1日の作業内容を報告するための「日報」。日報の作成が決められている企業では、その書き方や取り扱いについて、次のように悩みを抱える方がいらっしゃるのではないでしょうか。
部下「日報って何を書けばいいんだろう?」「自分が書いた文章が読みにくい・・・」
教育担当者「日報の書き方を指導したいけど、どのように教えたらいいか分からない・・・」
そこで本記事では、日報の書き手に役立つわかりやすいの書き方や、教育担当者が部下に指導する際の注意点など詳しく解説していきます。
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日報とは、日々の活動内容や所感などを記録し上司に報告するための書類です。教育担当者は部下の日報を読むことによってその日の活動内容を把握し、その後のアドバイスや指示を適切に行うことができるようになります。
日報と聞くと、ほとんどの人が1日の業務内容を報告する「業務日報」をイメージすることでしょう。
しかし企業によっては、研修報告書を研修日報と表現したり、出張報告書を出張日報と表現することもあります。そこで今回は、「業務日報(作業日報など)」「研修日報(新人研修レポートなど)」「出張日報」の3つの日報をピックアップしてご紹介していこうと思います。
日報の中でも最もポピュラーなものが、この業務報告書です。その日1日の活動内容を記載し、上司やチームメンバーに共有するための報告書になります。
研修日報は、研修を受けたときの内容や成果を共有するための報告書です。たとえば、新人研修を受けた社員が、研修終了後に上司や教育担当に対して提出する報告書などが研修日報に当たります。
出張日報は、出張をしたときに出張先での業務内容や成果を共有するための報告書です。場合によっては提案事項や合意事項など、今後の動きに関わる重要な情報を共有するための貴重な報告書となります。
そもそも、日報にはどのような目的や意味があるのでしょうか。目的を理解して書く日報と、そうでない日報には中身にも違いがあらわれるものです。
ここでは、日報を書く目的を大きく次の3つの観点からご紹介いたします。
日報の最大の目的が、この「上長への報告・連絡」です。教育担当者の経験がある方は分かると思いますが、上司は日々忙しく、部下の状況把握をする余裕はなかなかありません。そのため、日報が部下の活動状況を確認するための貴重な資料となります。
部下は今どのような業務を行っているのか、どのようなことを考えているのか、どのような悩みがあってアドバイスや指導を必要としているのか。日報を通して上司は、部下へどのようなアプローチをすべきかを考えているのです。
上記では、日報作成の目的の1つは上司から適切なアプローチを受けることとご紹介しました。そしてこれは、反対に言えば、部下から上司へ質問や相談をするきっかけになることを意味しています。
日々、忙しい上司に対して部下は「相談がしづらい」「質問をするタイミングがつかみにくい」と不安を抱えているものでしょう。それが、日報を通して自然に質問や相談事を伝えることで、お互いにストレスなくコミュニケーションをとることが可能となるのです。
とはいえ、部下が日報を通して自分の考えや思いを適切に伝えることができなければ、上司から適切な指導をすることはできません。そのためにも、この後に紹介する正しい日報の書き方をぜひ部下のみなさまにお伝えいただければと思います。
日報は、
など、過去の記録としても重要な役割を果たします。
これら記録としての日報は、部署異動の際の業務の引き継ぎや、新人研修の材料としても役立つでしょう。いざという時に資料にすぐアクセスできるよう、日々保管場所には気を配りたいですね。
日報の概要や目的について把握いただけたところで、ここからは「具体的な日報の書き方」にフォーカスしていきたいと思います。
まずは「日報に書くべき項目」から見ていきましょう。業務日報・研修日報・出張日報の3パターンにわけて、それぞれご紹介していきます。日報のフォーマットの作成にお悩みの際はぜひ参考にしてださい。
業務日報では、次にあげる項目を設けると効果的です。
この中でも特に重要なのは、「今日の目標・目的」「反省点」「今後の課題・展望」です。部下がどのような考えをもって業務に取り組み、どのような結果と課題を得たのかという情報が、最も大切な共有事項になるでしょう。
研修日報では、次にあげる項目を設けると効果的です。
教育担当者であるみなさんは、部下が研修を受けることに対して、今後の業務の効率化やパフォーマンスの向上を期待していることでしょう。
そのため、研修日報では「研修内容」や「研修後の課題」をくわしく記載させることで、「部下が研修を通して何を学び、今後に活かしていけるのか」という特に知りたい情報が得られることと思います。
なお、必要に応じて参加企業や人数、受講料などを記録として残しておくことで、次回の研修検討時の参考にもなるでしょう。
出張日報では、次にあげる項目を設けると効果的です。
出張日報は、特に書き方に慎重さが求められる報告書です。なぜなら、他企業が関わる場合、日報の書き方一つで他企業へのイメージや今後の動きが左右される可能性があるからです。先方クライアントの印象や取引きの実現可能性など、出張先に出向いた人にしか分からない情報をいかに正確に共有できるかが重要なポイントになるでしょう。
そのため出張日報ではとくに、この後にご紹介する文章作成のコツを実践できるよう、教育担当者からアプローチを行っていただきたいと思います。
では次に、「本文の書き方」を見ていきましょう。わかりやく要点を抑えた日報を書きたい方は勿論、教育担当者も部下の報告が以下のステップで書かれているかチェックすることをお勧めします。
まず、日報を作成する上で「とりあえず書きはじめよう」は禁物です。イメージを持たないまま書き始めると、ほとんどの場合は「何をどのように書けばいいんだろう?」と悩み初めてしまったり、書き終わってから「××の内容を書き忘れてしまった!」「まとまりのない内容になってしまった……」という状況に陥ってしまいます。
そしてこのような状況を回避するためにも、まずは作成する日報の「目的や読み手を整理」するところから始めましょう。日報を何のために作成するのか、誰が読むのかを整理することで、次のステップでの「構成作成」でも活きてきます。まさに日報作成の土台です。
日報作成の目的と読み手が整理できたら、次に文章の構成(骨組み)を作っていきましょう。構成作成には、下記で紹介する文章の型が便利ですのでぜひ参考にしてください。
PREP(プレップ)は、「Point(結論)、Reason(理由)、Example(具体例)、Point(結論)」の4つの要素で成り立つ文章の型です。「結論→理由→具体例→結論」の順に文章を組み立てることで、自然と読み手に伝わりやすい構成を作ることができます。
Point(結論) |
その項目で最も伝えたい内容 |
Reason(理由) |
結論に至った理由や根拠 |
Example(具体例) |
結論や理由の裏付けになるような実際の例 |
Point(結論) |
その項目で最も伝えたい内容 |
構成は、各項目で何を書くかを大まかに決めていきましょう。箇条書きやメモ程度にまとめ、決して文章を書こうとしてはいけません。文章を書こうとすると、構成を作るという意識が薄れ、気づいた時には「結局、考えなしに書き始めた状況と同じだ…」となりかねません。
ただ、正直なところ構成作成には手間がかかります。文章を書くための準備と考えると、腰が重くなるかもしれません。しかし、だからといって文章の道筋がないまま書き始めてしまうと、途中で「あれ、何が書きたいんだったっけ」「話が脱線してきたな・・・」「どうやってオチをつけよう・・・」と収拾がつかなくなってしまうものです。急がば回れ、ここではいったん我慢をして、しっかりと文章の道筋を立てるようにしましょう。
構成ができたら、実際に文章を作成していきましょう。ここでは、日報で意識したい「読みやすく伝わりやすい文章作成のポイント」を3つに絞ってご紹介します。
一文を長くしすぎない |
一文の文字数は60字以内が目安。これ以上長くなると、主語と述語に距離ができて読みづらくなったり、一文の中の情報量が増えて読み手への負荷が大きくなってしまう可能性があります。 |
箇条書きや図表をうまく使う |
文章の中に複数の項目が含まれる場合は箇条書きを、データを見せたいときはなるべく図表を使って表現しましょう。これらを使うことで適度な余白がうまれ、視覚的な読みやすさがアップします。 |
客観的事実と自分の考えを分ける |
読み手による勘違いを防ぐために、業務内容や成果などの客観的事実と、今後の課題や所感などの私見は分けて記載します。「所感」「所見」などの項目を設けることで明確に分けることができます。 |
文章が書き終わったら、提出前に一度「推敲」を行いましょう。文章に誤字や矛盾などの不備があると、読み手から「雑な仕事をする人」「最終確認をしない人」というイメージを持たれかねません。自分の知らない間に信用を損なうことのないよう、最低1回は確認を行うとよいでしょう。
推敲のやり方としては「黙読」をはじめ、「スペルチェック機能を使った確認」「音声読み上げ機能を使った確認」などがあります。スペルチェック機能はWord上で簡単に使用できますので、推敲には非常に便利なツールです。また音声読み上げ機能は「耳」を使った推敲方法ですので、黙読と違った確認方法として優秀です。オンラインツールやスマートフォンの機能が使えます。
上記では日報の書き方のコツについてご紹介しましたが、「具体的にどう書けばいいの?」と感じた方もいらっしゃることでしょう。
そこでここからは、例文をもとに文章作成のポイントを解説していきます。実際に日報のフィードバックを行う際にも活用できる内容となっていますので、ぜひ参考にしてください。
悪い例 |
本日はA社とリニューアル商品に関する打ち合わせを行いました。ターゲットはこれまで通り子どもをもつ30代の母親で、商品のイメージを一新したいとの希望です。製品の配合を一部変更した上で、パッケージも新しくリニューアルする予定で進んでいます。 |
良い例 |
■A社とのリニューアル商品に関する打ち合わせ ・ターゲットは従来通り「子どもをもつ30代母親」 ・商品イメージを一新したいとの希望あり ・製品の配合およびパッケージをリニューアル予定 |
上記の例文では、長文で記載された活動内容を「箇条書き」で表現することにより、読みやすさを向上させています。また、見出しがつくことにより内容が把握しやすくなっている点もGOODポイントです。
悪い例 |
A社との打ち合わせ自体はスムーズに進んでいるものの、前回はリニューアル予定時期の急な変更や販売数調整など度々のトラブルがあったので油断はできず、引き続きスケジュールには注意しながら進めていきたいと思っています。 |
良い例 |
A社との打ち合わせ自体はスムーズに進んでおり、順調です。 ただし、前回リニューアル時のトラブル(リニューアル予定時期の急な変更や販売数調整など)もあり、油断はできません。 引き続きスケジュールに注意しながら進めていきたいと思います。 |
上記の例文では、一文の長さを短くすることで読みやすさを向上させています。改善前は一文が105文字と長く読みにくいものでしたが、3文に分けることでぐっと読みやすくなりました。
そして一文を短くするコツは「一文一義」。一文一義とは「一つの文で一つの内容を伝える」ことです。改善前は一文の中に3つの内容※が詰め込まれていたのに対し、改善後には一文一義が徹底されていることが分かると思います。
※①打ち合わせが順調に進んでいること、②前回のトラブルからまだ油断はできないこと、③スケジュールに注意して進めていきたいこと
悪い例 |
A社に提案した商品は概ね好評だったと思うので、次回はリニューアル予定のパッケージに関しても打ち合わせを進めていきたいと考えています。次回の打ち合わせ日程は10月1日(月)になると思います。 |
良い例 |
提案した商品に対してA社からは「大きな問題はなく、これで進められると思います」と回答をいただきました。そのため、次回はリニューアル予定のパッケージに関しても打ち合わせを進めていきたいと考えています。 なお、次回の打ち合わせ日程は現段階で10月1日(月)を予定していますが、先方の調整次第では変更になる可能性があります。 |
上記の例文では、客観的事実と自分の考えを区別して明記することで伝わりやすさを向上させています。
改善前の「概ね好評だった」という主観に基づく表現を、A社の発言に基づく表現に変換することで根拠を示しました。また、次回の打ち合わせ日程に関する内容も具体的な理由を添えることにより、曖昧さを無くすことができています。
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日報は書くことだけでなく、その管理や運用にも労力がかかるもの。
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たとえば、教育担当者の
「日付けや個人別に保管するのが大変・・・」
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また、とくに女性の多い職場では日々のメンタルケアが重要になりますが、これらの理由からフォローが遅れてしまう点も課題でした。
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■参考記事はこちら
研修期間中の新人スタッフの様子を日報で把握!モチベーションアップやメンタルフォローを実現
日報は大切さを理解していながらも、その書き方や管理方法に悩みを抱えやすいものです。今回は、教育担当者向けに日報作成のポイントから部下に指導する際のポイントまでくわしくご紹介いたしましたので、ぜひ貴社の日報管理および日報作成の指導にご活用ください。