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人事評価の基本的な手順とは?評価制度設計から評価シートの例文までわかりやすく解説!

作成者: 『shouin+ブログ』マーケティング担当|Dec 11, 2022 11:00:00 PM

日本の多くの企業で取り入れられている人事評価制度。厚生労働省の調べによると、大企業になるほど人事評価制度の導入率は高く、従業員5,000人以上の企業での導入率は98.3%にのぼるといわれています。

ところが一方で、約半数の従業員が「自社の人事評価制度に対して不満を持っている」といった調査結果も報告されています。これらのデータから、人事評価制度の運用の難しさや現場の深刻な状況を感じていただけることでしょう。

実際に

「人事評価制度をうまく活用できていると思えない…」

「従業員の不満をどう解消したらいいか分からない…」

とお悩みの方々も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、人事評価制度の運用手順とそのポイントについて整理した後、人事評価制度の運用における注意点までくわしく解説していきます。ぜひ参考にご覧ください。

 

 

人事評価とは

人事評価とは、従業員の成果や能力、パフォーマンスなどを評価する仕組みです。評価結果は昇進・昇格や給与・賞与に反映され、人事管理の効率化や従業員のモチベーションアップなどを目的として実施されます。

■参考記事はこちら

人事評価制度とは?目標設定するための項目や基準の作り方を事例を交えてわかりやすく解説!

 

人事評価の基本的な手順とポイント

それではまず人事評価の運用手順について、そのポイントを交えながら整理していきましょう。

基本的な運用手順は、主に次の6つです。

  1. 人事評価制度の設計
  2. 目標設定
  3. 中間フォローの実施
  4. 自己申告
  5. 人事評価
  6. 評価結果の通知

くわしく見ていきましょう。

 

1. 人事評価制度の設計

まずは人事評価制度を運用していく上で、その仕組みづくりを行っていきます。人事評価の使用目的から、評価項目はどうするか、実際の評価の仕方はどうするかを決めていきましょう。くわしくはこちらの表を参考にしてください。

評価制度の設計項目

内容

備考

使用目的

(例)

・昇格、昇進のため

・昇給、賞与のため

・異動、配置のため

・能力開発のため

※年1回の昇格、昇進に活用したり、年2回の賞与に反映させるために半年ペースで実施したりと、目的と実施頻度は自由。

評価項目

(例)

・能力評価

(※「協調性」など定性的な能力に対する評価)

・意欲評価

(※業務への姿勢に対する評価)

・成果評価

(※売上など明確な数字に対する評価)

・コンピテンシー評価

(※「交渉能力」など業績につながる行動特性に対する評価)

※能力評価、意欲評価、コンピテンシー評価は定性的な項目で評価されるため、曖昧な結果になりやすいデメリットがある。


※成果評価は明確な数字で評価が可能なため、目標管理がしやすいメリットがある。

評価方法

(例)

・絶対評価

・相対評価

※絶対評価は納得が得られやすい反面、他の被評価者との差がつけにくいデメリットがある。

※相対評価は評価差をつけやすい反面、個人の成長を評価しにくく納得が得られにくいデメリットがある。

 

 

2. 目標設定

評価制度のなかでも、とくに売上件数やコスト削減などといった「成果」を評価項目とする場合、その評価の基準となる「目標設定」が必要になります。評価をする際は、設定した目標に対する「達成度」で評価するというわけです。そしてここでは、従業員が各々に適した目標設定をし、管理者へと受け渡します。

目標管理のやり方には、主に3つの手順があります。

手順1:会社の経営情報を明確にする

手順2:経営目標に合わせ、組織や個人の目標を設定する

手順3:目標の達成要件を設定する

「個人の目標に、なぜ会社の経営情報が必要なの?」と疑問に思った方がいるかもしれません。ところが、目標管理の重要なポイントこそ、ここにあります。人事評価の目的は「会社の利益につなげること」です。ですから、目標設定の段階でも会社の目標達成に貢献することを忘れてはいけません。

目標管理の目的が「個人的な成長のため」などズレてしまう場合もたまに見受けられますが、これは人事評価の制度が何のための制度かを改めて考える必要がありますね。目標設定を行う際は、管理者がフォローをしながら進めるとよいでしょう。

なお、目標管理についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にご覧ください。

■参考記事はこちら

MBOとは?言葉の意味、目標設定の方法、効果的な運用管理のポイントなどわかりやすく解説!

 

3. 中間フォローの実施

目標設定の後は、設定した目標が達成できるように計画的に業務を進めていきましょう。しかし、従業員全員が適切に目標管理を実施できるとは限りません。「目標設定が甘かった」「思うように業務が進まない」などのケースに至る場合も少なくないのです。

そこで、いい機会になるのが「中間フォロー」です。中間フォローでは、従業員と管理者がお互いに進捗状況を確認しながら、必要に応じて目標計画の見直しや修正を行っていきます。目標設定から評価までの期間の中で1~2回設定するとよいでしょう。

 

4. 自己申告

評価期間になったら、従業員は管理者の指示に従い自己評価を行います。期初に設定した目標に対する達成度や取組姿勢を自己分析し、申告します。具体的な記入例については下記を参考にしてください。

★自己評価の例

【能力評価】

評価項目

評価内容

自己評価

コメント

業務知識

担当業務に関する知識を十分に習得しているか

1・2・③・4・5

日常業務における知識は不足なく、十分に対応できました。

今後は不測の事態においても冷静に対応できるよう、知識の習得に努めます。

 

【意欲評価】

評価項目

評価内容

自己評価

コメント

協調性

同僚や上司とのチームワークを意識し、業務を進められたか

1・2・3・④・5

チームメンバーへの積極的な声かけにより、雰囲気の良い職場づくりを心がけました。

 

【成果評価】

評価項目

評価内容

自己評価

コメント

業績達成度

期初に設定した業績目標を達成できたか

1・②・3・4・5

目標50件に対し実績は40件であり、達成度は80%にとどまりました。

次年度は営業スキルの強化に努めます。

 

【コンピテンシー評価】

評価項目

評価内容

自己評価

コメント

冷静さ

感情に動かされることなく、落ち着いて物事に対処できたか

1・2・3・④・5

トラブル時においても、深呼吸をするなどし、終始落ち着いて対処することができました。

 

5. 人事評価

被評価者による自己申告の後に、評価者による採点に入ります。(評価者は1次評価者および2次評価者の2名をあらかじめ選出しておきます。)

1次評価者は被評価者と面談を実施し、面談の内容や自己評価の結果を踏まえて採点を行いましょう。 2次評価者は、1次評価者へのヒアリングを実施し、各被評価者に関する説明を受けて評価を行います。具体的な記入例については下記を参考にしてください。

★人事評価の例

【能力評価】

評価項目

評価内容

1次評価

コメント

業務知識

担当業務に関する知識を十分に習得しているか

1・2・③・4・5

評価期間中、高度な知識が必要となる業務をミスなく遂行できました。

次年度では、後輩の指導役として活躍するなど、さらなる成長に期待します。

 

【意欲評価】

評価項目

評価内容

1次評価

コメント

協調性

同僚や上司とのチームワークを意識し、業務を進められたか

1・2・3・④・5

周りのスタッフへの気遣いや笑顔を欠かさない姿勢で、チームのムードメーカーとしての役割を担ってくれました。

今後も同様の姿勢で頑張ってください。

 

【成果評価】

評価項目

評価内容

1次評価

コメント

業績達成度

期初に設定した業績目標を達成できたか

1・②・3・4・5

目標50件に対し実績は40件、達成度は80%でした。

先輩や同僚の良い部分を吸収しながら、スキルの向上に努めましょう。今後の活躍に期待します。

 

【コンピテンシー評価】

評価項目

評価内容

1次評価

コメント

冷静さ

感情に動かされることなく、落ち着いて物事に対処できたか

1・2・3・④・5

冷静さを欠かさず落ち着いて業務に対する様子が感じられました。

引き続きこの調子で頑張ってください。

 

 

6. 評価結果の通知

評価が完了したら、2次評価による結果を評価者に通知します。  通知の方法は、単に通知書を渡すだけにならないよう、1次評価者との面談形式で実施するとよいでしょう。被評価者の納得感の低下や意識のズレといったリスクを最小限に抑えることができます。

また、評価者は面談の中で評価の結果を伝えるのはもちろん、加えて今後への期待や具体的なアドバイスなどを伝えることを意識してください。

 

人事評価を進める上での注意点

人事評価制度は、決してメリットばかりではありません。評価制度は、一歩間違えると従業員の信頼を損ないかねない、運用の難しい制度でもあります。

実際にアデコ株式会社が実施した人事評価制度に関する意識調査では、「自社の人事評価制度に不満がある社員は62.3%」と報告されているほど、人事評価制度はリスクの高い制度なのです。

(参考アデコ株式会社「『人事評価制度』に関する意識調査

そこで最後に、人事評価を適切に運用していただくための3つの注意点をご紹介いたします。

人事評価を進める上での3つの注意点

  1. 評価基準を明確に策定する
  2. 評価者の訓練
  3. 従業員の納得感を意識する

くわしく見ていきましょう。

 

注意点1:評価基準を明確に策定する

アデコ株式会社による同調査では、人事評価制度に対する不満の理由として、1位に「評価基準が不明確(62.8%)」が挙げられています。

(参考アデコ株式会社「『人事評価制度』に関する意識調査

 

このことから、人事評価において従業員が不満を感じやすい観点は評価基準であることが分かるとともに、「評価結果に至った理由を知りたい」という従業員の考えが感じ取れます。

そのため、人事評価を適切に運用するためには、評価基準が曖昧にならないよう明確に策定するのがポイントです。具体的な策定方法については、見出し「人事評価の基本的な手順とポイント①人事評価制度の設計」をご覧ください。

なお、策定した評価基準は、従業員が確認できるようオープンな運用を心がけることも非常に大切です。

 

注意点2:評価者の訓練

人事評価では、評価者の違いによってどうしても次のようなバラつきやエラーが発生してしまうものです。従業員の「評価が不公平だと感じる」という不満につながる理由の一つでしょう。以下は書籍「はじめて人事担当者になったとき知っておくべき7の基本8つの主な役割」を参考に、エラーの例を列挙しています。

評価エラーの例

内容

ハロー効果

被評価者のある印象に引きずられて、全体の評価をしてしまう

中心化傾向

評価者の心理的要因によって中央値に集中した評価を行ってしまう

分散化傾向

評価者の心理的要因によって値を分散させた評価を行ってしまう

寛大化傾向

全体的に評価が甘くなってしまう

厳格化傾向

全体的に評価が厳しくなってしまう

逆算化傾向

評価者が求める結論(総合評価)になるように逆算した評価を行ってしまう

期末誤差

評価に近い時期(期末)に起きた出来事を強く評価に反映させてしまう

このことから、エラーが起きないようにするためには「評価者の訓練」が必要になります。人事評価の評価方法や評価エラーに関する理解を深め、評価スキルの向上に努めるとよいでしょう。

 

注意点3:従業員の納得感を意識する

人事評価制度の効果を維持するためには、従業員の納得感を得ることが必要不可欠です。次のようなポイントを意識しながら、納得度が高まるよう努めるとよいでしょう。

  • 評価面談の実施
    ・・・面談の場で評価内容の説明などを実施する
  • 評価コメントの書き方
    ・・・指導および育成を意識し、人格を否定する内容や他の従業員と比較する内容は決して書かない

また、上司との対人関係と人事評価の納得感に関する研究においては、次のような結果が得られており、上司と部下の日頃からのコミュニケーションも、人事評価における納得感を左右する重要なポイントといえそうです。

本研究において、上司が部下に対して公平で同じ目線でないほど、上司評価の不信感は高くなり、上司への信頼感が高いほど、人事評価に対する納得感は高くなることが明らかになった。

本研究によって、リーダーシップ関係における部下の上司への信頼感は、人事評価の納得感に影響を与えることが示唆された。

(引用:吉田朋子(筑波大学大学院)(2016)『上司との対人関係が人事評価の納得感に及ぼす影響』産業・組織心理学研究 第30巻 第1号)

 

まとめ

日本の多くの企業で取り入れられている、人事評価制度。

今回は、運用にリスクをともなう人事評価制度について、その運用手順を整理した後、運用における注意点までくわしくご紹介いたしました。

人事評価制度は、従業員の6割以上が不満を持っているという調査結果が報告されているように、運用には細心の注意が必要です。今回ご紹介したポイントを意識しつつ、ぜひ貴社の人事評価制度の導入および運用にご活用ください。

 

人事評価に関するお役立ち資料

今回ご紹介した人事評価の手順や書き方を小冊子で詳しく解説しています。業種別の人事評価シート例もございますので、ぜひ参考にしてください。