衛星要因とは?仕事の満足度における2つの要因と可視化する方法、マネジメント例などを解説!
従業員のモチベーション向上は、多くの企業にとっての課題です。
なぜモチベーションが上がらないのか、原因がわからないまま対策を講じては失敗を繰り返し、人が次々と去っていく……といった状況を変えるには、モチベーションについての理解を深める必要があります。フレデリック・ハーズバーグ氏の「二要因理論」は、そのようなときに役立ちます。
今回は、二要因理論にて語られる「衛生要因」について解説していきます。衛生要因の具体的な例や、二要因理論の活用方法などもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
仕事の満足における「衛生要因」とは
衛生要因とは「仕事に対する不満にかかわる要因」のこと。元ユタ大学特別教授、臨床心理学者のフレデリック・ハーズバーグ氏が提唱した「二要因理論」にて登場する用語です。
衛生要因が満たされた状態とは、従業員が仕事に対し不満を抱いていないということを意味します。
反対に、給与や労働条件など、従業員が何かしらの不満を抱いている状態を「衛生要因に欠けている」といいます。
つまり、衛生要因を満たすということは、従業員にとって働きやすい職場を作るということです。不満に係る要素を特定し、改善することで、持続的に働ける環境づくりを目指します。
ハーズバーグ二要因理論
「ハーズバーグ二要因理論」は、ハーズバーグ氏が行った、エンジニアと経理部員の生活事情に関する調査をもとに提唱された理論。従業員のモチベーション向上を目的として用いられる理論で、フレックスタイム制やカフェテリア・プランなどの制度が誕生した起源といわれています。
ハーズバーグ氏は、人間の欲求を大きく2つに分け、動物的な欲求を「衛生要因」、向上心を満たす欲求を「動機付け要因」と名付けました。そして研究の末、衛生要因は従業員の不満足に関係し、動機付け要因は従業員の満足に関係すると考えました。
さらに、人間のモチベーションを高めるためには、衛生要因と動機付け要因の両方に働きかける必要があると説いています。
ダイヤモンド社発行の書籍にて、以下のように解説されています。
ハーズバーグは、この二種類の欲求のどちらも職場における人間的条件の一部であり、一方の欲求が満たされない場合、別の欲求が完全に満たされていても満足感は得られないと考えた。
引用:「[編・訳者]DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部(2009)『【新版】動機づける力ーモチベーションの理論と実践』ダイヤモンド社」
つまり、衛生要因もしくは動機付け要因のどちらかを満たすだけでは、従業員の仕事に対する満足度は高まらないということです。
上記の図のように、衛生要因と動機付け要因の両方が満たされていると、従業員のモチベーションは高く保たれます。
反対に、どちらかが欠けているとモチベーションが低くなります。「やりがいはあるけれど給料が低い」「給料にも人間関係にも不満はないけれど、仕事にメリハリがなくてやる気が出ない」といった具合に、何かしらの不満があるとモチベーションは上がりきらないのです。
「肉体的・経済的欲求を満たすこと」と「精神的欲求を満たすこと」は別物です。それぞれにアプローチする必要があり、かつ両方を満たさなければ真の意味でのモチベーション向上は実現しない、というのが二要因理論における考え方です。
衛生要因の具体例
仕事に対する不満の原因となる「衛生要因」は、具体的にどのような事柄が関係しているのでしょうか。主な5つの具体例について解説していきます。
具体例1.給与
給与は従業員の生活に係るもの。給与が低いと満足な生活を送ることができないため、不満の対象となりやすいです。
単純に金額だけが問題なのではなく、負担や責任に見合っているかどうかも従業員にとって重要です。報酬の決め方と理由に納得できなければ不満を持ってしまいます。
そのため、給与に関する衛生要因を満たすには、整合性に加え透明性も必要であるといえます。
具体例2.福利厚生
従業員の健康や福祉をサポートする「福利厚生」。福利厚生も肉体的・経済的欲求に関係するもので、不十分もしくは不適切と感じると、不満を持つ可能性があります。
例えば、家賃補助がない場合、従業員が抱える生活費の負担は大きくなります。給与の多くを家賃に費やすこととなるため、自由に使えるお金が少なくなり、生活に窮屈さを感じてしまいます。貯蓄も難しく、将来に対する不安を抱えることもあるでしょう。
金銭面に関する補助だけでなく、休暇制度にも不満を抱きやすいです。例えば、リフレッシュ休暇や慶弔休暇を設けていない場合、「休みが少ない」「会社は社員のことを考えていない」などと、会社に対しマイナスの印象を持つ恐れがあります。
特に近年は、人的資本開示の重要性が高まっており、福利厚生に関する企業情報が外部に公開されることも多いです。他社との比較が容易になったことで、より従業員が不満を持ちやすくなったと考えられるでしょう。
具体例3.人間関係
人間関係は、従業員にとっての働きやすさを左右する要素のひとつ。上司や部下、同僚との関係を理由に離職することも珍しくありません。
仕事に満足していても、人間関係が良好でなければ従業員は不満を持ちます。直属の上司や同僚だけでなく、顧客、取引先、他部署との関係も影響します。
すべての人間関係を常時良好に保つことは簡単ではありません。従業員もそのことは理解しているものの、常にストレスを感じるほどの劣悪な関係は、心身に悪影響を及ぼします。そのうえ状況を改善することもできず、ストレスをケアするシステムもないとなれば、従業員の不満は増大することとなるでしょう。
具体例4.職場の環境
ハーズバーグ氏の「二要因理論」では、衛生要因は人間の肉体的欲求に関係すると説明されています。書籍『【新版】動機づける力ーモチベーションの理論と実践』に下記のような記述があります。
衛生要因は、エデンの園から追放され、食べ物、寒さから身を守ること、安全性、防御、苦痛を避けるといった肉体的な欲求を満たす必要のある「アダム」に代表されるという。(中略)「動物的なアダム」は環境や仕事からもたらされる苦痛を避けようとする。
引用:「[編・訳者]DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部(2009)『【新版】動機づける力ーモチベーションの理論と実践』ダイヤモンド社」
このことから、職場の環境も衛生要因に影響するといえます。寒い・暑い・不潔な環境、危険が及ぶ環境は、肉体的・精神的な苦痛を与えることとなるため、改善して環境を改善する必要があると考えられます。
具体例5.経営方針
経営方針は、企業の意志を指し示すものであり、従業員にとっての行動基準です。経営方針が不明確だと、従業員は「企業が何をしたいのか」がわかりません。会社が自分に何を求めているのかも理解できず、不信感を抱いてしまいます。
そのような不信感は、将来に対する不安を煽ります。雇用の保証は、ハーズバーグ氏が二要因理論で挙げた衛生要因のひとつです。したがって、不明確な経営方針は従業員の不満に繋がるといえるでしょう。
動機付け要因の具体例
従業員のモチベーションを高めるためには、衛生要因だけでなく、動機付け要因についても理解しておく必要があります。具体的にどのような事柄が「仕事の満足感」に繋がるのか、以下の5つの例を見てみましょう。
具体例1.達成感
何かを成し遂げたときの達成感は「やりがい」に繋がります。現実的・具体的・実用的な目標を設定し、それをクリアしたときの達成感がモチベーションを高めるのです。
他者が定めた目標では、従業員を動機づけることはできません。働きがいに繋がるほどの達成感は、自己成長や自己実現によって得られるものだからです。そのため、企業および管理者は、従業員が自ら目標を設定するよう促す必要があります。
具体例2.責任感
責任のある役割を与えられることも、満足感に寄与する要因のひとつ。「自分は企業から求められている」「信頼されている」という自信が、従業員のモチベーションアップにつながります。
プレッシャーがマイナスに働くこともありますが、責任が与えられることをポジティブに捉えることの方が多いようです。このことは、フレデリック・ハーズバーグ氏の調査でも明らかになっています。
『【新版】動機づける力ーモチベーションの理論と実践』をもとに弊社で図を作成
1685人の社員を対象とするハーズバーグ氏の調査にて、「責任」は「極端な不満足を招いた要因」と「極端な満足を招いた要因」の両方に挙げられました。その割合に注目すると、満足を招いた要因と判断した人の回答数が、不満足を招いた要因と判断した人の回答数を上回る結果となっています。よって、責任を与えることは、従業員にポジティブな影響をもたらすといえます。
従業員が安心して働けるようにするため、管理者による監督は必要です。しかし、一から十まですべてを管理するのではなく、本人に判断を委ねて責任を与えることも、働きがいを見出させるうえで重要なのです。
具体例3.他者からの評価
人間誰しも、少なからず持っている承認欲求。他者からの評価は承認欲求を満たし、モチベーションを高めます。
人事評価は、動機付け要因に関係する代表的な例です。自分の実績や能力が目に見える形で認められることで、従業員は達成感や自己成長を実感することができます。適切に評価してくれる企業に対し信頼を抱き、仕事の満足度も高まります。
口頭での評価でも承認欲求は満たされますが、信頼関係によっては、かえって不信感を抱く可能性があります。よって、モチベーションアップを図るには、明確かつ根拠のある評価を行う必要があると考えられるでしょう。
具体例4.仕事内容への満足感
給与や福利厚生に対する不満はなくても、仕事そのものに興味が持てなければ、モチベーションはなかなか上がりません。自発的に取り組む意欲が湧かず、ノルマをこなすだけで良しとしてしまいます。
よくあるのが、入社前にイメージしていた仕事内容と、入社後に与えられた仕事にギャップがあり、モチベーションが下がるケース。予期せず全く興味のない業務を行うこととなれば、やる気を出すのが難しくなるものです。
そのほか、人事異動などでも同様のことが起きる可能性があります。成功体験を積めば次第に興味が沸くこともありますが、ハードルは高いでしょう。
具体例5.成長
成長を実感することは、従業員のモチベーションを高めます。仕事にメリハリがつき、楽しさや働きがいを見出すことができるのです。反対に、成長を感じられなければ、仕事そのものへの興味さえ失われることもあります。
そのため、意欲的な社員を育てるには、成長を実感できるような仕組みづくりが必要といえます。より難易度の高い業務を任せたり、学習の機会を与えたりすることで、従業員の満足度向上が期待できるでしょう。
衛生要因を満たすメリット
従業員の不満を取り除くことは、結果的に企業が利益を得ることにも繋がります。具体的にどのようなメリットをもたらすのか、以下の4点について解説していきます。
メリット1.従業員の健康維持
衛生要因を満たすということは、肉体的なストレスを取り除くということです。つまり、従業員の健康を保つことに繋がります。
例えば、労働条件の不満を排除する取り組みとして労働時間を短縮すると、肉体的・精神的な負担を軽減できます。疲労の蓄積による病を防ぐことができ、そのうえ心身をケアする時間も確保できます。従業員が常に健康な状態で仕事に取り掛かれるようになるのです。
また、給与に関する衛生要因を満たすことで、従業員が抱く「生活費や将来への不安」を取り除くことができます。ジムに通ったり、旅行に出掛けたりなど、収入をリフレッシュのために使うことも可能になり、精神的な余裕が生まれます。
そもそも従業員の健康維持は企業の義務ではありますが、離職や休職、欠勤による生産性低下を防げるという意味においては企業にとってのメリットといえるでしょう。
メリット2.離職防止
衛生要因を満たすことは、従業員の離職防止に繋がります。劣悪な人間環境、職務に見合っていない給与、不明確な経営方針など、従業員が離職を考える要因を改善することで、定着を促せるのです。
離職を防止できれば、管理職の育成をはじめとする、中長期的な人材育成が可能になります。持続的な経営の実現に繋がるでしょう。
また、人手不足問題の発生を防ぐこともできます。労働人口が少ない現代の環境において、人材の流出を防げることは、企業にとって大きなメリットと考えられます。
メリット3.モチベーション低下の防止
従業員のモチベーションを高めるには、動機付け要因を満たす必要があります。とはいえ、衛生要因を満たすことで、モチベーションが下がるのを防ぐことは可能です。
むしろ、不満がある状態では、人は意欲的に働けないものです。目標を達成し、成長を実感できたとしても、給与に不満があれば「企業に貢献したい」という意欲が沸きません。責任のあるポジションを与えられても、人間関係に問題があれば、役割を全うすることは難しいでしょう。
つまり、動機付け要因を満たすためには、衛生要因を満たすという基盤づくりが必要なのです。「準備」を行うことで、積極性・主体性の高い従業員を育てることができます。
メリット4.生産性低下の防止
モチベーションが下がっている従業員は、能力を十分に発揮することができません。仕事にやる気がでないと作業スピードが落ちますし、集中力の欠如からミスをすることもあるでしょう。
このように、衛生要因の欠如は組織の生産性低下を招きます。もちろん動機付け要因を満たすことも必要ですが、生産性が下がる要因を改善しなければ、結果的に状況は変わりません。
言い換えれば、生産性向上の施策を成功させるためには、ベースとしてまず衛生要因を満たす必要があるのです。
衛生要因を可視化する方法
衛生要因は、企業ごとに異なるうえに曖昧です。複数の原因が複雑に絡み合っていることも多く、課題点を特定するのは困難です。
そのため、衛生要因の改善を図る際は、現状の可視化から始める必要があります。何が従業員の不満を招いているのか、原因をハッキリとさせる主な3つの方法について見ていきましょう。
方法1.社内サーベイ
社内サーベイとは、従業員に向けた調査のこと。デジタルツールを使って行うのが一般的で、衛生要因の可視化にも活用できます。「給与」「人間関係」など、従業員が不満を感じやすい要素の項目を用意し、アンケート形式で調査します。
社内サーベイを活用する方法は、データを数値化できるのがメリット。また、場所や時間に縛られることなく調査できるため、本部と現場との間に距離があるような企業や、従業員数の多い企業でも実施しやすいでしょう。
ただし、社内サーベイのツールを利用するには費用がかかります。また、従業員に直接会って話を聞くわけではないので、回答が本音なのか、なぜ不満に思っているのかなど、詳細を把握しにくいというデメリットもあります。そのため、匿名で回答してもらう、ミーティングを実施して深掘りするなどの工夫が必要でしょう。
アンケートの項目を決める際は、フレデリック・ハーズバーグ氏が行った調査の項目が参考になります。
『【新版】動機づける力ーモチベーションの理論と実践』をもとに弊社で図を作成
これらの項目以外に不満の原因がある可能性も考えられるので、自社の従業員をよく観察することが大切です。また、従業員の入れ替わりや環境の変化によって衛生要因は変わるため、定期的に調査する必要があるでしょう。
方法2.ミーティングでの観察
ミーティングも、衛生要因を可視化する方法のひとつです。従業員の言動や作業場の環境を観察し、衛生要因に欠けていないか探ります。
衛生要因が満たされていない状態は、例として以下のような言動・状況に現れます。
- 頻繁にヒューマンエラーが起きている
- 従業員の発言が消極的・否定的
- 従業員の非意欲的な態度
- 作業スペースが散乱している など
調査項目をいくつかピックアップしておき、該当する言動・状況がないかチェックします。ここでもハーズバーグ氏が行った調査の項目が参考になります。
ミーティングで観察する方法のメリットは、不満の理由を深掘りできる点です。衛生要因の欠如が疑われる際、その場で従業員に質問することができます。詳細を知ることで、より的確な情報分析が可能になるでしょう。
ただし、調査する側の主観が入りやすいため注意が必要です。また、調査に時間と労力が必要になることも念頭に入れておくべきでしょう。
方法3.第三者による観察・調査
自社の従業員を観察する際は、どうしても主観が入りやすいものです。そこで対策として挙げられるのが、第三者に依頼し、客観的な意見をもらう方法です。
外部に任せることで、調査にかかる労力と時間を節約できます。また、社内の人には評価や人間関係が気になって言えない本音も、外部になら言いやすい、ということもあります。従業員の率直な意見を聞くチャンスとなるでしょう。
ただし、依頼には費用がかかります。また、実用的なデータを収集するため、「何を調査して欲しいのか」「何のために調査したいのか」を明確にし、入念に打ち合わせておくことが大切です。
二要因理論を活かしたマネジメント例
二要因理論は、あくまで理論です。理解するだけで済ませるのではなく、活用することが重要です。マネジメントや従業員管理への活用方法例を企業事例を交えながら解説しますので、ぜひお役立てください。
マネジメント例1.人事制度の見直し
二要因理論は、評価制度や雇用制度、勤務制度などの人事制度に適用できます。従業員を平等に評価し、誰もが柔軟な働き方ができる仕組みを作ることで、従業員のモチベーション向上が期待できます。
例えば、「東亜エレクトロニクス(株)ハマトウカンパニー」では、パート従業員の職務に対する不満を解消するため、職務分析と職務評価の見直しを実施。職務を基準に役割や賃金を決める、合理的な評価制度へと変更しました。
その結果、一部のパート従業員は正社員とほぼ同等の賃金を与えられることとなり、給与に関する衛生要因を改善。雇用形態に関係なく挑戦の機会が与えられる評価・雇用制度を目指し、動機付け要因の改善にも取り組んでいます。
このように、二要因理論は「従業員が最も快適かつ意欲的に働ける方法」を見つけるのに役立ちます。
■参考:「働き方改革特設サイト| 東亜エレクトロニクス(株)ハマトウカンパニー」厚生労働省
マネジメント例2.ワークライフバランスの充実
従業員のワークライフバランスを整えることも、モチベーション向上に繋がります。衛生要因と動機付け要因を基準に福利厚生や労働時間などを見直すことで、従業員の肉体的・精神的健康が保たれ、意欲向上が見込まれます。
管理職の女性比率が半数を超える「株式会社ときわ」は、フレックスタイム制を導入し、従業員の育児と仕事の両立をサポートしました。出社時間と退社時間を自分で決められる柔軟な働き方を実現したことで、残業時間も減り、不満の解消とモチベーションアップを同時に成功させています。
また「愛和食品株式会社」では有給休暇取得率アップを図る取り組みに加え、職場のリノベーションをきっかけに社員食堂を開設。健康に良い食事を安価で提供するなど、従業員の健康維持に注力しています。
衛生要因と動機付け要因を基準に従業員が何を求めているのかを探り、適切な施策を講じることが、理想のワークライフバランスを実現させるポイントです。
■参考:「働き方改革特設サイト| 株式会話ときわ」「働き方改革特設サイト| 愛和食品株式会社」厚生労働省
マネジメント例3.人材育成
二要因理論は、人材育成にも反映させることができます。例えば、企業理念をもとに教育カリキュラムを組むことで、理念に対する不信感を取り除けるでしょう。メンター制度など、従業員同士のコミュニケーションを増やす教育を行えば、人間関係の改善も期待できます。
例えば「株式会社ときわ」では、育休による人手不足を解消するため、従業員に複数の部署を経験させるジョブローテーションを実施。全社員をオールラウンダー化し、それぞれのライフスタイルに合わせて働ける環境を作っています。キャリアのある社員も新たな部署を経験することで、成長による充実感を得ているようです。
新たな知識の習得、新たな体験は、従業員にやりがいを持たせるのに有効です。目標管理と併用することで、達成感の実感による動機付け要因の充足も見込めるでしょう。
■参考:「働き方改革特設サイト| 株式会話ときわ」厚生労働省
マネジメント例4.職場環境の改善
従業員が日々業務を行う職場の環境も、モチベーションに影響します。そのため、二要因理論の視点での改善が必要です。
什器や機械の配置、安全性、室温、清潔感など、従業員が不快感を抱いたり危険性を感じたりする要素がないかチェックします。また、従業員同士がコミュニケーションを取りやすい環境へと整えることで、人間関係に関する衛生要因の改善も期待できます。
例えば「株式会社サニックス」は、専門家による作業場の分析を経て、電気工具のコードレス化や備品の配置改善を実施。その結果、ミスや怪我の発生が減少。生産性が上がったことで、残業時間の減少にも成功しました。
「愛和食品株式会社」では、従業員同士のコミュニケーション改善のため、オフィスの壁を取り払うリノベーションを行いました。オープンな職場風土が作られ、部署同士のチームワークも向上したそうです。
衛生要因を満たすための職場改善は、結果的に動機付け要因の充足に繋がるということがわかる事例です。
■参考:「働き方改革特設サイト| 株式会社サニックス」厚生労働省
「働き方改革特設サイト| 愛和食品株式会社」厚生労働省
まとめ
衛生要因が何かを探ることは、従業員のことをより深く知るということです。従業員の不満を理解し、改善に努めることが、結果的に企業のためにもなります。
どうすれば働きやすく、働きがいのある環境を作れるのか、追求し続けることが大切です。迷った際は、二要因理論を参考にしてみましょう。