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店舗運営マニュアルの種類や作り方をわかりやすく解説!人材育成の効率化やスキル平準化に

平準化 ナレッジ
2023.09.01
『shouin+ブログ』マーケティング担当

小売や飲食業など多店舗展開している企業にとって、店舗運営を行ううえで、マニュアルを完備し従業員教育を徹底することはとても重要です。マニュアル化で教育を効率化すると従業員が店舗運営のルールを覚えやすくなり、早い時期に一人前として成長してもらえるでしょう。

しかし、「マニュアルを作る方法がわからない……」「そもそも店舗運営マニュアルって?」「マニュアルで新人教育を効率化したい」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、店舗運営マニュアルの必要性や種類とマニュアルの作り方について解説します。効果的なマニュアル作りのポイントにも触れているので、ぜひ最後までご一読ください。

なお「ゼロから作るのは大変」という方のために、店舗運営マニュアルの作成にそのまま使える便利なテンプレートをご用意しました。以下より無料でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。

そのまま使える!パワポで作成マニュアルテンプレート

 

店舗運営マニュアルはなぜ必要?

そもそも、なぜ店舗運営マニュアルを完備してスタッフの教育を徹底すべきなのでしょうか。

「マニュアルなしに教育はできる」という考え方もありますが、店舗運営マニュアルの機能がわかるとその必要性を認めないわけにはいきません。

そこでここでは、店舗運営マニュアルによって実現できることを3つのポイントに絞ってご紹介いたします。

店舗運営マニュアルで実現できる3つのこと

  1. 業務の標準化
  2. 人材育成の効率化
  3. 従業員のスキル平準化

なお、店舗運営について理解を深めたい方は以下の記事もぜひご参照ください。

 

■参考記事はこちら

店舗運営とは?マネジメントのポイントや各ポジションに求められるスキルについてわかりやすく解説!

 

業務の標準化

店舗運営マニュアルを整備すると、業務を標準化してスムーズな店舗運営に活用できます。従業員ごとに異なる対応にならないように作業手順をマニュアル化し、周知できるからです。

業務の標準化とは誰が対応しても同じ成果を出せるようにすることです。マニュアル化によって自己流の対応が減り、業務の属人化を防止できるようになります。

たとえばコーヒー店でカプチーノを作る場合、人によってカプチーノの泡の厚みや粒度が異なっては顧客に安定した味を提供することができません。そうならないためにドリンクを作る業務手順とコツを示したマニュアルを共有し、標準化を目指す必要があります。

なお業務の標準化についてよりくわしく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご参照ください。

■参考記事はこちら

業務標準化とは?実施するメリット・デメリット、進め方を解説

 

人材育成の効率化

店舗運営マニュアルを活用して、人材育成を効率化することも可能です。たとえば、新しい従業員を採用したら、研修期間で業務の基礎から教育しなければなりませんが、

このとき研修用のマニュアルが完備されていれば、教える内容をすべて口頭で説明しなくて済みます。マニュアルを見せながら業務の基礎を伝達できるため、効率的に研修を進めることができるでしょう。

また、わかりやすいマニュアルは、従業員の意欲の向上にもつながります。複雑な業務でも手順をシンプルに記したマニュアルがあれば、積極的に習得しやすくなるからです。店舗運営では最初に覚えることが多く身構えてしまう人も少なくありませんが、マニュアルがあることで心理的な負担を取り除くこともできるでしょう。

なお、生産性アップにつながる研修のポイントを押さえたい場合は、以下の記事も参考になります。ぜひご利用ください。

■参考記事はこちら

店舗運営を効率化する育成研修3つのポイント!マンネリ化しないための方法も解説

 

従業員のスキル平準化

マニュアル化によって従業員のスキルを平準化することも可能です。「平準化」とは、生じがちな従業員のスキルを均等にする考え方です。

スキルを平準化すると従業員間のスキルに差がなくなり、結果として店舗のサービスの品質を保ちやすくなります。具体的にはスキルの高い従業員のノウハウをマニュアルに取り入れることで、他の従業員も学び全体のスキルを底上げすることが可能です。

その結果、顧客に対して「いつも期待通りのサービスを受けられる」という安心感を与え、顧客満足度が向上する効果が期待できます。

なお、スキルの平準化についてより理解を深めたい方は、くわしく解説した以下の記事もぜひご一読ください。

■参考記事はこちら

サービスやスキルを平準化し、顧客満足度を向上させる方法



店舗運営マニュアルの種類

店舗運営マニュアルの種類

必要性の高い店舗運営マニュアルですが、その種類は大きく3つに分かれます。どのような内容が含まれるのか、それぞれくわしく見てみましょう。

 

規範マニュアル(マインドマニュアル)

「規範マニュアル」は、新入社員教育や新人研修でも最初に用いられることが多いマニュアルです。従業員が自社の社風や理念を理解し、これから店舗スタッフの一員として業務に携わるための基礎となる内容が記載されています。

具体的な規範マニュアルの内容としては以下のとおりです。(そのままマニュアル名として使用されることも多くあります。)

  • 自社の社風と理念
  • 行動指針
  • 危機管理に関する対応指針
  • 従業員の心得
  • 就業規則・服装規定 等

これらは、店舗での共通意識や価値観を理解し、働くにあたって押さえるべき心得にあたります。

 

業務マニュアル(オペレーションマニュアル)

「業務マニュアル」は、名称のとおり業務手順を記したものです。具体的な手順や対処法を案内するため、定型業務を平準化したり経験やスキルによらず業務品質を維持したりすることが期待できます。

業務マニュアルには、以下の内容があります。

  • 業務手順書(レジ対応・発注処理・棚卸、接客手順書、等)
  • タスクノート
  • 緊急時対応要領
  • トラブルシューティング

「何をどのように実施するか」を視覚的に把握できるのが理想です。業務に不慣れな従業員でも、マニュアルを見ながら方法がわかるようにするため、図や絵などを盛り込みながら実務的な内容にするとよいでしょう。

くわしくは、後の見出し「新人でもわかるマニュアルを作成する」にて解説します。

 

教育訓練マニュアル(テキストマニュアル)

「教育訓練マニュアル」は、自主的に動ける人材の育成や従業員の意欲向上を目的としたマニュアルです。特定の業務スキルを習得するための業務マニュアルに対して、教育訓練マニュアルはハウツーよりも「なぜそうしなければならないのか」という点を重視します。(教育訓練マニュアルは“なぜそうしなければならないのか”という点を重視し、テキストで説明する部分が多いため「テキストマニュアル」とも呼ばれます。)

教育訓練マニュアルの例としては、座学で学べる以下のようなマニュアルがあります。

  • 自己啓発用のガイド
  • 社内研修用の教材・資料

ちなみに上記で紹介したマニュアルの作成ツールとしては、主にPowerPointやGoogleスライドなどがあります。ほかにも、理解の促進に役立ちやすい動画形式での作成もよいでしょう。形式はそれぞれですが、どれも作り方の基本は同じです。

なお、PowerPointでマニュアル作りを検討中の方は、ぜひ以下の無料テンプレートをご活用ください。ダウンロード後、そのまますぐに店舗運営マニュアルに活用いただけます。

そのまま使える!パワポで作成マニュアルテンプレート

 

店舗運営マニュアルの作り方5つのステップ

店舗運営マニュアルの作り方5つのステップ上記では店舗運営マニュアルの種類についてみてきましたが、この章では、実際にマニュアルの作り方の手順をステップ方式でご紹介します。

ステップ1.企画書の作成

最初に、店舗運営マニュアルの目的と用途を決めます。「いつ・どこで・誰が・何を・どのように」行うかを定めて、ルールや手順の大枠を計画する段階です。

店舗運営マニュアルを計画する土台となる「5W1H」

  • When(いつ)
  • Where(どこで)
  • Who(誰が)
  • What(何を)
  • Why(なぜ)
  • How(どのように)

そして、ここでとくに重要になるのが、マニュアルを作るべき理由にあたる「Why(なぜ)」です。マニュアルの目的や必要性を示すことが、価値あるマニュアルづくりの土台となるからです。

たとえば、小売店で食品の陳列規則をマニュアル化する場合、商品を補充するとき賞味期限が近いものを手前にします。これは、賞味期限が過ぎて廃棄処分になる商品を減らさなければならないからです。従業員個人の判断で、闇雲に商品を補充しないようにする目的もあります。

このように、なぜそのマニュアルが必要なのか理由付けをすることが大切です。

 

ステップ2.内容の洗い出し

理由付けができたら、マニュアルに盛り込む内容を洗い出します。マニュアル化すべき内容は店舗によってさまざまで、最初からすべてを網羅することは難しいでしょう。そこで、内容を洗い出す際には優先順位をつけることが大切です。

たとえば飲食店では、一般的に顧客が満足できる料理とサービスを提供することが求められます。お店のコンセプトにもよりますが、おもてなしを重視する店舗では顧客対応ルールを優先するとよいでしょう。

また、スーパーやドラッグストアなどのレジ業務では、できるだけ顧客を待たせずに正確な支払い対応ができるようにしなければなりません。そこで、レジ前に顧客が列をなしているときはほかの従業員がすぐさま隣のレジに入るなど、具体的な内容をマニュアル化すると安心です。

 

ステップ3.現状の作業の見直し

普段の実務における問題点をピックアップし、解決策を盛り込んだマニュアルを企画することも大切です。特に多忙な店舗では、日々業務を回すだけで精一杯な場合が少なくありません。現状の作業を見直してマニュアル化することで、業務改善と効率化を目指すことができるでしょう。

また、そのためにも、日ごろから現場の従業員が感じた課題や要望に耳を傾けて、業務環境の点検を行いましょう。マニュアルにしてまとめておくことで今後の教育に役立てることも可能です。

 

ステップ4.構成の作成

ステップ2~3で洗い出した内容をマニュアル化する前に、構成を作成します。具体的には、以下の点を意識します。

  • 大まかな流れを決める
  • マニュアルに入れる情報を決める

たとえば小売店における業務工程をマニュアル化する場合、業務領域をバックヤードとフロントヤードの2つに分けて大まかな流れを決めることが可能です。

バックヤードでは入荷した商品の保管や商品の準備を行い、フロントヤードでは商品陳列やディスプレイ、顧客対応といった具合です。

また、マニュアルに入れる情報は、細か過ぎでも不適切な場合があります。情報過多で従業員が内容を吸収しきれず、マニュアルとしての価値がなくなってしまうからです。そうならないためにも、構成段階でマニュアルに入れる情報を決めていきましょう。

 

ステップ5.内容の作成

マニュアルの構成が定まったら、内容を作成していきます。このとき心がけることは、わかりやすい言葉を使用し、マニュアルに従うメリットを入れることです。

従業員によっては、マニュアルを用意しても「読む時間がない」と言って活用しない人もいます。そのような場合に備えて、できるだけわかりやすい言葉遣いでルールを案内することが大切です。

また、マニュアル通りにすると結果的に業務がスムーズに進むことも明示しましょう。従業員への負担が減り、店舗運営そのものが効率化する点を理解すれば、マニュアルの価値も向上します。

 

効果的な店舗運営マニュアルを作るポイント

効果的な店舗運営マニュアルを作るポイント

上記では店舗運営マニュアルの作り方の手順を紹介してきましたが、ポイントを押さえることでより効果的なマニュアルに仕上げることができます。

ここではマニュアルを作るポイントを3つに絞ってご紹介しますので、ぜひ参考にご覧ください。質の高いマニュアルを作るために、把握しておきましょう。

 

新人でもわかるマニュアルを作成する

前章でも少しふれましたが、わかりやすいマニュアルを作成することが大切です。この場合のわかりやすさとは、現場の初心者(新人)でも理解しやすい言葉を使用し、何度も見返すことなく理解できるようにすることです。

まずは、店舗運営でありがちな専門用語をマニュアルには極力使用せず、かみ砕いた言葉を使ってください。使用しなければならない場合は、注釈を入れて解説するなどの配慮が必要です。

また、理解するために何度もマニュアルを読み直すことがないように、イラストや図を取り入れて作業手順を解説するのもよいでしょう。視覚的に理解しやすくすることで習得する側の負担を減らし、仕事への慣れがスムーズになります。

 

過去に発生したエラー情報を記載する

マニュアルには、過去にあったトラブルや失敗例を記載することも大切です。実際に起きたことを周知することで従業員に生きた情報を提供し、自分ごととして認識してもらえるからです。失敗しないための指南書として説得力が増すでしょう。

「失敗は成功のもと」ということわざがありますが、実際は多く失敗したくないものです。特に従業員の入れ替わりが多い店舗において、従業員の数だけ失敗があっては管理者のフォロー負担がはかり知れません。

そのため、過去に発生したエラー情報をマニュアルに記載することで、注意を喚起することが大切なのです。

 

提案と改善を繰り返す

店舗運営における課題は状況によって変化していくものです。そのため、マニュアルは一度作成したら終わりではなく、定期的なバージョンアップが必要です。

たとえば、コロナ禍での店舗運営では国や自治体からの要請に従って感染予防を徹底しなければなりませんでした。しかしコロナ禍が明けて人の行き来が活発化するなか、現在の店舗における優先課題は防疫ではありません。

またオンライン販売が進む昨今、実店舗では接客マニュアルを強化して対面ならではの集客に役立てることも求められています。このような時代の流れに乗り遅れないために、提案と改善を繰り返して現場に生きたマニュアルを維持することが大切です。

ちなみに、マニュアル作成のベースとなるものは、なにも紙(書類)だけではありません。わかりやすいマニュアル作成の方法としては、動画を活用する方法もあります。続いて、動画にて社員教育に成功した事例を見てみましょう。

 

店舗運営マニュアルの活用事例

ここではクラウド型eラーニングサービス「shouin+」を例に、店舗運営マニュアルの活用に成功した企業をご紹介します。

マニュアル活用でスキルの平準化を実現

株式会社オンリーの事例

全国で約60店舗を運営する株式会社オンリーでは、オーダーメイドのスーツ販売を中心に展開しています。同社での課題は、人材育成が店舗の社員によるOJT(On-the-Job Training:実務研修)に依存しがちで、教える内容に差ができてしまっていることでした。マニュアルとは異なる方法で教育が行われていたケースもあり、新入社員のスキルにも差が生じていました。

たとえばシャツの採寸ひとつをとっても、誰が担当しても同じように行わなければなりません。しかし、スキルチェックが行き届かず自己流で対応している社員もおり、スキルの平準化が求められていたのです。

そこで動画によるマニュアルを導入したところ、教育を大幅に均一化できたそうです。シャツの採寸の場合、事前に動画で採寸の流れやコツを理解した上で店頭に立つことで、スムーズに取り組めるようになりました。

まずは動画を見せることから始めるため、教える側の負担も大幅に軽減できています。

 

マニュアル活用で人材育成の効率化に成功

シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社の事例

学童保育サービスを展開するシダックス大新東ヒューマンサービス株式会社では、支援員への教育が課題でした。

運営施設が約1,000へと拡大するにつれて、現場主導のマニュアルでは業務の平準化が難航。本部主導の教育が施設に行き届かず情報格差を生んでいたのです。

そこで同社は支援員向けに動画マニュアルを作成し、全施設で視聴できるようにしました。主に、アレルギー持ちの児童や発達障害児への対応、またいじめ対策や子供の感性を引き出す保育について動画を投稿しています。

そしてこれらの結果、最大で月間約50%の研修時間が削減されるとともに、施設間の情報格差がなくなり、支援員のスキル向上につながりました。

 

まとめ

店舗運営マニュアルについて、種類や必要性、作り方などについてみてきました。盛り込む内容や作り方のポイントにもふれてきたため、ある程度イメージができるようになったのではないでしょうか。

しかしながら「どのような形式で作ればよいかわからない」という方は、こちらのマニュアルテンプレートをぜひご活用ください。無料でダウンロードいただけるうえ、シンプルなPowerPoint様式のため、とても扱いやすくなっています。

そのまま使える!パワポで作成マニュアルテンプレート

また、「どんな内容をマニュアル化すればよい?」「動画マニュアルの作り方も気になる」という方
は、shouin+を参考にしてみてください。ヒントになる情報をご紹介しています。

著者
『shouin+ブログ』マーケティング担当
人材育成クラウドサービス「shouin+」のマーケティング担当です。人材育成のお役立ち情報やトレンドをはじめ、企業の人事・研修担当の方向けに社内教育や研修のノウハウを発信しています。

shouin+は、本社や現場のOJT・研修に関するお悩みを丸ごと解決する人材育成クラウドサービスです。

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