多くの企業がテレワークを取り入れている今、さまざまな業務のオンライン化が進んでいます。自社社員を育てるための研修もそのうちのひとつで、オンライン研修を行っている企業も少なくありません。
しかし接客業や飲食業などは、研修の全てをオンライン化するのは難しく、悩んでいる人材部の方も多いのではないでしょうか。
そこで今注目されているのが、複数の研修手法を組み合わせて行う「ブレンディッドラーニング」です。今回は、そんなブレンディッドラーニングについて解説します。具体的な構築例や、成功させるためのポイントなどもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ブレンディッドラーニングとは、複数の育成方法を組み合わせて行う学び方のこと。さまざまな研修手法のいいところ取りをするものです。
従来、企業が社員に向けて行う研修と言えば、集合研修やOJT(On-the-job Training)が一般的でした。そして最近は、PCやスマートフォンなどのデジタルデバイスを使って研修を行う「eラーニング」も注目を浴びています。
これらの研修方法は、それぞれにメリット・デメリットがあります。どれが良い、悪いと簡単に決められるものではないので、どの手法を選べば良いのかと、迷ってしまうケースが少なくありません。
そこで活躍するのが、複数の研修方法を組み合わせていいとこどりをする「ブレンディッドラーニング」です。
多くの法人企業を対象に、人材開発・組織開発のコンサルティングを行っている小仁聡氏は、著書の『ブレンディッド・ラーニング〜新リモート時代の人材育成学〜』にて以下のように述べています。
ブレンディッド・ラーニングは、ただいくつかの学習内容を組み合わせるだけでなく、教育学の理論を背景に、テクノロジーを活用し、学習効果の高いコンテンツ提供を実現することで、柔軟かつ効果的・効率的な新しい時代の学び方を実現するものです。
(引用元:「小仁聡(2021)『ブレンディッド・ラーニング〜新リモート時代の人材育成学〜』株式会社フローラル出版」)
ブレンディッド・ラーニングが注目されるようになった理由としては、新型コロナウィルス感染症による、経済環境の変化、および働き方の変化が挙げられます。また、そのような環境の変化に対応することが企業に強く求められるようになっていることも、要因のひとつと考えられます。
コロナ禍以降、世の中の経済状況は悪化し、企業間の競争が激しくなりました。質の良い商品・サービスを提供しなければ、顧客が他企業へと流れ、業績が上がらない…といった状況です。そのため企業は、顧客を逃さないよう人材教育に注力することが重視されています。
また、経済的環境が大きく変わったことで、従来の成功体験が通用しないことも多く、企業は新しいアイディアを生み出していかなくてはなりません。そして、斬新で画期的な方法を見つけるには、従業員の力が必要不可欠。クリエイティブで優秀な人材を増やすことが重要なのです。
こういった背景から、より効率が良く、効果的な研修手法はないかと試行錯誤した結果、ブレンディッド・ラーニングが今注目を集めているのではないかと推測できます。
ブレンディッド・ラーニングは、組み合わせる手法に決まりはありません。さまざまな取り組み方がありますが、本記事では流通小売業で最も効果が高いとされている、「集合研修+OJT+eラーニング」の組み合わせを例に解説していきます。
参考書籍:小仁聡(2021)『ブレンディッド・ラーニング〜新リモート時代の人材育成学〜』株式会社フローラル出版
集合研修、OJT、eラーニングのいいところどりをするには、それぞれのメリットとデメリットを把握しておく必要があります。
まず集合研修とは、受講者を1つの場所に集めて、対面式で教育する研修スタイルのこと。新人研修や階級別研修など、幅広い種類の研修に取り入れられている基本的な手法です。
(引用:株式会社パーソル総合研究所「パーソル総合研究所「コロナ禍における研修のオンライン化に関する調査」」)
「株式会社パーソル総合研究所」が行った調査の結果を見てみると、集合研修をオンラインで行う企業が多い一方で、まだまだ対面式で行われている研修も少なくないことがわかります。新入社員研修に関しては、対面集合形式で行う企業の割合が約半分を占めており、eラーニングやオンライン集合形式に比べて高い数値です。
しかし、コンプライアンス研修やメンタルヘルス研修のように、eラーニング形式で行われる研修が多いのも事実。メリットもデメリットもあるからこそ、研修の内容によって対面形式をとるかどうかが変わるのです。まとめると以下になります。
では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
企業が研修を行う際、内容によっては数多くの従業員を相手にすることがあります。十数人の場合もあれば、多いときでは数百人を対象に行われる場合も。
集合研修は、大人数に向けて一度に情報を伝えられるのがメリット。多くの社員をいっぺんに教育できるため、1人1人に伝えるよりも時間がかからず、効率が良いです。また、研修を行う回数が少なくて済むので、費用も抑えられてコスパが良いでしょう。
特に新卒社員が入社したときは、大人数を短期間で育てなくてはなりません。個人個人に情報を伝えていては、育てきるまでにかなりの時間を要するでしょう。ですが、集合研修であれば、一気に知識を身につけさせることができます。
どんなにわかりやすい研修でも、全ての人が完璧に理解できるわけではありません。価値観や経歴によって、理解度に違いが出るのは当然とも言えます。しかし、わからないところをあとあとになって聞くのは、面倒と思ってしまうもの。「相手に手間を取らせてしまうのでは…」と気を遣い、聞くことを躊躇う社員もいるでしょう。
対面形式の集合研修は、その場で質疑応答ができるのも大きなメリット。理解できなかったところを、すぐに聞いて解決することができます。
また、1人が質問することで、一緒に研修を受けている従業員も共に学ぶことができます。”わかっているつもりでわかっていなかった”という部分を発見でき、業務への理解度がより高まります。教える側も、同じ質問に何回も答える必要がなく手間が省けるでしょう。
さらに、その場で受講者から質問を受けることで、どのような部分が理解しにくいのかがわかり、研修内容を見直すときの参考になります。このように、質疑応答がその場でできる集合研修は、教わる側にも教える側にもメリットをもたらすのです。
グループワークやロールプレイを取り入れることができるのも、集合研修のメリット。受講者同士で話し合って考える力を身につけたり、実際に業務を行うときのイメージを掴んだりと、より深い学びを得ることができます。
例えば接客は、知識を身につけただけではわからないことが多々あります。お客さまの反応を見て気持ちを汲み取ることや、臨機応変に対応することなど、実際にやってみないとわからないことが多いため、ロールプレイの研修が欠かせません。
また、店長クラスに向けた研修では、グループワークが頻繁に活用されます。部下への指導方法や、店舗ならではの悩みをグループで話し合うことにより、解決策が見つかりやすくなるからです。他店での取り組みから新しいアイディアをもらい、自店の改善に活かすといったことも可能になります。
このように、学ぶことの多いグループワーク、ロールプレイですが、1対1で行うOJTやオンラインで情報を得るのみのeラーニングでは、なかなか実現できません。人と人とが接する集合研修だからこそできることです。
従業員を1箇所に集めて行う集合研修は、参加する人数分の交通費がかかります。移動距離によっては、新幹線代や飛行機代などの高額な交通費がかかりますし、数日間研修を行う際は宿泊費もかかるでしょう。
大人数が参加する場合、本社の一室では手狭なことも。そのようなときは、ビルの一室やホテルのホールなどを借りて行われますが、場所代がかかるのがネックです。
また、講師を招いて研修を行う場合、講師料に加えて講師の交通費、宿泊費も会社が負担するケースが多いです。対するオンライン研修は、講師料はかかるものの交通費や宿代はかかりません。集合研修だからこそ必要となる経費です。
どのような手段であっても、研修で使用する資料の作成や、人件費などコストはかかるもの。しかし、実際に人が移動しなくてはならない集合研修は、プラスで移動代や宿泊代などの費用がかかります。その分、会社の利益が減少するため、コスト面では最適とは言えないでしょう。
以前は対面式の集合研修が主流でしたが、現在オンライン化が進んでいるのは、新型コロナウィルス感染症の発生が影響していると考えられます。大人数で集まると感染リスクが高いため、オンライン化せざるを得ないのです。
席の間隔を空ける、消毒を徹底するなどの対策を行っても、感染に対する不安は残るもの。公共交通機関での移動中に感染する恐れがあるため、できれば参加を避けたいと思う社員も少なくありません。
もしも強制的に参加させると、「社員のことを大切に思っていない」と従業員から反感を買うでしょう。会社に対する疑問・不信感を抱き、最悪の場合、離職の原因となる可能性もあるので、オンラインでもできることはオンライン化する方が、リスクが低いでしょう。
従業員が研修会場に向かうには、費用だけでなく時間もかかります。県をまたいで参加する場合は、宿泊で数日も潰れてしまうことも。
研修中は通常業務ができないですが、得られるものがあるため納得がいきます。しかし、移動の時間は会社にとっても社員にとっても、利益になりません。その分、通常業務が滞りますし、研修に参加しない従業員の負担も大きくなってしまいます。
例えば、数時間の研修のために半日かけて移動しなくてはならない場合、研修内容がどんなに良いものであっても、無駄が多いです。「業務に支障が出るから」と不参加を希望する人もいるでしょう。
かといって、通常業務に支障が出ないようにと、研修時間を削っては意味がありません。内容が薄くなる、参加者が理解しきれないなど、研修を行うメリットが少なくなってしまいます。
そのため、移動時間をなるべく短くする工夫が必要です。そして移動する必要がないオンライン研修は、時間のロスがなく効率的と言えるでしょう。
OJTとは「On-the-job Training」の略で、実際の業務を行いながら知識を身につける育成手法のこと。取り組み方や注意点などの指導を受けつつ実践するスタイルで、手を動かさずに知識だけを身につける集合研修とは対照的です。OJTのメリット・デメリットをまとめると以下です。
では、それぞれ詳しくみていきましょう。。
研修で教わったことは、時間が経つと忘れてしまいがち。きちんとメモを取ったのに、後になってわからないところがたくさんあった…なんてことがよくあります。
OJTは、教えられたことをすぐに実践できるのがメリットです。忘れてしまう前に内容を確認できるため、より早くノウハウを身につけることができます。
また、間違いをすぐに正すことができるのもOJTの魅力。「理解したつもりでいたけれど実は理解できていなかった」ということも、その場で指摘し、改善できます。一度間違った方法で覚えてしまうと正すのが難しいですが、初めから正しい方法を身につけることができるため、効率が良いです。
研修を受ける社員は、1人1人能力も価値観も違います。そのため、理解度も習得スピードも人によって差があります。理解するのがあまり早くない社員は、教育についていくことができなければ、自信を失ってしまうでしょう。「自分はこの仕事に向いていない」と離職してしまう可能性もあります。
反対に、理解したり覚えたりするのが得意な社員は、研修内容に物足りなさを感じることも。やりがいを感じられず、こちらも離職のリスクがあります。
OJTは、全体を見る集合研修とは異なり、基本的に1対1で行うため、個人の習得状況に合わせて指導することができます。ゆっくりと丁寧に指導する、レベルの高い内容を伝えるなど、1人1人の成長スピードに合わせて指導方法を変えることができるのです。結果的に、最も効率の良い方法で教育でき、成長を促すこと、そしてモチベーションの向上へとつながるでしょう。
OJTにて1対1で教え、教わることにより、従業員同士のコミュニケーションが増えます。会話が増えることで、職場の人間関係を構築できるのもOJTのメリットです。
人間関係を築くことは簡単ではありません。どちらかが積極的に話しかけたり、食事に誘ったりなどの努力が必要で、かつ時間もかかります。しかし、OJTではお互いにコミュニケーションを取ることが必須。仕事をする過程で自然と会話が増えます。
また、教える側が相手のことをよく知り、気にかけることで、部下・後輩は上司・先輩に対して信頼を抱きます。いつでも相談できる人、困ったときに頼れる人ができれば安心して業務に取り組むことができますし、より早く仕事に慣れることができるでしょう。
特に小売店や飲食店では、職場の人間関係の良さが重要。チームワーク力が上がることで、スムーズな連携が取れ、売上げアップへとつながるからです。そのため、OJTを積極的に行い、従業員同士のコミュニケーションを増やすことが大切です。
多くの場合、OJTは従業員1人に対し、教育担当者が専属で行います。担当者がいないと教育が進められないため、従業員の出勤時間と担当者の出勤時間を合わせなくてはなりません。
タイミングが合わず日にちが空いてしまうと、教育が中断されてしまいます。また、間が空くことで前回教わった内容を忘れてしまう可能性も。何度も同じことを教えなくてはならず、その分、従業員の成長スピードが遅くなるでしょう。
特に店舗型ビジネスの場合は、多くの従業員がシフト制で勤務します。教育担当者とシフトがなかなか被らず、教育する時間が取れないケースも少なくありません。
人員が十分に確保されていれば、余裕を持ってOJTを行うことができますが、そううまくはいかないのが現実。そのため、OJTを効率よく短時間で行うための工夫が必要であり、ブレンディッドラーニングは有効な対策方法のひとつです。
OJTを行っている最中にトラブルが起きる、接客に入るなどのイレギュラーはよくあること。そのため、OJTの時間を確保していたとしても、通常業務に追われて実施できない場合があります。
何度も教育が中断されると話が途切れ途切れになり、内容を理解しにくくなる恐れがあります。また、就業時間内は忙しくてできないからと、時間外に行っては、従業員にも教育担当者にも負担がかかります。
特に新人の場合、OJTが中断されている最中、何をすれば良いか分からず戸惑ってしまうもの。放置されることに不安を抱き、モチベーションが下がってしまいます。ぼーっと立っていることしかできず、最悪の場合「なぜ自分はここにいるのだろう」と悩んでしまうこともあるでしょう。
接客業や飲食業はOJTが欠かせない仕事ですが、店舗が忙しいことが多く、OJTの実施が難しい業界でもあります。そのため、店舗運営と人材教育を両立できる研修を取り入れることが、特に重要と言えます。
先ほど述べたとおり、OJTは基本的に教育担当者が専属で行うもの。ゆえに、教える人によって指導内容にばらつきが出やすく、教育に差が出やすいデメリットもあります。
事細かにマニュアル化されていれば、差は少ないでしょう。しかし、大まかな指導方法のみ決められている場合がほとんどで、丁寧に教える人もいれば、大雑把に教える人もいます。また、独自で身につけたノウハウをプラスで教えるとなれば、さらに指導内容に差が出てしまいます。
教育にばらつきがあるということは、つまり、従業員によって成長具合も変わるということ。商品やサービスの質に差が出て、生産性が上がらないのはもちろん、成長が遅れている従業員の自信喪失にもつながるため、差異が出ないよう工夫が必要です。
近年、多くの企業が人材教育に取り入れている「eラーニング」。eラーニングは、「オンデマンド・ラーニング」という書籍にて、著者のティム・スレイド氏が以下のように定義しています。
eラーニング=コンピューター、タブレット、スマートフォン、その他のデジタルデバイスで行われるあらゆる学習体験
(引用元:「【著】ティム・スレイド【訳】足立美穂(2021)『オンデマンド・ラーニング』日本能率協会マネジメントセンター」)
eラーニングとは、デジタルツールを使って従業員に知識を身につけさせ、教育する方法。業務の手順を解説する動画マニュアルや、チャット機能のあるオンラインセミナーなど、さまざまな形式があります。
そんなeラーニングには、いったいどのようなメリット・デメリットがあるのか、以下にまとめてみました。
1つずつ詳しく見ていきましょう。
eラーニングは、いつでもどこでもできるのが最大のメリット。集合研修のように場所を移動したり、OJTのように担当者と時間を合わせる必要もなく、どこででも好きなタイミングで教育できるのが魅力です。
パソコンやスマートフォンなど、従業員が所持しているデジタルデバイスを使ったeラーニングツールであれば、自宅での研修も可能。テレワーク勤務で就業している従業員に対しても、公平に教育できます。
また、内定者に向けた入社前研修を行うこともできます。eラーニングを通して社会人としてのマナーや業務の流れ、会社の方針などを事前に伝えておくと、入社後の教育がスムーズです。内定者としても、事前に業務と会社について知ることができれば安心ですし、より早く職場に馴染めるでしょう。
OJTは、教育担当者がそれぞれのやり方で教育するのに対し、eラーニングは共通の指導内容で教育するスタイル。そのため、教え方や情報に偏りがなく、受講者全員が同じ内容の研修を受けることができます。
特に、トラブル発生時や接客時などの行動基準は曖昧になりがち。人それぞれ感覚や経験が違うため、教育の内容にブレが生じてしまうものですが、デジタルツールを使うことで平準化できます。その結果、従業員の行動基準が統一され、最終的には属人化の防止も期待できるでしょう。
人間ならではの漏れ、ブレを防ぎ、同じ内容で指導できるのは、デジタルデバイスを使ったeラーニングの強みです。
eラーニングのシステムによっては、学習進捗を管理することも可能です。例えばOJTだと、かなり細かく記録しない限り、教えた内容や進捗を把握することができません。しかし、eラーニングであれば「誰が何を教わり、どこまで教育が完了したのか」が一目でわかるのです。
学習進捗がわかると、仕事を割り振りする際に便利。教育が完了していれば業務を任せられますし、教育が終わっていなければ業務を任せず、先に指導を済ませるなど、計画的かつ効率よく業務を回すことができます。
また、学習進捗を把握することで、「まだ教わっていない」「すでに教えた」といったトラブルを回避することにもつながります。従業員がただ単に忘れてしまっただけなのか、まだ教えていないのかによって、その後の教育が大きく変わるので、状況を把握することは非常に重要です。
eラーニングは、OJTや集合研修と比べると教育者からの監視が薄く、「実行しない従業員もいるのでは」という懸念の声もあります。しかし、進捗がわかっていれば、未完了の社員に学習を受けるよう催促するなど対処ができ、きちんと管理することが可能です。
eラーニングは集合研修とは違い、従業員個人で行います。そのため、複数人でディスカッションを行うなど、グループワークを取り入れた研修はほとんどできません。
オンライン研修やオンラインセミナーなどでは、チャット機能やマイク機能を使って会話することは可能ですが、いくつものグループを作ってそれぞれでコミュニケーションを取るのは難しいでしょう。もしできたとしても収拾がつかず、スムーズに研修を進められなくなってしまいます。
グループワークには社員の自主性、クリエイティブ力を育てるメリットがありますが、eラーニングでは難しいため、従業員が学べる範囲は狭まります。また、従業員同士がコミュニケーションを取る機会も減るため、OJTや集合研修のような人間関係の築きやすさは期待できないでしょう。
人と会話したり、褒められたりする機会が少ないeラーニングは、モチベーションを保つのが難しいというデメリットも。刺激がなく、学ぶことに対するやる気が失われやすいため、研修を行っても無駄になる恐れがあります。
もともとモチベーションが高い社員であれば、問題なく学習し、成長できるでしょう。しかし、全員がやる気に満ち溢れているとは限りません。人によっては、ただ閲覧するだけ、ただタスクをこなすだけで、何も研修から学ばないケースもあります。
特に「いつまでにeラーニングを終える」といった期限がないと、研修を受けることすら避けられる可能性も。それではせっかくeラーニングツールを作成しても無駄になってしまうでしょう。そのため、企業はモチベーションが上がるような内容を意識して作ること、そして対象者全員が受講し、活用できるよう管理およびサポートすることが大切です。
eラーニングの多くは、「見るだけ」「聞くだけ」で学べるというもの。なかには、チャットで発言したり、クイズに答えたりと手を動かすこともありますが、実際に業務を体験できるものではありません。
そのため、実技の習得は難しいとされています。例えば、接客や部下への指導は”やってみないとわからないこと”が多数ある業務。しかし、eラーニングは動画を観て学ぶことはできても、実際に顧客、部下と会話することはできないため、身につくノウハウの範囲が限られます。
また、業務の仕組みや注意事項、大まかな手順などをeラーニングで学んでいても、完全に習得できているとは限りません。頭で理解していたとしても実践しないことには、本当に身についているかどうか確かめられないからです。
理解できているのと、習得できているのとでは大きな差があります。いざ実際に業務を行うときに問題が発生する恐れがあるので、eラーニングと実践するOJTとを組み合わせる、ブレンディッドラーニングが有効です。
活用方法にもよりますが、基本的にはブレンディッドラーニングは、どの業種においても有効です。その中でも特に向いているのが「流通小売業」と言われています。
なぜ流通小売業にブレンディッドラーニングが向いているのか、3つの理由を挙げて解説していきます。
流通小売業では、レジ業務や在庫管理、商品の仕入れなどの業務を、マニュアルをもとに行うことがほとんど。ブレンディッドラーニングを取り入れる際は、このマニュアルをそのままeラーニングに置いて活用することができます。
特に動画マニュアルが導入されている場合は、そのままeラーニングとして使うことができて便利。新たにコンテンツを作成する必要がなく、スムーズに導入できるでしょう。
研修の手法が業務に適しているかどうかももちろん大切ですが、導入しやすいかどうかも大切。研修を準備するのに苦戦してしまうと、その分、通常業務に割くべき時間、労力が削られてしまうからです。よって、マニュアル化が進んでいる流通小売業は、ブレンディッドラーニングに向いていると言えます。
商品を仕入れて店舗で販売する流通小売業は、売上げを立てるための接客が必要不可欠。接客は、人によってやり方やコツが違うため、教育担当者による指導内容もばらつきやすいという問題があります。
さらに、接客指導はOJTで行われることがほとんど。これら2つの要素によって、指導内容および成長スピードに差が出やすい仕事なので、平準化が可能なeラーニングが最適と言えます。いずれにしろOJTは必要ですが、基本的な接客方法や行動基準を揃えておくことで、従業員の接客スキルの差は最小限に抑えられるでしょう。
(「東京労働局職業安定部(2022年4月)産業別新規求人の推移」を参考に弊社で作成)
東京労働局職業安定部が行った調査によると、2021年度卸売業・小売業の新人求人数は8421人。医療・福祉業に比べると低くはありますが、全体で見ると卸売業・小売業は求人数が比較的多い業界ということがわかります。
求人数が多いということは、つまり人手不足であるということ。従業員1人1人にかかる業務の負担は大きく、多忙な状態であるということになります。
接客は、実践しないと身につかない仕事なので、OJTが欠かせません。しかし、店舗が忙しく、教育に十分な時間を割くことができないのも事実。よって限られた時間で教育することが重要であり、一部をeラーニングで置き換えるブレンディッドラーニングが有効なのです。
また、人手が不足している多忙な店舗は、新人を迅速に育成し、より早く戦力になってもらう必要があります。eラーニングで事前に知識を身につけることで、スムーズなOJTを可能にするブレンディッドラーニングは、業務の習得スピードを上げる効果も期待できるため、流通小売業に特に向いている研修手法であると言えます。
ブレンディッドラーニングは、人材教育のさまざまな場面で活用できる研修手法。ここからは具体的に、どのような研修に取り入れるられるのかを見ていきましょう。
新入社員が入社する前に受ける、内定研修。ブレンディッドラーニングは、内定研修でも役に立つ手法です。
基本的に、内定期間中は出社しないので、集合研修やOJTといった研修は行われません。しかしeラーニングであれば、内定者が自宅にいる状態でも教育できます。入社する前に、スキルや基本的なマナーなどを教えることができるのです。
事前に知識を身につけておくと、入社後に店舗研修を行う際、指導内容を理解しやすくなります。より早く仕事を習得することができ、即戦力となってくれるでしょう。
また、eラーニングを活用すれば、入社前から内定者と企業が接点を持つことができます。通常は、面接および内定後から入社式までは、ほとんど連絡を取ることがありません。しかし、eラーニングにて会社の情報を伝えたり、教育のフォローアップをしたりすることで、コミュニケーションが増えます。内定者は会社のことを少しでも事前に知ることができれば、入社後より早く馴染むことができますし、企業も内定者のことを知ることで、教育方針や配属を判断するのに役立てることができます。
社員全員が習得すべき業務の基本や、社内ルールなどを教育する新入社員研修。この新入社員研修は、eラーニングに置き換えることができます。コロナ禍で集合研修の実施が難しい場合でも研修を行うことができ、新入社員は、知識を身につけた状態で業務を始めることができます。
また、新入社員が学んでおくべきことは多く、全てを店舗で教えるとなると教育担当者に負担がかかります。そこで、eラーニングにて少しでも多くの情報を伝えておくことで、店舗にかかる教育の負担を軽減することができるのです。また、教えなくてはならない情報量が減れば、1つ1つの工程をより丁寧に教育でき、業務への理解度もより高まるでしょう。
入社前、入社直後だけでなく、従業員の接客スキルを上げたり、新たな業務システムツールを導入したりする際も研修が必要です。そのようなときにも、ブレンディッドラーニングが活用されます。
グループワークを必要とする内容は、集合研修が有効です。しかし、スキルアップのための知識や、ツールの使い方などを教える場合は、eラーニングに置き換えることが可能。そうすることで、従業員はわざわざ移動する必要がなく、店舗の都合に合わせて学ぶことができます。忙しい店舗でも従業員のスキルアップが可能になり、さらにはコスト削減、肉体的な負担の軽減にもなるでしょう。
また、eラーニングを活用すれば、オンラインで専門講師のセミナーを受けることもできます。チャット機能などを利用して、質疑応答を行うこともできるため、社員により高い技術を身につけさせたい場合に有効です。
「業務の生産性アップ、顧客満足度アップを図るものの、店舗が忙しく実現できない…」というような企業は、ブレンディッドラーニングを取り入れてみると良いでしょう。
転職が身近になっている今、従業員はいつ離職しても不思議ではありません。重要な役職に就いている社員でも離職する可能性があり、その場合、空いた穴を埋めるのに苦労するものです。
そのような人材の入れ替わりに備えて、階層別の研修が行われます。しかし、入社後数年経っている社員は、なかなか現場を離れられないことも多く、集合研修の実施はかなり厳しいでしょう。
そこで活躍するのが、ブレンディッドラーニングでのeラーニング手法です。店舗を離れることなく、部下指導の方法やマネジメント方法、書類の取り扱い方法などを教えることができます。本社から遠い店舗や、忙しい店舗でも平等に教育を受けることができ、店長クラス候補、副店長クラス候補を育てることができるのです。
業務知識を頭に入れた状態で実践するとスムーズ、かつ高い研修効果が得られます。そのため、eラーニングで知識を身につけてからOJTに臨むのが、理想的なブレンディッドラーニング研修の流れです。
OJTは、OJTでしか得られないものが多いので外せませんが、集合研修の一部はeラーニングに置き換えることが可能です。では、どのような部分を代用できるのか、それぞれのメリットを比較してみましょう。
対面集合研修 |
eラーニング |
|
質疑応答 |
◯:その場で可能 |
◯:オンラインで可能 |
場所 |
×:限定される |
◯:どこでも可能 |
指導内容の平準化 |
◯:可能 |
◯:可能 |
進捗・理解度確認と管理 |
△:ほぼ不可能 |
◯:可能 |
グループワーク |
◯:可能 |
×:不可能 |
対面式集合研修のメリットと、eラーニングのメリットが重なる場合は、より効率的なeラーニングに置き換えることができます。例えば、その場で質疑応答ができるのは集合研修のメリットですが、チャット機能や通話機能などを利用すれば、eラーニングでも対応可能になります。
反対に、eラーニングでは不可能なグループワークや、個人に合わせた指導が必要な研修は、集合研修やOJTで行います。このように、それぞれのメリットが活かされるような研修内容を構築することで、ブレンディッドラーニングの高い効果が狙えます。
このことを踏まえた上で、ブレンディッドラーニングを取り入れた研修の構築例をご紹介します。違いを明確化するため、従来行われていた研修の構築例もご紹介しますので、ぜひ比較してみてください。
従来の研修は、まずはじめに集合研修を行い、業務を行う上で必要な知識を身につけます。場合によってはグループワークやロールプレイを取り入れ、自分で考える力を育てたり、実践に近い形で業務を体験したりし、学びを得ます。
集合研修で学んだことを店舗で実践し、正しい知識が身についているか確認します。そして、教育担当者は間違っている部分や改善点を指摘し、社員が1人前に業務をこなせるようサポートします。集合研修にて理解しきれなかったことがあれば、ここで質疑応答を行い、業務への理解度を高めます。
集合研修で学んだこと、およびOJTで学んだことを、紙マニュアルを参考に復習します。間違ったやり方で覚えていないか、忘れていた部分はないか再度確認することで、より着実に業務を習得できます。
ただし紙マニュアルは、きちんと整理しておかないと順番がバラバラになったり、破れたり、汚れたりしてしまうのが難点。またセキュリティ管理が難しく、社内でしか読むことができない場合も多いため、復習するために残業が増えるなどといった問題が発生する恐れがあります。
そこで活躍するのが、次にご紹介するeラーニングを取り入れたブレンディッドラーニングです。
ブレンディッドラーニングでは、従来集合研修で行っていたところを、eラーニングに置き換えます。場所・時間に縛られることなく教育できるため、自宅でも入社前の時期でも研修が可能です。
ただし、グループワークやロールプレイを取り入れることは難しいため、チャットを利用する、パターン別で動画マニュアルを複数作成するなどの工夫が必要です。
eラーニングを取り入れると、確認テストや検定試験を実施できるようになります。集合研修のような質疑応答はできないですが、チェックシステムを導入することで、eラーニングでも理解度を確認することが可能です。
また、確認テストや検定試験を行うと、受講者は自分の実力を明確に把握でき、モチベーションアップにつながります。理解できたことに対しては達成感を味わえますし、できていないことに対しては、改善しようと試みるはず。従業員の成長を促進すると共に、向上心アップも狙えるでしょう。
集団で行わず個人で行うeラーニングのデメリットである、モチベーションの維持は、このように工夫することでカバーできます。
eラーニングで学んだことを、店舗で実践します。どんなに優秀な学習システムを活用しても、実践しないとわからないノウハウは多いので、OJTは必須です。
しかし、eラーニングにて動画マニュアルを活用し、実際の業務のイメージが掴めていれば、OJTもスムーズに進行できるでしょう。店舗の負担を減らすためにも、1つ前の工程であるeラーニングの活用はやはり重要と言えます。
OJTで学んだことを、eラーニングで復習します。従来、紙マニュアルで行っていた復習ですが、eラーニングであればスマートフォンやパソコンなどのデバイスで実施でき、管理も楽です。
また、セキュリティシステムを整えておけば、自宅での復習も可能になるでしょう。拘束時間を短くでき、従業員満足度向上の効果が期待できます。
そのほか、eラーニングを取り入れたブレンディッドラーニングでは、定期的にチェックテストを行うなどの長期的な教育も可能になります。今回ご紹介したのは一例なので、ぜひ自社の環境と目的に合わせて、最適なフローを構築しましょう。
ブレンディッドラーニングが効果的であるとはいえ、必ずしも高い研修効果が得られるとは限りません。成功するために気をつけるべきポイントがいくつか存在します。
ここでは、なかでも重要な3つのポイントについて解説していきます。
eラーニングと言えば、システムを導入することばかりに目を向けてしまいがち。しかし、それよりも大切なのが「育成ロードマップ」を作成することです。
『ブレンディッド・ラーニング〜新リモート時代の人材育成学〜』の著者である小仁聡氏も、無計画にブレンディッドラーニングを運用することに対し、以下のように懸念を示しています。
用途開発をしないまま、やみくもに多くのツールを採用しても、ツールを使うことが目的になってしまい、描いているゴールにはたどり着けません。
(引用元:「小仁聡(2021)『ブレンディッド・ラーニング〜新リモート時代の人材育成学〜』株式会社フローラル出版」)
ブレンディッドラーニングを成功させるためには、ツールを選ぶこと、優秀なツールを多数導入することではなく、計画的に行うこと、目標や目的を明確にすることが重要です。
以上のような項目を決め、育成ロードマップを作成します。特に、採用する手法の範囲を決めておかないと、それぞれの手法が持つ良い効果が発揮されず、ブレンディッドラーニング本来の目的から逸れてしまいます。業務整理を行い、何がオンライン化に適しているのか、何を対面式、OJTで教えるべきなのかをきちんと見極めましょう。
参考書籍:
「小仁聡(2021)『ブレンディッド・ラーニング〜新リモート時代の人材育成学〜』株式会社フローラル出版」
「【著】ティム・スレイド【訳】足立美穂(2021)『オンデマンド・ラーニング』日本能率協会マネジメントセンター」
育成ロードマップを作成することが第一に重要なことではありますが、もちろん適切で学びやすいシステムを用意することも大切です。
eラーニングに使用する学習コンテンツは、わかりやすいかどうか、業務についてきちんと理解しやすいかどうかを意識して選びます。
動画マニュアルは、なかでもおすすめなツールのひとつ。映像で解説するため、単に文を書き連ねた紙マニュアルよりも内容を理解してもらいやすいからです。アニメーションを使ったり、カラーや画像を駆使したりなど、単調にならないような工夫もしやすいでしょう。
特に、接客は文章では説明しにくいため、動画マニュアルが有効です。手本となる動画を撮影し、eラーニングに組み込むことで、受講者は実際に行うときのイメージが掴みやすくなります。表情や仕草などの細かい部分まで伝達でき、より高い研修効果が期待できます。
また、スキルアップのための単発講習を行うときや、ゲスト講習による研修を行うときは、web会議サービスツールが適切です。セミナー中にわからないことがあればチャットで質問でき、すぐに解決できます。場所を移動しなくても専門知識を身につけられるので、遠方に店舗を抱える企業にもおすすめです。
動画マニュアルについては、以下の記事でも解説していますので、より詳しく知りたい方はぜひこちらもご覧ください。
動画マニュアルとは?メリットや効果、作り方のコツについてわかりやすく解説!
最近では、さまざまな種類のeラーニングシステム(LMS)が開発されています。研修の課題や目的、やりたいことにマッチしたシステム、これらを満たしてくれる機能が備わったシステムを選ぶことも、ブレンディッドラーニングを成功させる上で重要です。
例えば、eラーニングシステムには以下のような機能があります。
タスク管理やトレーニング・クイズ機能は、学習進捗および理解度を確認するのに便利。eラーニングシステムをきちんと活用してもらえているかどうか確認したいときや、大人数が同システムを利用するとき、遠方で連絡が取りにくく管理が難しいときに役立ちます。
またアクセス履歴が残る機能も、誰が何を学び終えているのか、どこまで教育が完了しているのかを把握する際に便利です。
画像や動画の編集は、パソコンのソフトウェアを使って行うことも可能です。しかし、知識がなければ作成するのに時間がかかるため、あらかじめ編集機能が備わっているシステムを利用するのも良いでしょう。
従業員が投稿できる機能は、社員からの意見やアイディアが欲しいときや、コミュニケーションを増やしたい場合に活用できます。直接会う機会が少ない、内定者との接点を保ちたいときに役立つはずです。また、研修に関する意見やアイディアをもらうなど、ブレンディッドラーニングを改善する際の手助けにもなるでしょう。
ただし、あれもこれもと付属する機能を欲張ってしまうと、かえって複雑になり、使いにくくなる可能性があります。「きちんと使ってもらうため」「業務を理解してもらうため」「業務実行・改善に活用するため」と目的を明確にし、厳選することが大切です。
集合研修やOJTを後から導入する例は少ないですが、eラーニングを導入して、集合研修やOJTを効率化したいと考えている企業は多いのではないでしょうか。今回はそんなeラーニングシステム「shouin+(ショウインプラス)」を導入して、ブレンディッドラーニングに取り組んでいる企業を3社ご紹介します。
アパレル大手の株式会社ユナイテッドアローズは特に内定者研修と新入社員研修において、コロナ前から「研修時間の効率化」と「研修内容の充実」を目標に、ブレンディッドラーニングに取り組みを行っています。
従来は束矢大学と呼ばれる集合研修を実施していましたが、時間の都合上、理念や心構え、挨拶の研修に特化しており、知識、業務レクチャーまではできていませんでした。そこで集合研修を WEB会議ツール「Teams」に置き換え、さらにOJTの前の知識習得として「shouin+」を導入し、リモート主体に切り替えました。
そうしたところ、内定期間中に具体的な業務内容や知識、接客スキルの習得まで行えるようになり、研修時間をより有効に使えるようになりました。またある程度業務知識を習得してから店舗配属となるため、店舗の教育担当者がOJTにかける時間を削減できるようになるなど、教える側の負担も軽減できるようになりました。
現在では、内定者や新入社員だけでなく、中堅・ベテラン社員やバックヤードで勤務する従業員など、eラーニング活用が広がっています。
より詳細な事例とUA様ご登壇セミナーのレポートは以下からご覧ください。
内定者研修をオンライン化し、内定期間で基礎レベルの底上げが可能に! | shouin+
【セミナーレポート】小売業の人材育成DX~ユナイテッドアローズ流育成術~
ディスカウントストア「MrMax」を運営する株式会社ミスターマックスホールディングスは、「研修にかかる費用の効率化」と「商品販売方法のノウハウ共有」を目的に、ブレンディッドラーニングを実施しています。
ミスターマックスは関東と中国〜九州地方にかけて店舗を構えており、集合研修を行うとなると、研修費の約3~4割が交通費になってしまっていました。研修内容に関しても、集合研修となると時間が限られてしまい、一部の項目しか講義できないことも課題となっていました。
そこで集合研修を「shouin+」でのeラーニングに置き換えて、「動画で研修内容を配信する」形に移行しました。
その結果、繰り返し見ることができるようになったので、学習の定着率が向上しただけでなく、社員は自分のタイミングで動画を選択して視聴しているので、これまでよりも多くの内容を効率的に学習してもらえるようになりました。また新入社員がその動画を見て専門用語を理解し、より単価の高い商品の販売に成功したという声も
現在では、店舗で働くアルバイトへの研修だけでなく、将来の幹部候補社員への階層別研修に使用しており、研修コストの効率化、学習の定着率向上をeラーニングで行っています。
詳しい事例は以下をご覧ください。
ノウハウ動画で社員研修にかかるコストを効率化し、売上単価を向上! | shouin+
学童施設を運営しているシダックス大新東ヒューマンサービス株式会社は、「地域による支援員の情報格差」と「支援員研修の効率化」を目的にeラーニングを導入しました。
従来は現場主導でマニュアル作成などを行っていましたが、2020年12月時点で35都道府県102自治体で約1,000施設と、運営施設が増加したことに伴い、学童保育研修を全支援員に実施することが難しくなり、研修の受講機会について、地域格差が生まれてしまっていました。
そこで、体系的な研修が行える仕組みを作るべく「shouin+」を導入しました。配信する動画コンテンツは、支援員向けと児童向けに分けており、支援員向けは研修内容、児童向けはお楽しみコンテンツと、2つの用途で活用しています。
導入直後は、コロナ禍の真っ只中で、緊急事態宣言などもあり、エリアマネージャーから各施設へコロナ対策の案内が十分に行えない状況になっていましたが、shouin+で全施設に感染対策チェックリストやクイズ、手洗いやうがいの重要性を子どもたちに伝えるコンテンツを配信するなど、本部からの指示を落とし込む際などにも活用されており、本部と各事業所をつなぐツールとしても重宝されています。
詳しい事例は以下からご覧ください。
児童教育のICT化で支援員の研修時間を50%削減! | shouin+
研修を行う目的、内容、環境によって、最適な研修の手法は変わります。そのため、今まで会社で行われていた方法ではうまくいかない、本やインターネットに記載されている方法を試しても効果が感じられない、と悩む企業も少なくないでしょう。
ブレンディッドラーニングは、複数の手法を組み合わせ、独自の研修を構築するものです。自由であるがゆえに合わせ方に迷うこともありますが、最適な手法が見つかれば、効率的かつ効果的に従業員を教育できます。社員の成長が早まれば、それだけ企業が得られる利益も増えるため、ぜひ自社にとってベストなブレンディッドラーニングを探してみてください。