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残業は何時間からきつい?平均残業時間から考える働きやすさやホワイト企業とは

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2023.05.24
『shouin+ブログ』マーケティング担当

みなさんは、残業時間が長いことで心身ともにストレスを抱えていませんか?

「残業がきつくてしんどい…これって普通なの?」

「残業が多くてつらいけど、自分の我慢が足りないだけ?」

「残業が少ない仕事に転職したいけど、これは甘えかな?」

業務負担が大きいなか、このようにお悩みの方も少なくないと思います。

そこでこの記事では、1ヶ月の平均残業時間をはじめ、残業が多い/少ない企業ランキングや、残業時間ごとのストレスの感じ方、残業時間から考える働きやすい企業の見極め方について解説していきます。

事業者向けに「長時間労働がもたらすデメリット」についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

1ヶ月の平均残業時間

厚生労働省が2021年9月に実施した「毎月勤労統計調査」の結果によると、日本の平均残業時間は9.4時間(一般労働者およびパートタイム労働者を含む)となっています。しかし、一方で民間企業が実施したアンケート調査の結果では、平均残業時間22.2時間という報告も。

厚生労働省による調査は、あくまで会社からの申告によるものなので、ここでは民間企業による調査結果の方が信頼性が高いかもしれません。

参考:

厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和3年9月分結果確報」

doda「平均残業時間ランキング【94職種別】今の仕事の残業は少ない?多い?

 

残業が多い/少ない仕事ランキング

実際のところ、残業時間は業種/職種によってもバラつきがあります。そこで、業種/職種別に平均残業時間が多い/少ない仕事をランキング形式で見てみましょう。

平均残業時間が多い/少ない業種

まず、日本労働組合総連合会が実施した業種別の調査によると、平均残業時間が多い/少ない業種ランキングは次のようになっています。

平均残業時間が多い業種ランキング

1

運輸業

33.6時間

2

金融・保険業

27.4時間

3

サービス業

25.5時間

 

平均残業時間が少ない業種ランキング

1

医療・福祉

12.5時間

2

卸売・小売業

17.5時間

3

情報通信業

19.4時間

参考:日本労働組合総連合会「36協定に関する調査2017」

トラックの運転手を代表とする「運輸業」では、人手不足や深夜労働による長時間労働が課題となっています。また、ノルマ達成や高頻度に顧客対応が発生する「金融・保険業」、顧客対応が発生する上に人手不足も深刻な「サービス業」も、長時間労働になりやすい業種といえます。

平均残業時間が多い/少ない職種

次に、dodaがビジネスパーソン15,000人に対して実施した職種別の調査結果を見てみましょう。平均残業時間が多い/少ない職種ランキングは次のようになっています。

平均残業時間が多い職種ランキング

1

プロデューサー/ディレクター/プランナー(出版/広告/Web/映像関連)

37.1時間

2

ビジネスコンサルタント

37.1時間

3

施工管理

35.3時間

4

商品企画/サービス企画

34.0時間

5

運輸/物流サービス

31.1時間

 

平均残業時間が少ない職種ランキング

1

秘書・受付

10.0時間

2

美容関連職(理美容/エステ/マッサージ)

10.4時間

3

営業事務アシスタント

11.0時間

4

薬事

11.6時間

5

医療事務アシスタント

12.2時間

参考:doda「平均残業時間ランキング【94職種別】今の仕事の残業は少ない?多い?」

平均残業時間が最も多かった「プロデューサー/ディレクター/プランナー(出版/広告/Web/映像関連)」は、発売日や公開日にあわせたスピーディーな業務が求められることが主な理由と考えられます。

また、同率1位となった「ビジネスコンサルタント」では、コロナ禍で業務のデジタル化を進める企業が増加したことにより、職種の需要が高まっていることが理由だと推測できます。

一方、平均残業時間が少ない職種ランキングでは、事務/アシスタント系の職種が多くランクインしました。過去に実施された調査でも事務/アシスタント系が多くランクインしていたことから、安定して残業時間の少ない職種だといえるでしょう。

 

【性別/年代別】平均残業時間

業種や職種に限らず、性別や年齢によっても残業時間には違いがあります。前出の日本労働組合総連合会の調査結果を見てみましょう。

【性別/年代別】平均残業時間

引用:日本労働組合総連合会「36協定に関する調査2017」

全体の平均残業時間は22.5時間。性別の違いでみると、男性では26.2時間、女性では16.3時間と、男性が女性よりも約10時間多く残業している実情がありました。

一方、年齢別に見てみると、男性では40代で最も残業時間が多く(28.4時間)、60代で最も少ない(20.5時間)という結果に。女性は、20代から50代にかけて徐々に残業時間が減少していく傾向が見られ、20代で22.4時間、30代:17.1時間、40代:14.1時間、50代:11.9時間となっています。

これは、男性では年齢を重ねるにつれて中間管理職などの役割を担う人が増えていき、必然的に残業時間が増加していくものと考えられます。一方で女性は、結婚や出産を機に業務量を抑える人が多かったりと、男性とは反対に年齢を重ねるにつれて残業時間が減少するものと考えられます。

 

残業は何時間からきつい?

みなさんは、残業時間が何時間を超えると心身に負担を感じますか?

上記では平均残業時間についてご紹介してきましたが、結局のところ、残業時間の多い/少ないについては、人と比べるよりも「自分自身にとってどうか」が大切だと感じます。

そこでここからは、2つの調査結果をもとに、心身の健康と残業時間のバランスについて考えていきたいと思います。

許容範囲の残業時間は20~30時間が最多

下表は、マイナビが会社員1,001名に対して実施したアンケート調査の結果です。

Q:月の残業時間について、許容範囲を教えてください

1位

20時間~30時間未満

17.3%

2位

10時間~20時間未満

16.0%

3位

30時間~45時間未満

13.8%

4位

5時間未満

13.6%

5位

0時間

12.1%

6位

5時間~10時間未満

11.5%

7位

45時間~60時間未満

8.1%

8位

80時間以上

4.4%

9位

60時間~80時間未満

3.3%

参考:マイナビニュース「どのくらいまで耐えられる? 残業時間の許容範囲を調査」

「残業時間の許容範囲は?」という質問に対し、最も多かった回答は「20時間~30時間未満(17.3%)」、次いで、2位:10時間〜20時間未満(16.0%)、3位:30時間〜45時間未満(13.8%)となりました。

また、具体的な回答として、次のような声もあがっています。

「0時間:基本的に残業なく働ける環境が望ましいと思う」

「5時間~10時間未満:精神的に気を使う仕事なので、通常の勤務時間だけでヘトヘトになるし、精神的にも辛い」

「10時間~20時間未満:ワークライフバランスを考慮すると、せいぜい一日1時間までだと思う」

「20時間~30時間未満:月20日稼働として、1日1.5時間までが許容範囲と思う」

「30時間~45時間未満:20日出勤で残業が毎日2時間を超えると、疲れが残ってきついと感じた」

「45時間~60時間未満:これ以上だと、仕事から帰って寝るだけの生活になってしまいそう」

コメントを見ると、残業時間の許容範囲がいかに“人それぞれ”であるかが分かりますね。

また、20時間〜30時間未満の回答が最多という結果から考えると、心理的/肉体的に「きつい」と感じるラインはこの付近にあるのではないかと推測できます。

 

心身に支障をきたす残業時間の平均は46.2時間

下表は、日本労働組合総連合会が1,000名の回答者に対して実施したアンケート「心身の健康に支障をきたすと感じる1ヶ月の残業時間」に対する結果です。

心身の健康に支障をきたすと感じる1ヶ月の残業時間

引用:日本労働組合総連合会「36協定に関する調査2017」

心身に支障をきたす残業時間の平均は、全体で46.2時間、男女別にみると男性で52.1時間、女性で38.1時間となっています。

しかし、これはあくまで心身に支障をきたすギリギリのラインを調査したものです。当然ながら、みなさんの残業時間が上記より少なくても心身に支障をきたす可能性は大いにありますので、「平均より少ないから大丈夫だろう」などと安易に考えず、ご自身の体調をしっかりと観察することが大切です。

 

働きやすい残業時間とは?

心身の健康と残業時間のバランスについて、もう少し深堀りしていきたいと思います。

上記では残業時間の許容範囲についてご紹介しましたが、実際に「働きやすい/働きにくい」と感じる残業時間とはどの程度なのでしょうか。下表では、前出の調査結果をもとに「残業時間ごとの働きやすさ」を簡単にまとめてみましたのでご覧ください。

残業時間から考える、働きやすさ
  • 0~20時間:働きやすい
  • 20~30時間:どちらともいえない
  • 30~40時間:働きにくい
  • 40~60時間:非常に働きにくい
  • 60~80時間:過労死手前

この内容について、もう少しくわしく見ていきましょう。

0~20時間:働きやすい

1ヶ月の残業時間が0〜20時間というのは、1ヶ月あたりの稼働日数を20日とすると「1日あたり1時間以内」の残業時間となります。

前出の調査結果から考えると、約6割の人が「許容範囲」と回答していることから、比較的働きやすい環境といえるでしょう。

20~30時間:どちらともいえない

1ヶ月の残業時間20~30時間は「1日あたり1~1.5時間」となります。

平均残業時間(22.5時間)はこの範囲に位置するため、比較的働きやすいのでは?と感じられるかもしれませんが、前出の調査結果では「30時間未満で心身に支障をきたす」と回答した人も一定数みられ、一概に働きやすい環境とはいえないようです。

とくに、女性は年代問わず約半数の人が心身に支障をきたすと回答していることから、女性にとって月30時間の残業は十分に負担が大きいと考えられます。

 

30~40時間:働きにくい

1ヶ月の残業時間30~40時間は「1日あたり1.5〜2時間」となります。

1日の就業時間が9時〜18時の場合なら、2時間の残業をすれば帰宅は20時頃でしょうか。プライベートの時間はわずかに確保できるものの、余裕のない日々を過ごすことになりそうです。

また、この数字は心身に支障をきたすと感じる残業時間の平均(46.2時間)と比べても大差なく、多くの人が働きにくいと感じることでしょう。

40~60時間:非常に働きにくい

1ヶ月の残業時間が40~60時間は「1日あたり2〜3時間」となります。

1日の就業時間が9時〜18時の場合、3時間の残業をすれば帰宅は21時頃となり、職場と自宅を行き来するだけの生活になってしまうでしょう。

また、前出の調査結果でも、男女ともに5割~8割の方が心身に支障をきたすと回答しています。残業時間の許容範囲に関する調査でも、45時間以上の残業時間に対して許容範囲と回答した人の割合はわずか15.8%と、大多数の人が受け入れにくい残業時間であることが分かります。

 

60~80時間:過労死手前

1ヶ月の残業時間が60~80時間は「1日あたり3〜4時間」となります。

1日の就業時間が9時〜18時の場合、4時間の残業をすれば帰宅は22時頃。これでは、十分な睡眠時間を確保することさえ難しい状況となり、継続的にこのような状況になれば心身に大きく支障がでることは容易に想像できます。

また、厚生労働省によると、時間外労働が1ヶ月あたり100時間以上または2〜6ヶ月の平均が80時間以上になると、過労死との関連性が強くなるとされています。一刻も早い労働環境の改善が必要な状態であるといえるでしょう。

参考:厚生労働省「脳心臓疾患の労災認定」

 

残業時間から見るホワイト企業とブラック企業

残業時間から見るホワイト企業とブラック企業

 

労働者にとって良い労働環境を提供してくれる企業を「ホワイト企業」と呼んだり、反対に労働者にとって過酷な労働環境を強いる企業を「ブラック企業」と呼んだりしますが、その見極めは難しいものです。

そこで、ここでは一度、残業時間からホワイト企業/ブラック企業を定義してみましょう。前出の調査結果をもとにご紹介していきます。

 

ホワイト企業の残業目安時間は20時間未満

残業時間でみると、ホワイト企業の目安は「20時間未満」でしょう。調査結果をみても、この範囲であれば過半数の人が「許容範囲」と回答しています。

また、長時間労働が問題視される現代の日本において、労働時間削減の取り組み(ノー残業デーの導入など)に積極的な企業は、よりホワイト企業である可能性が高いと考えられます。

 

ブラック企業の残業目安時間は45時間以上

ブラック企業の残業時間の目安は「月45時間」です。これは、36(サブロク)協定において定められている時間外労働の限度時間(原則:月45時間・年360時間)をもとに定義しています。

参考:

厚生労働省「36協定で定める時間外労働及び休日労働 について留意すべき事項に関する指針」

また、厚生労働省によれば「時間外労働が月45時間を超える期間が長くなればなるほど、健康障害を引き起こすリスクが高まる」ため、とくに長時間労働が慢性化している場合は注意が必要です。(※繁忙期など、短期的に残業時間が月45時間を超えてしまう場合はブラックとは言い切れません。)

さらに、残業時間が月45時間を超えていないとしても、以下のような場合は“真のブラック企業”といえるでしょう。

  • サービス残業を強いられる
  • 勤怠管理がまともにされていない
  • 適切な残業代が支払われない

 

法令違反になる残業時間は?

まず、時間外労働をさせるには「36(サブロク)協定」の締結が必要です。締結をせずに法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えると、労働基準法違反となってしまいます。

36(サブロク)協定とは

36協定とは、労働基準法36条に基づいて定められる、時間外労働及び休日労働を適正なものとすることを目的とした「労使協定」です。

厚生労働省の「36協定で定める時間外労働および休日労働について留意すべき事項に関する指針」では、時間外労働の上限を「月45時間・年360時間」としており、これを超える場合は臨時的な特別な事情が必要とされています。

このほかにも、「月100時間未満を超えることはできない」「月45時間を超えることができるのは年間6ヶ月まで」など、細かな取り決めがいくつもあります。

■参考記事はこちら:

36協定とは?新様式の変更点や違反時の罰則などについてわかりやすく解説!

 

平均残業時間が多い企業のデメリット

長時間労働によってリスクを被るのは、社員だけではありません。ここでは、長時間労働がもたらす企業へのデメリットについてご紹介いたします。

 

従業員のエンゲージメントが低下する

みなさんは、従業員エンゲージメントという言葉をご存じでしょうか?従業員エンゲージメントは、社員がその職場や組織に対して「貢献しようとする意欲」を表すものです。

そして、従業員エンゲージメントの影響は、会社の業績だけでなく顧客満足度にまで及ぶため、エンゲージメントを高く維持することは会社の存続にも関わる大切な要素です。

しかし、残業時間が増えて従業員の不満が蓄積すると、この従業員エンゲージメントの低下は避けられないでしょう。会社の生産性/収益性の低下や、欠勤の増加、事故率の増加につながる可能性も否定できません。

■参考記事はこちら

従業員エンゲージメントとは?言葉の意味、構成要素、向上策、調査方法などについてわかりやすく解説!

 

離職率が高くなる

アメリカの企業が実施した調査では、従業員エンゲージメントと離職率の相関が認められています。

下図を見てもわかるように、従業員エンゲージメントが高い組織では、従業員エンゲージメントが低い組織よりも離職率に40%もの差が生まれています。

従業員エンゲージメントと離職率の相関

引用:「The Relationship Between Engagement at Work and Organizational Outcomes」ギャラップ社)

長時間労働によって離職率が高くなることは感覚的にも理解できそうなことではありますが、このように数字で明確にされると、一刻も早い改善が必要だと感じられますね。

 

まとめ

過労死を引き起こしかねない、長時間労働。国をあげた取り組みが進んではいるものの、依然として長時間労働問題は無くなっていません。

しかし、社員も、企業も「長時間労働を改善したい」という想いは同じはずです。本文では、労働者向けの内容に加え、事業者向けの内容も含んでおりますので、ぜひ企業のみなさまにもご活用いただきたく思います。

この記事が、みなさんの残業時間削減に向けた一助となれば幸いです。

著者
『shouin+ブログ』マーケティング担当
人材育成クラウドサービス「shouin+」のマーケティング担当です。人材育成のお役立ち情報やトレンドをはじめ、企業の人事・研修担当の方向けに社内教育や研修のノウハウを発信しています。

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