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リーダーシップの具体例を紹介!サーバントリーダーシップについてもわかりやすく解説!

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2022.05.13
『shouin+ブログ』マーケティング担当

競合との競争に勝ち、事業を最大化するには組織や制度の変革が求められることがあります。変革に必須となるリーダーシップの形はひとつではありません。リーダーやメンバー、企業の状況を踏まえてリーダーシップを発揮することが重要ですが、具体的にどのような行動をすべきか分からない人も多いでしょう。

この記事では、リーダーシップ論や注目されているサーバントリーダーシップから見る、リーダーの頼られる具体的な行動例を解説します。なおリーダーシップの基本的な内容に関しては、以下の記事でわかりやすく解説していますので、あわせてお読みください。

■参考記事

リーダーシップとは?マネジメントとの違いから各リーダーシップ論までわかりやすく解説!

 

リーダーシップ論の種類

リーダーシップは後継者の育成やチームワークの発揮など、人類が集団生活を送るうえで持続的に持たれる課題です。リーダーシップに関する研究は1900年代よりアメリカを中心に盛んに行われるようになりました。まずはこれまで研究されてきたリーダーシップ論の種類について解説します。

 

理論1:特性理論

特性理論とは、リーダーシップに必要な特性に着目したリーダーシップ論です。おもに1900年から1940年代にかけて研究されたリーダーシップ論で、以下の考え方に基づいています。

  • リーダーシップを発揮するのに必要なスキル(統率力、指導力)などは生まれつきの素質である
  • リーダーシップに必要なスキルは訓練や経験では身に付かない
  • 自然と人をまとめたり、統率したりする人をリーダーとした方が良い

社長や大統領などリーダーと呼ばれる人物を集めて、リーダーに必要な特性を特定するための研究が行われました。ところが、同じ分野のリーダーでもそれぞれで持つ特性は異なっていたため、リーダーに必要な特性の発見には至りませんでした。

 

理論2:行動理論

特性理論がリーダーの特性に着目したリーダーシップ論であるのに対して、行動理論とはリーダーの行動に着目したリーダーシップ論です。リーダーとそうでないものの行動を比較し、優秀なリーダーの取る行動についての分析が行われました。

行動理論の代表例には、以下のものがあります。

  • PM理論
  • レヴィンのリーダーシップ類型
  • マネジメント・システム論
  • マネジリアル・グリッド論

それぞれのリーダーシップ論について解説します。

 

理論3:PM理論

PM理論とは、日本人社会心理学者三隅二不二(みすみじゅうじ)によって提唱されたリーダーシップ論です。P行動と呼ばれる目標達成行動(Performance function)とM行動と呼ばれる集団維持行動(Maintenance function)のふたつの行動を軸にした理論です。以下のマトリクス図は、横軸がP行動、縦軸がM行動を表しており、4つのスタイルに分類できるとされています。

PM理論の図

(引用:ピーエムシー株式会社「104.TM 研修(1-3)の工夫④ PM 理論、SL 理論、サーバントリーダーシップ」を参考に弊社で作成)

 

PM

目標達成を強調しつつ、人間関係にも配慮できるリーダー。目的に沿った適切な指示と、メンバーへの配慮によるモチベーションの向上を両立できる理想的なリーダー。

Pm

目標達成を重点的に考え、人間関係にはあまり配慮しないリーダー。目標達成のための指示が威圧的、気遣いに掛けるなどの課題がある。

pM

目標達成よりもチームの人間関係を重視するリーダー。課題が多い、新しい目標へ向かうシーンでは的確な指示が出せず成果が出ない可能性が高い。

pm

目標達成にも人間関係の調整にも消極的なリーダー。成果、モチベーションともに低下するリスクがある。

 

理論4:レヴィンのリーダーシップ類型

レヴィンのリーダーシップ類型とは、1939 年アイオア州立大学の心理学者レヴィン らによって報告された実験に基づいたリーダーシップ論です。同研究より、アイオア研究とも呼ばれています。リーダーの取る行動から分類された「専制型(authoritarian)」「民主型(democratic)」「放任型(laissez-faire)」の3つのリーダーシップスタイルが、レヴィンのリーダーシップ類型に当たります(引用:経済法令研究所「管理者のあり方とリーダーシップ」16ページより)

3つの類型それぞれのタイプのリーダーの元でのメンバーの成果や雰囲気、影響などの結果をまとめています。

類型

リーダーの特徴

メンバーに出た影響

専制型

(authoritarian)

自分の考えたとおりのことを部下に命じてやらせるリーダー

・メンバーの間に敵意や攻撃的行動が見られる

・リーダーがいないと作業効率が低下する

民主型

(democratic)

メンバーと話し合い、合意の元で物事を進めていくリーダー

・協調性に優れ、自主的かつ責任のある行動が多く認められる仕事の質・量ともに良好

・雰囲気も良い

放任型

(laissez-faire)

部下を野放しにするリーダー

・やる気が低く作業効率も悪い

・グループとしてのまとまりにも欠けている

 

理論5:マネジメント・システム論

ミシガン大学社会調査研究所の創設者、リッカートによって1961年に提唱されたリーダーシップ行動理論がマネジメント・システム論です。ミシガン研究とも呼ばれています。研究では高業績チームのリーダーと低業績チームのリーダーそれぞれのリーダーシップ行動を分析し、「従業員志向(employeecentered)」と「生産志向(production centered)」の2タイプがあると結論付けました。さらに、組織をシステムととらえてリーダーの行動を以下の4つの管理システムに分類しました。

管理システム

リーダーの特徴

メンバーへの影響

システム1

権威主義・専制型

・徹底した生産志向

・権威主義的管理方法で、リーダーは部下を信頼せず意思決定に参加させない

・統制機能はトップに集約されている 

・恐怖・脅迫・懲罰によって働かされる

・時々与えられる報酬で何とか生活している

・リーダーとメンバーの相互作用はほとんどない

システム2

温情・専制型

・人間関係志向より生産思考の方が高い

・リーダーは部下をある程度信頼するが、やり方が恩着せがましい・多くの意思決定・目標設定はトップが行う

・報酬・懲罰・罰のほのめかしによって、部下の動機付けを行う

・リーダーとメンバーの相互関係はあるが、恩着せがましい

・意思決定や目標設定は決められた範囲のみ

・動機付けが奪われる

・リーダーとメンバーに相互関係はあるが、メンバーに恐怖と警戒心がある

システム3

参画協調型

・生産志向と人間関係志向が同等

・リーダーはメンバーを全面的ではないがかなり信頼している

・基本的方針や全般的決定権はトップにある

・コミュニケーションは双方通行的に行われ、動機付けは報償と時により懲罰がある

・個別問題は部下に権限委譲される

・相互作用が頻繁

・統制機能のかなりの部分が部下に委譲されている

システム4

民主主義型

・課題志向より人間関係志向が高い

・リーダーは部下を全面的に信頼している

・意思決定は広く組織全体で行われるが、統合されている

・コミュニケーションは上下のみならず同僚間でも行われる

・部下は全面的に参画が認められ、動機付けられ、広範な相互作用が確保される

・評価と統制は全ての階層で完全に行われる。

 

リッカートはマネジメント・システム論における研究では、高業績のリーダーは仕事のことを細かく指示するよりも、従業員中心で全般的におおまかな監督を行っている、低業績のリーダーは職務を中心に圧力をかけて、細かな指示を行っていると分析しました。このことから、高業績をあげているチームのリーダーは従業員志向である、つまりシステム4民主主義型に当たるリーダーがもっとも多くの成果を上げると結論付けています。

従業員思考の高い経営(参加型経営)を行う背景にある、以下の3つの原則も挙げられています。

原則

特徴

支持的関係の原則

メンバーの背景や考え方、期待をリーダーが考慮し、メンバーが自分の価値や重要性を自覚するように、リーダーがメンバーを支持するように行動することを指す。リーダーのメンバーに対する支持的行動によって、メンバーの協力的態度や信頼感が生まれる

管理の集団方式

意思決定や監督は、各管理段階で集団決定として行われるようにすること。各集団で問題については集団討議で決定し、実行に対する監督はメンバーの相互作用にて行うこととする。以上によりコミュニケーションが良好になり、相互の信頼感や集団への忠誠心が強くなる。

高い水準の業績目標

最新の高い水準の業績目標を設定するようにする。安定した雇用、昇進の機会や昇給に対する各人の動機は、高い業績目標の達成によって実現される必要がある。高水準の業績目標を自発的に設定するようにする。

 

理論6:マネジリアル・グリッド論

マネジリアル・グリッド理論は、ブレイクとムートンによって1964年に提唱されたリーダーシップ行動理論です。リーダーの行動を「業績への関心(concern for production)」と「人への関心(concern for people)」の2軸をベースに9つの水準からリーダーシップを類型化し、リーダーシップ行動を説明しています。

マネジリアル・グリッド論の図

(引用:株式会社ワイズリンク「初学者のための経営戦略論第 15 回リーダーシップ研究と事例・カシオ『Gショック』」5ページより)

リーダーシップ行動から成る9水準×9水準=合計81の区画(グリッド)をマネジリアル・グリッドとし、さらに以下の典型的な5つのリーダーシップ類型を定義しています。

リーダー類型

特徴

1•1型

生産にも人間にも無関心な放任型リーダー

1・9 型

生産を犠牲にしても人間への関心が高い人情型リーダー

9・1 型

人間を犠牲にしても生産最大化への関心が高い権力型リーダー

9・9型

生産にも人間にも最大の関心を示す理想型リーダー

5・5 型

生産にも人間にもほどほどな関心を示す妥協型リーダー

5つの典型的なリーダーシップ類型の中でも、人への関心と業績への関心の両方の関心が高い9-9型のチームである管理型(team management)が、もっとも効果的なリーダーであると結論付けています。

 

理論7:条件適合理論

行動理論がリーダーの行動に着目したリーダーシップ理論であるのに対して、メンバーやビジネス環境などリーダーを取り巻く状況に着目したリーダーシップ理論が条件適合理論です。リーダーは、自身がを取り巻く環境に応じてリーダーが行動を変化させていくことが、リーダーシップの発揮につながるという考えに基づいています。条件適合理論の代表例が、次にご紹介するSL理論です。

 

理論7:SL理論

SL理論とは、”Situational Leadership”「状況に応じたリーダーシップ」という意味で、メンバーのスキルや知識、成熟度に応じてリーダーシップ行動を変えていく理論です。SL理論では、指示的行動と援助的行動のふたつのリーダーシップ行動を軸に、4つのスタイルのリーダーシップを環境に合わせて変化していくことで、状況に応じたリーダーシップの発揮につながると述べられています。以下の図はSL理論でのリーダーシップ行動の変化を表したものです。指示的行動を横軸、援助的行動を縦軸とし、青の矢印はメンバーや部下の成長に合わせて、リーダーは4つのスタイルにリーダーシップの形を変化していく様子を表しています。

SL理論の図

(引用:ピーエムシー株式会社「104.TM 研修(1-3)の工夫④ PM 理論、SL 理論、サーバントリーダーシップ」を参考に弊社で作成)

 

SL理論で変化させる4つのスタイルのリーダーシップは以下の通りです。

スタイル

特徴

適した部下の

熟練度

S1型

教示型・指示型

リーダーシップ

・指示的行動が高く、援助的行動が低い

・具体的に指示し、事細かに監督する

・部下の成熟度が高い場合は、仕事に取り組むモチベーションが低下するリスクがある

低い

S2型

説得型・コーチ型

リーダーシップ

・S1よりも指示的行動を抑え、援助的行動を高める

・リーダーの考えを説明する、メンバーに質問を投げかける、疑問に答えるなどコミュニケーションを密に取る

・具体的な指示をこまかく行うのではなく、コミュニケーションを通じてリーダーシップを発揮する

・聴く、褒める、認めるなどの援助的行動が疎かになると、まだまだ自信がない若手職員はリーダーに放り出された感じになり、モチベーションを落とすこともある

徐々に高まっている

S3型

参加型・援助型

リーダーシップ

・仕事へのモチベーションが低下しているメンバーへ、指示的行動をさらに抑え、

援助的行動を高める

・カウンセリング型とも呼ばれる

・ある程度実力はあるが自信がない、不満のある中堅職員の話しに耳を傾け、アドバイスを行い、本人の問題解決能力を高めるコーチングと似た手法

独り立ちの一歩手前

S4型

委任型リーダーシップ

・指示的行動、援助的行動ともに抑える

・仕事遂行の責任を委ねていく

独り立ち

 

理論8:コンセプト理論

条件適合理論を前提として、よりビジネス環境や組織、メンバーの状況に応じてさま

ざまなパターンのリーダーシップ行動へ具体的に落とし込んで行くのが、コンセプト理論です。代表的なコンセプト理論のリーダーシップ論には、サーバント・リーダーシップがあります。

 

理論9:サーバント・リーダーシップ

サーバント・リーダーシップとはロバート・グリーンリーフが1970年に提唱したリーダーシップ論です。NPO法人日本サーバント・リーダーシップ協会によると「リーダーである人は、まず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」という哲学に基づいた奉仕や支援を通じて周囲から信頼を得て、主体的に協力してもらえる状況を作り出しすリーダーシップのスタイルであると定義されています。先頭に立ち、メンバーを引っ張っていくのが支配型のリーダーシップであるのに対して、メンバーが能力を発揮できるように奉仕的に環境を整えるのがサーバント・リーダーシップです。

支配型リーダーシップとサーバントリーダーシップの違い

(引用:NPO法人日本サーバント・リーダーシップ協会「サーバント・リーダーシップとは」より)

 

サーバント・リーダーシップは、リーダーがメンバーの成長のためにコミュニケーションによって信頼を築きながら、ミッションやビジョンの実現に向かいます。メンバーのために尽くすリーダー行動には「リーダーとして導きたい」という指導者としての感情と、「メンバーに尽くしたい(誰かのためになりたい、役に立ちたい)」という人間としての自然な感情が共存しているのが特徴です。そのため、特にサーバント・リーダーシップは支配的リーダーシップでは雰囲気が重い、部下を導けない場合や、介護や福祉などの分野に向いているとされています。

リーダーシップの機能とサーバントリーダーシップ10の属性

(引用:NPO法人日本サーバント・リーダーシップ協会「今、注目される本物のリーダーシップ「サーバントリーダーシップ」」2ページより)

 

リーダーが取る行動を以下の「サーバント・リーダーシップの10の特性」に当てはめ、求められるシーンや成果に応じて変化させるのがサーバント・リーダーシップの持つ特徴です。

特性

原文

特性がもたらす効果やメリット

傾聴

大事な人達の望むことを意図的に聞き出すことに強く関わる。同時に自分の内なる声にも耳を傾け、自分の存在意義をその両面から考えることができる。

・メンバーの話を聞くことで、状況や環境の変化に気づきやすくなる

・話を聞いてもらえた、という気持ちからメンバーのコミットメントを引き出しやすい

・リーダーが自分の気持ちを聞くことで方向性やビジョンを見つめ直せる

共感

傾聴するためには、相手の立場に立って、何をしてほしいかが共感的にわからなくてはならない。他の人々の気持ちを理解し、共感することができる。

・誰しもが完ぺきではないと認められる

・メンバー自身を仕事から切り離して考えられる

・感謝、思いやり、気遣いができるようになる

癒し

集団や組織を大変革し統合させる大きな力となるのは、人を癒すことを学習する事だ。欠けているもの、傷ついているところを見つけ、全体性(wholeness)を探し求める。

・相手の本来の能力を取り戻させる

・組織やチームの欠けている部分を補える

・対立を解消し、関係を修復できる

気づき

一般的に意識を高めることが大事だが、とくに自分への気づき(self-awareness)がサーバント・リーダーを強化する。自分と自部門を知ること。このことは、倫理観や価値観とも関わる。

・物事をありのままに見られるようになる

・自己認識により物事を全体的、体系的に見れるようになる

説得

職位に付随する権限に依拠することなく、また、服従を強要することなく、他人の人々を説得できる。

・説得によって組織の意思決定をしようとする

・権力を振りかざさない

概念化

大きな夢を見る(dream great dreams)能力を育てたいと願う。日常の業務上の目標を超えて、自分の志向をストレッチして広げる。制度に対するビジョナリーな概念をもたらす。

・明確な未来像を描き、ビジョンを持つ

・集団の戦略的懸念と目標に目を向ける

先見力・予見力

概念化の力と関わるが、今の状況がもたらす帰結をあらかじめ見ることができなくても、それを見定めようとする。それが見えたときに、はっきりと気づく。過去の教訓、現在の現実、将来のための決定のありそうな帰結を理解できる。

・創造性を発揮する

・正しい判断を下せるようになる

執事役

エンパワーメントの著作でも有名なコンサルタントのピーター・ブロック(Peter Block)の著書の書名で知られているが、執事役とは、大切な物を任せても信頼できると思われるような人を指す。より大きな社会のために、制度を、その人になら信託できること。

・相手より一歩引いた立ち位置を心がけられる

・集団の利益のために他者の資源を任される

・他者の資源に対する責任を引き受ける

人々の成長に関わる

人々には、働き手としての目に見える貢献を超えて、その存在をそのものに内在的価値があると信じる。自分の制度の中のひとりひとりの、そしてみんなの成長に深くコミットできる。

・メンバーそれぞれの価値や可能性に気付ける

・誰もが成長できることを理解する

・全力を尽くして人々の成長を支援する

・メンタリングを重視する

コミュニティづくり

歴史のなかで、地域のコミュニティから大規模な制度に活動母体が移ったのは最近のことだが、同じ制度の中で仕事をする(奉仕する)人たちの間に、コミュニティを創り出す。

・メンバーそれぞれが成長できるコミュニティを作る

・全体が部分の総和を上回るよう保証する

・メンバーの間に友情を培う

・協力的で生産的な集団を構築する

(引用:NPO法人日本サーバント・リーダーシップ協会「サーバント・リーダーシップとは」より)

 

頼られるリーダーの具体的な行動例

リーダーシップを研究し、結果から導かれた論理や哲学は多く存在します。実際にリーダーが発揮した行動の中をリーダーシップ論に当てはめれば、リーダーシップを発揮するうえでひつようとなるもののヒントが得られるでしょう。頼られるリーダーの具体的な行動例を、リーダーシップ論をふまえて紹介します。

 

サウスウェスト航空

2007年まで35年連続黒字経営、1997年のフォーチュン社「働き外のある企業ランキング」で第1位を獲得した実績を持つアメリカの航空会社「サウスウェスト航空」は、サーバント・リーダーシップを実践している企業のひとつです。サウスウェストの求めるリーダー像を象徴する経営理念に、以下のものがあります。

「社員第1、顧客第2主義」

「リーダーとは、部下のために働くサーバントである」

「リーダーシップとは、自分が率いる人々のために献身的に身を粉にして働く奉仕者になることであり、人生の喜びや苦しみを分かち合うことである」

 

企業としても家族主義を徹底していて、柔軟性のない就業規則や規定を撤廃、個人の独創性や個性を尊重、称賛する風土を持っています。たとえば、CEOケレハー氏によって決められる「創立者賞」は、日常的に自分の職務で求められる以上の行動や行為をした従業員に対して贈られます。

 

スターバックス

コーヒーチェーン「スターバックス」は従業員全員に「The Servant as Leader」を読むことを推奨し、「すべての人に尽くす人間こそが最も有能なリーダーである」という考えの元、サーバント・リーダーシップを重視した企業風土を形成しています。

サーバントリーダーを育成する取り組みとして、ストアマネジャーを対象にサーバント・リーダーシップの「共感、傾聴、誠実」の属性に焦点を充てたセミナーを開催しています。また、独自の「パーソナル・リーダーシップ10箇条」を記載した「グリーンエプロンブック」が配布されています。

グリーンエプロンブック(パーソナルリーダーシップ10か条)

(引用:日本プロジェクトマネジメント協会「サーバント・リーダーシップによるプロジェクト・リーダーシップの強化」11ページより)

 

星野リゾート

サーバント・リーダーシップの実行者はアメリカの企業のリーダーだけではありません。ハイクラスの上質な宿泊施設とサービスを提供する、「星野リゾート」の星野社長は、不信が続く宿泊・観光業界でも新しい取り組みを導入し、業績を上げています。

星野リゾートでは意思決定のプロセスに管理職だけでなく従業員にも極力参加してもらい、経営会議は誰でも参加できる体制を整えています。経営に関して自由に意見を言うことはできませんが、話は自由に聞けます。

上層部からの決定事項へ矛盾や納得がいかない従業員もいます。従業員みずからも経営会議に参加することで、意思決定を押し付けられたと思わず、納得して受け入れられる土壌を整えていると言えるでしょう。

「究極のフラット」と呼ばれる独自の人事制度も特徴的です。星野リゾートでは従業員の自己責任感を養い自立型人材を育成するために、プロジェクトリーダーを立候補・選挙制にしています。

星野社長は明確な戦略や戦術を持った経営者である一方、戦略・戦術を実現するには従業員一人ひとりが動くことが必須であるのを知っています。そのため「ビジネスにおける主役である従業員が活耀できる環境を整え、それを支えるのが経営者の役割である」というサーバント・リーダーシップをベースとした考え方を持っています。

倒産したリゾート施設を再生するとき、星野社長はまずその施設の従業員の話を聞くようにしています。倒産の背景にある現場で起きたことを把握するためだけでなく、働く従業員の気持ちを重視するためです。大きな成果を挙げるためには、従業員の感情やモチベーションなども必須となります。経営者として、従業員一人ひとりが仕事へやる気を持って取り組むように支援するのも重要であるとしています。

 

元・緊急消防援助隊東京都隊総隊長 佐藤 康雄氏

緊急消防援助隊東京都隊総隊長として、東日本大震災における福島第一原発・燃料棒冷却作戦を遂行した佐藤 康夫氏は、国難と言える状況下での失敗できない任務遂行の上で、隊員たちの安全確保が第一の課題であると考えていました。結果、想定を超えた突発的事案発生時の対応をどのように決断するか、自分の決断と部隊の行動のすべてにいかに責任を取るか、高エネルギーの激甚災害下でいかに隊員の安全を確保するかの3点を自分自身の任務として課しています。

福島第一原発での任務後、危機的助教の中でも自分の背中を押したのは「自分たちがやらなければ誰がやるという使命感」と「家族や友人をはじめとする日本や世界の人々の熱い思い」と述べられています。

前進指揮所となったJヴィレッジにて現場指揮本部として待機した際には、現場となった原発で実際に作業している隊員へ対しては「戦略は周知している、戦術は現場の体調に任せるのが鉄則である。見えない位置から細かい指示を出せば、隊員を殺してしまう」として現場の隊員に任せました。大臣や首相補佐官、東京電力の常務などのさまざまな部署からの細かい指示や問い合わせ、「消防は指示を中断して自衛隊が作業を行え」という命令に対しても「物理的にも審議的にも、必死に作業をしている消防をやめさえてまで自衛隊が出るわけにはいかないだろう、俺が決めたことだ」とはねのけました。

メンバーの実力を最大限発揮できる環境を整えつつ、最終的な責任はすべて自分が背負う、サーバント・リーダーシップを体現したリーダーシップの事例です。

 

元プロ野球選手 宮本 慎也氏

東京ヤクルトスワローズの野手として活躍した元プロ野球選手、宮本 慎也氏は2004年のアテネオリンピック、2008年の北京オリンピックにて日本代表のキャプテンを務めています。カリスマ性でスター選手たちを引っ張るのではなく、チームとしての方向性を決め、メンバーが同じ方向を向くことを重視したリーダーシップを発揮しました。

アジア選手権大会前、若手プロ野球選手たちで編成されたチームとの壮行試合では敗戦し、チームの表情が暗くなりました。そこで「これからはペナントとは違い、一発勝負である」という方向性を定め、ミーティングでメンバーを収集。プロで編成されたチームが負けるのは、アマチュア選手たちの夢を奪うことにもなるため「一生懸命やったけれども負けたのは仕方がない、ということはない。これからは何が何でも勝たなければいけない」とメンバーたちへ伝えました。

メダル獲得という目標へチームを向けたのは、カリスマ性ではなくコミュニケーションです。結果アテネオリンピックで日本代表チームは銅メダルを獲得しています。サーバント・リーダーシップのリーダーの行動を体現したリーダーシップの事例です。

 

まとめ

リーダーシップ理論とそれぞれの代表的なリーダーシップ論に加えて、サーバント・リーダーシップをはじめ実際にリーダーシップを発揮している企業や人物の具体例を解説しました。

リーダーシップの研究結果からリーダーとは生まれつき持った特性ではなく、行動や環境、メンバーへのコミュニケーションが発揮するうえで重要であることが分かっています。つまり、入社後の研修で身につけることができます。リーダーシップを身につける研修に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

■参考記事

リーダーシップを身につける研修とは?おすすめの研修内容や具体的な設計方法までわかりやすく解説!

 

また、支配や重圧によってメンバーを動かしても大きな成果は得られません。リーダーシップ論や代表的なリーダーの具体例を参考に、企業の変革や事業の拡大を実現させるリーダーを目指しましょう。

著者
『shouin+ブログ』マーケティング担当
人材育成クラウドサービス「shouin+」のマーケティング担当です。人材育成のお役立ち情報やトレンドをはじめ、企業の人事・研修担当の方向けに社内教育や研修のノウハウを発信しています。

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