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PREP法とは?例文やDESC法との違いについて基本からわかりやすく解説!

ノウハウ ナレッジ
2023.01.24
松木 謙介

ビジネスの場では、職種や立場によらず「分かりやすい説明」が求められます。分かりにくさは、相手の時間を必要以上に使ってしまうだけでなく、ストレスを与えてしまったり、誤解を与えてしまったり……。リスクになると言っても過言ではありません。口頭での説明も文書での説明も同様です。

では、どうしたら分かりやすく伝えられるのか。説明の目的や状況に合う「説明の型(構成)」を知り、その型に合わせて話を組み立てるのが有効です。今回は、いくつかある型の中からPREP法について解説します。DESC法やSDS法との違い、使い分けについても触れていますので、ぜひ参考にされてください。

 

PREP法とは

PREP法(読み方:プレップ法)とは、プレゼンや会議、報告など、さまざまなシーンで使える説明の構成です。PREPは、「Point(結論)」「Reason(理由)」「Example(具体例)」「Point(結論)」の略で、PREP法はこの順番に当てはめて説明します。

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PREP法は、「結論」を最初と最後の2回伝え、主張に対する「根拠(理由)」を明確にできるため、説得力が増す方法として知られています。

コンサルティングや会議、上司への報告時、プレゼンテーション、ビジネス文書、ブログ記事などの場面で使われています。

 

PREP法で説明するメリット

PREP法はビジネスコミュニケーションを円滑にする方法として知られています。中でも「説得力が高まる」「短時間で相手に伝えられる」「相手の関心が高くなる」「話す前に自分の中で物事を整理できる」という4つのメリットがありますので、詳しく説明しましょう。

メリット1:説得力が高まる

PREP法は、結論を最初と最後の2回伝えるため、相手の印象に残りやすくなります。加えて、理由を明確にすることで主張が裏付けされ、説得力が生まれるでしょう。

 

メリット2:短時間で相手に伝えられる

結論から伝えることで、聞き手(読み手)は最初に「何を伝えたい」のか理解できるため、短時間で必要な情報が伝わりやすくなります。

例えば、日常のビジネスシーンでもたまに見かけるのが次のような説明です。

<例>

キャンペーンの募集要項を作成しました。SNSを活用したプロモーションとカフェでのリアルイベントを計画中です。SNSを活用したプロモーションは、商品を使った感想を投稿してくれたら、化粧水のサンプルをプレゼントします。カフェでのリアルイベントでは、メイク講座を開催したいです。

これだと聞き手は、自分が何を求められているのか分からないですね。「報告として、このまま話を聞いていればいいのか?」、それとも「相談があり、何か考えを求められるのか?」、それとも「募集要項を確認すればいいのか?」。モヤモヤしたまま話を聞くことになりストレスがたまります。

「私は何をしたらいいの?」と途中で聞き返すケースも出てくるでしょうし、報告だと思いながら聞いていて突然相談されると「えっと、キャンペーンの詳細をもう一回教えて」と話を戻さないといけないケースも出てきます。つまり、必要以上に時間が掛かってしまうのです。

でも、最初に「キャンペーンの募集要項を作成したので、企画内容に無理がないかご意見を伺いたいです」と「結論」を伝えたうえであれば、短時間で相手に伝わりますね。

 

メリット3:相手の関心が高くなる

PREP法で最初に伝える「結論」とは、話し手(書き手)が一番伝えたいことであり、聞き手(読み手)が知りたいことですね。結論を先に伝えると、相手の関心が高まります。

<悪い例>

先日行われたWeb制作コンペの結果がでました。10社がエントリーした中で、弊社の強みであるアクセシビリティに配慮したデザインと更新のしやすさ、マーケティング視点での提案を評価してもらいました。結果、弊社での受注が決定しました。

<良い例>

Web制作コンペの結果が出て、弊社で受注が決定しました。10社がエントリーした中で、弊社の強みであるアクセシビリティに配慮したデザインと更新のしやすさ、マーケティング視点での提案が評価された結果です。

説明をした後に結論をもっていきた「悪い例」だと、聞き手は最後まで結果が分からず、「で、結果はどうだったの?」と会話の途中で口を挟みたくなるほどストレスを感じます。説明部分は結果が気になり、しっかりと話を聞けていないかもしれません。

でも「良い例」のように先に結果を知ると、「何が評価されたの?」という理由に興味がわきますね。

 

メリット4:話す前に自分の中で物事を整理できる

PREP法で話したり書いたりするためには、型を思い浮かべながら一度自分の中で物事を整理する必要があります。

ビジネスの場では、営業はもちろんのこと、上司への報告や相談などでも、物事をロジカルに考えて伝えることが求められますので、PREP法を意識することで考えを論理的に整理する習慣が身に付きます。

 

PREP法にはデメリットもある?

ビジネスの場では常にPREP法がベストかというと、必ずしもそうではなく、PREP法にもデメリットもあります。メリットとデメリットを知り、シーンにあわせて使うことが大事です。PREP法のデメリットをみていきましょう。

デメリット1:相手が途中のプロセスを自分で考えようとしなくなる

PREP法では、結論(=答え)を先に伝えるので、相手は途中のプロセスを自分で考えようとしなくなる傾向があります。つまり、相手にも考えてもらいたいときにはPREP法は向きません。

<例>

結論:水曜日をノー残業デーにします。

理由:なぜなら、月間残業時間が平均40時間と昨年の同時期と比較して3時間程増えているからです。

具体例:具体的には、水曜日は19時にオフィスの電気を消灯し、完全退社を目指します。

結論:水曜日のノー残業デーへの協力をよろしくお願いします。

このような話の組み立てをすると、相手は「水曜日はノー残業デーね」と理解し、「残業時間を減らす方法として有効なのは何かな?」と自分では考えなくなりがちです。

 

デメリット2:文脈が理解されにくい

PREP法は、「結論はAです」といったように、結論から話しますが、聞き手全員が「Aが何か」を知っているとは限りません。そうした場合、話を理解できないでしょう。

つまり相手の知識レベル、共有レベルが違う場合は、結論ファーストではなく、先に経緯などの前提条件を伝えたり、解説を添えたりするなど、説明の組み立て方を変えたほうがいいケースもあります。

 

デメリット3:条件のすり合わせなどが必要な場合は向かない

PREP法は、最初に結論を伝えますので、駆け引きや条件のすり合わせなどが必要な交渉事には向きません。相手の様子を見ながら話したり、相手の感情に訴えかけるような場面では、PREP法は避けたほうがいいでしょう。

 

PREP法と比較されるその他のフレームワーク

ここまでの説明で、PREP法は万能ではなく、デメリットもあることがお分かりいただけたことだと思います。相手によって、説明の目的によって、ベストなフレームワークは異なりますので、PREP法と比較されることが多いDESC法とSDS法についても覚えておくといいでしょう。

DESC法

DESC法(読み方:デスク法)とは、相手に納得感を持たせることに長けたフレームワークです。事実を共有したうえで、自分の考え、提案という段階を踏むこと、結論ではなくあくまでも提案であることから、柔らかい印象を与えられます。よって、相手を不快にすることなく自分の意見を伝えられるのが良さです。

DESCは、「Describe」「Express」「Suggest」「Choose」の略で、日本語で言うと、描画、説明、提案、選択を意味し、DESC法ではこの順番に当てはめて説明します。

  1. D(Describe):描画
    解決したい課題に対して、現状を客観的に見て、事実のみを相手に伝えます。
  2. E(Express):説明
    最初に描画した内容に対する、自分の意見や気持ちを伝えます。
  3. S(Suggest):提案
    課題を解決するためのアイデアを提案します。
  4. C(Choose):選択
    提案が受け入れられた場合、受け入れられなかった場合、それぞれに対して結果や選択肢を示します。提案が受け入れられなかった場合は、再度「提案」を実施することもあります。

 

PREP法とDESC法の違い

PREP法は簡潔で分かりやすく、スピーディーなのが特徴です。自分の主張を伝えやすいフレームワークでもあります。一方で相手との条件のすり合わせなどが必要なケースには向きません。

その点、DESC法は、相手の意見を尊重しつつ話を展開していきますので、相手と折り合いをつけつつ、考えや気持ちを伝えることに長けています。

プレゼンのように自分の主張をストレートに伝えるのが有効な場合はPREP法、上司への相談や承認をもらいたい場合など1対1のやり取りはDESC法を用いるのがいいでしょう。

 

SDS法

会議などで、報告、連絡、相談をしたい場合に使いやすいのがSDS法(読み方:エスディーエス法)です。SDSは、「Summary」「Details」「Summary」の略で、日本語で言うと、概要、詳細、まとめを意味し、SDS法はこの順番に当てはめて説明します。

  1. S(Summary):概要
    「まず、概要としては、○○○○です」「今回、覚えておいてもらいたいことは△△△△です」
  2. D(Details):詳細(概要の解像度を上げる)
    「詳細は、××××です」「もう少し詳しく説明すると、□□□□です」
  3. S(Summary):まとめ
    「以上のことをまとめると、○○○○となります」

 

PREP法とSDS法の違い

PREP法もSDS法も最初と最後に同じことを伝える点は共通しています。一番大きな違いは、PREP法では「結論」が最も重要なのに対して、SDS法は「詳細」が重要な点です。

こうした特徴からPREP法は、スピーディーに結論を伝えたい場合に向いており、理由や具体例も添えるためプレゼンでよく使われます。一方のSDS法は、話の全体を聞いてもらいたい場合に適しており、汎用性が高く、ニュース番組のほか、自己紹介をする際にもよく使われています。

 

PREP法を習得するためのポイントや練習方法

日本では、日常的な会話だと物事は順番通りに話すのが一般的ですし、学校では起承転結で話すのが良いと習った方もいることでしょう。このため、急に結論から話すようにと言われてもできないのは当然です。慣れが必要で、意識的に取り組んでいく必要があります。

最初は型に当てはめて考えていくことが窮屈に感じるかもしれませんが、慣れると話の構成や伝え方に悩まずに作成できるので、ロジカルな説明がスムーズにできるようになるでしょう。

PREP法を習得するための練習方法をポイントをまじえつつ3点ご紹介します。

 

1.普段からPREP法に当てはめて話す

日常的な会話だと、思いついたことから喋る方も多いと思いますが、一度頭の中を整理して結論から話すようにするのがいいでしょう。

「(結論)→なぜなら△△△△からです。たとえば○○○○です。だから(結論)」といったように、「なぜなら」「たとえば」「だから」の接続詞でつなぐように組み立てることを意識してみてください。

こうしたトレーニングを積むことで、頭の中を整理する時間、つまり会話の途中にできる間にも慣れてきます。考えを整理する時間がいつもより掛かりそうなときは、「1分、考える時間をください」などと伝えるなど、会話の間をうまくつなぐコツも分かってくることと思います。

日常会話だけでなく、報告書を作成するとき、メールを書くときなど、「結論」から伝える機会はたくさんあります。何か特別なトレーニングをするよりも、日常の中でPREP法を習得するのが一番です。ぜひ今から取り組んでみてください。

 

2.会議での発表やプレゼンはPREP法で話す

会議での発表やプレゼンは、事前に準備をして臨みますね。しっかりと考える時間を取れるので、PREP法の型を思い浮かべ、「結論は何で、その根拠はこれ、具体例はこれ」というふうに、一つ一つ考えて組み立てる練習にピッタリです。

PREP法を習得中だと同僚や上司にも伝えておき、会議やプレゼンが終わった後にフィードバックをもらえると理想です。

 

3.1日1ツイートを目標にTwitterで練習

PREP法の練習に最適なのが、Twitterです。140文字という短いテキストの中にまとめるのは容易ではありませんが、限られた文字数でPREP法に従い要点をまとめるのは、よい練習になります。

 

PREP法の活用シーンと例文

PREP法が有効なシーン別に例文をご紹介します。

例文1:プレゼンテーションにおけるPREP法の例文

プレゼンテーションでPREP法を使った場合の例文をご紹介します。

結論:

アルバイトも含めた全スタッフが参加する連絡ツールの導入をお願いします。

理由:

なぜなら、月に数回、本部からの連絡事項の伝達が漏れるケースが発生しているためです。

具体例:

具体的には、現在、本部からの連絡事項は、朝礼時に直接話をして、休憩室の掲示板に紙で掲示をしています。そして遅番のスタッフには引継ぎ時に声を掛けるようにしていますが、引継ぎ時間に顧客対応のピークがくる日があり、そうすると顧客対応が優先され引継ぎ漏れが発生しがちです。また週1回しかシフトに入らないスタッフもいるため、紙の提示は、外すタイミングも難しく、古いものが残り非常に確認がしにくいです。

結論:

だからスマートフォンなどでいつでも確認ができるよう、アルバイトも含めた全スタッフが参加する連絡ツールの導入をお願いします。

 

例文2:上司への報告で使えるPREP法の例文

職種を問わず、ビジネスでは上司への報告が欠かせません。そんな上司への報告でもPREP法は有効です。分かりやすく伝えられるので、ぜひお試しください。

結論:

結論からお伝えすると、キャンペーンの開始を1週間遅らせることになりました。

理由:

購入者特典として準備中だったノベルティの巾着袋に不具合があり、作り直しが発生したためです。

具体例:

具体的には、巾着袋のサイズに間違いがあり、予定のサイズに変更すると生地が足りず、現在、生地を取り寄せています。現時点では、生地が届くのが最短で明日、遅くて1週間と言われています。

結論:

したがって、最悪のケースも想定し、キャンペーンの開始を1週間遅らせることにしました。

 

例文3:面接におけるPREP法の例文

面接は結論ファーストで伝えるのが鉄則です。PREP法が活用できますので、例文をご紹介しましょう。

Q:志望理由を教えてください。

結論:

マーケティング職に就きたいと考え、半年前からスクールに通い勉強を続けています。

理由:

現在は保険の代理店営業を担当していますが、将来の不安を消すための手伝いよりも、今困っていることに対して力になりたいと考えたからです。

具体例:

具体的には、御社の求人を拝見し、顧客貢献を第一に考え、顧客と深く向き合える点に大変共感しています。

結論:

こうした理由から、御社でのマーケティング職を志望しました。

 

まとめ

PREP法は、結論を最初と最後の2回伝え、主張に対する根拠(理由)を明確にできるため、説得力が増すフレームワークとして知られています。短時間で簡潔に相手に伝えられるのもメリットのひとつです。主にコンサルティングや会議、上司への報告時、プレゼンテーション、ビジネス文書、ブログ記事などの場面で使われています。

しかし日本では、結論から話すことに慣れていないことが多く、まずは会議での発表時、メールを作成するとき、上司への報告時などに意識してPREP法を取り入れることから始めるのがいいでしょう。

著者
松木 謙介
2017年にピーシーフェーズ株式会社に新卒で入社。大手飲食チェーン店のマニュアルデジタル化プロジェクトに携わり、2年目から人材育成クラウドサービス「shouin」の立ち上げ、現在までプロダクト開発に携わる。「研修をもっとラクラクに」できるよう、試行錯誤を続ける日々。趣味はサッカー観戦、ゲーム、読書、他多数。

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