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ヒューマンエラーの分類と分類別の防止対策の方法をわかりやすくご紹介!

ノウハウ ナレッジ
2022.01.25
松木 謙介

「ヒューマンエラーをなくしたい」「ヒューマンエラーの対策が知りたい」このようにお考えではありませんか?

ヒューマンエラーは、いずれ重大な事故や損失につながる可能性があるため、事前にどうにか対策をしたいと考えるのが当然です。しかし、「具体的にどうすべきかがわからない」という方も多いことでしょう。

そこでこの記事では、ヒューマンエラーを原因ごとに分類した上で、分類ごとの対策方法についてご紹介いたします。ぜひヒューマンエラー改善の参考にしてください。

 

そもそもヒューマンエラーとは?

まずは、ヒューマンエラーの定義を簡単にご紹介しておきましょう。

ヒューマンエラーとは「意図しない結果を生じる人間の行為」である。厚生労働省が運営するWebメディア職場のあんぜんサイトによると、このように定義されています。

少し難しい表現で分かりにくいかもしれませんが、単に「こんなはずじゃなかった!」と感じる人間の行動といえば分かりやすいと思います。

ヒューマンエラーの例としては、次のようなものがあげられます。

  • 番号を間違えて電話をかけてしまった
  • メールを送る際、相手の名前を間違えてしまった
  • うっかり、重要なデータを削除してしまった

 

上記のような「こんなはずじゃなかった!」というミスは誰にでも経験があるものと思います。実際に厚生労働省の調べでは「労働災害の8割に人間の不安全な行動が含まれている」といわれるほど、ヒューマンエラーはどこにでも存在するミスなのです。

しかし完全には無くせないものの、重大な事故や損失につながる可能性がある以上、ヒューマンエラーへの対策は怠れません。そこで、以下の章ではヒューマンエラーの分類と対策についてくわしく解説していきますので、ぜひ一緒に理解を深めていきましょう。

なお、ヒューマンエラーの具体例や対策についてはこちらの記事でもくわしく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

■参考記事

ヒューマンエラーとは? 原因と防止対策を事例を交えて解説!

 

ヒューマンエラーの分類

すべてのヒューマンエラーをひと括りにして解決策を見いだそうとするのはナンセンスです。なぜなら、ヒューマンエラーの原因はさまざまであり、効果的な解決策はその原因ごとに細かく異なるからです。

そのため、まずはヒューマンエラーをより細かくかみ砕き、その原因ごとに分類化してみることからはじめていきましょう。ここでは一度、厚生労働省が生衛業向けに制作している「生産性&

効率アップ必勝マニュアル」を参考に、ヒューマンエラーの分類について解説していきます。

 

意図しない行動によるエラー

ヒューマンエラーの分類

ヒューマンエラーは、上図のように大きく「意図しない行動によるエラー」と「意図された行動によるエラー」に分類できます。

まずは、意図しない行動によるエラーからみていきましょう。意図しない行動によるエラーは、その原因から次の4つに分類できます。

 

<意図しないエラー4つの分類>

  1. やり忘れ、記憶違い
  2. 見逃し、見間違い
  3. 状況判断間違い
  4. 方法(手順)違い

では、これら4つの分類にはどのような違いがあるのでしょうか。簡単に解説していきます。

 

やり忘れ、記憶違い

後でやろうと思っていた仕事をし忘れたり、伝言を預かったものを間違えて伝えてしまったり。このような、やり忘れや記憶違いのエラーは、原因が「記憶」にあるものとして分類できます。

  • 「情報が多すぎて覚えきれなかった」
  • 「覚えていたはずが、いつの間にか忘れていた」

これらのように、情報自体が覚えにくいもの・覚えられない量であることや、時間経過による記憶の薄れなどが、「やり忘れ、記憶違い」の要因となります。

 

見逃し、見間違い

うっかり見逃してしまったり、見間違えてミスをしてしまったり。このような、見逃しや見間違いのエラーは、原因が「認知(認識)」にあるものとして分類できます。視覚に関するエラーだけでなく、聴覚や触覚・嗅覚など感覚にまつわるエラーも同様です。

  • 「字が汚く、読みづらかった」
  • 「発音が悪く、正しく聞き取ってもらえなかった」

これらのように、情報の質(字の読みやすさ、言葉の聞き取りやすさなど)や、情報の伝え方などが、「見逃し、見間違い」の要因となります。

 

状況判断間違い

置かれている状況に対して不適切な行動をとってしまうエラーは、原因が「判断力」にあるものとして分類できます。

  • 「上司が忙しそうに見えたので、相談せずに自分で判断した」
  • 「自分はAが正しいと感じたが上司はBが正しいと言ったので、上司の意見に従った」

これらのように、状況判断の困難さや意思決定の困難さが、「状況判断間違い」の要因となります。

 

方法(手順)違い

すでに確立されている方法や手順に対して誤った行動をとってしまうエラーは、原因が「行動」にあるものとして分類できます。

  • 「器具や機械が扱いにくく、誤った使い方をしてしまった」

このように、あらゆる道具に対する操作性の悪さが、「方法(手順)違い」の要因となります。

 

意図された行動によるエラー

では次に、意図された行動によるエラーをみていきましょう。

これは意図しない行動によるエラーとは真逆で、エラーが発生するリスクを理解した上で行動を起こしてしまうエラーです。

  • 「自分で発見した方法の方が効率的だと感じたので、やり方を変えた」
  • 「忙しかったので、影響のなさそうな手順を1つ飛ばした」

これらのように、意図された行動によるエラーは「決まりを守ることに対する意識の低さ」や「作業の必要性に対する理解不足・納得不足」が要因となります。

 

分類別の具体例

エラーの小分類

ヒューマンエラーを5つに分類したところで、より理解を深めるために具体例をみていきましょう。

それぞれのエラーに対して、エラーが起こる要因なども合わせて解説していきます。ぜひ、自身の職場で起きているエラーがどの分類に当てはまるのかを考えながらご覧ください。

なお、具体的な対策方法については記事の最後にご紹介しております。

 

意図しない行動によるエラー

まずは、意図しない行動による4つのエラーからみていきます。

やり忘れ、記憶違い

具体例

エラーが起こる要因の例

お客様からの注文を忘れてしまった

・時間経過による記憶の薄れ

・多すぎる情報

・覚えにくい情報

・忙しさ等による焦り、注意力低下

お客様の電話番号を間違えて記憶していた

これらの要因から、記憶に関するエラーは具体的に次のような状況下で起きやすいと考えられます。

 

<エラーが起きやすい状況>

  • 一度に大量の仕事を任される
  • 従業員1人が膨大な数の顧客を担当している
  • 繁忙期、従業員の注意力が散漫になっている
  • 精神的に余裕のない新入社員が作業をしている

 

見逃し、見間違い

具体例

エラーが起こる要因の例

タイムセールの値引き札を見逃し、定価で代金をいただいてしまった

・情報の質の悪さ(見づらい等)

・伝え方の悪さ(声が小さい等)

・環境の悪さ(周囲がうるさい等)

・忙しさ等による焦り、注意力低下

注文情報が正しく伝わっておらず、誤った品物が用意されてしまった

これらの要因から、認知に関するエラーは具体的に次のような状況下で起きやすいと考えられます。

 

<エラーが起きやすい状況>

  • 周囲の騒がしく、声が通りにくい
  • 照明が暗く、手元や足元が見にくい
  • 電話が古く、相手の声が聞き取りにくい
  • 繁忙期、従業員の注意力が散漫になっている
  • 精神的に余裕のない新入社員が作業をしている

 

状況判断間違い

具体例

エラーが起こる要因の例

後ろに並んでいたお客様を先に案内してしまった

・状況理解の困難さ(お客様が整列していない等)

・意思決定の困難さ(マニュアルの不備等)

・社員同士のコミュニケーション不足

・忙しさ等による焦り、注意力低下

アレルギーを持つお客様に、誤ってアレルギー食材を提供しようとしてしまった

これらの要因から、判断力に関するエラーは具体的に次のような状況下で起きやすいと考えられます。

 

<エラーが起きやすい状況>

  • 繁忙期、店頭に人が溢れ収集がつかない
  • マニュアルに不備があり、判断に迷うことがある
  • 社員同士の連携(コミュニケーション)が足りていない
  • 繁忙期、従業員の注意力が散漫になっている
  • 精神的に余裕のない新入社員が作業をしている

 

方法(手順)違い

具体例

エラーが起こる要因の例

台車の移動中、思うように動かせずお客様にぶつかってしまった

・操作性の悪さ(台車が古い等)

・忙しさ等による焦り、注意力低下

保管する書類を、廃棄する書類と間違えてシュレッダーにかけてしまった

これらの要因から、行動に関するエラーは具体的に次のような状況下で起きやすいと考えられます。

 

<エラーが起きやすい状況>

  • 道具や機械が古く、操作性に欠ける
  • 似たようなボタンが多く並んでおり、認識しにくい
  • 繁忙期、従業員の注意力が散漫になっている
  • 精神的に余裕のない新入社員が作業をしている

 

意図された行動によるエラー

意図された行動による具体例をみていきます。

具体例

エラーが起こる要因の例

お釣り(千円札)の枚数確認を怠ったら、枚数を間違えて渡してしまった

・決まりを守ることに対する意識の低さ

・決まり事の内容への理解不足

・決まり事の内容への納得不足

・忙しさ等による焦り、注意力低下

面倒なのでダブルチェックを無視したら、エラーが起きてしまった

これらの要因から、意図された行動によるエラーは具体的に次のような状況下で起きやすいと考えられます。

 

<エラーが起きやすい状況>

  • 忙しく、常に人手不足である
  • 時間に追われる仕事である
  • 従業員教育が行き届いていない
  • マニュアルに不備があり、活用されていない
  • 繁忙期、従業員の注意力が散漫になっている
  • 精神的に余裕のない新入社員が作業をしている

 

分類別の発生原因

エラーに関わる3つの人間特性

上記ではヒューマンエラーの原因として、人間の「記憶」「認知」「判断力」「行動」などをご紹介してきました。

ではなぜ、人間はこのような間違いを起こしてしまうのでしょうか。そこには、次にあげる3つの人間特性が大きく関わっています。

 

<エラーに関わる3つの人間特性>

  1. 生理学的特性
  2. 認知的特性
  3. 社会心理学的特性

「参照元(愛媛県看護協会):看護の知恵袋【Vol.135夏号】ワンポイント・アドバイス『人間はなぜ間違いを犯すのか』

それでは、これら人間が生まれながらにして持っている3つの特性についてくわしくみていきましょう。「ヒューマンエラーを完全に無くすことはできない」といわれる理由がわかると思います。

 

1.生理的身体的特性

人間の身体機能は、次のようなポイントで変化が起こります。

  • 疲労
  • 加齢
  • サーカディアンリズム(眠りと体温)

 

人間の体は、「疲労」と「加齢」によって機能が低下します。体が疲れると注意力が落ちたり、加齢により視力が悪くなったりするのが代表的な例でしょう。

また、人間の体には「サーカディアンリズム」と呼ばれる、体内時計の役割を果たす機能があります。この機能によって、眠りと体温をコントロールしているのです。体温が高いときは体を活動的に動かせますが、体温が低くなると眠気を生じ注意力が低下します。

これらの理由により、人間の生理的身体特性はヒューマンエラーの原因となってしまうのです。

とくに、前述したような記憶に起因する「やり忘れ、記憶違い」のエラーや、行動に起因する「方法(手段)違い」のエラーは、この特性が原因となることが多いでしょう。

 

2.認知的特性

人間は、視覚や聴覚、嗅覚などの五感で取り入れた情報を脳で処理し認識します。ところが、人間の脳は、次にあげるような特性からエラーを起こしてしまうことがあるのです。具体例をみてみましょう。

  • 「B」と「D」を聞き間違える
  • 集中していると、周囲の音に反応できなくなる
  • 慣れない運転では、前を向いていても視野が狭くなる
  • 大きな地震がきても「自分は大丈夫」だと思ってしまう
  • 注意点に気を付けながら作業を進めていたが、途中から無意識で作業を行っていた

 

これらのように人間は、脳の処理過程において思い込みや偏見によってエラーを引き起こしたり、時には自身の都合の良いように解釈してしまったりすることがあります。「(これは間違いではなく)きっとアレのせいだ」とこじつけて解釈してしまうこともあるのです。

とくに、前述したような認知に起因する「見逃し、見間違い」などのエラーでは、背後にこれらの原因が隠れていることが多いでしょう。

 

3.社会心理学的特性

集団の心理的特性とも呼ばれるこの特性は、人間が集団のなかにいる状態で起きる心理的特性を表します。たとえば、次のような状況を思い浮かべてください。

  • 上司の間違いに気づいていたが、何も言えなかった
  • 「違う」と思っていたが、みんなが「正しい」というので何も言えなかった
  • お客様に呼ばれたが「ほかの誰かが対応してくれるだろう」と思い反応しなかった

 

これらのように集団のなかで人間は、「上司に逆らえない」「みんなと違うことができない」「みんながいるから手を抜く」といった心理的状況に陥りやすくなります。

ほかにも「赤信号、みんなで渡れば怖くない」といった言葉を聞いたことがあるでしょう。これは「リスキーシフト現象」といい、集団になると人間は「自分がしていることはきっと正しい」と思い込みやすくなるのです。

とくに、前述したような「状況判断間違い」や「意図された行動によるエラー」は、この特性が原因となりやすいでしょう。

 

分類別の対策方法

それでは最後に、ヒューマンエラーの分類ごとの対策方法を簡単にご紹介しておきましょう。これまでの「まとめ」としてぜひご覧ください。

対策方法1.やり忘れ、記憶違いの対策

「やり忘れ、記憶違い」まとめ

発生原因

記憶

発生要因

・時間経過による記憶の薄れ

・多すぎる情報量

・覚えにくい情報

・忙しさ等による焦り、注意力低下

注意すべき人間特性

生理的身体特性

「やり忘れ、記憶違い」のエラーは、「時間経過」および「情報量」「情報の性質」がカギとなります。そのため、解決策としては次のような方法が効果的でしょう。

<対策>

  • マルチタスクをしない
  • 記憶に頼らず、記録に残す
  • 焦りをおぼえる状況を作らない

 

対策方法2.見逃し、見間違いの対策

「見逃し、見間違い」まとめ

発生原因

認知

発生要因

・情報の質の悪さ(見にくい等)

・伝え方の悪さ(声が小さい等)

・環境の悪さ(周囲がうるさい等)

・忙しさ等による焦り、注意力低下

注意すべき人間特性

認知的特性

「見逃し、見間違い」のエラーは、「情報の質」および「情報の伝え方」がカギとなります。そのため、解決策としては次のような方法が効果的でしょう。

<対策>

  • 情報の質の向上を目指す→文字は見やすく丁寧に書く、音は聞き取りやすくハキハキと話す
  • 環境を整える→照明を明るくする、店内のBGMを小さくする等
  • 焦りをおぼえる状況を作らない

 

対策方法3.状況判断間違いの対策

「状況判断間違い」まとめ

発生原因

判断力

発生要因

・状況理解の困難さ(お客様が整列していない等)

・意思決定の困難さ(マニュアル不備等)

・社員同士のコミュニケーション不足

・忙しさ等による焦り、注意力低下

注意すべき人間特性

社会心理学的特性

「状況判断間違い」のエラーは、「状況理解のしやすさ」および「意思決定のしやすさ」がカギとなります。そのため、解決策としては次のような方法が効果的でしょう。

<対策>

  • マニュアルを整備する
  • 社員同士の信頼関係を深める
  • 環境を整える(待機列を確保する等)
  • 焦りをおぼえる状況を作らない

なお、下記の記事ではマニュアル作成のコツについてくわしくご紹介しています。無料テンプレートもダウンロードできますので、ぜひご活用ください。

■参考記事

【パワポで作成】わかりやすいマニュアルの作り方(無料テンプレート付き)

 

対策方法4.方法(手順)違いの対策

「方法(手順)違い」まとめ

発生原因

行動

発生要因

・操作性の悪さ(台車が古い等)

・忙しさ等による焦り、注意力低下

注意すべき人間特性

生理的身体的特性

「方法(手順)違い」のエラーは、物理的な「操作性」がカギとなります。そのため、解決策としては次のような方法が効果的でしょう。

<対策>

  • 操作性を確保する→原因となる物の修理・交換等
  • 焦りをおぼえる状況を作らない

 

対策方法5.ルール違反や手抜き、横着の対策

「意図された行動によるエラー」まとめ

発生原因

心理

発生要因

・決まりを守ることに対する意識の低さ

・決まりごとの内容への理解不足

・決まりごとの内容への納得不足

・忙しさ等による焦り、注意力低下

注意すべき人間特性

 社会的心理学的特性

意図された行動によるエラーは「心理的要因」がカギとなります。そのため、解決策としては次のような方法が効果的でしょう。

<対策>

  • 規則遵守の意識づくり
  • 社員教育(規則に対する理解・納得を深める)
  • 社員同士の信頼関係を深める
  • 焦りをおぼえる状況を作らない

 

まとめ

重大な事故や損失につながる可能性をもつ、ヒューマンエラー。今回は、ヒューマンエラーの対策方法を見いだす上で重要な「ヒューマンエラーの分類」についてくわしくご紹介しました。

見出し「分類別の対策方法」では、分類ごとの対策方法もご紹介していますので、ぜひ参考にご覧ください。

なお下記の記事では、より広い視点から考えたヒューマンエラーの対策方法もご紹介しています。貴社のヒューマンエラー削減対策にお役立ていただければ幸いです。

■参考記事

ヒューマンエラーを防止する対策方法とは?分類別のエラー例や具体的な対策方法をわかりやすく解説!

著者
松木 謙介
2017年にピーシーフェーズ株式会社に新卒で入社。大手飲食チェーン店のマニュアルデジタル化プロジェクトに携わり、2年目から人材育成クラウドサービス「shouin」の立ち上げ、現在までプロダクト開発に携わる。「研修をもっとラクラクに」できるよう、試行錯誤を続ける日々。趣味はサッカー観戦、ゲーム、読書、他多数。

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