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DX人材育成の成功法とは?具体的な手順・課題・事例を徹底解説

作成者: 『shouin+ブログ』マーケティング担当|Jun 17, 2025 12:00:00 AM

近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が多くの企業や自治体で求められています。しかし、DXを実現するためには、単に最新のデジタル技術を導入するだけでは不十分です。DXを成功させるためには、それを担う「DX人材」の育成が不可欠となります。

ところが実際のところ、「DX人材って具体的にどんな人材なの?」「どのように育成すれば効果的なの?」といったような疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、DX人材の定義や必要性をはじめ、DX人材に求められるスキルや育成方法まで、くわしく解説していきます。教育プログラムの参考例や他社の成功事例もあわせてご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

DX人材育成とは?

まずは、DX人材育成の定義やその内容について整理し、理解を深めていきましょう。

DX人材の定義

DX人材とは、デジタル技術を活用し、企業や組織の変革を推進できる人材のことを指します。近年は多くの業界でデジタル化が急速に進んでおり、ITスキルだけでなく、デジタルを活かして新たな価値を生み出せる人材が求められているのです。

また「DX人材」は「デジタル人材」と混同されがちですが、両者の定義は少しずつ異なります。「DX人材」は最新のデジタル技術を活用し、組織に変革をもたらす役割を担いますが、一方で「デジタル人材」は、技術を活用して価値を創出する役割を担い、必ずしも組織の変革を担うわけではありません。

 

DX人材の6つの種類

DX人材は、一括りに「DX人材」と言っても、その役割によって以下の6つの種類に分けられます。

プロジェクトマネージャー DXプロジェクトを統括し、成功へと導くリーダー
ビジネスデザイナー デジタル技術を活用し、新たなビジネスモデルを企画・推進する人材
アーキテクト システム全体の設計・構造を考え、技術選定や設計方針を決める人材

データサイエンティスト

AIエンジニア

AIなどのデジタル技術やデータを分析に精通した人材
UXデザイナー ユーザー体験(UX)の向上を目的に、製品やサービスの設計を行う人材

エンジニア

プログラマー

デジタルシステムの実装やインフラ構築などを行う人材

DXを適切に推進していくためには、これら6つの種類の人材が不可欠です。しかし、すべての人材を確保・育成するのは非常に難しく、多くの起業で課題となっています。

 

DX人材の育成が必要とされている背景

DX人材の育成が求められる背景には、デジタル技術の進化と人材不足の深刻化という2つの大きな要因があります。AIやIoT、ビッグデータといった先端技術が急速に発展する中で、企業が競争力を維持・強化するためには、これらの技術を適切に理解し、活用できる人材が不可欠です。

ところが、少子高齢化の進行により人材不足が深刻化しており、とくにDX人材の不足は顕著になっています。経済産業省の調査によれば、2025年までに約43万人のIT人材が不足すると予測されており、企業はこの現状を踏まえて、早急にDX人材の確保と育成に取り組む必要があります。

■参考:経済産業省「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~

 

DX人材を育成するメリット

DX人材を育成すると、具体的にどのようなメリットが生まれるのでしょうか。くわしく見ていきましょう。

メリット1.自社のDX推進を加速できる

前述したように、現在はDX人材の需要に対して、その供給は不足する一方です。また、社内でDXを推進するには、単なる技術導入だけでなく組織全体の変革が必要であり、人材の質と量の両方を確保することは容易ではありません。その点、社内でDX人材の育成ができれば、質と量の両方を確保しやすくなるだけでなく、社内のDX推進を加速させることができるでしょう。

メリット2.自社の事業に最適なDXが進められる

DXの導入は、自社の業務形態に最適な形で進めることが重要です。たとえば既存システムの改善であれば、現状どのような課題があり・どのように改善したいのかを適切に理解しながら進めなければ、結果として重大なエラーにつながる恐れも否定できません。その点、DX人材を社内で育成することができれば、内部システムなどに熟知したDX人材が生まれ、自社の事業に最適なDXが進めやすくなるでしょう。

メリット3.業務効率化とイノベーション促進につながる

DX人材の育成は、業務プロセスの効率化やイノベーションの促進にもつながります。社内のDX人材が増えることで、ITツールの導入やそれらを活用した効率化のアイデアが生まれやすくなり、DXはどんどん加速することでしょう。また、データ分析などの技術を駆使し、その結果を製品やサービスに応用するといったこともできるようになります。結果として、他社との差別化を図れる魅力的な製品やサービスの開発が期待できるでしょう。

 

DX人材に求められる6つのスキル

人手不足の現代では、もはやDX人材の育成は欠かせません。しかし、どのようなスキルを持った人材が求められるのか、具体的には分からないことも多いことと思います。そこでここからは、DX人材に不可欠な6つのスキルについてくわしく解説していきます。

①IT関連の基礎力

DXを推進するうえで、ITに関する基本的な知識は欠かせません。たとえエンジニアではないプロデューサーやデザイナーであっても、ITの基礎を理解していれば、技術チームとの意思疎通がスムーズになり、プロジェクトを円滑に進めることができます。

また、単なる技術の理解にとどまらず、業界全体でのITの使われ方や抱えている課題、今後の動向についても把握しておくことが大切です。とくに、AIやIoTなどの先端技術に関する知識や技術は、より良い製品・サービスを開発するうえで重要な要素になります。

 

②プロジェクトマネジメントスキル

DXは、単なる技術導入ではなく、業務改革の一環として行われるものです。多くの人と一体になってプロジェクトを進めることになるため、「プロジェクトマネジメントスキル」が求められます。

プロジェクトを進めるなかでは、思い通りにいかないことや、メンバー同士の意見がぶつかることもあるでしょう。そのような時に、スケジュール管理をはじめ、課題抽出、課題解決、チームマネジメント、リスク管理などの能力(プロジェクトマネジメントスキル)を備えた人材がいることで、プロジェクトの成功率を高めることができるのです。

 

③ビジネス発想力(企画力・構築力)

DX人材には、新たなビジネスモデルを考案し、実現するための企画力と構築力も求められます。単に技術を活用するだけでなく、それを活かしてどのように価値を生み出すかを考える力が「ビジネス発想力」です。アイデアを具体化するとともに、関係部門と連携しながら、現場で機能する形へと落とし込んでいきます。

たとえば、実店舗を持つ小売業であれば、顧客の購買意欲を高めるために、モバイルアプリを通じたクーポン配付やキャンペーン情報の配信がアイデアとして挙げられます。他にも、問い合わせ窓口の入り口としてAIのチャットボットを活用することで、業務効率化や顧客満足度の向上につながる可能性もあります。

このように、ビジネス発想力は、DXを推進するうえでの根幹となる「企画・構築」を行うスキルです。そしてこのスキルは、あらゆる視点(職種)からアイデアを生み出すためにも、すべてのDX人材が備えておきたいスキルと言えるでしょう。

 

④データビジネス発想力/データ分析力

データをどのように活用し、ビジネスの成長につなげるかを考える「データビジネス発想力」と、データを収集・分析し、意思決定を支援する「データ分析力」は、DX人材にとって不可欠なスキルです。このスキルにより、ビジネス戦略を立案し、データに基づいた施策を行うことができます。

たとえば、ECサイトを運営する企業であれば、ユーザーの購入履歴や行動データを分析することで、顧客ひとり一人に最適な商品を提案する「レコメンド」に活用できるでしょう。データビジネス発想力があれば、このようなデータを味方につけたアイデアが生まれやすくなります。

また実際には、これらのデータをどのように収集するのか、どのように分析するのかといった部分まで落とし込む必要があり、ここにはデータ分析力も必要とされるでしょう。

 

⑤UI/UXのデザイン力

DXでは、顧客の体験価値を高めるためのUI(ユーザーインターフェース)とUX(ユーザーエクスペリエンス)のデザイン力が欠かせません。とくに、Webやアプリケーションを通じてサービスを提供する場合、システムの「使いやすさ」や、webサイトの「見た目(魅力的かどうか)」は、サービスの利用率や顧客満足度に直接的に関わってくるものです。

また、デザインの影響を受けるのは必ずしも顧客だけではありません。UI(ユーザーが目にする画面や操作部分)が分かりやすく設計されていると、従業員が直感的に操作しやすくなり、業務の効率化にもつながるのです。逆に、使いづらいシステムでは、社員の負担が増し、DXがうまく進まないケースもあるでしょう。

このように、とくに顧客が関わる部分においては、UIとUXのデザイン力がDXの成功のカギといっても過言ではありません。

 

⑥社内調整力・政治力

DXの推進には、社内の異なる部署との連携が不可欠です。そのため、関係者を巻き込みながら調整を進める「社内調整力」と、経営層を動かすための「政治力」が求められます。

たとえば、DXを進めるために新しいシステムを導入しようとしても、その手間やリスクから現場の反発があることは珍しくありません。このような場合、各部署の意見を取りまとめ、トップマネジメントの理解を得るための交渉力が必要になります。このような時に、現場の声を汲み取りつつ、全社的なメリットを説明できるDX人材がいると、導入がスムーズに進められるのです。

 

DX人材育成の5ステップ

DX人材を効果的に育成するためには、体系的なアプローチが必要です。単にITスキルを学ばせるのではなく、自社のDX戦略に沿った人材育成を行うとよいでしょう。ここからは、DX人材育成を成功させるための5つのステップをくわしく解説していきますので、ぜひ貴社の人材育成にお役立てください。

ステップ1.DXの目的・ゴールを明確にする

DX人材育成を成功させるためには、まずDXの目的とゴールを明確にする必要があります。目的が曖昧なままでは、適切な人材の育成が難しくなります。具体的には、以下の点を整理しましょう。

  • 企業がDXを進める目的は何か?
    (例:業務効率化、ビジネスモデルの変革)
  • DXの成功によって期待する成果は何か?
    (例:売上アップ、コスト削減、サービス品質の向上)
  • DXを推進するうえでの課題やボトルネックは何か?
    (例:人材不足、社内のITリテラシーの低さ)

たとえば、製造業の企業がDXを推進する場合、「IoTを活用したスマート工場の実現」「データ活用による品質向上」といった具体的な目標を設定することが重要です。

 

ステップ2.必要な人材像とスキル要件を定義する

次に、ステップ1で定めた目的・ゴールに対して、どのようなスキルを持つ人材が必要かを明確にしていきます。前述した6つの種類と6つのスキルを参考に、求める人材像を具体的に定義していきましょう。

たとえば、小売業でDXを推進する場合、顧客の購買データを分析・活用できる人材である「データサイエンティスト/AIエンジニア」が求められます。また、DXを効果的に推進していくためには、統括役の「プロジェクトマネージャー」やシステム設計役の「アーキテクト」を参加させるなど、バランスを考えたスキル要件を設定するとよいでしょう。

なお、スキル要件を定義する際は、厚生労働省が配布している「職業能力評価基準」が参考になります。仕事をこなすために必要な「知識」や「技術・技能」に加えて、「成果につながる職務行動例(職務遂行能力)」が示されています。

■資料ダウンロードはこちら

厚生労働省「職業能力評価基準の策定業種一覧

 

ステップ3.育成対象者を選出する

次に、DX人材育成の対象となる社員を選出します。育成対象者を選ぶ際には、デジタル技術に対する興味や成長意欲の高い人材を優先しましょう。また、適性だけでなく、企業の戦略に沿った役割を担えるリーダーシップを持った人材を選ぶことも大切です。選定方法としては、アンケート調査やテストを通じて、従業員の意欲やスキルレベルを把握するとよいでしょう。

【育成対象者を選出する際のポイント】

  • デジタル技術に対する興味関心があるか
  • 変革をリードできるリーダーシップがあるか
  • 業務プロセスの課題を理解し、解決策を考えられるか

また、対象者の選出には大きく「公募」と「選抜」の2種類の選定方法がありますが、どちらで行うか(または両方で行うか)は、自社の状況によって判断していきましょう。なお、公募の場合「今の仕事が嫌だから」というネガティブな理由から手を挙げる者もいるため、選定には注意が必要です。

 

ステップ4.人材育成計画を立てる

育成対象者が決まったら、これまでの情報をもとに具体的な育成計画を立てていきます。理論的な知識を習得できる座学型の研修と、実践的なスキルを学べるOJTをバランスよく取り入れるとよいでしょう。この他にも、Webセミナーやeラーニングなど多様な学習方法がありますので、自社に合った学習方法を検討してみてください。

なお、人材育成計画をエクセルに落とし込むには、テンプレートの活用が便利です。今回、弊社独自に作成したテンプレートをご用意しましたので、ぜひ下記リンクよりダウンロードしご活用ください。(無料でダウンロードいただけます。)

なお、人材育成計画の立て方については、以下の記事でよりくわしくご紹介しています。ぜひ参考にご覧ください。

■参考記事はこちら

人材育成計画とは?基本の立て方や計画書のテンプレート例を紹介

 

ステップ5.評価とフィードバックを行う

DX人材の育成は、一度きりの研修で終わるものではありません。育成の効果を測定し、継続的にフィードバックを行うことで、継続的なスキルアップにつながります。評価の方法としては、以下のような指標を参考にしてみるとよいでしょう。

【評価方法の例】

スキルの習得度

知識の定着度や技術の理解度を、課題提出・確認テストの結果をもとに評価する

実務への活用度

学んだ内容を業務でどれだけ活かせているか、プロジェクトへの貢献度や提案の具体性などをもとに評価する

提案数・実現度

新規アイデアの提案数や実際の導入件数をもとに評価する

協働力・コミュニケーション力

プロジェクト内での他部門との連携やチーム内での意見交換・調整力などを評価する

 

DX人材育成プログラムの例

DX人材を育成するためには、具体的なプログラムを設計し、体系的に実施することが重要です。以下では育成プログラムの例を紹介しますので、ぜひ教育プログラム作成の参考にしてください。

【育成プログラム例】

参考プログラム名:DXリーダーシップ育成プログラム  
対象者:DX推進リーダー候補者

カリキュラム名

内容

形式

マインドセット講座

成長マインドセットや挑戦的思考を育む

Off-JT

DX基礎知識

デジタルトランスフォーメーションの概念とIT基礎知識を学ぶ

eラーニング

データ分析基礎

データ分析の基本的な手法とツールを習得する

eラーニング

AI・機械学習入門

PythonやRを用いたデータ分析とAIの基礎を理解する

eラーニング

リーダーシップスキル

チェンジマネジメントやコミュニケーションを通じたリーダーシップスキルを育む

Off-JT

DXプロジェクト実践

実際のDXプロジェクトに参加し、プロジェクト支援業務を行う

OJT

DX戦略とビジネスモデル

企業のDX戦略とビジネスモデルキャンバスを理解する

Off-JT

プロジェクトリーダーとしての実践

プロジェクトをリードし、チーム管理と成果物の品質管理を行う

OJT的Off-JT

 

DX人材育成を成功させるためのポイント

DX人材育成を成功させるためには、いくつかのコツがあります。ここでは、DX人材育成を効果的に進めるための3つのポイントを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

フレームワークを活用する

DX人材育成は、フレームワークを活用することでより効率的に進めることができます。人材育成に活用できる7つのフレームワークをご紹介しますので、目的に合わせて適宜活用していきましょう。

人材育成に活用できる7つのフレームワーク

フレームワーク名

内容

SMARTの法則

目標設定に活用できるフレームワーク。5つの要素に基づいて情報を整理することで、具体的かつ達成可能な目標設定ができる

カッツ理論

スキル要件の設定に活用できるフレームワーク。スキルを「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」の3つに分類し、役職に応じて求められるスキルの比率が分かる

70:20:10フレームワーク

学習の最適な割合を示したフレームワーク。学びの70%を経験から、20%を他者との交流から、10%を研修などの形式学習から得ることで、効果的な人材育成ができる

カークパトリックモデル

教育研修の効果測定に活用できるフレームワーク。「反応」「学習」「行動」「成果」の4段階で評価することで、研修の有効性を客観的に把握できる

HPI

(Human Performance improvement)

組織や個人の業務パフォーマンスを改善するために活用できるフレームワーク。現状と目標のギャップを明確にし、最適な解決策を導き出すことができる

コンピテンシーの氷山モデル

表面的なスキルだけでなく、内面的な資質も含めて人材を把握できるフレームワーク。行動特性の背景にある価値観や動機を理解することで、より的確な人材育成ができる

思考の6段階モデル

思考力の成長プロセスを可視化するフレームワーク。「知識」「理解」「応用」「分析」「統合」「評価」の6つの段階に分けて、効果的な人材育成を実現する

なお、これら7つのフレームワークについてよりくわしく知りたい方は、ぜひこちらの参考記事をご覧ください。

■参考記事はこちら

人材育成とは?課題と解決策、目標設定の考え方などについて具体例を交えてわかりやすく解説!

 

ツールを活用する

DX人材育成では、オンライン学習ツールやデジタル教材を活用することで、より効率的にスキルの習得を促すことができます。とくに、学習の進捗を可視化し、継続的に学べる環境を整えることがポイントです。

たとえば、LMSを用いて学習の進捗管理を行ったり、eラーニングで社員が自分のペースで学べる環境を整えるなどといった方法が考えられます。テストツールなどを用いて習熟度の確認を行うのもよいでしょう。

また、これらの機能を持ち合わせたツールとしては、人材育成サービスに特化したクラウド型eラーニングプラットフォーム『shouin+』もおすすめです。人材育成に必要とされる機能を多数持ち合わせていますので、気になる方はぜひ下記リンクからチェックしてみてください。

■参考:クラウド型eラーニングサービス『shouin+

 

補助金・助成金を活用する

DX人材育成にはコストがかかるため、補助金や助成金を活用することで、より負担を抑えながら育成を進めることができます。以下、人材育成や労働環境の整備に活用できる補助金・助成金をご紹介しますが、最新の情報は各補助金・助成金のホームページをご確認ください。

名称

概要

人材開発支援助成金

企業が人材育成のために研修を行う場合に助成される制度

IT導入補助金

中小企業向けのITツール導入を支援する制度

DXリスキリング助成金(東京都)

都内中小企業のDX関連職業訓練を助成する制度

この他、自治体が実施する独自の支援制度も多数ありますので、気になる方は事業所が所属する市町村に確認してみるとよいでしょう。

また、補助金や助成金についてよりくわしく知りたい方は、下記記事を参考にご覧ください。人材育成以外にも、労働環境の整備や人材確保・雇用に活用できる制度なども多数ご紹介しております。

■参考記事はこちら

人材育成や労働環境の整備に活用できる補助金・助成金9選

 

DX人材育成のよくある課題と対策

DX人材育成を進める上では、多くの企業が共通して直面する課題があります。そこでここからは、よくある課題とその対策について解説します。

育成方針が曖昧で方向性が定まらない

DX人材育成におけるよくある課題の1つに、「どのような人材を育成すべきか明確になっていない」というものがあります。目的が曖昧なままでは、研修や学習プログラムを実施しても効果が限定的なものになってしまうでしょう。

そこで、DX人材育成を行う場合は、戦略に基づいて必要な人材イメージを明確にすることが重要です。具体的な方法については下記記事で解説しておりますので、ぜひ参考にご覧ください。

■参考記事はこちら

人材育成で大切なこととは?各階層で抑えるべきポイントや育成に必要なスキルを解説

 

教育が実務に活かされない

DX人材育成において、座学研修を実施しても、実際の業務でうまく活かせないケースが多くあります。これは単なる座学研修ではスキルの定着が難しく、現場での活用につながりにくいためです。

そこでこの課題を解決するには、OJTを活用し、学んだ内容を実際の業務で試行する機会を提供することが重要です。また、学習後のフォローアップやフィードバックも効果的でしょう。

 

DXを推進する文化が醸成されない

DX人材が育成できたとしても、社内全体でDX推進の文化が根付かないケースがあります。とくに、上層部の理解不足や既存の業務プロセスへの固執が、DX推進の障壁となることがあります。

このような場合は、まず経営層や管理職にDXの重要性を周知し、理解を促すことが大切でしょう。また、OJTやeラーニングを通じて、実際の業務でDX技術を活用する機会を提供し、成功事例を社内で広めていくことも効果的です。

 

DX人材育成の成功事例

それでは最後に、DX推進に成功した企業の実例を紹介いたします。

株式会社小松製作所

株式会社小松製作所は、建設機械業界のリーディングカンパニーとして、DXによる現場革新と人材育成に注力している企業です。同社は「ダントツバリュー」のスローガンのもと、製品・稼働・施工の高度化を目指し、ICT建機やデジタルツイン技術を活用した「DXスマートコンストラクション」を推進。2021年には関連会社EARTHBRAINを設立し、NTTやソニーなどと連携しながら、建設現場全体のデジタル化を行っています。

また、社内では2019年度からAI人材育成プログラムを導入し、AIの技術力だけでなく、課題解決力やプロジェクト推進力も兼ね備えた人材育成を実施。こうした取り組みが評価され、同社は「DXプラチナ企業2023-2025」にも選出されました。DXと人材育成を両輪で進める姿勢が、業界のデジタル変革をけん引しています。

 

株式会社大林組

株式会社大林組は、建設業界におけるDX推進企業として、「生産DX」と「全社的DX」を柱にデジタル変革を行う企業です。業務プロセスの抜本的改革やBIM基盤への移行を進める一方で、「社内データの統合」「業務の自動化」「システムの効率化」「デジタル人材の育成」といった全社的な取り組みも行っています。

とくにDX本部内に設置されたデジタル教育課では、AIやデータサイエンスを含む専門教育プログラムを実施し、ITパスポートの取得などをKPIとして人材育成を推進。さらには、サプライチェーン全体に広がるBIM教育や、YouTube形式の社内チャンネルなど、実践的で多様な学びの場も提供しています。その結果、DX銘柄2023にも選出され、DXによる建設現場の効率化と新たな価値創出を実現しています。

 

まとめ

本記事では、DX人材の定義からDX人材に求められるスキルや育成方法まで、くわしく解説いたしました。

DX推進を成功させるには、多様なスキルを持つ人材の育成が不可欠です。企業は、自社のビジネスモデルや戦略に即したスキルセットを明確にした上で、ITリテラシーやデータ活用力、デジタル技術の理解などを含む実践的かつ継続的な教育プログラムを導入することが重要です。

小松製作所や大林組の先進的な取り組みから学び、自社に最適なDX人材育成を目指しましょう。