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効果的な部下育成に必要なこととは?部下を育てるのが上手い人の特徴・具体的なアプローチ方法も紹介

研修 ノウハウ OJT
2024.07.18
『shouin+ブログ』マーケティング担当

企業に所属している人なら誰もが経験する「部下育成」。早ければ入社半年後、1年後には、部下の育成を任せられることがあります。

その際、「どのように教育すれば良いのかわからない」「指導する時間をなかなか確保できない」「主体性のある部下が育たない」と悩むことも多いのではないでしょうか。

本記事は、そんな部下育成の問題を改善する方法を紹介しています。部下を育てるのが上手い人の特徴や成功させるためのコツなども解説していますので、人材育成にお悩みの方はぜひお役立てください。

 

部下育成とは

部下育成とは、部下の成長をサポートすること。部下の能力を伸ばすため、上司が指導したり、成長のきっかけを与えたりすることを意味します。

『世界基準の「部下の育て方」』という書籍にて、著者の田口力氏は以下のように定義しています。

部下育成の定義は、洋の東西を問わず、「部下を変化させること」ということができます。そして、「変化させる」とは、部下の①強みを強化し、②弱みを改善することであり、③新たな能力を付け加えることです。

引用:田口力(2019)『世界基準の「部下の育て方」ー「モチベーション」から「エンゲージメント」へ』

部下育成において重要なのは「部下が自ら成長を遂げること」です。上司はあくまでサポート役であり、部下の主体性を尊重するマインドを持つことが大切です。

部下育成は、新卒社員や中途採用者の入社時、アルバイト採用時、人事異動を行ったときなどに行われます。そのほか、組織の成長が必要とされているときにも行われます。

 

部下の育成が重要な理由

部下育成は、どの企業でも昔から行われているものです。しかし、近年その重要性はさらに高まっています。

なぜ部下の育成を重視すべきなのか、主な3つの理由について確認しておきましょう。

持続性のある経営を実現するため

「サステナビリティ経営」というワードが飛び交っているように、近年は、中長期的な視点で企業の行く末を考えることが重視されています。そのうえ、予測不可能なことが次々と起こるため、企業には高い適応力が求められています。

このような環境で企業が存続し続けるには、社員の力が必須です。組織が成長し続けるには、社員の成長が欠かせないのです。知識・スキルの高い社員が増えれば、それだけ市場競争で優位に立つことができます。

つまり部下育成は、変化に強い企業を構築するための「土台」になるといえます。少し先の未来さえ予測できない現代だからこそ、部下育成に注力すべきと考えられるでしょう。

 

後継者を育てるため

いまは、どの業界も人手不足に悩まされている時代。管理職を任せられるほどの人材を採用するのは、至難の業です。

経営者や経営幹部、管理職社員の離職に備えるためには、後継者の育成が必要です。部下育成を行い、リーダー候補を発掘・育成することで、「後任者が見つからず生産性が低下する」といったトラブルの発生を防げます。

注力して取り組みた育成対象

引用:「人事部の実態調査」ALL DIFFERENT株式会社

ALL DIFFERENT株式会社が行った調査の結果を見てもわかるように、実際に、多くの企業が「次期管理職」の育成に注力したいと考えているようです。それほど管理職の採用は難しいと捉えることもできます。

持続可能な経営を実現するためにも、次期リーダーを育てるベースとして、部下育成を行う必要があるでしょう。

 

社員の離職を防ぐため

人材育成を疎かにする企業は、社員から評価されません。「社員を大切にしない会社だ」と判断され、離職者が増える恐れがあります。

また、いまはキャリアを会社にゆだねるのではなく、自分でキャリアを選ぶ時代です。「この会社では、自分のキャリアビジョンが描けない」と感じた社員は離れていってしまいます。

よって、部下育成を強化する必要があるのです。従業員への教育を重視し、キャリアのサポートを行うことで、定着しやすくなります。社会からの評価も高まり、より優秀な人材を確保できるようになるでしょう。

 

部下の育成は難しい?よくある失敗や課題

「部下育成がなぜか上手くいかない」と悩む職場では、具体的にどのような問題が発生しているのでしょうか。

育成環境の整備における課題

引用:「人事部の実態調査」ALL DIFFERENT株式会社

「ALL DIFFERENT株式会社」が行った調査では、上記のような項目が課題として挙げられました。なかでも注目すべき4点をピックアップし、解説していきます。

課題1.部下を育成する時間を確保できない

部下育成を行う際、指導者が教育に専念できることは、あまりありません。通常業務と並行して行うことがほとんどです。

そのため、多くの指導者が教育時間の確保に苦戦しています。教育に時間を割くと業務が進まず、反対に、業務を優先していると教育が疎かになるという「板挟み」状態になるケースが少なくないのです。

そのような状況を改善するには、教育体制の整備や、教育の効率化などの対策が必要になります。

 

課題2.部下を育成できる人材がいない

効果的・効率的に部下を育成するには、知識とスキルが必要です。そのためには、指導者の育成が必要になりますが、実際、指導者を教育する時間を確保できず苦戦していることがよくあります。

そもそも人手不足で、教育を担当できる社員がいない、というケースも。教育担当者が不足している状態で採用や人事異動を行うため、結果的に「部下育成に割く時間がない」という問題が発生してしまうのです。

 

課題3.教え方にバラつきがある

部下育成の一環で行われるOJT(On the Job-Training)は、1人1人に合わせた教育を実施できるのがメリット。一方で、指導にバラつきが出やすいというデメリットもあります。

指導方法が標準化されていないと、社員の成長に差が出てしまいます。生産性が上がらないほか、成長が遅れている社員のモチベーションが下がるリスクもあります。部下育成が思うように進まないだけでなく、離職者が増える恐れがあるので、指導を標準化する施策が必要です。

 

課題4.教育の効果がわからない

人材育成を成功させるには、部下の成長を把握し、問題点を改善するというサイクルを回すことが大切。しかし、部下育成が上手くいっているかわからず、改善点も対策も曖昧になっていることがよくあります。

社内研修であれば、実施後のアンケートや理解度チェックテストなどで効果を明確に確認できるでしょう。ところが「部下育成」という大きなくくりでは、進捗や効果を把握できていないことがほとんどです。

その結果、多くの上司が「部下が育っている実感が湧かない」「なぜ部下育成が上手くいっていないのかわからない」という悩みを抱えてしまうのです。

 

部下を育てるのが上手い人の特徴やスキル

部下育成に苦戦している人が多いなか、部下を育てるのが上手い人も存在します。そのような人たちには共通点があります。

以下の7つの特徴・スキルについて見ていきましょう。

部下を育てるのが上手い人の特徴やスキル

①マネジメントスキルが高い

マネジメントスキルが高い人は、部会を育てるのが上手いです。このような人は、適切な目標を設定し、計画的に教育を行うことができます。問題が生じても冷静かつ論理的に解決できるため、効率よく部下を育てることができます。

また、マネジメントスキルを発揮し、仕事の割り振りや時間配分なども要領よく行うことができます。指導に必要な時間を確保するのが上手いため、着実に部下を成長させることができるのです。

 

②コンセプチュアルスキルが高い

コンセプチュアルスキルとは、物事の本質を見極める能力のこと。根本的な原因を見抜くことに長けており、部下育成で問題が発生した際、最短ルートで解決できます。

また、コンセプチュアルスキルが高い人は、曖昧・不確実な物事を抽象化することも可能です。そのため、漠然とした部下の悩みも理解し、解決へと導くことができます。

さらに、思考の柔軟性も高いため、前例のないことが起きても対処できます。過去にとらわれることなく、育成対象者に合わせて最適な方法で指導できます。

社員は1人1人違う価値観、経歴を持っているものです。伸ばすべき能力や、適切な指導方法もそれぞれ違うため、指導者には臨機応変な対応が求められます。コンセプチュアルスキルが高い人は、そのような行動が可能なため、部下育成に成功するのです。

 

③コミュニケーションスキルが高い

上司と良い関係を結べている社員は、継続的な成長が期待できます。そして、上司と部下の信頼関係は、良好なコミュニケーションによって築かれます。

よって、コミュニケーションスキルが高い人は、部下を育成するのが上手いと考えられます。

  • 部下の関心・興味を引く話し方
  • 部下の悩みや考えを聞き出す会話
  • 部下が相談・意見しやすい話し方

このようなコミュニケーションを行い、主体性のある部下を育てることができます。また、ほかの社員の協力を得るのも上手く、職場全体で効率よく部下育成を行うことができます。

 

④部下を認められる

社員は、自ら経験することで成長するもの。部下を育てるのが上手い人は、このことを理解しており、部下の挑戦に対し前向きです。積極的に仕事を任せて成長を促します。

部下が成功を収めた際は、きちんと認めることができます。妬むのではなく成長を喜ばしいと思うマインドが、部下のモチベーションを高め、さらなる成長を促します。

 

⑤部下をよく観察する

部下の育成が上手い人は、部下のことをよく見ています。「何を考えているのか」「何に悩んでいるのか」「どのような成長を遂げたのか」など、部下の状況を常に把握しているため、適切なタイミングで適切な行動をとることができます。

また、自分のことをよく見てくれている上司は信頼されます。良好な人間関係を築くことができ、部下の主体性・積極性の育成につながります。

 

⑥きちんと褒めてきちんと叱る

誰しも褒められたらうれしいものです。しかし、間違ったことをしたときは、きちんと叱ってほしいのも事実。それを理解している人は、適切に褒め、適切に叱って部下を育てます。

「部下の機嫌を損ねないように」と叱ることを避けてしまう人も多いですが、理にかなったまっとうな指摘であれば、相手も受け止めることができます。すぐに受け入れられなくとも、のちに理解したとき、叱ってくれた上司に信頼感を抱きます。

反対に、上辺だけで褒めたり、理不尽に叱ったりすると、部下の信用を失います。褒めるところは褒め、叱るところはしっかりと叱れる人が、部下育成に成功するのです。

 

⑦自身も成長しようとする姿勢

部下育成に取り組む際は、つい教えることばかりに気を取られがちです。しかし、優れた上司は、自己成長を疎かにすることはありません。

管理職や経営幹部が部下育成に関してまず行わなくてはならないことは、自分自身が積極的に学んでいるという姿を見せることです。自分の上司が進んで学んでいる姿を見れば、部下は自然とその姿勢を見習います。

引用:「田口力(2019)『世界基準の「部下の育て方」ー「モチベーション」から「エンゲージメント」へ』

『世界基準の「部下の育て方」』の著者、田口力氏も述べているように、上司が自ら学ぶことは部下の自主的な成長につながります。

そもそも、教育スキルは一度で完璧に身につけられるものではありません。時代とともに、適切な指導方法も変わります。

そのため、教える側も常に学び続けることが大切です。その姿勢が、結果的に部下に良い影響を与えるでしょう。

 

部下育成の具体的な方法

はじめて部下育成を任された人は、どのように教育すれば良いか戸惑うことも多いはず。そこでここからは、部下育成の具体的な方法について解説していきます。

育成の段階に合わせて複数の方法を組み合わせることも、よくあります。適切なタイミングで適切な手法を選べるよう、それぞれの特徴を理解しておきましょう。

部下育成の具体的な方法

方法1.OJT

OJT(On the Job-Training)とは、実務経験を通して知識・スキルを習得させる教育手法のこと。飲食店の調理業務、事務作業、小売業での接客業務など、幅広い業種で部下育成の手法として取り入れられています。

OJTでは、上司が業務に取り組む様子を観察することでも学べます。また、部下が成功や失敗を自ら経験することで、業務に対する理解が深まります。

ただし、指導時間の確保に苦戦しやすいため、スケジュール管理の徹底が必要です。

 

方法2.Off-JT

Off-JT(Off the Job-Training)とは、業務から離れて知識・スキルを身につける手法のこと。集中して学べる環境で実施するため、教育内容の情報量が多いときや、複雑な内容のときに向いています。

また、グループディスカッションやロールプレイングなど、OJTでは実施できないカリキュラムを組めるのも利点です。新人研修はもちろん、リーダーシップ研修、ロジカルシンキング研修などのスキルアップ研修にも適した手法です。

 

方法3.コーチング

コーチングとは、相手(育成対象者)に自発的な気づき・行動を促す手法です。上司が質問やヒントを投げかけることで、部下に自分で考える機会を与え、成長を促進します。

書籍『世界基準の「部下の育て方」』にて、田口力氏は以下のように定義しています。

コーチングを定義すると、「相手の目標達成を支援する相互対話的なプロセスであり、個々の潜在能力を引き出し、各自ができるだけ良い成果を挙げられるようにすること」と言うことができます。”

引用:「田口力(2019)『世界基準の「部下の育て方」ー「モチベーション」から「エンゲージメント」へ』

コーチングは、主体性のある部下を育てるのに効果的です。中長期的な視点で行う部下育成には必要不可欠ともいえます。

コーチングを行うには知識とスキルが必要なので、研修を実施し、ロールプレイなどで訓練すると良いでしょう。

 

方法4.ティーチング

ティーチングとは、教育する側が教育される側に必要な知識・ノウハウを与えること。答えを自分で見つけさせるコーチングとは対照的に、ティーチングは答えを与えて教育します。

部下の主体性を引き出すにはコーチングが必須ですが、ティーチングも同じく部下育成に欠かせない手法です。状況と内容に合わせて、上手く手法を使い分けるのがポイントです。

 

方法5.1on1ミーティング

1on1ミーティングとは、1対1で行う面談のこと。部下育成の進捗確認や悩み相談、キャリアのサポート、人事評価などさまざまな目的で活用されます。

業務から離れ、部下と上司がともに成長を客観視できるのがメリット。問題点を冷静に分析し、必要に応じて軌道修正することで、効率よく教育を進められます。

また、1on1ミーティングを活用して育成の方針を共有することにより、部下と上司が同じ視点を持つことができます。互いの価値観や意見を理解しあうことで、信頼関係が構築されるでしょう。

 

部下育成を成功させるポイント

部下育成を成功させるには、上司の指導スキルだけでなく、企業側からのサポートや教育体制の整備も欠かせません。具体的にどのような取り組みを行えば良いのか、以下の5つのポイントについて見ていきましょう。

部下育成を成功させるポイント

ポイント1.ティーチングとコーチングを上手く使い分ける

近年、部下の主体性を重視することが推奨されていますが、コーチングのみでは部下は育ちません。答えを探させるばかりではなく、きちんと知識を与えることも大切です。

業務の正しい取り組み方やコツ、スキルを身につけるのに必要な知識は、ティーチングで教えるのが適切です。一方、目標設定や原因追及にはコーチングを活用するのがおすすめです。

ティーチングとコーチングを上手く使い分けることで、優秀な部下を効率よく育成できるでしょう。

 

ポイント2.チーム・部署全体で部下育成に取り組む

「指導する時間が確保できない」という問題は、教育担当者の負担が大きすぎることが原因として考えられます。

問題を解決するには、職場のメンバー同士で協力しあう環境を作ることが大切です。

担当者が不在のときや多忙なときも、ほかのメンバーが代わりに教えることができれば、滞りなく教育を進めることができます。また、教育担当者が抱えている業務を、ほかのメンバーに割り振って負担を減らすことも可能になります。

担当者以外のメンバーとも情報共有を行い、職場全体で部下育成に取り組めるようにしましょう。

 

ポイント3.指導マニュアルを作成する

指導のバラつきを防ぐには、マニュアルを作成するのが有効です。

マニュアルがあると基準やルールが明確になり、教育担当者が悩んだり迷ったりする時間を短縮できます。教育の質を統一できるだけでなく、部下育成の効率アップも期待できるのです。

また、マニュアルを設置すると、チームで分担して部下育成を行うことができます。「指導時間を確保できない」という課題の解決につながるでしょう。

 

ポイント4.指導者の育成

部下育成では、イレギュラーが発生することが多々あります。マニュアル通りに指導しても上手く行かない場合もあるため、指導者のスキルアップが必要です。

また、部下との信頼関係を築くコミュニケーションやコーチングは、すぐに習得できるものではありません。訓練のため、ロールプレイを含む研修を実施すると良いでしょう。

 

ポイント5.ツールの活用

オンラインツールの活用も、部下育成の効率化に有効な手段です。

例えばeラーニングは、知識の習得に役立ちます。部下の職場が本社から離れている場合や、育成対象者のスケジュールに空きがない場合でも、オンラインで学習を進めることができます。

また、ツールの種類によっては、学習の進捗を可視化することも可能です。部下育成が管理しやすくなるうえ、部下も自身の成長を実感でき、モチベーションアップにつながるでしょう。

どのようなツールを導入するか正しく見極める必要はありますが、上手く活用すれば、上司・部下双方に多くのメリットをもたらします。社員が活用しやすく、かつ部下育成の効率アップにつながるツールを選びましょう。

 

まとめ

部下育成は思い通りに進まないことがほとんど。「自分は教育に向いていないのではないか」と自信を失ってしまう人もいます。

しかし、人材育成に必要なのは、素質ではなく知識・スキル・経験です。そして、周囲と連携をとることで、誰でも効果的かつ効率的に部下を育てることができます。

企業は教育担当者の不安を解消するため、部下育成に役立つツールも活用しつつ、知識とスキルが身につく機会を提供することが大切です。また、どのような問題・不安を抱えているのか実際にヒアリングを行い、ニーズに応える対策を練りましょう。

著者
『shouin+ブログ』マーケティング担当
人材育成クラウドサービス「shouin+」のマーケティング担当です。人材育成のお役立ち情報やトレンドをはじめ、企業の人事・研修担当の方向けに社内教育や研修のノウハウを発信しています。

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