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接客力を向上させる方法とは?接客スキルを上げる方法や企業の取り組みを解説!

2023.10.16
『shouin+ブログ』マーケティング担当

商品やサービスが多様化する現代において、商品力(商品の品質や見た目、味、価格など)だけで市場を生き残るのは非常に難しいものです。そこで、ライバルと差をつけるために重要となるのが「接客力」です。

レベルの高い接客は、お客様との円滑なコミュニケーションを促し、顧客満足度の向上や長期的な信頼の構築につながります。

そこで本記事では、接客力の定義からその目的、接客が上手い人の特徴、接客スキルを向上させるための方法などをくわしく解説いたします。なお、最後には実際の取り組み事例までご紹介いたしますので、ぜひ参考にご覧ください。

今日から使える!接遇&言葉遣いチェックリスト

 

接客力とは

接客力とは、顧客との円滑なコミュニケーションや適切な対応能力などの、質の高い接客スキルのことを指します。

飲食店を例に考えてみましょう。ウェイターがお客様を席まで案内する行為や、お客様からの注文を受ける行為、小さいお子様を連れたお客様に子ども用の椅子をお渡しする行為など、これら“お客様の要望に応えるための行動”はすべて「接客」といえるでしょう。

そして、これら接客力は顧客満足度に大きく影響し、サービスの存続を左右するとても重要なスキルです。接客が必要とされるサービス業では必要不可欠なスキルといえるでしょう。

 

「接客」と「接遇」の違い

「接客」と「接遇」の違い

「接客」に似た意味を持つ言葉として「接遇」がありますが、みなさんには違いが分かりますか?同じような場面で使われることの多い両者の言葉ですが、これらには微妙な違いがあります。

まず結論からいえば、接客は「サービス提供全般」を指し、一方で接遇はお客様に対する「もてなし」や「思いやり」といった姿勢や態度を指します。

たとえば、接客という行為は(前述したように)お客様を席まで案内する行為や、お客様からの注文を受ける行為を含む一方、接遇はお客様に笑顔で挨拶をすることや感謝の気持ちをもってお見送りをすることなどが挙げられるでしょう。

接客と接遇、両者にはこのように微妙な違いがあるものの、お客様と接するうえでどちらも重要なスキルであることに違いはありません。接客力を高めるうえで、接遇は切り離せないもののようです。

なお、接遇に関してよりくわしく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。接遇マナー5つの原則などを画像で見やすくご紹介しています。

 

■参考記事はこちら

接遇とは?接客との違いや5原則などを業種別事例からわかりやすく紹介!

 

接客力を向上させる3つの目的

接客力が重要とはいえ、実際のところ接客力が「なぜ大切なのか」「どう役に立つのか」を明確に説明できる人は少ないのではないでしょうか。

そこでここでは一度、接客力を向上させる目的について整理しておきましょう。大きく次の3つのポイントに絞ってご紹介いたします。

目的1:顧客満足度の向上

接客力を向上させる目的の第一には、顧客満足度の向上があります。高い接客力でサービスを提供することにより顧客満足度の向上につながり、リピート率や口コミによる新規顧客の獲得が期待できるのです。

接遇と顧客満足度の関係性を調べた実際の研究をもとに見ていきましょう。札幌社会保険総合病院(現:札幌北辰病院)で行われた調査(接遇の患者満足度に及ぼす影響)では、「接遇が良いと思っている人は待ち時間に対する満足度が高く、接遇が悪いと思っている人は待ち時間に対しても不満と回答している」という結果が報告されています。

参考:札幌社会保険総合病院医誌「接遇の患者満足度に及ぼす影響

このように、接客力と顧客満足度には密接な関係があるため、接客力の向上は重要なのですね。なお、顧客満足度に関してくわしく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。顧客満足度の概要から、その重要性まで幅広くご紹介しています。

 

■参考記事はこちら

顧客満足度(CS)とは?調査方法や向上させるポイントをわかりやすく解説!

 

目的2:お客様からの信頼獲得

接客力の向上は、お客様からの信頼獲得にも有効です。また信頼を獲得することで、企業や商品・サービスなどに対する愛着を示す「顧客ロイヤルティ」の向上も期待できます。

ここで、顧客ロイヤルティの向上に関する具体的な事例を考えてみましょう。筆者の経験談をもとにご紹介いたします。

筆者は、スターバックスコーヒーを普段からよく利用します。これはただ単にコーヒーが好きなだけではありません。スターバックスコーヒーの接客力に信頼があるからです。これまでに、いつ・どの店舗へ行っても、あふれる笑顔と親切な言葉で接客をしていただきました。

こうしてスターバックスコーヒーへの信頼が少しずつ蓄積されてきたからこそ、私はスターバックスコーヒーのサービスを求めて度々利用するようになったのです。

このように、店員の接客力次第では、お客様の信頼を得て「選ばれる店舗」となることができるのです。スターバックスコーヒーは接客に対する人材教育が一貫して行き渡っており、顧客ロイヤルティが高い代表的な企業といえるでしょう。

なお、顧客ロイヤルティについては、下記の記事でもご紹介しています。顧客ロイヤルティと顧客満足度の違いについても触れていますので、ぜひ参考にしてください。

 

■参考記事はこちら

顧客満足度(CS)を数値化する指標とは?調査で使われる主な指標や、向上させる取り組みを解説

 

目的3:ファンの獲得

高い接客力は、顧客のファン化に有効です。みなさんも次のような経験があるのではないでしょうか。

自宅周辺にいくつもあるコンビニエンスストア。売っている商品はどの店舗も大して変わらないが、ある店舗にはいつも素敵な笑顔と明るい挨拶で接客をしてくれる店員がいる。いつしかその店員のファンになり、いくつもあるコンビニの中でもその店舗を選んで行くようになった。

このように、レベルの高い接客はお客様に深い印象を与え、ファン化を促します。また、ファンが増えることでポジティブな口コミも広がり、新規顧客獲得へとつながっていくでしょう。

前述したスターバックスコーヒーを例に挙げても、提供品のカップにメッセージやイラストを施す独自のサービスは、まさにファン化を促す大きなきっかけとなっていると考えられます。

なお、下記の記事では、顧客のファン化に重要となる「顧客体験」についてご紹介しています。ぜひ参考にご覧ください。

 

■参考記事はこちら

顧客体験(CX)とは?分析手法や施策案、顧客満足との関係性を事例からわかりやすく解説!

 

接客が上手い人の特徴

接客が上手い人の特徴

上記では、接客力を高めるための目的やその重要性について解説しました。そしてここからは、より具体的に、接客力を高めるための手法に視点を当てていきたいと思います。

まずは、目標とするイメージ像をつかんでいただくためにも、「接客が上手な人」とはどのような人かを整理していきましょう。それぞれ簡単に見ていきます。

 

特徴1:表情が明るく、笑顔が多い

「お客様に、良い印象を与えたい」このように感じる方は、ぜひご自身の表情から意識してみてください。従業員とお客様は、基本的には初対面です。良い印象を与えたいと感じているのであれば、まずは第一印象が勝負です。

また当然ながら、明るい表情(笑顔)でいることは、ポジティブなコミュニケーションを取るうえで大切なポイントであり、お客様に安心感を与えます。場合によっては、お客様の悩み(ニーズ)を聞き出すための潤滑剤になってくれることがあるかもしれません。

明るい表情づくりのために、まずは次にあげるポイントを意識してみてください。



「表情づくり」3つのポイント

  • ①口角をあげる
  • ②目じりは下がり気味に
  • ③アイコンタクトは優しく

 

特徴2:身だしなみが整っている

身だしなみは、表情と同様に第一印象を左右する重要なポイントです。「人を見た目で判断しない」とはよく聞く言葉ですが、そうは言っても、人は相手がどのような人かを探るとき、見た目を判断材料にするものです。

また、身だしなみはとくに、相手に信頼感や安心感を与えます。たとえば、飲食店のホールスタッフがひどく汚れたエプロンを身に着けていたり、ホテルのフロントスタッフが雑な制服の着こなしをしていたら、多くの人が「この店(ホテル)は大丈夫だろうか」と不安を感じることでしょう。

このように、身だしなみは接客をするうえで重要なビジネススキルなのです。これを理解して身だしなみに気を配れる人は、接客スキルが高い人といえます。なお、基本的な身だしなみのポイントについては、次のイラストを参考にしてください。

女性の身だしなみ

男性の身だしなみ

 

特徴3:適切な言葉づかいができる

接客が上手い人の特徴として「適切な言葉づかい」も一つのポイントになります。適切な言葉づかいが出来ることにより、お客様との意思疎通がスムーズになるほか、円滑なコミュニケーションを促進し、お客様との信頼関係を築きやすくなるでしょう。

また、敬語を使うときは「正しく使う」のも大切なポイントです。正しい敬語表現は会社やブランドのイメージアップにつながり、リピーターやファンの獲得が期待できるでしょう。

なお、適切な言葉づかいの具体的な内容については下記の記事でくわしくご紹介しています。一覧表で見やすく解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。

 

■参考記事はこちら

接遇における正しい言葉遣いとは?基本からわかりやすく解説!(役立つ無料チェックリスト付)

特徴4:聞き上手

「聞く」スキルは、お客様のニーズを理解するための重要なスキルです。

お客様の要望に応えるにも、そのニーズに沿った適切な提案ができなければ意味がありません。そのため、お客様の声に耳を傾け「聞く」ことで、お客様が何で困っているのか、お客様が何を求めているのかを正しく理解する必要があるのです。

また聞くスキルは、ニーズに適切に応えることだけでなく、こちら側の話を聞いてもらうための要素になることもあります。話を丁寧に聞いてもらったお客様がスタッフに好意をもち、スタッフの話にも耳を傾けようという気持ちになってくれるからです。

なお、適切な話の聞き方としては次の6つのポイントを参考にしてください。

「話の聞き方」6つのポイント

  1. アイコンタクトを意識して聞く
  2. うなずくなど、相槌をうちながら聞く
  3. 相手に上体を傾けて聞く
  4. (必要に応じて)メモを取りながら聞く
  5. 話に表情を合わせて聞く(深刻な話は真剣な表情で、楽しい話は笑顔で)
  6. 途中で遮らず、最後まで聞く

 

特徴5:美しい立ち振る舞いができる

接客が上手い人の特徴のなかでも、とくにレベルの高い特徴となるのがこの「立ち振る舞い」です。立ち振る舞いは非言語コミュニケーションのひとつであり、お客様に対する敬意を表現するための行為となります。

また、レストランのウェイターが丁寧な立ち居振る舞いをしていると、お客様はイメージとして「この店はスタッフへの指導が行き届いている」「他の店よりワンランク上だ」と感じることでしょう。ゆえに、立ち振る舞いはお客様に高級感や特別感をも与えることができるスキルなのです。

なお、下記の記事では適切な立ち振る舞いについて、シーン別にくわしくご紹介しています。正しい立ち姿勢や歩き方、案内の仕方などを知りたい方はぜひご覧ください。

 

■参考記事はこちら

接遇とは?接客との違いや5原則などを業種別事例からわかりやすく紹介!

 

今日から使える!接遇&言葉遣いチェックリスト

 

接客スキルを上げる方法

接客スキルを上げる方法

接客が上手い人の特徴について整理したところで、ここからは接客力を高めるための方法について解説していきたいと思います。基本的な内容から見落としがちなポイントまで、大きく3つご紹介しましょう。

接客スキルを上げる方法

  • 方法1:マニュアルを整備する
  • 方法2:研修(ロールプレイング)で学ぶ
  • 方法3:現場のチームワークを高める

くわしく見ていきます。

方法1:マニュアルを整備する

従業員の接客力を高めるためには、第一にマニュアルの整備が必須です。接客用語や接客マナー、クレームへの対処法などが記載されたマニュアルを作成し、最低限の接客ルールを作っておきましょう。こうすることで、新人スタッフを効率よく育成できるだけでなく、接客スキルの平準化にも役立ちます。また従業員個人の接客力が高まることで、企業全体の評価や売上の向上にも繋がるでしょう。

なお、接客マニュアルに関する具体的な内容は、下記の記事でくわしくご紹介しています。接客マニュアルの作り方やポイントも解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。

■参考記事はこちら

接客マニュアルの作り方とは?盛り込む内容・外す内容、ポイントや注意点も解説!

 

方法2:研修(ロールプレイング)で学ぶ

接客力を高めるには、ロールプレイング形式での研修も効果的です。ロールプレイングでは、お客様役とスタッフ役に分かれ、本番を想定した形で演習を行います。接客には絶対的な正解がないからこそ、このような実践的な訓練が応用力を身につける良い機会となるでしょう。

また、研修後はぜひアフターフォローも丁寧に行ってください。学んだ内容の復習をはじめ、実践とその反省、そして先輩社員からのフィードバックをくり返すことで、研修内容の定着化に役立ちます。

なお、接客力を高めるための研修については、下記の記事でくわしく解説しています。研修の実施方法を3ステップでご紹介していますので、ぜひ参考にご覧ください。

 

■参考記事はこちら

接遇研修とは?オンラインでの実施方法やロールプレイングなどの具体的な手法を詳しく解説!

 

方法3:現場のチームワークを高める

接客力を高めるにはスタッフ同士のチームワークも非常に重要です。 チームワークによって異なる役割やスキルを持つスタッフが連携し、お客様に質の高いサービスを提供することができます。

また現場のチームワークが高いことで、スタッフのモチベーション向上も期待できます。スタッフの接客力に対する向上心が高まることで、現場全体のスキルの底上げにつながるでしょう。

なお、チームワークを高めるためのポイントとしては、以下を参考にしてください。

チームワークを高めるポイント

  • 目標と目的を明確にする
  • 情報共有(報連相)を欠かさない
  • 良好な雰囲気づくりをする
  • 公平な評価を行う

 

 

企業の取り組み事例

それでは最後に、接客力を高めるための施策として、実際の取り組み事例をご紹介しましょう。

取り組み事例1:従業員が自由に学べる環境づくり|株式会社セピアプロミクス

愛知県を中心に「Be・Escort(ビー・エスコート)」をはじめとする、美容脱毛・エステサロンを約50店舗展開しているセピアプロミクス。当社は、社員が学ぼうと思っても自ら学ぶ環境がないことが課題となっていました。加えて、新しいキャンペーンやルール改変など、業務全般の重要な情報伝達がうまくいっていないことも大きな課題でした。

そこで当社では、オンライン環境で時間や場所にとらわれず学習ができるクラウド型eラーニングサービスの「shouin+」の導入を決定。既存の動画マニュアルや各種資料の移行・整備を進め、新たな学習環境プラットフォームが完成しました。検索性の高いマニュアル保管場所ができたことにより、今後はサロン間のノウハウの共有をさらに強化していく予定だそうです。

 

取り組み事例2:スターバックス

コーヒーチェーン店として有名なスターバックス。顧客満足度の高さで注目を集めるスターバックスは、まさに独自の従業員教育からなるスタッフの接客力の高さが鍵となっています。

スターバックスの教育方法には、細かく決められたマニュアルがありません。スタッフとしてあるべき姿というのは、すべて「グリーンエプロンブック」という手帳サイズの冊子に記載されており、「歓迎する」「心を込める」「思いやりを持つ」「豊富な知識を蓄える」「参加する」という5つの大切にすべき気持ちが共有されています。

こうすることで、スターバックスでは従業員一人ひとりが自ら接客やおもてなしについて考える機会を与え、機械的ではない自発的な接客を引き出しているのです。

 

まとめ

顧客満足度や信頼獲得を大きく左右する「接客力」。今回はそんな接客力について、その重要性から接客が上手い人の特徴、接客力を高める方法までくわしくご紹介いたしました。

商品力だけでは生き残ることが難しくなっている現代において、接客力を高めることは企業の寿命を延ばすための重要な課題といっても過言ではありません。ぜひ、本記事の内容を貴社の接客力向上にお役立てください。

なお、下記から接客マナーや言葉遣いの確認に特化した「今日から使える!接遇&言葉遣いチェックリスト」を無料でダウンロードいただけます。ぜひ、こちらも合わせてご活用ください。

今日から使える!接遇&言葉遣いチェックリスト

著者
『shouin+ブログ』マーケティング担当
人材育成クラウドサービス「shouin+」のマーケティング担当です。人材育成のお役立ち情報やトレンドをはじめ、企業の人事・研修担当の方向けに社内教育や研修のノウハウを発信しています。

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