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従業員エンゲージメントを高める要素とは?具体的な向上施策や企業事例も紹介

ノウハウ ナレッジ
2025.04.11
『shouin+ブログ』マーケティング担当

従業員が働きやすい職場環境をつくることは、いまや企業存続に欠かせない重要なミッションのひとつです。しかし最近では、従業員が単に「働きやすい」と感じるだけでは離職や企業の衰退を防げない、という考えが広まりつつあります。

そこで注目を浴びているのが「従業員エンゲージメント」と呼ばれる指標です。本記事では、従業員エンゲージメントの高低に関与する要素や、向上施策の例、企業の取組事例などをご紹介しています。意欲的・主体的に働く従業員を増やしたいと考えている経営者の方、人事部の方はぜひ最後までご覧ください。

 

従業員エンゲージメントとは

従業員エンゲージメントとは「従業員が組織に貢献しようとする意欲」のこと。「約束」「契約」などの意味を持つ英語の「engagement」から成る言葉です。

従業員エンゲージメントについての明確な定義はありません。例えば『エンゲージメント経営』の著者である柴田彰氏は、以下のように説明しています。

社員エンゲージメントをごく簡単にいうと、「自分が所属する組織と、自分の仕事に熱意を持って、自発的に貢献しようとする社員の意欲」である。

引用元:柴田彰(2019)『エンゲージメント経営』

また、『組織の未来はエンゲージメントで決まる』という書籍では、以下のように解説されています。

従業員の一人ひとりが企業の掲げる戦略・目標を適切に理解し、自発的に自分の力を発揮する貢献意欲

引用元:新居佳英(2018)『組織の未来はエンゲージメントで決まる』

さまざまな解釈がありますが、従業員と企業が互いに利益を与える良い関係を結べているか、意欲的に働ける環境を組織が提供できているかなどを測る指標として活用されています。

 

従業員満足度との違い

従業員満足度との違い

従業員にとって働きやすい環境の整備は、以前から重視されてきた課題です。その際は「従業員満足度」という指標が活用されていました。従業員が、働く環境・人・企業に対し、どれほど満足しているかを示すものです。

対する従業員エンゲージメントは、従業員が満足しているだけでは不十分であり、幸せを感じているか、意欲的であるかが重要と説く概念です。書籍『エンゲージメント経営』では、従業員エンゲージメントと従業員満足度の違いを以下のように解説しています。

 

社員満足度は、「社員が会社に満足しているか?」という社員から見た一方的なものなのに対して、社員エンゲージメントは会社と社員の双方的な関係を問うものである。

引用元:「柴田彰(2019)『エンゲージメント経営』

近年の目まぐるしい社会の変化に企業が適応していくには、従業員の意欲・情熱・自発性が欠かせません。社員が「職場に満足してはいるが、やる気もない」という状態では不十分です。そのため、最近では従業員満足度ではなく、従業員エンゲージメントを主な指標として取り組む企業が増えてきています。

 

日本の従業員エンゲージメントが低い主な原因

日本の企業における従業員エンゲージメントは、国外の企業と比べて低いと言われています。

日本の従業員エンゲージメントが低い主な原因

引用元:柴田彰(2019)『エンゲージメント経営』

日本能率協会マネジメントセンター

グローバル組織コンサルティングファーム「コーン・フェリー」が行った調査によると、日本の「熱意を持って自発的に会社に貢献しようとしている社員の比率」、つまり従業員エンゲージメントは、2017年の時点で27%。2012年から2017年の6年間で、6%減少しています。

なぜ日本の従業員エンゲージメントは低いのでしょうか。考えられる3つの原因について見ていきましょう。

日本の従業員エンゲージメントが低い主な原因

 

原因1.転職・起業に対するイメージの変化

以前は、転職に対しネガティブなイメージを持つ風潮がありました。しかし、今は自分の将来のため、より良い生活環境を求めて自ら職や所属する組織を選ぶ時代です。

他の企業に目を向ける機会が増えると、自分が今いる職場の問題点が目立つようになるものです。これまで何とも思っていなかったことでさえ、不満に思ってしまうこともあります。理想と現実を比較するようになり、結果として従業員エンゲージメントが下がってしまうのです。

たとえ転職や起業の予定が無くとも、インターネットを通じてさまざまな情報が入ってきます。SNSで他社の事情を知り、自分の職場が良いと思えなくなることもあるでしょう。

このような社会の変化が、従業員エンゲージメント低下に影響を及ぼしていると考えられます。

 

原因2.終身雇用の崩壊

大企業に入社すれば生涯安定と言われた時代は終わり、今では有名な企業も倒産や事業縮小に追い込まれることが珍しくありません。従業員は、常に自分の生活と将来に対する不安を抱えています。

そのため、企業の経営・戦略に少しでも疑問や不信感を持つと、会社への忠誠心が揺らぎます。突然職を失うことになりかねないので、従業員は常に企業の動き、決断ひとつひとつに敏感になっているのです。

すると、企業に対する従業員の期待は上がっていきます。転職や起業の選択肢もあるとなれば、ハードルはさらに高くなることでしょう。

「従業員にとって良い環境を」と取り組むものの期待値の上昇に追いつくことができず、結果、従業員エンゲージメントがなかなか高まらないという事態に追い込まれてしまうのです。

 

原因3.従業員と企業の価値観のズレ

終身雇用の崩壊、自らキャリアを選ぶ時代の到来により、人々の価値観は大きく変化しています。そのことに気づいているものの、実際にどうすれば良いのかわからず模索し続けている企業も少なくありません。

特に、昔から続く企業は時代の変化に戸惑うものです。現在、企業のトップとして活躍する人が入社した頃とは、会社の運営方法も人の動かし方も違います。経験したことがないため、組織をどのように導いていけば良いかわからないのも無理ありません。

そうして企業のトップと若手社員、中堅社員との間に価値観のギャップが生じ、従業員エンゲージメントの向上に苦戦する事態に陥っていると考えられます。

 

従業員エンゲージメントを高める重要性


少子高齢化により、労働力不足が加速する現代。企業の人材不足、人員不足を防ぐには、従業員が「この会社で働き続けたい」と思える環境づくりが必要です。人材の流出防止、および入社希望者の増加を図る施策として、従業員エンゲージメントは有効と言えます。

また、企業の戦略を着実に実行するためには、企業の意思に賛同し、主体的に働く従業員が必要です。貢献意欲が高い従業員が増えれば、企業改革などの大規模なミッションを実現することも可能になるでしょう。

そもそも、従業員の自発性・積極性が低い職場は、生産性が下がりやすいです。生産性が低いままでは、限られた人数、限られた時間で多くの課題をこなすことはできません。予測不可能な環境の変化に適応し、企業を存続および発展させるにも、従業員エンゲージメントの向上が欠かせないのです。

 

従業員エンゲージメントの高低に関与する要素

人が何に意欲を掻き立てられるか、どのようなことに幸せを感じるかは、それぞれ違います。だからといって、何も対策しないわけにもいきません。

では、どのような要素が従業員エンゲージメントの向上、低下に影響しやすいのでしょうか。以下に挙げる10個の要素について見ていきましょう。

従業員エンゲージメントの高低に関与する要素

 

①顧客への提供価値

従業員エンゲージメントを高める要素としてイメージするのは、報酬や福利厚生などが一般的ですが、コーン・フェリー社が行った調査で最上位に上がったのは「顧客への提供価値」でした。以下の図のとおり、顧客に価値のある商品・サービスを提供できているか、自分の仕事に誇りを持てるかを重視する傾向にあるようです。

 

引用元:柴田彰(2019)『エンゲージメント経営』

日本能率協会マネジメントセンター

顧客や社会に何らかのポジティブな影響を与えられていると実感できれば、従業員エンゲージメントは上がります。顧客から直接評価を得る機会があれば、さらに意欲が高まるでしょう。

反対に、そのような実感や体験がないと、仕事にやりがいを持てず、従業員エンゲージメントが下がる恐れがあります。「職場に不満はないが、やる気も出ない」という社員が多い場合、自社が提供する価値とは何か、改めて見直す必要があるでしょう。

 

②組織体制

同調査にて2番目に挙げられたのは「組織体制」です。効率よく成果を生み出せる組織体制は、従業員エンゲージメントを高めます。反対に、組織体制に問題があると、従業員の仕事に対する意欲、企業に対する信頼が失われる恐れがあります。

組織体制の変革は、従業員1人の力で成し遂げられるものではありません。会社のトップに変わろうとする意思が無ければ、従業員は「仕方がない」と諦めるほかないのです。その結果、エンゲージメントが下がり、場合によっては離職を考えることもあるでしょう。

 

③成長・キャリア

近年は、自分の成長を重視して会社を選ぶ人が増えてきています。将来のことを考え、今いる会社がキャリアアップに繋がる道であることを望んでいるのです。

そのため、成長する機会がない企業では、従業員エンゲージメントが下がる恐れがあります。また、成長を実感できない環境やシステムも、エンゲージメントを低下させます。

反対に「ここでなら成長できる」「自分のキャリアの目標を達成できる」と感じることができれば、会社や仕事に対する意欲が高まると考えられます。

 

④業務を行う環境

日々、業務を行う環境も従業員エンゲージメントに関与する要素です。生産性が低い職場環境、仕事がやりづらい環境は、従業員のやる気を失います。

例えば「飲食店での調理場や客席の導線が悪い」「他部署とのやり取りが複雑」「業務に必要な許可を得る工程が非効率的」などというような状況は、従業員にストレスを与えます。毎日業務を行う従業員にとって、職場の環境は重要だと言えるでしょう。

 

⑤仕事へのやりがい・興味

業務の内容が、従業員の興味をそそるかどうかも大切です。仕事に全く興味がない、自分の人生に全く必要ないと感じてしまった場合、従業員エンゲージメントは下がってしまうでしょう。

採用・入社時や人事異動などのタイミングで発生しやすい問題です。やる気に満ち溢れていた社員が、配属先の仕事にやりがいを持てず意欲が低下してしまった……なんてケースもよく耳にします。

一方で、人事異動によって従業員エンゲージメントが向上するケースもあります。従業員の興味や、本人の人生の目的に適したポジションに配置することで、仕事に対する意欲が高まると推測できるでしょう。

 

⑥人員・時間

労働環境も従業員エンゲージメントの高低に関与する重要な要素です。特に、業務に充てられた従業員数と時間による影響は大きいと考えられます。

必要な人員が確保されていなければ、従業員にかかる負担が大きくなり、意欲が失われる恐れがあります。幸せを感じて働けるどころか、精神的・肉体的なストレスを抱えることになりかねません。

また、労働時間に対して仕事量が多すぎる場合も、従業員エンゲージメントが低下します。勤務時間短縮による弊害としてよく挙げられる課題です。従業員が意欲的に働けるようにするには、業務を効率よく行うのに必要な人員・時間が確保されていることが重要と考えられるでしょう。

 

⑦個人の尊重

「この会社の一社員である」という意識も、従業員エンゲージメントを高める上で欠かせません。会社や部署のルールを決定する際に意見を求められたり、自分の意見や発言が採用されたりといった機会があれば、従業員の会社への貢献意欲が高まります。

反対に「自分の意見が無視される」「指示されるばかりで自分の発言を求められない」というような経験が積み重なると、モチベーションが下がります。自分は職場に必要とされていない、と離職を考える恐れもあるでしょう。

 

⑧企業の戦略・ビジョン

企業の戦略・ビジョンは、従業員の将来に関わる重要な要素です。会社がどのようになることを目指しているのか、何をどのように成し遂げたいのかが不明確だと従業員は不安を抱きます。自分が何をすべきなのかもわからず、主体性が失われるでしょう。

また、内容も重要です。コーン・フェリー社の調査結果にあったとおり、「顧客への提供価値」が企業の戦略・ビジョンに組み込まれていれば、従業員エンゲージメントが高まると考えられます。従業員が「自分も共にビジョンを実現したい」「この会社の一員として目標を達成したい」と思えるかどうかがポイントです。

 

⑨組織風土

組織風土は、想像以上に従業員の感情に大きく影響を及ぼします。そのうえ、組織体制と同様、従業員1人の力で変えられるものではないため、不適切と感じた際は離職を考える可能性があるでしょう。

トップ層が、時代の変化や若年層の価値観に鈍感であることが原因で、従業員エンゲージメントが下がるケースも多々あります。役員層や各部署のリーダーは、組織の風土が適切か、常に意識することが大切です。

 

⓾人間関係

休職・離職の原因として挙がることの多い、人間関係。従業員同士の人間関係が良いと、職場のチームワーク力および生産性が上がります。「業務を行う環境」「仕事へのやりがい・興味」「人員・時間」と、他の要素にも良い影響を及ぼすでしょう。

ただし、人間関係を良好に保つだけでは不十分です。「仕事は好きではないが、人間関係が良いので勤め続けている」といった状態では、意欲的に働けているとは言えません。

従業員エンゲージメントを高めるためには、1つの要素に注目するのではなく、総合的に改善することが重要なのです。

 

従業員エンゲージメント向上施策の例

従業員エンゲージメントを高めるには、先に挙げた要素をベースに、さまざまな角度からアプローチする必要があります。正解がないため、どのように取り組めばよいか迷うこともあるでしょう。

そこで、ここからは従業員エンゲージメント向上の効果が期待できる4つの施策例をご紹介します。

従業員エンゲージメントの高低に関与する要素

 

例1.業務・業務プロセスの改善

顧客への提供価値や、業務を行う環境・人員・時間が従業員エンゲージメントに影響を及ぼすことから、生産性の向上は必要不可欠な施策と言えます。業務の取り組み方や業務プロセスを効率化することで、従業員が快適かつ意欲的に働けるようになるでしょう。

また、業務のムダ・ムラがなくなれば、サービスクオリティが上がり、より高い価値を顧客に提供できるようになります。「自分は良い仕事をできている」という充実感が、従業員エンゲージメントを高めるでしょう。

 

例2.評価制度・雇用制度の見直し

誰しも少なからず「認められたい」という気持ちを持って働いているものです。成果や責任に対し、適切に評価されることで、会社への貢献意欲が高まると考えられます。

例えば、チームのリーダーのみが評価されるシステム、仕事量や責任に見合わない評価制度は、従業員エンゲージメントを低下させます。雇用形態、勤務年数のみを基準とする不当な評価制度となっていないか、改めてチェックしましょう。

場合によってはジョブ型人事制度を導入するなど、雇用制度の見直しも必要です。従業員1人1人に適した職務と責務を与え、適切に評価することが、意欲を高めるポイントです。

 

例3.1on1ミーティングの実施

上司と部下が1対1で話し合う「1on1ミーティング」は、戦略・ビジョンの浸透や人間関係の構築を図る施策として効果的です。会社の目標やビジョンについて定期的に話し合うことで、従業員の目指すべき道が明らかになります。キャリアビジョンが明確になる安心感から、従業員エンゲージメントの向上が期待できるでしょう。

また、1対1でコミュニケーションをとり、悩みや不安に耳を傾けることで、上司と部下の間に信頼関係が築かれます。やり方次第で、従業員が企業に期待するものを明らかにすることも可能です。より効果的な従業員エンゲージメント施策を打つためのヒントを得られるでしょう。

 

例4.各リーダーへの教育

日々、従業員と関わるのは各職場のリーダーです。組織体制、風土、方針・ビジョンなど、企業全体の取り組みも必要ですが、影響力の大きい各リーダーへの教育も重要と考えられます。

従業員の意欲を高めるマネジメント方法や教育方法、従業員エンゲージメントを低下させる行為・発言、効果的な1on1ミーティングのやり方など、エンゲージメントに関する知識を習得する研修を実施すると良いでしょう。忙しい場合や、現場と本社が離れている場合は、オンライン研修やeラーニングを活用することで効率よく教育できます。

 

従業員エンゲージメントの向上に取り組む企業事例

効率よく従業員エンゲージメントを高めるには、自社に適した施策を実施することが大切です。とはいえ、なかなかアイデアが浮かばないこともあるでしょう。

そこでここからは、具体的な4つの企業事例をご紹介します。施策内容に迷った際は、ぜひ参考にしてみてください。

 

事例1.株式会社福井

刃物やDIYツールなどの製造・販売を行う「株式会社福井」。老舗企業である当社は、業績向上を図り、大規模な組織改革を行いました。

従来の組織体制が現在の環境に適していないと判断し、業務の属人化を解消。環境の変化に対応できる機動力と柔軟性を習得しました。

さらに、組織風土の改革を図り、従業員エンゲージメントを重視した基本方針・行動指針を策定。従業員エンゲージメントの測定や、月1回の1on1ミーティングなども実施しました。経営陣の行動や考え方が変わったことで、社員の企業に対する信頼度も上がったそうです。

企業のビジョンや戦略を明確にすることは、組織全体を変えるきっかけとなります。従業員エンゲージメントの改善に向けて、何から取り組むか迷った際は、まずはビジョン・企業方針を策定することから始めてみるのも良いでしょう。

■参考:新居佳英(2018)『組織の未来はエンゲージメントで決まる』英治出版株式会社

 

事例②フリー株式会社

統合型経営プラットフォーム「freee」などの運営を行っている「フリー株式会社」。当社の取り組みの特徴は、「Hack Everything★」「あえて共有」など、企業の価値基準にキャッチーで覚えやすい言葉を取り入れた点です。

企業が掲げるミッションにも、オリジナリティのあるワードをチョイスしています。

freeeのカルチャーのど真ん中にあり、freeeをfreeeたらしめるものであり、freeeの世の中へのコミットメントでもあるのが「マジ価値」(ユーザーにとって本質的な価値があると自信を持って言えることをする)です。

引用元:「カルチャー | freee採用サイト」フリー株式会社

上記より、当社は顧客への提供価値を重視することをビジョンに反映、そして従業員がビジョンを理解できるよう工夫していることがわかります。企業ビジョンを従業員エンゲージメントの向上に上手く活用している事例です。

■参考:新居佳英(2018)『組織の未来はエンゲージメントで決まる』英治出版株式会社

 

事例3.レバレジーズ株式会社

自社メディア事業、システムエンジニアリング事業など、幅広く事業を展開する「レバレジーズ株式会社」。当社は、事業部間の隔たりを取り払うコミュニケーションの場を積極的に提供しています。

例えば、他の事業部のリーダーに質問できる場として「事業部横断交流会」を実施したところ、従業員の視野が広がり、主体性が高まったとのこと。オープンなコミュニケーションが従業員エンゲージメントアップに繋がった、と効果を実感しているそうです。

従業員同士の人間関係の改善や、組織風土の改善を試みる際は、当事例のように交流の機会を設けるのも良いでしょう。

■参考:新居佳英(2018)『組織の未来はエンゲージメントで決まる』英治出版株式会社

 

事例4.株式会社松宮

食品卸会社「株式会社松宮」は、所定労働時間の削減、年次有給休暇の取得促進に注力しています。注目すべきは、それらを実現するための土台作りを徹底している点です。

例えば、残業削減を実現するにあたり、当社は業務プロセスの見直しを行いました。さらに、シフト制も導入し、効率よく業務を遂行するための組織体制を構築しています。

また、従業員が有給休暇を取得できるよう、マニュアルの共有を行い、属人化を解消。各リーダーには、ロールモデルとして「部下に仕事を任せること」を意識させるなど、休みやすい雰囲気づくりに取り組んでいます。

従業員の肉体的・精神的なストレスを軽減することも、従業員エンゲージメントを高める上で欠かせない要素です。大規模な組織改革、経営変革を実行する前に、このようなベーシックな取り組みから進めてみるのもひとつの戦略です。

■参考:株式会社松宮:働き方・休み方改善取組事例 | 働き方・休み方改善ポータルサイト」厚生労働省

 

まとめ

従業員エンゲージメントは、企業の課題を成功させるためのベースとなるものです。意欲的・主体的に働く従業員が増えれば、どのような環境の変化にも適応できる「強い組織」を構築できるでしょう。

まずは、自社の従業員が何を重視しているのか、そして企業がどのような従業員と共に歩んでいきたいのかを明確にすることが大切です。ご紹介した10個の要素を参考に、現状の把握とビジョンの考案から始めていきましょう。

著者
『shouin+ブログ』マーケティング担当
人材育成クラウドサービス「shouin+」のマーケティング担当です。人材育成のお役立ち情報やトレンドをはじめ、企業の人事・研修担当の方向けに社内教育や研修のノウハウを発信しています。

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