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新人研修の適切な期間はどれくらい?短期間で成果をあげるポイントや研修サービス選定方法を解説

作成者: 『shouin+ブログ』マーケティング担当|Dec 4, 2020 11:38:06 AM

人材育成の基盤となる、新入社員研修。「人財」という言葉が浸透した今、以前以上に新入社員研修に対する期待が高まっています。

研修内容、研修手法、教材……と考えるべきことは多くありますが、今回は、研修担当者の悩みのひとつである「期間」にクローズアップしていきます。

平均的な期間や、短期間で効果的な研修を行うポイント、効率化に役立つサービスなど詳しく解説しますので、「研修期間が長いと意見される」「新入社員研修のスケジュールの立て方がわからない」とお悩みの方は、ぜひお役立てください。

 

新入社員研修とは

新入社員研修とは、業務に必要な知識や能力、会社のルールなどを教える研修のこと。企業に必要な人材を確保するため、社員育成の一環として行われます。

研修の主な目的は「社会人としての自覚を身につけること」「社員の一員として必要な知識・スキルを習得すること」などです。また、教育を担当する社員をはじめ、既存社員との人間関係を構築する狙いもあります。

引用:「HR総研:人材育成に関するアンケート調査(階層別研修)」HR総研

研修内容は企業や業種によって異なりますが、「HR総研(ProFuture株式会社)」の調査によると、「社会人としての心構え」や「マナー」をメインに教えることが多いようです。

専門的な技術を必要とする職種の場合は、これらの基本知識に加え、専門知識・スキルを身につけるための期間を設けることが多いです。

研修の実施内容やカリキュラムについては以下の記事でも詳しく紹介しています。

■参考記事はこちら

新入社員研修では何をするべき?内容やカリキュラムの作り方をわかりやすく解説(事例付)

 

新人研修が実施される平均的な期間は?

新人研修の期間は、短すぎても長すぎても期待する結果が得られなければ意味がありません。新入社員が、無理なく飽きずに習得できる期間を設けることが重要でしょう。

では、実際に新人研修に適した期間はどれくらいなのか、多くの企業が実施している平均的な期間を参考に確認していきましょう。

 

新人研修の平均期間は約1か月~3か月程度

新入社員研修の期間の長さは、学ぶ内容や企業の方針によって大きく異なります。

引用:「キャリアジャーナル|就職/企業情報の総合サイト」株式会社Synergy Career

株式会社Synergy Careerが2023年に行った調査の結果を見てみると、新入社員研修の実施期間で最も多かったのは「約3か月」でした。次に多かったのは「約1か月」の回答で、全体の20%以上を占めています。

このことから、約1か月~3か月の期間で新入社員研修を行う企業が多いと推測できます。

引用:新社会人の研修期間は平均2.9カ月。一般業種の59.0%が1カ月以内で通常業務へ

fabcross for エンジニア

fabcross for エンジニア」が行った調査では、「事務系・その他」の回答として最も多かったのは「1か月未満」、「技術系」の回答で最も多かったのは「3か月未満」でした。

こちらの調査結果からも、1か月~3か月が平均的な期間であるといえます。また、技術職など専門的な知識を必要とする職種は、そのほかと比べて期間が長くなる傾向にあります。

なかには半年間かけて新入社員研修を行う企業もありますが、一般的には3か月以内で終わらせているようです。

 

新入社員研修の期間を決めるポイント

研修の期間が長くなりすぎると、新入社員のモチベーションが下がることも予想されます。特に、研修中の給与を低く設定している場合は、長ければ長いほど不満を募らせます。

では、適切な期間を定めるにはどうすれば良いのでしょうか。決める際の3つのポイントについて見ていきましょう。

 

ポイント1:企業の業態や職種に合わせて決める

新入社員研修の適切な期間とは、「必要な知識・スキルが十分に身につく期間」です。よって、学ぶべき情報量が多い職種や、入社後に覚えるべき業務量が多い業態の企業は、期間を長めに設定する必要があるでしょう。

たとえば銀行などでは、新入社員研修を一度に実施せずに、On the Job Training(以下OJT)を含めて段階的に行うことが多いようです。そのため、平均3か月~4か月程度の期間が必要とされます。

また、アパレルなどの接客業は、実際に接客しないと学べないことが多い職種です。場数を踏むことでスキルが身につくため、OJTを含む研修期間を長く設けるべきでしょう。

 

ポイント2:研修のゴールに合わせて決める

研修期間の長さは「どのレベルまで育てるか」によっても変わります。育成ゴールのレベルを高く設定すれば、その分、長い期間が必要になります。

先ほどの接客業の例でいえば、最低限の接客ができれば良しとするのか、それともハイレベルな接客を求めるのかによって、長さが変わります。

人員確保を目的とするなら、早く現場に出ることが優先されるため、必要最低限の知識・スキルを身につけることがゴールになります。その場合の研修期間は、短めに設定するのが適切です。

このように、期間を決める際は「ゴール」が重要になります。よって、予め研修の目的と、育てたい人材像を明確に決めておくべきでしょう。

 

ポイント3:研修規模に合わせて決める

研修の規模によっては、期間を長く設定せざるを得ない場合もあります。

育成対象の人数が多ければ多いほど、期間に余裕を持たせた方が良いと考えられます。無理やり短い期間を設定してしまうと、教育が不十分になるからです。特に、大企業で新卒社員を多く採用した場合は、長めに設定すると良いでしょう。

とはいえ、長すぎるとモチベーションが低下する恐れがあります。そのため、「eラーニングと組み合わせる」「教育担当者数を増やす」など効率を上げるための工夫が必要になるのです。

 

新入社員研修の流れ

研修期間を適切に設定するには、何を、どのように進めるのか「流れ」を把握しておくことが大切です。企業によって異なりますが、大まかな流れは以下のとおりです。詳しく見ていきましょう。

一般的な新入社員研修の流れ

一般的な新入社員研修は、オリエンテーションやビジネスマナーの習得から始まり、業務知識の習得、OJTという流れで行われます。期間は企業によって偏りがあるものの、OJTに時間をかけるところが多いです。

なかには、泊りがけで集中的に行う企業もあります。また、OJT前にロールプレイやシミュレーションを行うなど、企業それぞれの取り組みによって研修期間が変わります。

 

職種別の新入社員研修の流れ

新入社員研修の流れは、職種によって大きく異なります。ここでは、4つの職種をピックアップして例を解説していきます。

①飲食業

上記は、飲食業の店舗スタッフを想定したスケジュールの例です。

飲食業は、実際に手を動かして実践的なスキルを身につけることが重視されます。よって、OJTにじっくりと時間をかけるところが多いです。また、配属先での人間関係を構築するためにも、OJTをなるべく早く実施すると良いでしょう。

 

②販売業

上記は、販売業の店舗スタッフを想定したスケジュールです。

飲食業の店舗スタッフと同じく、販売職も現場でスキルを磨くことが重視される職種で、OJTに時間をかける傾向にあります。

また、OJTに対する不安解消のため、そして講師による接客指導を受けてもらうため、ロールプレイ研修を行うところもあります。その場合、OJT前の期間が長めになるでしょう。

 

③技術職

技術職は、入社後に習得すべき知識・スキルが専門的、かつ多いのが特徴。教育漏れや理解不足を防止するため、OJT前の研修期間を長く設けているところが多いです。上記例のように、半年かけて新入社員研修を行うところもあります。

 

④看護職

看護職の新入社員研修は、知識・スキルを段階的に習得する流れで行われることが多いです。OJTにて技術を習得させつつ、定期的に集合研修を実施する、といったスタイルです。

研修期間が特に長く、約1年、もしくは1年以上かけて行われます。期間中、3か月後、6か月後、1年後と定期的に振り返りを行うのも、看護職の新入社員研修の特徴です。

 

短期間で新入社員研修を成功させる方法

新入社員と教育担当者、双方の負担を大きくしないためにも、なるべく研修は短く済ませたいもの。しかし、教育が不十分となってしまっては本末転倒です。

そこで対策として挙げられるのが、効率化に役立つサービスの活用です。ここでは5つのサービスについて解説しますので、効果的かつ効率的な研修の実施を目指している方は、ぜひ参考にしてみてください。

講師派遣(出張研修)

講師派遣は、講師を社内に招いて研修を行うサービスです。さまざまな分野での研修内容が用意されていることが多く、社内固有の施策を盛り込むことも可能です。要望に沿って研修カリキュラムを作成し、自社の新人研修を部分的、またはすべての研修を派遣された講師によって実施します。

出張研修を行っている講師およびサービス提供企業には、経験によるノウハウがあります。そのため、サービスを利用することで、効果的かつ効率的な研修を実現できます。

また、社員が講師役を担う場合と違って、通常業務と並行する必要がありません。講師担当の社員の都合で、教育を一時停止させる……といったハプニングが起きることもなく、研修をスムーズに進められます。

 

社外セミナー

社外セミナーは、新入社員研修のために用意されている研修の中から、必要なものを受講できるサービスです。一般的なビジネス知識を習得するものや、職種別の強化セミナーなどがあります。

講師派遣サービスと同じく、研修の一部を外部に任せることにより、自社で教育する時間を減らせます。研修資料を用意する必要もないため、準備期間の短縮化につながるでしょう。

また、外部企業に委託するスタイルは、一般的な知識および最新の知識が得られるのもメリット。

例えば自社で教材を用意し、自社の社員が講師を務める場合、内容が閉鎖的になりやすいです。そのため、研修を実施する前に講師を育成し直し、知識をアップデートする必要があります。

社外セミナーの場合は、その必要がありません。よって、社外でも通用する社員を効率よく育てられる方法といえるのです。

 

ワークショップ

ワークショップは、グループで意見を出し合いながら課題に取り組み、かつ共同作業の場を提供する体験型研修サービスです。コミュニケーションをとりながら行うことから、アウトプットによる学習理解度の向上が期待できます。

また、社員の主体性を育てるのにも効果的です。自分の意見を発言する習慣、自分で物事を考える力を研修で身につけてもらうことにより、主体的な社員を育成できます。

ワークショップは自社で行うことも可能です。しかし、採用者数によっては、十分な人数を集められないこともあります。そのようなときは、外部のサービスを利用すると良いでしょう。

 

eラーニング

eラーニングは、インターネットなどの通信手段を使って教育するサービスです。研修参加者は「いつでも」「どこでも」内容を確認でき、予習・復習による理解度の向上が期待できます。

たとえば、OJTに入る前にeラーニングで知識を身につけておいてもらうことで、実践するときにスムーズに進みやすくなります。また、1度のOJTで理解しきれなかった内容も、あとから見返して、理解を深めることが可能です。

教育担当者が何度も教える必要もなく、お互いの負担軽減につながるでしょう。

 

動画配信(ライブ配信)

動画配信は、セミナーや社内広報などのように、その場にいなくても配信された動画をみることができるサービスです。通信教育と同様、時間帯や場所を気にせずに受講することが可能です。

ワークやディスカッションを行わない分、短時間で集中的に知識を身につけることができます。また、社外セミナーや集合研修のように、移動に時間を割く必要もありません。特に店舗型ビジネスを展開する企業にとって、効率的な研修手法といえるでしょう。

配信した動画をアーカイブとして残すスタイルであれば、復習にも便利。アウトプットができないというデメリットはあるものの、知識のインプットの効率化を図る際に非常に役に立ちます。

 

研修の選定ポイント

研修に役立つサービスは数多く存在します。その中から自社に適したものを選ぶには、どうすれば良いのでしょうか。

選定する際に意識しておくと良い4つのポイントについて解説していきます。

研修の目的とゴールを明確にする

世間から良いサービスと評価されるものであっても、自社の目的を果たすことができなければ意味がありません。そのため、サービスを選ぶ際は、新入社員研修の目的とゴールを基準に決めることが大切です。

たとえば、接客スキルの習得を目的とする場合、OJTの研修効果アップが期待できる「eラーニング」が有効です。新入社員にハイレベルな接客レベルの習得を求めるならば、外部講師による専門的な指導も選択肢に入るでしょう。

新入社員と既存社員のチームワークを育むため、なるべく早く配属先に移って欲しい場合は、遠隔でも研修を実施できる動画配信が便利です。OJTと知識の習得を同時に進行し、効率よく教育を進めることができます。

このように、目的とゴールに合わせて、自社に適したサービスを見極めることが大切です。ときには複数のサービスを組み合わせるなど、柔軟に考えてみましょう。

 

サービスのメリット・デメリットを把握したうえで選ぶ

自社にとって適切なサービスを見極めるには、それぞれのメリット・デメリットを把握しておくことも重要です。

  メリット デメリット
講師派遣
  • 講師を育成する必要がない
  • 自社にない知識/スキルを得られる
  • 専門家から指導してもらえる
  • 教材を準備する必要がない(準備しなくてはならない範囲が減る)
  • 講師の依頼料がかかる
  • 研修内容を把握するための情報共有が必要
  • 講師の見極めが重要になる
社外セミナー
  • 講師を育成する必要がない
  • 自社にない知識/スキルを得られる
  • 専門家から指導してもらえる
  • 教材を準備する必要がない
  • 必要な情報をピンポイントに学べる
  • 交通費、移動時間などのコストがかかる
  • 参加費用がかかる
  • 参加者が何を学んだのか把握しづらい
  • 学習の理解度を把握しづらい
ワークショップ
  • ディスカッションによる研修効果の向上
  • 自分で考える/発言する力が身につく
  • 研修に対するモチベーションが上がりやすい
  • 参加費や移動コストがかかる
  • 参加者が何を学んだのか把握しづらい
  • 学習の理解度を把握しづらい
通信教育
  • 学習する場所/時間が限定されない
  • 参加への移動コストがかからない
  • 予習/復習に活用しやすい
  • (機能によっては)学習の進捗を確認できる
  • フォローアップなど、研修後の人材育成に活用しやすい
  • 教える側の熱量が伝わりにくい
  • 学習内容を理解した”つもり”になりやすい
  • コンテンツを準備する必要がある
動画配信
  • 学習する場所(や時間)が限定されない
  • 参加への移動コストがかからない
  • 文や図だけでは伝わりにくい内容もわかりやすく解説できる
  • 「通信教育」と連携させやすい
  • ディスカッションやロールプレイができない
  • 学習内容を理解した”つもり”になりやすい
  • 動画を配信する環境の整備が必要
  • 動画配信時の台本や、動画内に差し込むコンテンツの作成が必要

効率的に思えるサービスでも、準備に時間がかかるなど、かえって非効率的な場合もあります。準備段階から実施期間、研修後と、全体的に見てどのサービスが最適か見極めましょう。

 

受講者の目線に立って考える

新入社員研修は「受講者にとって効果的か」が最も重要です。そのため、サービスを選ぶ際も受講者の目線に立って考えることが重要になります。

『「強い人材」を育てるための成功する研修設計入門』という書籍でも、以下のように言及されています。

受講生がリアルな空間で他のメンバーと意見交換をしたり、切磋琢磨を重ねたり、そのような期待を抱いているときに、あっさりとオンラインの研修を設定してしまう。そうすると単に臨場感が制限されるだけでなく、期待のレベルが大きく低下するといった弊害までもが生まれることになります。

引用:「秋葉佳宏、笹木耕介(2021)『「強い人材」を育てるための成功する研修設計入門』スタンダーズ・プレス株式会社」

効率化ばかり重視すると、つい受講者の視点を失ってしまいがちです。研修期間を短縮できても、受講者が「内容がわかりにくい」「業務に必要なスキルが身についていない」と感じてしまうのであれば、それは成功とはいえません。

新入社員研修の本来の目的を見失わないよう、注意しましょう。

 

研修後の活用も想定してサービスを選ぶ

研修を業務に活かすのに欠かせない、フォローアップ。サービスを選ぶ際は、フォローアップにも活用できるものにすると、より効率的です。

たとえば「shouin+」にあるようなテスト機能があれば、内容の理解度を確認できます。課題が明確になり、教え直しやスキルアップ強化などの対策を講じることができます。

また、学んだことをオンラインで報告できる機能があれば、配属後の成長を管理したり、フィードバックしたりといったサポートが可能に。

期間中だけでなく、その後も想定してサービスを選ぶことが、より効率的かつ効果的な研修を実現するポイントです。

 

まとめ

新入社員研修の平均的な期間は1か月、3か月、半年……と幅広く、決めるのに悩んでしまうものです。そのうえ、スケジュール通りに進まないことも珍しくありません。

自社にとって適切な期間は、トライアンドエラーを繰り返すことで導き出すことができます。はじめは平均を参考にし、振り返りと改善を徹底することが大切です。

効率化に役立つサービスも利用しつつ、社員にとっても研修・教育担当者にとっても、ベストな期間を探しましょう。