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業務の改善に欠かせないSOP(標準作業手順書)とは?作成するメリットや内容例、手順をわかりやすく解説

2024.04.30
『shouin+ブログ』マーケティング担当

SOP(標準作業手順書)とは、英語の「Standard Operating Procedure」の頭文字を取ったものです。SOPは業務効率化に欠かせない存在で、作成することで誰もが無駄なく安全な作業を行えるようになり、業務品質も均一化できます。

しかし、SOPを導入したくても作り方がわからず、導入を見送っている企業も少なくないでしょう。

そこでこの記事では「SOPとは何か」という基礎的な知識から作成するメリット、業種別の内容例や作成手順までくわしく解説していきます。SOP作成のための実践的な知識を知ることで、ぜひ貴社のSOP作成にお役立てください。

 

SOP(標準作業手順書)とは?

SOP(標準作業手順書)とは、業務や作業をどのように進めていくべきかを詳細に記した指示書のことです。作業の質を向上させるとともに、新しいスタッフの教育やトレーニングを容易にし、作業の標準化によって効率性を高めることを目的としています。

具体的な作業手順、役割分担、品質基準などを定めることで、誰もが同一の作業を同一の品質で遂行できるようになります。

マニュアルとの違い

SOP(標準作業手順書)と似たような言葉として「マニュアル」があります。SOPとマニュアルの違いは一体どのようなものなのでしょうか?

まず、SOPは作業の手順を細かく定め、誰が読んでも同じ作業を同じ手順・品質で行えるようにした書類です。

一方でマニュアルに書かれる内容は作業手順に留まらず、業務に関する注意点やノウハウなどもまとめられており、業務全体を把握する目的で使われます。また、業務の中で何らかの判断が必要となった際の判断基準や指針となるのもマニュアルの役目です。

細かい作業手順が書かれているのがSOP、業務の大枠を理解するためのものがマニュアルということになります。

なお、マニュアルと手順書の違いについては下記の記事でもくわしく解説しておりますので、ぜひ参考にご覧ください。

■参考記事はこちら

マニュアルと手順書の違いとは?伝わりやすい書き方を例をもとにわかりやすく解説!(接客業向けテンプレート付き)

 

使われることが多い業種

SOP(標準作業手順書)という言葉は幅広い業界で使われ、海外でも浸透しています。

その中でも特に使われることが多い業種は、自動車をはじめとする製造業や医療業です。ただし、自動車業界では量産を開始することを「SOP(Start Of Production)」と呼ぶため、SOP(標準作業手順書)との使い分けに注意が必要になります。

医療業でSOPが使われる場面は、特に治験の手順です。治験を適切に、そして均質に行うための業務手順を体系的にまとめ、厳重に遵守しなければならない手順をSOPで管理しています。「医薬品の臨床試験の実施の基準」において、治験に携わる関係者はSOPに基づいて作業を行うことが義務付けられています。

 

SOP(標準作業手順書)を作成するメリット

SOP(標準作業手順書)には、業務の効率化や属人化の防止をはじめとする様々なメリットがあり、結果として全体の業務品質も向上します。

SOP(標準作業手順書)を作成するメリット

これらのメリットついて、一つずつくわしく見ていきましょう。

メリット1.業務の効率化

1つ目のメリットは、業務の効率化です。SOPに記された作業手順は無駄なく安全で、再現性のあるものです。SOPを読めば誰もが同一の手順で業務を行えるようになるため、試行錯誤の手間や作業の無駄を防げます。

また、SOPを守って作業をすることでミスも防げるため、手戻りなどの発生も防ぐことができます。

このように作業の手順が明確であることによって、成果物の品質も一定に保つことができ、業務が効率化されるのです。

 

メリット2.業務の属人化の防止

2つ目のメリットは、業務の属人化の防止です。標準的な作業手順を定めることで、作業が個人のノウハウに依存せず、誰が担当しても同様の成果を出せるようになります。

また、異動や退職などで担当者が入れ替わっても変わらずに業務を継続でき、品質も下がることなく一定のものを保てます。

「自分が休んだら代わりがいない」「ベテラン従業員がいなくなったら誰もその業務がわからない」といった心理的な不安を取り除くこともできるでしょう。

 

メリット3.人材育成の効率化

3つ目のメリットは、人材育成の効率化です。SOPは誰もが標準的な作業手順を理解できるように作られているため、新入社員や新任担当者が入ってきた場合でも、SOPを読んでもらえば業務の手順がわかります。

また実際の作業にはコツが必要だったり応用的な手順があったりする場合が多いものですが、SOPで全体の手順を先に理解しておくことで、業務を身につけるための研修期間も短縮できるでしょう。

このように、SOPを活用して人材育成をすることで、教わる側は業務を早く身につけることができ、教える側の負担も減らすことが可能です。

異動や退職などで引き継ぎを行う場合も、既にあるSOPを活用することができれば、それに加えて補足や注意事項を伝えるだけでよく、多忙になりがちな引き継ぎ期間でも安心して引き継ぐことができるでしょう。

 

メリット4.従業員の意識向上

4つ目のメリットは、従業員の意識向上です。SOPがあることで、業務に習熟していない従業員は手順の習得までの時間が短縮できます。わからなくなったらSOPを確認すればよいので、復習しやすい環境が整うでしょう

一方で熟練した従業員は、未習熟の従業員に教える際や、気になったことがあった際にSOPを見直すことで、業務手順を再確認できます。それがよりよい作業手順を考えるきっかけになり、SOPで定められた手順を改善することにつながります。

このようにSOPは「業務手順をきちんと理解しよう」「業務手順をより良くしていこう」という従業員の意識向上につながるのです。

 

メリット5.ヒューマンエラーの防止

5つ目のメリットは、ヒューマンエラーの防止です。SOPに定められた手順は、無駄なく効率的であるだけでなく、安全性も高いものです。SOPに沿って作業を行うことで、未習熟者でも安全に、ミスなく業務に取り組むことができるでしょう。

一人ひとりがバラバラのやり方をしていてはヒューマンエラーが発生しやすくなってしまいますが、SOPを遵守することで業務品質が保たれ、ヒューマンエラーの防止につながります。

なお、ヒューマンエラーを防止する対策方法については下記の記事でもくわしく解説しておりますので、ぜひ参考にご覧ください。

■参考記事はこちら

ヒューマンエラーを防止する対策方法とは?分類別のエラー例や具体的な対策方法をわかりやすく解説!

 

SOP(標準作業手順書)の内容

ここまでSOP(標準作業手順書)とはどのようなものか、そしてSOPのメリットは何かを見てきました。それでは実際SOPにはどういった内容を含めるとよいのでしょうか。

ここでは製造業・サービス業・医療業界に分け、それぞれの現場で使われるSOPの内容について解説をしていきます。くわしく見ていきましょう。

業種1.製造業

まずは製造業のSOP(標準作業手順書)の例を見ていきましょう。

SOPのタイトル・見出しの内容

  • 作業名(例:素材Aの加工)
  • 品名(例:素材A)
  • 工程名(素材Aの加工A-10)

対応する作業名をSOPの最初にタイトルとして記します。また、SOPの作成日やバージョンなども、のちの改訂時にわかりやすくするために記載するとよいでしょう。

タイトルなどを作成したら、実際の作業手順の記載に入ります。場合によっては手順をフローチャートで表現したり、必要に応じて写真・画像などを活用したりするなどし、使用者が誤解なく理解できるように作成していきます。

No.

作業手順

作業内容

部品・材料

1.

仕様書の用意・確認

素材Aの仕様書を用意し、事前に詳細を確認しておく

素材Aの仕様書

2.

加工の準備

素材A、カッター、測定器を用意する

素材A、カッター、測定器

3.

素材Aを取り出す

個包装された素材Aを取り出す

素材A

4.

素材Aの切断

測定器に合わせて、150mm幅に素材Aを切断する。


→切断した素材Aは仮置き用のバットに並べて置く

素材A、カッター、測定器

5.

素材Aをまとめ、仮固定

切断した素材Aを20本ごとに養生テープで仮固定する

素材A、養生テープ

6.

素材Aを段ボールへ収納

仮固定した素材Aを4束(80本)ごとに段ボールに収納する

素材A、段ボール

このように一つひとつの手順を、「書かなくてもわかるかもしれない」ということも細分化して記載し、誤解が生じる余地のないように細かく書いていきましょう。手順を細分化して記載することで、再現性が向上します。

 

業種2.サービス業

続いてサービス業のSOP(標準作業手順書)の例を見ていきましょう。

SOPのタイトル・見出しの内容

  • 作業名(例:お客様来店時対応)
  • 担当者名(例:受付スタッフ)
  • 工程名(例:お客様来店から着席まで)

製造業のSOPと同様に、作業名をタイトルとして記載するとわかりやすいでしょう。作成者やバージョンなど、自社にとって使いやすいようにレイアウトや記入内容を柔軟に変更してください。

続いて実際の作業手順を記します。

No.

作業手順

作業内容

備考

1.

お客様の来店

「いらっしゃいませ」と笑顔で声をかける

お客様の人数を目視で確認する

2.

来店人数の確認

「何名様でしょうか?」と尋ねる

後から遅れてくる連れお客様がいる場合などがあるので、見てわかる場合でも確認をする

3.

人数に合わせたテーブルへ案内する

「こちらのお席へどうぞ」と案内をする

幼児がいる場合は幼児用の椅子を必要に応じて用意する

4.

お冷とメニューを提供する

人数分のお冷とメニューをテーブルに置く

お冷はこぼさないようにお盆に載せて運ぶ

5.

注文が決まったら呼び出しボタンを押すように伝える

「ご注文がお決まりになりましたらこちらのベルを鳴らしてください」と案内をする

各テーブルに備え付けてあるベルを案内し、テーブルを離れる

サービス業の場合、一人ひとりが自身の経験に基づいた独自の案内をしてしまいがちなため、SOPを作成しサービスの均質化を図ることは有効です。

なお、接客マニュアルの作成については下記の記事でもくわしく解説しておりますので、ぜひ参考にご覧ください。

■参考記事はこちら

接客マニュアルの作り方とは?盛り込む内容・外す内容、ポイントや注意点も解説!

 

業種3.医療業界

続いて医療業界のSOP(標準作業手順書)の例を見ていきましょう。

SOPのタイトル・見出しの内容

  • タイトル(例:治験調整医師の業務に関する手順書)
  • 治験課題名
  • 治験実施計画書番号

また、SOPの作成者や作成日、バージョンなども必要に応じて記入します。

SOPの内容

1.目的及び適用範囲

本手順書は、治験調整医師が当該業務を適切に行うための手順その他必要な事項を定めるものである。

2.治験調整医師の業務

治験調整医師は、本手順書に定める業務について自ら治験を実施する者から委嘱を受けた業務を行う。また、治験調整医師は、治験調整医師が実施する業務を円滑に遂行する目的で、治験調整事務局(以下「事務局」という)を設置することができる。なお、事務局の構成員は治験調整医師が指名する。

【注意】必要に応じて、参考様式「治験調整事務局員指名書」を使用する。

3.治験調整医師の任期

当該治験における治験調整医師の任期は、治験調整業務委嘱書に定める期間とする。ただし、自ら治験を実施する者との協議の上、終了日を必要に応じ延長することができるものとする。

上記のように細かくSOPを定めていきます。

なお、国が定める「GCP(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)」において、SOPの作成が義務付けられていることに注意が必要です。

基準を満たすSOPの雛形を民間の団体が提供していますので医療機関においては、こういった雛形を活用しても良いでしょう。

■参考:一般社団法人 日本臨床試験学会 「自ら治験を実施する者のSOP雛形

 

SOP(標準作業手順書)の作成手順

SOP(標準作業手順書)の作成手順ここまで業種別にSOP(標準作業手順書)の内容を見てきました。それでは実際にSOPを作成するには、どのような手順で行うとよいのでしょうか。

いきなりSOPを作成し始めるのではなく、その前の準備段階から丁寧に手順を解説していきますので、ぜひ参考にご覧ください。

手順1.業務フローの見直し

最初の手順は業務フローの見直しです。SOP(標準作業手順書)の作成目的は、作業を効率的かつ安全に行うことです。そのため、既存の業務フローで作業に無駄がないか、危険はないかを見直す必要があります。

既存の業務フローが最適であるとは限らないうえ、個々人によって作業手順が異なる可能性もあります。業務に携わる関係者からヒアリングを行い、最も効率的で安全な手順を再考しましょう。

 

手順2.SOPの目標設定

2番目の手順はSOP(標準作業手順書)の目標設定です。SOPは作業の標準化と成果物の品質の均一化を目的に作成されますが、これでは抽象度が高すぎて、現場の協力が得にくくなってしまいます。

そのため、現状の業務フローに課題があればその課題を解決することを目標にするのも良いでしょう。これであれば、現場作業者にとってもメリットがあることが伝わりやすくなります。

また、SOPの作成によって該当の業務にどのような結果をもたらしたいのか、具体的な数値を定めるのもよい目標設定です。たとえば「A業務で作成した部品の◯割以上が規定をクリアすること」など、作業品質の向上を目標にするなどです。

数値目標を定めることで、SOPの成果測定を行いやすくなります。

 

手順3.フォーマットやテンプレートの選定

3番目の手順はフォーマットやテンプレートの選定です。従来、SOPの作成にはWordやPowerPoint、ExcelなどのOffice系ソフトを使用するのが主流でした。これらを使って作成したSOPを印刷して活用する企業も多くあります。

またSOPでよく使われるフォーマットには、「ステップ式」と「フローチャート式」がありますが、どちらもOffice系ソフトを使用して作成することが可能です。とくに箇条書きや表、図の挿入機能などはSOPの作成に役立てられるでしょう。

  • ステップ式:作業手順を箇条書きで記していく
  • フローチャート式:状況に応じた作業手順の分岐を記していく

ステップ式とフローチャート式

作業手順が一方通行ならステップ式のSOPがおすすめですが、場合によって対応が変わるケースではフローチャート式の方が柔軟な対応に向いています。作業内容に応じて使い分けるとよいでしょう。

なお、フローチャートの書き方については、下記の記事でもくわしく解説しておりますので、ぜひ参考にご覧ください。

■参考記事はこちら
フローチャート作成の参考例!5種類の書き方をわかりやすくご紹介!

 

手順4.SOPの作成

4番目の手順は、いよいよSOP(標準作業手順書)の作成です。すでに決めたフォーマットやテンプレートに従って、SOPを作成していきます。

SOPの文章はなるべく簡潔で読みやすい文章にすることが効果的です。一文一義を心がけ、長い文章にならないようにしましょう。

ここで重要なのは、作業手順をステップバイステップで記載していくことです。どんなに些細な工程でも飛ばさず、誤解の生じようがないレベルで一つひとつの手順を説明していきます。

また、専門用語や業界用語を使う場合は初心者でもわかりやすいように、適宜注釈もつけるとわかりやすくなります。複雑な工程では写真や図解などを用いるほか、動画媒体でのSOPの作成を検討することもよいでしょう。

 

手順5.運用と改善

SOP(標準作業手順書)は作って終わりではありません。実際に運用してみて、改善が必要な箇所があれば適宜改善をしていくことが重要です。

実際に現場でSOPを運用してみてわかりにくい箇所はないか、より効率的にできる箇所はないかなど、現場の意見を聞いてみるのはもちろんのこと、先に定めた数値目標を達成できているかも確認します。

現場が運用してみて不便だったり、数値目標を達成できていなかったりする場合は、SOPの改善が求められます。

 

わかりやすいSOP(標準作業手順書)を作成するポイント

ここまでSOP(標準作業手順書)の作成手順を紹介してきましたが、これだけではSOP作成のイメージがまだ掴みきれない方も多いでしょう。そこで、ここからはわかりやすいSOPを作成するポイントを4つに絞ってご紹介していきます。

どれも難しい知識やスキルは不要で、少し意識を向けるだけで簡単にわかりやすいSOPを作成できますので、ぜひ参考にご覧ください。

1ページ1メッセージを徹底する

見やすいSOPでは、文字の量を調整することも大切です。ページが文字だらけになってしまうと反射的に抵抗感が出てしまう人がいたり、うっかり読み飛ばしてしまったりする可能性があります。

そこで、1ページに情報を詰め込みすぎないように気をつけることで自然と読みやすい文章量になるでしょう。また図解や写真を挿入する余地が生まれるだけではなく、適度な余白ができ、長い文章は読み慣れないという人でも理解しやすいSOPになるのです。

 

読みやすいフォントを設定する

資料作成に慣れていない人ほど凝ったデザインにしようとさまざまなフォントを多用したり、見慣れないフォントを選択してしまいがちです。

しかし、ぱっと見ただけで情報が頭に入ってきやすいフォントはそう多くはありません。

おすすめなのはメイリオなどのゴシック体です。文字の形にクセがなく、余計な情報に意識を削がれることなく必要な情報だけを読み取ることができるからです。

特に「メイリオ UI」は通常のメイリオよりも行間が狭く設定されているため、情報が多くなりやすいSOPの中で使用してもコンパクトに配置することができます。

 

図や表を上手く使う

文字だらけでは「読みにくい」と思われてしまうことは想像に難くないでしょう。しかし効率的で安全な作業を行うためには、SOPをきちんと活用してもらうことはとても重要です。

そこで読みやすさを向上させるには、図や表を適宜挿入することが必要になります。

文字で説明をすると長い説明になってしまうような場合でも、図や表、写真などを挿入すると一目で理解しやすくなることがあります。

ページが文字だらけになってしまった場合は、「図や表で説明することはできないだろうか?」と一度足を止めて考えてみてください。

 

ツールを上手く使う

SOPの作成にはOffice系のソフトを使用している企業も多くありますが、マニュアル作成に特化したツールを活用することで、人手不足な状況でも効率的にSOP作成を進められたり、パソコン作業に不慣れな場合でも画面の指示通りに作業をするだけでSOPを完成させられたりするというメリットがあります。

たとえばテンプレートに沿って当てはめて書いていくだけでSOPが完成する、というツールもあります。「SOPを作るのは大変そう」「自分には難しくて作れるはずがない」と感じている人には、専用ツールの活用がおすすめです。

また、こういった専用ツールでは印刷して紙で配るだけではなく、個人のスマートフォンやタブレット端末などデジタルでSOPを配布することも可能です。

なお、クラウド型eラーニングプラットフォームの『shouin+では、個人のスマートフォンで繰り返し見ることができる動画マニュアルの作成も支援しています。

 

SOP(標準作業手順書)の導入事例

ここまで、SOP(標準作業手順書)の作成手順やわかりやすいSOPを作成するポイントをご紹介してきました。最後に、実際にSOPを導入して業務改善につなげられた企業の事例を紹介します。

トヨタ自動車

トヨタ自動車ではSOPのことを「標準」と呼び、大切にしています。過去の失敗からの教訓が豊富に織り込まれた現時点での最良とされる作業のやり方を「標準」と定め、誰が作業をしても同じ成果を出せるようにしています。

たとえば「ボルトをしっかりと締める」というマニュアルでは「しっかりと」の部分に個人差が出てしまいますが、「カチッと音が鳴るまで締める」であれば個人差は出ません。誤解や個人差が出ないレベルまで「標準」を定め、成果物の均質化を図っています。

「標準」を丁寧に教えることで、やすりさえ使ったことのなかった従業員が技能五輪の世界大会にまで出場し、見事銀賞を獲得したことすらあると言います。

トヨタ自動車の「標準書」では単純に作業の手順を記載してあるだけでなく、間違いやすい点や判断に迷いやすい点が「要所」として具体的に記載されており、誰がやっても同じ手順で作業ができるだけではなく、判断のよりどころともなっているのです。

 

ココカラ本厚木店(人の森株式会社)

続いて地域の人々のコミュニティの場となるようなフィットネスクラブ「フィットネス&スパ ココカラ」を展開するココカラ本厚木店(人の森株式会社)の事例をご紹介します。

フィットネスクラブを提供するココカラ本厚木店ではジムトレーナーの育成研修に80時間ほどかかっており、それが直接的に育成担当者の残業時間につながってしまっていました。

研修内容は主にトレーニングマシンの使い方やレッスンの進め方などで、研修対象者が複数いる場合は同じ説明を何度も繰り返す手間が発生していたのです。そこで、これらの指導を動画学習に置き換えました。すると育成担当者の残業時間が55時間も短縮されたのです。

また、研修の受講者も動画によるSOPを繰り返し見ることができるようになったため、個人のペースで復習を行うことができ、人材育成の効率化にもつながったといいます。

なお、ココカラ本厚木店(人の森株式会社)の導入事例については下記の記事でもくわしく解説しておりますので、ぜひ参考にご覧ください。

■ココカラ本厚木店(人の森株式会社)の事例はこちら

ジムトレーナー研修を動画に置き換えて、育成担当者の残業時間を70%削減!

 

お役立ち資料

Excelのフローチャートテンプレートを配布中です。貴社のSOP作成に、ぜひお役立てください。

今すぐ使える!フローチャートテンプレート

 

まとめ

業務の改善に欠かせないSOP(標準作業手順書)。今回はSOPとは何かという基本知識をはじめ、SOP作成のメリットや業種別の内容、作成手順に作成時のポイントまでくわしく解説いたしました。

SOPの導入は、業務の効率化や安全性の向上、そして成果物の均質化に貢献します。既存の業務フローの見直しや業務手順の統一など導入には障害もありますが、時間と手間をかけるだけのメリットはあります。

実際、SOPを導入している企業では業務品質が向上したり、業務が大幅に効率化したりと大きなメリットが得られています。

本記事を参考にSOPを作成し、貴社の業務改善につながれば幸いです。

著者
『shouin+ブログ』マーケティング担当
人材育成クラウドサービス「shouin+」のマーケティング担当です。人材育成のお役立ち情報やトレンドをはじめ、企業の人事・研修担当の方向けに社内教育や研修のノウハウを発信しています。

shouin+は、本社や現場のOJT・研修に関するお悩みを丸ごと解決する人材育成クラウドサービスです。

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