新人社員やアルバイトが入店してきたとき、みなさんはどのように育成をされているでしょうか?年の近い先輩スタッフや、ベテランパート、若手社員など・・・シフトに合わせて日々のトレーナーを変えていたり、専任トレーナーをつけて基礎業務から教えたりしているでしょう。
ある程度の育成が終わり、新人が一人で業務をするようになったとき、こんなことが起こったことはありませんか?
「新人が、自分のやり方と違う方法で業務を行っている・・・」
その都度、正しいやり方に訂正して教えることが多いかと思いますが、新人からすれば、「どっちが正しいの?」と混乱してしまいます。
これは、業務マニュアルの平準化ができていないことにより起こる弊害です。
本記事では、本社(または店舗)の育成担当者に向けて、業務のばらつきにより起こる危険性と、平準化のメリット・ポイントを解説していきます。
目次
- 業務にばらつきがあるとなぜ危険なのか
- 業務が平準化されている状態とは
- 平準化のためのマニュアル作成 実践ポイント3つ
- まとめ
業務にばらつきがあるとなぜ危険なのか
従業員によって業務のばらつきがあるとなぜ危険かというと、まず一つは先述した通り、新人が正しい業務の進め方を把握できなくなってしまうからです。人によって言っていることが違うというのは、職場に対する信頼性を揺るがす大きな問題でもあり、早期離職に繋がる可能性もあります。
もう一つは、サービスの質を担保できなくなってしまうということです。ばらつきの原因は長く働いているベテランスタッフが要因となることが多く、「この人なら安心」と思えるスタッフでも正しいオペレーション方法が実践できていない場合があります。これは慣れによるもので、「このやり方が楽だな」「こうしたほうが良いな」という自己流のアレンジが加えられることによって起こります。その自己流オペレーションを、新人にも教えてしまうのです。
新人にしろベテランスタッフにしろ、一度覚えた業務を訂正されまた一から覚え直すことは大きなストレスになります。覚え直したオペレーションが果たして正しいのか?また訂正されることはないか?ということも気がかりでしょう。こういった不安やストレスを与える前に、業務の平準化に向けた動きを進めることが重要です。
業務が平準化されている状態とは
平準化とは、「全従業員が同じ認識でオペレーション方法を理解している」状態のことを指します。会社や店舗としてのオフィシャルな業務マニュアルを作成することが、平準化への近道とされます。
業務を平準化することで、以下のようなメリットがあります。
・新人が正しい業務の進め方を把握できる
・店舗のブランドとしてのサービスの質が担保できる
・店長やトレーナーの業務指導負担が軽減される
「1.業務にばらつきがあるとなぜ危険なのか」で先述した2つの問題点が解消されるのに加え、間違った業務を訂正指導する店長やトレーナーの負担軽減も期待されます。
平準化を進めたとしても、新人にとっては違うオペレーション方法を教えられる場面があるかもしれません。マニュアルを作成しておくことで、新人が自分で「教わった方法が間違っている」という判断をすることもできます。
それでは、平準化のためのマニュアル作成はどのように進めるべきなのでしょうか?
平準化のためのマニュアル作成 実践ポイント3つ
上記ではオフィシャルな業務マニュアルの作成をすれば平準化されるとお伝えしましたが、マニュアルはただ作ればいいだけではありません。気を付けるべきポイントがありますので、確認していきましょう。
【ポイント1】一度作って終わりではなく、アップデートを続けていくこと
業務マニュアルは一度作ったものを何年も使い続けるのではなく、最低でも1年に1回は見直すことをおすすめします。オペレーション自体は変わっていなくても、表現のアップデート(写真や説明文の追加・変更など)をすることでよりわかりやすいマニュアルになっていきます。
スタッフからのリクエストやフィードバックにも耳を傾けましょう。先述したベテランスタッフの自己流アレンジは、業務効率化に有効な場合もあります。
【ポイント2】スタッフ全員が同じ情報のマニュアルを確認できること
マニュアルのアップデートを実施したとき、Aさんは古いマニュアル、Bさんは新しいマニュアルを参考にしてしまうと、「共通認識を持つ」ことができません。マニュアルのバージョン管理(更新日などの記載)がきちんとできていればまだ良いですが、更新日の記載もないマニュアルが2冊並んでしまうと、また「どっちが正しいの?」という状態になってしまいます。スタッフ全員が同じ情報のマニュアルを確認できる状態を保てるようにしましょう。
【ポイント3】新人・ベテラン関係なくマニュアルを展開すること
マニュアルというと新人向けものを想像してしまいがちですが、今回のように「標準化」を目指す場合は、新人・ベテラン関係なくマニュアルを展開することが重要です。
「1属人化とはどのような状態なのか」でも先述したように、業務内容が誤って伝達されていくのは業務に慣れたベテランスタッフが要因である可能性も否めません。会社としての正しいオペレーションを改めて認識してもらうためにも、スタッフ全員を対象としてマニュアル展開しましょう。
ここで事例をご紹介します。セレクトショップを展開する株式会社ユナイテッドアローズでは、内定者に対して入社前に理念研修などを行っていましたが、接客などの実践的な育成は店舗への配属後でした。しかし、OJTの時間が十分に取れないことに加えて、トレーナーによって教え方が違うという課題がありました。
そこで、ユナイテッドアローズの販売員として必要な知識やスキルを動画マニュアル化し、内定期間を有効活用してshouinで自主学習できる環境を提供しました。表情やお辞儀の角度などの実践的なスキルは「動画レビュー機能」でアウトプットさせ、一人ひとりに的確なアドバイスを実施することで、店舗配属時点で一定レベルの知識とスキルが身につき、店舗でのOJT負担も削減されました。
詳細な事例は下記リンクからもご確認いただけます。
マニュアルによる属人化解消・OJT効率化-ユナイテッドアローズ事例詳細
まとめ
いかがでしたでしょうか。
店舗業務のすべてをマニュアル化するのは骨が折れる作業かと思いますので、まずは新人がオペレーションミスを起こしやすい業務から作成してみましょう。スタッフへヒアリングしてみることもおすすめです。マニュアルはあくまでも、実際に業務に従事するスタッフが正しく効率的に業務を遂行するためのものですので、本社や店長の理想を押し付けてしまわないように気を付けましょう。
また、マニュアルの管理方法もよく検討する必要があります。更新のしやすさ、バージョン管理のしやすさ、配布コストなどが検討材料になりますが、おすすめなのはクラウド上で管理することです。更新のたびに印刷する必要がなく、スタッフはスマホやPC確認できるため、自宅に帰って復習することも容易になります。
パワーポイントでのマニュアル作成については、下記記事でわかりやすくポイントをまとめていますので是非ご覧ください。
【パワポで作成】わかりやすいマニュアルの作り方
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