生産性とは?言葉の意味、計算方法、向上のための具体策までわかりやすく解説!
インプットに対するアウトプットの量を示す「生産性」。残念ながら日本における生産性は、主要先進7カ国(米国、フランス、イタリア、ドイツ、カナダ、英国、日本)の中で最下位の状況が続いています。その背景にあるのが、イノベーションを生み出せる人材の不足や、労働市場および研究開発における国際連携の弱さなどです。
こうした状況の中で今、日本企業が生産性を向上させるためにできる具体策を紹介しました。「生産性とは何か」言葉の定義、計算式も解説していますので、順序立てて理解したい方もぜひ参考にされてください。
生産性とは?
生産要素を投入してどれだけの産出物や付加価値が生み出されるかを測る指標が「生産性」です(書籍「生産性とは何か──日本経済の活力を問いなおす」より)。ちなみに生産要素とは、企業が生産活動をするために必要な、労働、資本(生産に要する設備)、中間投入(原材料)からなります。
投入された「ヒトなどの生産要素」によって、どれだけの成果をあげているか、どれだけ有効に利用されているかが「生産性」を見ると分かります。
式で表すと「生産性=生産量(付加価値)÷生産要素の投入量」となり、インプットに対するアウトプットの量だと理解しておくと分かりやすいでしょう。
つまり、生産要素の投入量が同じであれば、生産量が多いほど生産性が高いということになります。
ただし企業における生産要素の投入量は異なっており、単純に比較するのは難しいため、生産要素の種類により、「労働生産性」「資本生産性」「全要素生産性」の3つの指標に分けて比較することが多いです。
また労働生産性には、物的労働生産性と付加価値労働生産性の2種類があります。それぞれについての詳しい説明は後述します。
生産性が求められる背景
「生産性向上」が日本で求められるようになったのは2017年頃からです。それ以前は、第二次安倍政権により、金融政策によるデフレ脱却に重点を置いたアベノミクスが進められていました。
それが2017年に「経済財政運営と改革の基本方針2017〜人材への投資を通じた生産性向上〜」という骨太の方針が閣議決定され、2018年には「働き方改革」が始まったのです。
ここでは、政府が政策を転換した経緯にも触れながら、生産性が求められるようになった背景に関して、経済学者であり、学習院大学教授 宮川努氏の著書「生産性とは何か──日本経済の活力を問いなおす」を参考に解説します。
背景1:労働力人口の減少
生産性に注目が集まるようになった背景の一つに労働力人口(15歳以上の人口のうち、就業者と完全失業者を合わせた人口)の減少があります。
厚生労働省の統計によると、2000年の6,766万人をピークに労働力人口は減少傾向にあり、2030年には6,180万人(2000年と比較してマイナス586万人)まで減少すると推計されています。
(参照元:厚生労働省「労働力人口の推移」より)
第二次安倍政権が進めていたアベノミクスは、当初、拡張的な金融政策によるデフレ脱却に重点を置いていましたが、2017年頃はデフレからの完全脱却がならず、前述したような労働力人口の減少もあり、1980年代後半に匹敵するほど労働市場はひっ迫した状況になっていました。
このため「金融政策や財政政策などの短期的な政策から、構造政策への移行が進められたのでは」と宮川氏は著書の中で述べています。
そして2018年に始まったのが「働き方改革」です。残業規制など労働時間の短縮による実質的な賃金の上昇を狙ったことで、企業は仕事の方法の見直しを迫られ、より効率的な働き方の実現を目指す、つまり生産性の向上が求められるようになりました。
背景2:国際競争力の低さ
ビジネスがグローバル化している現在。国際間の企業競争も激しくなってきています。
宮川氏によると、「生産性向上は、一人当たりのGDPの上昇とほぼ同じと考えてよい」とのこと。その一人当たりのGDP(国内総生産)の日本のランクは、1994年は3位だったのに対して、2016年度の「国民経済計算年報」だと18位まで落ちているのです。この約20年間、日本は低成長率が続き、一人当たりのGDPが増えず、他国に抜かれてしまいました。
前述したように労働人口の減少もあり、このままだと激化する市場の競争環境の中で戦うことが難しく「生産性向上」は避けられないというわけです。
生産性の種類
生産性の指標には、「労働生産性」「資本生産性」「全要素生産性」の3種類がありますので、それぞれについて解説します。
労働生産性
労働者視点で生産性を見たのが「労働生産性」です。労働者一人当たり、あるいは労働者1時間当たり、どれくらいの生産量(または付加価値量)を生み出したかを示します。
式で表すと「労働生産性=生産量(付加価値量)÷労働投入量」となります。労働投入量は、労働者数もしくは総労働時間です。
従業員によって労働時間が異なる場合があるため、より正確に労働生産性を算出しようと思ったら労働時間単位の生産量を計算するのがいいでしょう。
資本生産性
資本の視点で生産性を見るのが「資本生産性」です。保有している機械や設備、土地等の資本がどれだけ効率的に成果を生み出したかを数値化したものになります。
全要素生産性
全要素生産性とは、生産量(または付加価値量)を、労働、資本(生産に要する設備)、中間投入(原材料)といった投入された全生産要素で割ったものになります。全要素生産性は、Total Factory Productivityの頭文字をとり、通常「TFP」と略されることが多いです。
労働生産性にも2つの種類がある
この後の当記事では3つの指標がある生産性の中で「労働生産性」に焦点を当て解説していきます。まずは労働生産性には「物的労働生産性」と「付加価値労働生産性」の2つがありますので、用語の意味から理解しておきましょう。
物的労働生産性
物的労働生産性は、労働に対する生産物を「生産量」または「販売金額」としたときの生産性のことです。商品やサービスの生産性を比較したい場合に用いられ、労働者一人当たり、どの程度の物やサービスを生産しているか、販売しているかを表します。
付加価値労働生産性
ここまでにも何度か出てきている「付加価値」という言葉。付加価値とは、会社が生み出した価値のことで、売上高から原材料や外注費、減価償却費など生産に必要な原価を引いて求めます。
付加価値労働生産性は、労働者一人当たり、どれだけ付加価値が高い仕事をしているかを表し、付加価値労働生産性が高いほど利益が高いということになります。
生産性の計算式
物的労働生産性も付加価値労働生産性も式で表現できます。
物的労働生産性の計算式
物的労働生産性は、以下の式で求めます。
物的労働生産性=生産性(もしくは販売金額)÷労働投入量
労働投入量は、労働者数もしくは総労働時間です。
付加価値労働生産性の計算式
付加価値労働生産性は、以下の式で求めます。
付加価値労働生産性=付加価値÷労働投入量
労働投入量は、物的労働生産性と同様に、労働者数もしくは総労働時間になります。
日本の生産性が低い理由
日本の製造現場の生産性は、長らく他国を圧倒してきましたが、ホワイトカラーやサービス業の生産性は、欧米先進国と比べて著しく低いのが現状です。
公益財団法人日本生産性本部が発表した「労働生産性の国際比較2021」によると、次のような結果になっています。
- 日本の時間当たり労働生産性は、49.5ドル。OECD加盟38カ国中23位
- 日本の一人当たり労働生産性は、78,655ドル。OECD加盟38カ国中28位
- 日本の製造業の労働生産性は、95,852ドル。OECDに加盟する主要31カ国中18位
主要先進7カ国(米国、フランス、イタリア、ドイツ、カナダ、英国、日本)の中で日本の生産性は最下位の状況が続いています。
ここでは日本の生産性が低い理由を「労働生産性の国際比較2021」などをもとに解説します。
イノベーションを生み出せる人材の不足
新しい産業を生み出し経済を活性化し、労働生産性を向上させるのに重要な役割を果たすのがイノベーションです。
そのイノベーションを生み出す主体になりうる修士号・博士号取得者の比率が、生産性の高い米国やドイツでは10%を越えているのに対して、日本は数%とかなり低い結果が出ています。
この背景にある理由のひとつに、高い専門性を得るために学歴に投資しても、所得に反映されにくいというのがあります。
例えば、男性大学院修了者の所得は高卒男性と比較して、日本は47%高いのに対して、米国は72%、ドイツは59%も高いのです。大卒男性についても、日本は高卒男性より20%高いだけに過ぎず、米国の44%、ドイツの36%と比較すると、学歴に投資するインセンティブが弱いと言わざるをえません。
つまり日本は生産性の高い高等教育取得者を増やすインセンティブに欠け、イノベーションの担い手を増やすことにつながっていないのです。
労働市場および研究開発における国際連携が弱い
日本企業でも現在、ダイバーシティー、インクルージョンの観点からの取り組みが増えていますが、米国などと比較すると労働市場および研究開発における国際連携が弱く、高度なスキルを持つ外国出身者の活用が進んでいません。これも日本の生産性が低い理由のひとつです。
米国の成功の源泉になっているのが海外から移民する高度人材の存在があります。企業価値10億ドル以上のスタートアップのうち半数以上が外国出身者によるものであり、経営や開発の要職に外国出身者が就いている企業は70%を越えるという研究結果もあります。
他にも米国はSTEM(科学・技術・工学・数学)教育分野で大量の留学生を受け入れており、労働力全体の17%、STEM分野の23%を占め、1990年~2000年にノーベル賞を受賞した米国ベースの研究者のうち26%が海外出身者になっているといいます。
また日本は投資額(GDP比)や特許件数などは米国・ドイツと変わらないものの、特許の質が課題であり、その原因のひとつになっているのが国際共同研究の少なさです。日本の研究者がグローバルに活動できる環境がまだ整っているとは言えません。
女性労働力の効果的な活用が進んでいない
より早い経済成長に向けた瞬発力を生み出すことにつながるのが、女性労働者の効果的な活用です。日本でも女性の社会進出が徐々に進んできてはいますが、米国やドイツはさらに先行しており、日本の生産性向上が遅れている要因のひとつになっています。
長時間働くことを良しとする文化が残っている
長い間、日本は残業が多く労働時間が長い傾向がありました。上司より早く帰りにくい文化があったり、残業するのが当たり前であったり、長時間働く人のほうが評価されたり、といった状況が長く続いていたのです。
その結果、通常業務時間内に仕事を終わらせるという意識が薄く、労働投入量が多くなり生産性が低くなっています。
ただし2019年4月から、長時間労働を是正するために、大企業で時間外労働の上限規制が導入されました(中小企業は2020年4月から)。このため長時間労働については、今後改善していくものと推測できます。
生産性を改善するポイント
生産性は前述したとおり、「生産性=生産量(付加価値)÷生産要素の投入量」という式で計算できます。つまり生産性をあげるには、生産量(付加価値)をあげるか、生産要素の投入量を減らすかの2つです。
そしてこの「生産量(付加価値)をあげる」と「生産要素の投入量を減らす」をそれぞれ達成するための手段として、書籍「生産性―マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの(伊賀泰代・著)」では『改善(インプルーブメント)』と『革新(イノベーション)』という2つのアプローチが存在するとしています。
- 改善による生産要素投入量の削減
- 革新による生産要素投入量の削減
- 改善による付加価値の増加
- 革新による付加価値の増加
「改善」は日本企業でも行われていることが多く、イメージしやすい生産性向上のための施策ですが、「革新」は発想の転換が必要なため苦手としている企業もあるでしょう。しかし革新は、生産性の改善に対して究めて大きなインパクトをもたらすことも多く、今後は積極的な取り組みが求められます。これらの点を頭において、生産性を改善するポイントを読み進めてください。
(参照元:書籍「生産性」より)
ポイント1:業務効率化を進める
「改善による生産要素投入量の削減」に該当するのが、業務効率化です。改善することでコストの削減につなげます。
具体的には、無駄だと思われる作業を省いたり、作業の導線や道具の置き場所などを見直すことで働く環境を整えて効率を上げたり、ITツールを導入することでコミュニケーションの効率化を図ったりといったことがあげられます。
またミスが起きないように、効率よく業務が進むように、能力頼りにせず「仕組み」として整えるといった視点が大事です。
ポイント2:ビジネスプロセスの再構築
ポイント1は、今ある仕組みは大きく変えずに、どう効率化するかといった話でしたが、ポイント2は既存のビジネスプロセスを再構築することで、生産要素投入量の削減を目指す方法です。「革新により生産要素投入量の削減」を目指します。
書籍「生産性」では、米国クレジット会社や消費者ローンを提供する企業が、賃金の安いインドに特別な学校を作り、インド訛りのない英語を話すインド人を多数育成、コールセンターをインドに移管して彼らを雇用した事例が紹介されています。革新的な手法によりコスト削減を行うことでコールセンターの生産性を大幅に上昇させたのです。
オペレーターに研修を行い処理時間を削減することで業務の効率化を進めるというのも生産性をあげる方法ですが、こうした地道な改善努力と比較して、ビジネスプロセスの再構築は究めて大きなインパクトを与えられるのは想像に難くないでしょう。
ポイント3:教育制度を整え技術力を上げ商品の付加価値を高める
「改善による付加価値の増加」の事例としては、教育制度を見直す・整えることで技術力、スキルを高め、より付加価値の高い商品・サービスを作れるようにするといったものがあげられます。
他には商品のパッケージを変えたり、人気タレントによるプロモーションを行ったりすることで付加価値を増加させるといった取り組みを行っている企業もあります。
ただし付加価値の増加を判断するのは消費者であるため、その価値を消費者に分かってもらえるかどうかも重要なポイントになってくるでしょう。
ポイント4:画期的な商品設計・斬新なビジネスモデルの構築
「革新による付加価値の増加」の事例としては、画期的な商品設計や斬新なビジネスモデルの構築があげられます。
日本でも多く存在するのが、化学メーカーや素材メーカーが新たな機能をもつ新素材を開発し、圧倒的な付加価値の向上を達成し、生産性を上げるというパターンです。例えば2003年にユニクロが発売した薄くて暖かい高機能な防寒インナー「ヒートテック」などもこちらに該当します。
技術分野以外に、例えばFacebookはリアルなつながりのある知人同士のコミュニティをネット上に作り出すことで、「不特定多数の人から見られる怖いネットの世界」を「知り合いだけが見る安全な世界」へ変えました。安全だと感じられる世界ですから、個人情報を入力してもらうのもスムーズ。その結果、属性を絞り込んだ広告を出せるネット媒体となり、高い付加価値額へとつながっているのです。
生産性を向上するためにできる具体策
次に、「生産性を改善するポイント」をさらにブレイクダウンして、今すぐに取り組める具体策をご紹介していきます。
1.スキルアップ
個人目線での生産性の向上は、「成長」と同義語。そして成長とは、次の図の①から④のサイクルの繰り返しです。
(参照元:書籍「生産性」より)
ここでポイントになってくるのが、日中に仕事をした後に自分で時間を確保して成長を目指すのではなく、将来を見据えたスキルアップも労働時間内にやり切るという意識です。そういう組織にしていかないと、子育てや介護と仕事を両立している社員は成長できない、そういう状況になったら成長が止まってしまう……、という結果になってしまいます。
とはいえ、人手不足の現場も多く研修機会を増やすのも容易ではないというのも現状でしょう。そこで考えたいのがeラーニングなど効率的に行える研修制度の充実です。
eラーニングは、時間や場所を選ばずに、自分のペースで学べ、必要に応じて繰り返し学習ができるなどのメリットがあります。日々の業務の中で、少し手が空いたときなど、隙間時間に学べるのも良さです。また研修を提供する立場から見ても、一度導入すればオフライン研修と比べて運用コストがかかりにくく、繰り返し利用でき、研修の質を保ちやすいのも嬉しいポイントです。
なおeラーニングについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてお読みください。
■参考記事
eラーニングとは?メリット・デメリットから企業研修での効果的な活用方法までわかりやすく解説!
2.ミスを減らす仕組み
ミスが起きると、その対応に追われ、必然的に時間をとられてしまいます。ミスは「今日は疲れていたから……」「案件が重なっていたから……」とその場しのぎの言い訳でやり過ごすと必ず繰り返します。
だからこそ、一回ミスが起きたらその都度「原因」を考え、ただ反省するだけではなく「仕組み」という形で対策を考えることが肝心であり、さらに言えばそれを継続的に続けられるような形まで落とし込むことが大切なのです(書籍「自分とチームの生産性を最大化する最新「仕組み」仕事術」より)。
例)タスクのモレが発生しやすい場合
記憶に頼ったり、好きな場所にとりあえずメモをしたりするなどせず、タスクを管理する手段を決めツールを限定する。その場で対応可能なものは、すぐに終わらせる。
また社内で起きた失敗を共有する仕組みを作っておくのもおすすめです。具体的な方法は、書籍「失敗学のすすめ(畑村洋太郎・著)」が参考になるでしょう。
3.コミュニケーションの仕組み
良いコミュニケーションが活発化すると、情報共有や伝達がスムーズになります。管理者側からすると進捗管理が行いやすくなり、適切な業務の割り振りや協力体制の構築が進み、結果として生産性向上につながります。
ただし、おしゃべりばかりが進むと生産性が下がってしまうことも……。一橋大学の中島賢太郎准教授らが行った研究によると、単にコミュニケーションの時間や、相手の人数が増えても職場の生産性には寄与しないという結果が出ています。一方で困難な問題に直面した場合は、限られた時間で効率的に情報を収集する必要があり、こうしたケースでは同僚からの情報収集が自社内解決に貢献するとしています。
また、うまくいっているチームは、「定期的かつ高い頻度で対話をするが、その会話時間は短い」という結果もあります(書籍「AI分析でわかった トップ5%社員の時間術」より)。
つまり円滑なコミュニケーションが行われるように工夫する一方で、コミュニケーションをしない時間を敢えて作り集中できるオフィス環境を作るなど、自社に合うコミュニケーションの仕組み作りが必要です。
内容によって、対面、電話、Web会議、チャットなどコミュニケーション手段を分けるのも一案です。そうしたルール、仕組みを作ることは、必要なコミュニケーションを確保しつつ、集中できる環境作りにつながるでしょう。
4.マニュアルを用意することで誰でもできる仕事に変える
組織で働く場合、自分が簡単にできる作業は徐々に手放し、より難易度の高い仕事へと切り替えていくことが求められます。でも「自分がやったほうが早いから……」と必要以上に抱え込むと生産性を上げることが難しくなりますね。
だからマニュアル化できるような内容であれば、マニュアルを作成し人に任せる仕組みを作りましょう。一度マニュアル化しておくと、やる人が変わる都度に説明する必要がなく、繰り返し使え効率的です。
マニュアルの作り方は以下の記事をご覧ください。
■参考記事
マニュアルとは?活用されるマニュアルの特徴と作り方をわかりやすく解説!
5.評価基準を量から質へ変える
評価基準を変えると意識が変わるので、生産性を向上したいなら、評価基準を「量」ではなく「質」へ変えることが重要です。
「量」で判断しようとすると、残業することで成果を出しても評価されますね。でも「量」を増やすことで出した成果は、「量」を出せなくなると終わってしまいますし、そういった組織は長時間働ける人しか続けられないとなりかねません。つまり一時的な成果でとどまってしまう可能性が高いのです。
6.人手不足を解消する
内閣府が発表している「令和元年度 年次経済財政報告」によると、人手不足でない企業ほど労働生産性が高く、かつ、人手不足でない企業の中でも内部ミスマッチがない企業の労働生産性が高いという結果が出ています。ここでいう内部ミスマッチとは、特定の年齢や職種における人員の過剰・不足があることを意味しています。
(参照元:「令和元年度 年次経済財政報告」より)
つまり、人手不足感のある企業が労働生産性を高めるためには、必要な人員を確保し適切な人員配置を行えるよう採用を進める必要があるのです。新卒、中途・経験者の正社員採用だけでなく、女性や65歳以上の方、外国人材など幅を広げるといいでしょう。こうした取り組みは、ダイバーシティ経営にもつながります。
当然、こうした人材が働きやすい職場環境を作る、待遇を改善することも必要になってきますね。
まとめ
「イノベーションを生み出せる人材不足」などと聞くと、とても大きな話で何から進めていいか悩んでしまいがちですが、生産性向上の具体策はシンプルなものも多く、既に取り組まれていることもあったことと思います。
オフラインの研修が中心ならまずは一部だけeラーニングにしてみる、業務を抱え込んでいる人が多いならマニュアル化を積極的に進めてみるなど、まずはできることから取り組んでみてください。