2020年は新型コロナウイルス感染症の流行から、ニューノーマルという新しい生活様式も生まれ、マスクをつけての生活が当たり前になるなど、社会や経済活動のあり方も大きく様変わりしました。特に新人研修、人材育成分野においては、3密対策やソーシャルディスタンスの呼びかけにより、集合研修が実施できないなど、特に店舗を運営している企業の新人研修は、大きな影響を受けています。
また上記に伴ったリモートワークの普及により、特定の場所にとらわれない働き方が基本となったため、従来の研修方法を見直して、いつでもどこでも研修が実施できる体制づくりなど、ニューノーマルに沿ったやり方にシフトするタイミングが来ていると言えます。みなさんの中にも「本社社員や教育担当者の負担やコストは削減したいけど、研修の質は下げたくない…」と多くの課題に直面し、解決方法を探していらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
この記事では、コスト削減と育成の質の向上を同時に実現できる、オンライン研修サービス導入のメリットを5つご紹介します。
目次
- オンライン研修サービスとは?
- 従来の店舗研修
- 教育担当者の負担
- 本社の負担
- オンライン研修サービス導入のメリット5つ
- まとめ
オンライン研修サービスとは?
ZoomやMicrosoft Teamsのようなweb会議ツールを用いたリアルタイム性の高い研修ではなく、企業が持っているマニュアルや研修用動画などのコンテンツを活用して、時間や場所を選ばずに研修を進めることができる新しい研修体制が構築できるサービスです。
サービス上にマニュアル、クイズ、チェックリストなどの研修コンテンツを配信し、新人や既存社員にはそこにアクセスできる研修用のアカウントを配布します。そうすることでインターネットがある環境であれば、新人はいつでもどこでもマニュアルを閲覧でき、研修を進めることができるという新しい研修の形です。
「研修対象者と教育担当者が対面しなくても研修が進められる」、「集合研修など、一箇所に集めなくても、それぞれの場所で研修ができる」といったニューノーマル時代に合う特徴を持っており、その結果研修にかかる時間的・金銭的コストを大きく削減できると、導入企業が増えている注目のサービスです。
従来の店舗研修
従来の店舗研修は大きく2つに分けることができます。
・OJTによる研修
1つ目がOJT(On-the-Job Training)と呼ばれる、実際に現場で店長などの先輩が新人の横について、働きながら業務を覚えていく研修です。新人の行動を逐一見ながら、指導やアドバイスを行っていきます。
・座学による研修
2つ目はOff-JT(Off-the-Job Training)と呼ばれる、OJTを行う前にあいさつの仕方や店舗での作業などの基本的な業務知識を、マニュアルの読み合わせや口頭で伝えていく座学形式の研修です。Off-JTはマニュアルを勤務前に読んだり、マニュアルがない店舗であれば、先輩がOJT中に口頭で伝えたりする場合もあります。
特にこのOff-JTは、マニュアルを読む時間が限られていたり、先輩から口頭で教えてもらったりしても、実践してみないとわからなかったりと、すぐに習得しづらい内容が多くなっています。仮にメモをとっていたとしても、現場で実際に先輩の動きを見るとイメージと異なっているなんてこともあるので、いざ自分でやってみたときに戸惑ってしまったり、間違えて覚えたままベテランになってしまったりといったことも少なくありません。
教育担当者の負担
教育担当者の目線で見ると、何人もの新人に同じことを教えなければいけないことによる体力的な負担や、新人とシフトの時間を合わせなければいけない時間的な負担が大きくのしかかってきます。そうすると本来取り組むべき業務に取り組めない、取り組むための時間を別で確保しなければいけないなど、結果として残業時間が増えてしまい、教育担当者が疲弊してしまう、という悪循環に陥ってしまうことも珍しくありません。
本社の負担
本社の視点で考えてみると、紙のマニュアルの運用負担が大きいのではないでしょうか。例えば改定の際は、「内容を変更する→印刷する→再度店舗に配布する」といった一連の作業が発生するため、大きな負担になっており、膨大なコストもかかってしまいます。
弊社が提供している人材育成クラウドサービス「shouin」をご利用中の企業を対象に行ったアンケート調査で、shouin導入以前に行っていた紙マニュアルの改定作業についてお伺いしたところ、8割以上の企業が1年に1回以上はマニュアルを更新しており、そのうちの3割はその改定作業に2ヶ月以上の時間を費やしていたことがわかりました。
ではこのような従来の店舗研修の課題を、オンライン研修サービスがどのように解決していくのか、導入メリットをご紹介していきます。
オンライン研修サービス導入のメリット5つ
①マニュアルの更新・配布作業が効率化できる
オンライン研修サービスを導入すると、紙マニュアル運用時のような、内容更新の度に印刷し直したり、店舗に配布し直したりといった膨大な作業がなくなります。内容を更新する際は、サービス上に新しいマニュアルを配信するだけで、更新・配布作業が完了するので、簡単かつ高速で最新のマニュアルを全店舗に展開することができます。
また紙マニュアルだと、各店舗によって見ているバージョンが異なっているケースもあり、オペレーション上の問題が起きてしまうこともあります。そのようなこともオンライン研修サービスであれば起きづらいので、全店舗に統一したオペレーションを実行させることができます。
②研修を効率化し、コストを削減できる
オンライン研修サービスでは、主に座学研修、Off-JTをサービスに置き換えます。そのため、従来であれば先輩から口頭で聞いていた内容や、店舗で読んでいたマニュアルが、すべて新人のスマートフォンなどのデジタル端末で閲覧できるようになります。新人はいつでもどこでも業務知識を予習できるだけでなく、実践してみてわからない箇所が出てきた際にも、好きなタイミングで復習できるようになります。
教育担当者も、オンライン研修サービスで知識をつけてきた新人を教育することになるので、本当に教えるべき部分のOJTに時間を割くことができるようになるため、OJTの効率が最大化されることで研修の質も上がり、かつ教育担当者の残業時間の削減につながるのでコスト削減も実現できます。
③従業員のスキルを平準化できる
従来の研修であれば、「教育担当者によって異なる内容で教えていた」など、研修内容が属人化してしまい、その結果、新人のスキルにばらつきが生まれてしまっていました。オンライン研修サービスを導入すると、新人が教わる内容がサービスで配信されているマニュアルや動画に統一されます。新人はそれを見て業務知識を習得するため、本社が教えたい内容を正確に新人に届けることができ、スキルが平準化できます。これは新人に限った話ではなく、新しくオペレーションを追加した際には、長く働いているベテラン社員に対しても有効です。
④離職率を低下させることができる(好きなタイミングで学習できる)
パーソル総合研究所の調査によると、入社後3ヶ月以内で離職した人の理由に「仕事中にほったらかしにされることがよくあった」という項目が、早期離職と関連の強い項目の3位に入っています。これは忙しさのあまり、先輩社員が座学やOJTを行う時間が取れなかった結果、離職してしまうことを表しています。
オンライン研修サービスを導入することで、教育担当者が新人を見てあげる時間が取れない時でも、オンライン研修サービスを見て業務習得を進めることができるので、ほったらかしということがなくなり、離職を防ぐことができるようになります。ただ100%防げるようになるわけではないので、OJTで教えることとの仕分けを行い、サービスの機能を使ってコミュニケーションを取るなど、上手に運用する必要があります。
引用:数週間で辞めるアルバイト 早期離職を未然に防ぐには
⑤評価を定量化でき、新人のモチベーションをアップできる
店長や教育担当者個人の判断で新人の評価を行っていると、評価基準が一定でなかったり、不透明だったりするので、新人の不満が溜まってしまい、結果として離職につながることも珍しくありません。
オンライン研修サービスに備わっている、正しく新人のスキルを評価するためのチェックリスト機能を使うことで、全員を同じ基準で評価できるようになるので、定量的に評価を行えるようになります。また評価基準が明確になることで、次に何を学習していけば良いかもわかりやすく、仕事のモチベーションアップにも繋がります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。研修関連の課題に関しては、今のままで十分だと思われている企業が多かったり、企業が抱えているその他の課題と比較すると緊急性が薄いと思われがちだったりしますが、オンライン研修サービスは、マニュアルの共有をするためだけのものではなく、コスト削減、従業員のスキル向上、など様々な課題解決の第一歩になっている、ということがお伝えできていれば幸いです。
他にも店舗内のコミュニケーションを促進する機能であったり、本社が各店舗の新人の学習状況やマニュアルの閲覧状況を管理できる機能であったり、オンライン研修サービスによって様々な特徴があります。自社が達成したい目標に合わせてサービスを選定することも大事になります。
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ぜひ貴社の研修の効率化にお役立てください。