階層別研修とは?目的・メリット・体系図の作り方を詳しく解説
「階層別研修って、どんな目的で行われているの?」
「自社に導入したいけど、どこから手をつけたらいいかわからない…」
こうした疑問を持つ人事担当者の方は多いのではないでしょうか。階層別研修は、企業の成長を支える人材育成のために非常に重要な役割を果たします。しかし、目的や内容をしっかり理解せずに導入すると形骸化し、期待した成果が得られないことも。
そこでこの記事では、階層別研修の定義や基本的な目的について、くわしく解説していきます。階層別研修の導入を検討している方はもちろん、既存の研修プログラムの見直しを考えている方はぜひ参考にご覧ください。
階層別研修とは?階層別研修の定義
階層別研修は、社員の職位や役職に応じて実施される体系的な教育プログラムです。新入社員から管理職まで、各階層に求められる役割を果たすための能力開発を目的としています。
たとえば、新入社員にはビジネスマナーや基本的な業務知識を教え、中堅社員にはリーダーシップや問題解決力を養うためのプログラム、管理職にはマネジメントスキルや戦略的思考を磨くプログラムが組まれます。各階層に応じた適切な研修内容を設定することで、効果的な人材育成を実現できるのです。
階層別研修を実施する目的
人材育成において、階層別研修は組織の成長に不可欠な取り組みです。しかし、「研修の目的が曖昧で効果が見えにくい」「形骸化してしまっている」といった課題を抱える企業も少なくありません。そこで一度、階層別研修の目的と意義について整理していきます。大きく3つに分けて見ていきましょう。
役割や責任の理解を深めるため
階層別研修の目的の一つは、各階層における役割と責任を明確に理解してもらうことです。社員が自分の役割や責任を正確に理解することで、個人のパフォーマンスを向上させるだけでなく、組織全体の調和が促されます。
たとえば、入社直後の社員にビジネスマナー研修を、新たに課長へ就任した社員を対象にハラスメント研修を実施するなど、それぞれの役職では役割に応じた能力が求められます。
このように、階層に応じた適切な研修を行うことで、各社員が自分の役割をしっかりと理解し、組織全体の生産性向上につながるのです。
必要な知識・スキルを習得するため
階層別研修は、それぞれの役職に応じて必要な知識やスキルを学ぶ場としての重要な役割があります。
独学やOJTなどで習得する方法もありますが、時間的な限界があるだけでなく、社員全員が標準的なスキルを身につけられるとは限りません。その点、体系的な研修を実施すれば社員間のばらつきは少なくなり、効率的な組織運営が実現しやすくなるメリットがあります。
また、同じ階層の社員が一緒に研修を受けることで、部署を超えた知識やスキルの共有も促進されるでしょう。
社員の成長と組織力強化を図るため
階層別研修を実施する目的には、社員個人の成長を促すことに加えて、組織全体の強化も含まれています。社員一人ひとりの成長が、最終的には組織全体の成長につながるという考え方です。
また、社員が自分の能力を発揮できるようになると、モチベーションの向上にもつながり、最終的には離職率の低下や業務効率の向上にもつながっていくでしょう。
階層別研修のメリット
階層別研修には、社員のスキルや知識を向上させるだけでなく、組織全体のパフォーマンスを向上させるさまざまなメリットがあります。そこでここからは、具体的なメリットについて、大きく3つに分けて解説します。
知識・スキルの均一化
階層別研修における最大のメリットは、社員間で知識やスキルを均一化できる点です。同じ研修プログラムを受けることで、社員が共通の理解を持つようになり、組織内での連携がスムーズになります。
接遇スキルの向上を図る「接遇研修」を例に考えてみましょう。そもそも、適切な身だしなみや挨拶の仕方というものは、時と場所、また教える人によって少しずつ考え方が異なるものです。「Aさんには注意されなかったのに、Bさんには注意された」のように、人によって意見が分かれやすい部分は、とくに新入社員の立場からみると困惑してしまうポイントになります。
そこで、これを「接遇研修」として新入社員に対して体系的に実施することで、知識・スキルのバラつきを最小限に抑えることができるのです。結果として、組織全体のサービス品質の安定化にもつながるでしょう。
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接遇研修とは?オンラインでの実施方法やロールプレイングなどの具体的な手法を詳しく解説!
モチベーションの向上
階層別研修は、社員のモチベーション向上にも大きく関係しています。研修を通じて新しいスキルや知識を習得すると、それが自信や達成感につながり、結果として日々の業務に対する意欲が高まるのです。
実際に、従業員エンゲージメント※を構成する9つの要素には「自己成長」と「承認」が含まれおり、業務における達成感や成長した先にある他者からの評価というものがいかに重要であるかが分かります。(※従業員がその職場や組織に対して「貢献しようとする意欲」を表す言葉)
また、同じ階層の社員同士で交流する機会が増加することで、社員は共通の課題や悩みを共有しやすくなるでしょう。社員同士の連帯感を強化し、結果として組織全体の活力向上も期待できます。
人材育成の効率化
階層別研修は、人材育成のプロセスを効率化するメリットも持ち合わせています。階層ごとに内容が定型化されているため、コスト削減と効果的な教育を両立しやすいのです。具体的には以下のようなメリットがあげられます。
- 研修内容を繰り返し活用できるためコスト削減になる
- ノウハウが蓄積していくため効果的な育成ができる
- マニュアル化されたプロセスで効率的に実施できる
階層別研修のデメリットと対策
階層別研修には多くのメリットがある一方で、実施する際にはいくつかの課題も存在します。そこでここからは、研修を進めるうえで発生しやすいデメリットと、それらを克服するための対策について見ていきましょう。
研修の形骸化リスク
階層別研修を長年続けていると、研修内容がマンネリ化し、形骸化してしまう恐れがあります。形骸化とは、本来の目的や意義を失い、研修内容が形だけのものになってしまうことで、受講者にとって意味のある学びが得られなくなる状態を指します。
そしてこのような状態になってしまうと、研修の効果が薄れ、社員の学習意欲の低下も免れないでしょう。そのため、対策として以下のような方法を取ることで形骸化のリスクを抑えることができます。
<形骸化リスクの対策案>
- 研修の目的と重要性を明確にしておく
- 定期的に研修内容を見直しアップデートする
- 参加者からのフィードバック収集と改善を繰り返す
- 研修に最新のビジネストレンドや技術を取り入れる
スケジュール調整の難しさ
階層別研修は、同じ階層の社員全員が参加することが前提となるため、大規模な組織では受講者のスケジュール調整が困難になることがあります。とくに、繁忙期や重要なプロジェクトの進行中には、研修への参加が業務に支障をきたすリスクも否めません。そこで、以下のような対策を取ることで、リスクを最小限に抑えることができます。
<スケジュール調整の課題に対する対策案>
- 時期を分けて研修を複数回実施する
- オンライン研修やeラーニングを活用する
- 研修の録画提供とフォローアップを実施する
とくに近年では、DX推進や働き方改革の推進に伴い、eラーニングを活用する企業が増えてきました。YouTubeなどのソーシャルメディアを通して情報収集をするのが当たり前になった時代の背景もあり、社員が自身の端末で学習するのはごく自然なことであり、効果が得られやすい学習方法の一つなのです。
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コストと工数の負担
階層別研修を効果的に実施するには、相応のコストと人的リソースが必要となります。外部講師の確保、研修会場の確保、教材の作成などさまざまな面で費用が発生するほか、研修プログラムの企画・設計・運営に携わる社内スタッフの工数も無視できません。とくに中小企業では、これらの負担によって研修の実施自体に悩むことも少なくないと思います。そこでこれらの対策として提案したいのが、以下の方法です。
<コストと工数の負担を軽減するための対策案>
- 社内講師を育成し、講師費用を削減する
- オンライン研修を導入し、会場費を削減する
- 研修内容を動画コンテンツ化し、繰り返し使用する
なかでも、研修内容の動画コンテンツ化は、コスト削減と効率化の両面で大きなメリットが得られるでしょう。動画化することで教材を繰り返し活用できるだけでなく、時間や場所に縛られずに学習ができるため、業務への影響を最小限に抑えることが可能です。
さらに、動画は視覚的にアプローチができるため、難しい概念も分かりやすく伝えることができるようになり、学習効果の向上も期待できるでしょう。
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階層別研修体系図とは?
階層別研修体系図とは、企業内の各階層(新入社員、中堅社員、管理職など)ごとに求められるスキルや知識を体系的に整理した図のことです。では、なぜこの体系図が必要なのでしょうか?その主な目的は、以下の3点です。
<階層別研修体系図の目的>
- 研修の全体像を把握する
- 各階層に必要なスキルを明確にする
- 効果的な人材育成計画を立てる
下図は、厚生労働省が出している体系図の例になります。このような体系図を作成することで、研修プログラムの一貫性を保ちながら効果的な人材育成を実現する基盤を構築できます。以下では、階層別研修体系図の意義や具体的な作成方法について見ていきましょう。
階層別研修体系図の作成方法〜5ステップ〜
階層別研修体系図を設計することで、各階層に適した研修内容を明確に整理し、研修プログラムを効率的に運用することができます。ここでは、体系図を作成するための具体的な方法について、5つのステップに分けて解説していきます。
ステップ1:現状分析と目標設定
最初のステップは、自社の現状を分析し、人材育成における目標を明確にすることです。組織の経営戦略から逆算し、目標達成にどのようなスキルや能力が必要かを分析していきましょう。
たとえば、組織力の強化を課題としている場合は「3年後に管理職全員が効果的なチームマネジメントを実践できるようになる」といった具体的な目標を設定していきます。
またこのとき、「誰が」「何のために」「何を」「どのようになること」を目指して研修を行うのか、具体的な人物像をイメージすることがポイントです。目標と現状のギャップを明確にすることで、必要な研修の方向性が見えてきます。
ステップ2:各階層に求められる役割の明確化
次に、各階層に求められる役割を明確にしていきます。新入社員、中堅社員、管理職など、それぞれの階層において期待される成果や責任を具体的に定義していきましょう。
具体的には、下記の例を参考に進めてください。各階層の役割を明確にすることで、それに必要なスキルの洗い出しや研修プログラムの設計がしやすくなるでしょう。
<例:階層別の役割例>
- 新入社員:基本的なビジネスマナーの習得と実践、業務の基礎知識の習得
- 中堅社員:チームのリーダーとしての業務推進、若手社員の育成と指導
- 管理職:部門の目標設定と達成、人材育成と評価、経営戦略の理解と実践
ステップ3:必要なスキル・知識の洗い出し
各階層の役割に基づき、必要なスキルや知識を洗い出します。具体的には下記の例を参考に進めてください。またこのステップでは、業界の特性や企業独自のニーズを反映させることがポイントです。
<例:階層別に必要なスキル・知識>
(接客業、新入社員の場合)- 必須スキル:ビジネスマナー、コミュニケーションスキル
- 専門スキル:接遇スキル、製品知識
- ソフトスキル:主体性、協調性、ストレス耐性
またこの時、「カッツの理論」を活用するのも一つの方法です。カッツの理論は、組織の中で活躍するために必要な管理能力を、「テクニカルスキル(技術的スキル)」「ヒューマンスキル(人間関係スキル)」「コンセプチュアルスキル(概念的スキル)」の3つに分けて捉えた理論です。
下図のように、3つのスキルはそれぞれ、階層ごとに重要度(必要度)が変化します。この理論に基づいて、研修プログラムの実施回数などを調整してもいいかもしれませんね。
ステップ4:研修プログラムの配置と体系化
ステップ3で洗い出したスキル・知識を習得するための研修プログラムを、各階層に適切に配置していきます。下記のポイントを参考に進めていきましょう。なおここでは、研修プログラムのくわしい内容には言及せず、あくまで枠組みとして研修を配置していきます。
<ポイント>
- 段階的な学習を意識する(基礎から応用へ)
- 実務との関連性を考慮する
- 多様な学習方法を取り入れる(Off-JT、OJT、ワークショップなど)
<例:研修プログラムの配置>
- 新入社員:新入社員研修、ビジネスマナー研修
- 若手社員:入社2,3年目研修、入社4,5年目研修、ビジネスマナー研修
- 中堅社員:中堅社員研修、新任管理職研修、リーダーシップ研修
- 管理職:人事考査研修、上級管理職研修、上級コンプライアンス研修
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ステップ5:図式化
最後に、研修内容を体系図として視覚的に整理します。図式化することで、全体像が把握しやすくなり、関係者との共有もスムーズになります。下記のポイントを参考に進めていきましょう。なお下図の例では、横軸を研修形態、縦軸を階層にして図式化しています。
<図式化のポイント>
- シンプルで見やすい構成
- 階層と研修内容の関係性の明示
- キャリアパスの可視化
- 更新しやすい形式の採用
<図式化の例>
階層別研修のカリキュラム例
階層別研修では、それぞれの階層に適した目的や内容を明確に設定することが大切です。そこでここからは、新入社員から管理職までの各階層ごとの研修カリキュラム例をご紹介します。
【新入社員研修】の目的と内容
新入社員研修の主な目的は、社会人としての基礎を身につけ、会社の一員としての自覚を持ってもらうことです。この時期の研修は、その後のキャリアの土台となる重要な機会となりますので、とくに慎重なプログラム設計が求められます。
<新入社員研修のカリキュラム例>
ビジネスマナー |
● 挨拶、言葉遣い、電話対応 ● ビジネス文書の作成方法 ● 名刺交換のマナー |
会社概要と業界知識 |
● 企業理念、ビジョン、行動指針の理解 ● 組織構造と各部門の役割 ● 業界の基礎知識と市場動向 |
ビジネススキル基礎 |
● コミュニケーションスキル ● タイムマネジメント ● 基本的なPC操作(Word,Excel,PowerPoint) |
コンプライアンス、 情報セキュリティ |
● 企業倫理と法令遵守の重要性 ● 情報管理の基本ルール |
【若手社員研修】の目的と内容
若手社員研修の目的は、業務の中核を担う人材として必要なスキルを習得し、自立した社員へと成長してもらうことです。とくにこの段階では、実際の業務に即したケーススタディやプロジェクト型学習を取り入れ、学んだスキルを実践的に活用する機会を提供するとよいでしょう。
<若手社員研修のカリキュラム例>
問題解決力の向上 |
● ロジカルシンキング ● クリティカルシンキング ● PDCAサイクルの実践 |
プレゼンテーションスキル |
● 効果的なプレゼン資料の作成方法 ● 説得力のある話し方 ● 質疑応答のテクニック |
チームワークとリーダーシップ |
● チーム内でのコミュニケーション ● 後輩指導の基本 |
専門知識の深化 |
● 業務関連の専門スキル向上 ● 業界動向の分析力 |
【中堅社員研修】の目的と内容
中堅社員研修の目的は、チームのリーダーとしての役割を果たすために必要なスキルを習得し、組織の中核人材として活躍できるようになることです。個人の成長だけでなく、組織の成果に直結する役割を担うための準備段階となります。
<中堅社員研修のカリキュラム例>
リーダーシップスキル |
● リーダーシップスタイルの理解と実践 ● コーチングとフィードバック技術 |
プロジェクトマネジメント |
● プロジェクト計画立案と進捗管理 ● リスクマネジメント ● チーム運営とコンフリクト解決 |
ビジネス戦略の基礎 |
● 経営戦略の基本のフレームワーク ● マーケティングの基礎知識 ● 財務諸表の読み方 |
部下育成と評価 |
● 人事評価の基本と面談スキル ● 効果的なOJTの進め方 |
【管理職研修】の目的と内容
管理職研修の目的は、部門やチームの責任者として、組織全体の目標達成に貢献できる人材を育成することです。戦略的な視点や、組織全体を見渡すマネジメントスキルが求められます。とくにこの段階では、実際の経営課題を題材にしたケーススタディや他社の成功事例研究などを取り入れ、より実践的な学びを提供するとよいでしょう。
<管理職研修のカリキュラム例>
経営戦略と組織マネジメント |
● 経営戦略の立案と実行 ● 組織設計と人材配置 ● 変革マネジメント |
組織文化の醸成 |
● ビジョン構築と浸透 ● 多様性マネジメント ● エンゲージメント向上策 |
人材育成と評価 |
● 戦略的人材育成計画の立案 ● 効果的なフィードバックと評価面談 ● サクセッションプランニング |
コンプライアンスとリスクマネジメント |
● 企業倫理とガバナンス ● クライシスマネジメント ● メンタルヘルスケア |
【役員研修】の目的と内容
役員研修の目的は、経営の中枢を担う立場として、長期的視点で組織全体をリードし、持続可能な成長を実現できる人材を育成することです。外部の経営者や専門家を招いた講演会、他社役員とのディスカッションセッション、海外視察などを通じて、幅広い視野と深い洞察力を養うことが求められるでしょう。
<役員研修のカリキュラム例>
経営戦略と意思決定 |
● グローバル経営戦略の立案 ● M&A戦略とPMI(買収後統合) ● 不確実性下での意思決定手法 |
コーポレートガバナンス |
● 取締役会の役割と責任 ● ステークホルダーマネジメント ● ESG経営とサステナビリティ |
イノベーションと組織変革 |
● デジタルトランスフォーメーション(DX)推進 ● オープンイノベーション戦略 ● 組織文化の変革とチェンジマネジメント |
リスクマネジメントと危機管理 |
● グローバルリスクの把握と対応 ● レピュテーションマネジメント ● BCP(事業継続計画)の策定と実行 |
階層別研修を成功させるためのポイント
階層別研修を効果的に行うためには、研修内容を充実させるだけでなく、実施方法や運用の工夫が欠かせません。そこで、研修を成功に導くための3つの具体的なポイントを解説します。
研修参加率を高めるための工夫をする
研修の効果を最大化するには、受講者の参加意欲をいかに高めるかがポイントになります。多忙な業務の中では、どうしても研修の優先度は低くなりがちですが、柔軟な受講方法を取り入れるなど、工夫次第で負担を軽減することができるでしょう。
たとえば、オンライン研修の活用や、短時間で学べるモジュール型※のカリキュラムを導入することで、時間の制約を受けにくくなります。(※多くの科目の中から興味のあるものを個人で選び学習する形式)
また、研修後の評価制度を整え、研修を受講することがキャリアアップにつながる仕組みを構築することも有効です。研修の意義を明確に伝え、従業員が積極的に参加したくなる環境を整えることが成功の鍵となるでしょう。
現場の声を反映した研修設計をする
研修内容が現場の実務と乖離していると、受講者の理解が進まず、研修効果の低下は否めません。研修プログラムを設計する際は、現場の課題を把握したうえで、受講者が実務に活用できるよう考慮したプログラムを組む必要があります。
そしてそのためには、事前にアンケートやヒアリングを実施し、従業員が必要としているスキルや知識を明確にするとよいでしょう。たとえば、営業職向けの研修では、単なる理論の説明にとどまらず、ロールプレイングを取り入れることで、より実践的なスキルを習得できるようになります。研修が業務の改善につながることを実感できれば、受講者の意欲も自然と高まっていくでしょう。
定期的な内容の見直しと改善をする
研修は一度実施すれば終わりではなく、継続的な見直しが必要です。時代の変化や業務の進化に伴って研修内容を更新していかなければ、研修内容は次第に腐ってしまいます。
そして、研修内容の見直しは、受講者のフィードバックをもとに行うのが有効です。事後アンケートなどを実施し、実際の受講者の声を集めてみるとよいでしょう。
また、外部講師の活用や、他社事例の共有を取り入れることで、研修の質を高めることもできます。研修が形骸化しないよう、定期的に効果を検証し、必要に応じてプログラムをアップデートしていきましょう。
なお、研修アンケートの作り方については、下記の記事でくわしく解説しております。無料テンプレートもダウンロードいただけますので、ぜひご活用ください。
■参考記事はこちら
【テンプレート付】研修アンケートの主な項目や作り方のコツをわかりやすくご紹介!
まとめ
階層別研修は、組織全体の底上げと人材育成を実現する重要な施策です。この記事では、階層別研修の目的から、メリット・デメリット、さらにはカリキュラム例までくわしく解説いたしました。
階層別研修は、効果的に実施することで社員のスキル向上が期待できる一方、研修が形骸化したり、大きなコストがかかるなどといったリスクもあります。
しかし、研修目的を明確にし、現場の声を反映した研修プログラムを組んでいくことで、これらの課題を克服しながら研修を実現することができるでしょう。
階層別研修は、企業の未来を支える重要な基盤となります。根気強く、自社に合ったプログラムを設計・改善しながら、社員と企業の成長を両立させていきましょう。