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【セミナーレポート】ユナイテッドアローズの事例に学ぶ 自らトライする新卒社員の育て方

研修 マニュアル 平準化 ノウハウ ナレッジ OJT セミナーレポート
2022.04.25
飯島 雄輝

近年はウェブ会議ツールやeラーニングツールなど、企業内のさまざまな分野でDX化が進められています。UNITED ARROWSBEAUTY & YOUTHなどのブランドを展開するアパレル大手の株式会社ユナイテッドアローズは、コロナ禍以前から集合研修をウェブ会議ツールを活用したオンライン形式に変更、紙のマニュアルを動画形式のマニュアルに置き換えるなど人材育成分野でのDX化を推進しています。特に新卒教育に注力しており、研修・OJTをオンラインで行う人材育成サービス「shouin+(ショウインプラス)」を活用して、研修の学びを店舗で実践する新卒社員の育成に成功し、顧客満足の面でも大きな手応えを得ています。

本セミナーレポートは、株式会社ユナイテッドアローズ人材開発課の小林貞裕氏を招いて、2022年3月8日(火)に行われたwebセミナー「ユナイテッドアローズの事例に学ぶ 自らトライする新卒社員の育て方」の内容をお届けします。昨年入社した新卒スタッフを対象に行った研修をもとに「店舗で積極的にトライできる新卒の育て方」および「その具体的な育成手法」について解説し、参加者からの質問にも答えていただきました。

 

ユナイテッドアローズが取り組んだリモートと動画を活かした研修

株式会社ユナイテッドアローズは、紳士服・婦人服および雑貨等の企画・仕入・販売を行うアパレル企業です。「真心と美意識をこめてお客様の明日を創り、生活文化のスタンダードを創造し続ける」を経営理念とし、従業員は「すべてはお客様のためにある」を社是として活動しています。目指すべき5つの価値創造には「お客様価値、従業員価値、取引先価値、社会価値、株主様価値」を掲げています。 

小林氏は始めに、企業全般における人手不足の現状について解説しました。

2020年に始まったコロナ禍は終息せず、2021年にはオミクロン株による『まん延防止等重点措置』が発令され、混乱は現在も続いています。最近になり、コロナ禍による人手不足が叫ばれるようになったと思われていますが、帝国データバンクの調査によれば、企業の人材不足感は2019年のコロナ禍以前から始まっていました。そこに追い打ちをかけるかのように始まったコロナ禍で、景気の先行きがさらに不透明になったことで、企業は人材採用を一時停止。そのため人手不足に拍車がかかっています」 

株式会社ユナイテッドアローズ 小林氏

そこで、ユナイテッドアローズでは打開策として、労働力確保に向け、採用した人材の早期育成に着手していきました。そこで行われたのが「DX化による人材育成」です。

「コロナ禍で集合研修ができない状況になったこともあり、人材育成のDX化を一気に進めました。始めに行ったのは10月~3月に行っている内定者研修のフルリモート化です」 

株式会社ユナイテッドアローズ 小林氏

 

内定者研修をフルリモート化(入社前10月〜3月)

以前の内定者研修は1日のみ8時間の集合研修でした。それがDX化により、「①ウェブ研修2時間×3回の実施で6時間」「②『shouin+』で10分程度の動画3本を毎月1回、全6回配信して3時間」と全部で9時間のメニューに変更しました。小林氏はこの動画を使った研修の取り組みが非常に有効だったと語ります。

内定者研修をフルリモート化へ

「以前の集合研修では企業理念とスタッフとしての心構えしか伝えられませんでしたが、DX化で学びの頻度を増やしたことにより、仕事に関する知識やスキル、マインドまでを伝えられるようになりました。そもそも内定者はZ世代と呼ばれるデジタルネイティブな年代で、動画を見て学習することに慣れており、こうした教育も抵抗感なく受け入れてくれています。その後の店舗での活躍ぶりを見ても非常に有効だったと感じています」

株式会社ユナイテッドアローズ 小林氏

では具体的にフルリモートの学習はどのような手順で行われたのでしょうか。小林氏は次のように解説しました。始めに同社の研修の学び舎である「束矢大學」(タバヤダイガク)をリモート化しました。束矢大學でのウェブ研修はTeamsを用いて6名程度で実施します。次に学んだ内容を「shouin+」の動画で確認。最後に学んだことを自分でも行い、撮影した自撮り動画を提出。ここでは「shouin+カメラ」を活用しました。同社ではこうした学びの反復学習を半年にわたって行っています。

「例えば、立ったままで服をたたむ『立ち畳み』のマスターを例に挙げると、束矢大學でたたむポイントを口頭で解説し、ウェブ研修後に『shouin+』で実際の動画を確認します。その後、自分でも練習してもらい、『shouin+カメラ』で自撮りした動画を提出。教育担当者はそれを見て注意点などのフィードバックを与え、次回のウェブ研修時に最終テストを行います。以前でも入社前までに全員が立ち畳みをマスターできていなかったのですが、リモートになって全員ができるようになりました」

株式会社ユナイテッドアローズ 小林氏

基本の作業習得

 

入社後研修もフルリモートを継続(4月〜9月)

次に行う4月~9月の入社後研修もフルリモートで行われました。以前の入社後研修は2日間で16時間のみの集合研修でした。それがDX化により、「ウェブ研修3時間×3回の実施で9時間」「shouin+』で10分程度の動画3本を毎月1回、全6回配信して3時間」「③動画での課題提出1時間×3回で3時間」の計15時間です。

入社後研修もフルリモート継続

「入社後研修の流れも、内定者研修と同様に束矢大學でウェブ研修を受け、『shouin+』で動画を確認し、その後は店舗でOJTというサイクルです。動画での学びと店舗での実践をサイクルに組み込むことで、学びの質・量をそのまま行動につなげることができています」

株式会社ユナイテッドアローズ 小林氏

 

フォローアップ研修もフルリモート継続(10月〜12月)

人材の早期教育で最後に行われるのが、10月~12月に行われるフォローアップ研修です。ここでは企業理念の理解や接客力およびマインドの向上が行われます。以前の入社後研修は1日で8時間のみの集合研修でした。それがDX化により、「①『shouin+』で10分程度の動画3本を毎月1回、全3回配信して1.5時間」「②動画での課題提出10.5時間」「③ウェブ研修12時間」の計4時間まで時間を短縮できました。

フォローアップ研修もフルリモート継続

「フォローアップ研修はこれまでと違って、教育の順番が変わります。始めに接客のコツなどについて動画学習を行い、その後、実際の店舗でロールプレイング実習を行い、その模様を『shouin+カメラ』で撮影して提出。それに対するフィードバックを束矢大學のウェブ研修で行います。ウェブ研修は134名で行う少人数制を採用しており、昨年度は合計で19回実施しました。以前の集合研修では208時間で、一人当たりのフィードバックもわずかな時間しかとれませんでした。DX化することで、一人当たり30分~40分もフィードバックに時間をかけられるようになりました。個々にきちんと向き合えるようになり、教育効果も上がっています」

株式会社ユナイテッドアローズ 小林氏

 

ここで研修は終了しますが、学びが実践に活かされていなくては意味がありません。ユナイテッドアローズでは最終的な教育効果をどのように測定しているのでしょうか。同社には独自の計測方法があります。CX(顧客体験)からのフォローアップを活用する方法です。実際に接客したお客様に接客の感想や意見を書いてもらうよう依頼するカードを渡し、そのカードからアクセスできるウェブサイトにて感想を記入してもらいます。一人100枚のカードを配り、お客様から評価の言葉をもらうことでその言葉を自身の学びやモチベーションにしていきます。書き込まれた言葉は「shouin+」の中で確認することができ、中には長文の感想もあるなど、非常に価値の高い試みとなっています。

「こうしたアンケートの回答率は一般に510%程度と言われますが、当社ではその倍以上も回答をいただくことができ、効果的な試みとなっています。アンケートには、顧客の再来店意向に関する設問がありますが、再来店意向は大変高くなっています。これは新卒スタッフの一生懸命さや仕事の丁寧さに共感いただいたためではないかと思います。このCX(顧客体験)よるフォローアップが、新卒スタッフが自身の行動とお客様との関係性の構築へとつながり、お客様と良好な関係をつくる礎になっていると感じます」

株式会社ユナイテッドアローズ 小林氏

 

新卒スタッフおよび店長に聞いた新たな研修のメリットと効果


 ここから小林氏、飯島によるディスカッション形式の講演が行われました。始めに小林氏が今回の研修を体験した新卒スタッフが感想を語るビデオを紹介しました。

 

お買い上げいただいたお客様数がナンバー1だった新卒スタッフのコメント

「これまでお客様に『あなたの接客はこうだったね』と感想を聞く機会がなかったので、言葉が聞けたことは非常に新鮮な体験となりました。コメントの中に『もっと自信をもって』という言葉がいくつかあったのですが、自分では自信なさげに接客しているつもりはありませんでした。しかし、「そのように見えていたのだな」と自覚でき、それが課題なら「こういう話し方をしよう」「ここの声のトーンを上げてみよう」などと改善点がいろいろと見えてきました。お客様の言葉は大変勉強になります」

 飯島:お客様の言葉について大変深く受け止められていますね。

小林氏:社内からのフィードバックと違い、お客様からの生の声ですから、やはり素直に受け止めてくれています。先輩が新卒スタッフのロープレを見ても「自信をもってやりなさい」とはなかなか言えませんが、これがお客様の声だと素直に聞いてくれる。他の新卒スタッフたちも同じような捉え方をしています。

飯島:とはいえ聞く耳を持たないと、なかなか素直に聞いてもらえないと思います。そこでは研修が下地になっているのでしょうか。

小林氏:そこで新卒スタッフの「shouin+」の視聴頻度といただいたアンケートの回答数の関係を調べると、興味深い結果が出ていました。月の動画視聴回数によって「消極的」「平均的」「積極的」の3グループに分けたところ、「消極的」「平均的」は回答率に大きな差が見られませんでした。それでも一般的な回答率を上回っています。また、「積極的」に動画視聴をしたスタッフは回答率がさらに大きく伸びており、これは動画に対する積極性が行動に表れた結果と感じています。

次にこうした研修について店長にも感想を聞いてみました。

 

売上ナンバー1の新卒スタッフが所属する店の店長のコメント

「実働以外で学べる機会があることは、指導する立場から見ても、また、本人も安心感が得られたと思っています。加えて、これは店側の都合ですが研修のための移動時間を取られずに手軽に動画が見られた点もよかったですね」

 

最優秀新人賞を受賞した新卒スタッフが所属する店の店長のコメント

「まだ新人ですから、いきなり売り場に出て、そこで学ぶということはなかなか難しいと思います。そのため、店内で動画を見て学ぶ時間が取れたことは非常に有効だったと思います。動画の内容も今の自分は何ができるかを、本人たちで点検できる内容となっており、これは成長スピードを上げるうえで大変役に立ちました」

飯島:店長の皆さんからも、研修内容を評価いただけて私もうれしく思います。ちなみに、何か新しいことを始めようとすると現場から「現状維持でいい」といった声も出るかと思います。どんな声が聞かれましたか。

小林:最初は現場にも戸惑いがあったと思います。そのため先輩社員たちを対象に研修についてのレクチャーをTeams2度行いました。1度目は制度導入前に、動画を導入する目的、提供する動画の種類、学習の手順について説明。2度目は導入の1か月後に、実際に研修を体験してどうだったかをヒアリングし、今後どのように進めればよいかについて意見を聞きました。こうした取り組みが研修と店舗の連動性を高めることにつながったと思います。研修はあくまでも行動のきっかけづくりですから、本人が行動に移すには周囲の環境も大事です。職場と丁寧に接することでよいリレーションが生まれ、そうした関係性がお客様にも伝わっていると思います。

飯島:最後に今回の取り組みについて総括していただけますでしょうか。

小林:今回の新たな研修に1年半取り組んでわかったことは、「教育の質と量」を上げることがスタッフの「行動の質と量」に影響し、それが「お客様満足の質と量」の向上につながるという事実です。何度もウェブ研修を企画し、いくつもの動画をアップしていくことは面倒な部分もありますが、そうした活動が確実に、従業員の行動の質と量を上げることにつながることが明確になったように思います。

飯島:小林氏のお話からは、教育における動画の活用は教育および行動の質と量を上げることにつながること。それがお客様にも伝わって、そこに一気通貫の流れがつくられることで高い効果を生むことがわかったように思います。本日はどうもありがとうございました。

 

Q&Aセッション


Q:学生でもある内定者にとって動画学習、動画課題提出の運用は負担が大きすぎないか? 頻度や提出期限の工夫は行っているか?

小林氏:2ヶ月に1度研修を行う中で負担になっていないか確認していました。工夫は学校のイベント、課題、年末年始など考慮しスケジュールを調整していました。

 

Q:新しい仕組みやツールを現場に浸透させるには、店長の理解および働きかけが重要になると思う。社内協力者を増やし、人を巻き込むためにどのようなことを行ったか?

 小林氏:新卒の先輩社員に対して取り組みの目的や内容などを丁寧に説明しました。先輩社員から店長や新卒に伝えていただくようにしました。

 

Q:本日はウェブ研修の効果性を学んだが、直接会うからこそ伝わる集合研修の良さもあると思う。コロナが終息し、集合研修が可能になった際はどのような研修を考えているか?

小林氏:自論ですが初めにコミュニケーション研修を実施したいと考えています。今の新卒は内定式や卒業式、入社式などイベントがカットされ、入社から1年経っても 同期内で初めましてという状況です。コミュニケーションを丁寧にとることで最終的にはお客様とのコミュニケーションに繋がっていくと考えています。

 

Q:今回は新卒対象の研修事例だったが、既存のスタッフの教育にもshouin+を活用しているか? 今後活用するのであればどのように活用するか?

 小林氏:社内周知で有効に使えていると思います。直近の例では3月に自社ECサイト、ハウスカードアプリのリニューアルについてです。 スタッフが知らないとお客様にお伝えできないため、更新された情報をshouin+の中に入れて動画で周知していました。

 

Q:社員が動画学習するときは、どこでどのようなタイミングで見ているのか?

小林氏:内定期間は個人のスマホで閲覧していただきました。フリーwifiや自宅のwifiを利用しているようです。入社後は社内のwifiや社内のiPadを就業時間内で 使っていただいています。ただし、本人が視聴したい場合もありますので時間外を禁止しているわけではありません。 マニュアルを時間外で閲覧禁止にしていないのと同じです。

 

Q:実践動画はどのように制作しているのか? 十分な動画担当人員を確保し、撮影機材・編集ソフトなどは高額なものを用意すべきか?

小林氏:担当者は3名です。企画、撮影、編集それぞれ1人おります。また、お店に協力いただきスタッフを貸し出していただいています。カメラはiPhone12Proです。 その他手ブレ防止用のジンバルや三脚を使用しています。編集はiMovieFinal Cut Proを使用しています。社内用なので画質はフルハイビジョンで問題 ないと考えています。以前は外部に依頼することもありましたが、1年半取り組んできて、今は内製化しています。

著者
飯島 雄輝
新卒で大手個別学習塾のFC(当時40店舗展開)に入社。教室長として店舗運営全般に従事。アルバイト講師の戦力化、運営参画により期別講習単価1位。中学卒業生継続率、人数1位を獲得。その後人材会社での法人営業、コーディネート業務を経てピーシーフェーズへ入社。現在は自社ツールを用いた店舗スタッフ育成コンサルティングの他、各種セミナー企画運営にも従事。

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