他のフローチャートと比べて複雑なものが多く、作成にも時間がかかります。しかし、業務内容の理解や改善への貢献度は高く、得られるメリットは大きいため、企業の経営に深く関わる業務の見直しなどに活用すると良いでしょう。

 

フローチャートで使用する記号

フローチャートで使う記号は、基本的には自分で自由に決めることができます。フローチャートを作成する前に、どのような記号を使うのか、どのような意味を持つ記号なのかを明確に決めておきましょう。

ただしフローチャートは自分以外の人も閲覧するため、誰が見てもわかるよう記号の定義を記しておかなくてはなりません。

また、業種問わず使われている、共通の記号を使用するのもひとつの手。代表的なのが、「日本工業規格(JIS)」にて定義されている記号です。

詳しく見ていきましょう。

 

日本工業規格(JIS)で定められている記号

「日本工業規格(JIS)」は、工業標準化法に基づいて制定されている国家規格。その「日本工業規格(JIS)」発行の「情報処理用流れ図・プログラム網図・システム資源図記号」では、フローチャートに記す記号の定義が記されています。

定義されている記号には「基本記号」と「個別記号」の2種類があり、さらに「データ記号」「処理記号」「線記号」「特殊記号」の5種類に分類されます。

業種によってはあまり使わない記号もなかにはあります。全てを覚えるのは難しいですが、主要なものだけでも覚えておくと良いでしょう。

 

これだけでも大丈夫!よく使う記号 

 

基本的な記号

(弊社テンプレートから抜粋)

 

フローチャートに使われることの多い記号のなかでも、特に使用頻度の高い記号は以下の3つ。

  • 開始/終了
  • 処理
  • 判断

それぞれの記号について詳しく見ていきましょう。

 

開始/終了

業務の開始、および終了は”楕円形”の記号で表現されます。

開始と終了の表記がないと、どこが始点・終点なのか、その後に他の業務が続くのかが曖昧になってしまいます。「開始」「終了」の記号を使って始まりと終わりを明確に表記することは、業務のプロセスをわかりやすく図式化する上で非常に大切です。

 

処理

業務における処理は”長方形”で表現されます。指示を出す、手続きを行うなどのアクションは、この図形を使って表記しましょう。

1つの記号につき、1つの処理を記載するのが基本です。複数の処理をまとめて表記してしまうと、何の処理をしたら次に進めるのかがわかりにくくなるため注意しましょう。

 

判断

業務プロセスの中で行われる判断は、”ひし形”で表現します。記号内に記載されている内容、条件によってその後の結果が分岐する場合に使われる記号です。そのため「処理」記号と違い、「判断」記号から続く矢印は、2本、3本と複数になります。

業務が分岐することはよくあること。例えば、初めて来店するお客さまへの対応と、再来店のお客さまへの対応業務には違いがあります。

「判断」記号は、このような業務の分岐を表したいときに便利。また、複数の業務が同時進行するようなプロセスを、図式化する際にも使われることの多い記号です。

 

 

使えると便利な記号

 

使えると便利な記号

(弊社テンプレートから抜粋)

 

先にご紹介した「開始/終了」「処理」「判断」ほど使用頻度は高くないものの、フローチャート作成においてよく使われる記号が3つあります。

  • 準備
  • 手作業
  • 書類

これらを覚えておくと、よりスムーズにフローチャートを作成できるようになるため、一度目を通しておくと良いでしょう。

 

準備

準備は”六角形”の記号で表現します。「処理」や「判断」などのアクションを行うための準備を記載する際に使われる記号です。

例えば、レジ業務のフローチャート作成では、レジ打ちを「処理」記号で記載します。しかし、レジスターは何もせずに使える機械ではありません。使用する前に起動し、設定する必要があります。このような、アクションの前に行う準備作業を「準備」記号で表現することで、業務をより詳細にわかりやすく記載することができるでしょう。

 

手作業

手作業で行うアクションは、”台形”を逆さまにした記号で表現します。

機械による処理ではなく、人の手で処理する必要があるアクションを表記する場合に使う記号です。手作業で行う業務はヒューマンエラーが発生しがちですが、「手作業」記号を使うことで業務を強調できるため、ミスの防止になります。

 

書類

フローチャート記号における書類とは、先にご紹介した「日本向上規格」では「人間の読める媒体上のデータを表す。」と定義されています。帳票や計算記録などの書類データは、長方形の一片が波線になっている「書類」記号で表現します。

複数の事業部門でデータが行き来するような業務プロセスを、フローチャートを起こす際などに活用できる記号です。

 

その他の記号

 

 

ここまで代表的なフローチャートの記号をご紹介してきましたが、そのほかにもさまざまな種類の記号が存在します。

画像にあるこれらの記号を覚えておくと、さらにスムーズに作成できるほか、フローチャートを読み取る場合にも便利です。

例えば「ループ端」を表す記号は、繰り返し同じ作業、動作を行う業務プロセスの開始と終わりに設置します。ダブルチェックを行うことを図式化したい場合などに活用されています。

また、点線と”コの字”を組み合わせた「注釈」の記号は、説明を付け足すときに使われるもの。見やすくわかりやすいフローチャートを作成するためには、出来るだけ無駄を省くことが大切ですが、記号のみでは内容が伝わりきらない場合もあります。そのようなときに、「注釈」記号を使って補足すると良いでしょう。

ほかにも「省略」「端子」「結合子」などさまざまな記号があるので、もっと知りたいという方は「日本工業規格(JIS)」発行の「情報処理用流れ図・プログラム網図・システム資源図記号」を参照しましょう。

 

 

わかりやすいフローチャートを作成するためのポイント5つ

フローチャートは、目的や業務内容によって変化します。明確な決まりはないですが、以下にご紹介するポイントを守って作成すると、よりわかりやすく仕上がります。

 

ポイント1:左から右へ、上から下へ

フローチャートは、左から右へ、もしくは上から下へ向かって流れを記入するのが基本です。そうすることで、閲覧する人が感覚的にフローチャートを読み取ることができ、理解がスムーズになります。反対向きの流れで作成すると、不自然で読みにくくなるため、このルールは最低限守りましょう。

 

ポイント2:記号を統一する

記号を統一することも、フローチャートを作成する上で非常に大切です。

記号がバラバラになると、閲覧する人を混乱させ、業務を可視化しわかりやすく整理するという、フローチャート本来の目的から外れてしまいます。また、作成する側も混乱しやすくなり、フローチャートに間違いが起きてしまう恐れがあるので、最初から最後まで同じ記号を使うようにしましょう。

 

ポイント3:用語・記号を定義する

フローチャートは、複数の職種や部門が関わる業務も可視化できるのがメリット。そのため、外部の人とフローチャートを共有する機会が多々あります。しかし、用語や記号の定義がなければ、相手は意味を理解することができません。

どのような記号を使うのか、記号がどのような意味を持つのかを、はじめに定義しておくことが重要。専門用語を使う場合は、説明も詳細に記載しておきましょう。「相手も知っているはず」と推測せずに、誰でも理解できるようなフローチャート作成を目指すことが大切です。

 

ポイント4:前提条件を定義する

業務プロセスを開始するための条件がある場合は、フローチャートのはじめに定義を記載します。「条件A、条件B、条件Cが揃ったときの業務プロセスである」ということを定義しておくことで、どのようなときに利用するフローチャートなのかが明確になるからです。

例えば、商品に関するクレーム発生時の対応は、お客さまが購入レシートを所持しているか、していないかによって業務プロセスは変わります。前提条件として「お客さまが購入レシートを所持している」と定義しておくことで、従業員は適切な対応を行うことができるでしょう。

 

ポイント5:理想、推測は書かない

フローチャートは業務改善のために作成するため、理想や推測を書かないようにするのがルール。現状とは異なる業務プロセスを記載してしまうと、正しく分析できず、的確な改善方法を見つけられなくなってしまうからです。

まずは現状を把握するため、事実を元に業務プロセスの流れを視覚化。その後に、理想へと近づくよう試行錯誤するのが、正しいフローチャートの活用方法です。

(参考書籍:「飯田修平(2021)『業務工程(フロー)図作成の基礎知識と活用事例[第2版][演習問題付き]』日本規格協会ソリューションズ株式会社」)

 

フローチャートを書く手順

それでは、フローチャートを書く手順をご紹介していきます。目的や状況によって順番が前後する場合もありますが、まずは基本となるやり方を記載していきますので、迷った際はぜひ参考にしてみてください。

 

手順1:目的、対象者を設定する

まずは、何のために、誰のために作成するフローチャートなのかを明確にします。

目的を見失ってしまうと、せっかくフローチャートを作成しても、業務を的確に改善できず無駄になってしまいます。また、誰のためのものなのかを明確にしておかなければ、フローチャートの内容が曖昧になり、活用することさえ難しくなる恐れもあるので、作成する前に目的と対象者を設定しておきましょう。

 

手順2:ツールを選択する

ツールは、目的とフローチャートの内容に合わせて選びます。

紙やペンを使って手書きで作成する方法もありますが、フローチャートを組み替えたい場合に、書き直ししにくく不便です。そのため、パソコンを使って作成するのがおすすめ。最近では、フローチャート作成のための専用ツールなどもあるので、それらを活用してみると良いでしょう。

 

手順3:作業をリストアップする

目的と対象者を設定し、ツールを選択したら、次にフローチャートに載せる業務内容をリストアップします。

記入漏れのないよう、できるだけ細かく要素を洗い出すことがポイント。要素が多すぎる場合はフローチャートをいくつかに分ける、アクションをまとめるなど、簡潔化する対処は後からでも考えられるので、まずは全ての業務を書き出しましょう。

また、フローチャートは完成させることがゴールなのではなく、活用することが目的。作業をリストアップする際は、実際に業務が行われている現場から情報を集めることが大切です。そうすることで、実用性の高いフローチャートの作成が可能になります。

特に第三者がフローチャートを作成する際は、現場の状況を把握しきれていない場合が多いので、情報収拾を念入りに行いリストアップしましょう。

 

手順4:ラフスケッチを作成する

いきなりパソコンを使って作成することへのハードルが高い場合は、ここで手書きで簡単にフローチャートを書いてみるのがおすすめです。手軽にイメージを掴むことができますし、作成時の注意点などをメモしておくこともできます。

 

手順5:フローチャートを組み立てる

いよいよ、記号や線記号を使ってフローチャートを組み立てます。事前に決めた目的と対象者、ツール、記号を駆使し、リアルな業務プロセスを作り上げましょう。先に述べたように、使用する記号の定義や前提条件、専門用語の解説なども忘れずに。

 

手順6:分析・最適化

フローチャートの作成が完了したら、業務に改善すべき点はないか、効率よく行われているかを分析します。ここで分析し、検証することがフローチャート活用の醍醐味です。

できれば業務に携わる人にも意見を聞き、情報収拾すると良いでしょう。現場の人と相談しながらフローチャートを組み替えたり、問題点を探したりすることで、より実際の業務で活きる解決方法を見つけ出すことができます。

 

手順7:フィードバック・改善・共有

最後に、フローチャートが最適かどうか、正しいかどうかを検証しフィードバックを行います。フローチャート自体が間違っている、もしくは最適化されていないといった状態では、導き出した業務の改善策も正しいとは言えないからです。

より正しく、最適なフローチャートを作成するため、できるだけ多くの人に見てもらい、フィードバックをもらうのがおすすめ。そして改善すべき点は改善し、最適なフローチャートが完成したら、携わる人に共有しましょう。

 

 

フローチャートをより見やすくするコツ

 

誤った書き方と正しい書き方

 

誰もが理解しやすく、かつ実用的なフローチャートを作成するためには、図面を見やすくすることが大切。しかし、どのようなことを意識すれば良いのでしょうか。

ここからは、フローチャートをより見やすくするコツをいくつかご紹介します。

 

 

コツ1:縦・横の列を揃える

フローチャートの記号は、縦と横を揃えて記入することで、一気に整った印象になります。上下左右にバラバラに配置すると、記号と記号の間の空間にムラができ、見にくくなるため注意しましょう。

縦と横の列を揃えつつ、さらに時系列で記号を並べるとよりわかりやすくなります。特に、複数の作業が並行して行われる業務を図式化する際、どのアクションとどのアクションが同時進行するのか明確になるため、ぜひ意識してみましょう。

 

コツ2:色を使いすぎない

モノトーンではなく、適度に色分けして作成したフローチャートは、パッと目で見てわかりやすく便利。しかし、色の使いすぎるとかえってわかりにくくなるため、注意が必要です。

強調したい記号のみ色を付ける、作業の種類ごとに2〜3色で色分けするなど、適度に色を使いましょう。判断しにくいときは人に見てもらい、客観的に見やすいかどうか意見を促すのもおすすめです。

 

コツ3:矢印は斜めに走らせない・交差させない

記号と記号を繋ぐ線記号を、斜めに走らせたり、交差させたりするとフローチャートが複雑になってしまいます。”斜め線”ではなく”折れ線”を使い、見やすくしましょう。

特に、記号と記号が縦一列、横一列に整列できない「分岐」記号を使うときに注意。また、スイムレーン図などで線記号が交差してしまう場合は、レーンの並び順を入れ替えることで、回避できます。

 

コツ4:主語や目的を記号に記入しない

記号内に記載する文面は、基本的に主語や目的を記入しません。誰が行うのかを記したい場合は、スイムレーン図などを使い、事業部門ごとにアクションをまとめます。目的などの記載が必要な場合は注釈記号で補足するなど、工夫しましょう。

また、「〇〇を行う」「〇〇をする」は「〇〇する」と表記することで簡潔になります。記号内に記入する内容は、なるべくシンプルになるよう意識しましょう。

 

コツ5:フォークノード/ジョインノードを活用する

複数のアクションが同時進行するフローチャートを作成する際は、「フォークノード」「ジョインノード」と呼ばれる太線の記号を活用するのがおすすめです。

「フォークノード」は並行処理の始まりを表す記号で、「ジョインノード」は並行処理の終わりを表す記号です。この2つを設置することで、同時進行する業務がどれなのかが明確になり、図式もスッキリとわかりやすくなります。ぜひ活用してみましょう。

(参考書籍:「飯田修平(2021)『業務工程(フロー)図作成の基礎知識と活用事例[第2版][演習問題付き]』日本規格協会ソリューションズ株式会社」)

 

 

まとめ

業務を見直し、改善策を講じるには時間も労力もかかるため、どうしても避けてしまいたくなるものです。「日々の業務をこなすことを優先してしまい、業務自体に目を向けることなんてしばらくしていない。」「その場しのぎの対処方法でなんとかやってきた。」というケースも少なくありません。

しかし、フローチャートをうまく活用すれば、業務効率や生産性が上がります。業務の効率がアップすると日常業務をこなす負担が減り、業務を見直すための時間や労力を確保しやすくなるはずです。

ぜひ今回ご紹介した手順やコツを参考に、小規模なフローチャートの作成から始めてみてはいかがでしょうか。

著者
松木 謙介
2017年にピーシーフェーズ株式会社に新卒で入社。大手飲食チェーン店のマニュアルデジタル化プロジェクトに携わり、2年目から人材育成クラウドサービス「shouin」の立ち上げ、現在までプロダクト開発に携わる。「研修をもっとラクラクに」できるよう、試行錯誤を続ける日々。趣味はサッカー観戦、ゲーム、読書、他多数。

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