近年、eラーニングは集合研修の代わりや、より効率的な研修を求めて、企業研修の1つの手法として注目を集めています。
ところが、eラーニングに対するなんとなくのイメージはあっても、「eラーニングって実際何なの?」「eラーニングの教育効果って本当にあるの?」「eラーニングの導入・運用ってどうやるの?」と分からないことが多いと思います。
そこでこの記事では、企業研修におけるeラーニングに特化し、詳しく解説していきます。eラーニングが注目されている理由をはじめ、導入のメリット・デメリット、実際の導入・運用方法までご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
eラーニング(e-Learning)とは、「デジタルデバイスやインターネットを利用した学習形態」のことをいいます。
たとえば、次のような学習はeラーニングといえるでしょう。
このように、パソコンやスマートフォンといったデジタルデバイスあるいはインターネットを活用しながら学習を行うことを、広くeラーニングと呼びます。
eラーニングは、デジタルデバイスやインターネットの発展とともに進化を続けてきました。
「eラーニングって結局何なの?」「eラーニングの範囲ってどこからどこまで?」このような疑問は、eラーニングの歴史をみれば分かっていただけると思います。
1990年代は、まさにeラーニングという言葉がが生まれた時代です。
1995年にWindows95が発売され、家庭用パソコンが普及しました。Windows95にはCD-ROMが標準装備されていたため、これを活用したCD-ROM形式の教材が広まっていったのです。eラーニングの始まりは、「動画や音声を取り入れたCD-ROM形式の教材を、パソコンで受講する」という形だったのですね。
2000年には、インターネットのブロードバンド化が進みました。要するに「一般家庭でも動画が不自由なく楽しめるほど、高速かつ大容量のインターネット通信が可能となった」のです。
この変化にともない、当然ながらeラーニングも変化をとげます。それまではCD-ROMを基盤にしていたものが、「オンライン上」に基盤を設けられるようになりました。これにより、eラーニングの主流はCD-ROMからオンライン教材へ進化していったのです。
20007年にiPhone、翌2008年にAndroid搭載のスマートフォンが発売されてから、個人がそれぞれで電子端末を持つ時代になりました。「個人が自分の端末でコンテンツを視聴するのが当たり前」の時代になり、TwitterやInstagramなどのSNSや、ブログ、YouTubeなどが生活の中に浸透していきました。
近年では、eラーニングの一部として、インターネット上のコンテンツを自分で拾って学習する「ソーシャルラーニング」といった言葉も生まれています。eラーニングという言葉の範囲が、時代とともに広がっているのが理解いただけるでしょう。
また企業研修においては、学習効果を高めることを目的に、eラーニングと集合研修をかけ合わせる手法も見かけるようになりました。このように複数の学習方法を組み合わせる手法を「ブレンディッドラーニング」と呼ばれています。
企業研修といえば、多くの人が1つの場所に集まって実施される「集合研修」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
ところが近年では、企業研修としてeラーニングが注目を集めており、実際にオンライン上での企業研修を行う企業が増えているそうです。そこで簡単に、eラーニングが企業研修として注目を集める理由についてご紹介しましょう。
<企業研修としてeラーニングが注目を集める3つの理由>
詳しく見ていきます。
2020年4月7日、日本国内でコロナウイルスによる緊急事態宣言が発令されました。これによりオフライン研修の実施は困難になり、研修のオンライン化が進んでいます。
実際に2021年にパーソル総合研究所が行った調査によると、コロナウイルス感染拡大以降、調査企業全体の約75%もの企業が研修のオンライン化に着手していました。
2020年の1年間でオンライン集合研修を増やした企業の割合
引用:パーソル総合研究所:「コロナ禍における研修のオンライン化に関する調査」
Z世代とは1996年~2010年頃に生まれた世代を指します。生まれたときからスマートフォンやパソコンといったデジタルデバイスが身近にあり、TwitterやInstagram、YouTubeといったソーシャルメディアにも幼い頃から慣れ親しんでいる世代です。
そして当然ながら、情報を仕入れる手段としてもソーシャルメディアによる部分が大きく、いわば「デジタルデバイス上で情報収集をするのが当たり前」の世代といえます。
つまり何が言いたいかというと、Z世代はデジタルデバイスで学習を行うeラーニングとの親和性が高いということです。
Z世代以前に生まれた人の中には「音声や動画で学ぶことに抵抗がある」といった方々も少なくないでしょう。しかし、Z世代にとってはごく自然な学習方法であって、自然であるからこそ効果が得られやすい学習方法なのです。
eラーニングが企業研修として注目を集める背景には、「教育の効率化」が1つあります。
実際に株式会社スクーが実施した調査では、OJT研修の課題として大きく「人手不足」「属人化」「多忙」の3つが挙がっています。eラーニングは、これら3大課題を解決できる企業研修の形であることから、注目を集めているのです。
では、どのようにしてeラーニングはこれらの課題を解決してくれるのか。くわしくは次の章「eラーニングのメリット・デメリット」で解説いたします。
参考:株式会社Schoo「【人事の悩みが発覚】96%の企業がOJT研修に課題を感じていると回答!【社会人向け学習動画サービス「Schoo」自社調査】」
ではここからは、企業研修としてのeラーニングのメリット・デメリットを見ていきましょう。受講者視点、管理者視点でそれぞれご紹介していきます。
<受講者視点:eラーニングのメリット>
受講者にとってeラーニングは、「時間や場所にとらわれない」点や「管理のしやすさ」から、自由度の高い学習方法といえます。また、オフライン研修で起こりがちな「指導者によって教え方が違う」「メモを取るのを忘れてしまった」という事態を回避できる学習方法ともいえるでしょう。
実際にNTTコムリサーチによる調査では、主に時間にしばられない点や管理のしやすさがメリットとして挙げられています。
引用:NTTコムリサーチ「ビジネスにおけるEラーニングの利用に関する調査」
<受講者視点:eラーニングのデメリット>
インターネット環境が必要な点は、eラーニングならではのデメリットといえます。人によってはインターネット環境がない場合や、受講に適した環境でない可能性もあるでしょう。
また、基本的に単独での受講となるeラーニングは、受講姿勢が個人によって差が出やすい点や社員同士のコミュニケーションが生まれにくい点が欠点となります。
実際にNTTコムリサーチによる調査では、デメリットとして集中力に関する点やインターネット環境に関する点が挙げられています。
引用:NTTコムリサーチ「ビジネスにおけるEラーニングの利用に関する調査」
<管理者視点:eラーニングのメリット>
管理者にとってeラーニングは、受講者視点と同様に「指導者によるズレが生まれない点」や「管理のしやすさ」がメリットとして挙げられます。加えて、一度導入してしまえばオフライン研修と比べて運用コストがかかりにくい・繰り返し利用できる点もメリットでしょう。
<管理者視点:eラーニングのデメリット>
管理者視点のデメリットは、個人に合わせた内容にしにくい点、またコンテンツ制作にコストがかかる点です。NTTコムリサーチによる調査の中では実際に、オンライン研修に対する不安要素としてこれらの点が挙げられていました。
引用:MON株式会社「コロナ禍における企業研修に関する調査」
なお、コンテンツ制作についてはこの後の章「eラーニング実施に必要なもの」および「eラーニング運用の6ステップ」でくわしく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
eラーニングのメリット・デメリットについて、より詳しく知りたい方は、以下の記事も合わせてご覧ください。
■参考記事はこちら
eラーニングのメリット・デメリットとは?教育・研修を効率化するクラウドサービス事例をもとにわかりやすく解説!
企業研修としてのeラーニングとは、具体的にどのような活用方法があるのでしょうか。
今回は、主に下記5つの研修方法についてくわしくご紹介していきます。
内定者の教育をいち早く行うために、eラーニングを活用する企業は少なくありません。入社前はとくに卒業~入社までの期間(3月頭~4月頭)に空き時間ができるため、内定者のスキルアップに期待する企業が多いのです。
ところが、入社前となると遠方に住んでいる内定者も多いもの。内定者全員が「企業へ足を運んで研修を受ける」というのは現実的に難しいものがあるでしょう。
そこで活用したいのが、オンラインで実施できるeラーニングです。場所や時間にとらわれずに学習できるeラーニングは、遠方に住んでいる内定者でも無理なく受講できます。
実際に2018年に株式会社Schooが実施した調査では、新卒採用企業の約7割が内定者研修を実施しており、うち最も人気の研修方法が、eラーニングが含まれる「オンライン講座」であったと報告されています。
参考:株式会社Schoo「国内最大級の社会人向け学習動画サービス「Schoo」自社調査 人事50名が回答、新卒採用企業の約7割が内定者研修を実施。最も人気の研修方法はオンライン講座」
ビジネスマナーや社会人としての心構えなど、社会人としての基本を教えることが一般的な新入社員研修は、eラーニングとの親和性が比較的高い部類に入ります。
社会のルールやマナーは時代とともに大きく変化するものではなく、企業独自の内容に作り込む必要がありませんので、eラーニングのコンテンツとして非常に作りやすいのです。
また、一度作ってしまえば翌年もまたその翌年も長く使い続けられるため、コスト抑制のメリットも期待できるでしょう。
新入社員研修はとくに「集合研修」の形が一般的ではありますが、コロナウイルス拡大以降は研修のオンライン化が急速に進んでいます。eラーニングは、新入社員研修の内容とも親和性が高いため、オンライン研修の一つの形として活用してみるとよいでしょう。
店舗従業員研修の段階にくると、学習内容の「定着」が重要なポイントになってくるでしょう。実際に実務として「覚えておきたい」「身につけておきたい」知識や技術を学ぶ機会が多くなるかと思います。
ここで、eラーニングへの不安要素となるのが、果たして「eラーニングだけで実務を学べるのか」「限界があるのではないか」という点ではないでしょうか。
確かに、eラーニングだけでは実務を完全にマスターするのは難しいかもしれません。実際に手や体を動かしてみて、初めて気づけることもあることでしょう。
そこでおすすめしたいのが、eラーニング(オンライン研修)とOJT(オフライン研修)のかけ合わせです。これは「反転授業」といって、eラーニング(インプット)後にOJT(アウトプット)を行うことで、基礎的な知識と実務的な応用の両方を学べる学習形態になります。
なお反転授業の学習効果については、実際に欧米の研究により多数報告されており、活用次第で研修の効果をコントロールできるものと考えられます。くわしくは下記の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
■参考記事
反転授業・反転学習とは?メリットや失敗しないやり方を事例をもとに解説
階層別研修は、若手社員や中堅社員、管理職社員などといった「社員の階層」ごとに分かれ実施する研修をいいます。
例えば、階層別研修では次のような内容で実施することが一般的です。
階層 |
内容例 |
若手社員 |
・キャリアデザイン研修 ・モチベーション向上研修 ・クレーム対応研修 ・問題解決力研修 ・OJTトレーナー研修 |
中堅社員 |
・メンター・OJTトレーナー研修 ・タイムマネジメント研修 ・ストレスマネジメント研修 ・コンプライアンス研修 |
管理職社員 |
・リーダーシップ研修 ・部下育成スキル研修 ・ジョブアサインスキルアップ研修 ・チームビルディング研修 |
表にあげた研修内容は、どれも「企業における独自性」といった要素が少なく、汎用的なスキルが多いことが分かると思います。企業独自の内容に作り込む必要がありませんので、eラーニングのコンテンツとして非常に作り込みやすいでしょう。
このように、eラーニングは新入社員研修のみならず、それ以上のリーダークラスの社員向けの研修としても有効に活用できるものなのです。
「グローバル人材育成のため、社員の語学力を向上させたい」と考えている企業は少なくありません。
しかし、語学力向上に莫大な費用をかけている余裕はないため「勉強は社員個人に任せている」という企業が多いのではないでしょうか。費用面や学習効果面の両方から効率的な学習方法を見いだせていない、といったところが本音かと思います。
そこで、費用面と学習効果面の両方からおすすめしたいのが、eラーニングです。eラーニングはシステム一つ用意してしまえば社員全員が自由に利用できる上に、会社として社員の学習状況を把握しやすいメリットがあります。
コンテンツ制作にかかるコストこそありますが、その後は運用コスト(固定費)だけでコストの変動が少ないのもメリットといえるでしょう。
ではここからは、実際にeラーニングを実施・導入する上で必要になるものや準備しておきたいことについて、簡単にご紹介していきます。
<eラーニング実施に必要なもの・こと>
くわしく見ていきましょう。
LMS(Learning Management System:学習管理システム)は、eラーニングの実施に不可欠な管理システムです。
ユーザー(受講者)それぞれのアカウントを管理をはじめ、個人に合わせたコンテンツ(教材)の配信、学習状況の管理まで一括して行います。
一般的にLMSは複数のサービス提供者から選定することになりますが、比較ポイントとしては次の3つを意識するとよいでしょう。
たとえば、書籍「eラーニング導入ガイド」の中では、LMS選定について次のように書かれています。
たとえば、社員のスキルを図る目的であれば、試験機能が充実していることが選択要件になります。また、自社の既存システム(研修管理システムなど)とのデータ連携をして、社員の人材開発全体の総合管理をめざすならば受講履歴のCSV抽出機能や社員コードを利用したID登録機能をもつことが選択要件になります。
引用:日本イーラーニングコンソシアム編(2004)『eラーニング導入ガイド』東京電機大学出版局
eラーニングでは、学習コンテンツをLMSに登録する必要があります。
学習コンテンツの例として、それぞれの内容と役割をそえてご紹介しましょう。
学習コンテンツ |
内容 |
役割 |
テキスト教材 |
基礎知識 |
知識のインプット |
動画問題 |
基礎知識 |
知識のインプット |
クイズ問題 |
ドリル問題など |
知識の定着 |
テスト問題 |
演習問題、応用問題など |
習熟度の確認 |
FAQ |
よくある質問とその答え 例)eラーニングの使い方など |
学習のサポート |
動画教材などの学習コンテンツは、制作に大きなハードルを感じる方が多いのではないでしょうか。学習コンテンツを準備するにあたっては外部委託する方法もありますので、ぜひ検討してみてくださいね。
なお、下記の記事では動画マニュアルの作成方法についてくわしく解説しています。合わせてぜひご覧ください。
■参考記事はこちら
動画マニュアルとは?メリットや効果、作り方のコツについてわかりやすく解説!
eラーニングの学習コンテンツをどのような順序で学んでいくべきかを示す、育成ロードマップを準備しましょう。作成のポイントは「求める人材像をイメージすること」です。
また、eラーニングには学習内容によって向き・不向きがあることは、これまでに解説してきました。企業研修のすべてを単にeラーニングに落とし込めばよい、というわけではないのです。何をどこまでeラーニングで教えるのか、線引きが必要だということです。
たとえば、「ビジネスマナー研修」や「キャリアデザイン研修」などは知識型の研修のため、比較的eラーニングで実施しやすい内容でしょう。一方で「接遇研修」や「クレーム対応」などといった研修は、コミュニケーションや行動を通して学ぶ部分も多いため、研修の全体をeラーニングとするのは難しいかもしれません。
そのため、学習内容に応じて次のように区別するとよいでしょう。
育成ロードマップでは、このように「eラーニングでの学習部分」と「オフラインでの学習部分」とに分けて作成するのがコツです。
eラーニングを利用するには、受講者側も管理者側の両方で、デジタルデバイスおよびインターネット環境が不可欠です。管理者側のデバイスおよびインターネット環境レベルについては、次の表を参考にしてください。
<管理者側の設備環境目安>
項目 |
ポイント |
問題となる場合 |
社内の通信回線の速度 |
・本社と支社等の拠点を結ぶ回線速度が1.5Mbps以上か ・支社等の拠点の先にある支店等への回線容量が384kbps以上か |
・128kbpsのような遅い回線があると実施には困難が予想される |
社内と社外を結ぶ通信回線の容量 |
・社外への回線速度が1.5Mbps以上か |
・利用形態にもよるがなるべく高速度であることが望ましい |
パソコンの整備状況 |
・音が出る機種か ・Windows95等の古いOSが残っていないか1人1台が配備されているか |
・Windows95等の古いOSのパソコンや音の出ないパソコンではeラーニングの実施は事実上難しい |
引用:日本イーラーニングコンソシアム編(2004)『eラーニング導入ガイド』東京電機大学出版局
eラーニングの学習効果を高めるためには、管理者による受講者のサポートが大切です。たとえば、次のようなサポートを実施するとよいでしょう。
eラーニングは基盤を整えて終了ではなく、受講者がeラーニングの受講課程を修了するまでサポートに努めましょう。
さてここからは、「eラーニングを導入するには、どこから始めたらいい?」「どんな手順で進めていけばいい?」このような疑問を解決していきましょう。
実際に、弊社が開発・運営しているクラウド型eラーニングサービス「shouin+(ショウインプラス)」の運用ステップをもとにご紹介していきます。
<eラーニング運用の6ステップ>
コンテンツを作成する上で、まずは業務の洗い出しから始めましょう。工程はできるだけ細かく、各工程ごとに「名称」と「目的」を書き出してください。
なお、洗い出し作業は粒度を揃えることを意識しながら行います。粒度については下記を参考にしてください。
ひとことに業務といっても、さまざまな粒度(細かさ)で表現されています。例えば「人事」、「総務」といった業務の表現は、「部」という部門レベルで業務をとらえています。「人事」という業務をもう少し細かい粒度にすると「採用」、「教育」、「給与・賞与」、「要員配置」、「給与計算」などといった業務があります。
引用:株式会社日本能率協会コンサルティング著(2010)はじめの1冊!オフィスの業務改善がすぐできる本
業務の洗い出しが完了したら、次に育成ロードマップを作成していきます
前述したように、求める人材像をイメージしながら作成するのがポイントです。その人物像になるために、どのような知識・技術をどのような順序でクリアしていく必要があるのかを考えてみましょう。
前述したように、eラーニングの学習コンテンツとしては次のようなものがあります。
<学習コンテンツの例>
ところが、「社内で作る余裕なんてない…」「自分たちで作れる気がしない…」このように感じる方も少なくないでしょう。
そのような方々には、次のようなアウトソーシングを活用する方法がおすすめです。
なかでも、動画教材などの学習コンテンツは、制作に大きなハードルを感じる方が多いため、外部に委託するケースは少なくありません。ぜひ検討してみてください。
eラーニングは、学習コンテンツをeラーニングシステム(LMS)に登録することで利用できるようになります。
実際のeラーニング導入までの流れは次のとおりです。
なお、前章「eラーニング実施に必要なもの・準備すること」ではLMSの選定方法のポイントについて解説しましたので、くわしくはそちらをご覧ください。
eラーニングは、制作したら終了ではありません。eラーニングを適切に活用していくために、運用スタッフを設ける必要があります。
eラーニングの運用に必要な業務は主に次のとおりです。
業務 |
内容 |
責任者 |
eラーニングを多くの社員に活用してもらうための取り組みを行う |
コンテンツ管理者 |
ユーザー設定や学習コンテンツの登録など、LMSの管理を行う |
システム管理者 |
システムおよびインターネット周辺の管理を行う |
メンター
|
受講者のフォロー、受講者へのヒアリングを行う |
スタッフそれぞれの人数についてはとくに目安はなく、受講者の人数など実施規模に合わせて配置するとよいでしょう。
eラーニングは、運用していく中で常に改善・更新をしていく必要があります。
とくに、受講者からの「もっとこうしてほしい」といった意見や、業務方針の変化によるコンテンツ内容の見直しが当てはまるでしょう。ロードマップの見直しによるコース内容の修正もあります。
<eラーニングの改善・更新の例>
それでは最後に、eラーニングの企業研修としての活用事例をご紹介しましょう。
内定者研修をeラーニングで実施。内定期間で基礎レベルの底上げに成功!
紳士服・婦人服および雑貨等の商品を販売するセレクトショップを展開する株式会社ユナイテッドアローズでは、内定者教育の効率化を課題に感じていました。対面での研修では時間に限界があり、十分な教育を行えていなかったのです。
そこでユナイテッドアローズでは、地方にいる社員でも学習ができるよう、eラーニングの導入を検討することに。なかでも、動画コンテンツが扱える「shouin+」に白羽の矢が立ち、使い勝手の良さとデザイン性の高さが決め手となり、導入を決めました。
すると、導入後には具体的な業務内容や知識、接客スキルの学習までしっかりと行うことができるようになり、従来のやり方に比べて基礎レベルの底上げに成功。
とくに「動画レビュー機能」では、笑顔の作り方や服の畳み方といった課題に対して動画を投稿してもらうことで、内定者の成長を遠隔でも感じることができたといいます。詳細な事例は以下でご確認ください。
■導入事例はこちら
株式会社ユナイテッドアローズ|クラウド型eラーニングシステムはshouin+
eラーニング導入で、新人スタッフのモチベーションアップやメンタルフォローを実現!
美容脱毛サロンを全国に展開する株式会社ミュゼプラチナムでは、従来の新人研修体制に限界を感じていました。講師から新人に対する一方的な研修や座学では人材育成に限界があること、また新人研修の進捗管理の難しさにも課題を抱えていたのです。
そこでミュゼプラチナムでは、クラウド型eラーニングサービスの導入を実施。反転授業のフローと同様に「eラーニングによる事前学習(動画視聴)→集合研修」の流れで研修を行うようになりました。すると、大きく3つの効果が得られました。
詳しい事例は以下からご覧ください。
■導入事例はこちら
株式会社ミュゼプラチナム|クラウド型eラーニングシステムはshouin+
eラーニングによる動画コンテンツ導入でコストを削減。売上単価は向上!
総合ディスカウントストア「MrMax」を全国展開するミスターマックス・ホールディングスは、「教育訓練費の効率化」といった課題を抱えていました。研修費の約3~4割が交通費になっており、研修時間や内容に制限がかかってしまっていたのです。
そこでミスターマックスでは、「クラウド型eラーニングサービス」を導入し、研修のオンライン化を図りました。すると、オンライン上で完結する人材育成によって次のような効果が得られたそうです。
<eラーニングサービス導入によって得られた効果>
結果として、研修コストの削減は大成功。ある店舗では「家電の売り上げ増加に向けて、事前準備に取り組めた」という報告もあり、売上にもつながる成果が得られました。
人事部の村垣氏は「多拠点で多くの商品を取り扱う小売業では、研修コストの効率化だけでなく情報発信という面でもクラウドサービスを積極的に活用すべきだ」と語っています。詳しい事例は以下からご覧ください。
■導入事例はこちら
株式会社ミスターマックス・ホールディングス|クラウド型eラーニングシステムはshouin+
近年、企業研修の1つの形として注目が集まっている「eラーニング」。今回は、eラーニングについて、その歴史からメリット・デメリット、運用までのステップや導入方法までくわしく解説いたしました。
本文でも解説したように、eラーニングには学習内容によって向き・不向きがありますので、企業研修のすべてを単にeラーニングに落とし込めばよい、というわけではありません。何をどこまでeラーニングで教えるのかが大切です。場合によっては、集合研修とかけ合わせた「ブレンディッドラーニング」という方法もあります(くわしくは本文をご覧ください)。
研修のオンライン化が急速に進む今の時代では、もはやeラーニングを無視して研修を実施していくことは不可能といっても過言ではありません。eラーニングへの理解を深め、ぜひ貴社のeラーニング導入にご活用ください。