「最近の若者の考えが理解できない…」
「部下に対してどのように接したらいいか分からない…」
「LINEで仕事の連絡をしてくる新入社員が理解できない!」
このように、部下(若者)とのコミュニケーションに悩みを抱えていませんか?
とくに「Z世代」「ミレニアル世代」と呼ばれる世代との関わり方で困っている方は多くいらっしゃることと思います。
そこでこの記事では、Z世代・ミレニアル世代についてその特徴などをまとめた上で、それぞれの世代が好む働き方や教育方法などについて解説していきたいと思います。ぜひ、貴社の新入社員教育や社員育成の参考にご覧ください。
Z世代とは?
「Z世代」とは、1990年代後半〜2010年生まれの、2020年代の現在からみて、10代から20代前半の若者のことを指す言葉です。
デジタル技術が普及し、インターネットが広まっている時代に生まれた「Z世代」は、デジタルをうまく使いこなすことから「デジタルネイティブ」と呼ばれることもあります。
Z世代は、今後の経済を支える中心世代であるとして、注目を集めています。
Z世代の特徴
Z世代には次のような特徴があります。
- デジタルネイティブである
- 価値観を大切にする
- 環境問題への意識が強い
くわしく見ていきましょう。
デジタルネイティブである
1996年頃以降に生まれたZ世代は、幼い頃からインターネットが身近にあった世代です。スマートフォンやタブレットを使い、TwitterやInstagramといったSNSを通したコミュニケーションが当たり前になっています。
外食をする時のお店探しはInstagramで、店舗までの道案内はGoogleMapで、友人との連絡手段はLINEで、帰宅後の一人時間にはYouTubeやNetflix(動画ストリーミングサイト)で動画視聴を楽しむ。このように、常にデジタルを利用した生活を送ることが当たり前になっているのが、Z世代の特徴です。
価値観を大切にする
2022年にBIGLOBEがZ世代の男女600人に対して「自身の行動や考え」に関するアンケート調査を実施したところ、「多様性は大切だと思う」と回答した人の割合は8割以上にのぼりました。
Z世代はインターネットを通して日々あらゆる価値観に触れていることから、多様性を重んじる(=自分の価値観も大切にする)考え方がしみついていると考えられます。
(参照:ビッグローブ株式会社「Z世代の意識調査」 )
環境問題への意識が強い
インターネットを通じてあらゆる情報に触れる機会の多いZ世代は、幼い頃からSDGsなどといった環境問題に対する情報にも自然と触れてきています。学校教育においても、環境問題について学習する機会は多く、自分ごととして捉えている人が多い印象です。
実際にBIGLOBEが実施した同調査においても「SDGsに配慮した商品を買いたいと思う」と回答した人の割合は5割を超えていることから、「社会貢献」や「サステナブル」といったキーワードをより身近に、敏感にキャッチしている世代といえるでしょう。
ミレニアル世代とは?
Y世代とも呼ばれる「ミレニアル世代」は、1980年〜1995年頃生まれで、2000年前後に20歳を迎えた世代の人々を指す言葉です。
10代のころはインターネット環境が普及したため、インターネットを使用することに抵抗が少ない世代とも言われています。
ミレニアル世代の特徴
ミレニアルには次のような特徴があります。
- ワークライフバランスを重視する
- 穏やかで優しい人が多い
- 縦社会よりも横のつながりが得意
くわしく見ていきましょう。
ワークライフバランスを重視する
ミレニアル世代はワークライフバランスを重視し、仕事のためにプライベートを犠牲にする傾向が低いのが特徴です。
実際に日本生産性本部が毎年実施している「新入社員働くことの意識調査」では、「仕事中心か(私)生活中心か」という設問に対し、(私)生活中心と回答した人の割合(17.0%)が、仕事中心(6.0%)と回答した人の割合よりも11.0%多かったと報告されています(※仕事中心、生活中心以外の大部分は「両立」を占める)。この差は平成27年度以降、徐々に拡大を続けており、今後も広がっていくものと考えられます。
(参照:日本生産性本部「平成31年度 新入社員働くことの意識調査結果」)
穏やかで優しい人が多い
ミレニアル世代は、穏やかで優しい人が多いという特徴があります。実際に未成年犯罪による検挙数は、平成15年以降で大幅に減少しています。1980年代には25万人を超える年もありましたが、2018年には4万人を下回りました。
(参照:法務省「令和2年版 犯罪白書 第3編/第1章/第1節/1」)
また、直接ミレニアル世代の人々と接してみても「人と考え方が違うのは当たり前」「他の人に紛れたくない」などと、多様性を重んじる価値観や自身の価値観を大切にする印象を受けます。
さらには「ジェンダーレス」などの言葉が広まったのも、1980年代後半の出来事でした。現在は「ジェンダーレス男子」などと派生した言葉も生まれています。
つまりは、多様な価値観を受け入れるベースがあってこその穏やかさ・優しさを持っているのがミレニアル世代の特徴といえるでしょう。
縦社会よりも横のつながりが得意
年齢や性別を意識させにくいインターネット上でのコミュニケーションがメインとなっているZ世代は、縦社会よりも横のつながりを得意としています。
実際に博報堂が実施している「生活定点1992-2022 調査」によると、「自分より年上の世代とつきあうのは苦手」と感じている20代の若者の割合は増加傾向を見せています。
一方、縦社会には慣れていないため、会社での新人としての扱われ方や上司との関わり方などで悩む人が多いのも事実です。Z世代は、上下関係を強く感じさせない関わり方を好みます。
Z世代とミレニアル世代の違い
Z世代とミレニアル世代は近しい世代であるものの、少しずつ違いが見られます。ここでは2つの世代の違いについて以下の2点を中心に簡単にご紹介します。
- デジタルデバイスの使い方の違い
- お金の使い方の違い
デジタルデバイスの使い方の違い
ミレニアル世代は幼少期からコンピューターに触れてきた世代です。高校生や社会人の頃にはスマートフォンやタブレットも普及しました。対するZ世代は、幼少期にはコンピューターを持つ家庭がほとんどで、小学生の頃からスマートフォンに当たり前のように触れていた世代です。
どちらの世代もコンピューターやスマートフォンといったデジタルデバイスに親しみを持つ世代ですが、ミレニアル世代はZ世代よりもコンピューターへの親しみが強く、反対にZ世代はミレニアル世代よりもスマートフォンへの親しみが強い傾向にあります。
たとえば「メールの送受信」でいえばミレニアル世代の方が違和感なく受け入れることができるでしょう。Z世代はLINEなどを使ってスマートフォンで完結させたいと考える人が多くなる傾向にあります。
お金の使い方の違い
Z世代とミレニアル世代には、お金の使い方にも少し違いが見られます。
株式会社dotなどの3社による「Z世代会議」の調査によると、Z世代の価値観を問う項目のうち、第2位に「自分が気に入れば有名ブレンドの商品でなくても良い」がランクイン。Z世代は、ブランド品などの見た目や知名度を重視するモノよりも、自分に適したモノを選ぶ傾向にあるようです。現実主義、ともいえるでしょう。
一方でミレニアル世代は、モノから得られる「体験」や「プロセス」に価値を感じて購入を決定する傾向にあります。たとえば、旅行やスポーツ観戦から得られる”体験”や、インターネット上で調査した上で実店舗へ足を運び商品を購入するといった”プロセス”を大切にします。
Z世代とミレニアル世代の共通点
Z世代とミレニアル世代には、共通点もあります。ここでは、下記3点の共通点について簡単にご紹介いたしましょう。
- モノを多く持たない
- 共感で心が動く
- 多様な働き方を求める
モノを多く持たない
Z世代とミレニアル世代は、必要以上に多くのモノを持たない、欲さないという共通点があります。若者の間で、フリーマーケットアプリの「メルカリ」等をはじめ、ファッションサブスクリプションの「メチャカリ」などの、いわゆる“持続可能な”サービスが流行していることからも明白でしょう。
最小限のモノだけで生活をするライフスタイルを示す「ミニマリスト」という言葉ができたのも2000年のことでした。
また2015年、国連サミットにてSDGsが採択。彼らは物心のついた時から環境問題について考えさせられる機会が多く、自然と環境問題への意識が高まっていることも要因の一つと考えられます。
共感で心が動く
Z世代とミレニアル世代の共通点には「共感」があります。どちらの世代も、TwitterやInstagram、LINEなどといったSNSの大航海時代を生きている世代です。友人や知人から「いいね!」をもらう文化が浸透し、自然と“共感”への意識が強くなっていると考えられます。
また、ジャパンネット銀行が実施した「応援消費」に関する意識・実態調査においては、「共感できるものにお金を使いたい」との回答が6割近くを占めました。近年ではふるさと納税をはじめ、共感でお金を集めるクラウドファンディングも活発です。このような時代背景が、彼らの価値観形成へと影響しているのかもしれません。
(参照:ジャパンネット銀行「『応援消費』に関する意識・実態調査」)
多様な働き方を求める
Z世代とミレニアル世代は、ある一つの形に縛られない多様な働き方を好みます。実際に、転職サイトのdodaが実施した調査によると、転職は「ポジティブなもの」と答えた人々の割合は36.5%であったと報告されています。
終身雇用が当たり前ではなくなった時代を生きる、Z世代とミレニアル世代。彼らにとっては、もはや転職や独立は珍しいものではありません。「入社後3年は勤めるべきだ」「一つの会社で定年まで勤めあげるのがすばらしい」といった内容の話は、もう古い考え方だと言われてしまうでしょう。
(参照:doda(デューダ)「ビジネスパーソン2,000人の転職意識調査」)
Z世代とミレニアル世代が好む仕事・働き方とは?
最近の若い人たちは、仕事をどのような視点でとらえているのでしょうか。ここからは、“社会人としての”Z世代・ミレニアル世代にフォーカスし、お伝えしていきたいと思います。
「企業として、どのように若者世代を取り入れていけばよいのか」にも触れていきますので、ぜひ参考にしてください。
ワークライフバランスを重視した働き方
多様な働き方を好むZ世代と、プライベートを重視するミレニアル世代。彼らは、リモートワークやフレックスタイム制度などが導入され、ある程度の自由が確保された働き方を好みます。
そのため、企業としては「働く場所・時間」にまつわる制度を整えるのはもちろん、「休暇の取りやすい環境」を整えることなども大切でしょう。また、フリーランスやパートタイムなど「雇用形態への柔軟性」を高めることも、彼らへのアピールになります。
あらゆる視点からの「安定」を確保した働き方
Z世代およびミレニアル世代が考える「安定」とは、決して終身雇用などではありません。多様な働き方を求める彼らがイメージする安定には、「キャリアアップ」「人間関係」「プライベート」がキーワードとして含まれます。
そのため、企業としては次のような施策を実施するのがおすすめです。
- 「キャリアアップ」の安定性を確保する
→“学習支援制度”や“キャリア支援制度”を取り入れる
- 「人間関係」の安定性を確保する
→“人事評価制度の整備”および社内コミュニケーションに取り組む
- 「プライベート」の安定性を確保する>
→ワークライフバランスを重視した制度の導入
【世代別】効果的な教育方法
では最後に、Z世代およびミレニアル世代に対する効果的な教育方法について触れていきたいと思います。
Z世代へのアプローチ
これまでにお伝えしたZ世代の特徴などを踏まえると、彼らに対する効果的なアプローチ方法は次のとおりです。
Z世代へのアプローチ方法
- 価値観を尊重する
- 個人に合った指導をする
- 貢献度を意識した指導をする
多様な価値観を大切にするZ世代に対しては、やはり価値観を否定しないことがポイントです。「考えが理解できない」と断ち切るのではなく、まずは彼らの考え方を受け入れる姿勢が重要でしょう。
また、多様性を重視するZ世代だからこそ、個性もさまざまなZ世代。新入社員とひと括りに教育を行うのではなく、彼らの個性を見極め一人ひとりに適した指導を行っていくこともまた大切でしょう。
さらには、共感で心を動かす世代だからこそ“やりがい”を刺激するのも、Z世代へのアプローチ方法のポイントです。「この仕事をしている意味は?」と考えさせる機会を与えることや、「自分の強味は○○だ!」と自信を持ってもらう働きかけを行うとよいでしょう。
ミレニアル世代へのアプローチ
続いて、ミレニアル世代に対する効果的なアプローチ方法を見ていきましょう。ポイントは次の4つです。
ミレニアル世代へのアプローチ方法
- 褒める教育を基本とする
- 価値観の押しつけをしない
- 丁寧な指導・サポートをする
優しい人が多く、波風を立てないことを意識しがちなミレニアル世代は、叱られ慣れていない人が非常に多いのが特徴。そのような世代へのアプローチ方法としては、基本的に「褒める教育」がよいでしょう。
また、これはZ世代と同様ですが、多様性を重視する世代だからこそ価値観の押しつけは厳禁です。若者を理解しようとしない姿勢は、そのまま若者にとっても「古い考えを押しつけないでほしい」「上司の考えは理解できない」といった反感につながってしまうため注意が必要です。
そして、縦社会での忖度や年上世代との関わりを多く持ってこなかったミレニアル世代は、会社に丁寧な指導・サポートを求める傾向にあります。仕事を1から10まで教えてもらえる環境や、個別のメンター制度など、徹底したサポートも効果的でしょう。
まとめ
「最近の若者の考えが理解できない…」
「若者の指導はどうやって行えばいいんだろう…」
このように多くの指導者を悩ませる、Z世代やミレニアル世代と呼ばれる若者世代。
今回は、Z世代・ミレニアル世代についてその特徴などをまとめた上で、それぞれの世代が好む働き方や教育方法などについて解説しました。
そして、彼らに共通するキーワードは「多様性」「共感」「ワークライフバランス」の3つです。若者世代へアプローチを試みる際は、これら3つのキーワードをポイントに考えてみてください。