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リスキリングとリカレント教育の違いとは?基本から事例までわかりやすく解説!

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2023.01.23
『shouin+ブログ』マーケティング担当

近年、人材戦略の手法として注目を浴びている「リスキリング」「リカレント教育」。ニュースや新聞、SNSなどでよく話題となっていますが、「違いがよくわからない」「言葉の意味が曖昧」という人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、リスキリングとリカレント教育の違いについて詳しく解説します。

それぞれの特徴はもちろん、国内外の事例や実施する際の注意点などもご紹介しますので、人材育成にお悩みの経営者の方、人事部の方はぜひお役立てください。

 

リスキリングとリカレント教育の違い

リスキリングもリカレント教育も、社会人の「学び直し」を指します。ゆえに、どちらも同じこと、もしくは「リカレント教育の延長線上にあるのがリスキリング」と解釈されがちですが、実際は全く異なるものです。

 

リスキリング

リカレント教育

目的

企業の変革(主にDX)に

必要な人材の確保

個人のキャリアアップ

生涯学習

背景

DXの実現

人生100年時代の到来

実施責任

企業

個人

学習内容

デジタル分野

広範囲

学習コンテンツ提供

民間企業

教育機関

期間

短期間(約12〜18ヶ月)

長期間

 

リスキリングを実施する目的は、企業の変革に向けて必要な人材を揃えること。目的が企業側にあるため、企業が従業員に指示する形で行われます。

対するリカレント教育は、個人のキャリアアップや、生涯現役でいるための学習として行われるもの。目的が労働者側にあるため、従業員が自主的に行い、企業がそれをフォローする形で実施されます。

また、リスキリングはデジタル分野に関する知識・スキルを学ぶのに対し、リカレント教育で学習する内容は多岐に渡ります。デジタル分野を学習することもあれば、語学、簿記、介護などを学ぶ場合もあるのです。

このように、リスキリングとリカレント教育は根本である目的が異なるため、実施方法も学習内容も異なります。期間や得られるメリットなどにも違いがあるため、同じものと捉えないよう注意しましょう。

 

リスキリングとは

リスキリングとリカレント教育の違いをより深く理解するため、それぞれ詳しく見ていきましょう。まずはリスキリングの意味、特徴、注目される背景、メリットについて解説します。

 

言葉の意味

リスキリングとは、現在行っている職業・職種とは全く異なる分野のスキル・知識を身につけること。英語では「reskilling」と表記されます。

経済産業省Webサイト掲載、「リクルートワークス研究所」発行の資料によると、リスキリングは以下のように定義されています。

「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」

引用元:石原直子(2021)リスキリングとはーDX時代の人材戦略と世界の潮流ーリクルートワークス研究所

企業に必要な人材を揃えるには「採用」という方法があります。しかし、採用にはリスクが潜んでいるもの。必ずしも、求めている人材を必要な人数で確保できるとは限りません。特に高いスキル、専門的なスキルを持つ人材の採用となれば困難を極めます。

そこで、新たな手法として注目されているのが「リスキリング」。既存の社員に教育を行い、対応できる業務の幅を広げてもらうことで、事業に必要な人材を確保する方法です。

リスキリングは、企業の変革時、主にDX(デジタルトランスフォーメーション)を行う際に行われます。従業員にデジタル技術の知識・スキルを身につけてもらうことで、DXの実現に備えるのです。

DXとリスキリングの関係については、後ほど詳しく解説します。

 

目的

リスキリングは、企業の成長・発展を目的として行われるもの。社員の成長を促し、経営戦略に必要な人材を揃えることにより、環境の変化に適応可能な企業へと成長するのが狙いです。

また、企業の変革に伴う業務の消失に備え、新たなスキルを身につけるという従業員の目的もあります。

とはいえ、リスキリングにおけるもっとも重要な目的は「企業の存続」です。あくまで企業のために取り組むものであり、社員が自身の目的のために行う生涯学習などとは性質が異なります。

 

特徴

リスキリングには、主に以下の3つの特徴があります。

リスキリングの特徴

リスキリングは企業の発展や成長が目的。そのため企業から発信し、従業員にお願いする形で行われます。従業員の意思、自主性が尊重される部分もありますが、実施責任を担うのは企業側です。

また、目的が既に決まっているため、学習内容も対象者も事前に決められた状態で実施されます。目的を果たすにはどのような人材が必要か、その人材を確保するのに必要な教育は何か……というような流れで組み立てるため、ターゲットが絞られるのです。

そして、学習内容はデジタル技術に関するものがほとんど。これは、リスキリングを実施する理由がDXの実現にあるためです。

DXの実現には、ITリテラシーの高い人材が必要不可欠。ゆえに、リスキリングではIT関連のことを学ぶべきとされるのです。

 

注目される背景

リスキリングについて語る上で外せないのが、デジタルトランスフォーメーション、通称「DX」の存在。経済産業省は、DXを以下のように定義しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

引用元:「DX推進指標」経済産業省

スマートフォンやインターネットの普及により、近年さまざまなモノ・コトがデジタル化しています。人々の生活もデジタル中心となり、デジタル技術を使ったビジネスの展開もいまや当たり前です。「いかにデジタルをうまく活用するか」が企業の存続にかかっていると言っても過言ではありません。

そのため、多くの企業が商品・サービス、業務プロセスなどのデジタル化を進めています。この取り組みこそが「DX」です。

デジタルトランスフォーメーションの取り組み状況

(引用元:企業活動におけるデジタル・トランスフォーメーションの現状と課題総務省)

総務省の資料によると、DXを「実施していない、今後も予定なし」と回答している企業がいまだ半分以上占めているものの、「大企業」に絞って注目すると半数以上がすでに実施、もしくは検討中であることがわかります。また、どの業界においても「今後実施を検討」と答えている企業が約15~20%いることから、今後さらに増えていくと推測されます。

DXを実現するためには、デジタル技術に長けた人材、ITリテラシーの高い人材の雇用が不可欠です。しかし、DXを進める企業が増えれば増えるほど、そのような人材の需要は高まり、採用できなくなる恐れがあります。

そのため、リスキリングを行い、採用しなくてはならない人数をできる限り減らそうとする動きが強まっているのです。

またDXとリスキリングは、2022年10月3日に開かれた国会にて岸田文雄首相が言及したこともあり、さらに注目度が高まっています。

“岸田文雄首相は衆院本会議で所信表明演説し、個人のリスキリング(学び直し)の支援に5年で1兆円を投じると表明した。(中略)持続的な成長のため科学技術・イノベーションやスタートアップ、脱炭素、デジタル化に重点を置くと提示した。”

(引用元:『リスキリング支援「5年で1兆円」 岸田首相が所信表明』日本経済新聞)

 

デジタル化せざるを得ない現在のビジネス環境、そして政府からの後押しが、リスキリングに対する世間からの関心を高めた理由であると考えられるでしょう。

 

リスキリングに取り組むメリット

リスキリングに取り組むメリットとしては、主に以下の3点が挙げられます。

リスキリングに取り組むメリット

デジタル技術に精通した人員を確保する際、リスキリングを行うことで、採用人数を減らすことができます。募集情報の掲載や面接、人材紹介などにかかるコストを削減できる点は、会社にとっての利益です。

またDXでは、人間の代わりに機械やAIが業務を担うこととなるため、一部の人は職を失ってしまうことも。しかし、リスキリングを通してスキルを身につけておけば、機械やAIを管理する仕事、システムを作る仕事など、新たな業務を任せてもらえる可能性があります。雇用の維持という、従業員にとって大きなメリットもあるのです。

さらに、新しい分野の知識・スキルの学習は、単純に従業員への刺激にもなります。自分にできることが増えるという自信にもつながるため、社員のモチベーション向上、および職場の活性化といった効果も期待できるでしょう。

 

リカレント教育とは

では、リスキリングと混同されやすい「リカレント教育」とはどのようなものなのでしょうか。言葉の意味から順に見ていきましょう。

 

言葉の意味

リカレント教育の「リカレント」とは、英語の「recurrent」。recurrentを辞書で調べてみると、以下のように記載されています。

再発[再現、頻発]する、周期的に起こる

引用元:新英和中辞典研究社

このような意味を持つことから、リカレント教育は「就労と学習を反復すること」を指します。

リカレント教育では、新しい知識・スキルを学習するために一度離職し、そして再び就職します。「働く→学ぶ→働く→学ぶ」というサイクルを繰り返すことで、スキルアップを図るものです。

学び直しと訳されることが多いため、リスキリングと同意義と捉えられがちですが、目的も内容も異なります。では目的について詳しく見ていきましょう。

 

目的

時代の変化と共に、労働者に求められるスキルも変わってきています。高校、大学で学んできたことが通用しなくなることも、今は珍しくありません。

そこで、学びをブラッシュアップする必要があるとして、リカレント教育を行います。社会人になってからも定期的に教育を受けることで、その時代・環境に適したスキルを身につけることがでるのです。

またスキルアップの継続は、転職時や失業時にも役立つもの。高いスキルを身につけておくことで、より待遇の良い会社で雇ってもらえる確率が高まります。定年や会社の事情で退職せざるを得ないときでも、職を失わずに済むでしょう。

従業員がスキルアップに取り組むことは、もちろん会社にとっても利益です。しかし、リカレント教育の目的はあくまで「個人のキャリア」がメイン。目的が会社側にあるリスキリングとは対照的です。

 

特徴

目的がリスキリングとは異なるため、特徴にも違いがあります。リカレント教育の主な特徴は以下の3つです。

リカレント教育の特徴

社会人が、自らのキャリアのために行うリカレント教育。目的が労働者側にあるため、基本的には社員が自主的に実施します。企業側が起点となって行うリスキリングとは、学習の流れも対照的です。

「いつでも、どこででも活躍できる人材になる」というリカレント教育の目標に届くためには、さまざまな知識・スキルの習得が必要です。ゆえに、学習内容のジャンルもさまざま。リスキリングと同様、デジタル技術分野が対象となる場合もありますが、それ以外を学ぶことも多々あります。

またリカレント教育は、大学などの教育機関で学ぶのが一般的です。オンライン講座など、学習スタイルの選択肢は増えてきているものの、提供元は教育機関であることが多いです。

 

注目される背景

リカレント教育が注目される背景

リカレント教育という言葉が世間で知られるようになったのは、元スウェーデン文部大臣オロフ・パルメ氏(以下パロメ氏)が、1969年に開かれた「第6回ヨーロッパ文部大臣会議」にて言及したのがきっかけ。パロメ氏のスピーチを聞いて、北欧諸国を中心とする世界中の企業がリカレント教育に注目するようになりました。

しかし、日本での注目度が上がったと言われるのは、その約50年後です。

2017年11月に開かれた「人生100年時代構想会議」にて、故安倍晋三元首相がリカレント教育の拡充を検討すると宣言。さらに、ロンドンビジネススクールの教授、リンダ・グラットン氏の著書『LIFE SHIFT(ライフシフト)ー100年時代の人生戦略』が世界的にヒットし、日本でも注目されるようになったと言われています。

リンダ・グラットン氏が提唱した「人生100年時代」という言葉が広がると共に、「個人が自ら稼ぐ力を身につけること」を重視する考えが広まっていきました。その対策のひとつがリカレント教育です。

デジタル技術の発展がリスキリングの注目度を上げたのに対し、リカレント教育は人々の生き方、ライフスタイルの変化がきっかけ。どちらも「時代の変化」に影響されて生まれた概念ではあるものの、浸透してきた背景には違いがあるのです。

 

リカレント教育に取り組むメリット

リカレント教育に取り組むメリットとしては、主に以下の3つが挙げられます。

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「生涯現役」と謳われる今の時代において、自らのキャリアをデザインし、自分で道を切り開いて行く能力は必要不可欠。自主的に学び、時代の変化に合わせて常にスキルをブラッシュアップし続けるリカレント教育では、そんな現代の必須能力を身につけることができます。

また、新たなスキルが身につくことで、昇格・昇給のチャンスも狙えます。社内でのキャリアアップはもちろん、待遇の良い会社への転勤など、働き口の選択肢も広がるでしょう。

労働者にとってのメリットが多いリカレント教育ですが、もちろん企業側にも取り組むメリットがあります。

リカレント教育を積極的に行っている企業は、周囲から「従業員への支援が厚い企業だ」という印象を持たれるもの。キャリアアップが見込める会社として、人材採用にて有利に立つことができます。

加えて、リカレント教育に興味を持つ人は、向上心が高い人と考えられます。そのような人材の目に留まることで、優秀な人材の確保にもつながるでしょう。

 

 

リスキリングの取り組み事例

ここからはまたリスキリングに戻ります。国内外で注目を浴びているリスキリングですが、実際にどのような企業が、どのような取り組みを行っているのでしょうか。ここで具体的な事例をご紹介します。

 

事例1:富士通株式会社

総合エレクトリカルメーカーの「富士通株式会社」は、2020年度の経営方針にて、DX企業へと変革すると宣言。そのために5年で5000~6000億円投資することを発表しています。

社員13万人がDX人材になることを目標のひとつとして掲げており、リスキリングに注力している当社。国内グループ企業の全社員8万人に向けて既にリスキリングを実施していると、2022年5月日本経済新聞でも報じられました。

 

事例2:日立製作所

大手電機メーカー「日立製作所」は、日本のリスキリング先駆者として知られる企業。当社は、2019年9月に行われたESC説明会にて、「デジタルとリアルを連携させたイノベーションを実現する人材の確保・育成が必要」と発表しています。

具体的には、2021年度にITセクターを3万人、データサイエンティストを3千人、AIなど研究分野のデジタル人材を2千人確保すると宣言。人材採用と共にリスキリングを行い、デジタル人材の拡充に取り組んでいます。

施策として有名なのは、当社運営の「日立アカデミー」を活用したリスキリング。デジタル技術に関する基本的な知識から高度なIT知識まで、幅広いカリキュラムが用意されており、DX人材の育成に役立てています。

また「日立アカデミー」は、eラーニング形式のカリキュラムがあるのも魅力。就業しながら行うリスキリングでは、このようなオンライン講座の活用が効率的と言えるでしょう。

 

事例3:Amazon.com,Inc.

世界的に有名なネット通販サイト「Amazon」を運営する「Amazon.com,Inc.」。

当社は、2025年までに米国の従業員10万人のリスキリングを行うと宣言しています。その投資額は全体で約7億ドル。従業員一人当たり7,000ドルと多額であることから、リスキリングに注力する企業の中でも特に注目を集めています。

具体的には「Amazon Technical Academy」や「Amazon見習い制度」など、IT技術について学べるプログラムを用意。非技術者を技術者へと転職させる、大規模なリスキリングに取り組んでいます。

 

リカレント教育の取り組み事例

では次に、リカレント教育の取り組み事例をご紹介します。学習コンテンツを提供する側である教育期間の事例も交えてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

 

事例1:H&M

リカレント教育発祥の地とも言われるスウェーデンは、特にリカレント教育が進んでいる国。スウェーデン発のアパレルメーカー「H&M」がその例です。

当社は、有給休暇取得率100%を誇る会社。出産・育児休暇制度や、昇進を手助けする育成制度を導入するなど、社員のワークライフバランスを大切にしていることで有名です。その環境を活かして、リカレント教育にも積極的に取り組んでいます。

その結果、30年以上勤務する社員もいるのだそう。リカレント教育を社員に推奨しつつ、かつ取り組みやすい環境を整えることが、結果的に従業員の定着へとつながるのだとわかる事例です。

参考書籍:「大前研一(2019)『稼ぐ力をつける「リカレント教育」 誰にも頼れない時代に就職してから学び直すべき4つの力』株式会社プレジデント社」

 

事例2:ソニー株式会社

大手電機メーカー「ソニー株式会社」は、社員がリカレント教育を受けやすいよう、特殊な制度を実施している企業。当社は、2015年より「フレキシブルキャリア休職制度」を導入しています。

フレキシブルキャリア休職制度とは、配偶者の単身赴任・留学への同行や、国内外での修学を目的とした休職を許可する制度のこと。配偶者の同行を目的とする場合は最大5年まで休職可能、国内外での修学に関しては、初期費用を50万円まで会社が負担するなど、社員がリカレント教育を受けやすいようサポートしています。

当社Webサイト掲載記事によると、インタビューが実施された2020年までに、約70名がこの制度を利用したとのこと。語学やコミュニケーションスキルの向上、専門スキルの習得に役立っているのだそうです。

 

事例3:兵庫大学

兵庫大学は、リカレント教育事業を展開している教育機関のひとつ。公開講座・研修を運営している当校は、ボランティアセンター、地域医療福祉センター、社会連携オフィスの3つの事務所を設置することで、社会人のスキル習得を幅広くサポートしています。

簿記やコミュニケーションスキルといったビジネス基礎を学べるプログラムのほか、統計学、データサイエンスなどのカリキュラムも提供。DXに役立つスキルの習得も可能にしています。

さまざまな企業がリカレント教育に取り組み始めている中、受講者にカリキュラムを提供する側である教育機関も動き始めているようです。

 

リスキリング、リカレント教育を行う際の注意点

リスキリング、リカレント教育を実施したものの、失敗に終わったというケースが少なくありません。社員および会社の成長につながる有意義なものとするには、どのようなことを意識すればよいのでしょうか。

リスキリングやリカレント教育を行う際の注意点について見ておきましょう。

リスキリング・リカレント教育を実施する際の注意点

 

注意点1:学びの仕組みを整えること

社員の成長には「自主性」が重要とはいえ、リスキリング・リカレント教育を実現するためには企業側の協力が必須。特に、就労と学習を並行して行うリスキリングでは、企業による環境の整備が必要不可欠です。

リカレント教育をする上での課題を教えてください。

(引用元:「『ミドルの転職』ユーザーアンケート集計結果」エン・ジャパン株式会社)

エン・ジャパン株式会社」が行った調査によると、「学費や受講料の負担が大きい」ことがリカレント教育を実施する上での課題と応えている人が73%。「勤務時間が長くて十分な時間がない」との回答が約半分を占めています。

アンケートはリカレント教育に関するものですが、リスキリングにおいても同じことが言えます。費用や時間の負担が、学習の妨げとなる可能性は十分にあるのです。

よって、リスキリング・リカレント教育を成功へと導くには、企業が「費用を一部負担する」「勤務体制を整える」などの対策が必要です。事例にあったように、休暇制度の導入も検討してみると良いでしょう。

また、オンラインで学習できるeラーニングを活用するのもひとつの手です。交通費がかからず、かつ移動時間も不要なため、費用と時間の負担軽減へとつながるでしょう。

 

注意点2:コンテンツ配信だけでなく「行動変容」まで設計する

リスキリング・リカレント教育は、学ぶこと自体がゴールではありません。身につけた知識・スキルを業務に、キャリアに活かせてこそ実施する価値があります。

しかし、社員の”自主性”を尊重するばかりに、学習を任せっきりにしてしまいがち。その結果、学んだことを忘れてしまったり、実践で活用できなかったりと、教育が無駄になる恐れがあります。

そのため企業は、学習を受けた後の行動まで設計することが大切。学んだことをきちんと業務やキャリアで活かせるよう、サポートが必要なのです。

具体的には、習得度の確認や、実践する場の提供などが対策として挙げられます。

例えばクラウド型eラーニングサービス「shouin+」にあるようなチェックリスト機能を使い、理解度を細かくチェックします。そうすることで、未収得の知識・スキル、理解が不十分な項目が明確になり、学習プランの改善に役立てることができます。より着実にスキルを習得した状態で、業務に挑むことができるのです。

また、学習コンテンツをジャンルごとにまとめて、ロードマップを作成するのもひとつの策です。何をどの順番で学ぶのか、学んだ先に何があるのかを見える化することで、受講者は目的を意識した上で学習に取り組むことができます。「shouin+」のように、動画をカテゴリーごとにまとめられる機能があれば便利でしょう。

 

注意点3:人材の流出を防ぐ対策を講じる

リスキリング・リカレント教育を行った従業員は、身につけたスキルを活かして転職してしまう恐れがあります。せっかくの優秀な人材が社外へと流出してしまうのは、会社にとっての大きな損害です。

『自分のスキルをアップデートし続ける リスキリング』という書籍の中で、著者の後藤宗明氏(以下後藤氏)は以下のように述べています。

昇給・昇格もなく、学んだ結果の評価や社内における新たなキャリアを明示することなくデジタル分野の学習機会などを提供すると、単に転職意欲の高い従業員へ武器を提供しておしまい、という結果になるのです。

(引用元:「後藤宗明(2022)『自分のスキルをアップデートし続ける リスキリング』日本能率マネジメントセンター」)

企業は、このような人材の流出を防ぐため、自社で得られるメリットを伝える必要があります。昇給・昇格といったキャリアアップへの影響を提示することは、なかでも効果的な方法と言えるでしょう。

リスキリング・リカレント教育が従業員のキャリアにどう影響するのか、事前にビジョンを描いてもらうこと。学びの先に得られるメリットが「自社にある」ということを、明確に伝えておくことが大切です。

 

まとめ

環境が目まぐるしく変化する今、知識・スキルをアップデートし続けることは必要不可欠。そのための取り組みとして、リスキリング・リカレント教育はどちらも有効です。

しかし、それぞれ目的も得られるメリットも異なるため、いま何に注力すべきなのか、状況に合わせて見極めることが大切。そして、実行する際は学習が利益へとつながるよう、仕組みを作ること、社内環境を整えておくことを徹底しましょう。

著者
『shouin+ブログ』マーケティング担当
人材育成クラウドサービス「shouin+」のマーケティング担当です。人材育成のお役立ち情報やトレンドをはじめ、企業の人事・研修担当の方向けに社内教育や研修のノウハウを発信しています。

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