コロナ禍では、対面接触を減らすために、Web会議やオンライン学習ツールを活用する企業も多いのではないでしょうか。職場で手取り足取り指導することが難しい現状では、仕事のノウハウを資料化したマニュアルを、上記のようなツールで説明する機会も増えたと思います。
しかし、社内マニュアルは複数人で改修を重ねていることが多く、書き手の個性が反映され見栄えにばらつきが生じ、デザインが煩雑になりがちです。
わかりやすいマニュアルの要素の一つとして、見やすいデザインになっていることは重要なポイントです。そこで本記事では、パワーポイントを使用した資料作成における、デザインのテンプレート化の手順をイチからご紹介します。マニュアルの基本について解説した記事は以下からご覧ください。
テンプレート化を行うと、作業者に関わらず、社内で統一されたデザインが実現できるので、以下のようなメリットがあります。
上記のように企業側の資料作成の手間が省けるだけではなく、読み手となる従業員に良い印象を与え、内容を理解しやすい資料になります。
社内マニュアルのデザインをテンプレート化するには、はじめに使用するフォントや色などに一定のルールを定めていきます。デザイン用語ではこれを【トンマナ】と呼んでいます。【トンマナ】とは「トーン&マナー」の略で、デザインに一貫性を持たせることを指します。
まずは、使用するフォントを選びましょう。 書体の種類が多すぎると、書体が変わるごとに脳を切り替えないとなりません。 余計な情報が増えてしまうので、1つに限定しましょう。企業で特に規定がない場合は、「Meiryo UI」をオススメします。「Meiryo UI」のようなゴシック体は書体の太さがノーマルとボールドで差がわかりやすい、Win/Macの環境問わず、初期から搭載されているというメリットがあります。
次に、使用するカラーを選びます。人の目は色が付いている箇所に注目しやすいので、多用すると、どの色が重要かわかりづらくなってしまいます。企業によってはブランドカラーが決まっていることも多いと思うので、ブランドカラーをヒントに「ベースカラー」「メインカラー」「アクセントカラー」の3色程度に留めることがポイントです。
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【応用テクニック】
パワーポイントの「表示」→「マスター」→「スライドマスター」から「色」を設定すると、資料のカラーパレットとして保存できるようになります。使う色が明確になり、より再現性の高いマニュアルデザインになります。カラーパレットは10色の設定をする必要があるので、「ベースカラー」「メインカラー」「アクセントカラー」の3色の色の濃淡を変えたものを展開しておきましょう。
【カラー詳細】
■ テキスト/背景:濃色1(#333333)※
■ テキスト/背景:淡色1(#FFFFFF)
■ テキスト/背景:濃色2(#016EC6)
■ テキスト/背景:淡色2(#E14846)
■ アクセント1(#989898)
■ アクセント2(#CACACA)
■ アクセント3(#7FB5E1)
■ アクセント4(#BED9EF)
■ アクセント5(#EFA2A1)
■ アクセント6(#F6D0CF)
※()内は16進数カラーコードを示しています
【参考サイト】
Office公式:ユーザー設定のテーマの色を作成または削除する
#facade on 0to255
基準となる色の濃淡をグラーデーションで表示してくれるサイトです。
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【トンマナ】の最後は素材を選びます。ページ毎に、色や形が簡略化されたシンプルなアイコンを採用したり、実物に近い立体的な描写のアイコンを採用したりすると、資料内の世界観が統一されなくなるため、読み手に違和感を与えます。
利用するモチーフを特定のサイトからに限定するなどして、統一された素材選びをするよう意識しましょう。
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【おすすめサイト】
ここでは、商用利用可能なシンプルで汎用性の高い、アイコンや写真の素材サイトをご紹介します。
※人物写真の利用範囲については、別途ルールが設けられている場合が多いので、都度 利用規約を確認してください。
◆アイコン
ICOOON MONO
種類が豊富でシンプルなアイコンが揃っています。
Webサイト上から色変更も可能です。
ヒューマンピクトグラム2.0
ピクトグラムと呼ばれる人型のアイコンが揃っています。
様々なポーズがあるので表現の幅が広がります。
FLAT ICON DESIGN
上記2点よりイラストに近いアイコンが揃っています。
クオリティや汎用性が高いです。
◆写真
ぱくたそ
風景や建物、食べ物、人物まで様々なカテゴリの写真素材サイトです。
日本のサイトなので違和感の少ない写真を使えます。
足成
「ぱくたそ」と同様に、様々なカテゴリの写真を集めた日本のサイトです。
O-DAN
海外の無料写真素材サイトを横断して、検索できるサイトです。
効率的に写真を選べます。
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【トンマナの定義】はこれで終了です。
次から、ページの雛形を作成していく作業に移ります。また、参考になるように業務用マニュアルテンプレートも紹介していますので、そちらもよければご覧ください。
掲載する情報はページ毎に変わりますが、以下のような箇所はおおよそ同じような構成になると思います。
A.表紙
B.目次
C.詳細(ノウハウを具体的に説明するページ)
D.中区切り(話題の転換時などに利用するページ)
E.裏表紙(お問い合わせや企業情報などを載せるページ)
これらのページの雛形を作成しておくと、テンプレートから選択するだけで、自動でページにタイトルやナンバリングが組み込まれるようになるので、コピー&ペーストの手間が削減できます。色や位置がずれないので、デザインの統一に役立ちます。
【雛形の作成方法】
それでは、具体的な例としてC.詳細ページの作り方を説明します。
(1)「スライドマスター」を表示する
パワーポイントのメニューから「表示」→「マスター」→「スライドマスター」を選択すると、スライドマスターが表示されます。
(2)「レイアウトの挿入」から雛形を作成する
スライドの1番上に追加した装飾は、基本的にはすべてのページに反映されるので、「レイアウトの挿入」から新しい雛形を作成してきましょう。
(3)タイトルやナンバリングなど必要なパーツを作成する
初期状態は、マスタータイトル、日付、フッター、<#>(ナンバリング)が表示されています。通常のページと同じ用に、フォントや色の調整を行います。不要なパーツは削除して、必要なパーツは追加していきましょう。
ここで注意なのが、タイトルやナンバリングは通常のテキストボックスから挿入すると、ページ数などが動的に表示されません。後から、追加することも可能ですが、少しテクニックが必要なので、「レイアウトの挿入」時に予め表示されたパーツで編集するのがベターです。
(4)完成
C.詳細ページの雛形が完成しました。
「表示」→「標準」→「新しいスライド」をクリックすると、(3)のスライドが選択できるようになります。日付やナンバリングは、標準表示モードで「挿入」→ 「ヘッダーとフッターor日付と時刻」→ダイアログ ボックスの必要な箇所のチェックをオンにして、「すべてに適用or適用」をクリックすると正しく表示されます。
(1)〜(4)を繰り返して、雛形を量産していきます。あとは「新しいスライド」から任意の雛形を選択して、ページを展開していけばOKです。
いかがでしたでしょうか。社内マニュアルのデザインをテンプレート化するには、まずはトンマナを定義、次にページの雛形を作成するといった手順になります。
慣れないうちは面倒に感じるかもしれませんが、これらの下準備をしておくことで、複数人で編集しても差分が少なくなるので、見栄えを調整する工数が削減できます。
フォントや色、素材を限定するだけでも、デザインに一貫性が生まれ、管理も楽になります。トンマナを定義することからはじめてみるのも良いでしょう。
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