研修とセミナーの違いとは?各々の目的とメリット、注意点をご紹介
スキルアップや知識の獲得を目指して実施される「研修」や「セミナー」。これらは、その目的やターゲットの違いから区別されるものですが、その細かな違いを説明できる方はほとんどいないのではないでしょうか。
しかし、自分自身が教育を受ける場合に「研修とセミナーどちらが向いているだろうか」と悩んだり、新入社員に教育を受けさせたい場合に「何をどう受けさせたらいいのか」と悩むこともあるでしょう。
そこでこの記事では、研修とセミナーの違いを整理した後、それらを有益にするためのヒントや開催情報の探し方までくわしくご紹介していきます。
研修やセミナーといった教育機会をどのように人材育成に活用すべきかが理解いただける内容となっておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
研修とは
研修とは、特定の知識やスキルを学ぶために実施される教育プログラムを指します。内容は目的やターゲットに応じてさまざまで、たとえば新入社員を対象に社会人としてのビジネスマナーを教える「新入社員研修」や、リーダーとしての能力を高めるための「リーダーシップ研修」などがあります。
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研修を受けるメリット
研修を受けることで、受講者には下記のようなメリットがあります。
専門知識が得られる&スキルの向上が図れる
研修ではその道の専門家から直接的に教育を受けることができるため、専門的な知識が獲得できます。また、研修は受講者が実践的なスキルを習得することも重要な目的とされていますので、スキル向上につながる良い機会になるでしょう。
仕事へのモチベーションの向上につながる
研修で新しい知識やスキルを習得することは、受講者の自信や成長意欲につながり、結果として仕事に対するモチベーションアップにつながります。さらに、研修で学んだ知識やスキルを実務に活かすことで、よりモチベーションが高まるでしょう。
ネットワーキングの機会になる
研修は、他社の人材と関われる大きな機会になります。研修で新たな人脈を築いたり、同じ業界だけでなく異業種の人々とのつながりを深めることもできるでしょう。
このように、研修を受けることには多くのメリットがあります。しかし、これらのメリットを最大限に享受するには、次でご紹介する注意点に気をつけていただく必要があります。
研修を受けるときの注意点
研修を受ける際に気をつけていただきたい、3つの注意点をご紹介いたします。
参加意欲を高める
参加意欲を高めておくことは、研修の価値を享受するうえで重要なポイントです。事前に研修の目的や内容について理解しておくことで、受講へのモチベーションを高めることができます。
目的意識を持つ
研修への目的意識を持ち、学びの方向性を明確にしておきましょう。研修でどのような知識やスキルを身につけたいか(目標設定)、またそれをどのように実務に活かしたいかを具体的にイメージすることで、目的意識を高めることができます。
実務に反映する
研修で学んだ知識やスキルは、実践で活かしてこそ意味があります。研修が終わった後は、学んだことを自身の業務や日常生活に活かす意識を持ち、取り組みましょう。研修で得た知識やスキルを実際の場面で実践することで、学びの成果が最大限に発揮されます。
研修を受講する人のなかには、「会社に命令されたから」という理由で参加される方も少なくありません。そのため、研修では受講者の参加意欲や目的意識の有無で、研修の価値が大きく変わってしまうのも事実。これらの意識が低ければ、研修中も集中力が続かず研修の価値は薄れてしまいます。
そこで、これらの課題を解決する解決策としておすすめしたいのが、動画コンテンツやeラーニングの活用です。これらオンライン形式の学習は、「自宅やオフィスで」「自分のペースで」学ぶことができる、場所や時間に縛られない自由な学習スタイルがポイントです。受講者の自由度を高め、集中力が維持しやすい動画を用いることで効率的に学習を促すことができるでしょう。
セミナーとは
セミナーは、特定のトピックやテーマに関連するノウハウを提供する、イベント形式の教育プログラムを指します。その道の専門家(講師)が、講演やプレゼンテーション形式でノウハウを提供します。
たとえばビジネスの観点からみると、経営者向けに企業の戦略立案や競争力向上について学ぶ「ビジネス戦略セミナー」や、マーケティングや広告に関するノウハウを学ぶ「マーケティングセミナー」などがあります。
セミナーを受けるメリット
セミナーを受けることで、受講者には下記のようなメリットがあります。
専門知識のノウハウが得られる
セミナーでは、専門家や経験豊富な講師からのノウハウを直接受け取ることができます。また、最新のトレンドなどの情報も織り交ぜた知識を得られるメリットもあります。
普段会えない人に会える
セミナーでは、ときに有名人やインフルエンサーなどが講師を務めることがあります。普段は簡単に会えないような人でも、セミナーという機会を通じて直接会えたり、会話ができたりすることもあります。
ネットワーキングの機会になる
セミナーには、自分と同じテーマに関心がある人々が参加します。興味関心が同じ人々との交流の場は貴重なものですので、新たな人脈を築く良い機会になるでしょう。他の受講者や講師とのつながりから、その後の仕事につながることも少なくありません。
テーマへ取り組む意欲が高まる
受講者がセミナーに価値を感じることができたとき、受講者はテーマへの意欲をより高めることができるでしょう。そのテーマをより追究したり、実際に行動を起こしたりする原動力となります。
このように、セミナーを受けることには多くのメリットがあります。しかし、これらのメリットを最大限に享受するには、次でご紹介する注意点に気をつけていただく必要があります。
セミナーを受けるときの注意点
セミナーを受ける際に気をつけていただきたい、3つの注意点をご紹介いたします。
積極的な参加を心がける
セミナーでは、講師が受講者に一方的に伝える形式(プレゼンテーション形式など)が一般的ではあるものの、完全に受け身状態になってしまうのはもったいないものです。解決したい悩みやセミナーを通して浮かんだ質問をぶつけられる程の積極性を持つとよいでしょう。
自分事として捉える
セミナーでは、講師の体験談などをもとにノウハウが提供されますが、それをいかに自分事として捉え、具体的なイメージへとつなげられるかが重要になります。これが次の「学んだことを実行に移す」につながっていきます。
学んだことを実行に移す
セミナーを受けてノウハウを得たとしても、実行に移さなければ、セミナーに参加した意味は大きく薄れてしまいます。実行に移すポイントは、セミナーを受けて高まったやる気や意欲が残っているうちに、「できるだけ早く実行に移す」ことです。
セミナーは自らの意思で受講する人が多いため、参加意欲や目的意識の高い人が多いのが特徴です。しかし一方で、参加したことに満足し、実行に移さず終わってしまう人が多いのも事実。そのため、セミナーで学んだ後に実行に移せるか/移せないかが、セミナーのメリットを享受できるか/できないかの分かれ道となるでしょう。
研修とセミナー3つの違い
研修とセミナーについてご紹介したところで、次にそれぞれの違いを比べてみましょう。研修とセミナーには、大きく「目的」「ターゲット」「参加動機」の違いがあります。くわしく解説していきましょう。
1.目的の違い
研修とセミナーは、その目的に少し違いがあります。研修の目的は「受講者に特定の知識やスキルを習得をさせること」であるのに対し、セミナーの目的は「特定のトピックやテーマに関連するノウハウを教えること」です。
また、一般的には研修にお金を払うのは企業や組織といった団体です。そのため、研修では受講者(社員)個人の成長に限らず、その先にある組織や企業全体のとしての成長や業績向上といったニーズにも応えることが求められるでしょう。
一方、セミナーは個人で受講することが一般的であり、目的は主にノウハウの獲得です。スキルの習得は必須ではありません。ノウハウの提供をしたら必要十分で、その後のスキル習得へのサポートは必ずしも求められないでしょう。
2.ターゲットの違い
上記「目的の違い」で説明したように、研修は企業や組織といった団体が主なターゲットになる一方、セミナーは個人が主なターゲットになる点で違いがあります。
また、研修は組織や企業を主なターゲットとするため非公開(社内など)で実施されることが多い一方、セミナーは一般の方をターゲットとするため一般公開(オープン)で実施されることが多いのも違いとしてあげられます。
3.参加動機の違い
研修とセミナーは、その参加動機にも違いが見られます。研修は、会社や組織からの命令によって参加を強制されている受講者も多く、受講者の参加意欲は必ずしも高いとは言えません。当然ながら意欲的に参加する人もいますが、そこには差が出やすいのが事実です。
一方、セミナーは自分自身の関心や学びたいテーマに基づいて自発的に参加する人が多く、研修と比べると受講者の参加意欲が高いのが特徴です。また、セミナーが有料の場合はとくに受講者は参加費を自己負担する必要があるため、高い参加意欲と目的意識を持って取り組む傾向があります。
講演会、ワークショップとの違い
研修やセミナーとは別に、講演会やワークショップについてもご紹介しておきましょう。
講演会
講演会は、あるテーマに関して、講演者(スピーカー)が自身の経験や専門知識をもとに演説する形式のイベントを指します。講演者は、ときに有名人やインフルエンサーが務めることもあります。また、目的はセミナーに近いものの、セミナーよりも「講演者の話を聞く会」という意味合いが強いのが特徴です。
ワークショップ
ワークショップは、受講者の主体性を重視したイベントです。受講者同士の意見交換やロールプレイングなどを行うことで、実践的な学びにつなげる狙いがあります。研修やセミナー、講演会に比べて「受講者が能動的・主体的に参加する必要がある」のが特徴です。
このように、研修やセミナー(また講演会、ワークショップ)は、それぞれ異なる部分を持っています。しかし、どの教育形式であっても「受講者の学びと成長を支援するもの」という点では変わりありません。まずは自身の目的やニーズに合わせて適切な形式を選択してみるとよいでしょう。
【主催者目線】研修・セミナーをより有益にするためのヒント
研修やセミナーに関する内容をひと通りご紹介したところで、ここからは実践編として「主催者ができる、研修/セミナーをより有益にするためのヒント」をお伝えしていけたらと思います。
研修とセミナーのヒントをそれぞれ分けてご紹介しますが、どちらも開催にあたり重要なヒントであることに違いはありませんので、あわせてご覧いただくことをおすすめします。
研修は「教え方」がポイント
研修では、前述したように会社や組織からの命令によって参加を強制されている受講者も多く、受講者の参加意欲は必ずしも高いとは言えません。そのため、主催者は受講者のモチベーションを高めるための「教え方」が重要になるのです。具体的には、次にあげるポイントを意識するとよいでしょう。
- 受講者との関係づくりを意識する
研修内では、対話やフィードバックを通して受講者との関係を築くことを意識しましょう。そうすることで、正確な情報伝達ができるうえ、受講者の参加意欲を促すことにもつながります。
- 受講者同士の交流を促す
研修では、グループディスカッションなどを通して受講者同士の交流を促すことで、受講者の参加意欲を刺激することができます。受講者の話に関心を寄せる「アクティブリスニング」を活用して対話につなげる方法も効果的です。
なお、受講者のモチベーションを高めるための教え方が重要になる研修では、上記のポイントを実践するための「コミュニケーションスキル」や「ファシリテーションスキル」といった能力が役立つでしょう。
セミナーは「話し方」がポイント
セミナーでは、いかに受講者の満足度を得られるかが重要です。「セミナーを受けてよかった!」そう感じてもらうためには、「私でもできそうな気がする」「試しにやってみよう」などと、受講者の心や行動に変化を与えることが重要なポイントになります。
そして、人の心や行動に変化を与えるためには、やはり「話し方(伝え方)」が非常に大切です。以下には、相手に伝わる話し方のポイントを簡潔にまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
セミナーを有益にする「話し方」のポイント
- 短い言葉で、一文一義を意識する
できるだけ短い言葉で、かつ一文一義(一つの文で、一つの内容)を意識することで、より理解しやすい言葉になります。
例)
改善前「受講者の心や行動に変化をもたらすには話し方が重要で、一文一義で話すことがポイントです。」
改善後「受講者の心や行動に変化をもたらすには話し方が重要です。ポイントは一文一義で話すことです。」
- 分かりやすい言葉で話す
専門性のあるテーマになればなるほど、つい難しい言葉を使ってしまいがちですが、専門用語や難解な表現は避けてシンプルな言葉で話すことを意識しましょう。
- PREP法を意識して話す
文章の型として知られる「PREP法」を使うことで、論理的に話を展開できるようになります。Point(結論)→Reason(理由)→Example(具体例)→Point(結論)の構成で、伝わる話し方を意識しましょう。
■参考記事はこちら
PREP法とは?例文やDESC法との違いについて基本からわかりやすく解説!
「環境づくり」は共通のポイント
研修/セミナー共通のポイントとして、環境づくりがあります。受講生がより集中力を維持しながら参加できるよう、下記のポイントを参考にしてみてください。
- 定期的な休憩時間を設ける
長時間にわたる研修やセミナーでは、受講者の疲労や注意力の低下が課題です。とくに人の集中力が保たれる時間は最大90分と言われているため、この時間を基準に定期的な休憩時間を設けるとよいでしょう。
- 会場は騒音の少ない場所を選ぶ
会場によっては外部の騒音が受講者の集中力を妨げたり、講師の声を聞き取りづらくするケースがあります。事前に会場の下見をするなど、受講者が集中できる環境の準備は丁寧に行うとよいでしょう。
研修・セミナーの探し方
それでは最後に、研修・セミナーを探す方法についてご紹介しておきましょう。探し方としては、大きくインターネットを使う方法とSNSを活用する方法があります。従業員向けの教育機会に、研修やセミナーを活用する際は、ぜひ参考にしてください。
インターネット検索から探す
インターネット検索は多くの候補から目的の研修やセミナーを探すことができるため、効果的な方法といえます。以下に具体的なサイトをピックアップしましたので、ぜひ参考にしてください。
「研修」検索のおすすめサイト
- JMAソリューション
講師派遣型の研修を幅広いテーマから検索できる研修サイト - JMAマネジメント・インスティチュート(JMI)
リーダー研修に特化し、約5400名の修了者を輩出した実績が豊富な研修サイト - 1名から参加できる研修の会社「インソース」
年間受講者66万人を突破、3,000種類以上の講座が充実する最大規模の研修サイト - 民間医局 レジナビWeb
全国の施設情報を集約。医学生・研修医のメインの情報源として活用されている研修情報サイト
「セミナー」検索のおすすめサイト
- JMAマネジメントスクール
約500種類の豊富なセミナーから部門別、階層別、開催地域別に検索できるセミナーサイト - JMAトップマネジメント研修プログラム
40年にわたる伝統と実績を誇る、トップマネジメント層向けのセミナーサイト - 日本能率協会 関西オフィス
関西エリアでの研修・ビジネスセミナー開催実績が豊富なセミナーサイト - 日本能率協会 人事・人材開発セミナー
人事プロフェッショナルを育成する長期コースが充実するセミナーサイト - JMAものづくりのためのオンラインセミナー
ものづくりで活かせる、実践的なノウハウが学べるオンラインセミナーサイト - 社員教育のNISSOKEN(日創研)
約239種類の豊富なカリキュラムとフォロー体制が特徴のセミナーサイト - 日経ビジネススクール
学生向けの無料セミナーからトップマネジメント層まで幅広い講座を提供するセミナーサイト - ビジネスセミナーガイド
ビジネスセミナーに加えて資格系や投資系セミナーなどが充実する日本最大級のセミナーサイト - 無料セミナー情報.COM
参加費が無料のセミナー情報のみを掲載するセミナーポータルサイト - セミナーズ
気軽に参加できる無料セミナーからマーケティング・経営が学べる人気のセミナーが豊富な研修・セミナーサイト - ストアカ
安価かつ趣味寄りの講座も豊富。レッスン感覚で気軽に利用できる日本最大級の習いごと検索サイト
研修・セミナー・その他共通
- 公益財団法人 日本生産性本部
階層別・テーマ別の講座からオーダーメイド研修まで多様なニーズに応える研修・セミナーサイト - Peatix
イベント、セミナー、ライブなど10,000以上のさまざまなイベント情報が発信されているイベントサイト - こくちーずプロ
48万件を超えるイベント掲載数、47種類のジャンルからなるイベント集客プラットフォーム
SNSから探す
インターネット検索以外に、SNSで探す方法もあります。SNS検索はとくに、特定のテーマに関するものや有名人やインフルエンサーが講師を務めるセミナーなどを探すのに有用な手段です。以下に具体的な活用方法をご紹介しますのでぜひ参考にしてください。
SNSで研修/セミナーを探す方法
ハッシュタグ(#)を活用して特定のトピックやテーマに関連する研修やセミナーを検索できます。業界の専門家や主催者がイベント情報を発信していることもあります。
Facebookにはさまざまなテーマに基づいたグループが存在します。関心のある分野や業界のグループに参加することで、研修やセミナーの開催情報を収集できるでしょう。
- YouTube
YouTubeには多数の研修やセミナーの動画コンテンツが公開されていますので、キーワード検索で動画を探してみましょう。お気に入りの講師やチャンネルを見つけたらチャンネル登録をするとより関連情報を収集しやすくなります。
- LinkedIn(リンクトイン)
世界最大級のビジネス特化型SNSです。日本での利用者数は現在300万人を超えていると言われています。関心のある分野や業界に関連するグループやコミュニティに参加することで、研修やセミナー情報を収集することができます。
まとめ
スキルアップや知識の獲得を目指して実施される、研修やセミナー。今回は、研修とセミナーの違いをはじめ、それらを有益にするためのヒントや開催情報の探し方までくわしくご紹介いたしました。
一見違いの分かりにくい研修とセミナーですが、両者はその目的からターゲット、受講者の参加動機まで、細かく見ると少しずつ違いがあります。これらの教育機会を効果的に活用するためにも、まずは違いを理解することが大切です。そのため、まずは本記事の内容をご覧いただき、研修/セミナーの活用、開催にご活用いただければ幸いです。