shouin+ブログ

shouin+ブログ 新時代の人材育成情報をお届け
shouin+ブログ 人材育成・研修

内定者研修の進め方ガイド|目的・内容・給料・違法性まで人事目線で整理

人材育成・研修
2026.08.20
『shouin+ブログ』マーケティング担当

「内定を出したけれど、本当に入社してくれるか不安……」「内定者研修って、具体的に何をすれば喜ばれるのだろう?」このような悩みをお持ちではありませんか?

売り手市場が続く中、内定者研修は単なる学習の場ではなく、内定辞退を防ぎ、入社への意欲を高める重要な施策となっています。しかし、やり方を間違えると学生の負担になり、かえって逆効果になることもあるため注意が必要です。

本記事では、内定者研修を企画・運営する人事担当者の方へ向けて、内定者研修の具体的なプログラム例から、給与や法的な取り扱い、服装のマナーまでくわしく解説します。内定者の不安を解消し、期待感を持って入社式を迎えてもらうためのヒントとして、ぜひお役立てください。

 

内定者研修の目的とは?

内定者研修は、単に入社前の準備をさせるだけのものではありません。まずは、研修を設計する上で軸となる、内定者研修の主な4つの目的について見ていきましょう。

内定者研修の目的

1.内定辞退を防ぐエンゲージメント向上

内定を獲得した学生の多くは、「本当にこの会社でよかったのだろうか」という迷い、いわゆる「内定ブルー」を経験します。この不安を放置すると、他社への心変わりや内定辞退につながりかねません。そのため、研修を通じて自社の魅力を再確認させ、帰属意識(エンゲージメント)を高めることが極めて重要です。

具体的には、経営陣からのメッセージで会社のビジョンを共有したり、オフィスツアーで働くイメージを具体化させたりする取り組みが効果的でしょう。「自分はこの会社から必要とされている」と学生に実感させること、また同期や先輩社員とのつながりをつくり「ここで頑張りたい」という前向きな気持ちを育てていくことがポイントです。

 

2.入社前の不安払拭とマインドセット

学生から社会人への切り替えは、誰にとっても大きなプレッシャーとなるものです。「仕事についていけるか」「上司や先輩とうまくやっていけるのか」といった漠然とした不安を抱えながらも、安心して入社日を迎えられるよう、企業側が先回りしてフォローする必要があるでしょう。

そしてこの段階では、厳しい指導よりも、社会人としての心構え(マインドセット)を優しく伝えることが大切です。たとえば、「失敗を恐れずに挑戦することの大切さ」や「プロとしての責任感」について、先輩社員の体験談を交えて伝えると、学生の心に響きやすくなります。過度なプレッシャーを与えず、ポジティブな気持ちで4月を迎えられるよう導いてあげてください。

 

3.同期・社員との人間関係の構築

同期や社員との人間関係づくりも、内定者研修の大切な目的の一つです。学生にとって、入社の決め手は「人」が大きな割合を占めると言われますが、内定後も同じことがいえます。同期との関係が希薄なまま入社すると、困ったときに相談できる相手がいない状態でスタートしてしまい、孤立感を抱きやすくなるでしょう。

一方で、内定者研修の中で、自己紹介やグループワーク、座談会などを通じてフラットに話せる場をつくると、「このメンバーと一緒に働くのが楽しみ」というモチベーションにつながります。また、歳の近い先輩社員(メンター)を紹介し、気軽に相談できる相手を作っておくことも効果的でしょう。知っている顔が増えるだけで、入社時の心理的なハードルはぐっと下がるものです。

 

4.早期戦力化に向けた基礎スキル習得

入社後すぐに活躍してもらうためには、最低限のビジネススキルを内定期間中に身につけておくことが望ましいでしょう。とくに「ビジネスマナー」や「PCの基本操作(OAスキル)」、「報連相のやり方」などの基礎スキルは、どの部署でも必要になる共通スキルであるため、研修にも盛り込みやすい内容です。

ただし、詰め込みすぎには注意が必要です。学生の本分はあくまで学業であるため、無理のない範囲で課題を設定してください。おすすめは、eラーニングを活用して自分のペースで学習できるようにする方法です。「入社までにこれだけできれば大丈夫」という明確なゴールを示してあげると、学生も意欲的に学習に取り組めるでしょう。

■参考記事はこちら

社会人基礎力の診断方法とは?無料で使えるチェックシートの解説付

 

内定者研修の内容は?

内定者研修の内容を考えるときは、「一日で完結する単発イベント」ではなく、内定から入社までの時間をどうデザインするか、という視点が重要になります。ここからは、よくあるプログラムの流れに沿って、具体的な内容と工夫のポイントを見ていきましょう。

1.全体の流れの説明

研修の初日や各セッションの冒頭では、必ず全体像を提示してください。「今日は何をするのか」「最終的にどうなっていればいいのか」が見えないままでは、学生は不安を感じ、集中力を欠いてしまいます。

たとえば、開始直後に「今日のゴール」として、「同期との顔合わせ」「会社理解の深化」「社会人としての第一歩の準備」といったキーワードを共有し、一日のタイムライン(オープニング→自己紹介→グループワーク→マナー講座→座談会など)を簡潔に伝えると、安心して参加してもらえるでしょう。

また、研修中のルール(途中の出入り、スマホの扱い、質問のタイミングなど)も最初に説明しておくと、学生側も動きやすくなり、余計なストレスを減らせます。オンライン開催の場合は、マイクやカメラのオンオフ、チャットの使い方などもあわせて案内しておきましょう。

 

2.自己紹介・アイスブレイク

緊張している内定者の心をほぐすために、アイスブレイクは欠かせません。単に名前と大学名を言うだけの自己紹介では記憶に残りにくいため、少し工夫を凝らした自己紹介ワークを取り入れてみましょう。

たとえば、「他己紹介(ペアになって相手を紹介する)」や「共通点探しゲーム(3~4人で共通点を探して発表)」などは、短時間でも一体感が生まれやすくおすすめです。人前で話すのが苦手な学生もいるため、「いきなり発表させる」のではなく、ペア・小グループでの対話から始めると心理的ハードルを下げられます。

また、オンライン開催の場合は、ブレイクアウトルームを活用し、少人数での対話の時間を増やすと、画面越しでも一体感が生まれやすくなります。

 

3.楽しみながら学ぶビジネスゲーム

座学ばかりではどうしても退屈してしまいますが、ゲーム形式なら楽しみながらビジネスの基礎を学べます。チームで協力して課題を解決するプロセスを通じて、役割分担やコミュニケーションの重要性を体感できるのがメリットです。

たとえば、「コンセンサスゲーム(合意形成ゲーム)」は定番です。「無人島に持っていくなら何を選ぶか?」といった正解のない問いに対し、チーム全員が納得する結論を導き出します。また、会社経営を疑似体験するボードゲームや、ブロックを使って原価計算を学ぶワークなども良いでしょう。勝ち負けや順位をつけることで競争心が芽生え、内定者同士の距離が縮まりやすくなります。

ゲーム設計のコツ

  • ルールはシンプルに、説明は5分以内に

  • 役割を割り振り、全員が発言する仕掛けを作る

  • 最後に「うまくいった点/難しかった点」を共有する


4.ビジネスマナー・OAスキルの基礎

社会人としての「型」を身につけるために欠かせないカリキュラムです。「完璧なマナー」を教え込む場というより、「最低限の失礼にならないライン」を押さえてもらう場として設計すると良いでしょう。内容としては、あいさつや敬語、名刺交換、メールの基本、会議の入り方、オンライン会議でのマナーなどが代表的です。

また、このような基本スキルを教えるには、ロールプレイングで実践的に行うのが効果的でしょう。講師が手本を見せた後、内定者同士でペアを組んで練習し、互いにフィードバックし合います。実際に体を動かすことで、知識が定着しやすくなるでしょう。

一方でOAスキルについては、ExcelやPowerPointの基本操作、ショートカットキー、簡単な資料作成のコツなどを押さえておくと、入社後のOJTでの負担が減ります。学生のレベルには個人差があるため、事前アンケートでスキル状況を把握し、必要に応じてeラーニングや動画教材を活用する形にしておくと、無理なく学んでもらえるでしょう。

 

5.先輩社員との座談会・交流会

現場のリアルな声を聞ける座談会は、内定者満足度が得られやすいプログラムです。

一方的な講演形式よりも、少人数テーブルに先輩が入ってフリートークをする形式の方が、内定者からの質問も出やすく、距離も縮まりやすいでしょう。テーマとしては、「入社1年目のリアル」「つまずいた経験と乗り越え方」「キャリアの考え方」など、成功談だけでなく等身大のエピソードを共有してもらうことがポイントです。

また、この場では、あえて「NGなしの質問コーナー」を設けるのも一つの手です。「残業はぶっちゃけどれくらい?」「有給は取りやすい?」といった、説明会では聞きにくい質問にも正直に答えることで、企業の透明性をアピールできるでしょう。

座談会・交流会でのトークテーマ(例)

  • 入社1年目のリアル

  • 最初につらかったことと乗り越え方

  • 1日の働き方(忙しい時期の過ごし方)

  • 配属や評価で不安だった点

  • 学生のうちにやってよかった準備

  • キャリアの考え方

 

6.eラーニング等の自宅学習プログラム

近年は、内定者研修の一部をeラーニングやオンライン教材による自宅学習に切り替える企業が増えています。自宅学習を活用するメリットは、学業やアルバイトの予定に合わせて自分のペースで進められることと、移動時間や会場費を抑えられることです。

コンテンツとしては、ビジネスマナーの動画講座、業界知識や自社サービスの基礎解説、ExcelやPowerPointの基礎講座などがよく使われています。ただし、やりっぱなしになると学習効果が薄れやすいため、フォロー体制は不可欠です。

とくに、受講状況の見える化(ダッシュボードやレポート)をしたり、未受講者には個別フォローをしたりと、負担になりすぎない範囲でサポート体制を整えておくと良いでしょう。

■参考記事はこちら

【簡単解説】eラーニングとは?意味・活用方法・始め方を初心者向けに解説

 

実施時期はいつ?最適な期間と頻度

内定者研修を実施するにあたり、スケジュール設定も悩みどころですよね。「早すぎると間延びするし、直前すぎると忙しい」というジレンマは、多くの人事が抱えています。そこでここでは、一般的な開始時期の目安と、学業優先の考え方、拘束時間とオンライン活用のコツについて確認していきましょう。

10月の内定式以降が一般的な開始時期

多くの企業では、10月1日の内定式を皮切りに研修をスタートさせます。内定式で正式に内定承諾書を提出し、気持ちが切り替わったタイミングで研修を始めるのがスムーズだからです。

ただし、実際には内々定を出したタイミング(4~6月ごろ)からオンラインでの顔合わせや情報提供を始める企業が多くあるのも事実。そのため、「内々定期〜内定式」「内定式〜入社式」の2つのフェーズで考えると設計しやすくなります。

具体的には、内々定期は軽めのオンライン懇親会や会社説明の補足セミナー、簡単なeラーニングの導入にとどめ、10月以降に対面での研修やグループワークを増やしていくイメージです。業界や採用スケジュールによって差はありますが、「内定式後に月1回程度の接点がある」くらいのペースを目安にすると丁度良いでしょう。

 

学業を優先したスケジュール設計のコツ

あくまで内定者は「学生」であり、最優先すべきは学業です。そのため、研修日程を決める際は、大学の行事予定や試験期間、卒論提出時期などを必ず考慮しなければなりません。

そのため、事前に大学の学年暦を確認し、試験期間を避ける、平日の夕方ではなく土曜日半日程度にするなど、配慮のある設計を心がけましょう。事前にアンケートをとって参加しやすい日時を探るのもおすすめです。

また、どうしても参加できない学生が出た場合に備えて、予備日を設けたり、アーカイブ動画を後日共有したりなど、フォロー体制を整えておくことも大切でしょう。

 

拘束時間とオンライン活用のバランス

かつては全員が本社に集まって一日がかりで行う集合型の研修が主流でしたが、現在はオンラインを活用した短時間の研修も増えています。移動時間が不要なオンライン研修は、地方学生や多忙な学生にとって嬉しい形でしょう。

研修時間としては、「知識習得や事務連絡はオンラインで1〜2時間」「チームビルディングや懇親会は対面で半日」というように、目的によって柔軟に変化させるのがおすすめです。オンライン研修での拘束時間は必要最小限に抑えつつ、対面での研修はしっかり時間を取るなど、バランスが大切でしょう。

 

給料は必要?強制参加と違法性の注意点

内定者研修を実施する際、「参加者に給料は支払うべき?」「無給で実施するのは違法?」などと、不安に感じることも多いのではないでしょうか。

そこでここでは、内定者研修にまつわる給与・交通費・労災・法的基準について、一般的な視点から解説します。

 

1.「強制」か「任意」かで決まる給与支払

内定者研修で給料が発生するかどうかは、参加が「強制」か「任意」かで変わります。

会社が日時を指定し、参加を義務付けている(=参加しないと学生に不利益がある)場合は「業務」とみなされ、賃金の支払い義務が発生します。一方で、参加が自由であり、欠席しても評価や入社に影響がない「完全な任意参加」であれば、原則として給料を支払う必要はありません。

しかし、「任意」と言いつつ事実上の強制になっているケース(欠席理由をしつこく聞く、暗に参加を促すなど)はグレーゾーンとなるため注意が必要です。リスクを避けるためにも、業務とみなされる可能性が高い集合研修には、時給等の給与を支払うのが無難でしょう。

労働時間とは

・労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいいます。

・使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は、労働時間に該当します。

研修・教育訓練の取扱い

・研修・教育訓練について、業務上義務づけられていない自由参加のものであれば、その研修・教育訓練の時間は、労働時間に該当しません。

引用元:「労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い」厚生労働省

 

2.交通費支給に関する法的基準

交通費については、法的に必ず支給しなければならないものではありません。とはいえ、一般的には「強制参加であれば会社負担とするのが望ましい」でしょう。

とくに、遠方から参加する学生に対して交通費を支給しないと、金銭的な理由から参加を辞退される可能性も。企業の印象も悪くする恐れもありますので、特別な理由がない限りは支給するのが無難だといえます。

また、強制参加の研修が長時間に及び、所定の時間を超える場合には、残業代(時間外割増賃金)の対象となる可能性もあります。実際の拘束時間と内容を踏まえて、労働時間としてどこまでカウントするかを事前に社労士などの専門家と確認しておくと安心でしょう。

通勤に要する費用は、使用者が支給することは義務付けられておらず、使用者が負担しなければならないという法律はない。(通勤手当の支払いを強制する法律はない。

引用元:「通勤手当について厚生労働省

 

3.研修中の事故と労災保険の適用範囲

万が一、内定者研修中に事故やケガが起きた場合、労災保険の対象にはなるのでしょうか。これも給与と同様、「労働者」として扱われるかどうかが判断基準になります。

強制参加で給与が支払われている研修中に怪我をした場合は、業務災害として労災認定される可能性が高いでしょう。しかし、完全な任意参加や懇親会の最中の事故などは、業務外とみなされ適用されないケースもあります。

内定者研修の設計段階で、実施形態や内容、参加義務の有無を整理し、自社の労災保険の取り扱いや任意保険の加入状況も含めて、専門家への相談を行っておくと安心でしょう。

 

4.SNS炎上を防ぐコンプライアンス対策

近年、内定者研修の内容や雰囲気がSNSで拡散され、炎上につながる事例も報道されています。長時間の無給研修や、過度な精神論、ハラスメントと受け取られかねない指導などは、とくにリスクが高いポイントです。

炎上を防ぐためには、まず法令を守ることはもちろん、「学生の立場や価値観に配慮した内容か」「会社にとって都合の良い一方通行のメッセージになっていないか」を冷静にチェックすることが大切でしょう。具体的には、次のような対策が考えられます。

SNS炎上を防ぐチェックポイント

  • 研修時間と内容が、学業や生活を過度に圧迫していないか

  • 無給や低額の日当で長時間拘束していないか

  • 公開処刑のような発表や叱責、人格否定につながる指導がないか

  • ジェンダー・宗教・出自などに関わる不適切な発言が出ていないか 

一方で、学生に対してSNSリテラシーに関する指導を行うのも効果的です。会社がSNSをチェックしているという姿勢を見せることで、不用意な書き込みや機密情報の漏洩に対する、心理的な抑止力にもなるでしょう。

 

服装・髪色の指定は?案内時のマナー

研修の案内を送る際、学生から最も質問が多いのが「当日の服装」についてです。そこでここでは、服装指定のポイントや、現代の学生に合わせた基準の考え方について解説します。

スーツと私服(オフィスカジュアル)の使い分け

服装の指定は、研修の内容や目的に応じて使い分けるのが基本です。

たとえば、内定式や外部講師を招く厳格なマナー研修の日は「スーツ着用」と明記し、グループワークや座談会などリラックスして欲しい日は「私服(オフィスカジュアル)」と指定するなど、メリハリをつけると良いでしょう。

案内文では、下記の例文のように「具体的なイメージ」を添えると学生も迷いにくくなります。また、最近ではあえて「あなたらしい服装で」として、個性を尊重する企業もありますが、その場合も「なぜその服装なのか」という意図を伝えてあげると、学生は選びやすくなるでしょう。

服装に関する案内の書き方(例)

1.スーツを指定する場合

当日は役員挨拶や集合写真の撮影を予定しているため、スーツの着用をお願いいたします。

男性:襟付きのシャツにチノパンなど。ジャケットは任意

女性:派手すぎないトップスにスカートまたはパンツ、デニムは避けてください

2.私服(オフィスカジュアル)を指定する場合

当日は座談会やグループワークを予定しております。リラックスしてご参加いただきたいため、私服(オフィスカジュアル)でお越しください。

推奨例:襟付きのシャツやブラウス、ジャケット、スラックス、チノパンなど

NG例:ジーンズ、Tシャツ、短パン、サンダル、過度な露出のある服装など

 

現代の学生に合わせた身だしなみの基準

近年の学生は、髪色やピアス、ネイルなどに対して比較的寛容な価値観を持っていることが多く、ここは企業側の基準とのギャップが生じやすい領域です。

一律に「黒髪・ノーメイク・アクセサリー禁止」といったルールを押しつけると、「時代遅れ」と受け取られ、内定者のモチベーションを下げてしまうリスクもあるでしょう。

そこでポイントとなるのが、「清潔感」「ビジネスの場にふさわしいか」という観点で、最低限のラインを明確に伝えることです。

たとえば、「髪色は明るすぎる色(目安として〇トーン以上)は控えてください」「ネイルは派手なデザインでなければ問題ありません」といった具体的な基準を示すと、学生も判断しやすくなります。

また、配属される部署によって許容範囲が異なる場合は、「お客様対応が中心の部署では基準が厳しめになる」など、理由と背景を分かりやすく伝えることで納得してもらいやすくなるでしょう。

 

心理的安全性を高める案内の仕方

服装や髪色の案内をする際は、「間違えたら怒られるのでは」と内定者に不安を与えないような表現を心がけたいところです。

たとえば、「必ずこの通りにしてください」という命令口調ではなく、「迷った場合は、少し控えめを意識していただければ十分です」「ご不安な場合は事前に人事まで遠慮なくご相談ください」といった一文を加えると、心理的安全性が高まるでしょう。

また、事前に「よくある質問」として、髪色やピアス、ネイルに関するQ&Aを案内に載せておくのも良い対策です。学生側も安心して準備しやすくなるでしょう。

案内に入れたい一文(例)

  • 「研修は評価の場ではありません」

  • 「学業を優先してください。欠席フォローも用意しています」

  • 「ご不安な場合は事前に人事まで遠慮なくご相談ください」

■参考記事はこちら

心理的安全性とは?高い=ぬるま湯ではない!低下に繋がる4つの要素や高い職場の作り方について解説

 

内定者研修を成功させる運用のポイント

ここまで、目的や内容、リスク管理について見てきましたが、最後に研修をより良いものにしていくための運用のコツをまとめます。

内定者研修を成功させる運用のポイント

目的とゴールを明確に定めて共有する

まず大切なのは、「内定者研修の目的とゴールを、社内外にきちんと共有すること」です。

たとえば、「内定辞退率を〇%以下にする」「入社前にビジネスマナーの基礎テストで合格率〇%を目指す」「同期との関係性の自己評価が平均〇点以上」といった、定性的・定量的なゴールを設定しておくと分かりやすいでしょう。プログラムの優先順位もつけやすくなります。

そのうえで、実際の研修現場や、研修後の経営層に対する報告資料などで、「なぜこの研修を行うのか」「参加することでどんなメリットがあるのか」を繰り返し伝えていきましょう。

目的が共有されていると、現場社員も協力しやすくなり、内定者も「やらされている」感ではなく「自分の成長のため」と捉えやすくなります。

■参考記事はこちら

研修の振り返りを効果的に進める方法とは?タイミング・フレームワーク・改善手法を徹底解説

 

内定者の反応に合わせて柔軟にフォローする

2つ目のポイントは、内定者の反応や状況に合わせて、柔軟にフォローしていく姿勢です。内定者のタイプや雰囲気は、年度によって異なります。活発な学生が多い年もあれば、おとなしい学生が多い年もあるでしょう。そのため、前年と同じやり方が通用するとは限りません。

また、どれだけ綿密に計画を立てても、実際に研修を始めてみると、「オンラインの時間が長すぎて集中が持たない」「グループワークの難易度が高すぎる」「学業との両立が大変」といった声が出てくることもあるでしょう。

そのため、研修中は学生の表情や反応をよく観察し、退屈そうなら休憩を入れたり、理解が進んでいなさそうなら説明を補足したりと、臨機応変な対応が求められます。各回の研修後には簡単なアンケートを実施し、「良かった点」「改善してほしい点」「負担に感じた点」などを確認するのも良いでしょう。

 

入社までモチベーションを維持させる工夫を

3つ目のポイントは、内定者研修を点ではなく、線で捉えることです。研修当日だけでなく、次の研修までの期間や、入社までの空白期間にどう学生のモチベーションを維持させるかがポイントになります。

たとえば、社内報を送付したり、内定者専用のSNSグループで近況報告をし合ったりする方法が挙げられます。また、先輩社員からの応援メッセージ動画を作成し共有するのも効果的でしょう。「会社はあなたのことを忘れていませんよ」というシグナルを送り続けることで、内定者は会社とのつながりを感じ続けることができます。

入社式当日をワクワクした状態で迎えてもらうためにも、継続的な関係構築(リテンション)を意識した運用は非常に大切です。

モチベーション維持の工夫(例)

  • 社内報を送る

  • 会社の最新情報や先輩社員のインタビューを配信する

  • 内定者専用のSNS(チャットツール等)でつながりを保つ

 

まとめ

内定者研修は、単なるマナー講座や顔合わせの場ではなく、「内定者の不安を減らし、会社への信頼と期待を高めるプロセス」となるものです。適切に運用ができれば、内定辞退防止や即戦力化に向けたスキルの習得など、多くの効果が期待できるでしょう。

しかしそのためには、本記事でも解説したように、研修の目的・ゴールの設定や、学生が意欲的に参加できるプログラムを設計をすることが不可欠です。

難しく感じるかもしれませんが、まずは、本記事で解説した内容を参考にしながら、「自社が内定者研修で何を達成したいのか」、その目的を改めて整理することから始めてみてください。

本記事が、採用担当者の皆さまの悩みを解消し、研修づくりのヒントとなれば幸いです。

著者
『shouin+ブログ』マーケティング担当
人材育成クラウドサービス「shouin+」のマーケティング担当です。人材育成のお役立ち情報やトレンドをはじめ、企業の人事・研修担当の方向けに社内教育や研修のノウハウを発信しています。

マニュアル学習やOJTをもっと簡単に仕組み化しませんか?

\shouin+の機能や導入メリットをWebで簡単に確認する/

shouin+の詳細を見る(1分)