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【セミナーレポート】接客業の人材育成オンライン化〜ミュゼプラチナム流人材育成術〜

研修 OJT セミナーレポート
2021.07.06
和田 薫帆

202169日(水)に株式会社ミュゼプラチナム教育部の渡部 瑠美子様をお迎えし、webミナー「接客業の人材育成オンライン化〜ミュゼプラチナム流人材育成術〜」を開催しました。

緊急事態宣言の再発令により、リモートワークや時差出勤を余儀なくされる中で、対面で長時間仕事を教えることが困難になるなど、人材育成方法の変化やオンライン化などの効率化が求められています。

しかし、研修をオンラインに切り替えた企業からは「効果的に運用できていない」「集合研修より質が落ちてしまう」といった声を聞くことも少なくありません。

今回は、コロナ前から人材育成をオンライン化した美容脱毛大手の株式会社ミュゼプラチナム渡部様に、その経緯や実際の効果だけでなく、理想の即戦力人材に育てる研修方法、多店舗の従業員スキル平準化のコツ、従業員メンタルケアなど盛りだくさんの内容で語っていただきました!

ぜひ最後までお読みくださいませ。

 

目次

  1. ミュゼが目指すエステティシャンの理想像について
  2. スタッフ育成の役割分担
  3. ミーティング・研修制度について
  4. コロナ禍前での育成体制の限界
  5. 教育オンライン化のポイント・効果とは
  6. なぜWEB会議ツール以外にも必要なのか
  7. 従業員メンタルケアの必要性

  8. 動画作成について
  9. 視聴環境やセキュリティについて
  10. 終わりに

 

1.ミュゼが目指すエステティシャンの理想像について

まずミュゼプラチナムが目指すエステティシャンの理想像について大きく3つに分けてご紹介します。

  1. 土台になる人格の部分

  2. エステティシャンとしての技術

  3. 接客スキル

1つ目の「土台になる人格の部分」とは相手のことを思いやれる人、自分自身と向き合える人です。お客様が嬉しいと思えることや一緒に働く仲間の成長を応援・考えることができ、自分自身の課題と向き合い、成長を感じることができることを指します。

2つ目の「エステティシャンとしての技術」はミュゼプラチナムの接客体制が担当制ではないこともあり、どのスタッフが対応しても安全で安心感のある技術を提供することが大前提となります。それに加えて、知識、話し方、触れ方、立ち振る舞いを通して、お客様にとって心地いい時間を提供できるエステティシャンを育成しています。

3つ目の「接客スキル」は技術力と同じで、どのスタッフが対応してもお客様全員に同じサービスやお肌のアドバイスを行うためにスキルの平準化を行っています。またお客様に寄り添った対応や考え方は、接客において重要なスキルの為、力を入れています。

この理想像を目指すためにミュゼプラチナムは各役職への研修制度や新人スタッフへの育成の役割分担をおこなっています。

 

2.スタッフ育成の役割分担

次に新人スタッフを理想像へ近づけるために、育成における役割分担についてお話しします。大きく5つあり、役割ごとに行う内容も異なっています。

  • 本社教育部:全体を統括し新人スタッフがデビューするまでの仕組みづくりや環境づくりを行う。

  • ブロックトレーナー:全国8ブロックに所属し、主に店舗でスタッフ育成をする「教育者の育成」をはじめ、接客力や技術力の向上のために指導を行う。

  • 研修トレーナー:全国統一化のため、新人や育成に関わる全ての研修を行う。

  • チーフ:店舗内での接客力や技術力の向上を目指し、スタッフのスキルチェックをおこなう。タギーのサポートも行う。

  • タギー:新人の育成に最も関わる役割。技術力や業務全般、新人の気持ちに寄りそう対応も行う。

 

3.ミーティング・研修制度について

ミーティング・研修は役職ごとに分かれており、その目的も役職ごとに異なるのが特徴です。

  1. MBA(ミュゼビューティーアカデミー)研修

  2. グローアップ研修

  3. CIS(顧客感動満足向上)研修

  4. タギー研修

  5. チーフ研修

  6. 肌理論MTG

  7. 技術チェックMTG

  8. タギーMTG

その中でも、新人研修として、MBA研修、グローアップ研修、CIS向上研修は、入社直後・3ヶ月目・1年経過の3つのタイミングに行っています。

新人育成における3つの研修について

MBA(ミュゼビューティーアカデミー)研修

MBA研修は、入社時に行う、接客・技術の基礎をはじめ、ミュゼプラチナムの理念や考え方や仕事への姿勢、サロン業務の基礎を学ぶための研修です。

グローアップ研修

3ヶ月以内に技術修了目指すため、目標がなくなるタイミングに初心にかえるための研修となります。新人スタッフがタギー(新人育成担当)の指導を受けたあと、自ら目標・やりがいを見出し、理想の姿を実現できるようになるまでのフローを明確化します。この目標やフローは接客メインの為、お客様のことを最優先とした目標設計を行うことが特徴です。

 

CIS(顧客感動満足向上)研修

自分のできることが増えてくるタイミングで行う研修になります。環境に慣れた自分自身を振り返るきっかけの場としてあたえており、顧客感動満足度向上につなげる目標設計も行っています。

ここまで研修についてお伝えしましたが、「質の良いマニュアルを作って、有意義な研修を行うだけ」では人は育ちませんと、渡部様は力強く語ってくださいました。
新人を一人前にしていくには、「こまめなフォローを繰り返す」必要があり、その為にも技術・メンタル・接客全てにおいて、新人スタッフの現状をしっかり把握をする必要があります。

4.コロナ禍前での育成体制の限界

ミュゼプラチナムは、従業員数が約4,000人と従業員規模が大きいこともあり、役割分担・育成全体の仕組みはコロナ禍前には構築できていましたが、アナログな手法だったことで問題が発生していました。
そのひとつである学習進捗報告(日報)は、紙の提出で行っていたため、新人の提出忘れやタギー(育成担当者)の返し忘れが多く発生しており、店舗でどこまで学んできたのかの確認が進まず、新人への対応やフォローが遅れてしまっていました。

また、研修のすべてを集合研修で行っていましたが、コロナ禍の影響で全国各地から1カ所に大人数を集めることができなくなり、本来ならば一番時間をかけて行いたい技術研修に取れる時間が短くなっていました。
さらに管理、共有するための方法が複数あったことで、確認漏れがあり、報告する側、確認する側の両方にとって不便で、時間がかかってしまっていたという課題がありました。

 

5.教育オンライン化のポイント・効果とは

教育のオンライン化を成功に導くポイントは、「何を行いたいかによってツールを使い分けること」です。ミュゼプラチナムは主にshouin+zoomを使い分けて人材育成を行っています。紙で提出をさせていた日報をデジタル化し、初回の集合研修をオンラインマニュアルや動画による事前学習を挟んでから実施することで効率化させました。さらに集合が不要なミーティングや研修はzoomで実施するよう置き換えています。
毛機材の取り扱いや接客などといった、集合研修が必須な項目を除いてオンライン化をしたことによって得られた効果は以下にまとめています。

  • 研修頻度・教えられる項目が増加し、研修の質が向上

  • 全体の研修の効率化

  • 提出忘れが減少

  • 一元化され、管理しやすくなった

  • 新人スタッフの心境の変化の可視化

 

6.なぜWEB会議ツール以外にも必要なのか

前述したとおり「本社が一方的にマニュアルを配信するだけ」では人は育たないため、「管理・コミュニケーション・評価」まで、円滑に進められる仕組みづくりが重要です。そのためにはzoomTeamsといったWEB会議ツールのみを使って行うのではなく、shouin+のようなオンライン研修ツールを使うことで、進捗管理まで行うことができるようになります。
また、新人がいつでも気軽に学習できるという、使いやすさも必要になってきます。紙の資料を渡して「勉強しておいて!」では、集合研修時以外その資料が使われることはないと渡部様は語っています。

musee1

数々のツールを比較検討した結果、ミュゼプラチナムの育成に必要な要素をすべて満たしていたのがshouin+でした。新人育成に必要な要素を満たしたshouin+の機能を5つご紹介します。

 

shouin+機能5つの紹介

ミュゼプラチナムがスタッフ育成や研修にて現在ご利用頂いているshouin+の機能の中でも特に活用頂いている5つの機能について渡部様より語っていただきました。

動画トレーニング

接客や施術の動画を配信し、見て学ぶ機能です。マニュアルを動画配信に切り替えた事により、新人スタッフは困った時に何度でも見返して確認できますし、タギーも教える内容が明確になるので、目線を合わせることが可能になりました。
動画を活用したトレーニングでのメリットは以下です。

  • 手が離せないときでも自習や復習に使える。

  • マニュアルを見るよりも動画の方が具体的で理解しやすい。

  • 事前に知識を得てもらうことで講義の時間短縮ができる

  • 新しい内容になった際に修正がすぐに出来る。(冊子や紙ベースのマニュアルなどの修正がすぐに難しい)

  • 常に新しい情報をすぐ共有できる。

  • 産休明けのスタッフも隙間時間で学習ができる。(新人だけでなくスタッフの育成にも使える)

 

チェックリスト

どこまで学習が進んでいるのかの進捗確認を行う機能です。この機能があることによって、育成が順調な店舗は店舗にお任せをする、声かけが必要な店舗は集中してフォローするなど、本当にフォローが必要な店舗を限定することができます。
タギー目線で考えた時にも、チェックリストがあることによって、新人スタッフに何を教えていけばよいかがはっきりするため、個人に最適化した指導が出来ています。

研修報告

研修を通して、新人に関するメモを残すことができる機能です。実際に教育を担当するタギーとトレーナーが一緒に読み込み、育成計画の立案に繋がっています。MBA研修後に、トレーナーからタギー宛てに新人スタッフの特徴等を共有し、細やかな育成指導をするための情報として活用しています。

日報

研修時に新人スタッフが何に苦戦して何が自信につながったのか成長段階が見えるので、店舗側の受け入れに活用しています。また、MBA研修の受入れ時でも日報機能を活用しています。

  • どのような場面でも新人スタッフの気持ちを知ることができる

  • 各店舗のスタッフすべてが新人スタッフの現状を把握してフォローに入ることができる

  • 日報が交換日記のようなデザインのため、タギーと新人スタッフのコミュニケーションの手助けとなっている

  • MBA研修卒業後の新人スタッフの気持ちや成長の確認ができる

  • 遠隔でも何か不安な事があればSOSに気づいて対応が出来る

 

新人スタッフのメンタル面での確認以外にも、新人スタッフの日報内容を見て、タギーへの指導を行うこともあるので、役職に限定しない活用をしています。

 

お手入れ評価

お手入れ評価とはミュゼプラチナム専用のカスタマイズ機能の1つです。新人スタッフが全身脱毛の技術を入社3ヶ月以内で習得することを目指して、達成しなければいけない特別なチェックリストで、育成状況の進捗確認が出来る機能です。
コメント機能もあるため、合否だけでなく何に苦戦しているかも評価として確認できるようになっています。


7.従業員メンタルケアの必要性

従業員のメンタルケアを大切にしているミュゼプラチナムでは、沢山の経験を繰り返し「やりがい」を見つけてもらうことで、「ミュゼで働いていることが楽しい」とスタッフ自身が感じてもらえるように研修内容や体制の構築に取り組んでいます。
この環境が楽しいと自分自身が感じることができれば、お客様に対しても喜んでいただける接客につながるので、顧客感動満足度の向上だけでなく、離職率の低下にもつながっていきます。
新人スタッフは慣れない環境や覚える業務が沢山ある中、全身脱毛技術の入社3ヵ月での合格を目指しており、この期間は特にメンタルサポートが必要な時期になります。そのため、サポート体制が整っていないと離職につながってしまいます。
全国の店舗・個人に問題が発生していないか、本社側がしっかり把握し、フォローする仕組みを構築することが大切です。

8.動画作成について

ここまで従業員のメンタルケアについてお話してきましたが、ミュゼプラチナムで作っている動画についてご紹介します。
ミュゼプラチナムでは講義動画とマインド動画の2種類を作成しています。

  • 講義動画:基本的に10-15分程度のコンテンツにしている。長時間になる講義に関しては、シリーズ分けを行う。

  • マインド動画:新人の成長の中の「あるある」をテーマとし、誰もが共感できる内容にしている動画に流れるBGMも動画内での場面に合わせている。

 

動画は無料のiMovieを使用して編集も行っています。講義動画とマインド動画の作成は担当チームがそれぞれあり、企画構成から編集まで行っています。

 

9.視聴環境やセキュリティについて

動画を活用したツールは視聴環境やセキュリティ、通信費に懸念があるかと思います。
デバイスは、会社が支給している店舗タブレットと新人スタッフのみ個人スマートフォンを許可して利用しています。個人スマートフォンを使用させる上で、セキュリティ面の工夫として、ミュゼサロンWi-Fiの環境内でのみshouin+を視聴できる制限をかけているので、そのWi-Fiから外に出るとログインできないように設定をして頂いています。また、ミュゼサロンWi-Fiは無料のため、日ごとの通信費はかかっていません。
動画での学習時間や日報提出のタイミングは就業時間中の空き時間にスタッフに取り組んでもらう体制で現在行っています。

10.終わりに

ミュゼセミナーレポート2(写真:左・株式会社ミュゼプラチナム教育部 渡部瑠美子様 右・ピーシーフェーズ株式会社shouin+事業本部 江利川詩織)

いかがでしたでしょうか。

人材育成は、研修だけでなく管理・コミュニケーション・評価まで網羅できる仕組みをオンラインで構築することが重要になってきます。
「企業様の業態によって、必要な要素が異なってきますが、まずは課題解決に必要な要素を洗い出してから、目的に合わせたツールを使い分けることが良いと思います。」とおっしゃる渡部様。
渡部様のメンタルケアについての考え方や、従業員とのコミュケーションを大切にしている取り組みは、筆者も深く考えさせられました。

今回の内容が、お読みいただいた皆様の、今後の人材育成のヒントとしてお役立て頂ければ幸いです。

著者
和田 薫帆
新卒で保育園栄養士として従事後、ピーシーフェーズ株式会社へ入社。 現在はインサイドセールスとして、顧客のナーチャリング施策やインバウンド架電、セミナー運営を中心に従事。

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