企業のリスクマネジメントに欠かせない、ヒヤリハット運用。軽微な被害で済んだ事故、あるいは事故になりそうだった出来事を事例として把握し、対策を講じることで、重大なトラブルを防げます。
その際に用いられるのが「ヒヤリハット報告書」。どのような経緯でヒヤリハットが起きたのか、何が原因なのかを特定するのに必要不可欠です。
本記事は、そんなヒヤリハット報告書について詳しく解説しています。書き方のポイントや具体例などを無料テンプレート付きでご紹介しますので、報告書作成にお悩みの方はぜひご活用ください。
ヒヤリハットとは「運よく大事故に至らなかった、危険な出来事」のこと。事故に遭遇しそうになってヒヤリとしたり、ハッとしたりすることを指します。
ヒヤリハットは大事故が起きる予兆です。軽微な被害で済んだからといって、対策を怠ると、いつか大きな事故が起きる可能性があります。そのためヒヤリハットが発生した際は、原因を分析し、対策する必要があるのです。
ヒヤリハットについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
■参考記事はこちら
ヒヤリハットとは?業種別の事例と具体的、報告書の書き方などを例文付きで解説
ヒヤリハット運用では報告書を用いるのが一般的。なぜ報告書が必要なのか、理由は以下の4点です。詳しく見ていきましょう。
ヒヤリハットの原因を特定するのは簡単ではありません。当事者の主観が入ったり、責任転換してしまったりと、冷静に分析できない場合がほとんどです。
そこで必要となるのが報告書です。誰が、何をしたときに、何が、どうなったのか、と経緯や状況を明確にすることで、事実に基づいた原因追求が可能になります。
事故防止効果の高い、適切な対策を講じるためには、根拠を示す報告書が欠かせないのです。
ヒヤリハットが起きた際は、トラブルの大きさに関係なく、情報を共有することが重要です。情報共有することにより、ほかの従業員が危険予測できるようになり、事故を未然に防げるからです。
また、当事者が原因を突き止められなくとも、第三者の知恵を借りることで見つかる場合があります。そのため、情報共有を可能にする報告書が必要なのです。
ヒヤリハットは、決して事故に立ち会った従業員自身の問題ではありません。1つの重い災害の背景には、29件の軽症災害と、300件のヒヤリハットが潜んでいることを説く「ハインリッヒの法則(1:29:300の法則)」があるように、会社にも影響が及ぶ問題です。
そのような大きなトラブルが起きた際、会社や上司が「知らなかった」では済まされません。経営者・管理者として社内で起きたことを把握しておくためにも、報告書は必要不可欠といえるでしょう。
報告書を使わず口頭で報告すると、コミュニケーションエラーが起きる可能性があります。「言った」「聞いていない」といった食い違いが起きてしまうのです。また、報告を受けた側が間違って解釈してしまうこともあります。
報告内容がねじ曲がってしまうと、状況を正しく理解できません。それに付随して、原因や対策も的外れになります。
したがって、情報を正しく伝達するための報告書が重要なのです。
ヒヤリハットの原因追及を行う際、過去の事例が役に立つケースは多々あります。1つのヒヤリハットで特定できなかった原因でも、複数の事例と照らし合わせることで見つかる場合があるのです。
報告書は、そのようなときの記録として役に立ちます。蓄積しておくほど多角度からの考察が可能になり、その分、適切な対策が見つかるチャンスが増えます。この先の事故を防ぐためにも、ヒヤリハット事例を可視化して残しておくべきといえるでしょう。
ヒヤリハット報告書を作成する際、どのように書けば良いのかと悩む人も多いでしょう。そこで、ここからは業種別の報告例をご紹介します。報告書のテンプレートもご用意したので、ぜひご活用ください。
なお、報告例は付属のテンプレートと連動しています。ですが「記入日」「所属」「氏名」「発生・発見・発覚日時」「発生場所」「その他の状況説明」は省略していますので、ご注意ください。
それでは、業種別の報告例を紹介していきます。
「死傷災害発生速報値|職場のあんぜんサイト」(厚生労働省)をもとに弊社で図を作成
厚生労働省が行った調査によると、製造業は「転倒」「墜落・転倒」や「はさまれ・巻き込まれ」「動作の反動・無理な動作」など、複数の従業員が関与する製造ラインでの機械の扱いや動作における労働災害が多いのが特徴です。
大型の機械や化学物質などの危険物も扱う製造業では、小さな不注意が重大な事故に繋がる可能性もあります。ヒヤリハットを丁寧に吸い上げ、対策することが重要です。
それでは、報告例をご紹介します。
①何をする/した時 | 製品ラインで梱包作業中、製品の位置をなおそうとしたとき |
フォークリフトで貨物を運んでいたとき | |
②環境 | 機械が停止していなかった |
十字路で一時停止していなかった | |
③どのようになった/なりそうだった | ベルトコンベアに手が巻き込まれそうになった |
他の作業者と衝突しそうになった | |
④設備・器具の状態 |
機械の停止動作が故障していた |
貨物が詰まれており、歩行者が死角になっていた | |
⑤心身の状況 |
深夜作業で疲労がたまっていた |
休暇明けの勤務で気が緩んでいた |
⑥原因 | 報告者記入欄 | 機械の停止確認ができていなかった |
歩行者確認が十分でなかった | ||
管理者記入欄 | 機械の不良を報告する体制がなかった | |
新人以外にも定期的な教育が必要だった | ||
⑦対策 | 報告者記入欄 | 停止ランプが点灯していることの目視確認を必ず行う |
通路での一時停止と、指差呼称による安全確認を必ず行なう | ||
管理者記入欄 | メーカーを呼び、機械の不具合点検の頻度を増やす | |
新人、熟練関わらず定期的に業務フローの理解度テストや教育を行う |
「死傷災害発生速報値|職場のあんぜんサイト」(厚生労働省)をもとに弊社で図を作成
小売業では、「転倒」「動作の反動・無理な動作」「墜落・転落」が多く発生していました。商品や什器・備品を移動させるときや、店内での移動中などにヒヤリハットが起きやすいと推測できます。
それでは、報告書の書き方の例をご紹介します。
①何をする/した時 |
商品が入ったダンボールを3箱台車に乗せて運んでいるとき |
片手にごみ袋を持ってバックヤード通路を通っているとき |
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バックヤードの棚から店内装飾用品を降ろしているとき |
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②環境 |
モップ掛けをした直後で床が濡れていた |
使用していない台車が通路に出しっぱなしになっていた |
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通路に、各20kg以上のダンボール箱が5つ積み重ねられていた |
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③どのようになった/なりそうだった |
台車が店内にいたスタッフに激突して、転倒。被害者は右手を打撲した |
腰に激痛が走り、約3分間その場から動けなくなった |
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脚立から落下して足首をひねった |
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④設備・器具の状態 |
脚立の開き止めを使用していなかった |
台車のキャスターが1つ外れかけていた。ネジが緩んでいた |
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店内入口のドアのセンサーが故障していた |
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⑤心身の状況 |
商品の入荷が遅れた影響で、業務が遅れていて焦っていた |
悪質なクレームを受けた直後で気が動転していた |
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3時間以上の残業が4日連続で続いていて疲労がたまっていた |
⑥原因 |
報告者記入欄 |
モップ掛けをしたあと、床が乾拭きされていなかった |
脚立の正しい使い方を理解していなかった |
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ドアセンサーの故障に気づいていたのに誰も報告していなかった |
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管理者記入欄 |
マニュアルの作業手順が不適切 |
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作業指示の時間配分が不適切だった |
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器具不良を報告する習慣がない |
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⑦対策 |
報告者記入欄 |
台車に物を乗せて運ぶときは、ダンボール2箱分の高さまでに限定する |
マネキンを運ぶ際は2人以上で行う |
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店内設備に異変があった際は必ず上司に報告する |
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管理者記入欄 |
マニュアルの作業工程を見直し、改善 |
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クレーム対応後は10分以上の休憩をとるようマネジメントを変更する |
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脚立の正しい使い方と危険性について、店舗責任者が全スタッフに教育する |
「死傷災害発生速報値|職場のあんぜんサイト」(厚生労働省)をもとに弊社で図を作成
飲食業は「切れ・こすれ」「高温・低温の物との接触」など、調理業務における労働災害が多いのが特徴です。また、ほかの業界と同様、「転倒」による労働災害も多く発生しています。
具体的な事例としては、調理器具による負傷、火や油を扱う際のヤケド、商品や資材を運ぶ際の事故などがあります。厨房と客席とで起きる事故の種類は異なるものの、どちらにも危険は潜んでいるので、ヒヤリハット報告をもとに対策を徹底することが大切です。
それでは、報告書の書き方の例をご紹介します。
①何をする/した時 |
パンスライサーでパンをスライスしているとき |
まな板を清掃しているとき |
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ドリンクグラスを5つ乗せたフードトレーを片手で運んでいるとき |
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②環境 |
時間帯客数〇〇人を超えるピーク時に、キッチンスタッフ1人で調理業務を行っていた |
使われていない客用の椅子が通路に乱雑に置かれていた |
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使っていない包丁がまな板の上に置きっぱなしになっていた |
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③どのようになった/なりそうだった |
包丁が調理台から落下し、足の甲の上に落ちて怪我をしそうになった |
資材が入ったコンテナに足が引っかかって転倒した |
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ガラス製のドリンクグラス(5点)がフードトレーから滑り落ちて割れた |
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④設備・器具の状態 |
パンスライサーのパン押さえを使用していなかった |
倉庫内の照明の電球が切れかけていた |
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フライヤーの取っ手に油が付着していた |
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⑤心身の状況 |
注文待ち状態のお客さまが5組以上いたので焦っていた |
過去に同じ量のドリンクグラスを運んで問題がなかったため、今回も問題なく運べるだろうと油断した |
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休憩時間を十分にとることができず注意力が散漫になっていた |
⑥原因 |
報告者記入欄 |
未使用の調理器具を収納せず放置した |
照明をつけず暗い場所で作業を行った |
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焦りを理由に調理器具を正しく使わなかった |
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管理者記入欄 |
スタッフの配置ミス。混雑を見越した配置ができていない |
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フードトレーの使い方のルールを定めていない |
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床清掃の基準が明確に定められていない |
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⑦対策 |
報告者記入欄 |
〇時台の調理スタッフを〇人から〇人に増やす |
油受けを移動させる前に、取っ手のふき取り掃除を行う |
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油の温度が90度以下になっていることを確認してから油の入れ替えを行う |
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管理者記入欄 |
防滑靴を支給する |
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厨房内の調理機器の配置変更および導線の見直し |
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仕込み完了後はミキサーのコンセントを抜くことをマニュアルに追加する |
「死傷災害発生速報値|職場のあんぜんサイト」(厚生労働省)をもとに弊社で図を作成
社会福祉・介護業の業務は、従業員の体への負担が大きい仕事です。施設利用者(以下、介護者)の介護を行う際、身体に負担がかかり、従業員が負傷するケースが少なくありません。厚生労働省の調査でも、「動作の反動・無理な動作」による労働災害が全体の37%を占めています。
管理者はこのことを踏まえて対策する必要があります。ヒヤリハットが起きた際は報告を徹底するよう促し、環境整備、および従業員への教育指導を強化しましょう。
それでは、報告書の記入例をご紹介します。
①何をする/した時 |
介護者の入浴のための着替えをとりに行くとき |
介護者の体位交換を行うとき |
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②環境 |
部屋の入口の床が濡れていた |
通路に未使用の車いすが置かれていた |
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③どのようになった/なりそうだった |
無理な体制で利用者を移動させようとして腰を痛めた |
段差を踏み外して転倒し、右手の指を痛めた |
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④設備・器具の状態 |
車いすのフットサポートが緩んでいた |
ベッドアームが固定されていなかった |
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⑤心身の状況 |
欠勤者の業務を代わりに引き受けて、休憩を十分にとることができず疲労がたまっていた |
ナースコールが鳴ったため急いでいた |
⑥原因 |
報告者記入欄 |
水で濡れて滑りやすくなった床での作業 |
長時間同じ姿勢で作業を行っていた |
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管理者記入欄 |
介護者との物理的距離が遠いまま車いすに移乗させようとした |
|
作業を行うときの空間が狭く、正しい姿勢をとることができなかった |
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⑦対策 |
報告者記入欄 |
体重の重い介護者の介護は複数人で行う |
フットサポートの固定を徹底することをマニュアルに追加する |
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管理者記入欄 |
入浴用ベルトの導入 |
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中腰での作業は、小休止や、ほかの作業との組み合わせを行うよう指導する |
「死傷災害発生速報値|職場のあんぜんサイト」(厚生労働省)をもとに弊社で図を作成
接客娯楽業は業種が多岐に渡りますが、こちらの業界でも、やはり「転倒」による労働災害が多く発生しているようです。そのほか、料理を提供する業種では「切れ・こすれ」の事故、運転業務を伴う業種では「墜落・転落」の事故も起きています。
それぞれの業務に適した安全対策を行うためには、やはりヒヤリハットの報告が重要です。どの部署で、どのような事故が起こり得るのか、事例をもとに分析して対策しましょう。
では、報告書の書き方の例をご紹介します。
①何をする/した時 |
宿泊客の乗用車をバックで駐車しようとしたとき |
ゴルフ場の芝刈り作業中 |
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②環境 |
道路が傾斜になっていて芝刈り機のスピードが出ていた |
浴室内の換気扇がついておらず密室状態だった |
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③どのようになった/なりそうだった |
塩素系漂白洗剤を床にまいたあと、酸性洗剤をまき、たわしで掃除し始めたところ、刺激臭がしたので部屋を出た |
乗用カートの操作を誤り、カートが後ろに急発進して後方の立木に激突した |
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④設備・器具の状態 |
湖からボートを引き上げるためのロープが切れた |
芝刈り機の燃料が切れていた |
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⑤心身の状況 |
ボートが湖の沖に流されて焦っていた |
大宴会のあとで食器の量が通常よりも多く、急いでいた |
⑥原因 |
報告者記入欄 |
換気が不十分な状態で作業を続けた |
エレベーターの「長時間開放ボタン」を使用しなかった |
||
管理者記入欄 |
芝刈り機の点検作業を怠った |
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洗剤の取り扱い・危険性の教育が不十分 |
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⑦対策 |
報告者記入欄 |
配膳車を一人で移動させる際は、引っ張るのではなく前方に押す |
除雪作業は必ず2人以上で行う |
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管理者記入欄 |
塩素ガスの有害性についてアルバイト社員も含め全社員に教育する |
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調理担当スタッフに、体格に合う制服を支給し、手首リブをはめるよう指導する |
ヒヤリハット報告書は、現場の状況と経緯を正しく伝えるためのもの。その場にいなかった人も理解できるよう、わかりやすく書くことが大切です。
では、具体的にどのようなことを意識して書けば良いのでしょうか。書き方のポイントを5つご紹介します。
ヒヤリハット報告書は正確性が重要。情報が正しくなければ、対策も的外れなものになってしまうからです。
そのため、報告書には「憶測」を書かないようにします。「おそらく」「たぶん」「かもしれない」といったような表現は避け、ハッキリとわかっていることのみを書きましょう。
ヒヤリハット報告書は事実を伝えるためのものであって、報告者の意見や感想は不要です。客観的な視点で具体的に書くことで、閲覧者に現場の状況が伝わりやすくなります。
客観的・具体的に書くコツは「6W3H」を意識すること。内容は以下のとおりです。
「永山義昭(2017)『[ポイント図解]報告書・レポート・議事録が面白いほど書ける本』株式会社KADOKAWA」をもとに弊社で図を作成
報告書を作成する際は、これらを漏れなく記入できるような項目を設定するのがポイント。迷ったときは、本記事にあるテンプレートを参考にしてみてください。
報告者本人は「必要ない」と判断した内容でも、思わぬところから原因が見つかる場合があります。そのため、気づいたことはすべて報告書に記入することが重要です。
ヒヤリハットが起きるまでの経緯はもちろん、関係者や、その関係者とのやり取りも含めて記入します。従業員同士のコミュニケーションエラーや、チームワーク不足が原因で事故が起きるケースもあるからです。
そして、気づいたことを忘れないようにするため、ヒヤリハット報告書は迅速に提出すべきでしょう。
わかりやすい報告書を作成するには、簡潔な文章で書くことも大切です。「~して、~して」と続けるのではなく、句点で区切って文を短くすると読みやすくなります。
また、箇条書きを活用するのもひとつの手です。1つの項目に複数の内容を記載する際は、箇条書きして読みやすくしましょう。
報告書の提出が遅れると、その分、対策を講じるのが遅くなります。再び同じヒヤリハットが起きたり、さらに大きなトラブルが起きたりする恐れがあるため、迅速に提出することが大切です。
ヒヤリハットが起きた経緯や現場の状況は、実際にその場面に遭遇した人にしかわかりません。そのため省くことはできませんが、原因や対策は、あとから第三者と共に考えることもできます。
報告が遅れてしまう方がリスキーなので、原因・対策の項目に関しては「思い当たらない場合は空欄で提出しても良い」とするのがおすすめです。
ヒヤリハット運用を効果的に行うには、「報告の習慣化」と「活用のための環境整備」が重要です。具体的には以下の3点を意識します。詳しく見ていきましょう。
危険予測ができれば、事故を防止できる可能性は高まります。「このようなトラブルが起きるかもしれない」と想定することで、危険を回避する行動ができるからです。
だからこそ報告書による情報共有が必須なのですが、従業員のなかには、このことを理解していない人もいます。ゆえに、報告を怠ったり、報告書の提出が遅れたりしてしまうのです。
そのため、ヒヤリハット報告の重要性について教育する必要があります。報告を習慣化させる第一歩として、報告しないことの危険性と報告するメリットを理解してもらいましょう。
従業員がヒヤリハット報告を怠る理由に、報告手段の複雑さが挙げられます。特に、多忙な職場では「この程度のことであれば報告する必要はないだろう」と、業務を優先して報告を省きがちです。
よって、習慣化させるためには、報告しやすい手段を選ぶことも大切であるといえます。
例えば手書きの報告書は、印刷や発送の手間がかかります。また、フォーマットが決められていない報告書も、文章を作成するのに悩んで時間がかかりやすいです。このような報告書は未報告につながりやすいため、避けるべきでしょう。
ヒヤリハット報告書を記録として活用するためには、管理しやすい形式を選ぶことも大切です。
例えば、紙に手書きするタイプは、破損や紛失の恐れがあります。ファイルを保管する場所も必要ですし、過去の事例を見返したい場合も探しにくく不便です。
また、メールでフォームを送信するスタイルは、報告書をデータベースに移すという工程が必要になります。よって、報告書の提出・管理・閲覧を一括でできるシステムが理想的といえるでしょう。
■『ヒヤリハット報告書テンプレート』のダウンロードはこちらから
ヒヤリハット報告書の電子化は、管理・閲覧をスムーズにする便利な手段です。具体的にどのようなメリットがあるのか、以下の3点について解説していきます。
異なる職種でも似たようなヒヤリハットが起きるのは、よくあること。つまり、社内で起きたヒヤリハットは、全社にとっての参考事例になるのです。
ヒヤリハット報告をシステム化することで、全社への情報共有が実施しやすくなります。システムにアクセスすれば、他部署の事例をいつでも閲覧でき、管理側も情報を発信する必要がありません。企業全体の事故防止対策に有効といえるでしょう。
デジタルツールのなかには、スマートフォンやタブレットを使ってヒヤリハット報告ができるものもあります。そのようなツールは、いつでもどこでも報告できて便利です。
場所や時間に縛られず報告できる環境を整えれば、よりスピーディーな報告・対策を実現できます。また、多忙な職場でも運用しやすく、報告の習慣化につながります。店舗型ビジネスを展開する企業とは、特に相性が良いでしょう。
デジタルツールを使ってデータを管理すると、ヒヤリハット事例の閲覧・検索が便利になります。目的のデータを求めてファイルを探す必要がなく、作業の効率化につながります。
うまく応用すれば、過去の事例を使った研修の実施も可能に。このように、企業全体のリスクマネジメントへと活用の幅が広がるため、ヒヤリハット報告書のシステム化がおすすめなのです。
ヒヤリハット報告書の書き方やポイントを紹介してきましたが、いちから報告書を作成するのが難しい方には以下のテンプレートもご活用いただけます。ぜひダウンロードいただき、業務改善にお役立てください。
ヒヤリハットは、対策したからといって永久になくなるものではありません。ヒューマンエラーがなくならないのと同じように、どれほど対策を徹底しても事故は起きるものです。
しかし、大きなトラブルを防ぐことはできます。企業の損失を最小限に抑えるため、そして何より従業員の心身を守るため、ヒヤリハット報告書をうまく活用しましょう。