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ペーパーレスとは?コロナ禍で進めるメリットや実現方法をわかりやすく解説!

ノウハウ ナレッジ
2021.08.17
『shouin+ブログ』マーケティング担当

企業が取り組むべきだとされている「ペーパーレス化」。

ところが、

  • なんでペーパーレス化をしなければいけないの?
  • ペーパーレス化をするとどんなメリットがあるの?
  • どうやってペーパーレス化すればいいの?

など、実際に取り組もうとするとさまざまな疑問が生じてしまいます。

そこで本記事では、ペーパーレス化について詳しく解説します。ペーパーレス化のメリット・デメリットやペーパーレス化をする具体的な方法についても解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

 

ペーパーレス化とは

ペーパーレス化とは、日常的な業務における紙の利用量を減らすことを言います。ペーパーレス化には書類の電子化が必要不可欠です。資料や稟議書などの書類を電子化し、パソコンで閲覧、送受信することによって、紙の利用量を減らしながら業務の効率化を進めることができます。

例えば、契約書や請求書、社内の稟議書、社内の説明資料、社員教育のためのマニュアルなどがペーパーレス化の主な対象になります。

国による法整備もペーパーレス化を後押ししています。電子帳簿保存法の改正により、2016年1月から、これまで紙での保管が主だった契約書や申請書類の電子保存が認められるようになりました。

 

電子帳簿保存法

(定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存)

第十条 所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。

【参照元(e-Gov):電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律】

 

ここで言う「電子取引」とは、契約書や申請書、領収書のことを指します。つまり、法律によりこれらの書類を電子保存することが認められているのです。

ペーパーレス化を進めるには、総務・人事系の事務の見直しも必要です。日報や勤怠管理など日常的に作成している書類を電子化・クラウド管理することで、紙の利用料削減と業務改善両面を進めることが可能です。

 

小売・サービス業にペーパーレス化はなぜ必要?

ペーパーレス化はなぜ必要なのでしょうか。今回は、アパレルなどの小売、飲食店などのサービス業においてペーパーレス化が必要な理由をご紹介します。

 

必要な理由1 :事務作業の生産性向上

申請書類などのペーパーレス化をすることで、業務の生産性を向上させる効果が期待できます。

アパレル店などの小売店や飲食店などのサービス業などの業務は、接客業と事務作業を同時並行で行う必要があるため、事務作業だけに時間をかけることができません。申請書類などをペーパーレス化することで、書類の作成や印刷などの手間を省くことができるため、効率的に事務を進めることが可能です。

例えば、店舗で備品が不足した場合、従来であれば備品購入のための申請書類を作成・印刷し、その後上司に稟議書を回覧する必要がありました。これらの手続きをペーパーレス化によってパソコン上で行えるようにすれば、印刷した書類を持って上司を探し回る必要はなくなります。

また、これまで紙で配布されていたマニュアルをペーパーレス化することで、PCだけでなくタブレット端末などでいつでもどこでも確認できるようになり、社員が利用しやすくなります。

アドビシステムズ株式会社が行った調査によると、社員がテレワークを実施して感じた実務上の課題は、「会社にある紙の書類をすぐに確認できない」(39.6%)、「稟議や書類処理が遅れる」(23.2%)など、多くの人が会社の書類関連で不便を感じていたことが伺えます。

ペーパーレス化により、これらの業務を効率化することが可能です。

 

テレワークを実際に実施して感じた業務上の課題についての調査

【参照元(アドビ):テレワーク勤務のメリットや課題に関する調査結果】



必要な理由2:人事系業務の迅速化

アパレル店・小売店では、正社員や派遣社員、アルバイトなどさまざまな雇用形態で働く人が集まります。小中規模の店舗では人事系業務の専門的なスタッフを雇えないことも多く、彼らの採用やその後の管理が大きな負担となっています。

労使契約や雇用保険にまつわる書類を紙で管理していると見逃しやミスの原因になります。スタッフが多くなると、契約の更新時期を見逃してしまうなど、後々問題になりかねません。

そこで、これらのスタッフの管理もペーパーレス化し、システム上で一元管理することが望ましいでしょう。データによる一元管理ができれば、契約の更新や不足書類の確認なども一目でわかるようになります。

 

必要な理由3:省スペース

アパレル店や小売店は必ずしも広いスペースが確保できているとは限りません。多くのスペースは顧客のために利用されるため、スタッフが利用できるスペースはわずかである場合もあります。

これまで、紙の書類は保管するためにファイリングし、書庫などに保管しなければなりませんでした。これらをペーパーレス化することで、バックヤードの省スペース化が実現します。

 

ペーパーレス化のメリット・デメリット

次に、ペーパーレス化のメリット・デメリットを押さえておきましょう。ペーパーレス化のメリットは以下6点が挙げられます。

  • 業務の効率化
  • 文書検索が簡単になる
  • コスト削減
  • セキュリティの向上
  • 企業価値の向上
  • テレワーク、リモートワークへの対応

ひとつずつ解説していきます。

 

業務の効率化

ペーパーレス化は社内の業務効率化に貢献します。ペーパーレス化は従業員数が30人から50人程度の中規模な企業で効果が大きいと考えられますが、それ以上の規模であれば各部署に分けてスモールスタートを切ると効果が見えやすくなるでしょう。

例えば、契約書や関連資料のプリント、製本、相手先への送付など、紙ならではの手間を大幅に削減することが可能です。まずは現場の一部に試験的に導入してみて、効果を測定すると良いでしょう。

【参照元(TCG出版):オフィスの生産革命!電子認証ペーパーレス入門】

 

文書検索が簡単になる

書類は作成し、承認された後も一定期間保管する必要があります。紙の書類の場合、重要な内容はファイリングするなどし保管されますが、後から探し出す際には見つけるまでに時間がかかってしまいます。

また、書類は作成した担当者が独自に保管しているケースも多く、紙での文書管理は属人的になりがちです。人事異動をきっかけに書類が紛失してしまうケースもあります。

書類をペーパーレス化することによって、保管場所が明確になり、誰でもすぐにアクセスすることができるようになります。検索機能を使えば必要な内容にアクセスできるため、わざわざ書庫に書類を探しにいく手間も省けます。

 

コスト削減

紙の書類を利用していると、以下のような費用が発生します。

  • 紙代
  • 印刷代
  • コピー機のメンテナンス代
  • 郵送代
  • 保管スペースにかかる費用
  • 書類の保管・管理にかかる人件費

このように、紙の書類は思いのほか多くのコストが発生していることがわかります。

書類をデジタル化すれば、これらの費用を削減することが可能です。書類の内容に修正があってもデータを社内のメンバーに共有することができるため、メンバー全員の時間短縮にも繋がります。

【参照元(TCG出版):オフィスの生産革命!電子認証ペーパーレス入門】

 

セキュリティの向上

紙による文書管理はスペースが必要なだけでなく、重要な文書に鍵をかけて保管するなど、労力や人手の面でもコストが発生します。また、紙の書類は改ざんしても履歴が残らないため、不正の温床になります。

ペーパーレス化によって書類を電子化することで、ファイルごとにアクセス制限や閲覧制限をかけることができるため、情報漏洩のリスクを減らすことができます。また、ファイルに損傷があっても、クラウド上に保存しているバックアップからデータを復元することも可能です。災害などのリスク対策を考える上でもペーパーレス化は有効です。

 

企業価値の向上

ペーパーレス化は効率性の追求だけでなく、企業価値の向上にも寄与します。2015年に国連で採択されたSDGs(Sustainable Development Goals : 持続可能な開発目標)では、2030年までに世界が達成すべき目標として、17の項目があげられています。

SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS

【参照元(国際連合広報センター):2030アジェンダ】

目標の中にはエネルギーを大切に使うことや自然環境への配慮なども含まれており、最近で歯企業もこれらの目標を達成する社会的責任があると見なされるようになりました。

ペーパーレス化をすることで、余計な紙や印刷時の電力を使わなくなるため、環境に配慮した活動を対外的にアピールすることができます。今後はますます環境保護の視点が企業価値向上に重要になるでしょう。

 

テレワーク・リモートワークへの対応

新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけに、国内でもテレワーク・リモートワークをする会社が急増しました。しかし、これらの対応は従来業務の見直しも同時に行わなければ問題も生じます。

例えば、従来通り紙の書類による仕事を続けている会社は、テレワークに移行しても書類の確認や押印のためにわざわざ出社を迫られるケースが出てしまうのです。

アドビシステムズ株式会社が行った調査によると、テレワークをしている際に判子や書類へのサイン、オフィスに保存してある紙書類を確認するなど、出社しなければ対応できないようなタスクが発生してしまい、出社した経験がある人は、「頻繁にある」「ときどきある」を合計して全体の6割以上を占めています。



テレワーク勤務のメリットや課題に関する調査結果

「参照元(アドビ):テレワーク勤務のメリットや課題に関する調査結果

このようなテレワークの課題は、従来業務の見直しに失敗しているからとも言えます。ペーパーレス化によって書類や稟議を遠隔からスムーズに行えるようになれば、社員もテレワーク・リモートワークに不満を感じることもなくなるでしょう。

 

ペーパーレス化のデメリット

ペーパーレス化する上で考慮しなければならないデメリットには以下3点が考えられます。

  • 導入コストが発生する
  • ITに慣れていない社員へのフォロー
  • システム障害への対応

ひとつずつ見ていきましょう。

 

導入コストが発生する

ペーパーレス化は長期的に見ればコスト削減効果も期待できますが、導入時にはまとまったコストがかかるかもしれません。

例えば、全員分のパソコンやタブレットがない場合は、買い揃えるために費用が発生します。また、勤怠管理を帳簿からシステムでの管理に移行したい場合は、勤怠管理ソフトの導入費用が発生します。

このように、ハードウェアや各種システムの購入費用が発生することは考慮しておきましょう。

 

ITに慣れていない社員へのフォロー

ペーパーレス化をしても社員全員がスムーズに対応できるとは限りません。高齢社員やITに不慣れな社員がいる場合、タブレットやシステムの使い方にフォローを入れる必要が出てきます。

ペーパーレス化は組織改革の一環です。社員へのフォロー体制やマニュアルの整備など、デジタルに移行する前に準備が必要です。

 

システム障害への対応

最近の文書管理サービスはクラウドを使ったサービスが多く、大量の文書を保管することができるため導入する企業も増えています。

一方で、クラウド上に文書を保管していると、社内のネット環境やクラウドサーバーの問題により一時的にファイルにアクセスできないことがあります。

システム側の障害に備えバックアップを自動で取得するなど、いざというときに備えた機能があると安心です。

 

店舗運営におけるペーパーレス化のポイント

ペーパーレス化を店舗運営に役立てるには、セキュリティへの配慮やデジタルサイネージの活用などに気を配りながら進めていきましょう。

ポイント1 ペーパーレス化の意義を理解してもらう

ペーパーレス化は社内の理解が必要不可欠です。既存の文書をデータに変換することは、短期的に見れば仕事が増えることになるからです。また、ペーパーレス化により新たなシステムの導入やワークフローの見直しが行われると、これまでのやり方が変わりストレスを感じる人も出てくるでしょう。

ペーパーレス化を進めるには、このような短期的なコストの発生をメンバーに理解してもらう必要があります。なぜペーパーレス化が必要なのか、ペーパーレス化することでどのようなメリットが得られるのかを考え、あらかじめ社内のメンバーにしっかり説明しておきましょう。

また、説得する対象は従業員だけではありません。企業の役員は高齢なこともあるため、IT知識が乏しい役員を説得するためには、ペーパーレス化のわかりやすいメリットを提示することが必要不可欠です。

取締役会の議事録から電子化するなど、役員にも電子化した承認プロセスを体験してもらうことで、上層部に理解が広まるかもしれません。

【参照元(TCG出版):オフィスの生産革命!電子認証ペーパーレス入門】

 

ポイント2:セキュリティへの配慮

業務で作成する契約書や見積書、売上表、シフト表などは店舗を運営する上で重要な文書です。これらの文書をパソコンで見られるようにデータベース化することで、店舗で必要なときに必要な情報にすぐアクセスできます。

一方で、これらのデータは個人情報などを含んでいるため、簡単に持ち出せないように対策する必要もあります。USBなど簡単に持ち出せるものは利用しない、人事に関わる情報にはパスワードをかけるなど、関係者以外情報にアクセスできない環境を整えておかなければなりません。

 

ポイント3:デジタルサイネージの有効活用

デジタルサイネージとは、平面ディスプレイやプロジェクタを使って映し出される情報・広告のことを言います。デジタルサイネージを活用することで、チラシやポスターなどの紙類を削減する効果があります。

これまで、アパレル、小売業界は顧客に商品を訴求するために多くのチラシやポスターを使ってきました。しかし、これらの広告は店舗内外の景観を損なうほか、効率的に顧客にアプローチできないなど問題を抱えていました。

また、チラシはその都度大量に印刷しなければならず、発送にも多くの人手や費用が発生していました。

デジタルサイネージは1つのディスプレイに複数の広告やポスターを表示できるため、資源を無駄にすることなく効率的に顧客に訴求することができます。大きなディスプレイを使えば、チラシポスターよりもインパクトを与えることができるでしょう。

【参照元(TCG出版):オフィスの生産革命!電子認証ペーパーレス入門】

 

ペーパーレス化の方法

店舗運営においてペーパーレス化を進めるためには、以下の3つの方法を検討してみましょう。

方法1:デジタルネイティブ世代のニーズに応える

現在の新卒者の多くはデジタルネイティブ世代であり、若い頃からパソコンやスマホ、タブレットに慣れ親しんできた世代です。彼らはIT知識も豊富であることが多いため、業務上のやり取りも彼らに対応するように心がけましょう。

例えば、新卒者向けの講習資料や業務マニュアルなどは、スマホやタブレットでいつでも見られるようにデジタル化しておくと目を通してもらいやすくなります。

株式会社ユナイテッドアローズでは、「shouin+」を利用して新卒内定者研修用の動画マニュアルを作成しています。その結果、課題提出率が95%になるなど大きな効果を発揮しています。ペーパーレス化はPDFなどの文書にするだけでなく、動画や音声に置き換えることでも可能なのです。

「参照元(shouin+):【セミナーレポート】小売業の人材育成DX~ユナイテッドアローズ流育成術~

 

方法2:ペーパーレス化に必要なサービスを選ぶ

ペーパーレス化は店舗に今あるITツールだけでは難しいこともあります。ペーパーレス化した業務を割り出したら、対応できるシステムやツールを選びましょう。

単純に書類をPDF化するだけであれば手作業でも可能ですが、より効率的・体系的に書類をデジタル化したいのであれば、クラウドサービスや文書管理システムを導入することを検討しましょう。

 

ペーパーレス化の進め方

ペーパーレス化の進め方は以下4つの手順で進めていきましょう。

  1. 知識の習得
  2. 導入準備
  3. 導入
  4. 定着

【参照元(TCG出版):オフィスの生産革命!電子認証ペーパーレス入門】

 

1. 知識の習得

まずはペーパーレス化を定着させるために社内に知識を習得してもらう必要があります。定期的な講習会などがあれば理想的ですが、難しいようであれば社内文書のペーパーレス化など簡単なところから始めていきます。

ポイントはスモールスタートを心がけるということです。はじめから大規模な変革をしようとすると、チームのメンバーも「こんなに大変ならもういいや」と変革に後ろ向きになってしまいます。

 

2. 導入準備

この段階では、どこまでペーパーレス化するのか、どのような以降ステップを踏むのかを検討し、スケジュール調整することが求められます。

ペーパーレス化したい文書は棚卸作業を行い、税務署への届出など面倒な作業が含まれるものもペーパーレス化できると大きな恩恵が期待できます。

 

3. 導入

導入時は、複数の部署で数人単位のペーパーレス化をするのか、あるいは特定の部署やチーム丸ごとペーパーレス化するのか、現場に合わせたベストな選択をする必要があります。

 

4.定着

ペーパーレス化をスタートしてすぐの段階では、慣れない作業や業務フローの変更に対応できず、現場に混乱や問題が生じることもあるでしょう。

これらの課題はその都度解決するしかありません。ペーパーレス化経験済みの従業員やチームを作りだすことができれば、社内でのノウハウの共有もされるようになり、定着へと進んでいきます。

 

まとめ

コロナによりオフィス内の感染症対策やテレワークが進められる中で、ペーパーレス化はますます必要性を増しています。アパレル店・小売店のような接客を求められる業務であっても、この流れとは無縁ではありません。ペーパーレス化のメリットを念頭に置き、できる範囲から業務のペーパーレス化を進めていきましょう。

著者
『shouin+ブログ』マーケティング担当
人材育成クラウドサービス「shouin+」のマーケティング担当です。人材育成のお役立ち情報やトレンドをはじめ、企業の人事・研修担当の方向けに社内教育や研修のノウハウを発信しています。

shouin+は、本社や現場のOJT・研修に関するお悩みを丸ごと解決する人材育成クラウドサービスです。

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