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人手不足を解消するためには?人手不足が起きる原因や企業に与える影響、解消策を紹介!

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2023.07.19
『shouin+ブログ』マーケティング担当

企業成長を左右する大きな要素のひとつである人材。現在は、フルタイムの正社員で働ける人材の減少などもあり、多くの企業で人手不足を感じているという現状があります。

帝国データバンクの発表によると、2023年4月の人手不足倒産は30件。2013年1月の集計開始以降で最も多くなっています。人手不足はコロナ禍前より言われていたことであり、今後も続いていくものと考えられ、どの企業も他人事ではありません。

一方で、人手不足解消のための解決策には魔法の一手があるわけではなく、複数の施策を組み合わせて実施する必要があり、何から始めたらいいか悩んでいる担当者もいらっしゃることでしょう。

今回は人手不足の解消のために何をしたらいいか、解決策を5軸から考えられるよう解説しました。企業事例も紹介していますので、あわせて参考にされてください。

 

人手不足の原因は?

「人手不足」とは、業務を行ううえで必要な労働者の数が足りていない状況を指します。またよく似た言葉に「人材不足」がありますが、こちらは業務を行ううえで必要な技術やスキルを持つ人材が足りていない状態です。意味合いが少し異なりますので、その点を注意してお読みください。

2023年1月時点で「人手不足を感じている企業の割合は、正社員で51.7%、非正社員で31.0%」という調査結果が帝国データバンクより発表されました。業界別の人手不足の詳細は、後述しますが、個人向けサービス業の代表格である「旅館・ホテル」「飲食店」は群を抜いて高い結果となっています。

このように日本企業が人手不足になっている根本的な原因は何なのでしょうか。人手不足の解決策を考えるためにも、まずは人手不足の原因から見ていきましょう。

人手不足の原因は、日本社会全体の要因と会社固有の要因に大別できます。それぞれ解説していきます。

 

【1】日本社会全体の要因

日本で人手不足が深刻化している背景にあるのが「少子高齢化による生産年齢人口の減少」と「産業の構造的な変化による人材の偏り」です。まずは社会課題とも言える、この2つからみていきます。

要因1.少子高齢化による生産年齢人口の減少

少子高齢化により生産年齢人口(15歳から64歳の人口)は、直近の20年間で1,000万人以上減少しており、当面減少の見通しであることは周知の事実でしょう。

令和4年版厚生労働白書 資料編」によると、2065年には生産年齢人口の割合は、51%台の水準になると推計されています。

 

要因2.フルタイムでの働き手の減少

生産年齢人口が減少する一方で、労働力人口(15歳以上の就業者と完全失業者の合計)は、2019年頃まで増加傾向にあります。「令和4年 労働力調査年報」によると、それ以降は横ばいで推移しています。

これは女性や65歳以上の労働参加が大きく影響しています。

高齢就業者数(65歳以上で、月末1週間に収入を伴う仕事を1時間以上した者、又は月末1週間に仕事を休んでいた者)は、「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」によると、18年連続で増加し、65~69歳の就業率は2021年に初めて50%を超えています。

 

引用:統計からみた我が国の高齢者

つまり生産年齢人口は減少しているものの、女性や65歳以上の高齢就業者の労働参加が進み、働き手自体は、横ばいの状態が続いています。ただし全員がフルタイムの正社員で働きたいわけではなく、高齢就業者や女性は、体力的な面や育児や家庭との両立などから個人にあった働き方を求めることが多く、トータルの労働力は減っており、企業では人手不足が起きているのです。

 

要因3.産業構造的な変化により、人材不足と人材過剰の職業がある

厚生労働省では、ハローワークにおける求人、求職、就職の状況をとりまとめて毎月公表しています。この中に有効求人倍率(=有効求人数/有効求職者数)とよばれる指標があり、1より大きいと求人数が働きたい人の数を上回っていることを示し、人材の確保が難しいということを意味します。

令和5年4月分の報告によると職業別の有効求人倍率は次の通りです。

職業

有効求人倍率

管理的職業従事者

0.89

専門的・技術的職業従事者

1.71

事務従事者

0.43

販売従事者

1.91

サービス職業従事者

2.82

保安職業従事者

6.00

農林漁業従事者

1.19

生産工程従事者

1.75

輸送・機械運転従事者

2.09

建設・採掘従事者

5.02

運搬・清掃・包装等従事者

0.77

有効求人倍率が最も高い保安職業従事者は6.00で、最も低い事務従事者0.43とかなりの差があることが分かります。つまり日本全体でみると人手不足が起きているものの、職業別に細かくみていくと、人材不足の職業と人材過剰の職業があるのです。

 

【2】会社固有の要因

当然、同じ業界であっても人手不足が深刻な会社とそうではない会社があります。その違いは、主に次の5点です。

要因1.多様化する働き方のニーズに企業が追い付いていない

前述した通り生産年齢人口は減少しており、フルタイムの正社員で働ける人は減少しています。一方で働きたいと考えている人は増えている現状があり、フルタイムの正社員以外の多様な働き方のニーズに応えられているかどうかが企業の人手不足の深刻さにも影響しています。

多様な働き方とは、個人のワークライフバランスを大事にしながら、自ら望むスタイルで働けることを意味します。つまり個人の事情や意向に合わせた働き方を意味し、従来のような画一的な環境や労働条件ではなく、柔軟性を持ったスタイルが求められているのです。

多様な働き方には、例えばテレワーク、フレックスタイム制、短時間勤務、副業、業務委託など、さまざまな取り組みが知られています。

企業にとっては単にこれらの多様な働き方を導入すればいいわけではなく、多様な働き方を導入しつつ生産性を落とさず上げていくような施策、マネジメントができないと、人手不足が続いてしまいます。

 

要因2.新規の人材獲得が困難・優秀な人材の獲得が困難

人手不足の企業では、採用面で課題を抱えていることが多いです。近年は各業務が高度化していること、個人の価値観が多様化していることなどから、従来の採用方法・告知方法では太刀打ちできなくなってきています。

例えば、採用活動を行えば、応募はあるものの会社が求めるような人材ではなかったり、採用してもミスマッチが生じ早期退職につながったり……。優秀な人材を採用したいが、そういった人材は他者にとられてしまい最終的に入社につながらないといったことが起きている場合は、採用面での見直しが必須です。

 

要因3.職場環境(賃金や待遇・人間関係・評価制度などへの不満)

前述した多様な働き方の選択肢も含めて、賃金や待遇・人間関係・評価制度など職場環境への不満も人手不足につながります。求職者から待遇が魅力的ではないと見られてしまうと、当然採用活動を行っても応募がきません。そして職場環境が悪いと離職につながります。

エン転職が行った調査「退職理由のホンネと建前[2022年版]」では、離職理由で最も多かったのが「人間関係」で、「給与が低かった」「社風や風土が合わなかった」「評価・人事制度に不満があった」「待遇(福利厚生等)が悪かった」と続きます。

転職市場は活性化している現状もあるので、人手不足の解消には、従業員が働き続けたいと思えるような職場づくりが欠かせないでしょう。

 

要因4.DX推進の遅れ

企業のDX推進の遅れも人手不足の原因のひとつです。DXが進み、業務の効率化が進めば、必要な人材のボリュームを減らせるにもかかわらず、DXが進まないので人がやらなくてはいけない、その結果、人手が足りないとなってしまいます。

ただしDX推進の遅れは、会社固有の問題とも言い切れず、そもそもデジタル人材が不足しているという現状もあります。

■参考:デジタル人材の育成・確保に向けて(令和4年2月4日 デジタル田園都市国家構想担当大臣 若宮健嗣)

 

要因5.人材育成が進まない

人は採用したら終わりではなく、自社で活躍してもらうためには育成が大事になってくるのは言うまでもありません。しかし人手不足の企業の多くは、通常の業務を行うだけで精一杯で教育を行う人的リソースが足りていないことが往々にしてあるのです。

その結果、人を採用しても一人前になるのに時間がかかったり、教育環境が整備されていないことを理由に優秀な人材が離職したりと悪循環に陥っている企業が少なくありません。

 

特に人手が不足している業界

帝国データバンクが行った「人手不足に対する企業の動向調査(2023年4月)」によると、正社員の人手不足企業の割合は、「旅館・ホテル」が75.5%で最も高く、「情報サービス」(74.2%)、「メンテナンス・警備・検査」(67.6%)と続きます。そして非正社員では、は「飲食店」が85.2%でトップとなり、「旅館・ホテル」(78.0%)が続き、小売業やサービス業など個人向け業種が上位になっています。

正社員の人手不足割合

 

非正社員の人手不足割合

引用:人手不足に対する企業の動向調査(2023年4月)

新型コロナウイルス感染症の水際対策が2023年4月末に終了し、行動制限の緩和に伴い需要が回復した宿泊業や飲食サービス業などで企業の人手不足が特に深刻化しています。

新型コロナウイルス感染症の流行前の2018年2月にパーソル総合研究所×中央大学が発表した「労働市場の未来推計 2030」によると、2030年に大きな不足が予想されるのは、「サービス業」「医療・福祉業」「卸売・小売」の順に多くなっています。

引用:労働市場の未来推計 2030

 

人手不足による企業への影響

次に人手不足による企業への影響について解説します。「令和元年半 労働経済の分析ー人手不足の下での「働き方」をめぐる課題についてー」によると、人手不足が会社経営に影響を及ぼしている企業は全体の7割を超えています。

具体的には「既存事業の運営への支障」が最も多く、次いで、「技術・ノウハウの伝承の困難化」「既存事業における新規需要増加への対応不可」「余力以上の人件費の高騰」など、会社経営に悪い影響があるという回答が多いです。また企業目線、労働者目線のどちらからみても、7割以上が人手不足は職場環境に影響を及ぼしていると感じています。

人手不足が与える企業への影響について、ここでは特に以下の5点についてもう少し詳しくみていきましょう。

 

影響1.事業の縮小・倒産を余儀なくされる

「人手不足倒産」という言葉をご存じでしょうか。人手不足倒産とは、事業を行う上で必要な人材を確保できず、業績が悪化したことが要因となって倒産することを指します。

帝国データバンクの「全国企業倒産集計2023年4月報 別紙号外リポート:人手不足倒産 」によると、2023年4月の人手不足倒産は30件。2013年1月の集計開始以降で最も多くなっています。

引用:全国企業倒産集計2023年4月報 別紙号外リポート:人手不足倒産

倒産までいかなくても、人手不足が起きれば事業の縮小を余儀なくされていまいます。2023年4月に自己破産申請を行った業務用食料品の卸売業者「サンエー食品株式会社」では、人手不足から新規取引先の営業開拓ができない状況が続いていたそうです。

 

影響2.残業時間の増加など労働環境の悪化

人手不足だと、足りないリソースを今いる従業員で補おうとするために残業時間が増加したり、休暇を取得しにくくなったりと労働環境が悪化する傾向があります。

従業員の負担が増えれば、疲れも出てきてストレスなどによる人間関係の悪化が起きやすくなったり、労働災害のリスクが高まったりと、さらに職場環境が悪くなる可能性も……。早めに対策を行わないと人手不足がさらに進む危険性すらあります。

令和元年半 労働経済の分析によると「残業時間の増加、休暇取得数の減少」については、接客・サービス職、医療・福祉関係専門職、技術系専門職(研究開発、設計、SE等)で特に影響が大きいと感じているという結果が出ています。

 

影響3.従業員の労働意欲の低下

前述した「令和元年半 労働経済の分析」の結果から、人手不足が職場環境に及ぼす影響の中で「従業員の働きがいや意欲の低下(②)」は、労使間でのギャップが最も大きく、働き手目線でより影響があると感じている項目でした。労使間でギャップがあるということは、企業として対策が遅れる可能性があり、より注意が必要な項目と言えるでしょう。

職種別にみると「従業員の働きがいや意欲の低下」については、接客・サービス職、医療・福祉関係専門職、製造・生産工程職、販売職で特に影響が大きいと感じているという結果が出ています。

従業員の労働意欲が高いと、自主的に会社のビジョン実現のために貢献しようという気持ちが高まりますが、低下すると離職につながる可能性があり、人手不足に拍車をかけてしまいます。

 

影響3.人材育成にかけられる時間と費用の減少

人手不足になると、日々の業務を行うだけで精一杯の状態となってしまいます。その結果、研修に参加する時間、部下に仕事を丁寧に教える時間の捻出が難しくなってしまうのです。それは技術やノウハウの伝承を困難にし、一時的なものではなく将来的な影響までもが懸念されます。そして会社の売上が下がれば、さらに人材育成にかけられる費用までもが減少します。

調査によると、「能力開発機会の減少」については、販売職で特に影響が大きいと感じているという結果が出ています。

人材育成は、生産性の向上、やる気・モチベーションの向上、離職率の低下などの効果が期待できるため、こうした能力開発ができないことの影響は計り知れないでしょう。

 

影響4.採用コストの増加

離職などが多く人手不足となっている企業では、採用活動が欠かせません。当然ながら採用活動には費用が必要で、求人の掲載費や人材紹介会社への紹介手数料、会社説明会などの費用、採用担当者の人件費といったコストがかかります。

そして採用後は、研修なども必要ですので、企業にとって大きな負担でしょう。

 

人手不足解消のための解決策

人手不足が起きる原因と企業に与える影響が分かったところで、企業が人手不足解消のために取り組むべき対策についてご紹介します。人手不足解消のための解決策は、多数ありますが、次の5つの軸を中心に戦略的に考えていくといいでしょう。

解決策1.DXの推進など業務改善

フルタイムかつ正社員で働ける人材が減少していること、転職が当たり前になり人材の流動化が起きていることなどを考えると、人手不足の解消を人材確保だけで行うのは不可能です。つまり人材確保に向けた施策を進めるとともに、業務の効率化や自動化といった業務改善もあわせて行いましょう。

業務改善の中でも近年、経済産業省を中心として官民一体となり進めているのがDX(デジタル・トランスフォーメーション)です。DXとは、ITやデジタルを活用することで、業務そのものやビジネスモデルを変革すること、消費者・顧客の生活をより良くし、企業の生産性を上げる(売り上げや利益を伸ばす)仕組みを作ることを指します。

例えば流通小売業であれば、セルフレジの導入による業務改善は急速に普及していますね。他にも、普段よく行く店舗をアプリに登録し、お気に入りに商品を登録しておくと、店内のどの棚に商品があるか分かるようになっていて、顧客から商品の陳列場所を尋ねられる従業員が減り、業務負担の軽減につながっているといった事例があります。

そのほか研修の一部をオンライン化することで教育の負担軽減に成功した企業などもあります。

以下の記事では、DXの基本から事例までご紹介しています。ぜひあわせてお読みください。

■参考記事はこちら

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?どこよりも詳しく&わかりやすく解説!

流通小売業における効果的なDX施策とは?今すぐ取り組むべき理由や企業事例をわかりやすく解説!

 

解決策2.フリーランスなどアウトソーシングの活用

DXによる業務改善とあわせて、人手不足に悩む企業が考えたいのが、業務量を減らすこと。必ずしも正社員が行う必要がない業務は、外注先を探したり、フリーランス人材を活用したりするのも一つの選択肢です。業務の繁閑が激しい職場の場合も、アウトソーシンの活用を検討する余地があるでしょう。

また高スキルを持つ人材をフルタイムで雇用しようとすると、多額の人件費がかかりますが、自社にないスキルを持つプロにスポット的に関わってもらうのであれば、費用を抑えたうえで力を借りることも可能です。

 

解決策3.従業員の待遇改善・働き続けやすい職場環境作り

人手不足を解消するためには、従業員の離職を防ぎ、長く働き続けられる環境を作ることが大切です。従業員の待遇は、採用にも大きく影響します。

待遇の中でも特に給与は大事な要素です。「給与が労働時間や肉体的・精神的な負担、役職、責任などに見合ったものになっているか」「給与に直結する評価に正当性、平等感があるか」「同業界の他企業と比較して、給与は妥当か」など見直してみるといいでしょう。

職場環境という面でいうと、やはり人間関係はポイントになります。パワハラやセクハラ、嫌がらせなどがあると、離職者が増えるだけでなく、評判が広がり大きなダメージとなるケースも……。他には、リモートワーク制度やフレックス制度の導入、長時間労働の是正など、従業員が安心して働ける環境作りも大事でしょう。

 

解決策4.外国人・シニア世代・障がい者など多様な人材の採用と働ける環境作り

前述した通り、これまで会社の中核を担っていたフルタイムの正社員で働ける人は減っており、外国人やシニア世代、障がい者など多様な人材の採用がカギになります。年齢や性別、人種、宗教などの違いに加えて、働き方や生き方など多様な人材を登用し活用することで、企業成長を目指すダイバーシティ経営という考え方が日本でも注目されるようになってきていますね。

ダイバーシティ経営のメリットは人材確保だけでなく、イノベーションの創出といった観点でも効果を期待できます。こうした多様な人材が働けるためには、働き方にも多様性が必要です。具体的には、以下のような人事施策があります。

  • 産休・育休制度の推進、介護休業の推進
  • 裁量労働制やフレックスタイム制の導入
  • 短時間勤務制度の導入
  • テレワーク制度やサテライトオフィスの導入
  • 定年延長制度の導入
  • 障がい者雇用の促進
  • 副業の許可

そして制度を整えるだけでなく、これらの制度を利用しやすいような雰囲気作りや、キャリア支援、経営層を含めたマネージャー層の育成も重要です。

詳しくお知りになりたい方は、以下の記事をあわせてお読みください。

■参考記事はこちら

ダイバーシティとは?意味やメリット、人事施策を事例を交えて解説

ダイバーシティマネジメントとは?多数の企業事例と共に成功のポイントを解説

 

解決策5.人材育成への投資

今いる従業員のスキルを最大化するためにも、人材育成への投資を惜しんではいけません。自己成長が見込めないと感じると、従業員は今の職場で働くモチベーションが下がってしまいます。

キャリアアップを支援する制度の充実や学び直し(リカレント教育)の機会の提供などを考えたいですね。

近年は教える側の負担を軽減でき、効果を最大化できるようなeラーニングの導入も進んでいます。スキルの平準化などにも効果が期待できるでしょう。

 

人手不足解消に成功した企業事例

最後に人手不足解消への対応事例として「中小企業・小規模事業者の人手不足への対応事例(令和2年2月 中小企業庁)」から4社ご紹介します。どの企業も1つの施策ではなく、複数組み合わせることで人手不足解消に成功している点がポイントです。施策をそのまま真似するのではなく、ぜひ考え方を参考にされてください。

テクノス三原株式会社:個人よりチームで生産性を出せる仕組みに!

テクノス三原株式会社(広島県・サービス業)では、人手不足の本質は個人単位での作業にあると考え、チームで成果を出す働き方に転換することで、生産性向上を実現。顧客ニーズ対応による突発的な休日出勤や、平日の有給休暇が取りにくい状況から5日間の連続休暇の取得が可能となりました。

具体的には、チーム単位で残業時間の管理に取り組み、生み出された隙間時間を技術レベル向上のための講習会や研修に充てています。また休暇予定表をチームで共有することで、部門を超えて業務をカバーする意識の醸成や人員配置の最適化を実現しています。

残業代削減分を特別手当や賞与で平等に支給するなど、従業員が積極的に取り組みたくなる環境作りも参考になるでしょう。

 

株式会社東京堂:女性従業員が多い職場で継続的に戦力を維持

従業員48人中、女性40人を占める株式会社東京堂(青森県・小売業)では、結婚や出産・育児といったライフステージの変化による離職を防ぎ、継続的に戦力を維持できるよう取り組みを始めました。その結果、産休・育児休業取得後の復帰率はパート従業員も含めて100%に!

ユニークな取り組みのひとつが、30分以内の外出は有給休暇の取得は不要とする「みんなで思いやり配慮ルール」です。勤務時間内の子供の送迎や、小学校入学時の下校時間に合わせた一時帰宅、介護施設等への送迎等に利用されています。ここでのポイントは子育て中の女性に限定した制度ではなく、誰もが利用できるルールであることです。

また勤務体系はライフスタイルに合わせられるよう100通り以上のシフトがあるそうです。

 

株式会社ときわ:業務担当の見直しで分業体制を構築

土日の出勤や打合せ等による残業が多く結婚や出産を機に離職する社員が多かった株式会社ときわ(徳島県・サービス業)では、残業時間を削減し、働き続けられる職場作りを行いました。

具体的には、お客様との打ち合わせや、土日のブライダル・イベントに勤務時間を合わせられるよう、「1か月単位のフレックスタイム制(コアタイム無し)」を導入。プランナーに集中していた業務の担当を見直し分業体制を構築しました。加えて、ジョブローテーションを積極的に行うことであらゆる業務を兼務できる社員が増え、繁忙期にフォローアップ体制をとれる組織になっています。

業務分担の見直しは、部署単位などでも取り組みやすいので、特定の人に業務が偏っている場合など検討してみるといいでしょう。

 

株式会社Hacoa:目標残業時間、スキルUPのためのステップを明確化

株式会社Hacoa(福井県・製造小売業)では、従業員のスキルに偏りがあり、勤務時間に差が出ていただけでなく、高スキルの従業員は休むと全体工程に影響が生じるため有給休暇の取得が進まないという課題がありました。

そこで人事評価制度の導入に伴いスキルの見える化を図り、スキルアップのためのステップを明確化。その結果、従業員のスキル向上につながり、仕事量の偏りを相互でカバーできる体制を構築できました。また作業効率の向上を目的に、目標の作業時間を明確化することで、時間管理の意識を高めることにも成功しています。

そして人材確保のために、一般のお客様向けに工房案内や商品企画に関するワークショップを開催。今では、職歴の異なるバックグラウンドを持つ人材を採用でき、本社勤務の1/3は県外出身者となっています。

工房案内やワークショップなどを通じて、企業の魅力発信に取り組むことで、地域内外から人材を獲得できている好事例です。従業員にとっても自社の魅力を再認識する機会となり、従業員エンゲージメントの向上など良い効果が期待できるでしょう。

 

まとめ

少子高齢化が進む日本の現状を考えると、人手不足の解消を人材確保だけで行うのは不可能です。DXの推進などによる業務改善、自社でやる必要のない業務のアウト―ソーシングなど、業務量自体を減らす取り組みが欠かせません。その上で、多様な人材が働け成果を出せる体制作り、人材育成への投資、働きたいと思える職場環境作りが大事になってくるでしょう。

人手不足は、すぐに解決できるものではありませんが、自社の人手不足の原因を考え、それに合う対策を行うことで一歩ずつ解決に向けて進めていけるはずです。まずはできることから始めてみましょう。

 

著者
『shouin+ブログ』マーケティング担当
人材育成クラウドサービス「shouin+」のマーケティング担当です。人材育成のお役立ち情報やトレンドをはじめ、企業の人事・研修担当の方向けに社内教育や研修のノウハウを発信しています。

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