OKRを用いた目標設定の方法とは?個人目標などの具体例を交えながらわかりやすく解説!
企業の成長や業績回復を狙う上で欠かせない、目標の設定と管理。MBO、KPIなど様々な手法がありますが、今注目を浴びているのは「OKR」です。
しかし「名前を聞いたことはあるが、どのように設定すれば良いのかわからない。」「OKRについての知識がなく、なかなか導入に踏み切れない。」という方も多いはず。そこで今回は、OKRで目標を設定する方法を解説します。
OKR運用に成功した企業の例や、具体的な書き方の例などもご紹介しますので、OKRの導入を検討している経営者、管理職の方はぜひお役立てください。
OKRとは
OKRは「Objectives and Key Results」の略語で、直訳すると「目標と主な結果」になります。『OKRの基本と実践がよ~くわかる本』という書籍では以下のように定義されています。
OKRは「会社内のあらゆる組織・チームが、同じ重要な課題に全力で取り組むための組織マネジメント手法」です。
(引用元:「Resily株式会社(2020)『OKRの基本と実践がよ~くわかる本』株式会社 秀和システム」)
OKRのObjectivesは、そのままの意味の「目標」を指します。そしてKey Resultsは、Objectivesを達成した際に実現される指標のことです。
これら2つの要素から成るOKRを設定し、各部門、各部署、各チーム、個人へと落とし込みます。会社の方向性・戦略を示し、全社員が同じひとつの目標に向かうよう促すのが、OKR導入の主な狙いです。
また「飛躍的な成長」も、OKRの目的のひとつ。「およそ達成できないが、達成できたら大きな成果をもたらす」というような高い目標をObjectivesに設定し、指標(Key Results)を目安に管理することで、組織および従業員の業績向上、能力向上を図ります。
一般的な目標管理では、達成することを前提に対策を練ります。一方OKRは、目標未達成でも失敗と判断されません。むしろ達成できるような目標は、設定ミスとされます。これは”課題をクリアすること”ではなく、従業員の”飛躍的な成長”が目的だからです。
OKR導入企業の中でも有名な「Google」も、ハードルの高い目標を掲げることを重視しており、当社サイトにて以下のように述べています。
難易度の高い目標を掲げて進捗状況を確認できるようにするためにGoogleでよく使われているのが、「目標と成果指標(Objectices and Key Results:OKR)」という手法です。
(引用元:「OKRを設定する」Google)
インターネットの普及、企業のグローバル化、新型コロナウィルス発生による在宅ワーク導入の増加と、日々変化する経済環境。そのような環境下で企業が存続していくためには、現状を維持するだけでは足らず、成長し続けることと挑戦し続けることが必要です。
しかし、企業が大きく方針を変えたり、飛躍的な成果を出したりするのは簡単ではありません。そのため、組織が向かうべき方向を示し、成長を促すのに長けたOKRが注目されているのです。
OKRの基本については、以下の記事でわかりやすく解説しています。より詳しく知りたい方はぜひこちらもご覧ください。
■参考記事
OKRとは?言葉の意味から具体的な導入ステップまで簡単にわかりやすく解説!
発展の背景
「Google」や「メルカリ」が導入したことで有名なOKRですが、実は誕生したのは「インテル」。当時取締役を務めていたアンディ・グローブ氏(以下グローブ氏)が取り入れたのがはじまりです。
1979年、メモリチップ市場とマイクロプロセッサ市場の両方で、日本企業やベンチャー企業、ライバル企業からの攻勢を受けていたインテルは、存亡の危機にさらされていました。そこで、社長に就任したグローブ氏が新しく考案し、導入したのがOKRです。
グローブ氏はOKRを活用し、全社員の半数、およそ1000人を動員する「クラッシュ作戦」を実行しました。その結果、数年後には競合他社に勝つほどまでにインテルの業績が回復。そして、市場の制圧へと導いたのです。
このような実績を持つことから、その後OKRはGoogleでも採用されました。導入のきっかけを作ったのは、インテルで働いていたジョン・ドーア氏です。
もともと小さなベンチャー企業だったGoogle。それが、15年弱という短期間で誰もが知っている大手企業へと成長できたのは、技術力と特殊な人事制度のおかげと言われています。その特殊な人事制度とは、OKRのこと。つまりOKRという目標管理手法が、Googleの成長を支えたのです。
このようにOKRは、「大きなことを成し遂げたい」「変化を遂げたい」とする企業をサポートしてきた手法です。日本ではGoogleやメルカリをはじめとする大手企業が導入したことで話題となりましたが、ご紹介した成功事例などから採用を決めた企業も少なくありません。
よく知られているその他の目標設定手法との違い
目標設定手法はOKRのほか、「MBO」「KPI」「KGI」などがあります。これらは、OKRとはどのような違いがあるのでしょうか。
それぞれの導入目的や特徴について見ていきましょう。
MBO
MBOは「Management by Objectives」の略で、業績向上を目的とする目標設定手法。半年もしくは1年ごとのスパンで回し、目的達成度に応じて賞与や昇格を決めることが多いです。
一方OKRは、四半期ごとのサイクルで回すのが一般的。人事評価に直結させることもあまりありません。
またOKRは、達成度70%前後になるような目標を設定するのが理想的とされるのに対し、MBOは達成度100%を目指すもの。100%を下回る場合は失敗とみなされ、取り組み方を見直します。このようなやり方で業績向上、能力向上を狙うのがMBOです。
さらに、OKRは全社で共有するものですが、MBOは共有しない場合がほとんど。特に人事評価とつなげて活用する場合は、本人と、評価する上司との間のみで共有します。
MBOとの違いについては、以下の記事でわかりやすく解説しています。より詳しく知りたい方はぜひこちらもご覧ください。
■参考記事
意外とわかりづらいMBOとOKRの違いとは?目標設定の仕方や共通課題についてもわかりやすく解説!
KPI
KPIは「Key Performance Indicator」の略で、日本語では「重要経営指標」などと訳されます。企業が掲げた目標の達成に向けて、適切な行動がとれているかチェックするための指標です。
MBOと同様KPIも、目標達成度100%を目指します。もし達成できなかった場合は、業務の取り組み方に問題があると判断し、改善に努めます。このように、KPIは現状に問題点がないか見極めるためのもので、会社の未来に向けて目指すべき姿を示すOKRとは役割が違うのです。
ただしOKRにおけるKey Resultsは、目標達成のための指標であり、KPIと似ています。さらに「具体的な数値で設定する」という点においてもKey Resultsと類似しているため、KPIをそのままKey Resultsに当てはめて使うこともあります。
KGI
KGIは「Key Goal Indicator」を略した言葉。企業が最終的に目指すゴールのことで、「重要目標達成指標」と訳されます。
先ほどご紹介したKPIは、KGI達成までの進捗をはかるもの。KPIを達成すれば、必然的にKGIを達成することができる、という構成です。よってKGIとKPIはセットで設定します。
これだけ見るとKGIとKPIは、OKRのObjectivesとKey Resultsと同じもののように思えますが、KGIには定量的な目標を設定しなくてはなりません。目標を達成したかどうか客観的に判断するため、「売上げ前年比を150%にする」「リピート率を30%向上させる」のように具体的な数値が必要です。そして、目標達成率100%で成功と判断されます。
一方OKRのObjectivesには、定性的な目標を設定することができます。目標を達成できるかどうかよりも、ハードルの高いビジョンの提示による成長促進、モチベーションの刺激、発想力の向上を重視するからです。
KGIとOKR、どちらも企業が目指す姿を示すものですが、目標の設定方法に違いがあるため注意しましょう。
OKR目標設定の成功の具体例
「OKR導入によって劇的な成功を収めた」「OKRの導入が会社倒産の危機を救った」などと聞くものの、具体的にどのような効果が得られるのでしょうか。
そこで、OKR目標設定の成功例を4つご紹介します。運用方法はもちろん、活用のための細かな工夫にもぜひ着目してみてください。
OKRの元祖であるGoogle
Googleは、OKRが広まったきっかけともいえる企業。現在取締役を務めているジョン・ドーア氏が、インテルで働いていたころの成功体験をもとにGoogleへの導入を決めました。
Googleは、創業者の「発想を大きく」という精神を制度化するため、達成度70%前後になるような高い目標をObjectivesに掲げています。かなりの努力をしないと達成できない、難しい目標を提示することで、従業員の成長を促しているのです。多くの書籍で「達成度70%前後」という数字が推奨されるのは、Googleの事例が影響していると考えられます。
また当社では、ライバル企業の後追い防止にも役立っているとのこと。自社が取り組むべきこと、集中して取り組みたいことをハッキリさせることで、会社が目指すべき方向を社員に示しました。そして、ライバル企業のやり方に振り回される”スキ”を作らないようにしたのです。
Googleの仕組みについて書かれている『How Google Works』という書籍の中では、以下のように述べられています。
従業員がライバル企業の後追いをするのを防ぐ効果があるのだ。(中略)自分たちが目指すべき方向がはっきりしていれば、ライバル企業の心配をしている暇はなくなる。
(引用元:「エリック・シュミレット、ジョナサン・ローゼンバーグ、アラン・イーグル(2014)『How Google Works 私たちの働き方とマネジメント』日本経済新聞出版社」)
さらに、OKRが未達成となった際、Googleでは経営トップがそれを素直に認め、全社ミーティングで原因について議論しています。社員が常に、自社の課題を正確に把握している状態を作っているのです。まさに、会社全体が同じ方向を向くことを目的とする、OKR導入の成功例であると言えます。
日本で最も有名なOKRの導入企業メルカリ
人気フリマアプリ「メルカリ」の企画・開発・運用を行っている「株式会社メリカリ」。2013年に設立し、2018年には上場するという急成長を遂げた企業で、日本ではOKRを導入している有名企業としても知られています。
「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」という企業ミッションをクリアするため、OKRを導入した当社。設定した企業のOKRに、各部門・グループ・個人のOKRを紐づけることで、会社の方向性を共有しています。独自の管理システムにて、互いのOKRを確認できるような工夫も行っているのだそうです。
またメルカリでは、OKRを共有するために合宿やオフサイトミーティング、1on1ミーティングを実施しています。1on1ミーティングは、上司と部下が一対一で行う面談のことです。
これらのイベントは、社員同士の認識のズレを防止するのに役立っています。当社は、企業の成長と共に社員が急増したため、社内の意識を揃えるための仕掛けが必要だったのです。会社のシチュエーションとOKRのメリットが合致した、良い例であると言えます。
Hamee
1998年に設立した「Hamee」は、もともとモバイル機器のストラップを製造、販売していた会社。その後、スマートフォンケースなど周辺アクセサリー全般の製造・販売、ネットショップの展開、ECサイト構築アプリの販売・サポートと、事業を大きく広げていった企業です。
会社の成長に伴い従業員が増えていったHameeは、各部署が何を考え、どのような仕事をしているのか見えにくいという問題を抱えていました。そこで導入されたのがOKRです。
OKRは、企業単位のOKRを原点として、各部門、各チーム、従業員がすべきことは何かを考えて設定するもの。そのため社員が自分のOKR、自分が所属するOKRを設定する際は、他の部署が設定したOKRも理解しなくてはなりません。その仕組みを利用することで、Hameeは社内の透明化を実現しました。
また当社はOKR導入後、部署ごとの合宿やミーティングを実施。その結果、社員が自発的に「自分には何ができるか」を考えるようになりました。また、社員同士のコミュニケーションが増え、新しい発想が生まれることも多くなったのだそうです。
OKRは企業の透明化に役立つツールですが、社員の自発性促進、社内のコミュニケーション増加など、活用方法によってほかにもさまざまなメリットが得られます。Hameeは、このような相乗効果を得た成功例です。
ユーザベース
企業・業界情報の検索プラットフォーム「SPEEDA」や、企業情報データベース「FORCAS」、ソーシャル経済メディア「NewsPicks」などを運営する「ユーザベース」。2016年下期、当時急成長していた当社はさらなる成長を図り、OKRの導入に踏み切りました。
ユーザベースは「組織で個々人の才能が発揮されながら、同じ方向を向いている状態」を目指し、四半期ごとにOKRを設定しています。会社が抱える数ある課題の中で、今フォーカスすべきことは何か、何を優先して取り組むべきかを厳選。そして短いスパンで回すことで、着実にビジョンに近づくような仕組みを作っています。
また、四半期で回すOKRのサイクルは、従業員の成長につながっているとのこと。『OKRの基本と実践がよ~くわかる本』という書籍の中で、インタビューを受けた西野雄介氏は以下のように述べています。
とくに経営陣が四半期という短期サイクルの運用にコミットしたので、経営陣も成長しましたし、その成長に影響されてメンバーの才能も発揮された実感がありましたね。
(引用元:「Resily株式会社(2020)『OKRの基本と実践がよ~くわかる本』株式会社 秀和システム」)
OKRは、会社が危機に瀕しているとき、変革を必要とするときに導入するもの、というイメージが強いです。しかしユーザーベースのように、現状に大きな障害がなくとも、さらなる成長のために導入される例もあると覚えておきましょう。
OKR導入から定着と運用までの手順
OKRの成功例をご紹介してきましたが、具体的にどのように導入すれば良いのかわからないという方も多いはず。そこでここからは、OKR導入から定着、運用までの手順をご紹介します。
手順1:目的の確定
まずは、OKRを導入する目的を明確にします。「なぜOKRを導入するのか」がハッキリとしていないと、ObjectivesもKey Resultsもズレたものとなり、求めていた効果が得られないからです。
また、なぜ導入するのかの説明ができなければ、社員は納得できず行動に移すこともできません。OKR導入は会社全体で取り組むものなので、従業員の協力を得るためにも目的を確定しておきましょう。
手順2:初期導入チーム・OKR推進チームの発足
はじめてOKRを導入する際は、失敗がつきもの。会社全体で取り組むとなれば、大きなトラブルが発生する可能性も考えられます。
そのため、試験的にOKRに取り組む「初期導入チーム」を発足します。小規模な組織で試すことで、事前に改善点や問題点を見つけることができ、いきなり会社全体で実施するよりもローリスクです。
その初期導入チームに、どの部署、どのチームを任命するのか決めておきましょう。
また、OKR導入の指揮を執る「OKR推進チーム」も必要です。このチームは指導だけでなく、OKRが効果的であることを会社全体へ伝える役割も担っています。よって、OKRの効果を特に期待している人、組織内で影響力がある人が適任です。
手順3:導入方針の決定と可視化
OKRを導入した際に迷わないよう、ルールを決めておきます。例として、以下のような項目を定めておくと良いでしょう。
- 期間
- 階層数
- 人事評価に結びつける/結びつけない
- 導入する範囲(部門、部署、チーム、個人)
方針が定まったら可視化を行います。
OKRは基本的に「ツリー構造」で可視化します。階層ごとのObjecticesとKey Resultsを枝分かれした線でつなげる、木の根のような形状のフレームワークです。階層のつながりを示すのに長けているため、企業・部門・部署・チーム・個人とつなげて設定するOKRに適しています。
手順4:イベントの設定
OKRにおける「イベント」とは、期間中に行う確認作業のこと。目標に向かって取り組めているか、障害となっていることはないかなどを確認するもので、1on1ミーティングやチーム内ミーティングなどさまざまな形があります。
一般的にOKRで取り入れられるイベントと、それぞれのタイミング、役割は以下の通りです。
- チェックイン:<週初め>団結力・モチベーションの向上
- ウィンセッション:<週終わり>問題点の解決
- コンフィデンス:<隔週~月次>問題点の解決
- 四半期中間チェックイン:<四半期の中間>振り返り、認識の擦り合わせ
イベントは、OKRの浸透にも役立ちます。定期的にOKRについて話すことで、自分たちが目指すべきこと、やるべきことへの理解が深まるのです。また「共に頑張ろう」という、団結力・モチベーションの向上にもつながります。
これらを計画的に実施できるよう、「いつ」「どのように」イベントを行うのか事前に決めておきましょう。
手順5:初期導入チームの運用開始
方針やイベントなどの詳細が決まったら、いよいよ初期導入チームの運用を開始します。
運用中は、どのようなことが問題となるのかを探るのがポイントです。ここで問題点や課題点を見つけておくことで、本格的に運用する際のトラブルを軽減することができます。
また初期導入チームの働きは、「自社にOKRが必要だ」「OKR導入のメリットが大きい」と、周囲に見てもらう手本の役割も担っています。そのことを理解した上で取り組んでもらえるよう、運用開始時に説明しておきましょう。
手順6:振り返り・改善
初期導入チームのOKR運用終了後は、振り返りを行います。
問題点・課題点について議論することで、トラブル回避はもちろん、自社に合うやり方の発見にもつながります。最適な取り組み方、ルールは企業によって違うので、試験運用を通して問題の解決策を考えることは非常に重要です。
また振り返りを行う際は、初期導入チームのメンバー以外の従業員にも、広くヒアリングするのがコツ。少しでも運用に関わった人に話を聞くことで、より幅広くトラブルをカバーできるでしょう。
手順7:運用
問題点・課題点の改善策が見つかり、新たな方針・ルールが定まったら、本格的に全社での運用を開始します。
どんなに入念に対策を練っても、失敗するものです。初期導入チーム運用時にはなかった問題が発生することも珍しくないので、定期的にチェックし、適宜修正しましょう。
階層ごとに異なるOKRの目標の書き方と具体例
OKRを設定する際のイメージを掴むため、目標の書き方と具体例をご紹介します。事業単位、部門単位、個人の3階層に分けて解説しますので、書き方に迷った際はぜひお役立てください。
事業単位でのOKR設定方法
事業単位でのOKRは、企業が目指すビジョンを示すもの。Objectivesには、従業員が「達成したら素晴らしいだろう」とわくわくするような高い目標を掲げます。モチベーションを刺激すること、成長を促すこと、新たな発想が生まれるような内容を意識しましょう。
Objectivesに現実味を持たせるため、Key Resultsに具体的な数値を入れるのがポイントです。誰が見ても「企業が何を目指しているのか」がわかるように、そして各部門・部署・従業員が、自分の役割を認識できるように書きましょう。
部門単位でのOKR設定方法
部門単位でのOKRは、事業単位で設定したOKRをもとに決めます。「企業が目指す目標を達成するためには、部門として何を成し遂げるべきなのか」といった視点で考えるのがコツです。
事業単位でのOKRよりも部門単位でのOKRの方が、より社員にとって身近なものになります。その分、普段の行動への影響力も大きいので、具体的なKey Resultsを意識して書きましょう。
ただし「どのように達成するのか」といった、行動や手段は記入しないようにします。柔軟性が失われ、新しいアイディアが生まれにくくなったり、挑戦しにくくなったりするからです。「目指すべき姿」「達成すべきこと」のみを記入し、行動を制限しないよう注意しましょう。
個人でのOKR設定方法
部門単位でのOKRをもとに、個人でのOKRを設定します。部門OKRのKey Resultsを達成するために、自分は何をすべきなのかを考え、Objectivesに設定しましょう。
個人で設定するOKRは、部門OKRよりもさらに、日常業務での行動に大きく影響を及ぼします。運用中に進捗を確認できるよう、より具体的かつ定量的なKey Resultsを意識しましょう。ただし部門OKRの設定と同様、「何を達成すべきか」のみを記入し、行動や手段を制限しないよう注意しましょう。
また、個人でのOKRは部門・部署内共通のOKRと、各々設定するOKRとの2種類があります。共通OKRは、組織の一部として果たすべき役割を認識するもので、各人のOKRは能力向上を狙うものです。シチュエーションに合わせて、両方設定するのか片方のみを設定するのか選びましょう。
設定したOKRを達成するためのステップ
高い目標を掲げるOKRの達成には、かなりの努力を要します。ですが、もし達成できれば従業員に大きなインパクトを与え、モチベーションもグッと上がるでしょう。
では、どうすればビジョンに近づくことができるのでしょうか。達成するための3つのステップについて見ていきましょう。
最初に企業や事業などの高い層のOKRを立案
OKRは、従業員が自ら設定するボトムアップ式です。上から指示されて動くのではなく、自発的に考え、行動することが求められます。
しかし、企業が何を目指しているのかがわからないと、部門や個人のOKRを設定することができません。闇雲に設定したOKRを達成しても、企業OKRは未達成になる可能性が高いです。部門ごとや部署ごとに方向性がばらけて、統率がとれなくなる恐れもあります。
よってOKRは、企業・事業→部門→部署→チーム→個人と、高い層から立案します。個人のOKR達成が部門のOKR達成へとつながり、そして企業のOKR達成へとつながるような仕組みを作ることが大切です。
定期的なコミュニケーションを重視
OKRの設定後は会社全体に共有しますが、ただ書面を見せるだけでは浸透しません。日々こなす業務に気を取られ、OKRの存在を忘れてしまうこともあります。
そのため、定期的なコミュニケーションが必要不可欠です。OKRについて話し合う頻度が高ければ高いほど、より目標への理解度も上がります。週初めにゴールを宣言する「チェックイン」や、問題点について議論する「ウィンセッション」、1on1ミーティングなどを活用し、OKRを認識する機会を設けましょう。
また、定期的に問題点や解決策を共に考える時間を設けることで、従業員のモチベーションアップや団結力アップにもつながります。難しい目標の達成にはメンバーのやる気とチームワークが欠かせないので、全員で話し合う時間はとても重要です。
能力向上に常に力を入れる
ハードルの高い目標は、現状を維持するだけでは達成できません。新しい取り組みへのチャレンジやチームワーク力アップなども大切ですが、何より従業員1人1人の能力向上が必須です。
よって、スキルアップ研修の参加や自主学習も、OKR達成の重要なカギとなります。何を学ぶべきなのか自ら見定め、積極的に学ぶのが理想的ですが、難しい場合は上司やOKR推進チームがサポートしましょう。
企業から従業員への支援としては、頻繁な研修の実施がおすすめです。集合研修を実施しにくい場合でも、オンライン研修なら実現できます。全国に店舗を構える店舗型ビジネスや、リモートワークが進んでいる企業は、オンライン式の研修を導入してみましょう。
なかでも「shouin+」が提供する動画視聴型の研修サービスならば、いつでもどこでもスキルアップが可能です。従業員にとって都合の良いタイミングで学べるため、常に能力向上に力を入れることができます。
また「shouin+」では、研修をカテゴリー別に分類できて便利。OKR達成に向けたスキルアップ研修をまとめておけば、どのスキルを身につけるべきなのか迷わずに済みます。
さらに、チェックリスト機能を活用すると進捗も確認できます。Key Resultsと照らし合わせて、その後の学習を計画するなど幅広く活用できるので、ぜひ利用してみましょう。
まとめ
OKRは、一般的な目標設定手法とは使い方も目的も違うため、戸惑うことも多いはず。書き方がわからず、導入を諦めてしまう企業も少なくないでしょう。
しかし、どの企業もはじめから成功しているわけではありません。「既に数年運用しているが、まだまだ課題が多い」というところも珍しくないのです。
そのため「最初からスムーズに導入できるものではない。」と、割り切ることも大切です。OKRを通してビジョンについて話し合い、試行錯誤するだけでも、成長や団結力向上などのメリットは得られるので、まずは挑戦してみましょう。