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反転授業とは?研修に導入するメリットや失敗しない実践方法について、事例からわかりやすく解説!

研修 ナレッジ
2021.08.05
松木 謙介

効果的な授業方式として注目されている「反転授業」。新型コロナウイルスの拡大によって国内でも授業形態が大きく変化する中、より一層注目が集まっています。

ただ、以下のような疑問をお持ちではないでしょうか?

  • 「反転授業って何?」
  • 「よくある授業と何が違うの?」
  • 「どんなメリットがあるの?」

そこで今回は、「反転授業とは何か」という基本から、「これまでの授業との違い」や「効果」「課題」について詳しく解説していきます。社会人教育への役立て方まで含んでいますので、ぜひ参考にしてください。

 

反転授業とは?

反転授業は一般に「説明型の講義など基本的な学習を宿題として授業前に行い、個別指導やプロジェクト学習など知識の定着や応用力の育成に必要な学習を授業中に行う教育方法」を指す用語である。【引用:ジョナサン・バーグマン、アーロン・サムズ著 山内祐平、大浦弘樹監修 上原裕美子訳(2014)反転授業】

多くの人が経験してきた授業とは、「学校で基本的な知識を学び(授業)、自宅で知識の定着や応用力の育成に関する学習(宿題)を行う」形でしょう。これを反転させ「自宅で基本的な知識を学び(宿題)、学校で知識の定着や応用力の育成に関する学習(授業)を行う」のが、反転授業です。

簡単にいえば、これまで「学校でインプット、自宅でアウトプット」だったのが、「自宅でインプット、学校でアウトプット」に反転したものです。

反転授業は、2000年代後半にアメリカのジョナサン・バーグマンとアーロン・サムズ(以下、バーグマンら)によって誕生し、徐々に日本国内でも注目されるようになりました。2012年には富谷町立東向陽台小学校、2013年には近畿大学付属高等学校で反転授業が取り入れられ、その後は大学や企業内教育としても注目を集めています。

 

従来型授業と反転学習の違い

では反転授業は、これまでの授業と比べていったい何が違うのでしょうか。大きく異なる点は主に3つ。それは「形」「方法」「内容」です。

1つ目の違い「形」は上記でも解説したように、これまでの「学校でインプット、自宅でアウトプット」という流れとは違い「自宅でインプット、学校でアウトプット」という流れであることです。

2つ目の違い「方法」については、簡単にいえばインプット方法の違いです。これまでの授業形態では対面方式の授業によるインプットが主流でしたが、反転授業ではあらかじめ作成された授業動画を自宅で視聴しながらインプットを行います。生徒は宿題として授業動画を自宅で視聴するのです。

最後に3つ目の違い「内容」は、授業の中身に関する違いです。これまでの学校授業は、教師が生徒に講義をする、いわば一方通行の授業でした。しかし反転学習では、疑問点や不明点を教師と生徒でディスカッションをする、いわば「アクティブラーニング」が行われます。生徒があらかじめ自宅でインプットを行っているからこそ可能となる、これまでの授業とは一変した「生徒が主役」となる授業形態といえます。

従来の学習と反転授業の違い

 

欧米の研究で実証された反転学習の学習効果

なぜ、反転授業はこれほどまでに注目されているのか。それは、反転授業に期待される効果にあります。反転授業による効果は国内外でも多く実証されており、反転授業によって生徒の成績が上がったといった内容の結果が多数報告されているのです。

なお、反転授業によって期待できる効果は次のとおりです。

<反転授業により期待できる効果>

  • ・授業内容の理解を促進させる
  • ・知識の定着を高める
  • ・生徒の目的意識を高める

【参考:ジョナサン・バーグマン、アーロン・サムズ著 山内祐平、大浦弘樹監修 上原裕美子訳(2014)反転授業】

【参考情報(理学療法 - 臨床・研究・教育):基礎科目に対する反転授業の効果】

【参考(関西大学高等教育研究):社会人教育における反転授業を取り入れた授業デザイン】

 

反転授業は、あらかじめ録画された授業動画を視聴することから始まります。授業動画を分かりやすく作成することで生徒の理解がしやすくなったり、何度も見返すことができたりと、そのメリットは非常に大きいものです。

実際に反転授業を受けた生徒に対するアンケートにおいても、

  • 「反転授業になってから授業がスムーズに入ってきたし、学習しやすかった」
  • 「とてもわかりやすく、何度も見直す事が出来たので理解を深める事ができた」

【引用(理学療法 - 臨床・研究・教育):基礎科目に対する反転授業の効果】

などといった声が挙げられています。

このようなことから、反転授業による学習効果は高く期待でき、学校授業のオンライン化が進む現代において、積極的に取り入れていくべき授業形態といえるでしょう。

 

企業研修でも反転授業の手法が注目されている

反転授業は、学校授業のみならず企業研修としても近年注目を集めています。まず、月刊総務が全国の総務担当者113名を対象に行った調査によると、コロナウイルス感染拡大以降、研修のオンライン化に着手した企業は、なんと企業全体の73.4%にのぼりました。

コロナ禍以降対面研修をオンラインに切り替えた企業についての調査

また、そのうちの77.1%の企業が「研修のオンライン化は成功した」と回答し、残り22.9%の企業が「成功しなかった」と回答しています。この調査からわかるのは、研修のオンライン化が多くの企業で必要とされていること、また研修のオンライン化にはまだ多くの課題が残っているということです。

ちなみに、月刊総務が実施したアンケート内では、オンライン研修が成功した/成功しなかった理由として、次のような点が挙げられています。

<オンライン研修が成功した理由>

  • 参加者が増えた
  • 開催時期、地区の違いによる内容の差異が少なくなった
  • 参加者の反応がよかった
  • 研修先までの移動時間、費用が不要になった
  • 画面共有やブレイクアウトセッションを使用して、リアルと比べても遜色のない運営ができている

 

<オンライン研修が成功しなかった理由>

  • 担当部署が、講義内容、講師、受講者の講義中の思考や雰囲気を確認しづらい
  • 効果の確認が難しい
  • 新入社員同士、先輩とのコミュニケーション不足
  • パソコン画面は開いているが、本人が別のことを行っている
  • 教える側のスキル不足

【参照元(月刊総務オンライン):73.4%が対面研修のオンライン化に着手したが、うち59.0%がオンライン研修を対面に戻したいと回答】

アンケート結果から考えると研修のオンライン化は、成功すれば時間・場所・費用にしばられずに開催できる大きなメリットがある一方、コミュニケーションが取りにくいからこその課題があるようです。

ではなぜ反転授業が企業研修として注目を集めているのか。それはまさに、反転授業が上記の課題を解決する糸口となるからです。詳しくは次の章で解説していきます。

 

反転授業を研修に取り入れるメリット

ここでもう一度おさらいをしておくと、反転授業は「自宅で授業動画を視聴し(宿題)、学校でディスカッションなどのアクティブラーニングを行う(授業)」授業形態を指します。

これを企業研修に取り入れるとすれば、どのようなメリットが生まれるでしょうか。企業研修に反転授業を採用するメリットは大きく分けて以下の5つです。

<企業研修で反転授業を取り入れる5つのメリット>

  1. 個人の労働状況に応じた柔軟な学習ができる
  2. 理解度を確認しやすい
  3. 社員のスキル平準化に役立つ
  4. コミュニケーションを促せる
  5. 教える側のスキル・負担なく実施できる

詳しくみていきましょう。

 

メリット1:個人の労働状況に応じた柔軟な学習ができる

一般的に企業で働く人々は、多忙です。「あらかじめ決定している日程で研修に参加できない」「多忙で研修に参加している暇がない」といった事例は多くの方が経験したことがあるのではないでしょうか。

しかし、動画研修を取り入れた反転授業であれば、研修のためにスケジュールを確保する必要もなく、個人それぞれの空き時間を活用しながら学習を進められます。全員のスケジュールを調整することなく、個人の労働状況に応じた柔軟な学習が実現できるのです。

【参考:ジョナサン・バーグマン、アーロン・サムズ著 山内祐平、大浦弘樹監修 上原裕美子訳(2014)反転授業】

 

メリット2:理解度を確認しやすい

通常のオンライン研修を実施すると、多くの場合は講師が社員に講義をする、いわば「一方通行の研修」になりがちです。そのため、月刊総務オンラインが行ったアンケート回答にもあったように「担当部署が、講義内容、講師、受講者の講義中の思考や雰囲気を確認しづらい」「効果の確認が難しい」といった状態に陥りやすくなります。

しかし、反転授業を取り入れると、動画視聴後のアクティブラーニングにおいて、社員は自身の考えを述べたり意見交換を行ったりすることで、必然的にアウトプットが行われます。オンライン研修の課題であった「受講者の理解度」を確認しやすくなるのは明らかでしょう。

 

メリット3:社員のスキル平準化に役立つ

理解度の確認ができると、次には「それぞれの社員に割く時間を調節する」ことができるようになります。具体的には、「苦戦している人により多くの時間を割くことができるようになる」ということです。

つまずいている社員により丁寧なサポートが可能になることで、社員のスキルの平準化につなげることができるでしょう。

【参考:ジョナサン・バーグマン、アーロン・サムズ著 山内祐平、大浦弘樹監修 上原裕美子訳(2014)『反転授業』オデッセイコミュニケーションズ】

 

メリット4:コミュニケーションを促せる

オンライン研修のもう1つのデメリット「新入社員同士、先輩とのコミュニケーション不足」がありましたが、これも反転授業を取り入れることによって解消できます。

反転授業のアクティブラーニングでは、社員同士または社員対講師のディスカッションが前提となるため、コミュニケーションは必須となるからです。通常のオンライン研修のみでは難しかった新たなコミュニケーションの場が生まれることで、現場(実店舗)での実践練習もスムーズに進んでいくのではないでしょうか。

 

メリット5:教える側のスキル・負担なく実施できる

オンライン研修の課題として、「教える側のスキル不足」もありました。スキル不足のみならず、加えて教える側の「時間不足」も挙げられるでしょう。

しかしこれも、反転授業を採用することで大きく改善が期待できます。動画は1度作成すると繰り返し活用できるため、教える側のスキル不足・時間不足にも容易に対応できるようになります。反転授業は、受講者側に対するメリットのみならず、教える側にとってのメリットも大きいのです。

 

反転授業の課題・注意点

これまで反転授業に期待できる効果やメリットについて解説してきましたが、一方で反転授業にはいくつかの課題も存在します。

実際に2015年にeラーニング戦略研究所が実施した調査によると、反転授業の課題として最も声が大きいものから「授業ビデオ作成における教員の負担」「生徒の自宅学習の定着化」「生徒宅のネット整備やタブレット費用負担」が挙げられました。

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【参照元(eラーニング戦略研究所):反転授業に関する定点調査報告書<2015年>】

課題は学校教育だけではなく、企業研修にも同様に当てはまります。次から詳しくみていきます。

 

課題1:動画制作における負担

いざ反転授業を取り入れよう、となったときに最も難しく感じるのが「動画制作」ではないでしょうか。動画制作のスキルを持った社員がいれば問題ありませんが、誰も経験がない場合は「誰がやる?」、「どうやってやる?」と悩むことでしょう。

ただ、動画制作は必ずしも内製化する必要はありません。実際にバーグマンらは著書の中でも

自分でビデオを制作する時間がなかったり、テクノロジーが苦手だったり、機材の前では喋りにくかったりする人もいる。あなたがこちらのタイプに当てはまるなら、誰かが作成したビデオを活用して反転授業を実施する方法を勧めたい。

【引用:ジョナサン・バーグマン、アーロン・サムズ(2014)『反転授業』オデッセイコミュニケーションズ】

と書かれているほどです。具体的に「誰かが作成したビデオを活用する」というと、方法としては次のようなものが挙げられます。

<動画制作を自身以外で行う方法>

  • 他者が制作した動画を借りる

 →同じ会社の社員、もしくはグループ会社の社員らが制作した動画があれば活用する。

  • 動画制作を外部委託する

 →動画を作成してくれる企業に撮影〜編集までを依頼することでプロが動画を作成してくれます。また近年では、shouin+をはじめとするオンライン研修サービスの中には、動画制作における撮り方から編集までサポートをしてくれるサービスもあります。動画制作だけでなく、受講者の管理や進捗状況の管理まで一括して行えるため非常に便利です。

 

課題2:自宅学習の定着化

自宅学習を前提とする反転授業において、自宅学習の定着化が課題となるのはごく自然なことといえます。企業研修においては職場で動画視聴をさせることが多いかもしれませんが、自宅で視聴させる場合にはあらかじめ対策をしておきたいポイントです。

では、事前の動画視聴をしてこなかった場合はどのような障害が生まれるのでしょうか。まず、動画を視聴せずに参加した受講者は、アクティブラーニングの内容を理解できず、研修そのものの恩恵を受けられなくなってしまうでしょう。また、そのような受講者が増えてしまうと研修そのものが成り立たず、結果としてほかの受講者の迷惑になることも考えられます。

そのため、反転授業では研修前の動画視聴が重要だとわかりますが、では自宅学習をしてこない生徒に対しては、どのように対応すればよいのでしょうか。バーグマンらは著書の中で次のように解説しています。

私たちは比較的単純な方法でこの問題に対応することにした。教室の後方に2台ずつパソコンを置いて、観てこなかった生徒がその場で視聴できるようにしたのだ。授業中は教師が机間指導で生徒に手を貸すが、ビデオを観なければならない生徒は、この指導が得られない。授業でやるはずだった課題は、従来の教授法のように自宅でこなさなければならない。先生に質問できる場で課題をやったほうが自分にとって得だ、と早々に察するというわけだ。そして、先生を利用する時間を確保するため、自宅でビデオを観るようになる。全員とは言わないが、圧倒的大多数の生徒には、これがよいモチベーションになっている。

【引用:ジョナサン・バーグマン、アーロン・サムズ(2014)『反転授業』オデッセイコミュニケーションズ】

つまりバーグマンらは、「反転授業自体が自宅学習へのモチベーションにつながる」と解説しています。反転授業は、受講者自身で事前学習の必要性を見出せる点においても価値がありそうです。

 

課題3:ネット環境やタブレット整備の負担

反転授業において、動画視聴を可能とする環境づくりは欠かせません。しかし、ネット環境やタブレット端末の所有に関する家庭環境は実にさまざまです。企業によっては社員全員に対してタブレット端末を配布する、といったところもあるかもしれませんが、すべての企業がそのような莫大な費用をかけられるわけではありません。

そこで、なるべく費用をかけずにこの問題を解決するためには「動画視聴方法の選択肢を増やす」ことが重要になるでしょう。具体的には次のような方法が挙げられます。

<動画視聴の環境づくりのためにできること>

  1. パソコンがあり、インターネット回線が使用できる社員には動画共有サイトを利用して、動画を閲覧させる
  2. パソコンはあるが、インターネット回線が使用できない社員には、USBメモリ等に動画を入れ、持ち帰らせる
  3. パソコンを持たない社員には、動画をDVDに焼く・スマートフォンに保存させるなどして、持ち帰らせる

【参考:ジョナサン・バーグマン、アーロン・サムズ著 山内祐平、大浦弘樹監修 上原裕美子訳(2014)『反転授業』オデッセイコミュニケーションズ】

上記の方法であれば、ほとんどの社員の動画視聴環境を整えられることでしょう。万が一DVDプレイヤーさえ所持していない社員がいれば、会社からDVDプレイヤーまたはタブレット端末を貸し出すなど、社員に応じて柔軟に対応をすることも必要です。従業員個人のスマートフォンやタブレットを活用することもセキュリティ要件を満たした上であれば、良い方法と言えます。

 

反転授業を研修に取り入れるポイント

ではここからは、反転授業を企業研修に取り入れるためのポイントについて解説していきます。社会人教育および反転授業に関する論文をもとに解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

<反転授業を研修に取り入れる2つのポイント>

  1. 研修の目的・意味を理解させる
  2. 協働学習の場を設ける

【参考(関西大学高等教育研究):社会人教育における反転授業を取り入れた授業デザイン】

詳しくみていきましょう。

 

ポイント1:研修の目的・意味を理解させる

動画視聴の段階では、受講者に研修の目的・意味を理解させることが重要となります。研修が自身にとって価値あるものと理解できなければ、受講者の学習意欲は損なわれるでしょう。そのため、研修動画はできる限り、研修自体が実務に大きく関わるものと理解できる内容にします。

例えば「接客が必要な店舗で働く新入社員研修」の場合であれば、よくある基礎教育ビデオをただ視聴させるだけでは、実際のところ実務にどう関わってくるのかイメージがしにくいものです。ですから、動画内ではできるだけ実務に近いもの・言葉・シチュエーションを使うことが望ましいでしょう。実店舗で動画撮影をするのも1つの方法といえます。

 

ポイント2:協働学習の場を設ける

動画視聴の後の対面研修では、「協働学習」を設定することで、受講者が能動的に研修に参加することができるようになります。また、受講者同士のコミュニケーションによって、さまざまな考え方・視点が生まれる場になるでしょう。不規則な場面に遭遇することの多い現場においては、研修で得られる多くの考え方や視点が問題解決の土台となるはずです。

2つのポイントをまとめると、企業研修に反転授業を取り入れる際には、動画視聴の段階において受講者に「研修の目的と意味を認識させること」と、対面研修の段階で協働学習を設け、受講者に「さまざまな考え方・視点を獲得させる」ことが重要だということです。

 

反転授業の具体的な実践方法

では、反転授業を実際に取り入れるためには、どのようなステップを踏めばよいのでしょうか。2つのステップに分けて解説していきます。

<反転授業の具体的な実践方法>

  • ステップ1:研修をデザインする
  • ステップ2:オンライン学習動画を作成する

詳しくみていきましょう。

 

ステップ1:研修をデザインする

反転授業実施の第1ステップは「授業のデザイン」です。前章で解説した「反転授業を研修に取り入れる2つのポイント」を参考に、業務を習得するために、どのような動画・対面授業の内容が効果的かを考え、内容を決めていきます。

難しく感じるかもしれませんが、これは決して絶対的な正解があるわけではありません。教師が学生に合わせて授業をデザインしていくように、研修も受講者に合わせてデザインしていく必要がありますので、柔軟に考えてください。

また、ここで研修の目的・意味をおさえずに動画制作から入ってしまえば、反転授業の効果は十分には得られなくなってしまうため丁寧に行うようにしましょう。

 

ステップ2:オンライン学習動画を作成する

研修のデザインが決まったら、ここでようやく「動画制作」に入ります。とはいえ、ひと口に動画制作といっても、質の高い動画を作ることは容易なことではありません。

動画制作には、機材を扱う技術をはじめ、受講者を惹きつける講師のスキルや、録画した動画を編集する技術、完成した動画を公開するための知識など、多くのスキルが必要とされます。参考までに下記に動画制作で必要となる機材をまとめましたが、これらを揃えるのも容易なことではないでしょう。

<動画制作に必要となる機材の一例>

  • スクリーン・キャスティング・ソフトウェア
  • 講師
  • インタラクティブ・ホワイトボード
  • マイク
  • レコーディングソフトウェア
  • ビデオカメラ

※必ずしもすべての機材が必要となるわけではありません。

【参照元:ジョナサン・バーグマン、アーロン・サムズ著 山内祐平、大浦弘樹監修 上原裕美子訳(2014)『反転授業』オデッセイコミュニケーションズ】

 

上記の内容から、

  • 「動画を作ってる暇なんてない」
  • 「自分たちの技術だけじゃ動画制作は厳しい」

と感じた方におすすめしたいのが「外部委託」という選択肢です。

例えば、オンライン研修サービスなどの外部サービスを使えば、動画制作における撮り方から編集までサポートを受けることが可能です。制作者によるクオリティのバラツキを最小限に抑えられるなど、動画制作以外のメリットもありますのでぜひ検討してみてください。

 

反転学習を研修に取り入れている具体例

それでは最後に、反転授業を実際に企業研修として取り入れた実施例をご紹介いたします。

 

株式会社ユナイテッドアローズ

紳士服・婦人服および雑貨等の商品を販売するセレクトショップを展開する株式会社ユナイテッドアローズ。ユナイテッドアローズは現場での社員教育に対して、教育者の負担といった観点から限界を感じ、研修のオンライン化を実施しました。

オンライン化によって集合研修の際に発生していた移動や印刷コストを全面カットできたほか、従業員は必要な資料をネットにアクセスするだけで簡単に閲覧できたため、研修後の復習も容易になりました。

また、コロナウイルスの感染が拡大し世界が混乱する中でも、ユナイテッドアローズは研修のオンライン化を実施していたおかげで企業研修を問題なく行うことができたのです。むしろ、研修の更なる最適化のため、反転授業を取り入れるようになり、「自宅での動画視聴→WEB研修→店舗での実践」という新たなフローも完成しました。

ユナイテッドアローズが研修に反転授業を取り入れて得られた効果は大きく3つです。

  • 効果1:スキマ時間の有効活用
  • 効果2:研修にかかる時間の効率化
  • 効果3:会場手配の手間、移動コストから解放

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より詳しい内容を知りたい方は、こちらの記事をぜひご覧ください。

株式会社ユナイテッドアローズの導入事例

 

株式会社ミュゼプラチナム

美容脱毛サロンを全国に展開する株式会社ミュゼプラチナムでは、従来の新人研修体制に限界を感じていました。講師から新人に対する一方的な研修や座学では人材育成に限界があること、また新人研修の進捗管理の難しさにも課題を抱えていたのです。

そこでミュゼプラチナムでは、研修のオンライン化を実施。反転授業のフローと同様に「オンライン事前学習(動画視聴)→集合研修」の流れで研修を行うようになりました。すると、大きく3つの効果が得られたのです。

  • 効果1:研修の効率化・質向上
  • 効果2:日報・課題の提出忘れ減少
  • 効果3:シンプルかつスムーズな管理体制を実現

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より詳しい内容を知りたい方は、こちらの記事をぜひご覧ください。

株式会社ミュゼプラチナムの導入事例

 

まとめ

効果的な授業形態として注目を集める「反転授業」。「自宅でインプット、学校でアウトプット」が基本となる反転授業では、授業内容の理解を促進させる・知識の定着を高めるといった効果が期待できる上、授業のオンライン化にも対応できる非常に現代的な学習法といえます。

また学習に効果的な反転授業は、学校教育のみならず企業研修としても注目を集めており、反転授業を社会人教育に活用する研究も行われているほどです。今回は企業研修に反転授業を取り入れるポイントや反転授業の実施方法まで詳しく解説しましたので、ぜひ反転授業導入にご活用ください。

著者
松木 謙介
2017年にピーシーフェーズ株式会社に新卒で入社。大手飲食チェーン店のマニュアルデジタル化プロジェクトに携わり、2年目から人材育成クラウドサービス「shouin」の立ち上げ、現在までプロダクト開発に携わる。「研修をもっとラクラクに」できるよう、試行錯誤を続ける日々。趣味はサッカー観戦、ゲーム、読書、他多数。

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