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顧客体験(CX)とは?分析手法や施策案、顧客満足との関係性を事例からわかりやすく解説!

作成者: 『shouin+ブログ』マーケティング担当|Oct 4, 2021 10:00:00 PM

サービスの多様化がめまぐるしく進む現代で、新たな価値観として注目を集める「CX(顧客体験)」。

しかし実際のところ

  • 「CX(顧客体験)っていったい何?」
  • 「CXが重視される理由は何?」
  • 「CXを高めるにはどうしたらいいの?」

と、わからないことも多いと思います。

そこでこの記事では、「CX(顧客体験)とは何か」という基本から、「CXが重視される理由」や「高めるためのポイント」「分析方法」までくわしく解説していきます。実際にCXを向上させた成功事例もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

 CX(顧客体験)とは

「CX(顧客体験)=Customer Experience(カスタマーエクスペリエンス)」は、例えばCMで商品を知ったり、友人に勧められて商品を購入したり、気に入った商品をSNSに投稿するなど、商品やサービスを通して顧客が体験する事柄を指します。

商品やサービスを通して価値を提供する「与える側」の視点とは違い、商品やサービスを利用して何を得られたかといった「与えられる側」の視点に立った考え方といえるでしょう。

顧客体験を表す具体的な事例としては、以下を参考にしてください。

 

<顧客体験の事例>

  • テレビCMやネット広告で商品を知る
  • 友人の口コミで商品に興味をもつ
  • ホームページで商品情報を調べる
  • 商品購入のために店舗を訪れる
  • 購入した商品を使用する
  • 商品のトラブルによって問い合わせをする
  • 商品を再購入する

 

顧客体験が重視される理由

ではなぜ、この顧客体験が今、重要視されているのでしょうか。理由は主に4つあります。

<CX(顧客体験)が重要視される4つの理由>

  • 理由1. 「モノの価値」から「体験価値」へ
  • 理由2. コロナ禍による購買行動の変化
  • 理由3. 消費者側の「情報発信力」がSNS等により増大した
  • 理由4. サブスクリプション型のビジネスモデルの普及

くわしくみていきましょう。

 

理由1. 「モノの価値」から「体験価値」へ

商品やサービスが多様化する現代では、価格や商品の質といった「モノの価値」だけで差別化を図ることが非常に難しくなっています。つまり、モノの価値だけでは、マーケティングを成功に導くことが困難であるというわけです。

では、このような場合はいったいどこで差別化を図るか?と考えると、それが「顧客体験」になります。みなさんも、このような経験をしたことはありませんか?

「スマートフォンに関する問い合わせをしたくてキャリアのフリーコールセンターに電話をかけたが、一向に繋がらなかった。」

これは実際に筆者が経験した事例ですが、このときの気持ちは「このまま解決しないなら、キャリアを乗り換えたい。」「このキャリアは信用できない」といった非常にマイナスな感情でした。

このように、「体験価値」というのは商品やサービスを利用してもらうための重要な要素といえるのです。また、私がこのような体験をしたことを、キャリアは知るよしもありません。体験価値は、商品やサービスを提供する側からは見えない部分が非常に多いものだといえます。

 

理由2. コロナ禍による購買行動の変化

新型コロナウイルスの影響により、従来行われていた顧客への対面訪問や商談などが実施しづらい状態となっています。企業側にとっては顧客とのコミュニケーションを非常に取りづらい状況が依然続いており、今後の活動にも影響が及ぶことが予測されます。

実際に、コミューン株式会社による調査によると、顧客(企業向け、または消費者向け)とのコミュニケーションにおいて、「大きく影響」「影響が出てきている」との回答が60.5%を占め、「今後影響がありそう」との回答を合わせると80.1%を占めたことが報告されています。

「参照元(コミューン株式会社):新型コロナウィルス感染症拡大による企業の顧客コミュニケーションに関する意識調査

 

特に顧客に対する営業に関しては、見込み顧客に気軽に会いに行けない状況や、テレワークが当たり前になり、アポイントが取りにくくなった状況を踏まえると、新規顧客獲得は非常に厳しい状況といえます。

つまり、コロナ禍において新規顧客獲得および消費者の購買行動をうながすには、顧客体験による新たなる差別化がポイントとなるというわけです。

 

理由3. 消費者側の「情報発信力」がSNS等により増大した

現在、日本のSNS利用者は年々増加しており、2021年末には8,000万人を超えたと報告されています。SNS利用者はネットユーザー全体の約8割を占めており、商品のレビューなどをSNSに投稿する人も非常に多く見受けられます。

「参照元(ICT総研):2020年度 SNS利用動向に関する調査

 

アライドアーキテクツの調査においても、SNS利用者に対する「SNSの情報をきっかけや参考に、初めて利用するECサイトで商品を購入したことがあるか」といった質問に対して、半数以上の人が「購入経験がある」と回答したとの結果がでています。

また、うち約3割のユーザーは「企業アカウントの広告」や「フォローしている友人や一般の方の口コミ投稿」を見て購入した経験があると答えていました。

 

「参照元(アライドアーキテクツ株式会社):SNS利用に関する調査アンケートへご協力のお願い

 

これらの結果からわかるように、SNS利用者が急速に増加している現代では、消費者側の情報発信が手軽になったことで口コミにつながる顧客体験の重要度が非常に増しています。消費者の購買行動とSNSは密接な関係にあり、マーケティングにおいても決して無視することはできません。

 

理由4. サブスクリプション型のビジネスモデルの普及

顧客体験が重要視される理由には「サブスクリプション型サービス」の普及もあります。サブスクリプション型サービスとは、料金を支払うことで一定期間サービスを利用できるというものであり、音楽配信サービスや動画配信サービスが一般的です。

ではなぜこのサブスクリプション型サービスが顧客体験と結びつくかというと、これらサブスクリプション型サービスは、顧客に継続して利用してもらうことが重要であることが関係しています。

顧客にサービスを継続利用してもらうためには、最も顧客満足度および顧客ロイヤルティを高めることが非常に大切です。そして、顧客満足度を高めるには顧客体験による体験価値の創造が重要になるというわけなのです。

総務省の調査によると、サブスクリプション型サービスの市場は2019年時点で約1.1兆円、2023年には約1.4兆円まで拡大する見通しだといいます。「顧客のサービス利用をいかに継続させるのか。」顧客満足度を高めるための顧客体験は、今後ますます重要視されることでしょう。

 

「参照元(ICT総研):2020年 サブスクリプションサービスの市場動向調査

 

 顧客体験が提供する5つの心理的な価値

具体的に、顧客体験にはどのような価値があるのでしょうか。「経験価値マーケティング」を提唱する経営学者バーンド・H・シュミット氏は、経験価値を心理的な要素をもとに次の5つに分類しています。

<顧客体験が提供する5つの心理的な価値>

  1. Sence(感覚的提供価値)
  2. Feel(情緒的提供価値)
  3. Think(知的提供価値)
  4. Act(行動、ライフスタイル全般の提供価値)
  5. Relate(社会的提供価値)

くわしくみていきましょう。

 

 1. Sense(感覚的提供価値)

五感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)によって感じる体験価値をあらわします。具体的には、華やかな見た目、心地いい音楽、甘酸っぱい味、爽やかな香り、癒される手触りなどが当てはまるでしょう。

たとえばレストランであれば、オシャレな雰囲気をつくる見た目や音楽、料理の香りや味などが、感覚的提供価値といえます。

 

 2. Feel(情緒的提供価値)

顧客の内面(心理)に働きかける体験価値をあらわします。質の高い接遇を受けたときなど、顧客が喜びや感動を受けた場合が当てはまるでしょう。

具体的には、スターバックスコーヒーで提供時のカップにコメントを記入してくれる特別なサービスを受けたときに感動した体験や、飲食店で頼んでもいないのに幼児用のイスを用意してくれたときに感動した体験などは情緒的提供価値といえます。

 

 3. Think(知的提供価値)

創造性や知的欲求に働きかける体験価値をあらわします。

たとえば「クロスワードパズル」や「化学反応で色や味が変化する駄菓子」などが当てはまり、顧客の「知りたい」という知的好奇心を満たす体験を与えることが知的提供価値といえます。

 

 4. Act(行動、ライフスタイル全般の提供価値)

これまでのライフスタイルに変化を与えるような、顧客に「初めての経験」を与える体験価値をあらわします。

たとえば新型車の試乗体験会や職業体験などが当てはまり、新型車を試乗して「最新技術を体験し価値観が大きく変化した体験」や、職業体験を受けて「職業に対する見え方が変化した体験」が、行動、ライフスタイル全般の提供価値といえるでしょう。

 

 5. Relate(社会的提供価値)

特定のグループに所属することで得られる体験価値をあらわします。

たとえばファンクラブ入会やオンラインサロン入会が当てはまります。この場合、自身がファンクラブ会員である(ファンという証をもっている)特別感、オンラインサロン(価値あるグループ)に所属しているという特別感が、社会的提供価値といえるでしょう。

 

顧客体験価値を向上させる4つのポイント

これまで、CX(顧客体験)の価値や重要性について解説してきましたが、

「顧客体験を生み出すにはどうしたらいいの?」

「顧客体験価値を向上させるには具体的にどうするべき?」

と疑問に感じる方もいることでしょう。

そこでここからは、顧客体験価値を創造・向上させるためにどうすべきかを具体的にお話していきます。

<顧客体験価値を向上させる4つのポイント>

  1. サービスを適切に提供する
  2. サービスへの問い合わせがしやすい環境を整える
  3. サービスのアップデートを行う
  4. CX(顧客体験)の調査と改善

くわしくみていきましょう。

 

 1. サービスを適切に提供する

まず、商品への満足・不満足が生まれる原因として、「顧客期待(利用前の期待・予想)」と「知覚品質(利用した時の品質評価)」のバランスが挙げられます。

購入前の商品に対する顧客の期待値が高ければ高いほど実際の満足感は得られにくくなり、逆に期待値が低ければ低いほど実際の満足感は得られやすくなるものです。

つまり、商品・サービスに関するトラブルは、顧客の事前期待を満たせなかった場合に起こるということです。

実際に「ネット通販で購入したら写真と違う商品が届いた」ケースや「購入した商品が思いのほか壊れやすかった」ケースなど、顧客体験のどこかで不満をもった経験がみなさんにもあるのではないでしょうか。

顧客体験価値を向上させるためには、トラブルの原因となっている顧客体験について、顧客の事前期待を満たす、または超えるように商品・サービスを提供することが第一であるといえるでしょう。

なお、顧客満足度に関してはこちらの記事でより詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

■参考記事はこちら

顧客満足度(CS)とは?調査方法や向上させるポイントをわかりやすく解説!

 

 2. サービスへの問い合わせがしやすい環境を整える

「1:29:300の法則(ハインリッヒの法則)」をご存じでしょうか。これは、1件の重大事故の背景には、29件の軽微な事故があり、さらにその背景には300件の事故寸前のヒヤッとした経験があるという意味の法則です。

この法則をビジネス×顧客側の観点から考えたとき、「不満を持った顧客のうちの96%は企業にクレームを言わない」事態になるというのです。「参考:カール・アルブレヒト、ロン・ゼンケ共著(2013)サービス・マネジメント」

つまりは、顧客体験を通して抱いた不満を解消するには、まずは「顧客の不満を知る」努力が必要だということです。消費者行動分析をベースに800社以上のコンサルティングに従事してきたジョン・グッドマン氏の著書では、次のような解決策が紹介されています。

 

まず、顧客がトラブルに最も遭遇しそうなタイミング、そして目に付きやすい場所に企業からメッセージを掲げてみよう。ある証券会社では「私たちに知らされたトラブルしか解決することができません!」という目立つ紫色のステッカーを、顧客に送る資産運用報告書の表紙に貼り付けた。さらに、サービスなど相談窓口のコンタクト先一覧を顧客に提供した。その結果、困っている顧客からのコンタクトが増え、顧客のトラブルを改善し、顧客に対してトラブルを予防する情報も提供できるようになった。

「引用:ジョン・グッドマン著、畑中伸介訳(2016)顧客体験の教科書 収益を生み出すロイヤルカスタマーの作り方」

 

 3. サービスのアップデートを行う

顧客の期待を超えるようなサービスのアップデートは、顧客体験価値を向上させるのはもちろん、クレームの予防にもつながっていきます。

ここでいうサービスとは、商品そのものの価値はもちろんですが、とくに従業員の接客や接遇など顧客の心理的体験に関わるサービスも非常に重要です。

なぜなら、サービス提供者と顧客が「感謝」などのポジティブな感情でつながる、いわば「エモーショナルコネクション」を築くことが、さらなる顧客体験価値の向上に結びつくからです。

SNS利用者が増加する現代においては、サービスのアップデートがポジティブな口コミを広めるきっかけにもなるため、メリットは非常に大きいといえます。

なお、接客・接遇に関しては以下の記事でより詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

■参考記事はこちら

接遇とは?接客との違いや5原則などを業種別事例からわかりやすく紹介!

 

4. CX(顧客体験)の調査と改善

「お客様の声」を集める調査のことを「VOC(Voice of Customer)」と呼びます。VOC分析ではアンケート調査やインタビュー調査などの方法をはじめ、SNSやWeb上の調査や従業員への聞き取り調査を行う方法もあります。

顧客の声に耳を傾け顧客体験の改善に努めることで、サービスの付加価値をさらに高められることでしょう。顧客とのコミュニケーションを自ら取りに行くことによって、顧客ロイヤルティの向上も期待できます。

 

顧客体験を具体的に分析する手法

不満が生まれる原因は、顧客の事前期待と実際に得られた価値の間にギャップができてしまったことにあります。顧客体験価値を向上させるためには、まずは「ギャップがどのようなものか」を知ることから始めていきましょう。

なお顧客体験を分析するには、以下4つの切り口から考えていきます。

<顧客体験分析の4つの切り口>

  • 切り口1. 顧客は誰か(Who)
  • 切り口2. モノは何か(What)
  • 切り口3. モノはどのように届いたか(How)
  • 切り口4. なぜモノが届いたか(Why)

 

切り口1. 顧客は誰か(Who)

当然ながら、顧客層ごとに予想される事前期待は異なり、提供すべき顧客体験にも違いが生まれるはずです。仮に、企業側が予想している顧客層と実際の顧客層にギャップがあれば、多くの場合的外れな顧客体験を提供していることになってしまいます。

そのため、分析によって顧客のプロフィールを知ることができれば、「想定通りの顧客にリーチできているか」「クレームがどの顧客層からでているか」がわかり、顧客体験を改善したりアプローチする顧客層を修正したりできるわけです。

分析のやり方としては、顧客からの問い合わせであればプロフィールを聞き出すことが可能でしょう。またSNSなどのネット上での調査については、2000社以上の「顧客の声」活用を支援してきた三室 克哉氏、鈴村 賢治氏、中居 隆氏らによる著書で次のように示されています。

一方、ツイッターなどのSNSは匿名なので、投稿者のプロフィールはわからないが、過去の投稿履歴をテキストマイニングを活用して分析することで、例えば、「おれ」「僕」「彼女」などの言葉を多用する投稿者は「男性」であり、「大学」「就職」「卒業」ならば20代前半、「渋谷」「新宿」「山手線」では東京在住者と、そのプロフィールを推定できる。

「引用:三室 克哉、鈴村 賢治、中居 隆氏著(2020)新デジタル時代にCX向上を実現する『顧客体験フィードバック』」

 

切り口2. モノは何か(What)

「モノは何か」というのは、具体的には「何の話題か」ということです。調査で得られた情報が、何の顧客体験を指しているのかを分析します。

分析のやり方としては、テキストマイニングが有効です。テキストマイニングとは、顧客が自由に記述した定性的な内容を定量的に処理する分析手法で、アンケートの自由記述欄、コールセンターへの問い合わせ内容、TwitterなどのSNSでのクチコミ分析といった分野で活用されています。調査で得られた情報に対してテキストマイニングを行ったのち、それらマッピングすることで単語の抽出が可能です。

(参考画像:日経リサーチ

 

これを行うことで、サービスの「何が話題に上がりやすいのか」「何が注目されやすいのか」が把握でき、顧客体験分析の対象を明確にしてくれるでしょう。

 

切り口3. モノはどのように届いたか(How)

「モノは何か(What)」が明確になったら、次に「モノはどのように届いたか(How)」を検証していきます。

アメリカの心理学者ロバート・プルチック氏が提唱した「プルチックの感情の輪」という考え方があります。8つの基本感情を前提とし、感情の強さと感情の組み合わせについて定義されたものです。

(参考情報:sixseconds

 

分析ではこの考え方をもとに進めていきます。テキストマイニングを行った単語を、8つの感情ごとに振り分けていくのです。すると、集められた顧客体験にある「感情」が浮かび上がってくると思います。

Aの顧客体験は「怒りの感情だった」、Bの顧客体験は「喜びの感情だった」などと、顧客の感情まで落とし込むことができます。

 

切り口4. なぜモノが届いたか(Why)

切り口1~3までをクリアしたら、最後に「なぜモノが届いたか(Why)」を検証していきましょう。この手順では、1つの顧客体験に対して「なぜそのような感情を抱いたか」を明確にしていくステップになります。

分析方法としては、顧客の声の中から「~がうれしい」「~が不味い」などと、形容詞を検索ワードとして前述したテキストマイニングを行っていきましょう。たとえば「~がうれしい」を検索ワードとして実行し、結果として「新商品」「かわいい」などといったワードが抽出されれば、「新商品がかわいかった」ことが、うれしい顧客体験招いた理由としてみえてくるでしょう。

 

 

顧客体験価値を向上させた3つの成功事例

では最後に、顧客体験価値を向上させった3つの成功事例をご紹介いたします。

<顧客体験価値を向上させた3つの成功事例>

  • 事例1. ロート製薬株式会社
  • 事例2. パナソニック株式会社ライフソリューションズ社
  • 事例3. ライオン株式会社

「参考:三室 克哉、鈴村 賢治、中居 隆氏著(2020)新デジタル時代にCX向上を実現する『顧客体験フィードバック』」

 

事例1. ロート製薬株式会社

ロート製薬株式会社では、サポートセンターに集まる顧客の声を社内で迅速に共有したい、競合他社との比較をリアルタイムで行いたいといった目標がありました。しかしSNSによる調査を試みるも、SNSの特性がつかめず、データの選択基準や評価尺度もなく困っていたのです。

このような事態にロート製薬は、口コミサイトやECサイトのレビューをもとにテキストマイニングを行いました。顧客の事前期待と実際の体験価値のギャップをわかりやすく可視化したのです。

すると、商品のコンセプトに見合った反応が得られているかどうかはもちろん、競合他社との比較もできるようになりました。ロート製薬では、このようにSNSで分析した結果を、次回の新商品発売のタイミングで広告施策などに活用しているそうです。

 

事例2. パナソニック株式会社ライフソリューションズ社

パナソニック株式会社ライフソリューションズ社(以下、LS社)では、創業者の松下幸之助氏が「顧客の声」を重視する姿勢をとっていたことから、長年にわたりVOC分析に取り組んでいます。

社内で「顧客の声」の活用を根づかせることに課題を抱えていた時期はあったものの、今では経営理念として「顧客の声」の重要性が浸透しています。

とくに、LS社のなかではクレーム関係の「顧客の声」を品質管理で有効に活用しているそうです。自由記述形式で得られた顧客の声をCSVデータとして読み込みテキストマイニングを行い分析をする。得られた結果は、顧客体験価値の向上はもちろん、BtoBの営業用データとしても活用できるといいます。

 

事例3. ライオン株式会社

ライオン株式会社では、「顧客の声」を商品開発や広報活動などに活用することを目的として、顧客体験フィードバックのプラットフォームを全社に導入しました。

社員全員がプラットフォームにアクセス可能で、日々、電話やメールを通してお客様センターに寄せられる顧客の声をタイムリーに共有できているといいます。とくにサインインを必要とせず手軽に閲覧できる仕組みで連携しているそうです。

社員は、日常的にこれら「顧客の声」をマーケティング研究開発部門や品質保証部門で活用しているといいます。

これらのことから、顧客の声を社内で「いかに手軽に・わかりやすく(壁を少なく)共有するか」が、顧客体験向上のカギといえるのではないでしょうか。

 

まとめ

サービスの多様化が目まぐるしく進む現代で、新たな価値観として注目を集める「CX(顧客体験)」。顧客体験は、「体験価値」を重視する現代、またSNS利用者が増加する現代等において、到底無視できない1つの指標となっています。

今回ご紹介した、顧客体験価値を向上させるための4つのポイントをまとめておきます。

<顧客体験価値を向上させる4つのポイント>

  1. サービスを適切に提供する
  2. サービスへの問い合わせがしやすい環境を整える
  3. サービスのアップデートを行う
  4. CX(顧客体験)の調査と改善

このほかにも本記事でご紹介した「分析方法」や「成功事例」を活かして、ぜひ顧客体験価値の向上に取り組んでみてください。