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若手への技術伝承が上手くいかない原因と進め方、成功させるためのポイントを解説!

作成者: 『shouin+ブログ』マーケティング担当|Aug 16, 2024 3:15:18 AM

日本は少子高齢化が進んでおり、将来的に労働人口が減少していくことが予測されています。

これは日本全体の問題ですが、特に製造業界では深刻な課題となっています。

製造業における現場で、安定的に高品質な技術を維持するためには、卓越した技術を有するベテラン技術者から若手への技術伝承を進めていくことが急務であるといえます。

しかし「思うように技術伝承ができていない」「どのように技術伝承を進めればよいかわからない」という現場を抱える企業が多いのではないでしょうか。

今回は技術伝承とはなにか、課題はなにか、どのように進めればよいか、成功させるポイントはなにかについて解説します。

技術伝承とは

「技術伝承」とは、熟練技術者が持つ長年の経験に基づいた作業知識、技術(スキル)を、ほかの者に引き継ぐことです。

ベテラン従業員の熟練の技術は企業と従業員が経験を積み時間をかけて創り上げてきた正しく効率的な方法や手順であり、これは企業にとって財産です。この大切な財産を次の世代に引き継ぐことで社内で保持し続けて、活用し、さらに改善、発展させていきたいと企業経営者は望んでいると思います。

高度な技術を伝承するとなると、受け継ぐ側にも一定のスキルが求められます。また、教える側の熟練技術者としても自分ができることを、上手く伝えていくことが簡単ではないということもあります。作業におけるカンやコツという部分については、マニュアルに落とし込むことが難しい側面があります。

技能伝承との違い

技術伝承と似た言葉に、技能伝承という言葉があります。技術とは、ものづくりにおけるやり方や手順、技のことであり、技能とは、ある一連の動作を行うための技術的な能力のことを指します。

  • 技術:方法や手順などのやり方
  • 技能:その技術を実現できる能力

技能は伝統芸能の伝承や伝統的な手工芸品の伝承などで使われることが多い言葉であり、例えば技術を行使する際の発声や身のこなしなどの体の所作や筆使いなども含んでいます。

企業の業務におけるスキルやノウハウの伝承については、技術伝承と呼ぶ方がふさわしいとされています。

技術伝承における企業の課題

技術伝承における企業の課題とはどのようなものがあるのでしょうか。製造業などでは、モノづくりにおいて個人のスキルが重要視される傾向が強く、技術伝承の遅れが課題になっています。

厚生労働省の『平成30年度ものづくり基盤技術の振興施策「概要」によると、技能継承に問題があると感じる企業は全産業において34.5%でした。製造業では54.7%と他の業種よりも製造業技術伝承について、問題があると危機感を感じていることがわかります。

 

引用:厚生労働省の『平成30年度ものづくり基盤技術の振興施策「概要」



技能伝承が上手くいく業と上手くいかない企業

厚生労働省の同調査によると、技能継承が上手くいく企業では、上手く技術伝承が進んでいる理由として「計画的にOJTを実施しているから」が最も多く、次いで「指導者と指導を受ける側とのコミュニケーションがよく図られているから」、「技能継承を受ける側の従業員の新しい技能や知識を身につけようとする意欲が高いから」となっています。

一方、技能継承が上手くいかない企業において、その理由としては「若年ものづくり人材を十分に確保できていないから」、「OJTが計画的に実施できていないから」、「指導者と指導を受ける側とのコミュニケーションが不足しているから」、「技能継承を受ける側の従業員に新しい技能や知識を身につけようとする意欲が低いから」と続いています。

技能継承が進むかどうかは、単に製造業において若年層の人材を十分に確保できているか、にだけかかっているのではありません。企業が技能継承の重要性を組織全体に認識させ、事業継承を推進する方針を策定・浸透させることが大切です。

技能継承の重要性を周知徹底できている企業は技術伝承が進んでおり、職場でのOJTの体系的なしくみづくりに取り組んでいることが、調査結果から読み取ることができます。

引用:厚生労働省の『平成30年度ものづくり基盤技術の振興施策「概要」

 

技術伝承が上手くいかないとどうなるか

技術伝承が上手くいかない場合、どのようになるのでしょうか。ここでは技術伝承が進まないことで想定されるデメリットを3つ解説します。
  

デメリット1.属人的な職場環境になる

技術伝承が進まないことによるデメリットとして、熟練の従業員の持つスキルや技術レベルで業務を行える人がいないために、その人しかできない業務、つまり業務の属人化が発生してしまうことが挙げられます。

長年の業務経験により暗黙知を蓄積し、高いスキルをもっている熟練の従業員は企業にとって第一線で活躍する大切な戦力です。

しかしこの熟練の従業員たちが不在の時、あるいは退職してしまえば、該当業務を担当できる代わりの人がいなくなることになります。これは組織としては極めて大きなリスクを抱えた状態にあるといえます。

属人的な職場である場合には、早急に次世代への技術伝承、若手人材の育成を始めていくようにすることが望まれます。

デメリット2.若手のモチベーションがあがらない

熟練した従業員と、その技術を受け継ぎたい若手従業員の間には、ある程度の年齢差があり、世代間で教え方についての認識やこうあるべきという部分には違いが生じているものです。

熟練の従業員たちは「技術は見て盗むもの」「自分で体得するもの」という、昔自分たちが習ってきた方法にならって教育しようとする傾向があります。

一方、最近の新人指導においては丁寧な教育環境に重きを置かれているため、若手は丁寧に教えてもらえない熟練の従業員の指導方法にとまどってしまいます。

そのため「若手従業員は覚えが悪い」と感じる熟練従業員と、「教え方が雑でわかりにくい」と感じる若手従業員の間に溝が生じてしまいます。お互いに不信感を持ってしまう状況では、技術継承が上手く進まなくなってしまいます。

その結果、苦労して採用した若手従業員が育成途中で離職・転職してしまうことにつながる恐れがあります。

デメリット3.企業の生産性低下の恐れがある

技術伝承が上手くいかない場合、将来的に自社が保有する技術、技能は受け継がれずに消失してしまいます。企業の誇る優位性や技術力を失い、企業競争力の低下を招くことにつながってしまうでしょう。

熟練した従業員のもつ技術には、たとえば複雑な組立て工程のなかで、最も効率的な組立順序を見出したり、エラーを見つけるコツなど、業務をただこなすのではなく、より良い業務を行うための技術があります。

技術伝承がなされないままに熟練者が退職・引退してしまうと、自社の保有している独自のノウハウが失われ、製造、加工技術が低下します。すると製品の品質も以前に比べて見劣りするようになり、このため顧客の信用を失ってしまいかねません。

製造業における技術伝承は、企業存続が危ぶまれる状況になるか、あるいはさらなる発展をとげられるか、企業の将来を左右するほど重要な要素であるといえます。

 

技術伝承が進まない原因

技術伝承が順調にすすんでいるという企業ばかりではありません。なぜ技術伝承が進まないのでしょうか。その原因を5つ取り上げました。

原因1.技術伝承は難しい面がある

製造業における技術伝承とは、一般的に熟練従業員など特定の人材が持つ知識や技術を、次世代の後継者に引き継ぐことを意味します。技術伝承は、一般的な作業の進め方を教育することとは違い、業界やその作業特有の暗黙知や振る舞いなど、言語化が難しい情報まで共有するのが特徴です。

「暗黙知」とは、その道の熟練した職人が長年培ってきた勘やコツを指します。暗黙知は、あらゆる作業工程に存在する独特の知識や技術です。

たとえば、デジタル制御された機械を導入した製造ラインにおいて、自動で製造が進んでいくことが前提ではありますが、すべての機体がまったく同じに動くわけではありません。機体はそれぞれに固有の特徴、個性があります。熟練の従業員たちは、このような機械のもつクセを把握して、長年使用していく中で、ここで引き上げる、ここで傾けるなど機械使用のうえでのタイミングを見つけて、その機械を効率的に使いこなしており、このことが品質の高い製品の製造に寄与しているのです。

つまり機械を製造したメーカーのマニュアルを超えて、熟練者たちが経験から体得している効果的な操作、効率的な運用方法が存在しているのです。

このような熟練の従業員が経験から習得して積上げてきた暗黙知は、明文化することが難しいものです。このためマニュアル化や標準化が非常に困難で、技術継承の難易度が高いといえます。

■参考記事はこちら

暗黙知と形式知の違いとは?変換方法やナレッジとしての活用についても解説


原因2.育成の制度が整っていない

技術伝承が進まない二つ目の原因は、OJTの体制が整っていないことが挙げられます。

次世代に熟練者の持つ技術を受け継がせたいと思っても、OJTの体制が整っていない環境ではスムーズに技術伝承を行うことは難しいでしょう。

OJTの体制を整えるには、職場に育成方法を任せきりにするのではなく、企業全体で指導内容や方法を明確にし、OJTの範囲やレベルをどの職場でも、どの若手従業員に対しても同じ育成内容を保てるように、運用方法を確立しなければなりません。

■参考記事はこちら

OJTとは?OJT実施時の注意点や必要な準備について解説!

 

原因3.技術伝承するための時間がない

技術伝承が進まない原因には、目先の業務対応に追われ、技術伝承するための時間がないこともあります。

人材不足で職場の人員に余裕がなく、請け負っている業務をこなすだけで精一杯の状況であれば、技術伝承のために割く時間を見つけることができないものです。

技術を伝承していくにはしっかりとしたマニュアルを作成し、それに沿って1対1でOJT指導するのが望ましいですが、マニュアルの作成や若手従業員に対するOJT指導にじっくりと時間を割くよりも、いまある業務をこなさなくてはならない、といった状況では、やりたくても技術伝承が進まないというケースがあります。

 

原因4.コミュニケーション不足

熟練の従業員たちの世代と若手従業員の世代では、教育に関わる環境に大きな違いがあり、職場での指導方法についても考え方に違いがみられる傾向があります。

熟練の従業員たちは同年代の人口も多く、大勢の中で競争をしながら自分で解決策を考えて行動してきました。

一方で今の若手従業員の世代は一人ひとり丁寧に指導される環境で育っています。このため職場においても丁寧に教えてもらうことを期待するところがあり、このために十分に教えてもらえていない、と感じてしまう傾向がみられます。

教育に対する価値観の違いからお互いに育成方法に関して歩み寄ることができず、コミュニケーションが上手く取れていない状況があります。

技術伝承を進めるためには、世代間にある育成についての意識の違いをお互いに知ったうえで、コミュニケーションを取っていく必要があります。

 

原因5.マニュアル作成ができていない

職場によってはそもそもマニュアルが存在しないところもあります。マニュアルが存在しても最低限の手順しか盛り込まれていないものもあります。なかにはマニュアルの作成方法がわからないため、マニュアル作成をしないままにしているという職場もあります。

技術伝承のためにはマニュアルが必要ですが、熟練従業員の長年の経験に裏打ちされたカンやコツ、タイミングなどの感覚を、言語化するのは簡単ではありません。このため、最適なマニュアル作成ができないという職場が多いのです。

 

技術伝承の進め方

企業で技術伝承が進まない原因にはさまざまなものがあります。これをふまえて企業ができる取り組み、技術伝承の進め方にはどのような方法があるのでしょうか。

 

①技術の可視化

技術伝承の進め方のひとつめは、熟練従業員のカン・コツというところも含めて作業工程の一部始終に関わる知識を表に出す作業を行うことです。

熟練従業員の知識は、暗黙知と形式知に分かれます。暗黙知とは経験で身につけた勘どころであり言語化が難しく、形式知とは言語化できる知識のことです。

ベテラン従業員が身につけた技術は、暗黙知も形式知もどちらも含まれているものです。どの部分が暗黙知に該当するのか、またそれをどんな形式なら説明できるのかについては、技術を可視化した上で、他の従業員へ伝える方法を検討してみましょう。

 

②伝承する技術の整理

技術伝承の進め方の二つめとして、伝承する技術の整理を行います。

技術の整理とは、熟練従業員のもつ技術を見える化できたら、その技術を全て並べてみて、他の若手従業員たちが周知している技術に加えて知らしめていくべきかを精査することです。

伝承していく技術の選別、検討には、熟練従業員だけで決めるのではなく、中堅層や若手の従業員が一緒に行うとよいでしょう。若手従業員が熟練従業員のもつ技術を知ることで、改めて作業手順を深く理解することにもつながります。またこの方法をあの作業工程で活用できるのではないかなどと、熟練従業員の技術をさらに進化させるきっかけにもなるかもしれません。

➂マニュアル化をすすめ標準化を目指す

続いて、次世代に伝承すべき技術の整理ができたら、マニュアルの整備に着手します。

マニュアルとは、対象業務についての標準的な手順だけでなく、業務の目的や背景、全体像、社内における業務の位置付け、過去の事例、注意点や失敗事例などが盛り込まれたものです。

すでにマニュアルが作成されている職場では、熟練従業員の持つ伝承すべき技術をマニュアルに盛り込みます。

マニュアル自体がなかった、あるいは十分な内容のマニュアルがなかった職場では、技術伝承に取り組むタイミングでマニュアル作成に取組みましょう。

マニュアルは技術の集積したものですので、職場内のすべての技術を共有する手段となりますので、マニュアル化を進めることで作業のバラつきが減少し、標準化を目指すことができます。

また、マニュアル化によって作業の目的や理由が明確になっていると、従業員はマニュアルをもとに自律的に行動できますし、自分でより良い方法を模索するようになります。

■参考記事はこちら

業務をマニュアル化するメリット・デメリットとは?効率的に進める方法や成功事例も紹介


④学習しやすい仕組づくりをする 

熟練の従業員から集めたコツや知恵、ノウハウをマニュアルにまとめておくことは大切です。しかしマニュアル化しただけで終わりにしてはいけません。マニュアル化した目的は熟練の技やノウハウを他の人に受け継いで、次世代にも活用していくことです。

コツや知恵、ノウハウを次世代が習得していくための進め方として、OJTで現場で実際に作業に取り組んで覚えていく、社内オンライン学習を取り入れていくなどの方法が考えられます。

オンライン学習は、これまでは集合研修であるいは1対1で対面で教えていたことを、各自スマホで学習動画を見られるようにするなどの方法で学習しやすい仕組みをつくることで効率的に学ぶことができます。

技術伝承を成功させるためのポイント

技術伝承を成功させるためのポイントにはどのようなものがあるのでしょうか。3つのポイントについて見ていきましょう。     

ポイント1.コミュニケーションを取る 

1つ目のポイントは、指導者となる熟練従業員に若手従業員が質問しやすい関係性を築くことです。

従来の師弟関係にみられたような、「技術は教わるのではなく見て盗め」というスタンスでは、若手従業員は話しかけにくく、知りたいことも質問できないという状況になってしまいます。

熟練従業員は「行って見せ、やらせてみる」「専門的な言葉を使わず、分かりやすい言葉を使って説明する」「聞き漏れを防ぐために、2度繰り返し説明する」「表現を変えて説明する」など、教え方を工夫することで若手従業員は理解しやすくなります。

指導するベテラン従業員から挨拶なども含めて積極的に声をかけることも、育成対象者の若手従業員からも話しかけやすい関係性をつくるには効果的です。

■参考記事はこちら

ビジネスに欠かせない双方向コミュニケーションとは?実施するメリットや促進するための方法を解説

ポイント2.動画を活用したマニュアルを作成 

熟練従業員の技・コツに当たる暗黙知は言語化が難しく、技術継承は難しいものです。これを次世代に伝えるには伝承の方法に工夫を施す必要があります。

暗黙知となる技術の教え方のポイントとして、マニュアルに動画を活用し、暗黙知をデータ化することが考えられます。

スマホやタブレットが普及したこともあり、今では動画を撮影することも身近になりました。マニュアルにおいても、文字や図だけでなく、画像や動画を積極的に取り込んでいくと、文字だけでは伝わりにくい情報も視覚や聴覚をもって伝達することができます。

例えば、作業工程を動画撮影してマニュアルを作成することで、作業順番や作業の動作の大きさ、音の種類や大きさ、色の変化、物が動く勢いやスピード、振動の大きさ、などについて文字だけでは伝わりにくい多くの情報を受け取ることができます。

このように伝えにくい「暗黙知」の部分を動画を活用することで、「形式知」に変換していくことが大切です。これは企業が組織全体として取り組む必要があるでしょう。

ポイント3.教育に特化したツール・システムを活用

ツールでマニュアルを確認することができれば、従業員にOJTの前に予習をしてもらうことも可能です。これが技術を習得するために必要な教育時間の短縮に繋がります。

マニュアルがあっても印刷したものが職場に1冊しかなければ、マニュアルで確認したいときに自由に使うことは難しいでしょう。

教育・人材育成に特化したツールを活用することで、技術を習得したいと思う従業員は、スマホで各自が空いている時間に自由に何度も確認できます。

 

企業事例

技術伝承を進める上で、企業が取り組んでいる教育体制等の事例を3つご紹介します。

株式会社デンソー西尾製作所

株式会社デンソー西尾製作所は、愛知県西尾市にあるカーエアコン、ラジエータ、電子制御式ディーゼル・ガソリン燃料噴射装置の製造を行っています。このうち、ディーゼル噴射製造部においては、技能伝承のために全社一括で行われる共通の人材育成とは別に、2011年に工場内に技能伝承を行う訓練道場「風の里」を立ち上げました。

風の里で学ぶ内容は、伝承すべき技能であるディーゼル燃料噴射装置の「研削」に特化している、ということが特徴です。受け継いでいきたい大切な技能や知識を、教えるスキルや人間性が卓越した指導者から訓練を受けることができます。

訓練生はここでの学びを通して生きた専門知識を得られるようになり、仕事に自信がついてこれまで以上に生き生きと仕事に取り組めるようになることが期待できます。

 

日本電鍍工業株式会社

埼玉県さいたま市にある日本電鍍工業株式会社は、高級腕時計の外装金属部品に金、銀、プラチナ、パラジウムなどのめっき加工から、医療用精密器具、電子部品、管楽器、宝飾品など幅広い用途で多品種変量生産に対応した貴金属めっきや表面処理加工を行っています。

技能伝承に対する取り組みとして、めっき加工ラインの天井に固定カメラを設置し、作業動作の映像を記録しています。不良品を出してしまった際の製造工程の動作が決められた作業どおりに行われているか、また熟練の従業員と若手従業員の作業動作の違いを映像を確認して学ぶことができます。

また、めっき液の調整や管理のノウハウなど、熟練従業員が経験からくる目分量や勘に頼っていたものを、生産管理システムの導入により数値化することで見える化を進めています。

これらによって若手従業員の早期育成に活かしています。

 

株式会社濱﨑組

愛媛県松山市にある株式会社濱﨑組は、総合建築工事・左官工事・内装工事等を行っています。

左官業における技能伝承の方法としては、熟練した親方に弟子入りして技能を習得していく徒弟制度が多く見られていました。必要な技能は見て盗むというスタイルです。

これに対して同社の人材育成システムは、階層別教育を受けながらキャリアを積み上げていく体制を整えています。

具体的には社内に認定職業訓練校「技能研修センター」を設けて、学科の研修だけでなく、社内検定、技能検定の実技を練習できるようにしています。

この教育システムを整備したことによって、指導者によって教え方に得手不得手がある、指導の内容やレベルにバラツキがあるなどの問題が解決し、育成の質が安定した教育制度が実施できています。

 

まとめ

今回は、企業における技術伝承について、進まない原因や成功させる方法、成功させるためのポイントについて解説しました。

技術伝承の基本は、マニュアルの整備と、マニュアルを活用したOJT指導の体制を築くことです。

マニュアルの作成にはITを活用して技術や技能を見える化、可視化することで、後継者が学びやすい環境を整備できます。技術・技能の見える化を動画マニュアルなら実現できます。

技術伝承が進む体制を作り、教え合う企業風土が根付いていくことで、将来的にも技術を伝承し続けることが可能になります。

技術を持つ熟練従業員が辞めてしまう前に、早急に取り組んでいくことをおすすめいたします。