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生産性とは何か?意味・計算式・指標と向上の考え方をわかりやすく解説

作成者: 『shouin+ブログ』マーケティング担当|Sep 5, 2025 9:00:00 AM

 

人手不足やコスト高騰が続く中、「限られた人数で成果を最大化したいけれど、何から手をつければいいかわからない」などの悩みを抱える企業にとって、生産性向上は避けて通れない経営課題です。しかし、適切なアプローチ方法を知らなければ、現場は疲弊するばかりで成果につながらないこともあるでしょう。

そこで本記事では、生産性の基礎知識から計算方法、そして生産性向上に対する考え方をくわしく解説いたします。ぜひ最後までご覧ください。

 

生産性とは

まずは、「生産性」という言葉の基本的な考え方と、似た言葉との違いについて整理していきましょう。

生産性の意味

生産性とは、一言で言えば「投じたリソース(資源)に対して、どれだけの成果を生み出せたか」を表す指標のことです。ここでのリソースとは、働く人の数や時間、お金、設備などの「投入(インプット)」を指し、成果とは商品やサービス、利益などの「産出(アウトプット)」を指します。

簡単なイメージで言うと、「1時間で10個の製品を作る」のと「1時間で20個の製品を作る」のでは、後者の方が生産性が高いと言えるでしょう。少ない労力やコストで、より大きな成果や価値を生み出す状態こそが「生産性が高い」状態です。

ビジネスの現場では、単に作業スピードを上げることだけでなく、同じ時間でより質の高いサービスを提供したり、同じ売上をより少ない経費で達成したりすることも含めて、広く「生産性」として捉えられます。

 

生産性の言い換え表現

生産性とよく混同されがちな言葉に、「効率」「成果」「付加価値」などがあります。

まず「効率」は、作業のスピードや手順の無駄のなさを指す言葉です。効率が良くても、売れる商品を作っていなければ生産性が高いとは言えません。

次に「成果」は、結果そのものの大きさで、コストは考慮されていない場合があります。

そして「付加価値」は、企業が新たに生み出した価値を指します。売上から外部に支払った費用(仕入や外注費など)を差し引いた「付加価値額」で測られることが多くあります。

これらに対して、生産性は「効率」と「成果」、さらには「付加価値」の観点を組み合わせて、コストに対する成果の比率を見る総合的な概念です。つまり、生産性は“結果とプロセスの両方を見る指標”であり、「ムダを削りつつ、きちんと価値を生み出せているか」を確認するためのものさしと言えるでしょう。

 

なぜ今、生産性向上が重要なのか

なぜ今、これほどまでに「生産性向上」が叫ばれているのでしょうか。ここでは、避けては通れない外部環境の変化と、企業が生産性に向き合わなければならない背景について見ていきましょう。

背景1.企業を取り巻く環境変化

企業を取り巻く環境は、この数年で大きく変化しています。日本では少子高齢化による生産年齢人口の減少が進み、市場の右肩上がりの成長は期待できません。また、デジタル化の進展により、地域のライバル企業だけでなく、全国・海外の企業とも競争しなければならない場面が増えました。

これまでのように、「人を増やして売上を伸ばす」「長時間労働で補填する」という手法は、通用しなくなっています。採用は難航し、顧客ニーズの多様化やスピードや品質への期待も年々高まっています。

つまり、「今までと同じやり方」では、売上や利益の維持すら難しくなっているのが現実です。だからこそ、企業こそ限られた人員や時間をどのように配分し、いかに高い成果を出すかという生産性向上の視点が欠かせないのです。

 

背景2.人手不足・コスト増加との関係

人材不足や採用難、人件費の高騰は、多くの企業にとって切実な問題です。「売上を伸ばしたいが、人を増やす余裕がない」「人を採用してもすぐに辞めてしまう」といった悩みを抱えている方も多いでしょう。さらに、最低賃金の引き上げや社会保険料の負担増、エネルギーコストの上昇などにより、従来と同じ売上規模では利益が残りにくくなっています。

こうした状況で「人手不足だから売上が伸びない」と嘆くだけでは、状況は変わりません。大切なのは、「人を増やせないからこそ、今の人数でどれだけ成果を出せるか」という発想に切り替えることです。

たとえば、同じ業務量をこなすのに必要な時間を減らす、2人で行っていた作業を1人でもできるように仕組みを変える、利益率の低い仕事を見直す、といった取り組みはすべて生産性向上につながります。

生産性向上は、人を追い込むためのものではなく、限られた人員で無理なく成果を出すための土台づくりと言えるでしょう。

 

背景3.生産性向上が企業成長につながる

生産性向上は、単なるコスト削減策ではなく、企業の成長力を高める重要な手段にもなります。

生産性が上がると、同じ売上でも利益が出やすくなり、その利益を設備投資や人材育成、新規事業へのチャレンジなどに回すことができます。つまり、「儲かった分を次の成長に投資する」というサイクルをつくりやすくなるのです。

また、生産性が高い組織は、ムダな残業や非効率な業務が少なく、従業員が余裕を持って働ける環境を整えやすくなります。それは結果として、離職率の低下や採用競争力の向上にもつながります。生産性が高く、働きやすい会社は、若手人材にとっても魅力的に映るため、長期的には人材確保の面でもプラスに働くでしょう。

このように、生産性向上は「利益率の改善」「成長投資の余力確保」「働き方の改善」という三つの面で企業成長を後押しします。目先のコスト削減だけでなく、将来の成長と人材定着を見据えた経営戦略の一部として捉えることが大切です。

 

生産性が低下する主な原因

現場でよくある「生産性を下げてしまう要因」を3つの視点から見ていきます。

原因1.業務の属人化・ブラックボックス化

生産性が低下する大きな要因の一つが、業務の属人化とブラックボックス化です。属人化とは、「この仕事はあの社員にしかできない」「担当者がいないと業務が止まる」という状態を指します。優秀なベテラン社員が何でもこなしてしまうがゆえに、その社員の頭の中だけにノウハウが蓄積されているケースが少なくありません。

こうした状況が続くと、当該社員が出勤していないと業務が回らなくなり、チームメンバーの業務負担が大幅に増加するリスクが高まります。さらに、引き継ぎや教育に時間がかかり、同じ仕事をこなすまでに必要なコストも大きくなります。

業務がブラックボックス化していると、そもそも「どの作業にどれだけ時間がかかるのか」「どこにムダが潜んでいるのか」が見えづらくなります。結果として、生産性向上の施策を検討したくても、始め方が分からず、改善が後回しになってしまうのです。

 

■参考記事はこちら

属人化はわざと行われる?意図的な業務集中の理由と防止策をわかりやすく解説

脱属人化する方法とは?業務の属人化を解消し、標準化するメリットについて解説

 

原因2.無駄な業務・非効率なプロセス

生産性を下げる典型的な要因は、目的があいまいな業務や、長年の慣習として続いている非効率なプロセスです。「慣習だから」という理由のみで継続している業務が成長を止めているかもしれません。たとえば、目的が曖昧な会議や得るものがない報告書の作成、二重入力が必要なデータ管理など、現場には多くの「ムダ」が潜んでいます。

これらの業務は、担当者にとっては「必要な仕事」に見えるため、カットや効率化を行うことが難しくなりがちです。一歩引いて「この作業は本当に必要だろうか?」「顧客への価値提供につながっているか?」という視点で見ると、実は成果に結びついていない作業に多くの時間を使っているケースが少なくありません。

忙しいのに成果が出ない、残業が減らないという場合は、こうした非効率なプロセスが常態化している可能性が高いでしょう。タスクや業務量自体を見直さなければ、どれだけ手を速く動かしても生産性は上がりません。

 

原因3.人材育成・スキル不足の問題

体系的な人材育成が行われていないことも生産性低下の要因となります。

たとえば、業務の説明が不足しがちなOJT任せの教育や、マニュアルがない中での手探りの業務遂行は、新人が戦力化するまでに膨大な時間を要します。また、教育が場当たり的になっていると、社員によってスキルや仕事の進め方にばらつきが生まれ、同じ業務でも必要な時間や品質に差が出てしまうでしょう。

これらは、個人の能力不足というより、人材育成の設計や仕組みの問題です。「人を増やす」のではなく「一人ひとりの生産性を高める」ための投資として、人材育成を捉えるべきです。

 

生産性の種類

生産性という言葉は一見シンプルですが、その中には「労働生産性」「業務生産性」「組織生産性」など、いくつかの捉え方があります。ここでは、生産性を多面的に理解するための視点として、その種類と捉え方を整理していきましょう。

種類1.労働生産性

「労働生産性」は、生産性の中でも特に頻出する考え方で、従業員一人あたり、あるいは労働時間一時間あたりで、どれだけの成果を生み出したかを測るものです。売上や粗利、付加価値額などを従業員数や労働時間で割って計算します。詳しい計算方法については後述します。

また、労働生産性はさらに、「物的労働生産性」と「付加価値労働生産性」の2つに分けられます。前者は生産量や販売数などの「物量」を成果とし、後者は粗利益などの「金額的価値」を成果として見る考え方です。

これら労働生産性を確認することで、「自社は限られた人員でどれだけ成果を出せているか」「同業他社と比べてどの程度の水準か」といったことを客観的に把握できます。

 

種類2.業務生産性・組織生産性

生産性について、「誰がどれだけ頑張っているか」という個人の視点で考えると、どうしても人を責める発想になりがちです。そこで重要になるのが、業務単位・組織単位で生産性を見る「業務生産性」「組織生産性」という考え方です。

「業務生産性」は、たとえば「請求書発行業務」や「問い合わせ対応」といった特定のタスクにおいて、どれくらいの工数で完了できたかを確認します。ここを改善することで、全体の生産性向上につなげることができます。

一方、「組織生産性」は、部署やチーム全体のアウトプットを見るものです。個人のパフォーマンスだけでなく、チームワークや連携のスムーズさが反映される指標です。

これらの視点を持つことで、「社員が努力不足だ」ではなく、「業務の設計や仕組みに問題がある」と考えられるようになります。「組織全体でより良いやり方を探すためのものさし」として活用することが大切でしょう。

 

産性の計算式と測り方

生産性を向上させるには、まず現状を数字で把握することが大切です。そこでここでは、生産性の基本的な計算式を紹介します。難しい数学は必要ありませんので、自社の数字を当てはめてイメージしてみてください。

生産性の計算式

生産性の最も基本的な計算式は、以下の通りとてもシンプルです。

生産性 = 産出量(アウトプット)÷ 投入量(インプット)

この式は、「投入したリソース1単位あたり、どれだけの成果が出たか」を表しています。分子の「産出量(アウトプット)」には、生産量、売上高、粗利益(付加価値)などが入り、分母の「投入量(インプット)」には、労働者数、労働時間、人件費などが入ります。

何を改善したいかによって、分子と分母にどの数字を入れるかを選ぶのがポイントです。たとえば、「コストパフォーマンスを見たい」なら分母はお金になり、「タイムパフォーマンスを見たい」なら分母は時間になります。

 

労働生産性の計算例

労働生産性の計算には、生産量(個数や重量)を基準にする「物的労働生産性」と、粗利益(付加価値)を基準にする「付加価値労働生産性」の2種類があります。それぞれ例をあげて計算してみましょう。

〈例〉製造業の企業の場合

従業員
10名
月の粗利益
500万円
総労働時間
1,600時間
月の生産数
3,200個

<物的労働生産性(時間あたりの生産数)>

3,200個(生産数)÷ 1,600時間(総労働時間)= 2.0個/時間

1時間の労働で、平均2個を生産できている計算になります。

<付加価値労働生産性(一人当たり)>

5,000,000円(粗利益)÷ 10人(従業員数)= 500,000円

従業員1人あたり、月に50万円の付加価値(粗利)を生み出していることになります。

<付加価値労働生産性(時間当たり)>

5,000,000円(粗利益)÷ 1,600時間(総労働時間)= 3,125円

1時間の労働で、3,125円の付加価値(粗利)を生み出していることになります。

 

数値化する際の注意点

生産性を数値化するときには、いくつか注意点があります。まず、分母となる「従業員数」や「労働時間」の定義によって数値が変わるため、前提条件をそろえることが重要です。

たとえば、「従業員数」には正社員だけを含めるのか、パート・アルバイトまで含めるのかによって、計算結果は大きく変わります。「労働時間」も、所定労働時間なのか、残業を含んだ総実労働時間なのかを明確にしなければなりません。

また、すべての生産性が数値で測れるわけではありません。接客の質、社内のコミュニケーションの円滑さ、従業員のモチベーション、心理的安全性といった要素は、定性的で数値化が難しいことも多いです。数値だけを追い求めると、サービスの質が低下したり、職場の雰囲気が悪化したりするリスクがあります。目に見える数字(定量指標)と、目に見えない価値(定性指標)のバランスを見ながら、総合的に判断することが大切です。

 

生産性向上にむけた改善策立案のポイント

計算式で現状が把握できたら、いよいよ具体的な改善策を考えます。しかし、いきなりツールを導入したり、現場に無理な指示を出したりするのは得策ではありません。どのようなアプローチで取り組めば無理なく成果を上げられるのか、解説します。

ポイント1.個人ではなく構造を改善する

多くの人が陥りがちな誤解として、「生産性向上=従業員がもっと頑張ること」と考えてしまうケースがあります。しかし、個人の努力に頼った改善には限界があり、長続きさせることは難しいです。

本質的な生産性向上とは、「頑張らなくても成果が出る仕組み」を作ることです。たとえば、自動化ツールを入れて手作業をなくす、マニュアルを整備して迷う時間を減らす、無駄な工程をカットするといった「構造の改善」こそが求められます。

「走るスピードを上げる」のではなく、「走らなくてもいいように道を舗装する」イメージを持つと良いでしょう。従業員が楽に、快適に仕事ができるようになった結果として、生産性が上がる状態が理想的です。

 

ポイント2.施策の枠組みを理解する

生産性を上げるアプローチには、計算式の分子を増やすか、分母を減らすかの2つの方向性があります。

①分子(成果量)を増やす:新商品の開発、単価アップ、販売力の強化などにより、同じリソースでより高い売上や利益を目指す攻めの手法。

②分母(投入量)を減らす:業務の効率化、コスト削減、時短などにより、少ないリソースで現状と同じ成果を維持する守りの手法。

まずは即効性のある「②分母を減らす(ムダを減らす)」アプローチが始めやすいでしょう。現場の負担を減らしてリソースに余裕を持たせた上で、その余力を「①分子を増やす」活動に使うとスムーズです。

なお、職場のムダの見つけ方については以下の記事が参考になります。ぜひご覧ください。

■参考記事はこちら

職場のムダをなくして業務改善!よくある無駄な作業の例や見つけ方をまとめて解説

 

ポイント3.身近な業務から着手する

企業が生産性向上に取り組む際、いきなり大規模なシステム導入や組織再編を行うことは、コストや現場の負担を大きくし、混乱を招くリスクをもたらします。

まずは身近な業務に目を向け、できるところから改善する姿勢が大切です。現場の「小さな不便」や「なんとなく続いている作業」に目を向け、それを一つずつ解消していくことが、現実的で効果の出やすいアプローチでしょう。

なお、業務改善のアイデアについては、以下の記事も参考になります。ぜひご活用ください。

■参考記事はこちら

【業務改善の成功事例】具体例9選と業務改善の方法、アイデア出しのコツとは

 

まとめ

生産性向上は、企業がこれからの時代を生き抜き、成長していくための必須条件です。「投入リソースに対してどれだけ成果が出たか」という基本を押さえ、まずは身近な業務の「ムダ」を減らすことから始めてみましょう。

数値化による現状把握、業務の可視化、そして属人化を解消する仕組みづくり。これらは一見地味な作業に見えますが、組織の体質は確実に強くなります。まずは自社の現状を計算式に当てはめ、ボトルネックになっている業務が何なのかを話し合う場を設けてみてはいかがでしょうか。本記事が、貴社の生産性向上の一助となれば幸いです。