shouin+ブログ

作業マニュアルとは?具体的な作り方や他マニュアルとの違いを徹底解説!(無料テンプレート付)

作成者: 『shouin+ブログ』マーケティング担当|Mar 6, 2022 11:00:00 PM

多数の従業員を抱える企業では、業務を円滑に進めるために欠かせない「作業マニュアル」。マニュアルがあることで、新人教育に活かせたり平準的な作業が実現できたりと、そのメリットは大きいものです。

しかし、多くの人が「マニュアルはあった方がいい」と分かっていても、

「作り方が分からないから、マニュアルができない」

「作る時間がないから、マニュアル作りが進まない」

などといった現状で、お悩みではありませんか?

そこで今回は、作業マニュアルの作り方からマニュアルの使い分けまで、マニュアル制作に関する内容をくわしく解説していきたいと思います。時間がない方のために、そのまま使えるマニュアルテンプレートもご用意していますので、ぜひダウンロードの上ご活用ください。

 

作業マニュアルとは?

作業マニュアルとは、作業の手順をはじめ、判断基準などの細かい情報をまとめた書類をいいます。業務の効率化や平準化などを目的として作成されますが、それに加えて品質向上や属人化の防止など、あらゆるメリットが期待できます。

作業マニュアルには、たとえば次のようなものが挙げられます。

<作業マニュアルの例>

  • 事務マニュアル:事務処理の作業手順を示したもの
  • 製造マニュアル:製造作業の手順や方法を示したもの
  • 接客マニュアル:接客の方法やポイントを示したもの
  • 介護マニュアル:介護の手順やポイントを示したもの

 

作業マニュアルと他のマニュアルの違い

マニュアルには、作業マニュアル以外にもいくつか種類があり、その目的や内容に応じて大きく4つに分類できます。

ここでは作業マニュアルを含めた4つのマニュアルの違いについて簡単に表にまとめてみました。参考までにご覧ください。

 

<作業マニュアルと他のマニュアルとの違い>

作業マニュアル

目的

業務の効率化・品質の安定化・責任の明確化・安全性の確保など

内容

業務の手順や目的・意味などを明確に示したもの

規範マニュアル

目的

経営理念の浸透・内部統制・コンプライアンス遵守など

内容

企業のあり方や考え方・行動指針を示したもの

取扱い・使用説明書

目的

機器の操作ミス防止・危機回避など

内容

商品・サービスの使用方法や操作方法などを記載したもの

教育訓練マニュアル

目的

従業員への教育・訓練

内容

従業員の教育方針や教育方法について示したもの

「参考:小林隆一著(2017)『仕事力がアップする!マニュアルのつくり方・生かし方』PHP研究所」

 

作業マニュアルの作り方

作業マニュアルの目的や内容を理解したところで、次に「作り方」についてご紹介していきます。作業マニュアルの作り方は主に次の5ステップです。

 

<作業マニュアル作成の5ステップ>

  • ステップ1:作業工程の洗い出し
  • ステップ2:作業に必要なものの洗い出し
  • ステップ3:作業工程ごとの解説やポイントの書き出し
  • ステップ4:基準の定義
  • ステップ5:その他、作業時の注意事項の書き出し

くわしく見ていきましょう。

 

ステップ1:作業工程の洗い出し

まずはマニュアルを作成する作業工程の洗い出しから始めましょう。工程はできるだけ細かく、各工程ごとに「名称」と「目的」を書き出してください。

(作業工程洗い出しの例:お客様のご案内)

①「いらっしゃいませ」と声をかける

②予約の有無を確認する

③来店人数を確認する

④コートなどを預かり、ハンガーにかける

⑤席に案内する

⑥メニュー表、おしぼり、お冷を渡す

⑦注文をとる

⑧カトラリーの準備・提供をする

 

なお、日本能率協会コンサルティングの著書では、業務の洗い出しに関して次のように書かれています。洗い出し作業は、粒度を意識しながら行うとよいでしょう。

ひとことに業務といっても、さまざまな粒度(細かさ)で表現されています。例えば「人事」、「総務」といった業務の表現は、「部」という部門レベルで業務をとらえています。「人事」という業務をもう少し細かい粒度にすると「採用」、「教育」、「給与・賞与」、「要員配置」、「給与計算」などといった業務があります。

「引用:株式会社日本能率協会コンサルティング著(2010)はじめの1冊!オフィスの業務改善がすぐできる本」

 

業務フローを可視化するためのフレームワークなどについては、こちらの記事でくわしく解説しています。ぜひ参考にしてください。

■参考記事

業務改善とは?目標の立て方やアイデア出しのためのフレームワークなど、効果的に進めるポイントを解説!

 

ステップ2:作業に必要なものの洗い出し

作業工程の洗い出しが完了したら、次に各作業工程ごとの「必要なもの」を洗い出していきましょう。洗い出しの仕方については、次の例を参考にしてください。

<洗い出しの例>

作業工程

必要なもの

①いらっしゃいませと声をかける

-

②予約の有無を確認する

予約管理表

③来店人数を確認する

-

④コートなどを預かり、ハンガーにかける

ハンガー等

⑤席に案内する

-

⑥メニュー表、おしぼり、お冷を渡す

メニュー表、(人数分の)おしぼり、お冷

⑦注文を受ける

ハンディ(もしくは伝票)

⑧カトラリーの準備、提供をする

カトラリー

 

ステップ3:作業工程ごとの解説やポイントの書き出し

続いて各作業工程ごとに、内容のくわしい解説や動作のポイントを書き出していきましょう。このとき、マニュアルの読み手のレベル感に合わせた言葉選びや解説が重要になります。くわしくは次の例を参考にしてください。

<解説・動作のポイントの書き出しの例>

作業工程

解説・動作のポイント

①「いらっしゃいませ」と声をかける

・ハキハキと明るい声で挨拶をしましょう

・表情は笑顔で

・来店時、いち早く声をかけられるように、入口には常に神経を配りましょう

②予約の有無を確認する

・「ご予約はされていますでしょうか?」と予約の有無をたずねます

・予約がある場合は「予約日時・人数・名前」をお客様に再度確認しましょう

③来店人数を確認する

・「何名様でしょうか?」と人数をたずねます

※予約確認で人数を把握している場合は、不要です。

④コートなどを預かり、ハンガーにかける

・お客様が上着を着ていれば、「コートをお預かりします」と声をかけ、コートをハンガーにかけます

⑤席に案内する

・「お席へご案内いたします」と声をかけ、ゆっくりと歩き席へ案内します

⑥メニュー表、おしぼり、お冷を渡す

・メニュー表をお渡しし、(人数分の)おしぼりとお冷を提供します

・おしぼりは、お客様の前で広げてお渡ししましょう

⑦注文をとる

・ハンディ(注文をとる機械)を準備し、注文を取ります

・注文内容は復唱し確認をとります

・注文内容の聞き間違いや入力間違いに十分に注意しましょう

⑧カトラリーの準備・提供をする

・厨房にオーダーを通した後、人数分のカトラリーを用意し、席へセットします

 

ステップ4:基準の定義

ステップ4では、各作業工程ごとの細かな基準についてまとめていきましょう。くわしくは次の例を参考にしてください。

<基準の定義の例>

作業工程

基準

①「いらっしゃいませ」と声をかける

・明るくハキハキと声かけができている

・お客様入店直後、速やかに声かけができている

②予約の有無を確認する

・予約状況を正確に把握できている

③来店人数を確認する

・来店人数を正確に把握できている

④コートなどを預かり、ハンガーにかける

・お客様の上着を丁寧に扱えている

⑤席に案内する

・ゆっくりと歩き案内ができている

⑥メニュー表、おしぼり、お冷を渡す

・速やか、丁寧、正確に提供ができている

・メニュー表やおしぼり、グラスに汚れがないことを確認できている

⑦注文をとる

・正確に注文を取れている

・復唱の際、ゆっくり正確な確認が取れている

⑧カトラリーの準備・提供をする

・人数分のカトラリーを正確に提供できている

・カトラリーに汚れがないことを確認できている

 

ステップ5:その他、作業時の注意事項の書き出し

最後に、各作業工程における注意事項などを書き出していきます。ミス防止・事故防止を意識しながら取り組むとよいでしょう。

<注意事項の例>

作業工程

注意事項

①「いらっしゃいませ」と声をかける

-

②予約の有無を確認する

・「きっと予約が入っている〇〇様だろう」といった思い込みはミスのもとです。「予約日時・人数・名前」は正確に把握しましょう

③来店人数を確認する

-

④コートなどを預かり、ハンガーにかける

・取り違え防止のため、場所を分ける・名札をつけるなどの対策をしましょう

⑤席に案内する

・早歩きは、ホール内のお客様やウエイターと衝突する原因となります。ゆっくりと歩いてご案内をしましょう

⑥メニュー表、おしぼり、お冷を渡す

・メニュー表やおしぼり、グラスに汚れがついていないか十分に確認をしましょう

⑦注文をとる

・オーダーミスはクレームの原因となります。注文内容が間違っていないか、ゆっくり丁寧に確認をしましょう

⑧カトラリーの準備・提供をする

・人数分のカトラリーが揃っているか、提供前に十分に確認をしましょう

 

紙?動画?作業マニュアルはどちらで作成するのが良い?

マニュアルの形態としては「紙」と「動画」の2種類がありますが、実際のところ

「動画なんて撮ったことないから、紙でしか作れない」

と感じている方が多いのではないでしょうか。

ところが、動画マニュアルの制作はみなさんが思っているほど難しい作業にはなりません。撮影から編集まで、iPhoneなどの端末ひとつで手軽に行うこともできます。

紙マニュアルと動画マニュアルはそれぞれにメリットとデメリットがありますので、これから作成しようとしている内容に合わせて使い分けてみてください。

それでは、簡単に紙マニュアルと動画マニュアルのメリット・デメリットを比較してみましょう。違いは、次のようになります。

 

メリット

デメリット

紙マニュアル

・制作が比較的簡単

・デバイスや通信環境がなくても閲覧できる

・書き込みなど、使用者がアレンジできる

・水濡れ等のリスクが少ない

・細かなニュアンスやイメージが伝わりにくい

・理解が深まりにくい

・保管に場所をとる

・印刷コストがかかる

動画マニュアル

・時間や場所に縛られない

・理解が深まりやすい

・印刷コストがかからない

・保管に場所をとらない

・制作に多少手間がかかる

・閲覧するためのデバイスや通信環境が必要

・端末水濡れ等のリスクが大きい

では、それぞれの特徴に合わせてどのように使い分けていけばよいのか、具体的に解説していきます。

 

単純作業に向いている紙マニュアル

紙マニュアルは、比較的変化の少ない単純作業や、製造現場など水濡れ等のリスクがある環境での使用に向いています。具体的にどのようなマニュアルを指すのか、事例をご紹介しましょう。

 

紙マニュアルの例1:操作手順マニュアル

操作マニュアルは、機械やシステムの使用方法やトラブルが起きた場合の正しい処理方法などが説明された文書のことで、取扱説明書と同様のものを指します。

接客業ではレジやハンディ(注文をとる機械)などを扱う機会が多いものですが、紙マニュアルは現物を手元に置いておき、見たいと感じたときにぱっとすぐ確認できるのがメリットです。一方、パソコン内での作業が想定される場合は、紙ではなくPDFなどで保存しておくと便利でしょう。

 

紙マニュアルの例2:新入社員用 書き込み型のワークブック

紙の利点はペンなどで書き込むことができること。例えば、新入社員用のマニュアルの中で、メモや目標などを「書き込ませる」ワークブック形式の場合には紙マニュアルがおすすめです。

基本的に接客・接遇マニュアルは細かなニュアンスが伝わりやすい動画が向いていますが、新人研修で使用する場合は上記の理由から、紙マニュアル形式のワークブックも用意しておくと便利でしょう。

動画マニュアルを見ながら紙マニュアルに書き込む、といった形態にするとより効率的な新人教育が可能となります。

 

紙マニュアルの例3:現場用 製造マニュアル

製造マニュアルは、現場で使用することを想定すると紙マニュアルがおすすめです。

製造現場では水濡れや原料による汚れのリスクがあるため、基本的には電子端末が必要となる動画マニュアルは不向きでしょう。ですが、工程の流れを理解する場合など、動画マニュアルの方が理解の助けになる場合は往々にしてあります。その場合は、使う場所を限定するなど、端末の安全性を確保しましょう。

 

複雑作業に向いている動画マニュアル

続いて、動画マニュアルに向いている業務の事例をご紹介していきましょう。動画マニュアルは、複雑な作業や文章では表現が難しい業務、臨機応変な対応が求められる業務などに向いています。

 

動画作業マニュアルの例1:接客・接遇マニュアル

接客・接遇マニュアルには、細かなニュアンスが伝わりやすい動画マニュアルが向いています。

とくに接客(サービス)業は、従業員のマナーや態度に関するクレームの多い業界ですので、クレーム予防のためにも、笑顔の大きさや接客時の声色など言葉で表現するには難しいニュアンスが伝わりやすい動画マニュアルで、接遇研修の質を高めたいところです。

「参照元(日本労働組合総連合会):消費者行動に関する実態調査

 

■参考記事はこちら

接遇とは?接客との違いや5原則などを業種別事例からわかりやすく紹介!

 

動画作業マニュアルの例2:営業マニュアル

接客マニュアルと同様、対人コミュニケーションが主となる営業活動では、そのポイントやノウハウを言語化するのは非常に難しい作業になります。その点、動画マニュアルなら「細かなニュアンスやイメージ」を伝えるのに向いているでしょう。

動画作業マニュアルの例3:看護・介護マニュアル

看護・介護職も、基本は患者や入居者といった人を相手にする職業です。紙マニュアルでは表現しにくい「身体への触れ方」や「細かな気配りの仕方」を、動画マニュアルならロールプレイング等を交えながら分かりやすく伝えられるでしょう。

とくに看護・介護業界は苦情の多い業界であり、令和元年度においては東京都内で3,270件もの介護サービスに関する苦情が寄せられています。動画を使ったより伝わりやすいマニュアル作りができれば、苦情の減少も期待できるでしょう。

 

「参照元(東京都国民健康保険団体連合会):東京都における介護サービスの苦情相談白書(令和2年版)

 

なお、動画マニュアル全般に関しては、こちらの記事でもくわしく解説しています。ぜひ参考にしてください。

■参考記事

動画マニュアルは効果的? 導入のメリット・デメリットを解説

 

 

まとめ

多数の従業員を抱える企業では、業務を円滑に進めるために欠かせない「作業マニュアル」。今回は、作業マニュアルの作り方をはじめ、紙マニュアルと動画マニュアルの使い分けまでくわしく解説いたしました。

作業マニュアルを制作する上では、一つひとつの作業を細かく分解し洗い出す地道な作業が続きます。手間はかかりますが、本文で紹介した手順に沿ってぜひチャレンジしてみてください。

また、紙・動画それぞれのメリットとデメリットを考慮した上で、作業内容や使用環境によりマニュアルを使い分けることもポイントの一つです。ぜひ本記事を参考に、貴社のマニュアル制作にお役立てください。