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人材マネジメントとは?企業が取り組むメリット、成功させるポイント、事例までわかりやすく解説!

作成者: 『shouin+ブログ』マーケティング担当|Apr 26, 2022 4:24:19 AM

新型コロナウイルス感染症の流行、人手不足、終身雇用の崩壊、新卒一括採用の見直しなど、昨今、組織と個人を取り巻く環境が大きく変化しています。こうした大きな変化の中で注目されているのが人材マネジメントです。

この記事では、人材マネジメントの基本から、注目されるようになった背景、必要な理由、メリット、事例まで解説します。

 

人材マネジメントとは

まずは人材マネジメントとは何か、「図解 人材マネジメント入門 人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ(坪谷邦生・著)」をもとに解説しましょう。

人材マネジメントとは、人に投資するマネジメント手法で、人を生かし、短期的・長期的に組織として成果を上げるのが目的です。人材マネジメントの取り組みには、対組織と対個人の両方があります。

人材マネジメントは、アメリカで生まれた考え方で、「Human Resource Management」を日本語訳したものです。

アメリカはもともと人を管理する(労務管理)という考え方が主でしたが、1950年代後半から1960年代、経済力を失いつつあった時期に「人に対するマネジメントを変えなければいけない」という危機感が生まれ、「人材マネジメント」という方向に舵を切りました。人を代替可能なコストではなく、投資する対象「資源」と考えるようになったのです。

労務管理と人材マネジメントの違いは以下の表を参考にされてください。

 

 

労務管理

人材マネジメント

タイムスパン 短期的 長期的
プランニングに対する視点 受動的・その場への制限された範囲での対応 能動的・戦略的・統合的な取り組み
心理的契約 コンプライアンス コミットメント
統制システム 他者へのコントロール セルフコントロール
雇用関係に対する視点 集団的・低い信頼度 個人・高い信頼度
組織構造・システム

官僚的

機械的・集権的・厳密に規定された役割

オーガニック

権限委譲・柔軟な役割

実行責任者 人事部門 マネージャー
評価基準 コストの最小化 人材の最大限の活用

(参照元:図解 人材マネジメント入門

 

人材マネジメントは、長期的なスパンにたち、戦略的に人的資源を活用することを考え、社員のモチベーションやコミットメントの向上によって組織のパフォーマンスを最大化します。具体的には、採用制度や人事評価、報酬制度、人材開発、組織開発などの取り組みがあり、これらが密接につながり、うまく機能することで組織の成果へとつなげます。

 

人材マネジメントが注目されている背景とは

坪谷氏によると、日本の人材マネジメントは、経済が成長・安定している平時には中長期を見据えた「人」への投資がなされるが、経済危機になると企業の成果「事」に向けて短期的に人をモノとして扱ってしまう、そしてまた経済的に余裕が出ると人に再注目する、この人と事の縞模様に働く人は翻弄されてきたと言います。

そして今、日本企業を取り巻く環境は「働き手不足」「人生100年時代の到来」「グローバル化」「デジタル化」という4つの観点で大きな変化を迎えており、人材マネジメントが注目されています。(参考:人材マネジメントの在り方に関する課題意識(経済産業省)2019年1月16日)

 

背景1:働き手不足

働き手不足が深刻化しているのは周知の事実。業務を進めるのに必要な人材が集まらず、企業における重要な経営課題の一つとなっています。

人手不足を引き起こしている背景にあるのが少子高齢化の進行と人材のミスマッチです。

令和3年版 高齢社会白書(内閣府)」によると、高齢化率は平成27年が26.6%、令和2年が28.8%と年々上昇。令和2年の15歳未満の人口割合は12.0%で少子高齢化が止まらない状況です。

 

(参照元:令和3年版 高齢社会白書(内閣府)

 

ただし少子高齢化による働き手不足の課題はありつつ、2022年3月に発表された有効求人倍率は、1.20倍と必ずしも働き手がいないというわけではありません。有効求職者数が有効求人数を大きく上回っている業界もあれば、逆の業界もあり、企業と求職者の間でミスマッチが生じているのです。

2022年1月に帝国データバンクが公表したデータによると、2021年の人手不足倒産の件数は4年ぶりの低水準になったものの、建設業が全体の3割(36件)を占め最多。続いてサービス業22件、製造11件、運輸・通信10件、小売10件、卸売10件となっています。

2022年については、景況感の回復にともない、人手不足問題が起きる可能性があると言います。

(参照元:帝国データバンク

 

少子高齢化に伴う生産年齢人口(15歳以上、65歳未満)の減少による働き手不足を解消しようと始まったのが働き方改革です。働き手が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で「選択」できるようにするための改革で、結果として多様な人材の活用が進んでいます。

従来の日本の職場は、「正社員の男性」といった属性の方が多数を占めており、重要な業務はこうした方々が担い、補助的な業務をパートタイムなど短い時間で働く女性が行っていました。このため会社の制度そのものが「正社員の男性」を対象にしたものになっているのです。

でも今は多様な働き方を求める人々(育児や介護などの事情がありフルタイム就業ではなく、時短勤務などの制度を活用して働く方、副業として働く方、ハンディキャップのある方など)が増えていますし、これらの人材を活用できないと企業経営が成り立たなくなっています。

加えて2020年に発生した新型コロナウイルス感染症の拡大により、テレワークが広がり、出社しないという働き方が出てきています。

そこで必要になってくるのが多様な人材が能力を発揮して貢献できる環境作りです。企業は人材マネジメントのあり方を見つめ直すときがきているというわけです。

人手不足に関しては以下の記事で解説していますので、合わせてご覧ください。

■参考記事はこちら

人手不足の原因と、人材難を解消するための8つの対策

 

背景2:人生100年時代の到来

平均寿命が延び、日本は健康寿命が世界一の長寿社会を迎えており、「人生100年時代」が到来しています。2025年4月から、定年制を採用している全ての企業で65歳定年制が義務化されるなど、社会で活躍する期間が長期化しています。

従来の日本は、新卒一括採用で総合的なスキルが求められる「メンバーシップ型雇用」が主でした。職種の制限がなく、さまざまな仕事内容や職種を経験する中で適正を見極め、会社で定年まで働いてもらうという考え方です。

会社が配置転換や異動などの強い人事権を持つかわりに長期の安定雇用を保証していました。しかし人口構造が変わり若年層が減少し、シニア層が増加することから、従来の方式では対応しきれなくなってきており、人材マネジメントに注目が集まっています。

 

背景3:グローバル化

サービス業や小売業といった内需型産業を含め、幅広い業種で企業活動のグローバル化が進み、海外売上高比率が増加しています。国内市場での競争だけではなく、世界市場における競争が求められているのが現在なのです。

(参照元:人材マネジメントの在り方に関する課題意識

 

そこで必要になってくるのが、多様な顧客ニーズを捉えることと、国籍を問わない人材戦略(育成・発掘・獲得)です。働き方改革による多様な日本人の活躍にとどまらず、多様な国籍を持つ人材が活躍できる組織へと変わるときがきており、人材マネジメントあり方に注目が集まっています。

 

背景4:デジタル化

GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)という言葉が生まれるなど、世界のIT系巨大企業が注目されるようになりました。あらゆる領域でデジタル化・データ化が進んでおり、こうしたビジネスの変化に対応できる人材のニーズが高まっています。

メンバーシップ型雇用を行っている企業の多くは、どちらかというとゼネラリストの養成に力を入れてきましたが、現在はデジタル化の流れがあり、より高度な専門スキル・知識を持つスペシャリストが求められるようになってきています。

当然、各企業で内部人材の育成も進められてはいますが、それだけでは需給ギャップをまかなえないのが現状です。このためIT・デジタル人材やイノベーションをリードする事業開発型人材等、必要なスキル・経験を持つ人材をタイムリーに確保・活用できる組織の構築が急務になっています。人材マネジメントの観点からは、欧米で主流の「ジョブ型雇用」を進める企業も出てきています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)に関しては、以下の記事でわかりやすく解説していますので、合わせてご覧ください。

■参考記事はこちら

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?どこよりも詳しく&わかりやすく解説!

 

人材マネジメントはなぜ必要なのか

前述した通り、今、日本は社会的、経済的に大きな変革のときを迎えています。従来の日本型の人事制度(新卒一括採用、終身雇用制など)では合理性に歪が生じてきており、時代にあった人材の採用や活用、人材マネジメントが必要になってきているのです。

自社に合った人材マネジメントができない会社は、他社との差別化ができず、優位性を出せないため競争に負けてしまう可能性すらあると言っても過言ではありません。

ここでは人材マネジメントを経営と人、短期と長期といった4つの面から見て、人材マネジメントが必要な理由、人材マネジメントの目的を「図解 人材マネジメント入門」をもとに解説します。

 

1.経営×短期:戦略達成への貢献を高める

短期的な経営面でいうと、人材マネジメントは戦略達成への貢献を高めるのが目的です。企業としての目標やビジョンを従業員に共有し、何をすれば達成できるのかを伝え、個人の目標まで落とし込みます。

2.経営×長期:戦略を構築する能力を獲得し向上させる

長期的な経営面では、人材マネジメント、中でも選抜教育を行いリーダーを育成することで、戦略を構築する能力を獲得し向上させます。

3.人×短期:公平な評価と処遇を提供する

個人に対する短期的な視点からは、公平に評価されるよう、必要な情報を開示し処遇を提供します。マネージャーと個人、会社と個人の信頼関係の構築も欠かせません。フィードバックなどの支援を行うことで、次のチャンスを得られるようにサポートします。

4.人×長期:人材の成長を支援する

個人に対する長期的な視点としては、キャリア開発支援を行います。人材開発に加え、従業員が能力を最大限に発揮できるよう、働きやすい環境を整え、働きがいをもって仕事に臨めるようなサポートも必要です。

 

人材マネジメントを行うメリット

今では人材マネジメントは、取り組んだほうがいいものではなく、企業の成長に欠かせないものになっています。人材マネジメントを行うメリットについて説明しましょう。

「経営」メリット:リソースフローがスムーズになる

人材マネジメントを行うことで、採用や異動、退職といったリソースフローがスムーズに流れるようになります。

闇雲に新卒採用を行うのでなく、人員計画を立てるところからスタートしますので、採用要件などがより明確化でき、自社に本当に必要な人材を必要な人数だけ採用しやすくなるでしょう。また研修の実施などにより成長の機会が充実することで、企業イメージがあがり、そういった面でも採用はしやすくなります。

 

「経営」メリット:生産性の向上、競争力アップ

前述したように人材マネジメントを行うことでリソースフローがスムーズになり、適材適所の人員配置が可能となります。加えて、人材開発、組織開発の実施により、生産性が向上し、国際的な競争力のアップが期待できるでしょう。

 

「人」メリット:エンゲージメントの向上

人材マネジメントは、「人」に投資する手法ですので、従業員は会社に対して愛着心や思い入れといったエンゲージメントが向上します。その結果、仕事へのモチベーションが上がったり、一人ひとりの自主性が上がったり、コミットメント力が高まったり、といったメリットがあるでしょう。

 

人材マネジメントを構成する要素

人材マネジメントは大きく「人事評価」「報酬」「等級」「リソースフロー」「人材開発」「組織開発」の6つの要素から構成されます。それぞれについて簡単に解説するとともに、今後求められる方向性についても「人材マネジメントの在り方に関する課題意識」をもとに紹介します。

人事評価

従業員の働きに対して、処遇による格差の根拠を明確にするために行われるのが人事評価です。人事評価は人材マネジメントの中心にあり、報酬や等級、異動、退職、人材開発に結びついているのです。

今後は社内における報酬支給の根拠としての人事評価よりも、会社・個人のパフォーマンス・能力向上に力点を置いて実施するのがいいでしょう。

 

報酬

報酬とは、働くことにより得られるもの全てを指し、給与だけでなく福利厚生なども含まれます。次に説明する等級により報酬の水準が設定され、人事評価により実際の報酬が決定されます。

今後は外部労働市場での競争力確保のために、固定報酬は職務・役割に基づいて支給し、パフォーマンス・リテンションリスクにより変動報酬を柔軟に支給するのがいいでしょう。

 

等級

人材マネジメントの骨格とも言えるのが等級です。何を基準に社員をランク付けするか決め、それを具現化したのが等級だとお考えいただくといいでしょう。等級は、外的報酬の根拠として用いられます。

これまでは勤続年数に基づいて決めている企業も少なくありませんでしたが、今後は職務や役割の大きさに基づき職務・役割等級を導入するのがいいでしょう。

 

リソースフロー

人材が入社してから退職するまでの一連の流れをリソースフローと呼びます。採用要件は、等級に紐づけて設定し、異動・配置は人事評価の結果をもとに適材適所で検討が行われます。

採用については新卒一括採用から、必要なときに必要なスキル・経験をもつ多様な人材を確保する方向に変わるでしょう。当然、新卒に限らず中途採用や副業での採用など臨機応変に行われます。

 

人材開発

一人ひとりの成長に対して企業が意思を持って行う投資が人材開発です。これまでは全体としての能力の底上げに力点をおき、研修などの教育体系を提供していました。

今後は幹部候補層を選抜したうえで、集中的な育成投資を実施し人材を確保することが求められています。

 

組織開発

組織開発とは、組織の効果を高める計画的な取り組みのことです。組織プロセスを変革し、人と人との関係性にアプローチします。

終身雇用が当たり前だった時代は、組織文化を変える必要がありませんでした。でも今後は人材の流動性が高まり、多様な人材の採用が増えますので、エンゲージメント向上が重要になり積極的・継続的な施策の実施が必要になってくるでしょう。

 

人材マネジメントでよく使う用語

人材マネジメントは、幅が広く専門用語も多々出てきますし、流行もあります。分からない用語が出てきた際は、「人材マネジメント 用語図鑑(伊藤洋駆・安藤健 著)」がおすすめです。

ここでは、本書から3つの用語をご紹介します。

 

エンゲージメント

エンゲージメントは、従業員エンゲージメントとワーク・エンゲージメントに分けられます。従業員エンゲージメントは、仕事に対する関わり合いやコミットメント、全体的な満足などの度合いのことです。一方のワーク・エンゲージメントは、仕事への活力に満ち、打ち込んでいる状態を意味します。

従業員エンゲージメントは定義の曖昧さに批判が集まり、近年はワーク・エンゲージメントに関心が集まっています。

ワーク・エンゲージメントを高めることで、離職意思の低下、自己評価の向上、上司や同僚からの評価の向上、組織コミットメントの向上などの効果があると言われています。

従業員エンゲージメントに関しては、以下の記事でわかりやすく解説していますので、合わせてご覧ください。

■参考記事はこちら

従業員エンゲージメントとは?言葉の意味、構成要素、向上策、調査方法などについてわかりやすく解説!

 

組織コミットメント

従業員が組織に対して持つ、感情・認知・行動の準備状態を反映した態度が「組織コミットメント」です。そして組織コミットメントは、「情緒的」「規範的」「存続的」の3種類に分けられます。

情緒的コミットメントとは、特定の組織への同一化と投入のこと、ひと言でいうなら「愛着信」です。規範的コミットメントとは、組織にとどまるべきであるという信念で、個人的な価値・特性に近いものを指します。存続的コミットメントとは、これまでの積み重ねによって獲得した評価やポジション、報酬などを維持したいという思考により生まれるものです。

 

リーダーシップ開発

リーダーの役割とそのプロセスを効果的なものにするために個々人の能力を伸ばすことを「リーダーシップ開発」と言います。そしてマネージャーに必要な能力は、「目標共有力」「情報分析力」「事業実行力」に分けられることが日本の研究から分かっています。

リーダーシップ開発を有効に進めるためには、経験の質が重要です。一皮むける経験がリーダーシップ開発につながりますが、単に難易度の高い仕事を提供すればよいというわけではありません。難しい経験は昇進の遅れにつながるリスクなどもありますので、慎重な検討が必要です。

 

人材マネジメントを行う際のステップ

人材マネジメントの構成要素は前述した通り6つありますが、これを時間軸で考えると「人材の獲得」「人材の活用」「人材の退出」の3つのステップに分けられます。「人材マネジメントの基本 この1冊ですべてがわかる(HRインステイテュート・著)」をもとに解説します。

ステップ1:人材の獲得

人材の獲得とは、採用のこと。以前であれば新卒採用がメインでしたが、現在は中途採用、契約社員・派遣社員の活用、外部パートナーの活用、M&Aなど人材の獲得手段は多様化しています。今は、ゼロベースで獲得方法を捉え直すべき時代がきたとお考えいただくといいでしょう。

書籍では人材を獲得する戦略を立案する際、次の2つの軸を意識することをすすめています。

  • 戦略を遂行し市場での競争力の優位性を誇示するために、どのような人材を獲得すれば良いか
  • いかに効率的に優秀な人材を獲得するか

 

ステップ2:人材の活用

どんなに優秀な社員を採用しても、力を発揮できる組織や戦略がないと活かしきれません。中には、どんな人材であっても育成し、成果をあげる一人前の存在に変えてしまう企業もあります。

書籍では人材を活用する上で企業に求められていることとして、次の3点が重要だと紹介しています。

  • 個々の能力やスキル、パーソナリティを十分に踏まえたうえて、適材適所の配置を実現する
  • 短期的な視点と中長期的な視点を組み合わせた人材育成
  • エンゲージメントを高めながら業務に従事してもらえる環境を整える

 

ステップ3:人材の退出

昔であれば、人材の退出イコール定年退職でした。しかし今は、若手人材の意識は必ずしも一社を勤めあげることではなくなってきています。そうした背景もあり、今後は企業が様々な「退出」方法を用意する必要が生まれているのです。

定年退職の年齢を早めたり、一定の基準を満たせば休職機会を提供したり、再雇用を行ったり、こうした仕組みもだいぶ一般化してきましたね。

 

(参照元:人材マネジメントの基本

 

人材マネジメントを成功させるポイントとは?

人材マネジメントの施策は、一つひとつが従業員、社会へのメッセージだと坪谷氏は言います。この点を頭において人材マネジメントを成功させるポイントをみていきましょう。

ポイント1:環境への「適応性」

経済状況、社会情勢などにより、最適な人材マネジメントは異なります。そして当然、企業によりミッションや経営戦略、組織構造が違うので、自社に合ったものを考え、進めていかなければいけません。これが環境への「適応性」です。

「なぜ今それをやる必要があるのか」という視点を忘れずに進めていくことが重要でしょう。

 

ポイント2:施策に一貫性をもたせる

前述した人材マネジメントの要素6つは、互いに独立したものではなく、強く結びついています。このため施策に一貫性を持たせることが重要です。会社として「何をしようとしているのか」「どんな状態を目指しているのか」を明確にできているか考えてみるといいでしょう。

 

ポイント3:相互に信頼・感謝・尊重し合う関係づくり

いつの時代も企業は人材により支えられています。具体的に企業における「人」の重要性とは次の4つです(「人材マネジメントの基本」より)。

  • 企業におけるイノベーションの担い手であること。イノベーションを起こせるのは今のところ人だけ
  • 代替の利かない希少な存在であること
  • 成果が何倍にもなる可能性を秘めていること
  • 人は人を育成し、次の世代につないでいくモチベーションを有していること

人材マネジメントは、企業にとって最も重要な存在である「人」をいかにマネジメントして効果的に力を発揮できるようにするかを考えますが、その際に欠かせないのが「信頼」「感謝」「尊重」です。

これがあることで職場の心理的安全性を高め、活力を生み出します。

 

人材マネジメントの事例

最後に人材マネジメントの事例を3つご紹介します。

事例:幅広い人材採用に力を入れる(株)大宮電化

ハードオフ・オフハウス・ホビーオフ・モードオフFC加盟店運営を行う大宮電化は、就職氷河期世代人材をはじめ幅広い人材採用に力を入れています。

就職氷河期世代人材の採用には、トライアル雇用制度を活用することで、店長からの推薦で正社員化できるといいます。またアルバイトからも正社員転換できる制度を整備されています。

また定着率向上の取り組みとして、野球大会や温泉旅行等の社内イベントの実施や、他店舗との交流機会を作っているそうです。

詳細は、中小企業庁発表の「中小企業・小規模事業者の人手不足への対応事例集(令和2年度地域中小企業人材確保支援等事業)」をご覧ください。

 

事例:高齢社員が若手の指導役に!(株)松尾青果

青果卸販売業の松尾青果は、積極的に高齢社員の活用を行っています。高齢社員が働きやすい環境を整えるとともに、高齢社員が経験を活かし、若手社員へ指導を行うことによりスキルアップに貢献しているそうです。

能力開発の制度として、計画的に意識向上研修等を実施。年に1回、一般社員と管理職社員に分かれて大学の教授による研修会が実施されています。

詳細は、中小企業庁発表の「中小企業・小規模事業者の人手不足への対応事例」をご覧ください。

 

事例:人事評価制度の導入に伴い、スキルを見える化!(株)Hacoa

人事評価制度の導入に伴い、従業員のスキルを見える化し、スキルアップのステップを明確化したのがHacoaです。その結果、従業員のモチベーションが上がり、スキル向上につながったそうです。

以前は従業員のスキルに偏りがあり、各人の勤務時間に差が出ていたのが、今では仕事量の偏りを複数のメンバーでカバーし合える体制になったということです。

詳細は、中小企業庁発表の「中小企業・小規模事業者の人手不足への対応事例」をご覧ください。

 

まとめ

経済状況や社会情勢の変化に対応して形を変えていくことが求められる人材マネジメント。絶対的な答えがあるわけではありませんが、人材マネジメントの考え方には基本があり、中小企業庁のサイトなどで多くの事例が公開されています。

一歩一歩、自社でできる部分から見直し、取り組んでみてはいかがでしょうか。