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離職率とは?離職原因と対策方法について改善事例からわかりやすく解説!

ノウハウ ナレッジ
2021.09.30
松木 謙介

企業にとって採用と離職は切っても切れないものです。厚生労働省が発表した「令和2年雇用動向調査結果の概要 入職と離職の推移」によると、2020年はコロナ禍ということもあり、8年ぶりに離職率が入職率を上回る、つまり就職した人よりも離職した人の方が多いという結果となりました。男女別で見ても男性は離職率が0.6ポイント上回り、女性は離職率と入職率ともに15.9%という結果に。

こうした結果に至る以前も「離職率の低下」は人事部門・人材開発部門にとって大きな課題でした。そして今のこの瞬間も、離職率低下のために何ができるだろうか?とアイディアを絞り出そうとしている方は多いでしょう。

そこで当記事では離職率の基本に始まり、離職率が高くなる原因と離職率を下げる具体的な方法をご紹介します。そもそも離職率とは何か?なぜ離職率は上がるのか?どうすれば下がるのか?一度初心に戻り、離職率の基本から情報を整理していきましょう。

 

離職率とは

「離職」という言葉は文字通り職を離れること。つまり離職率は「従業員の数に対して、職を離れた従業員の割合」となります。ただし、離職率を計算する区切りはいくつかあります。

  • 全従業員に対して1年間で離職した従業員の割合
  • 3年以内に離職した新卒採用者の割合(早期離職者)
  • 過去5年間において1年以内に離職した中途採用者の割合

さまざまな計算方法を用いるのは、区切りごとの離職率を割出して「従業員満足度のどこに問題があるのか?を知るためです。

皆さんの企業では、離職率を管理するにあたりいくつの指標を運用しているでしょうか。

企業全体の離職率低下を達成するには、少なくとも上記3つの指標を用いて離職率を管理しなければなりません。

 

離職率の計算方法

離職率というのは法律等によって定められた指標ではありません。従って、離職率の計算方法は企業によって異なりますが、基本的には以下の計算式で算出することができます。

離職人数 ÷ 従業員数(採用人数)× 100(%)=離職率

ここでは、いくつかのケースに分けて離職率の計算方法をご紹介します。

 

ケース1. 従業員数200名の企業にて、過去1年間に15人が離職した

計算方法:15人 ÷ 200人 × 100(%) = 離職率7.5%

企業全体としての離職率を計算する方法です。大まかな指標にはなりますが、離職率の課題発見や具体的な指標として用いるのは難しいでしょう。

 

ケース2. 3年前に入社した新卒採用者30人が現在に至るまで12人離職した

計算方法:12人 ÷ 30人 × 100(%) = 離職率40%

入社3年以内に離職する新卒採用者の割合は、いずれの業界でも年々増加傾向にあります。新卒採用者の離職率低下及び定着を当面に課題にされている企業も多いでしょう。

 

ケース3. 過去5年間で中途採用者を15人採用し、2人が離職した

計算方法:2人 ÷ 15人 × 100(%) = 離職率13.3%

中途採用者の離職率が低い企業は、他社に比べて魅力があるものと考えられます。中途採用者と新卒採用者とでは離職理由が異なるケースが多いため、別々の指標と捉えるのがよいでしょう。

 

離職率の平均値とここ数年の推移

平成18年から令和2年までの入職率および離職率のグラフ「参照元:令和2年雇用動向調査結果の概要 入職と離職の推移(厚生労働省)」

 

上の表は厚生労働省が発表した「令和2年雇用動向調査結果の概要 入職と離職の推移」に掲載されているものです。ご覧いただくとわかるように、離職率は2013年から2018年にかけて徐々に低下傾向にありました。

2019年には元号が令和に変わり、心機一転、新たな会社でスタートを切ろうと考える人が多かったからか、前年から1ポイント上がり、さらに2020年には1.4ポイント下がるなど、ここ数年、全体の離職率は不安定になっています。

2019年から2020年にかけて離職率が大きく下がった理由は、おそらくコロナ禍により、求人が減ったことや転職に成功する保証がなくなったことが影響していると推測できます。日本では2020年4月から1回目の緊急事態宣言が出されるなど、社会情勢が不安定な状況が続いています。そのため、現在の職での安定を選ぶ人が増え、離職率が下がったと考えられます。

日本全体で離職率が下がったとはいえ、その背景には世界中で経済的な打撃を招いた新型コロナウィルス感染症拡大があるため手放しでは喜べないのが現状となります。来年以降、感染症対策と経済活動の両立ができるようになると、それにあわせて離職率も上がる可能性が高いため、今のうちから対策しておく必要があります。

 

業界別の離職率

次に、業界別の離職率に着目してみましょう。厚生労働省の「雇用動向調査結果の概要」を参考に、2019年と2020年の業界別離職率を比較しました。

2019年と2020年の業種別離職率の比較

離職率トップの業界は依然として「宿泊業、飲食サービス業」です。ほとんどの業界で2019年から2020年にかけて離職率が低下しており、情報通信業では10.4ポイントも下がっています。

 

情報通信業の離職率が低下した理由について3点考察してみます。

 

1つは、新型コロナウィルス感染症拡大の影響で企業のテレワーク化が進み、情報通信技術の必要性が広く認識されたことが考えられます。

東京都の調査では、1回目の緊急事態宣言が出された2020年4月時点では62.7%もの企業がテレワークを実施し、web会議やチャットでのコミュニケーションなど、オンライン上でやりとりする機会が、昨年以前と比較すると圧倒的に増加しました。

コロナ禍でデジタルシフトした企業が増えた

それに伴い企業がITツールを積極的に導入したり、自社のサービスを情報通信業に開発を委託したり、オンライン上で顧客を獲得する施策に投資したりした結果、情報通信業界全体で売上高を伸ばす企業が増え、結果として従業員満足度が高まり、離職率が下がったと考えられます。

 

2つ目は巣ごもり需要です。政府や地方自治体から発出される緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置により、多くの国民が自宅にいる時間が増えたことに伴い、消費者の購買行動もインターネット上での消費に大きくシフトしました。

従来であればお店に見にいってその場で買うといったことも多かったですが、外出自粛となると、お店に見に行くという機会が物理的に減るため、インターネットで情報を入手し、そのままインターネットで購入するという流れが昨年等に比べ促進されました。

消費者の購買行動もリアルからインターネットへ

その結果、インターネットで顧客を獲得するための広告施策、ECサイトなどのネットショップの開設、ネット通販の実施、SNSなどのマーケティング施策などのインターネットに付随するサービスに投資を行ったことも情報通信業の売上増加、ひいては離職率低下に繋がったと推測することができます。

総務省と経済産業省がまとめた「2020年情報通信業基本調査(2019年度実績)」によると、情報通信業の売上高は、回答があった5,714社の合計で51兆6459億円で、このうち前年度も回答していた4,969社の売上高合計は49兆2778億円で、前年同時期の調査と比較して3.2%増加していました。

その中でも上述したインターネット付随サービスを営む企業が特に伸びており、前年同時期の調査と比較すると、17.1%増の4兆1296億円となっています。このような業界全体の売上高増加も情報通信業の従業員満足度を高め、離職率低下に繋がっているかもしれません。

 

上記2点はどちらも外的要因でした。3点目は、内的要因、企業努力という観点から考えてみましょう。情報通信業は、その他業種よりも、ワーク・ライフ・バランスや働き方改革など、社員が働きやすい環境を作るということに敏感に対応している企業が多く、各企業の努力の成果とも捉えることができそうです。

例えば、フリマアプリ「メルカリ」を運営している株式会社メルカリでは「メルカリ・ニューノーマル・ワークスタイル “YOUR CHOICE”」という社員のワーク・ライフ・バランスを考慮した制度をとっています。

この制度は、リモートワーク/出社の有無や働く場所など、社員それぞれが最も適切なワークスタイルを選択することができるというものです。社員がライフスタイルに応じた、様々な働き方を選択できる環境をつくることで、多様な人材が活躍できる環境の実現を目指して導入されました。

正式発表自体は2021年9月でしたが、トライアル(お試し)自体は2020年7月から行っており、コロナ禍での社員の働きやすさを早いタイミングから考えて制度化したことは、他業種よりも若い企業が多く、スピード感を持って制度を実行に移せる情報通信業ならではと言えますし、離職率低下に向けて努力を続けている証と言えるでしょう。

 

今回は2019年と2020年の離職率を比較しましたが、自社が帰属する業界の離職率を調査する際は過去5年分の離職率推移を確認してみてください。業界ごとの動向を掴むにはある程度まとまったデータで見ることが重要です。

 

離職率が高いことによるデメリット

離職率の高さが問題視されるのは、そこにデメリットがあるからです。人事部門・人材開発部門の方々は日々実感されているでしょうが、改めて離職率が高いことのデメリットを整理しましょう。

 

1. 採用及び退職コストの増大

「離職率が高い=それほど多くの従業員が職を離れている」ということ。例えば宿泊業、飲食サービス業の2020年離職率を参考にすると、従業員数100人の企業なら1年間で約27人が離職している計算になります。

離職によって穴が空いた部分は当然ながら埋めなければいけません。つまり離職率が高いほど採用活動を活発化させなけれならず、採用コストは増大していきます。また、後述するデメリットのようにブラック企業とみなされると、採用活動が不利に働き余計なコストを支払うことになるでしょう。やはり離職率が高いのは採用コスト面で好ましくありません。

採用コストだけでなく、退職コストという概念も存在します。この退職コストとは、下図のような入社時教育コスト、エージェントフィー、面接コスト、有給消化コスト、業務引き継ぎコストなど、退職に伴って会社側が追う負担のことです。その損出の試算例は、退職者の年収が500万円で外部から同じ年収で新規採用を行う場合、年収の53%に上る267万円がかかるとされています。

 

退職コストの割合と合計金額

「参考情報:退職リスク分析でハイパフォーマーの流出を防ぐ(ダイヤモンド・オンライン)」



2. ノウハウ・人脈などの無形資産の流出

たった1年しか勤務しなかった従業員もその1年間で企業独自のノウハウを習得し、人脈を形成します。とりわけ中途採用者の離職率が高い企業は注意が必要です。

新卒採用者と違い仕事の吸収スピードが早いため、1年間でも事業の核になるようなノウハウと人脈を獲得している可能性があるでしょう。そうした人材が離職すれば、企業の強みである無形資産は外部へ流出したことになります。

2021年1月に報道された元ソフトバンク社員が競合である楽天モバイルに転職した技術者が、5Gなどのソフトバンクの機密情報を流出させた事件は記憶に新しいでしょう。「参考情報:ソフトバンク、積水化学でも…元社員の情報漏洩「手土産転職」横行の実態(ダイヤモンドオンライン)」

離職した人材が競合他社に移れば、自社独自のノウハウや人脈などの強みがどんどん失われていき、最終的には競合優位性が大きく低下します。

 

3. 「ブラック企業」とみなされる

「離職率が高い=ブラック企業」というレッテルは長年変わっていません。

10年前なら「サービス残業は当たり前」といった精神論的な労働環境を受け入れる風潮がありましたが、数年前に過労死自殺事件が発生したことでブラック企業に対する社会的批判が激化。

それに伴い、ブラック企業と認定されてしまうと、採用活動において新卒者や転職者から避けられてしまうため、大いに不利に働くものと考えられます。

さらに、近年の新卒社員は「3年以内に3割が辞める」とされており、ブラック企業に対して従来よりも敏感になっています。

 

新卒採用を行っている企業では、優秀な人材が集まりにくく、かつ新卒社員の離職率が当然高くなるので企業理念を背負って立つ人材が育たず、徐々に衰退していく可能性もあります。従業員満足度を高め、個々の業務量を見直し、ブラック企業のレッテルを貼られる前に、改善することが大切です。前述したメルカリの例などを参考に、ぜひ取り組んでみてください。



最新の雇用動向調査結果からわかる離職率が高くなる4つの原因

2020年に離職率が大きく下がったのはやはりコロナ禍の影響が強いと考えられます。従って、2019年の数値を参考にすると離職率の高さはやはり大きな問題です。

では、なぜ離職率が高くなってしまうのか?ここでは原因を4つご紹介します。

 

原因1:ワーク・ライフ・バランスが取りづらい

厚生労働省が発表している平成30年雇用動向調査結果の概況では、女性の離職理由は「その他の理由(出向等を含む)」25.5%を除くと「定年・契約期間の満了」14.8%が最も高く、次いで「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」13.4%となっています。

ワーク・ライフ・バランスの大切さが叫ばれている現代社会において、産休・育休が取得できない、労働における拘束時間が長い、といった社会の流れに逆行してしまうと離職率が高くなってしまいます。また「社員が毎晩残業しなければいけない会社」は管理能力が低いとみなされ、新卒者や転職者の就職希望先から外されるケースが多いでしょう。

 

原因2:人間関係に問題があり、職場の雰囲気が悪い

前述の調査によると、離職理由のうち、男性では7.8%で3位、女性では11.8%で2位になっているのが、「職場の人間関係が好ましくなかった」です。

人生の中で感じるストレスの大半は人間関係が原因だと考えられています。皆さんも思い返せば、日頃のストレスはほとんどが人間関係から来てはいないでしょうか?

もしも人間関係に問題があり、職場の雰囲気が悪ければ、当然のことながら従業員は居心地の悪さを感じます。また、心理的安全性が保たれていない環境では神経を尖らせているため絶えずストレスを感じることに。当然離職に繋がってしまいます。



原因3:従業員に対して正しい「マネジメント」ができていない

前述の調査をよくみてみると、25歳〜29歳の離職理由で、前述した人間関係による離職を上回っているものがありました。それは「能力・個性・資格を活かせなかった」です。

25歳〜29歳というと、就職から3年を経過し、ある程度仕事を覚えて、新しい職務を任されたい、昇格したい、といった希望が発生するタイミングと言えます。

ですが、そもそも昇格がなかったり、昇格はしたもののそれに伴う研修がなかったり、昇格後の目標がわからなくなったりしてしまったらどうでしょう。「この会社でこれ以上学ぶことがないから他の会社で新たなステップに進もう。」、「昇格しても業務が増えるだけで、給与がほとんど変わらない。転職した方が給与が上がる」などと思われてしまい、離職につながってしまいます。

 

原因4:適切な評価がされていないと感じてしまう

前述の調査によると、男性の離職理由は「その他の理由(出向等を含む)」29.4%を除くと「定年・契約期間の満了」16.9%が最も高く、次いで「給料等収入が少なかった」10.2%となっています。つまり10人に1人が「正当な評価を受けていない」、「労働に見合った対価を得ていない」という理由で退職していることになります。

評価というのはわかりやすく給与に現れてきます。年功序列で徐々に給与が上がっていくだけ、どんなに成果を出しても自分より仕事ができない人と同じ評価をされている、と感じてしまう会社は離職率が高くなる傾向にあると考えられます。



離職率を下げる4つの方法

離職率を下げることで採用活動が楽になり、人材獲得にかかるコストも低減します。ノウハウや人脈の流出が少なくなれば、企業の競合優位性も保たれるでしょう。

では、離職率を下げるにはどのような方法があるのか?ここでは代表的な方法を3つご紹介します。

 

方法1:働き方の多様性を認める

離職率を下げるために企業が持っておくべきマインドが「100人いれば100通りの働き方がある」です。企業は仕事の対価として給与を支払います。組織に属している以上、組織のルールを守ることは大切です。しかし、従業員は企業のコマなどでは決してありません。

多様性を受け入れることが重要視されている昨今、企業は柔軟な考え方で多様な働き方を提供することが大切です。それは従業員個人を大切にするためであり、組織全体のパフォーマンス向上のためでもあります。

例えば、建設業大手の大成建設では、「男性の育児休業取得率100%」を目指す、というメッセージを社長自ら発信することで、男性の育児休暇取得率を大きく改善させました。2015年度以前は平均2.7人でしたが、2016年度は82人と約30倍に引き上げることに成功しました。

取得者からは「仕事をきっちり行い、早く帰ろうとする意識を持つことができた。」、「自分だけで業務を抱えずに、チームで共有する姿勢を意識するようになった。」などの感想が寄せられており、育児休業の取得をきっかけとして、仕事への取り組み方や働き方を見直す男性従業員も増えています。「参考情報:男性の働き方改革・意識改革に向けた職場のワーク・ライフ・バランス推進のための取組事例集の10ページ」

従業員の多様な働き方を認め、尊重しながらも結果を出す組織を作ることができれば、企業としてさらに成長できる、ということを体現しています。



方法2:上司、同僚との人間関係を改善する

2018年にチューリッヒ生命が行った「2018年 ビジネスパーソンが抱えるストレスに関する調査」で勤め先でストレスの原因になっていると感じることを聞くと、「上司との人間関係」が38.9%、「同僚との人間関係」が29.0%とで1位、2位となっています。つまり、この2つの問題を解決することができれば、職場で感じるストレスのおよそ6割を解消することができます。

離職理由ランキングTOP5

例えば、IT企業大手のヤフー株式会社では、週1回30分で上司と部下が1対1の面談、「1on1ミーティング」を実施しています。多くの会社で半期や四半期に1回の面談を行っていると思いますが、ヤフーは週1回です。このミーティングの内容をダイヤモンド・オンラインの記事では以下のように記載されています。

 

業績面談の場合、目標を達成したかどうかを確認し、部下の仕事ぶりに対してフィードバックを行う、というのが一般的だろう。往々にして、それに上司の訓示や激励、あるいは指導や経験談の開陳もあるかもしれない。

ヤフーの1on1は、そうではない。なによりも特徴的なのが、1on1は「部下のための時間」と明確に定義づけられていることだ。

毎週1回、30分の対話は、基本的には部下が自分の考えを話すことで進められる。上司は、なかなか言葉にならない部下の思いを引き出す努力はするものの、結論を先取りしたり、決めつけたりはしない。

その30分で上司は部下の業務の進捗確認を行い、また問題解決をサポートする。そして、これが1on1の最大の狙いだが、対話を通して部下の目標支援と成長支援を行うのである。

そのコミュニケーションが目標支援と成長支援につながるように、マネジャーたちはコーチング研修を受けて「傾聴」のし方を学び、有効な「フィードバック」の手法を身につける。

端的に言えば、ヤフーの1on1は人材育成を目的とする上司と部下との対話なのである。

「参考情報:ヤフーはなぜ6000人の社員を巻き込む「1on1ミーティング」を続けるのか?(ダイヤモンド・オンライン)」

 

上司が部下のために時間を作る、その時間は業績面談ではなく対話に費やされる、密なコミュニケーションが上司と部下の関係を良好なものにしていくカギとなっています。上司との関係が良好になれば、上司に対して、同僚についての相談を行うことも容易になるので、職場の人間関係は改善していくでしょう。

 

 

方法3:階層別研修などを用意し、幅広いスキルアップを支援する

従業員への教育が必要なように、マネジメント層への教育も重要です。特に人材管理スキルを評価し、基準を設けて教育することで組織全体の人材開発などが大きく成長できます。

前述のように新卒採用者の多くは「自分はこの会社で成長できるか?」と不安を抱えています。マネジメントが得意な管理職はそうした不安をしっかりを汲み取り、成長への期待やキャリアパスなどを明確にし、新卒採用者が安心して働ける環境を整えています。

マネジメント層への教育に関しても、外部のコンサルタントサービスを活用するのが効果的でしょう。

例えば、株式会社東邦銀行では、管理職の教育・評価にも力を入れています。例えば、管理職の評価項目の中に人材育成と時間管理に関する項目を組み入れて、期の初めの目標設定に従って評価を行っています。

また人材育成の観点では、「とうほうユニバーシティ」という名称で多様な研修プログラムを提供しており、その一部として、初めて役席者になった者に対する階層別研修や、人材育成や業務スキル向上に焦点を当てたテーマ別のプログラムを各階層に応じて提供するなど、新人から管理職まで幅広い研修を用意し、スキル向上に尽力しています。(参考情報:職場マネジメント 事例集 - 内閣府の10ページ)

従業員に、成長の場が用意し、能力を発揮してもらうための適切なステージを用意することが大切です。

 

 

方法4:明確な評価基準やそれに伴った給与テーブルを設定する

従業員に対して、正当な評価を行う必要があります。明確な評価基準とそれと連動した給与テーブルを用意することも解決法の1つです。

例えば、ユニクロでお馴染みのファーストリテイリングは、2015年の新卒採用サイトで給与テーブルを公開し、大きな話題になりました。

ユニクロの給与テーブル(2015)

 

年収テーブルには、新卒入社(J-1)から役員(K-4)までのグレードと年収(平均、最低、最高)、(最低)年齢、参考の役職が記載されています。新入社員がこれを見たら自身がこの会社に入社したら...というイメージが湧きますし、キャリアパスや目指すものが明確になります。ここに各グレードに上がるための客観的な評価基準を設けることで、従業員は正当な評価を受けられると感じられるようになり、離職率を低下させることができます。



離職率を改善した事例

「高い離職率から一転、1桁台まで下がった」という企業も多く存在します。離職率を改善した事例を2つご紹介するので、参考にしていきましょう。

 

事例1:サイボウズ株式会社 離職率28%→4%

社内外の情報共有を促進するコミュニケーションツールを開発・提供するサイボウズ株式会社は、青野慶久氏がCEOに就任した2005年当時の離職率が28%あったそうです。

当時の従業員数は100人程度だったので年間30人近くの従業員が離職し、毎週のように送別会が開催されていたとか。原因は長時間労働や休日出勤の日常化により従業員の鬱積があったためです。

そこで離職率を低下させるためにまず始めたのが「従業員の話をきちんと聞くこと」でした。現在でも、話を聞くという簡単な作業ができていない企業が案外多いのかもしれません。

その結果分かったことが「従業員が求めている働き方は多種多様だ」という当たり前の事実。つまり「100人いれば100通りの働き方がある」と改めて実感したのが、離職率を大きく改善するきっかけになったようです。「出典:サイボウズ青野社長に聞く、離職率を28%から4%に下げる方法。(キャリアハック)

 

事例2:株式会社遊都 離職率157%→38%

離職率157%という驚異的な数値から100ポイント以上軽減したのが、愛知県内でアミューズメント施設を運営する株式会社遊都です。同社では「OMOME制度」と「ハッピー制度」と呼ばれる2つの制度を実施し、離職率低下に成功しています。

OMOME制度とは「おもてなしメモ」の略称であり、日々実践したおもてなしを専用用紙に記入し、全社共有します。メモはCEOも必ず目を通し、年に1度全員投票でトップ3を決めて選ばれた実例を「OMOME OF THE YEAR」として再現ドラマ化しているそうです。

また、ハッピースター制度はスタッフがスタッフに投票する制度です。獲得票数に応じてハッピースターバッジを獲得でき、6個集めれば殿堂入りして模範スタッフとして活躍の場が広がります。

どちらも福利厚生とまではいかない、従業員の精神面に訴えかけるような制度です。しかしながら。100%を超えるような離職率が劇的に高い企業では、こうした制度も離職率低下に大きく貢献します。「出典:株式会社遊都様事例(インセンティブ・ポイント)

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?貴社に当てはまる離職原因や実施している対策などはありましたでしょうか。

本記事では、離職の原因と有効な対策を各種データから客観的に記載しました。原因の少なくともどれかひとつはどの企業でも当てはまるようなことだと思います。

離職対策に取り組むのは今からでも遅くありません。離職率を下げるためには、組織一丸となって取り組むことが大切です。ぜひ本記事で紹介したことを参考に、離職率低下、従業員満足度向上に取り組んでみてください。

著者
松木 謙介
2017年にピーシーフェーズ株式会社に新卒で入社。大手飲食チェーン店のマニュアルデジタル化プロジェクトに携わり、2年目から人材育成クラウドサービス「shouin」の立ち上げ、現在までプロダクト開発に携わる。「研修をもっとラクラクに」できるよう、試行錯誤を続ける日々。趣味はサッカー観戦、ゲーム、読書、他多数。

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