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組織マネジメントを成功させる5つのポイントと取り組み事例をご紹介!

平準化
2020.12.04
和田 薫帆


※画像はイメージです

企業経営において組織マネジメントが重要であることはなんとなく分かっていても、自社に当てはめると何をすべきか判断できない、という人事担当者は少なくありません。組織マネジメントには絶対的な正攻法がないので、改善策を戦略的に考えることは後回しにしてしまいがちです。

そこで本記事では組織マネジメントについて、成功させるための重要ポイントを解説し、最後に3つの取り組み事例をご紹介します。

組織マネジメントとは


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組織マネジメントとは、組織の生産性を高める目的で経営リソースに施す変化のことです。経営リソースとは「人材」「資金」「モノ」「情報」「モチベーション」を指します。マネージャーは目的達成のため、戦略的に組織マネジメントをおこなっていかなければなりませんが、価値観の多様化や情報のスピード化といった現代を取り巻くめまぐるしい変化を踏まえて対応する必要があります。

組織マネジメントを成功させるため、マネージャーは何を考えるべきか、ポイントをおさえておくことが大切です。

組織マネジメントを成功させるために重要なポイント


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組織マネジメントに成功の方程式はあるでしょうか。組織によって経営課題や最適解は異なります。また、そこで働く人々の価値観も人の数だけ存在しています。

社員個々の価値観をひとつにまとめるのは困難であり、経営陣が強引にビジョンを共有しようとすれば、従業員から「価値観の押し付け」だと捉えられるでしょう。かといって、個々の違いを認め価値観を尊重しすぎれば、それはバラバラな個の集合体であり組織とは呼べません。

組織マネジメントは、この「集団と個人」の間に横たわるジレンマを解決することであるといえます。組織や経営目標に寄るべきか、個々に寄り添うべきか、そのバランスは組織ごとに変わり、状況によっても変化します。

すべての組織に対応した「勝利の方程式」はありませんが、組織ごとに「自社にとって成功の方程式」があると信じて探し続け、試行錯誤し続けることこそが組織マネジメントです。
そして「終わりなき試行錯誤」に対し、組織としての指針を持つことが組織マネジメントを成功に導くポイントになります。

では、組織としての指針・アプローチ方法はどのようにして見出せばよいのでしょうか。

組織の「譲れない軸」を決める

まずは組織の存在理由に目を向けます。どんな組織も、立ち上げる理由があったから存在しています。多くの場合、組織の存在理由や目的は企業理念やスローガン、社訓に言語化されているはずです。

・社会的課題を解決するため
・従業員が生き生きと働ける会社
・業界のリーディングカンパニーであり続けること
・テクノロジーによって業界に革命を

上記のように「ここだけは絶対に譲れない」という軸を定めることで、「自社にとっての成功」が何であるかが見えてきます。

組織は変わり続けなければならない

絶対に譲れないもの=変えてはいけない価値観が定まれば、ほかの要素はすべて柔軟に変えていかなければなりません。変化の激しい時代をくぐり抜け生き残ってゆく企業には、大胆に変わり続ける柔軟性が必要です。

組織の課題と解決策を共有する

組織が変わり続ける目的は、組織が抱える課題の解決にほかなりません。組織の課題を可視化して従業員ひとりひとりと共有することが重要です。いま、組織は何をすべきなのか、このまま変わらなければどうなってしまうのか、危機を回避するために何ができるのかなどを社員に浸透させることで、従業員に当事者意識が育まれます。

「現状の課題」と「数年後の課題」を設定する

課題の可視化は現状だけでなく、数年後に起こるものを想定することも大切です。長期的視点で何が問題になるかを予測しておけば、準備にリソースを割くことができます。

組織の課題と個人の目標設定をリンクさせる

組織の課題を明確化したら、それをいかに個人の課題と紐づけてゆくかが重要です。個人のモチベーションを組織の課題解決につなげることで、集団と個のジレンマが解消され、個人の働きが組織の課題解決に直結する組織に近づきます。

とはいえ、従業員の働く理由はそれぞれに異なります。そこで重要になるのが「対話」であり「人事制度」「評価・報酬」です。

対話と制度・評価のバランス

組織開発において「対話」と「制度・評価」は欠かすことのできない要素です。従業員には自らの価値観を損なわずに自分らしく働きたいという渇望があり、それを理解するためには対話が必要になります。
一方、組織が目的達成のために設計するものが人事制度です。従業員の自主性を尊重しながらも、ときに経営側から組織の活性化を促すことが大切であり、人事や評価制度がその役割を担います。

対話と制度、両輪のバランスをとることが組織マネジメントの勘所です。

従業員ひとりひとりとの対話

宇田川元一氏(埼玉大学大学院人文社会科学研究科)は、組織マネジメントにおける対話のプロセスを次のように論じています。

対話とは、単なる一対一のコミュニケーションではないし、ワークショップでもありません。自分が生きているナラティヴを一旦脇に置いて、相手を観察し、相手がどういう世界にいるのか解釈して、それから介入する。この「準備・観察・解釈・介入」という4つのステップが、対話のプロセスだと考えています。
(引用:“机上の組織論”に固執せず、変化を拒まない組織へ──“事業軸”で考える「経営のための人事」とは?

対話とは従業員の考えを理解して何を求めているのか想像し、言動によって理解を表現することです。対話によって生産性の源泉であるモチベーションが高まり、自主性や判断力といったビジネスの基礎体力も向上します。

1on1ミーティングに代表されるような、ひとりひとりと向き合う時間を増やすことで、個人の課題解決を組織の課題解決へと近づける可能性が高まるのです。

人事制度・評価システム

対話だけですべての経営課題が解決できるわけではありません。現状から目標までの距離が遠ければ遠いほど、人事によるアクションが求められます。
人事とは採用、異動、登用、評価から成ります。それぞれの項目ごとにKPI(Key Performance Indicator:主要業績評価指標)を設定し、適材適所な配置転換をおこない、人材を抜擢します。さらに、適切な評価を下せるよう評価制度にもメスを入れることで、組織は成長してゆきます。人事制度の整備や評価システムの改善は組織を大胆に活性化させるもっとも有効な手段です。

組織マネジメント3つの事例

ここからは、組織マネジメントを成功させた企業事例を3つご紹介します。

Google|世界一の組織を支える「本音の文化」

Googleはいわずと知れた世界トップのテクノロジー企業です。Googleは組織のあり方として「心理的安全性」を重視しています。心理的安全性とは、従業員がリスクある行動をとろうとするとき、周囲のネガティブな反応を気にすることなく、臆せずに動くことのできる「チームに対する信頼感」のことです。

Googleでは毎週金曜日に、CEOへ直接質問し、回答をもらえる「TGIF(Thank God, It's Friday!)」というミーティングをおこない、経営陣と従業員の間に信頼関係を築いてきました。

また、社員同士がリスペクトし合えるよう、採用の段階からアンコンシャスバイアス(偏見や無意識の思い込み)を排除する仕組みも整備されています。さらに、マネージャーへのチームメンバーからのフィードバックなど、Googleはフラットな関係性を作るためにあらゆるアイディアを具現化している企業なのです。

参考:なぜGoogleは本音で語る文化を重視するのか

星野リゾート|従業員のモチベーションが赤字を救った

星野リゾートの社長、星野佳路氏が静岡県にある老舗旅館「旧いづみ荘」(現在は伊東温泉「界 伊東」という名称)を復活させたエピソードにも、組織マネジメントの真髄が含まれています。

「旧いづみ荘」は、星野氏が再生に乗り出した2005年に40億円もの負債を抱えていたそうです。従業員たちにも「何かをしなければ未来はない」という危機感はあったものの、具体的な行動に落とし込めてはいませんでした。

そこで星野氏がおこなったのが、コンセプト作りです。星野氏は現場スタッフから日ごろの業務における気づきや振り返りを徹底的に聞き出し「50代以上の女性から圧倒的なリピート率がある」という事実を導きだします。
「50代以上の女性をターゲットとした温泉宿」というコンセプトが明確になったことで、もともと行動欲求のあった従業員たちのモチベーションが一気に高まり、客室稼働率が前年比10%増となるまでに業績を回復させました。

星野リゾートの事例は、従業員のモチベーションがいかに重要であるか、そしてコンセプトの明確化がいかにモチベーションと密接であるかを示しています。

参考:星野リゾートの事例で考える「モチベーション」と「やる気」の大きな違い

花王|配置転換がクリエイティブを生み出す

1980年に大企業花王を率いた丸田芳郎氏は、働き方改革という言葉が生まれるよりずっと以前から、自社の働き方を変革してきた先見の明のある社長でした。
丸田氏は、まだコンピューターの黎明期だった時代にいち早く花王の生産管理へパソコンを導入し、生産性を劇的に高めました。

しかしコンピューター活用により生産管理にかかわる無駄な経費を大きく削減することに成功した反面、生産管理部門が不要になってしまったことで2,500人もの社員が仕事を失うことになります。
そこで丸田氏は、自社で新たに印刷の会社やコンピューターの会社を作り、そこへ余った人員を配置しました。新しい配属先では、前例がない職だったこともあり、社員たちは自分たちで何をすべきか考えるようになり、クリエイティブが生まれていったのです。

組織マネジメントにおいて、新事業や配置転換は思わぬ変革の種になります。

参考:花王の成功事例に学ぶ組織マネジメントの手法とは

まとめ

組織マネジメントとは、組織の持っている経営資源を最大限に活かし、生産性を高めてゆくため組織に施す変化のことをいいます。
組織マネジメントに最適解はありませんが、自社にとって何がベストなのか試行錯誤し続けることこそが組織マネジメントであるといえます。

組織マネジメントを成功させるためには、組織の譲れない軸を決めて、それ以外はすべてを変えてもいいという気概が必要です。また、経営課題を共有し、従業員個々の目標と組織の課題を結びつけること、対話と制度のバランスをうまく調整することも重要です。

本記事では3つの事例を紹介しましたが、組織マネジメントの手法は組織の数だけ存在します。この機会に、自社の組織マネジメントを見直してみてはいかがでしょうか。

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著者
和田 薫帆
新卒で保育園栄養士として従事後、ピーシーフェーズ株式会社へ入社。 現在はインサイドセールスとして、顧客のナーチャリング施策やインバウンド架電、セミナー運営を中心に従事。

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